説明

バックライト装置

【課題】レーザ光源を用いた場合であっても、スペックルノイズを低減することができるバックライト装置の提供。
【解決手段】複数のレーザ光源111a〜111dにそれぞれ対応して設けられ、対応するレーザ光源から出射されたレーザ光を、一端から内部に入射し、側面から外部に出射させる複数の線状の導光体112a〜112dと、複数の導光体112a〜112dから出射されたレーザ光を散乱拡散させる拡散板113a〜113cと、拡散板113a〜113cと対向配置され、複数の導光体112a〜112dから出射されたレーザ光のうち拡散板113a〜113cに向かわないレーザ光を拡散板113a〜113cに向かう方向に反射させる反射板114と、任意の発光時点において複数のレーザ光源111a〜111dの少なくともいずれか1つの発光強度が変化するように、複数のレーザ光源111a〜111dを発光駆動させる光源駆動部120とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源を有するバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の微細な光半導体製造技術の進展により、半導体レーザの性能が向上したため、半導体レーザを高効率な光源としてディスプレイ装置(特にバックライト装置)へ応用することが可能となってきた。
【0003】
例えば、レーザ光を液晶ディスプレイ装置の光源として利用した場合、電気から光への変換効率が高いため、省電力の液晶ディスプレイ装置を実現することができ、また、レーザ光源が発生する光のスペクトルの純度が高いため、色鮮やかな画像を得ることができる。
【0004】
レーザ光源には、このようにディスプレイ装置の光源として優れた特徴がある一方で、スペックルノイズと呼ばれる画質劣化の要因となる現象が起こるという問題がある。スペックルノイズは、レーザ光のコヒーレンシが高いために起こる現象であって、レーザ光源から出射されたレーザ光同士が干渉を起こすことによってディスプレイ装置の画面に現れる細かいランダムな濃淡の干渉パターンである。すなわち、この干渉パターンがディスプレイ装置に表示された画像のノイズとして認識されたものが、スペックルノイズである。
【0005】
したがって、レーザ光をディスプレイ装置の光源として利用するためには、このスペックルノイズを低減するために、レーザ光のコヒーレンシを下げる対策が必要である。
【0006】
ところで、一般に、液晶ディスプレイ装置には、動画像を表示する際に、フレーム周期の間に同じ画像が画面に表示され続けるため、画像がぼけたように認識される、つまり、いわゆる動画ボケが生じるという問題がある。
【0007】
そこで、この動画ボケの発生を抑えるため、映像信号に同期して液晶バックライト装置を点滅させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
図3は、このような従来の液晶バックライト装置の構成の一例を示す概略図である。
【0009】
この液晶バックライト装置1は、LED(light Emitting Diode)2a、2b、2cと、光出射ブロック3と、光出射ブロック3を区切る側面反射板4と、駆動制御部5と、点光源ドライバ6と、光ファイバ7と、光センサ8とで構成されている。
【0010】
駆動制御部5は、映像信号に同期して、LED2a〜2cを光出射ブロック3の単位で点滅させるための指令を点光源ドライバ6に送る。LED2a〜2cは、パルス波で駆動され、側面反射板4で区切られた光出射ブロック3を照らす。これにより、液晶バックライト装置1は、光出射ブロック3の単位で点滅を繰り返し、もって動画ボケが低減される。
【0011】
それぞれの光出射ブロック3において、光の一部は、光ファイバ7を通じて光センサ8に導かれ、それぞれの明るさが検出される。駆動制御部5は、各光出射ブロック3の明るさが所定の明るさになるように、LED2a〜2cへの駆動電流を調節する指令を点光源ドライバ6に送る。
【0012】
図4は、各光出射ブロック3のLED2a〜2cへの駆動電流の時間変化の一例を示す図である。図3の例では、8つの光出射ブロック3が存在するため、ここでは、これに対応して、8つの光出射ブロック3のLED2a〜2cへの駆動電流が示されている。図4のタイムチャートによれば、点灯する光出射ブロック3の組み合わせは、時間とともに変化するが、その組み合わせはあらかじめ決まっている。そのため、たとえ図3に示す構成のように光センサ8に導かれる各光出射ブロック3の明るさが光ファイバ7によって合計されていたとしても、連立方程式を解くことによって特定の光出射ブロック3の明るさを求めることができる。
