説明

バックライト装置

【課題】 構成部品点数を削減することで、薄型化及び軽量化を図ることを可能とし、更には構成部品の組立工数を削減し、構成部品の組立を容易に行うことができるとともに、構成部品のコスト及び組立コストを低減することを可能としたバックライト装置を提供する。
【解決手段】 バックライト装置10は、光透過性の基板21の一面にスイッチ素子22及び光源23が実装されている。この基板21の一面には、光源23から照射される可視光をスイッチ素子22へ向けて反射する反射部材30が設けられている。基板21の他面には、反射部材30からの可視反射光の透過により所定の表示デザインを表示する表示パネル40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種の電子機器における操作パネルに使用することができるバックライト装置に係り、特に、薄型化、軽量化、及び組立容易性などを図ったバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばタッチセンサを有する各種の電子機器がある。この従来の電子機器の一例としては、例えば通信カラオケ装置がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された従来の通信カラオケ装置は、筐体の前面にカラオケ曲及び映画等のコンテンツの予約操作等を行うための操作パネルを備えている。この操作パネルは、発光ダイオード(LED)、及びコンデンサなどの電子部品を実装した電子部品実装用の基板を収容したパネルケースを有している。そのパネルケースの前面には、電子部品実装用の基板と電気的に接続された複数個の静電容量スイッチを有する透過性のタッチパネルが設けられている。そのタッチパネルの前面には、透過性の化粧パネルが設けられている。
【0003】
操作パネルのパネルケースは、タッチパネルの静電容量スイッチと対応する部位にすり鉢状の反射部を備えている。その反射部の基端部に形成された円形開口には、電子部品実装用の基板のLEDが配されている。そのLEDから照射された可視光は、タッチパネルの静電容量スイッチのタッチ領域へ拡散して反射されるようになっている。
【特許文献1】特開2008−46252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の操作パネルは、タッチパネルとは別に電子部品実装用の基板を備えた構成となっているので、タッチパネルと電子部品実装用の基板とを固定保持するパネルケースが必要となり、操作パネル自体が大型化するとともに、その重量が増加するという問題点があった。
【0005】
また、上記従来の操作パネルは、パネルケースの表裏面にタッチパネルと電子部品実装用の基板とをそれぞれ固定保持する構成となっているため、構成部品の点数の増加を招くこととなり、構成部品のコストが高騰するばかりでなく、構成部品の組立工数が増大するという問題点があった。それと相まって、構成部品の組立性が悪くなり、その組立コストが高騰するという問題点もあった。
【0006】
従って、本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、構成部品点数を削減することで、薄型化及び軽量化を図ることを可能とし、更には構成部品の組立工数を削減し、構成部品の組立を容易に行うことができるとともに、構成部品のコスト及び組立コストを低減することを可能としたバックライト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、光透過性の基板と、前記基板の一面に実装された少なくとも1つのスイッチ素子、及び少なくとも1つの光源と、同一の前記基板の一面に設けられ、前記光源から照射される可視光を前記スイッチ素子へ向けて反射する反射部材とを備えたことを特徴とするバックライト装置にある。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記基板の他面に設けられ、前記反射部材からの可視反射光の透過により所定の表示デザインを表示する表示パネルを備えたことを特徴としている。
[3]上記[2]記載の発明にあって、前記表示パネルは、光透過性のプレート基材と、前記プレート基材の裏面上に前記表示デザインの形状に対応した部分を除いて印刷を施した印刷層とからなることを特徴としている。
[4]上記[2]又は[3]記載の発明にあって、前記表示デザインは、文字、数字、図形、記号あるいは模様からなることを特徴としている。
[5]上記[1]記載の発明にあって、前記スイッチ素子は、人体の接近又は接触を検出するタッチセンサからなり、前記基板は、前記タッチセンサを有するタッチセンサパネルからなることを特徴としている。
[6]上記[1]記載の発明にあって、前記反射部材は、前記光源からの可視光を方向付ける湾曲反射面を有していることを特徴としている。
