説明

バス車両のルーフエアコン

【課題】送風機による振動及び騷音が車体に直接伝達されることを防止し、コンデンサーユニットに送風機が着脱可能に装着され、送風機の整備作業が容易なバス車両のルーフエアコンを提供する。
【解決手段】本発明によるバス車両のルーフエアコン構造は、ルーフパネルに固定的に取り付けられるベース部及びベース部の上部に結合されるカバー部を含むコンデンサーユニット;カバー部の上面に着脱可能に装着される複数の送風機;及びルーフパネルに伝達される送風機の振動及び騷音を遮断するために、コンデンサーユニットに取り付けられる遮蔽材を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバス車両のルーフエアコンに係り、より詳しくは、一体型の送風機がバス車両のコンデンサーユニットに着脱可能に装着され、送風機の整備作業が容易になされ、コンデンサーユニットに備えられた遮蔽材により、送風機で発生する振動及び騷音の伝達を遮断できるバス車両のルーフエアコンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバス用エアコンユニット支持構造は、一例を説明すれば次のようである。図1は、特許文献1に記載のバス車両のルーフエアコンユニット支持構造の側面を示す図である。図1に示すように、従来のルーフエアコンユニット支持構造は、車体を構成するルーフパネル40の下部に、運転席と乗客席を区分するセンターピラー60が垂直に取り付けられ、さらにルーフパネル40の下部に、センターピラー60から所定間隔だけ離れたウィンドーピラー50が垂直に取り付けられ、ルーフパネル40の上部に、該当先端がセンターピラー60の延長線上に位置し、該当後端がウィンドーピラー50の延長線上に位置するエアコンユニット30が装着され、エアコンユニット30に対する支持力を補強するためのリヤピラー70がルーフパネル40の下部所定地点に斜めに取り付けられる。
【0003】
しかし、このような構成の従来技術は、ボルト及びナットによってルーフ骨組とルーフエアコンを結合する締結構造であるので、ルーフエアコンの作動の際、送風ファンの回転による振動が車体骨組に直接伝達されて振動や騷音が発生する問題があった。また、振動発生源が乗客の頭上に位置するので、電動発生源で発生した共振は、車両室内全体に伝搬して乗り心地を低下させる。
【0004】
従来のエアコンユニットの他の例を説明すれば次のようである(特許文献2)。図2は従来のエアコンユニットの例を示す図、図3は従来のバス車両のルーフエアコンのコンデンサーユニット構造を示す図である。図2に示すように、従来のエアコンユニットの場合、バス車両の屋根に、エアコンユニット24が取り付けられ、エアコンユニット24には、空気が流動する開口部32を有するベース28と、ベース28の上部に結合されるカバー30とが装着される。ここで、ベース28の開口部32の外側には蒸発器コイル40が装着され、蒸発器コイル40の外側には、蒸発器ファンとコンデンサー空気供給ファン50が取り付けられる。
【0005】
特に、図3に示すように、送風ファン22がベース20の上面に直接装着される従来技術の場合、送風ファン22が作動すれば、送風ファン22の振動及び騷音がバス車両のルーフ骨組に直接伝達されて、乗客に不快感を引き起こす問題点があった。さらに、送風ファン22の整備を行なう際は、作業者はカバー21をバス車両のルーフから分離した後、送風ファン22を整備しなければならない。このようなカバー21の分離は、落下事故を誘発して周囲の作業者が傷害を被るおそれがあるので、安全確保の上からも好ましくない。
【特許文献1】大韓民国特許公開番号第10−2005−0051329号明細書
【特許文献2】特開平9−169211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は前述のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、送風機による振動及び騷音が車体に直接伝達されることを防止し、コンデンサーユニットに送風機が着脱可能に装着され、送風機の整備作業が容易なバス車両のルーフエアコンコンデンサーユニット構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明によるバス車両のルーフエアコンは、バス車両の内部空調のために、ルーフパネルに取り付けられるルーフエアコン構造であって、ルーフパネルに固定的に取り付けられるベース部、前記ベース部の上部に結合されるカバー部、及び前記ベース部とカバー部との間に設けられる通常のコンデンサーを含むコンデンサーユニット;送風モーターにより駆動される送風ファン、送風ファンの前面を取り囲むグリル、及び前記送風ファンを支持するハウジングからなり、前記カバー部の上面に着脱可能に装着される少なくとも一つ以上の送風機;及び前記ルーフパネルに伝達される送風機の振動及び騷音が遮断するために、前記コンデンサーユニットに取り付けられる遮蔽材;を含んでなることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記カバー部の上面には、それぞれの送風機が挿入される装着孔が前記カバー部の長手方向に少なくとも一つ以上形成されることが好ましい。