【特許文献1】特開2006−40764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、単にLED光源に代えてレーザ光源を使用した場合、スペックルノイズが発生しやすいという問題がある。
【0014】
すなわち、上記のように、レーザ光をディスプレイ装置の光源として利用しようとした場合、スペックルノイズを低減する必要がある。スペックルノイズは、同じ干渉パターンが一定時間以上保持されると、ディスプレイ装置に表示された画像を観察する際に、認識されやすくなる。この点、上記の従来技術においては、光源をパルス波で駆動するため、LED光源をレーザ光源に置き換えた場合、スペックルノイズの原因となる干渉パターンを生成するレーザ光同士の強度(発光量)は、時間的に変化せず、ほぼ一定である。具体的には、図4に示すように、光源の駆動電流はパルス波であるため、重複するタイミングにおいて光源の駆動電流の大きさは互いに一定(同一)であり、時間的に変化しない。したがって、上記の従来技術においてLED光源をレーザ光源に置き換えた場合、同じ干渉パターンが一定時間以上保持されることになるため、ディスプレイ装置に表示された画像を観察する際に、スペックルノイズが認識されやすくなる。
【0015】
なお、図3に示す構成では、LED光源を駆動する電流の組み合わせは、図4に示すように8つの光出射ブロックを持つ場合でも8通りある。しかし、いずれの場合においても、レーザ光源を使用すると、上記のように、干渉パターンが固定された期間が生じるため、結果としてスペックルノイズが目に付きやすくなる。
【0016】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、レーザ光源を用いた場合であっても、スペックルノイズを低減することができるバックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のバックライト装置は、レーザ光を出射する複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源にそれぞれ対応して設けられ、対応するレーザ光源から出射されたレーザ光を、一端から内部に入射し、側面から外部に出射させる複数の線状の導光体と、前記複数の導光体から出射されたレーザ光を散乱拡散させる拡散板と、前記拡散板と対向配置され、前記複数の導光体から出射されたレーザ光のうち前記拡散板に向かわないレーザ光を前記拡散板に向かう方向に反射させる反射板と、任意の発光時点において前記複数のレーザ光源の少なくともいずれか1つの発光強度が変化するように、前記複数のレーザ光源を発光駆動させる駆動手段と、を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レーザ光源を用いた場合であっても、スペックルノイズを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係るバックライト装置を有するディスプレイ装置の概略構成を示す要部分解斜視図である。
【0021】
図1に示すディスプレイ装置100は、大別して、バックライト装置110と、このバックライト装置110によって照明される光変調部130とで構成されている。光変調部130としては、例えば、液晶パネルを用いることができる。
【0022】
バックライト装置110は、レーザ光を出射する複数(ここでは、例えば、4つ)のレーザ光源111a、111b、111c、111dと、このレーザ光源111a〜111dにそれぞれ対応して設けられ、対応するレーザ光源111a〜111dから出射されたレーザ光を、一端から内部に入射し、側面から外部に出射させる複数(ここでは、例えば、4つ)の線状の導光体112a、112b、112c、112dとを有する。また、バックライト装置110は、この導光体112a〜112dから出射されたレーザ光を散乱拡散させる拡散板113a、113b、113cと、この拡散板113a〜113cと対向配置され、上記複数の導光体112a〜112dから出射されたレーザ光のうち拡散板113a〜113cに向かわないレーザ光を拡散板113a〜113cに向かう方向に反射させる反射板114とを有する。また、拡散板113a〜113cと反射板114とで囲まれた空間には、この空間の明るさ、つまり、上記複数の導光体112a〜112dから出射されたレーザ光の光量を検出する光センサ115が配設されている。
【0023】
