説明

バックアップ装置およびバックアップ方法

【課題】制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置に入力することができるバックアップ装置を得る。
【解決手段】制御対象装置2の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出装置302と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生装置303と、制御アナログ信号異常検出装置302の検出結果に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて出力する切換回路304とを備え、切換回路304から出力された制御アナログ信号または所定信号を制御対象装置2に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された制御アナログ信号を出力するバックアップ装置およびバックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計装装置や制御装置などのアナログ信号出力装置から制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された制御アナログ信号と、予め設定された所定信号とを切り換えて、制御対象装置に出力するバックアップ装置が知られている。このバックアップ装置は、アナログ信号出力装置に異常が発生し、バックアップ装置に入力される制御アナログ信号に異常が発生した場合には、制御アナログ信号から所定信号に手動により切り換えられて、所定信号を制御対象装置に入力する。これにより、アナログ信号出力装置の異常の発生による制御対象装置の動作の異常の発生が抑制される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−176601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、制御アナログ信号に異常が発生した場合に、作業者がバックアップ装置を操作しなければならず、例えば、作業者が不在であるなどの理由により、バックアップ装置の操作ができない場合には、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて制御対象装置に入力することができない。その結果、制御対象装置の動作に異常が発生してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置に入力することができるバックアップ装置およびバックアップ方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るバックアップ装置は、制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された前記制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出装置と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生装置と、前記制御アナログ信号異常検出装置の検出結果に基づいて、前記制御アナログ信号と前記所定信号とを切り換えて出力する第1の切換回路とを備え、前記第1の切換回路から出力された前記制御アナログ信号または前記所定信号を前記制御対象装置に出力する。
【0007】
この発明に係るバックアップ方法は、制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力される制御アナログ信号入力工程と、前記制御アナログ信号入力工程で入力された前記制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出工程と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生工程と、前記制御アナログ信号異常検出工程の検出結果に基づいて、前記制御アナログ信号と前記所定信号とを切り換えて前記制御対象装置に出力する切換工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るバックアップ装置によれば、制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出装置と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生装置と、制御アナログ信号異常検出装置の検出結果に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて出力する第1の切換回路とを備え、第1の切換回路から出力された制御アナログ信号または所定信号を制御対象装置に出力するので、制御アナログ信号に異常が発生した場合に、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置に入力することができる。
【0009】
この発明に係るバックアップ方法によれば、制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力される制御アナログ信号入力工程と、制御アナログ信号入力工程で入力された制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出工程と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生工程と、制御アナログ信号異常検出工程の検出結果に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて制御対象装置に出力する切換工程とを備えているので、制御アナログ信号に異常が発生した場合に、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る制御システムを示す構成図である。