【0009】
前記送風機のグリル及びハウジングの縁部には、ボルトが挿入される複数の第1ボルト孔が形成され、前記複数の送風機が挿入されるコンデンサーユニットのカバー部には、前記複数の第1ボルト孔と対応する複数の第2ボルト孔が形成され、前記複数の第1ボルト孔は、前記送風機の中心軸を基準として対称状に配置されることが好ましい。
【0010】
前記遮蔽材はスポンジラバーであることが好ましい。
【0011】
前記遮蔽材は、前記カバー部とベース部が相互に結合される位置に取り付けられることが好ましい。
【0012】
前記ベース部の縁部には、前記遮蔽材が装着される取り付け溝が形成されることが好ましい。
【0013】
前記カバー部の装着孔の隣接部位と前記送風機が相互に結合される位置には遮蔽材がさらに設けられることが好ましい。
【0014】
前記カバーには、送風機の突出縁部が装着される縁溝が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、コンデンサーユニットに遮蔽材を取り付けることで、振動及び騷音がバス車両に直接伝達されることを防止し、送風機の振動及び騷音を遮断することができる利点がある。また、本発明は、コンデンサーユニットのカバー部に送風機を着脱可能に固定することで、バス車両ルーフからカバー部を分離しなくても、送風機を容易に整備できる利点がある。さらに、本発明は、送風機を分離することが、バス車両のルーフ上でコンデンサーユニットを分解せずに行えるから、コンデンサーユニット部品の落下事故をあらかじめ防止できるとの利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図4は本発明によるバス車両のルーフエアコン構造を示す図である。図4に示すように、本発明は、バス車両の内部空調のためのコンデンサーコイル及び蒸発器コイルなどの空調器機を備え、バス車両のルーフパネルに固定的に取り付けられるバス車両のルーフエアコン構造である。特に、本発明によるバス車両のルーフエアコンコンデンサーユニット構造は、送風モーター111、送風ファン110、グリル120、及びハウジング130が一体的に結合されてなる送風機100と、送風機100が着脱可能に装着されるコンデンサーユニット200と、コンデンサーユニット200内に取り付けられる遮蔽材300とを備える。
【0018】
具体的には、送風機100は、外部空気を車両の内部に流入させるためのものであって、送風モーター111と、送風モーター111によって駆動される送風ファン110と、送風ファン110の前方を取り囲むグリル120と、送風ファン110及び送風モーター111を支持するために、送風ファン110の後方に配置されるハウジング130とから構成される。
【0019】
送風機100は、コンデンサーユニット200の上面に着脱可能に固定されることが望ましい。送風機100の整備が要求される場合、整備者は、コンデンサーユニット200を分解しない状態で、送風機100をコンデンサーユニット200から容易に分離することができるからである。すなわち、送風機100のグリル120及びハウジング130の縁部には、ボルトが挿入される複数の第1ボルト孔410が形成され、ボルトは送風機100の第1ボルト孔410に挿入されてからコンデンサーユニット200に固定される。よって、コンデンサーユニット200に対するボルトの拘束を解除すれば、送風機100をコンデンサーユニット200から容易に分離することができる。
【0020】
送風機100を構成する送風モーター111、送風ファン110、グリル120、及びハウジング130は一体的に結合される。すなわち、グリル120及びハウジング130は相互に対応する形状に形成され、グリル120は送風ファン110の前面に、ハウジング130はハウジング130の後面にそれぞれ配置され、グリル120及びハウジング130は送風モーター111及び送風ファン110を一体に結合する。これにより、送風機100をコンデンサーユニット200からの分離が容易である。
【0021】
コンデンサーユニット200は、コンデンサーコイル及び蒸発器コイルのような空調器機を内部に備え、バス車両の内部を空気調和させる役目をする。特に、コンデンサーユニット200には、複数の送風機100が該当長手方向に着脱可能に挿入されるカバー部210と、バス車両の上部に固定的に取り付けられ、カバー部210に結合されるベース部220とが備えられる。ここで、カバー部210には、複数の装着孔211が該当長手方向に沿って離隔して形成される。複数の装着孔211は送風機100が挿入されて装着されるためのホールであって、コンデンサーユニット200の長手方向に沿って一列に離隔して配置される。