また、バックライト装置110は、上記複数のレーザ光源111a〜111dを所定の発光パターンで発光駆動させる光源駆動部120を有する。光源駆動部120は、光量指令値発生回路121、補正回路122、およびレーザ駆動回路123を有する。本実施の形態では、レーザ光源の個数(4つ)に対応して複数(4つ)組の光量指令値発生回路121、補正回路122、およびレーザ駆動回路123が設けられている。すなわち、各レーザ光源111a〜111dに対して、1組の光量指令値発生回路121、補正回路122、およびレーザ駆動回路123がそれぞれ設けられている。具体的には、レーザ光源111aを発光駆動するために1組の光量指令値発生回路121a、補正回路122a、およびレーザ駆動回路123aが設けられ、レーザ光源111bを発光駆動するために1組の光量指令値発生回路121b、補正回路122b、およびレーザ駆動回路123bが設けられ、レーザ光源111cを発光駆動するために1組の光量指令値発生回路121c、補正回路122c、およびレーザ駆動回路123cが設けられ、レーザ光源111dを発光駆動するために1組の光量指令値発生回路121d、補正回路122d、およびレーザ駆動回路123dが設けられている。さらに、各補正回路122a〜122dは、加算器124と乗算器125で構成されている。
【0024】
レーザ光源111a〜111dは、例えば、特定の色の半導体レーザでそれぞれ構成されている。レーザ光源111a〜111dは、導光体112a〜112dの内部に入射したレーザ光がこの導光体112a〜112dの内部を全反射しながら伝播しうるような角度に拡散・収束されたレーザ光を出射する。レーザ光源111a〜111dから出射されたレーザ光は、対応する導光体112a〜112dに入射される。なお、レーザ光源の個数は、もちろん、4つに限定されない。
【0025】
線状の導光体112a〜112dは、対応するレーザ光源111a〜111dから出射されたレーザ光を、一端から内部に入射し、側面から外部に出射させる。導光体112a〜112dの内部に入射したレーザ光は、全反射を繰り返しながら内部を伝播する。導光体112a〜112dには、全反射を利用して内部を伝播するレーザ光の進行方向を変えてレーザ光を外部に出射させるために、例えば、複数のプリズム部116が形成されている。一般に、プリズムは、内部での全反射を利用して光の進行方向を変える用途にも用いられる。そこで、本実施の形態では、このようなプリズムの機能を利用して、全反射を利用して導光体112a〜112dの内部を伝播するレーザ光の進行方向を、拡散板113a〜113cに向かう方向に変えるようにしている。このため、複数のプリズム部116は、例えば、導光体112a〜112dの反射板114側の側面に、長手方向に一定の間隔で形成されている。
【0026】
これにより、対応するレーザ光源111a〜111dから出射されたレーザ光は、導光体112a〜112dの一端からその内部に入射され、その内部を全反射を繰り返しながらレーザ光源111a〜111dと反対の方向に進行する。この間、プリズム部116に到達したレーザ光は、そのプリズム部116によって拡散板113a〜113cに向かう方向に反射され、導光体112a〜112dの外部に出射される(取り出される)。
【0027】
拡散板113a〜113cは、導光体112a〜112dから出射されたレーザ光を散乱拡散させる機能を有し、主に、広い面全体を均一な明るさにするために使用される。すなわち、導光体112a〜112dから出射され拡散板113a〜113cを透過したレーザ光は、強度むらが均一化される。なお、本実施の形態では、3つの拡散板113a〜113cを使用しているが、使用する拡散板の個数はこれに限定されない。拡散板は、通常、拡散度合いの異なる拡散板を必要に応じて複数重ねて使用される。
【0028】
反射板114は、例えば、箱形の形状を有し、導光体112a〜112dから出射されたレーザ光のうち、拡散板113a〜113cに向かわずにそれとは別の方向に進むレーザ光を、拡散板113a〜113cに向かう方向に反射させる。反射板114は、レーザ光を透過しない。
【0029】
このように、レーザ光を透過する拡散板113a〜113cとレーザ光を透過しない反射板114とを対向させると、拡散板113a〜113cの表面で反射されたレーザ光が、反射板114で再び拡散板113a〜113cに向かう方向に反射して多重反射を起こす。これにより、拡散板113a〜113cを透過して光変調部(例えば、液晶パネル)130に向かうレーザ光は、拡散板113a〜113cの全面にわたって均一化される。
【0030】
光源駆動部120は、上記のように、レーザ光源111a〜111dを所定の発光パターンで発光駆動させる。具体的には、光源駆動部120は、任意の発光時点において複数のレーザ光源111a〜111dの少なくともいずれか1つの発光強度が変化するように、複数のレーザ光源111a〜111dを発光駆動させる。より具体的には、光源駆動部120は、所定の発光パターンで複数のレーザ光源111a〜111dの少なくともいずれか1つの発光強度を変化させながら、映像信号のフレーム周期に同期して、複数のレーザ光源111a〜111dを順次発光させる。