【図2】図1のバックアップ装置を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るバックアップ装置を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係るバックアップ装置を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係るバックアップ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る制御システムを示す構成図である。図において、制御システムは、計装装置または制御装置から構成され制御アナログ信号を出力するアナログ信号出力装置1と、プラントなどから構成され、アナログ信号出力装置1により制御される制御対象装置2と、アナログ信号出力装置1が出力する制御アナログ信号が入力され、入力された制御アナログ信号を制御対象装置2に出力するバックアップ装置3とを備えている。制御アナログ信号は、制御対象装置2の制御に用いられる。
【0012】
図2は図1のバックアップ装置3を示すブロック図である。バックアップ装置3は、アナログ信号出力装置1(図1)から制御アナログ信号が入力される制御アナログ信号入力端子301と、制御アナログ信号入力端子301に入力された制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出装置302と、所定信号を発生させる所定信号発生装置303と、制御アナログ信号入力端子301に入力された制御アナログ信号と所定信号発生装置303により発生する所定信号とが入力され、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて出力する切換回路(第1の切換回路)304とを備えている。所定信号発生装置303は、所定信号を任意の値に予め設定することができる。
【0013】
また、バックアップ装置3は、切換回路304から出力された制御アナログ信号または所定信号を制御対象装置2(図1)に出力する制御アナログ信号出力端子305と、制御アナログ信号に異常が発生したことを表示するLED(表示装置)306と、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて制御対象装置2に出力することを示すステータス信号を外部に出力するステータス信号出力端子307とを備えている。
【0014】
制御アナログ信号異常検出装置302は、下限基準信号を発生させる下限基準信号発生装置308と、制御アナログ信号入力端子301に入力された制御アナログ信号と下限基準信号発生装置308により発生した下限基準信号とが入力されるコンパレータ309とを備えている。下限基準信号発生装置308は、下限基準信号を任意の値に予め設定することができる。下限基準信号の値は、制御アナログ信号の許容される下限値となる。
【0015】
コンパレータ309は、入力端子としてa端子およびb端子を有し、出力端子としてc端子を有している。コンパレータ309は、a端子に入力された信号値がb端子に入力された信号値よりも小さい場合に、c端子から切換信号(第1の切換信号)が出力されるようになっている。切換信号とは、切換回路304に、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて出力させるための制御信号である。コンパレータ309のa端子には、制御アナログ信号入力端子301が接続されている。コンパレータ309のb端子には、下限基準信号発生装置308が接続されている。したがって、コンパレータ309は、制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも小さい場合に、切換信号をc端子から出力する。なお、コンパレータ309は、制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも大きい場合には、切換信号を出力しない。
【0016】
切換回路304には、コンパレータ309のc端子が接続されている。したがって、切換回路304には、コンパレータ309から出力される切換信号が入力される。つまり、制御アナログ信号異常検出装置302は、制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも小さくなることにより、制御アナログ信号の異常を検出し、検出結果を切換回路304に出力する。切換回路304は、切換信号に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて出力する。つまり、切換回路304は、制御アナログ信号異常検出装置302の検出結果に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて出力する。具体的には、切換回路304は、切換信号が入力された場合に、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて出力する。また、切換回路304は、切換信号が入力されていない場合に、制御アナログ信号を出力する。
【0017】
LED306には、コンパレータ309のc端子が接続されている。したがって、LED306には、コンパレータ309から出力される切換信号が入力される。LED306は、切換信号が入力されることにより点灯する。なお、LED306は、切換信号が入力されていない場合には点灯しない。つまり、LED306は、制御アナログ信号異常検出装置302が制御アナログ信号の異常を検出した場合に点灯する。これにより、LED306は、制御アナログ信号に異常が発生したことを表示することができる。
