説明

バックホー用草刈アタッチメント

【課題】
バックホーに装着されて、ハンマーナイフの利用により、堤防法面等に生えている草木類を高能率で刈取可能にすると共に、刈取直後の刈草を圧縮状態で収容可能な草刈アタッチメントの提供である。
【解決手段】
バックホーに装着される草刈アタッチメントAであって、上面にブーム取付用ブラケット28を備えたケーシングK内にハンマーナイフカッターCが回転可能に収容された草刈ユニットUと、前記ハンマーナイフカッターCにより叩き切られて後方に放てきされた刈草G’の収容と、当該刈草G’の排出との双方を可能とすべく、前記ケーシングKの後端部に開閉可能にヒンジ連結された刈草収容バケットBと、前記ハンマーナイフカッターCと前記刈草収容バケットBの刈草収容空間Vとを部分的に分離させるセパレータJとを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホーの先端ブームに装着して使用されて、河川堤防の法面等の草地に生えている大型雑草、小木等の草木類をハンマーナイフの高速回転により叩き切って細断すると共に、細断された刈草をそのまま回収して搬出可能にしたバックホー用草刈アタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、河川の堤防の法面に生えている大型雑草、小木等の草木類の刈取りは、ハンマーナイフを高速回転させて自走する専用の草刈機により行っているが、当該法面の傾斜が大きい場合には、草刈機の転倒の危険があるために、草刈機による急傾斜の法面の草刈作業は行えない。また、法面の傾斜自体は、草刈機が走行可能な範囲であっても、大きな立木、橋梁等の草刈機の走行の障害となる草刈障害物が存在している部分では、草刈機は、方向転換して作業を行わざるを得ないので、当該草刈障害物の近辺の草木類の刈取りは、手持ち式の草刈機又は手作業によらざるを得ず、法面の大型雑草、小木等の刈取りを、手持ち式の草刈機又は手作業で行うことは、過酷な作業であった。なお、専用の草刈機、及び手持ち式の草刈機による堤防法面の草刈作業では、いずれも刈草はそのまま放置されるために、刈草の回収作業が不可欠であり、法面における刈草の回収作業は、困難を伴うものであった。
【0003】
上記の場合において、バックホーの先端ブームに草刈アタッチメントを装着して、堤防法面等の草地の草刈りを行うと、人手による場合に比較して、威力が発揮される。このような草刈アタッチメントとしては、特許文献1に開示のものが知られている。しかし、特許文献1に開示の草刈アタッチメントは、草刈刃がバリカン型であるために、小木であっても、その太さが一定以上であると切断が難しく、しかも作業能率も低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−41421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バックホーの先端ブームに装着する草刈アタッチメントとして、強力な叩き切り作用を有するハンマーナイフの利用により、堤防法面等の草地に生えている草木類を高能率で刈取可能にすると共に、刈取直後の刈草を圧縮状態で収容可能にして、大量の刈草をそのまま収容して搬出可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、バックホーの先端ブームのアタッチメント装着部に装着されて、草地の大型雑草、小木等の草木類を刈り取るための草刈アタッチメントであって、回転軸の軸方向及び周方向の双方に沿って所定間隔をおいて多数のハンマーナイフを半径方向に取付けたハンマーナイフカッターが、上面にブーム取付用ブラケットを備えたケーシング内に回転可能に収容された草刈ユニットと、前記ハンマーナイフカッターにより叩き切られて後方に放てきされた刈草の収容と、当該刈草の排出との双方を可能とすべく、前記ケーシングの後端部に開閉可能にヒンジ連結された刈草収容バケットと、前記ケーシング内に収容されたハンマーナイフカッターと前記刈草収容バケットの刈草収容空間とを部分的に分離させるべく、前記ケーシングの下方開口に近い部分に一体に設けられるセパレータとを備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、バックホーの各ブームの操作により、当該バックホーの先端ブームに装着された草刈アタッチメントを目的の草地に沿って移動させると、油圧モータによりアッパーカット状態で高速回転されているハンマーナイフカッターの各ハンマーナイフにより、草木類は叩き切られて細断された後に、当該ハンマーナイフカッターの高速回転による遠心力により、刈草は、草刈ユニットの上板部との間の刈草通路を通って、後方の刈草収容バケットに放てきされて収容される。