【0031】
ここで、光量指令値発生回路121a〜121dは、対応する導光体112a〜112dが発光すべきレーザ光の光量(つまり、レーザ光源111a〜111dの発光強度)を決める指令値(光量の目標値)を、映像同期信号のタイミングに同期して発生する。光量指令値発生回路121a〜121dが発生する指令値は、対応する導光体112a〜112dから発光される光量のパターンが後述する所定の発光パターンになるように、あらかじめ設定されている。このとき、各光量指令値発生回路121a〜121dが発生する指令値は、各導光体112a〜112dと光センサ115との相対的な位置関係の違いに基づく、光センサ115の検出結果に対する各導光体112a〜112dの影響度の違いを考慮して、決められている。光量指令値発生回路121a〜121dが発生した指令値は、対応する補正回路122a〜122dに与えられる。
【0032】
補正回路122a〜122dは、光センサ115の検出結果に基づいて、対応する光量指令値発生回路121a〜121dからの指令値を補正する(フィードバック制御)。具体的には、補正回路122a〜122dは、対応する光量指令値発生回路121a〜121dからの指令値と、光センサ115の検出結果(拡散板113a〜113cと反射板114とで囲まれた空間の明るさ、つまり、導光体112a〜112dから出射されたレーザ光の光量)をそれぞれの指令値によって重み付けして得られた値とをそれぞれ比較して、差分を得る。このとき、指令値による光センサ115の検出結果の重み付けは、乗算器125によって行われ、また、指令値と重み付け結果との差分の算出は、加算器124によって行われる。この差分は、光量(明るさ)の目標値と検出値との差、つまり、誤差であり、補正回路122a〜122dの出力(制御信号)として、対応するレーザ駆動回路123a〜123dに与えられる。
【0033】
レーザ駆動回路123a〜123dは、対応する補正回路122a〜122dからの制御信号(差分)に応じて、対応するレーザ光源111a〜111dを駆動する。これにより、レーザ光源111a〜111dの発光強度、つまり、導光体112a〜112dから出射されたレーザ光の光量は、目標値(所定の発光パターン)に制御される。
【0034】
なお、このとき、例えば、指令値が0の場合、レーザ駆動回路123a〜123dに与えられる差分は、0となる。差分が0の場合、レーザ駆動回路123a〜123dは動作せず、レーザ光源111a〜111dからレーザ光は出射されない。
【0035】
また、レーザ光源111a〜111dのいずれかまたはすべてが経時劣化した場合、光センサ115によって検出されるレーザ光の明るさが減少するため、算出される差分の値は大きくなる。この結果、レーザ駆動回路123a〜123dは、それぞれレーザ光源111a〜111dの発光強度を増大させる。これにより、レーザ光源111a〜111dのいずれかまたはすべてが経時劣化した場合であっても、ばらつきが抑えられて、目標の発光強度(発光量)が維持され、バックライト装置110の光量の低下を防止することができる。
【0036】
また、光センサ115が検出する明るさに対する各導光体112a〜112dの影響度は、光センサ115と各導光体112a〜112dとの相対的な位置関係が異なるため、それぞれ異なる。そこで、上記のように、本実施の形態では、各導光体112a〜112dと光センサ115との相対的な位置関係の違いに基づく、光センサ115の検出結果に対する各導光体112a〜112dの影響度の違いを考慮して、各光量指令値発生回路121a〜121dが発生する指令値を、あらかじめ決めておくようにしている。
【0037】
上記の構成により、拡散板113a〜113cを透過して放射されるレーザ光は、光変調部(例えば、液晶パネル)130のバックライト光となる。すなわち、ディスプレイ装置100は、拡散板113a〜113cを透過して放射されるレーザ光を光変調部(液晶パネル)130のバックライト光にして、画像を表示することができる。
【0038】
図2は、各導光体112a〜112dの発光量の時間変化(発光パターン)を示す図である。特に、図2(A)は、発光パターンの第1の例を示す図、図2(B)は、発光パターンの第2の例を示す図である。
【0039】