[7]上記[1]記載の発明にあって、前記光源は、発光ダイオードであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、スイッチ素子とは別体の電子部品実装用の基板を不要とし、共通の基板にスイッチ素子、光源及び反射部材などを集約化して実装する構成となっているため、構成部品点数を削減するとともに、薄型化及び軽量化を実現することを可能とし、更には構成部品の組立工数を削減し、構成部品の組立を容易に行うことができるとともに、構成部品のコスト及び組立コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0010】
図1(a)は、本発明の代表的な実施の形態であるバックライト装置を模式的に示す正面図であり、図1(b)は、バックライト装置の側面図、図1(c)は、バックライト装置の背面図であり、図2(a)は、バックライト装置に表示される表示部の一例を示す図であり、図2(b)は、図2(a)のII−II線の矢視断面図である。
【0011】
(バックライト装置の構成)
これらの図において、符号10は、例えば加熱調理器の操作パネルの後から照射されるバックライト装置の外観構成を概略的に示している。図示例によるバックライト装置10は、加熱調理器の調理室を内蔵する箱状の電子レンジの前面に取り付けられる。このバックライト装置10の外観構成は、タッチパネル20と、タッチパネル20の裏面に設けられた反射部材30と、タッチパネル20の表面に設けられた表示パネル40との3部材を対向して配設した構成となっている。その表示パネル40には、電源ボタン表示48、機能ボタン表示43〜46、時間表示49、デモンストレーション表示47などの各種の第1〜第7の表示部43〜49が個別に設けられている。この表示部43〜49は、例えば調理条件や被加熱物の調理状況などを発光表示するようになっている。
【0012】
以下の説明において、表示部43〜49のそれぞれに対応するバックライト装置10の形状、及び構造は同一である。そのため、1つのバックライト装置10のみについて説明し、隣接する他のバックライト装置10についての説明は省略する。
【0013】
(タッチパネルの構成)
バックライトが照射されるタッチパネル20は、図1(a)〜図2(b)に示すように、透明樹脂板あるいは透明樹脂シートからなる可撓性を有する薄い基板21により構成されている。その透明樹脂としては、例えばガラスエポキシ素材(FR−4)などが好適に用いられる。基板21の一面(裏面)には、スイッチ素子である透明な検出電極(人体の接近又は接触を検出する透明なタッチセンサ)22がパターン状に形成されている。検出電極22は、表示部43〜49のそれぞれに個別に配されている。検出電極22は、特に限定するものではないが、例えば可視光に対して透明なITO(インジウム・錫・酸化物)などの金属酸化物の薄膜、あるいは銅箔などから形成されている。
【0014】
このバックライト装置10は、図2(b)に示すように、タッチパネル20とは同一の基板21にバックライト用の発光ダイオード(LED)23を実装している。LED23は、表示部43〜49のそれぞれに個別に配されている。基板21の裏面には、LED23が実装されるとともに、LED23を駆動する図示しない駆動回路、その駆動回路を介してLED23の点灯制御を行う同じく図示を省略したマイコンチップなどの電子部品が実装されている。これにより、検出電極22、LED23、その他の電子部品を共通の基板21の裏面に集約化している。
【0015】
この好適な実施の形態にあっては、タッチセンサは、特に限定されるものではないが、2個の電極からなるスイッチ素子であり、このようなスイッチ素子が、基板21に多数配列された構成となっている。タッチセンサとしては、例えば静電容量方式、抵抗膜方式、光学方式、超音波方式などのいずれの方式のタッチセンサも採用することができる。
【0016】
LED23としては、特に限定されるものではないが、それぞれ赤色、緑色又は青色のうちの単色のLED、あるいは2色以上のLEDで構成することが好適である。これらのLEDを赤色、緑色又は青色のうちのいずれかの単色、あるいは混色で発光させることにより、表示部43〜49のうち、例えば表示部43〜46、48、49を赤色光などで点灯し、他の表示部47を桃色光で円周方向に順次点滅させる構成とすることができる。なお、LED以外の光源としては、例えば有機EL素子や半導体レーザ等を用いることも可能である。
【0017】
表示部43〜49の動作の一例としては、例えば電源ボタン表示48をタッチすると、機能ボタン表示43〜46が発光表示する。次いで、デモンストレーション表示47をタッチすると、デモンストレーション表示47が、円周方向に順次点滅する。次に、機能ボタン表示43〜46のいずれか1つの機能ボタン表示をタッチすると、タイマーモードへ移行する。次に、デモンストレーション表示47を手指でなぞると、7セグメントの時間表示49がカウントアップされる。そして、スタート部である機能ボタン表示45をタッチすると、タイマーが始動する。