刈草収容バケット内に収容された刈草は、その底部奥側の部分から順次圧縮状態で堆積されることにより、収容量が増大する。しかも、ケーシング内に収容されたハンマーナイフカッターと前記刈草収容バケットの刈草収容空間とを部分的に分離させるべく、前記ケーシングの下方開口に近い部分に一体に設けられるセパレータが存在しているために、刈草収容バケットに収容される刈草塊とハンマーナイフカッターとの分離が確保される。このように、刈草収容バケットに対して刈草は、その底部奥側の部分から順次圧縮されて堆積されるため、換言すると、刈草収容バケットに圧縮状態で収容された刈草塊と、ハンマーナイフカッターの背面側との間には、常に所定の隙間が確保されるため、当該刈草収容バケット内の刈草により、ハンマーナイフカッターの高速回転が阻害されることはなく、草地の草木類がハンマーナイフカッターにより小片状に破砕切断された後に、後方の刈草収容バケットにスムーズに収容される。このため、刈草の収容作業が不要となる。
【0008】
また、バックホーの各ブームを操作することにより、先端ブームの先端に装着された草刈アタッチメントを目的の草地に配置して草刈作業を行えるので、自走式の大型の草刈機による作業ができない部分の草刈も自在に行える。
【0009】
そして、刈草収容バケット内に刈草が最大に収容された状態で、草刈作業を継続すると、以後の刈草は、前記刈草収容バケットに収容不能となって、前記セパレータとハンマーナイフカッターとの間の隙間から、刈草が連続して排出されて、草地の刈取済面に残るので、刈草収容バケットに対する刈草の収容は限界に達したことが視覚的に分かる。その後に、ハンマーナイフカッターの回転を停止させて、バックホーの各ブームの操作により、先端ブームの先端に装着された草刈アタッチメントを排出位置まで移動させて、油圧シリンダにより刈草収容バケットを上方に回動させて開くと、当該バケット内に塊状となって収容されていた刈草塊は、そのまま落下排出される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ケーシングには、草刈アタッチメントの移動方向、及びこれに直交する方向の双方に対する移動を円滑にするためのそり板が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、草刈アタッチメントが本来の移動方向、及びこれと直交する方向のいずれに沿って移動させる場合でも、当該両方向に対応するそり板がケーシングに設けられているので、両方向の移動が円滑となって、草刈アタッチメントに不必要な力を作用させない。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記刈草収容バケットは、略半円筒体部における草刈時で下方となる端部に平板部が草刈ユニットの側に延設された本体部と、当該本体部の両側開口を閉塞する一対の側板部とから成ることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、本体部が略半円筒体部を有しているために、放てきされた刈草は、本体部の半円弧状の部分の内周面にスムーズに案内されて、底部から順次堆積されて収容されると共に、草刈状態において、刈草収容バケットの底部には、平板部が設けられるために、刈草の収容量が増大する。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記刈草収容バケットの本体部を構成する略半円筒体部の形状は、楕円筒体部を短軸部で二分した一方であることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、ハンマーナイフカッターから後方に放てきされた刈草を、刈草収容バケットの本体部の横断面形状である楕円弧面の内周に沿わせることにより、刈草をスムーズに収容できるのに加えて、刈草収容バケットの本体部は、長軸部が水平方向に配置された形状であるために、刈草収容バケットの収容量が増大する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バックホーの各ブームの操作により、先端ブームの先端に装着された草刈アタッチメントを目的の草地に配置して草刈作業を行えるので、自走式の大型の草刈機による作業ができない草地であっても、ハンマーナイフカッターの高速回転により草木類が叩き切られて細断された後に、そのまま後方の刈草収容バケットに放てきされて、圧縮状態で塊状となって収容されるために、刈草の回収作業が不要となる。