【0018】
ステータス信号出力端子307には、コンパレータ309のc端子が接続されている。したがって、ステータス信号出力端子307には、コンパレータ309から出力される切換信号が入力される。ステータス信号出力端子307は、切換信号が入力されることにより、ステータス信号を外部に出力する。なお、ステータス信号出力端子307は、切換信号が入力されていない場合にはステータス信号を出力しない。つまり、ステータス信号出力端子307は、制御アナログ信号異常検出装置302が制御アナログ信号の異常を検出した場合にステータス信号を出力する。
【0019】
次に、バックアップ装置3の動作について説明する。まず、制御アナログ信号入力端子301には、アナログ信号出力装置1から制御アナログ信号が入力される(制御アナログ信号入力工程)。また、所定信号発生装置303は、所定信号を発生させる(所定信号発生工程)。制御アナログ信号入力端子301に入力された制御アナログ信号は、コンパレータ309および切換回路304に入力される。コンパレータ309は、入力された制御アナログ信号の値と下限基準信号の値とを比較する。制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも大きい場合には、コンパレータ309は何も出力しない。したがって、切換回路304は、切換回路304に入力された制御アナログ信号を制御アナログ信号出力端子305に出力する。
【0020】
一方、例えば、アナログ信号出力装置1とバックアップ装置3とを繋ぐ配線が切断されるなどの要因により、制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも小さくなった場合には、コンパレータ309は、切換信号を出力する。つまり、制御アナログ信号異常検出装置302により、制御アナログ信号の異常低下が検出され(制御アナログ信号異常検出工程)、検出結果が出力される。これにより、切換回路304には、切換信号が入力される。切換信号が入力された切換回路304は、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて制御アナログ信号出力端子305に出力し、制御アナログ信号出力端子305は、所定信号を制御対象装置2に出力する(切換工程)。また、LED306には、切換信号が入力される。切換信号が入力されたLED306は、点灯する(制御アナログ信号異常発生表示工程)。また、ステータス信号出力端子307には、切換信号が入力される。切換信号が入力されたステータス信号出力端子307は、切換回路304の動作状態を示すステータス信号として、切換信号を外部に出力する(ステータス信号出力工程)。
【0021】
切換工程により制御対象装置2の動作が安定した後、作業者は、制御対象装置2を停止させる。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るバックアップ装置3によれば、制御対象装置2の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された制御アナログ信号の異常低下を検出する制御アナログ信号異常検出装置302と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生装置303と、制御アナログ信号異常検出装置302の検出結果に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて出力する切換回路304とを備え、切換回路304から出力された制御アナログ信号または所定信号を制御対象装置2に出力するので、制御アナログ信号に異常が発生した場合に、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置2に入力することができる。
【0023】
また、切換回路304は、制御アナログ信号異常検出装置302に入力された制御アナログ信号の値が予め設定された下限値よりも小さい場合に、所定信号を出力するので、例えば、アナログ信号出力装置1とバックアップ装置3とを接続する配線が切断されるなどの要因により、制御アナログ信号の値が異常低下した場合には、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置2に入力することができる。
【0024】
また、バックアップ装置3は、制御アナログ信号異常検出装置302が制御アナログ信号の異常を検出した場合に、切換回路304が制御アナログ信号から所定信号に切り換えて制御対象装置2に出力することを示すステータス信号を外部に出力するので、バックアップ装置3に接続された外部機器に対して、切換回路304が所定信号を出力することを知らせることができる。
【0025】
また、バックアップ装置3は、制御アナログ信号異常検出装置302が制御アナログ信号の異常を検出した場合に、制御アナログ信号に異常が発生したことを表示するLED306をさらに備えているので、バックアップ装置3を監視する作業者に対して、制御アナログ信号に異常が発生したことを知らせることができる。
【0026】