【0018】
(反射部材の構成)
タッチパネル20の基板21の裏面には、図2(b)に示すように、LED23から照射される可視光を検出電極22及び検出電極22の周辺部へ向けて拡散・反射する反射部材30が接着剤又は両面テープなどで貼り合わされている。この反射部材30の材質としては、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート(ASA樹脂)、あるいはアクリロニトリル・EPDM・スチレン(AES樹脂)を好適に用いることができる。
【0019】
この反射部材30は、図2(b)に示すように、基板21の裏面から離間するように所定の曲率で湾曲面状に凹んだ湾曲部31を有している。その湾曲部31の内面は、LED23からの可視光を方向付ける湾曲反射面32に形成されており、検出電極22とLED23との周囲全体を取り囲むように表示部43〜49のそれぞれと対応する位置に配されている。LED23から照射される可視光は、表示パネル40の表示面とは逆方向へ照射され、反射部材30の湾曲反射面32により均一な強度で拡散・反射される。なお、反射部材30の大きさ及び形状などは、適宜決定できるものであり、図示例に限定されず、例えば半円弧面あるいは放物曲面などの所望の断面形状を有する形態で使用できることは勿論である。
【0020】
(表示パネルの構成)
タッチパネル20の基板21の他面(表面)には、図2(b)に示すように、反射部材30からの可視反射光の透過により所定の表示デザインを表示する表示パネル40が接着剤又は両面テープなどで貼り合わされている。この表示パネル40は、例えば透明樹脂板あるいは透明ガラス板などからなる。その透明樹脂板の材質としては、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネート系樹脂などが好適に用いられる。
【0021】
表示パネル40は、図2(b)に示すように、反射部材30からの可視反射光の透過により所定の表示デザインを表示する薄い板状の光透過性のプレート基材41を有している。このプレート基材41としては、例えばガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルムあるいはプラスチックシートなどの光透過性部材からなる。
【0022】
図示例にあっては、表示部43〜49のそれぞれに対応する表示内容は、プレート基材41の裏面に印刷されている。このプレート基材41の裏面には、図2(b)に示すように、表示デザインの形状に対応した部分を除いてシルク印刷を施した遮光性の印刷層42が形成されている。この印刷層42には、印刷が施されていない光透過牲の抜き表示部42aが形成されている。その抜き表示部42aは、文字、数字、図形、記号あるいは模様などの抜き表示である表示デザインからなる。反射部材30からの可視反射光は、プレート基材41の印刷が施されている領域で遮光され、プレート基材41の印刷が施されていない領域である抜き表示部42aで透過される。なお、図2(a)及び図2(b)の図示例は、この実施の形態に係る典型的な表示部45の一例を模式的に表している。
【0023】
透明なタッチパネル20の検出電極22が銅箔からなる場合は、検出電極22のパターン幅を細く形成するとともに、そのパターンのピッチを広くすることで、反射部材30からの可視反射光を透明なタッチパネル20に満遍なく照射させることができるようになり、そのタッチパネル20の基板21の表面と表示パネル40の裏面との間に配された表示デザインを明るく発光表示させることができる。なお、上記実施の形態では、プレート基材41の裏面に印刷層42を直接印刷した構成を例示したが、この実施の形態に限定されるものではない。印刷層42の構成としては、例えばプラスチック板、プラスチックフィルムあるいはプラスチックシートなどの光透過性部材に印刷を施したものであってもよい。従って、この光透過性部材をプレート基材41の裏面に重ね合わせた構成を表示パネル40として使用することができることは勿論である。
【0024】
(実施の形態の効果)
以上のように構成されたバックライト装置10によれば、以下の様々な効果が得られる。
(1)タッチパネル20とは別体の電子部品実装用の基板を不要とし、タッチパネル20の基板21と同一の基板にLED23などの電子部品を実装する構成となっているため、バックライト装置10の取付スペースを縮小することができる。
(2)検出電極22、LED23及び反射部材30を透明なタッチパネル20の裏面に搭載し、LED23からの可視光を表示パネル40とは逆方向へ照射し、その光を反射部材30の湾曲反射面32により均一な強度で拡散・反射させることで、タッチパネル20を介して表示パネル40の裏面側から発光表示させる構成となっているため、タッチパネル20の裏面に検出電極22、LED23、その他の電子部品、反射部材30をユニット化してバックライト装置10の全体を小型化、コンパクト化することができる。