また、刈草収容バケットに刈草が最大に収容された場合には、セパレータの直前の部分から刈草が連続してケーシング外に排出されて、草地の刈取済面に残るために、前記バケットの最大収容状態が視認できる。刈草収容バケット内の刈草の排出は、バックホーの各ブームの操作により、草刈アタッチメントを所定の排出場所まで移動させて、当該排出場所において、刈草収容バケットを上方に回動させて開くと、刈草塊は、自重によりその位置に落下されるため、刈草の排出作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る草刈アタッチメントAを先端ブーム36の先端に装着したバックホーHの側面図である。
【図2】本発明に係る草刈アタッチメントAを斜下方から見た斜視図である。
【図3】同じく斜上方から見た斜視図である。
【図4】同じく側面断面図である。
【図5】同じくハンマーナイフカッターCの回転軸Rの部分の断面図である。
【図6】バックホーHを堤防の法面よりも高い位置に配置させて、当該法面の草木類Gを刈り取っている状態の側面図である。
【図7】バックホーHを法面よりも低い位置に配置させて、当該法面の草木類Gを刈り取っている状態の側面図である。
【図8】草刈アタッチメントAの刈草収容バケットBに収容された刈草G’を排出させている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1ないし図5を参照して、本発明の実施例である草刈アタッチメントAについて説明する。図1は、本発明に係る草刈アタッチメントAを先端ブーム36の先端に装着したバックホーHの側面図であり、図2は、本発明に係る草刈アタッチメントAを斜下方から見た斜視図であり、図3は、同じく斜上方から見た斜視図であり、図4は、同じく側面断面図であり、図5は、同じくハンマーナイフカッターCの回転軸Rの部分の断面図である。草刈アタッチメントAは、バックホーHの先端ブーム36の先端のアタッチメント装着部43に着脱可能に装着されて、ハンマーナイフカッターCを備えた草刈ユニットUと、当該草刈ユニットUの後部に開閉可能に連結される刈草収容バケットBとから成る。草刈ユニットUは、図2ないし図5に示されるように、ケーシングKを構成する左右一対の側板部1の間にハンマーナイフカッターCが配設された構成である。当該ハンマーナイフカッターCを構成する回転軸2は、前記各側板部1に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持され 前記回転軸2に多数のハンマーナイフNが周方向及び軸方向の双方に沿って所定の間隔をおいて一体に取付けられている。即ち、実施例では、回転軸2の軸方向に沿って所定間隔をおいて1列状に配置された計4列の各ハンマーナイフ列が周方向に等間隔をおき、しかも各ハンマーナイフ列においては、軸方向に僅かにずれてハンマーナイフNが配置されることにより、回転軸2の1回転により軸方向の全幅に亘って草刈が可能になっている。ハンマーナイフNは、回転軸2の半径方向に沿って固着されたナイフ取付板3の先端部に連結ピン4を介して正面視でY字形をしたY字形ナイフ5の基端部が連結された構成であって、回転軸2が高速回転している状態で、ナイフ取付板3に対してY字形ナイフ5が自在に回動することにより、草木類を衝撃力により叩き切って刈り取る構成である。なお、ハンマーナイフ列の数は、「4」に限定されるものではなくて、「3」又は「5」の型も存在する。
【0019】
ケーシングKは、上板部6の両側に一対の側板部1が一体に設けられることにより、前後の各面及び底面が開口されて、各側板部1は、刈取直前の草木類を倒してケーシングK内に入り込み易くするために、高さ方向の中央部の一つの頂点部となって最先端に配置された三角形状になっている。一対の側板部1は、後下端部が後補強ロッド7を介して連結されて、全体の剛性が高められている。図5に示されるように、一方の側板部1には、油圧モータ取付板部8が上方に向けて一体に延設されて、当該油圧モータ取付板部8の内面に油圧モータMが、そのモータ軸9を前記回転軸2と平行にして一体に取付けられている。前記回転軸2の側板部1から突出した部分に取付けられた下溝プーリ11と、前記油圧モータMのモータ軸9に取付けられた上溝プーリ12との間には、複数のベルト13が掛装され、油圧モータMの駆動力によりハンマーナイフカッターCの回転軸2が高速(約3,000rpm)で駆動回転される。