図1の構成例において、4つの導光体112a〜112dは、図2に示す発光パターンで、映像信号のフレーム期間に同期して、発光を繰り返す。すなわち、光源駆動部120は、1フレーム期間毎に、4つのレーザ光源111a〜111dの少なくともいずれか1つの発光強度を変化させながら、4つのレーザ光源111a〜111dを順次発光させる。このときの発光パターンとして、例えば、図2(A)に示す第1の発光パターンや図2(B)に示す第2の発光パターンなどを用いることができる。ここで、図2(A)に示す第1の発光パターンは、4つの導光体112a〜112dの合成光量が変化する場合であり、図2(B)に示す第2の発光パターンは、4つの導光体112a〜112dの合成光量が変化せず一定の場合である。
【0040】
具体的には、図2(A)に示す第1の発光パターンの場合、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が増加している区間では、導光体112dの発光量(レーザ光源111dの発光強度)(LD4)は一定である。そして、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が一定の区間では、導光体112dの発光量(レーザ光源111dの発光強度)(LD4)は減少している。そして、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が一定の区間において、導光体112dの発光量(レーザ光源111dの発光強度)(LD4)が0になると、今度は、導光体112bの発光量(レーザ光源111bの発光強度)(LD2)が増加を始める。そして、導光体112bの発光量(レーザ光源111bの発光強度)(LD2)が一定になると、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が減少を始める。そして、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が0になると、導光体112bの発光量(レーザ光源111bの発光強度)(LD2)は一定のままで、今度は、導光体112cの発光量(レーザ光源111cの発光強度)(LD3)が増加を始める。以下、4つの導光体112a〜112dについて、このパターンを繰り返す。
【0041】
この結果、図2(A)に示す例では、4つの導光体112a〜112dから出射される合成光量は、ノコギリ波のようになり、絶えず変化している。なお、この場合、合成光量が変動するため、画面のちらつきが発生するようにも思われるが、通常、1秒間に30フレームの画像が切り替わるため、視覚では判別できない。
【0042】
上記のように、レーザ光をディスプレイ装置の光源として利用しようとした場合、スペックルノイズを低減する必要がある。このスペックルノイズを低減するには、干渉を起こすレーザ光の光学的な状態を時間的に変化させることによって、スペックルノイズのパターンを時間的に変化させ、ディスプレイ装置を観察する人の眼の積分効果を用いてスペックルノイズを平滑化することが効果的である。
【0043】
この点、図2(A)に示す第1の発光パターンを用いることにより、全フレーム期間にわたり、任意の発光時点において4つの導光体112a〜112d(レーザ光源111a〜111d)の少なくともいずれか1つの発光量(発光強度)が変化しているため、レーザ光の干渉パターンは常に変化する。これにより、スペックルノイズのパターンが時間的に変化し、スペックルノイズの平滑化、つまり、ノイズスペックルの低減が図られる。すなわち、図2(A)に示す第1の発光パターンによれば、4つの導光体112a〜112dの発光量の組み合わせは常に変化し、一定の割合で持続することがない。スペックルノイズは、レーザ光の干渉によって起こるため、レーザ光の強さに比例する。図1の構成例のように複数のレーザ光源111a〜111dを有する場合、スペックルノイズは各レーザ光源111a〜111dからのレーザ光に起因するスペックルノイズを合成したものとなるため、4つの導光体112a〜112d(レーザ光源111a〜111d)の発光量(発光強度)の組み合わせが変化すると、スペックルノイズのパターンも常に変化することになり、スペックルノイズは全体として認識されにくくなる。
【0044】
また、図2(A)に示す第1の発光パターンを用いることにより、4つの導光体112a〜112dは、映像信号のフレーム周期に同期して、つまり、1フレーム期間を単位として、順次発光を繰り返すため、動画ボケが低減される。
【0045】