(3)タッチパネル20とは別体の電子部品実装用の基板が不要になるので、タッチパネル20と電子部品実装用の基板とを固定保持する格別な保持機構を排除することができるようになり、構成部品点数を削減することができることと相まって、操作パネル自体の薄型化及び軽量化を達成することができるようになる。
(4)タッチパネル20とは別体の電子部品実装用の基板を固定保持する格別な保持機構を排除することができるので、構成部品の組立工数を削減することができるようになり、構成部品の組立を容易に行うことができるとともに、構成部品のコスト及び組立コストを低減することができる。
【0025】
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態に係る典型的なバックライト装置10にあっては、タッチパネル20へ向けて反射する反射部材30の湾曲反射面32が表示パネル40の表示部43〜49のそれぞれに個別に配置される構成例を例示したが、例えば反射部材30の湾曲反射面32が任意の数の表示部43〜46を取り囲むように配置する構成としてもよいことは勿論であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。従って、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、例えば電子レンジ等の加熱調理器、冷蔵庫等の家庭用電子機器、テレビ、カラオケ等の娯楽機器、食券販売機、チケット販売機、飲料販売機等の自動販売機などの各種の電子機器に効果的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、本発明の代表的な実施の形態であるバックライト装置を模式的に示す正面図、(b)は、バックライト装置の側面図であり、(c)は、バックライト装置の背面図である。
【図2】(a)は、バックライト装置に表示される表示部の一例を示す図であり、(b)は、(a)のII−II線の矢視断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 バックライト装置
20 タッチパネル
21 基板
22 検出電極
23 LED
30 反射部材
31 湾曲部
32 湾曲反射面
40 表示パネル
41 プレート基材
42 印刷層
42a 抜き表示部
43〜49 第1〜第7の表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の基板と、
前記基板の一面に実装された少なくとも1つのスイッチ素子、及び少なくとも1つの光源と、
同一の前記基板の一面に設けられ、前記光源から照射される可視光を前記スイッチ素子へ向けて反射する反射部材と、
を備えたことを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記基板の他面に設けられ、前記反射部材からの可視反射光の透過により所定の表示デザインを表示する表示パネルを備えたことを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記表示パネルは、光透過性のプレート基材と、前記プレート基材の裏面に前記表示デザインの形状に対応した部分を除いて印刷を施した印刷層とからなることを特徴とする請求項2記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記表示デザインは、文字、数字、図形、記号あるいは模様からなることを特徴とする請求項2又は3に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記スイッチ素子は、人体の接近又は接触を検出するタッチセンサからなり、
前記基板は、前記タッチセンサを有するタッチセンサパネルからなることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記反射部材は、前記光源からの可視光を方向付ける湾曲反射面を有していることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項7】
前記光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−67551(P2010−67551A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234657(P2008−234657)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000153236)株式会社光波 (98)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】