また、この発明の実施の形態1に係るバックアップ方法によれば、制御対象装置2の制御に用いられる制御アナログ信号が入力される制御アナログ信号入力工程と、制御アナログ信号入力工程で入力された制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出工程と、予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生工程と、制御アナログ信号異常検出工程の検出結果に基づいて、制御アナログ信号と所定信号とを切り換えて制御対象装置2に出力する切換工程とを備えているので、制御アナログ信号に異常が発生した場合に、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置2に入力することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態1では、下限基準信号発生装置308およびコンパレータ309から制御アナログ信号異常検出装置302が構成される例について説明したが、値が制御アナログ信号の上限値となるように予め設定された上限基準信号を発生させる上限基準信号発生装置および上限基準信号が入力されるコンパレータ309から制御アナログ信号異常検出装置302が構成されてもよい。この場合、制御アナログ信号異常検出装置302は、制御アナログ信号と上限基準信号とを比較して、制御アナログ信号の異常上昇を検出する。
【0028】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係るバックアップ装置3を示すブロック図である。図において、制御アナログ信号異常検出装置302は、制御アナログ信号の許容される上限値となるように予め設定された上限基準信号を発生させる上限基準信号発生装置310と、制御アナログ信号入力端子301に入力された制御アナログ信号と上限基準信号発生装置310により発生した上限基準信号とが入力されるコンパレータ311と、コンパレータ309およびコンパレータ311に接続されたオア回路312とをさらに備えている。
【0029】
コンパレータ311は、コンパレータ309と同様に、入力端子としてa端子およびb端子を有し、出力端子としてc端子を有している。コンパレータ311は、a端子に入力された信号値がb端子に入力された信号値よりも小さい場合に、c端子から切換信号が出力されるようになっている。コンパレータ311のa端子には、上限基準信号発生装置310が接続されている。コンパレータ311のb端子には、制御アナログ信号入力端子301が接続されている。したがって、コンパレータ311は、制御アナログ信号の値が上限基準信号の値よりも大きい場合に、切換信号をc端子から出力する。なお、コンパレータ311は、制御アナログ信号の値が上限基準信号の値よりも小さい場合には、切換信号を出力しない。
【0030】
オア回路312には、コンパレータ309のc端子およびコンパレータ311のc端子が接続されている。したがって、オア回路312には、コンパレータ309から出力される切換信号およびコンパレータ311から出力される切換信号が入力される。オア回路312は、コンパレータ309から出力される切換信号およびコンパレータ311から出力される切換信号を論理和演算し、演算結果に基づいて切換信号を出力する。つまり、オア回路312は、コンパレータ309から出力される切換信号およびコンパレータ311から出力される切換信号のうちの少なくとも一方がオア回路312に入力されることにより、切換信号を出力する。
【0031】
切換回路304には、オア回路312の出力端子が接続されている。したがって、切換回路304には、オア回路312から出力される切換信号が入力される。LED306には、オア回路312の出力端子が接続されている。したがって、LED306には、オア回路312から出力される切換信号が入力される。ステータス信号出力端子307には、オア回路312の出力端子が接続されている。したがって、ステータス信号出力端子307には、オア回路312から出力される切換信号が入力される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0032】
次に、バックアップ装置3の動作について説明する。制御アナログ信号入力工程および所定信号発生工程は、実施の形態1と同様である。制御アナログ信号入力端子301に入力された制御アナログ信号は、コンパレータ309、コンパレータ311および切換回路304に入力される。コンパレータ309は、実施の形態1と同様に、入力された制御アナログ信号の値と下限基準信号の値とを比較する。コンパレータ311は、入力された制御アナログ信号の値と上限基準信号の値とを比較する。制御アナログ信号の値が上限基準信号の値よりも小さい場合には、コンパレータ311は何も出力しない。したがって、切換回路304は、制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも大きく、かつ、制御アナログ信号の値が上限基準信号の値よりも小さい場合には、切換回路304に入力された制御アナログ信号を制御アナログ信号出力端子305に出力する。
【0033】
一方、例えば、何らかの要因により、制御アナログ信号の値が上限基準信号の値よりも大きくなった場合には、コンパレータ311は、切換信号を出力する。つまり、制御アナログ信号異常検出装置302により、制御アナログ信号の異常上昇が検出され(制御アナログ信号異常検出工程)、検出結果が出力される。これにより、オア回路312に切換信号が入力され、切換信号が入力されたオア回路312は切換信号を出力する。その結果、切換回路304には、切換信号が入力される。切換信号が入力された切換回路304は、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて制御アナログ信号出力端子305に出力し、制御アナログ信号出力端子305は、所定信号を制御対象装置2に出力する(切換工程)。また、LED306には、切換信号が入力される。切換信号が入力されたLED306は、点灯する(制御アナログ信号異常発生表示工程)。また、ステータス信号出力端子307には、切換信号が入力される。切換信号が入力されたステータス信号出力端子307は、切換回路304の動作状態を示すステータス信号として、切換信号を外部に出力する(ステータス信号出力工程)。なお、制御アナログ信号の値が下限基準信号の値よりも小さくなった場合のバックアップ装置3の動作は、実施の形態1と同様である。切換工程により制御対象装置2の動作が安定した後、作業者は、制御対象装置2を停止させる。