【0022】
また、装着孔211の隣接部位には、第1ボルト孔410と対応する第2ボルト孔420が形成される。第2ボルト孔420には、送風機100とカバー部210の装着孔211間の結合の際、これらを相互に結合するボルトが固定される。なお、本実施例では、送風機100とコンデンサーユニット200のカバー部210がボルトを介して着脱可能に相互に結合される構造について説明したが、これに限定されるものはなく、送風機100とコンデンサーユニット200のカバー部210間の結合及び分離はボルト以外の多様な結合構造又は結合方法によって達成できる。
【0023】
このような構成により、送風モーター111、送風ファン110、グリル120、及びハウジング130が一体的に構成された送風機100は、コンデンサーユニット200のカバー部210から迅速で容易に分離可能なものである。
【0024】
図5は本発明によるバス車両のルーフエアコン構造を側面で示す図である。図5に示すように、コンデンサーユニット200のカバー部210とカバー部210に結合するベース部220との間には遮蔽材300が取り付けられる。遮蔽材300は、送風機100で発生する振動及び騷音の伝達を遮断するための物質から構成される。具体的には、ゴム材のスポンジラバー(SPONGE RUBBER)が遮蔽材300として使用可能である。引き出し円(5A)の中に示すように、カバー部210の縁部に結合される前記ベース部220の縁部には、遮蔽材300が装着される取付け溝221が形成される。これにより、送風機100の作動によって発生した振動及び騷音は、送風機100からコンデンサーユニット200に伝達される過程で、カバー部210とベース部220間に取り付けられた遮蔽材300によって遮断される。
【実施例2】
【0025】
図6は本発明による他の実施例であり、バス車両のルーフエアコン構造を示す図である。図6に示すように、バス車両のルーフエアコン構造は、送風モーター111、送風ファン110、グリル120、及びハウジング130が一体的に結合されてなる送風機100と、送風機100が着脱可能に装着される縁溝212を有するコンデンサーユニット200と、コンデンサーユニット200内に取り付けられる遮蔽材300とを備える。ここで、送風機100及び遮蔽材300に対する構成は前述した送風機及び遮蔽材の構成と同一であるので、それについての詳細な説明は省略する。ただし、コンデンサーユニット200には、送風機100の突出縁部150が装着される縁溝212を有するカバー部210が備えられる。縁溝212は、送風機100の突出縁部150と対応する溝形状に形成される。これは、コンデンサーユニット200と送風機100間の結合の際、送風機100の突出縁部150がコンデンサーユニット200に正確に装着するようにするためである。ここで、送風機100の上面と送風機100の上面に隣接したカバー部210の上面は相互に同一面を維持することが良い。
【実施例3】
【0026】
図7は本発明の他の実施例であり、バス車両のルーフエアコン構造を側面で示す図である。図7に示すように、本発明の他の実施例によるバス車両のルーフエアコン構造は、送風機100と、カバー部210及びベース部220から構成されるコンデンサーユニット200と、引き出し円(7A)に示すようなコンデンサーユニット200のカバー部210とベース部220との間、引き出し円(7B)に示すようなカバー部210と送風機100との間にそれぞれ備えられる複数の遮蔽材300、300aとを含む構造である。
【0027】
ここで、送風機100及びコンデンサーユニット200に対する構成は前述した送風機及びコンデンサーユニットの構成と同一であるので、それについての詳細な説明は省略する。ただし、複数の遮蔽材300、300aは、カバー部210とベース部220が相互に結合される位置と、カバー部210の装着孔211と送風機100が相互に結合される位置にそれぞれ配置される。これにより、送風機100で発生した振動及び騷音は、送風機100からカバー部210に伝達される過程で1次に減殺され、カバー部210からベース部220に伝達される過程で2次に減殺される。
【0028】