また、図2(B)に示す第2の発光パターンの場合、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が増加している区間では、導光体112cの発光量(レーザ光源111cの発光強度)(LD3)は減少し、かつ、導光体112dの発光量(レーザ光源111dの発光強度)(LD4)は一定である。そして、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が一定の区間では、導光体112bの発光量(レーザ光源111bの発光強度)(LD2)は増加し、かつ、導光体112dの発光量(レーザ光源111dの発光強度)(LD4)は減少している。そして、、導光体112aの発光量(レーザ光源111aの発光強度)(LD1)が減少している区間では、導光体112bの発光量(レーザ光源111bの発光強度)(LD2)は一定であり、かつ、導光体112cの発光量(レーザ光源111cの発光強度)(LD3)は増加している。以下、4つの導光体112a〜112dについて、このパターンを繰り返す。
【0046】
この結果、図2(B)に示す例では、4つの導光体112a〜112dから出射される合成光量は一定になるため、図2(A)に示す発光パターン1に比べて、より安定した発光が行われる。
【0047】
また、図2(B)に示す第2の発光パターンによっても、全フレーム期間にわたり、任意の発光時点において4つの導光体112a〜112d(レーザ光源111a〜111d)の少なくともいずれか1つの発光量(発光強度)が変化しているため、レーザ光の干渉パターンは常に変化する。これにより、スペックルノイズのパターンが時間的に変化し、スペックルノイズの平滑化、つまり、ノイズスペックルの低減が図られる。すなわち、この場合も、4つの導光体112a〜112dの発光量の組み合わせは常に変化し、一定の割合で持続することがない。このように4つの導光体112a〜112d(レーザ光源111a〜111d)の発光量(発光強度)の組み合わせが変化すると、スペックルノイズのパターンも常に変化することになり、スペックルノイズは全体として認識されにくくなる。
【0048】
また、図2(B)に示す第2の発光パターンによっても、4つの導光体112a〜112dは、映像信号のフレーム周期に同期して、つまり、1フレーム期間を単位として、順次発光を繰り返すため、動画ボケが低減される。
【0049】
なお、本実施の形態では、図2(A)および図2(B)に示すように、導光体112a〜112dの発光は、重複したタイミングで起こっている。しかし、上記のように、光量指令値発生回路121a〜121dからの指令値と、光センサ115の検出結果(明るさ)とを比較する際に、各導光体112a〜112dと光センサ115との相対的な位置関係の違い(つまり、光センサ115の検出結果に対する各導光体112a〜112dの影響度の違い)を考慮した指令値によって重み付けを行うため、4つの導光体112a〜112dのそれぞれについて、明るさの差分を算出することができる。したがって、本実施の形態のように、導光体112a〜112dが複数存在する場合であっても、1つの光センサ115のみで対応することができる。
【0050】
このように、本実施の形態のバックライト装置によれば、第1に、レーザを光源として用いるため、電気から光への変換効率がよく、色純度の高いディスプレイ装置を実現することができる。
【0051】
第2に、映像信号のフレーム周期に同期して、複数のレーザ光源111a〜111dを順次発光させるため、動画ボケが少ないディスプレイ装置を実現することができる。
【0052】
第3に、任意の発光時点において複数のレーザ光源111a〜111dの少なくともいずれか1つの発光強度が変化するように、複数のレーザ光源111a〜111dを発光駆動させるため、スペックルノイズの原因となる干渉パターンを作るレーザ光同士の強度が時間と共に変化し、干渉パターンが認識されにくくなり、結果としてスペックルノイズの少ないディスプレイ装置を実現することができる。
【0053】
上記の作用によって、高効率で、高速な応答性を有するディスプレイ装置を実現するバックライト装置を提供することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、単一色のレーザ光源を例にとって説明したが、これに限定されない。例えば、自然色の表示を行うために、光の3原色(赤、青、緑)に対応する半導体レーザを用意し、光の3原色について、それぞれ独立に導光体に入射させたり、あるいは、3原色の光を合成して導光体に入射させたりしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、1つの光センサ115のみを使用しているが、光センサの個数はこれに限定されない。例えば、複数の光センサを複数の適当な位置に配設することにより、制御の精度向上を図ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るバックライト装置は、レーザ光源を用いた場合であっても、スペックルノイズを低減することができるバックライト装置として有用である。