【0034】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るバックアップ装置3によれば、切換回路304は、制御アナログ信号異常検出装置302に入力された制御アナログ信号の値が予め設定された上限値よりも大きい場合に、所定信号を出力するので、何らかの要因により、制御アナログ信号の値が異常上昇した場合には、制御アナログ信号から所定信号に確実に切り換えて制御対象装置2に入力することができる。
【0035】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3に係るバックアップ装置3を示すブロック図である。図において、バックアップ装置3は、外部から切換信号が入力される切換信号入力端子313と、操作されることにより切換信号を発生させる切換スイッチ314と、オア回路312、切換信号入力端子313および切換スイッチ314から切換信号が入力されるオア回路315とをさらに備えている。
【0036】
また、バックアップ装置3は、外部から制御対象装置2の制御に用いられるバックアップ用信号が入力されるバックアップ用信号入力端子316と、所定信号発生装置303により発生する所定信号とバックアップ用信号入力端子316に入力されるバックアップ用信号とが入力され、所定信号とバックアップ用信号とを切り換えて切換回路304に出力する切換回路(第2の切換回路)317と、切換回路317の切換動作を制御するための制御信号である切換信号(第2の切換信号)が外部から入力される切換信号入力端子318と、操作されることにより切換回路317に入力される切換信号を発生させる切換スイッチ319と、切換信号入力端子318および切換スイッチ319から切換信号が入力されるオア回路320とをさらに備えている。
【0037】
オア回路315には、オア回路312の出力端子、切換信号入力端子313および切換スイッチ314が接続されている。したがって、オア回路315には、オア回路312から出力される切換信号、切換信号入力端子313に入力される切換信号および切換スイッチ314に発生する切換信号が入力される。オア回路315は、オア回路312から出力される切換信号、切換信号入力端子313に入力される切換信号および切換スイッチ314に発生する切換信号を論理和演算し、演算結果に基づいて切換信号を出力する。つまり、オア回路315は、オア回路312から出力される切換信号、切換信号入力端子313に入力される切換信号および切換スイッチ314に発生する切換信号のうちの少なくとも1つがオア回路315に入力されることにより、切換信号を出力する。
【0038】
切換回路304には、オア回路315の出力端子が接続されている。したがって、切換回路304には、オア回路315から出力される切換信号が入力される。LED306には、オア回路315が接続されている。したがって、LED306には、オア回路315から出力される切換信号が入力される。ステータス信号出力端子307には、オア回路315が接続されている。したがって、ステータス信号出力端子307には、オア回路315から出力される切換信号が入力される。
【0039】
オア回路320には、切換信号入力端子318および切換スイッチ319が接続されている。したがって、オア回路320には、切換信号入力端子318に入力される切換信号および切換スイッチ319に発生する切換信号が入力される。オア回路320は、切換信号入力端子318に入力される切換信号および切換スイッチ319に発生する切換信号を論理和演算し、演算結果に基づいて切換信号を出力する。つまり、オア回路320は、切換信号入力端子318に入力される切換信号および切換スイッチ319に発生する切換信号のうち少なくとも一方がオア回路320に入力されることにより、切換信号を出力する。
【0040】
切換回路317には、オア回路320の出力端子が接続されている。したがって、切換回路317には、オア回路320から出力される切換信号が入力される。切換回路317は、切換信号に基づいて、所定信号とバックアップ用信号とを切り換えて出力する。切換回路317から出力された所定信号またはバックアップ用信号は、切換回路304に入力される。その他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0041】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るバックアップ装置3によれば、切換回路304は、切換回路304の切換動作を行うための切換信号が外部から入力されることにより、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて出力するので、制御アナログ信号に異常が発生した場合に限らず、任意のタイミングで、制御アナログ信号から所定信号に強制的に切り換えて制御対象装置2に出力することができる。
【0042】
また、バックアップ装置3は、操作されることにより切換信号を発生させて、切換信号を切換回路304に入力する切換スイッチ314をさらに備え、切換回路304は、切換スイッチ314から切換信号が入力されることにより、制御アナログ信号から所定信号に切り換えて出力するので、作業者が切換スイッチ314を操作することにより、制御アナログ信号に異常が発生した場合に限らず、任意のタイミングで、制御アナログ信号から所定信号に強制的に切り換えて制御対象装置2に出力することができる。