前述したように、本発明によるバス車両のルーフエアコン構造の場合、一体型の送風機100がバス車両のコンデンサーユニット200に着脱可能に装着されることにより、送風機100の整備作業が容易になるという利点がある。また、遮蔽材300、300aがコンデンサーユニット200に備えられるので、送風機100で発生する振動及び騷音の伝達を遮断できるという利点がある。従って、従来のような、送風モーターと送風ファンがコンデンサーの底面に直接装着され、その結果、送風ファンの振動及び騷音がバス車両のルーフ骨組に直接伝達されることや、送風モーター及び送風ファンの整備の際に、バス車両ルーフから分離したコンデンサーカバーが落下して、事故を引き起こすことなどが解決できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、送風機による振動及び騷音が車体に直接伝達されることを防止し、コンデンサーユニットに送風機が着脱可能に装着され、送風機の整備作業が容易となるので、バス車両のルーフエアコンコンデンサーユニットに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来のバス車両のルーフエアコンユニットの一例を示す側面図である。
【図2】従来のバス車両のルーフエアコンユニットの他の例を示す構成図である。
【図3】従来のバス車両のルーフエアコン構造を示す構成図である。
【図4】本発明によるバス車両のルーフエアコン構造を示す構成図である。(実施例1)
【図5】本発明によるバス車両のルーフエアコン構造を示す側断面図である。(実施例1)
【図6】本発明の他の実施例で、バス車両のルーフエアコン構造を示す構成図である。(実施例2)
【図7】本発明の他の実施例で、バス車両のルーフエアコン構造を示す側断面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0031】
100 送風機
110 送風ファン
120 グリル
130 ハウジング
200 コンデンサーユニット
210 カバー部
220 ベース部
300、300a 遮蔽材
400 ルーフパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス車両の内部空調のために、ルーフパネルに取り付けられるルーフエアコン構造であって、
ルーフパネル(400)に固定的に取り付けられるベース部(220)、前記ベース部(220)の上部に結合されるカバー部(210)、及び前記ベース部(220)とカバー部(210)との間に設けられる通常のコンデンサーを含むコンデンサーユニット(200)、
送風モーター(111)により駆動される送風ファン(110)、送風ファン(110)の前面を取り囲むグリル(120)、及び前記送風ファン(110)を支持するハウジング(130)からなり、前記カバー部(210)の上面に着脱可能に装着される少なくとも一つ以上の送風機(100)、及び
前記ルーフパネル(400)に伝達される送風機(100)の振動及び騷音が遮断するために、前記コンデンサーユニット(200)に取り付けられる遮蔽材(300)、を含んでなることを特徴とするバス車両のルーフエアコン。
【請求項2】
前記カバー部(210)の上面には、それぞれの送風機(100)が挿入される装着孔(211)が前記カバー部(210)の長手方向に少なくとも一つ以上形成されることを特徴とする請求項1に記載のバス車両のルーフエアコン。
【請求項3】
前記送風機(100)のグリル(120)及びハウジング(130)の縁部には、ボルトが挿入される複数の第1ボルト孔(410)が形成され、前記コンデンサーユニット(200)のカバー部(210)には、前記複数の第1ボルト孔(410)と対応する複数の第2ボルト孔(420)が形成され、前記複数の第1ボルト孔(410)は、前記送風機(100)の中心軸を基準として対称状に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のバス車両のルーフエアコン。
【請求項4】
前記遮蔽材(300)はスポンジラバーであることを特徴とする請求項1に記載のバス車両のルーフエアコン。
【請求項5】
前記遮蔽材(300)は、前記カバー部(210)と前記ベース部(220)が相互に結合される位置に取り付けられることを特徴とする請求項1又は4に記載のバス車両のルーフエアコン。
【請求項6】
前記ベース部(220)の縁部には、前記遮蔽材(300)が装着される取付け溝(221)が形成されることを特徴とする請求項5に記載のバス車両のルーフエアコン。
【請求項7】
前記カバー部(210)の装着孔(211)の隣接部位と前記送風機(100)が相互に結合される位置には遮蔽材(300a)がさらに設けられることを特徴とする請求項5に記載のバス車両のルーフエアコン。
【請求項8】
前記カバー部(210)には、送風機(100)の突出縁部(150)が装着される縁溝(212)が形成されることを特徴とする請求項5に記載のバス車両のルーフエアコン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−290694(P2008−290694A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211241(P2007−211241)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】