【0057】
例えば、本発明に係るバックライト装置をポータブルの液晶ディスプレイ装置に適用すれば、少ない消費電力で必要な明るさが得られるため、バッテリ寿命を延ばすことができる。また、本発明に係るバックライト装置を屋内で使用する液晶ディスプレイ装置に適用すれば、同じ消費電力で、より明るく、鮮やかで、動画の応答性に優れ、しかもレーザ光に特有なスペックルノイズが抑えられた映像を表示することができ、大変有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態に係るバックライト装置を有するディスプレイ装置の概略構成を示す要部分解斜視図
【図2】図1の各導光体の発光量の時間変化(発光パターン)を示す図であり、(A)は、発光パターンの第1の例を示す図、(B)は、発光パターンの第2の例を示す図
【図3】従来の液晶バックライト装置の構成の一例を示す概略図
【図4】図3の各光出射ブロックのLEDへの駆動電流の時間変化の一例を示す図
【符号の説明】
【0059】
100 ディスプレイ装置
110 バックライト装置
111a、111b、111c、111d レーザ光源
112a、112b、112c、112d 導光体
113a、113b、113c 拡散板
114 反射板
115 光センサ
116 プリズム部
120 光源駆動部
121a、121b、121c、121d 光量指令値発生回路
122a、122b、122c、122d 補正回路
123a、123b、123c、123d レーザ駆動回路
124 加算器
125 乗算器
130 光変調部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する複数のレーザ光源と、
前記複数のレーザ光源にそれぞれ対応して設けられ、対応するレーザ光源から出射されたレーザ光を、一端から内部に入射し、側面から外部に出射させる複数の線状の導光体と、
前記複数の導光体から出射されたレーザ光を散乱拡散させる拡散板と、
前記拡散板と対向配置され、前記複数の導光体から出射されたレーザ光のうち前記拡散板に向かわないレーザ光を前記拡散板に向かう方向に反射させる反射板と、
任意の発光時点において前記複数のレーザ光源の少なくともいずれか1つの発光強度が変化するように、前記複数のレーザ光源を発光駆動させる駆動手段と、
を有するバックライト装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、
任意の発光時点において前記複数のレーザ光源の少なくともいずれか1つの発光強度が変化するように、前記複数のレーザ光源を、所定の発光パターンで発光強度を変化させながら、順次発光駆動させる、
請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記複数のレーザ光源を、映像信号のフレーム周期に同期して、順次発光駆動させる、
請求項2記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記複数の導光体から出射されたレーザ光の光量を検出する光量検出手段、をさらに有し、
前記駆動手段は、
前記複数のレーザ光源のおのおのに対して、前記光量検出手段の検出結果を用いて、当該レーザ光源の発光強度が所定の値になるように、当該レーザ光源の発光強度を制御する、
請求項3記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
前記複数のレーザ光源のおのおのに対して、前記光量検出手段の検出結果を当該レーザ光源に対してあらかじめ設定された指令値によって重み付けして得られた値と、当該指令値との差分に基づいて、当該レーザ光源の発光強度が所定の値になるように、当該レーザ光源の発光強度を制御する、
請求項4記載のバックライト装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のバックライト装置と、
前記バックライト装置によって照明される光変調部と、
を有するディスプレイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−175636(P2009−175636A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16781(P2008−16781)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】