【0043】
また、外部から制御対象装置2の制御に用いられるバックアップ用信号が入力され、所定信号発生装置303で発生した所定信号と外部から入力されたバックアップ用信号とを切り換えて切換回路304に出力する切換回路317をさらに備え、切換回路304は、切換回路317から入力された所定信号またはバックアップ用信号を出力するので、外部から入力されるバックアップ用信号を調節することにより、制御対象装置2に入力されるバックアップ用信号を自由に調節することができる。
【0044】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4に係るバックアップ装置3を示すブロック図である。図において、この例では、制御対象装置2(図1)として、電動弁やダンパが用いられる。バックアップ装置3は、開度検出装置(状態検出装置)により検出された制御対象装置2の開度信号(状態検出信号)が入力される開度信号入力端子321と、作動することにより制御対象装置2の開度を上昇させるための開度上昇信号を発生させるリレー回路322と、リレー回路で発生した開度上昇信号を制御対象装置2に出力する開度上昇信号出力端子323と、作動することにより制御対象装置2の開度を低下させるための開度低下信号を発生させるリレー回路324と、リレー回路324で発生した開度低下信号を制御対象装置2に出力する開度低下信号出力端子325と、リレー回路322を作動させるコンパレータ326と、リレー回路324を作動させるコンパレータ327とを備えている。リレー回路322、リレー回路324、コンパレータ326およびコンパレータ327から制御デジタル信号発生装置328が構成されている。
【0045】
コンパレータ326は、入力端子としてa端子およびb端子を有し、出力端子としてc端子を有している。コンパレータ326は、a端子に入力された信号値がb端子に入力された信号値よりも小さい場合に、リレー回路322を作動させる作動信号をc端子から出力するようになっている。コンパレータ326のa端子には、開度信号入力端子321が接続されている。コンパレータ326のb端子には、切換回路304の出力端子が接続されている。したがって、コンパレータ326は、開度信号入力端子321に入力された開度信号の値が、切換回路304から出力される制御アナログ信号、所定信号またはバックアップ用信号の値よりも小さい場合に、作動信号をc端子から出力する。コンパレータ326が作動信号を出力することにより、リレー回路322が作動して、開度上昇信号(制御デジタル信号)が開度上昇信号出力端子323から出力される。
【0046】
コンパレータ327は、入力端子としてa端子およびb端子を有し、出力端子としてc端子を有している。コンパレータ327は、a端子に入力された信号値がb端子に入力された信号値よりも小さい場合に、リレー回路324を作動させる作動信号をc端子から出力するようになっている。コンパレータ327のa端子には、切換回路304の出力端子が接続されている。コンパレータ327のb端子には、開度信号入力端子321が接続されている。したがって、コンパレータ327は、開度信号入力端子321に入力された開度信号の値が、切換回路304から出力される制御アナログ信号、所定信号またはバックアップ用信号の値よりも大きい場合に、作動信号をc端子から出力する。コンパレータ327が作動信号を出力することにより、リレー回路324が作動して、開度低下信号(制御デジタル信号)が開度低下信号出力端子325から出力される。つまり、制御デジタル信号発生装置328は、入力された開度信号と、切換回路304から出力される制御アナログ信号、所定信号またはバックアップ用信号との値を比較し、比較結果に基づいて、制御対象装置2の制御に用いられ開度信号を制御アナログ信号、所定信号またはバックアップ用信号に近づけるための制御デジタル信号を発生させる。その他の構成は、実施の形態3と同様である。
【0047】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係るバックアップ装置3によれば、制御対象装置2の開度を検出する開度検出装置の開度信号が入力され、入力された開度信号と切換回路304から出力された制御アナログ信号、所定信号またはバックアップ用信号の値とを比較し、比較結果に基づいて、制御対象装置2の制御に用いられ開度信号を制御アナログ信号、所定信号またはバックアップ用信号に近づけるための制御デジタル信号を発生させる制御デジタル信号発生装置328をさらに備え、制御デジタル信号を制御対象装置2に出力するので、例えば、制御アナログ信号の値に対して開度信号が大きい場合には、開度信号を小さくするための制御デジタル信号を出力し、制御アナログ信号の値に対して開度信号が小さい場合には、開度信号を大きくするための制御デジタル信号を出力することができる。
【0048】
なお、上記実施の形態4では、状態検出信号として開度信号を例に説明したが、これに限らず、制御対象装置2の状態を検出する状態検出装置により検出された信号であればよい。
【0049】
また、上記実施の形態4では、切換回路304の入力端子に、制御アナログ信号、所定信号およびバックアップ用信号が入力される構成について説明したが、これに限らず、例えば、制御アナログ信号のみ、制御アナログ信号および所定信号、または、制御アナログ信号およびバックアップ用信号が入力される構成であってもよい。
【0050】
また、各上記実施の形態では、表示装置として、LEDを例に説明したが、これに限らず、制御アナログ信号異常検出装置302が制御アナログ信号の異常を検出した場合に、制御アナログ信号に異常が発生したことを表示する部材であればよい。
【符号の説明】
【0051】