【0020】
また、ケーシングKの各側板部1の外側面には、前後一対の各ブラケット14及び取付ロッド15を介して草地面を草刈アタッチメントAの移動方向に沿ってスライド可能なそり板16が取付けられている。ハンマーナイフカッターCに対する左右一対のそり板16の高さ方向の位置は、当該そり板16が草地面に接して草刈アタッチメントAが移動した状態で、草木類の刈高が最小となるように定めてある。各そり板16は、長手方向の両端がそれぞれ斜上方にわん曲されていると共に、長手方向の両端部を除く部分には、幅方向に沿ってバックホーHの側に向けて補助そり板16aが一体に設けられている。そり板16は、草刈アタッチメントAの本来の移動方向に沿った移動を円滑にすると共に、補助そり板16aは、バックホーHの操作において、草刈アタッチメントAを本来の移動方向と直交する幅方向に移動させて、当該バックホーHの側に近付けることが多く、この場合の移動を円滑にさせて、前記そり板16の損壊を防止するためである。なお、補助そり板16aは、そり板16の幅方向の両側に設けることも可能である。また、図3及び図4に示されるように、ケーシングKの上板部6の前端の部分は、ハンマーナイフカッターCとの間でほぼ同一幅の刈草通路17を形成すべく、下方にわん曲されており、更に当該わん曲板部6aの先端には、先端が低くなるような傾斜板部6bが設けられて、当該傾斜板部6bの先端は、垂直に折り曲げられてチェーン吊下板部6cとなっていて、当該チェーン吊下板部6cに、草刈時にケーシングK内の石類が外部に飛散するのを防止する多数のチェーン18が吊り下げられている。なお、図2及び図4において、19は、ケーシングKの左右一対の側板部1の前部を補強する前補強ロッドを示す。
【0021】
また、図4に示されるように、ケーシングKの各側板部1の後下端部を連結する後補強ロッド7には、ハンマーナイフカッターCのハンマーナイフNの回転軌跡円Tとの間に所定間隔(10mm程度)をおいて、当該ハンマーナイフカッターCの回転軸心C0 を中心とする円弧板状のセパレータJが一体に取付けられている。セパレータJは、当該バケットBの刈草収容空間Vの略下半部とハンマーナイフカッターCとを分離させて、前記刈草収容空間Vの略下半部に対する刈草G’の収容を確実とさせる部材である。セパレータJの上端位置は、ハンマーナイフカッターCの回転軸心C0 の位置を超えないことが必要であって、当該回転軸心C0 よりも僅かに低いことが望ましい。
【0022】
また、図3及び図4に示されるように、ケーシングKの上板部6の前後方向の中央部には、補強板部27により補強されて、当該補強板部27に、一対のブーム取付用ブラケット28が草刈アタッチメントAの前後方向に沿って所定間隔をおいてその幅方向に一体に取付けられている。なお、図2、図3及び図4において、10は、上下の溝プーリ11,12と複数本のベルト13とから成るベルト伝動装置を覆うカバーを示す。
【0023】
また、図2ないし図4に示されるように、ケーシングKの上板部6の後端部には、刈草収容バケットBが開閉可能(回動可能)に連結されている。刈草収容バケットBは、略半円筒体部における使用状態で下端となる部分が前方の草刈ユニットUの側に平板状となって延設された本体部21の両側に側板部22が一体に設けられて、草刈ユニットUと対向する前面のみが開口された形状であって、本体部21の上端部が連結バー23を介して草刈ユニットUの上板部6の後端部に開閉可能(回動可能)に連結された構成である。草刈時には、図4に示されるように、刈草収容バケットBの本体部21の下側の平板部21aの先端は、草刈ユニットUのケーシングKの後下端部の後補強ロッド7の背面に当接すると共に、左右一対の側板部22の前端部が、いずれもケーシングKの各側板部1の内側に部分的に入り込む構成になっている。また、ケーシングKの幅方向の中央部には、刈草収容バケットBを開閉駆動するバケット開閉用油圧シリンダS0 が前後方向に配置されて、そのロッド24の先端部は、刈草収容バケットBの本体部21の幅方向の中央部に設けられたブラケット25に連結され、当該油圧シリンダS0 のロッド25の出入りにより、刈草収容バケットBは、ケーシングKに対して連結バー23を支点に回動することにより開閉する(図4及び図8参照)。
【0024】