1 アナログ信号出力装置、2 制御対象装置、3 バックアップ装置、301 制御アナログ信号入力端子、302 制御アナログ信号異常検出装置、303 所定信号発生装置、304 切換回路(第1の切換回路)、305 制御アナログ信号出力端子、306 LED(表示装置)、307 ステータス信号出力端子、308 下限基準信号発生装置、309 コンパレータ、310 上限基準信号発生装置、311 コンパレータ、312 オア回路、313 切換信号入力端子、314 切換スイッチ、315 オア回路、316 バックアップ用信号入力端子、317 切換回路(第2の切換回路)、318 切換信号入力端子、319 切換スイッチ、320 オア回路、321 開度信号入力端子、322 リレー回路、323 開度上昇信号出力端子、324 リレー回路、325 開度低下信号出力端子、326 コンパレータ、327 コンパレータ、328 制御デジタル信号発生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力され、入力された前記制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出装置と、
予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生装置と、
前記制御アナログ信号異常検出装置の検出結果に基づいて、前記制御アナログ信号と前記所定信号とを切り換えて出力する第1の切換回路と
を備え、
前記第1の切換回路から出力された前記制御アナログ信号または前記所定信号を前記制御対象装置に出力することを特徴とするバックアップ装置。
【請求項2】
前記第1の切換回路は、前記制御アナログ信号異常検出装置に入力された前記制御アナログ信号の値が予め設定された下限値よりも小さい場合に、前記所定信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のバックアップ装置。
【請求項3】
前記第1の切換回路は、前記制御アナログ信号異常検出装置に入力された前記制御アナログ信号の値が予め設定された上限値よりも大きい場合に、前記所定信号を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバックアップ装置。
【請求項4】
前記制御アナログ信号異常検出装置が前記制御アナログ信号の異常を検出した場合に、前記第1の切換回路が前記所定信号を出力することを示すステータス信号を外部に出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のバックアップ装置。
【請求項5】
前記制御アナログ信号異常検出装置が前記制御アナログ信号の異常を検出した場合に、前記制御アナログ信号に異常が発生したことを表示する表示装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のバックアップ装置。
【請求項6】
前記第1の切換回路は、前記第1の切換回路の切換動作を行うための切換信号が外部から入力されることにより、前記制御アナログ信号から前記所定信号に切り換えて出力することを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のバックアップ装置。
【請求項7】
操作されることにより前記切換信号を発生させて、前記切換信号を前記第1の切換回路に入力する切換スイッチをさらに備え、
前記第1の切換回路は、前記切換スイッチから前記切換信号が入力されることにより、前記制御アナログ信号から前記所定信号に切り換えて出力することを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のバックアップ装置。
【請求項8】
外部から前記制御対象装置の制御に用いられるバックアップ用信号が入力され、前記所定信号と前記バックアップ用信号とを切り換えて前記第1の切換回路に出力する第2の切換回路をさらに備え、
前記第1の切換回路は、前記第2の切換回路から入力された前記所定信号または前記バックアップ用信号を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のバックアップ装置。
【請求項9】
前記制御対象装置の状態を検出する状態検出装置の状態検出信号が入力され、入力された前記状態検出信号と前記第1の切換回路から出力された前記制御アナログ信号または前記所定信号との値を比較し、比較結果に基づいて、前記制御対象装置の制御に用いられ前記状態検出信号を前記制御アナログ信号または前記所定信号に近づけるための制御デジタル信号を発生させる制御デジタル信号発生装置をさらに備え、
前記制御デジタル信号を前記制御対象装置に出力することを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のバックアップ装置。
【請求項10】
制御対象装置の制御に用いられる制御アナログ信号が入力される制御アナログ信号入力工程と、
前記制御アナログ信号入力工程で入力された前記制御アナログ信号の異常を検出する制御アナログ信号異常検出工程と、
予め設定された所定信号を発生させる所定信号発生工程と、
前記制御アナログ信号異常検出工程の検出結果に基づいて、前記制御アナログ信号と前記所定信号とを切り換えて前記制御対象装置に出力する切換工程と
を備えたことを特徴とするバックアップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101458(P2013−101458A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244299(P2011−244299)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】