次に、図1及び図2を参照にして、バックホーHの概略構成について説明する。左右一対のゴムクローラ31の上部に旋回可能な運転台32が設けられ、当該運転台32の前部のブラケット33に連結軸34を介して「く」の字形に折れ曲がった基端ブーム35が支承され、この基端ブーム35は、基端部が前記ブラケット33に連結された第1油圧シリンダS1 の作用によって前記連結軸34を中心にして垂直面内で回動して、運転台32に対して前後動を行う。先端ブーム36は、基端ブーム35の先端部に連結軸37を介して連結されて、基端部が基端ブーム35に連結された第2油圧シリンダS2 の作用により、基端ブーム35に対して垂直面内で回動する。先端ブーム36の先端部には、一対の第1アーム38が連結されて、当該一対の第1アーム38の先端部に一対の第2アーム39が連結され、第1及び第2の各アーム38,39を連結する連結軸41には、基端部が先端ブーム36に連結された第3油圧シリンダS3 のロッド42が連結されている。先端ブーム36の先端のアタッチメント装着部43と第2アーム39の先端部とは、草刈アタッチメントAのブーム取付用ブラケット28に連結ピン44,45を介して連結されている。
【0025】
なお、草刈アタッチメントAの油圧モータM及びバケット開閉用油圧シリンダS0 は、いずれもバックホーHに搭載の油圧ポンプから供給される圧油により駆動され、バックホーHの先端ブーム36に草刈アタッチメントAを装着する際に、バックホーHの側と草刈アタッチメントAの側との各油圧ホースの連結を行う。
【0026】
そして、図6に示されるように、堤防の法面51よりも高い位置にバックホーHを配置して、当該法面51に生えている草木類Gを草刈アタッチメントAにより刈り取るには、以下のようにして行う。即ち、バックホーHの運転台32に乗り込んだ運転者により、基端ブーム35、先端ブーム36及び第1アーム38を操作して、草刈アタッチメントAの幅方向(ハンマーナイフカッターCの軸心方向)に沿った傾斜を前記法面51の傾斜に合致させ、この状態で、バックホーHを法面51の等高線方向に移動させて、草刈アタッチメントAを法面51の等高線方向P(図6で紙面に垂直な方向)に移動させる。
【0027】
これにより、図4に示されるように、法面51の草木類GのうちケーシングKよりも背丈の高い草木類Gは、当該ケーシングKの先端部により前方に倒された後に、ケーシングK内に入り込んで、高速回転するハンマーナイフカッターCの各ハンマーナイフNの衝撃力により叩かれて切断されると共に、ハンマーナイフカッターCの高速回転による遠心力により、切断された刈草G’は、ケーシングK内の刈草通路17を通って、後方の刈草収容バケットBの刈草収容空間Vに放てきされて収容される。刈草収容バケットB内においては、放てきされた刈草G’は、半円筒体状をした本体部21の内周に沿って下方に落下して、刈草収容空間Vの底部から順次堆積される。刈草収容バケットBの刈草収容空間VとハンマーナイフカッターCとの間は、セパレータJにより分離されているので、ハンマーナイフカッターCの叩き切り作用を阻害することなく、刈草収容バケットBの刈草収容空間Vに刈草G’が順次収容される。しかも、刈草G’は、高速度で刈草収容バケットBの刈草収容空間Vに放てきされるために、圧縮状態で収容されるので、刈草G’の実質的な収容量が増大する。
【0028】
そして、刈草収容バケットB内に刈草G’が一杯に収容されて収容不能となると、収容しきれない刈草G’は、セパレータJとハンマーナイフカッターCの回転軌跡円Tとの間の隙間29を通って下方に連続してケーシングKの外側に排出されて刈取済面に残るので、運転者は、上記の状態が視覚的に分かる。
【0029】
また、図7は、法面52よりも低い位置にバックホーHを配置して、運転台32を旋回させることにより、運転台32を中心にして、草刈アタッチメントAを当該法面52に沿って円弧状に移動させながら、当該法面52の草刈作業を行う例である。
【0030】
そして、刈草収容バケットBの刈草収容空間Vに刈草G’が一杯に収容されたことが目視で分かった時点で、ハンマーナイフカッターCの回転を停止させる。その後に、各ブーム35,36及び第1アーム38を操作して、図8に示されるように、刈草収容バケットBを排出場所(例えば、トラック53の荷台54)の直上まで移動させて、バケット開閉用油圧シリンダS0 により刈草収容バケットBを上方に回動させて、その開口を直下に向けると、当該刈草収容バケットBの刈草収容空間V内にその立体形状に倣って圧縮状態で収容されていた刈草塊G”は、塊状を保持したまま直下に落下して排出される。このため、刈草G’の排出時に、当該刈草G’の飛散が無くなって、刈草G’の排出に係る取り扱いが容易となる。
【0031】
このように、本発明の実施例の草刈アタッチメントAによれば、草刈ユニットUのハンマーナイフカッターCにより、河川堤防等の法面に生えている草木類Gを叩き切って細断した後に、その刈草G’は、当該草刈ユニットUの後方に連結された刈草収容バケットB内にそのまま収容され、しかも当該バケットB内で刈草G’が一杯になった場合には、各ブーム35,36及び第1アーム38の操作により、草刈アタッチメントAを排出場所の直上まで移動させて、刈草収容バケットB内の刈草塊G”を塊状のままで排出させられる。従って、草地の刈取済面に散在する刈草G’の回収作業が不要になるのに加えて、塊状のままで刈草G’を排出させられるので、排出時における刈草G’の取り扱いも容易である。
【0032】
また、刈草収容バケットBの刈草収容空間Vの容積を増大させるために、その本体部を、楕円筒体部の短軸部で二分した一方の半楕円筒体部における草刈時で下端となる部分に草刈ユニットの側に向けて平板部を延設させた形状にすると、前記刈草収容空間Vが「奥深い」形状となって、刈草の最大収容量が増す。
【0033】
また、バックホーの先端ブームの先端部に装着される本発明に係る草刈アタッチメントは、河川堤防等の法面における自走式の草刈機が入り込めない部分での草刈に対して最も適しているが、一般の法面、及び平地状の草地における草刈も可能である。
【符号の説明】
【0034】
A:草刈アタッチメント
B:刈草収容バケット
C:ハンマーナイフカッター
G:草木類
G’:刈草
G”:刈草塊
H:バックホー
J:セパレータ
K:ケーシング
M:油圧モータ
0 :バケット開閉用油圧シリンダ
V:刈草収容空間
2:回転軸
16:そり板
16a:補助そり板
21:刈草収容バケットの本体部
22:刈草収容バケットの側板部
23:刈草収容バケットの連結バー
28:ブーム取付用ブラケット
36:バックホーの先端ブーム
43:アタッチメント装着部
51,52:法面(草地)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホーの先端ブームのアタッチメント装着部に装着されて、草地の大型雑草、小木等の草木類を刈り取るための草刈アタッチメントであって、
回転軸の軸方向及び周方向の双方に沿って所定間隔をおいて多数のハンマーナイフを半径方向に取付けたハンマーナイフカッターが、上面にブーム取付用ブラケットを備えたケーシング内に回転可能に収容された草刈ユニットと、
前記ハンマーナイフカッターにより叩き切られて後方に放てきされた刈草の収容と、当該刈草の排出との双方を可能とすべく、前記ケーシングの後端部に開閉可能にヒンジ連結された刈草収容バケットと、
前記ケーシング内に収容されたハンマーナイフカッターと前記刈草収容バケットの刈草収容空間とを部分的に分離させるべく、前記ケーシングの下方開口に近い部分に一体に設けられるセパレータと、
を備えていることを特徴とするバックホー用草刈アタッチメント。
【請求項2】
前記ケーシングには、草刈アタッチメントの移動方向、及びこれに直交する方向の双方に対する移動を円滑にするためのそり板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバックホー用草刈アタッチメント。
【請求項3】
前記刈草収容バケットは、略半円筒体部における草刈時で下方となる端部に平板部が草刈ユニットの側に延設された本体部と、当該本体部の両側開口を閉塞する一対の側板部とから成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックホー用草刈アタッチメント。
【請求項4】
前記刈草収容バケットの本体部を構成する略半円筒体部の形状は、楕円筒体部を短軸部で二分した一方であることを特徴とする請求項3に記載のバックホー用草刈アタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152119(P2012−152119A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12511(P2011−12511)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(592258177)
【Fターム(参考)】