説明

バックライト調光用光学シート及びそれを備えたバックライトユニット、ディスプレイ装置

【課題】本発明の課題は、反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と拡散層とを両者の界面部分の空気層の形状(容積)を変形させずに一体化する方法、を使用した輝度制御部材と反射層を有するバックライト調光用光学シートにおいて、さらに光源間の明暗むらを低減することができるバックライト調光用光学シート及びそれを備えたバックライトユニット、ディスプレイ装置を提供することである。
【解決手段】光源からの光を拡散する拡散層と、該拡散層の拡散光射出側に配置されたレンズの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と、前記拡散層と前記輝度制御部材との間に形成された前記輝度制御部材のそれぞれのレンズに対する光の入射角範囲を規制する開口部を備えた反射部と、を有するバックライト調光用光学シートであって、前記拡散層の光源側表面にマイクロレンズアレイが形成されていることを特徴とするバックライト調光用光学シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を拡散する拡散層と輝度制御部材を有するバックライト調光用光学シート及びそれを備えたバックライトユニット、ディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に代表される自発光型でないディスプレイ装置は、画像等の情報を表示するために、光源(バックライト)を内蔵している。この光源で消費する電力は、ディスプレイ装置全体で消費する電力の相当部分を占めており、総電力の低減が強く要望される昨今においては、第一に光源の利用効率を向上させることが要求されている。
【0003】
また、低電力化のため、およびコスト低下にために、光源の数を減らしているので光源間の距離が長くなり、また装置の薄型化が進んで光源とバックライト調光用光学シートとの距離が著しく近づいているので、画面の明るさむらが、見ている人に感知されるといった第2の問題が発生している。
【0004】
光源の利用効率を向上させる手段として、輝度向上フィルム(BEF;Brightness Enhancement Film:米国3M社の登録商標)を使用したディスプレイが増えている。
【0005】
BEFは、透明基材上に断面三角形状の単位プリズムを一方向に周期的に配列したフィルムである。このプリズムは、光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)で形成されている。BEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)、または“リサイクル(recycle)”する。そのため、ディスプレイの使用時(観察時)には、光源からの軸外光線をBEFによって集光し方向転換し、軸上輝度を増大させることができる。
【0006】
なお、「軸上」とは、使用者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。
【0007】
BEFにおいて、プリズムの反復的アレイ構造が一方向のみの配列では、その配列方向での光の方向転換またはリサイクルのみが可能である。そこで、水平面における横方向及びこれに直交する縦方向での表示光の輝度制御を行なうために、プリズム群の配列方向が互いに略直交するように2枚のBEFを重ねて組み合わせて用いることもある。このように、BEFの採用により、電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができるようになった。
【0008】
BEFに代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材をディスプレイ装置等のバックライト調光用光学シートとして使用することは、多数の特許文献に開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0009】
バックライト調光用光学シートに輝度制御部材としてBEFを使用した、例えばエッジライト方式のディスプレイ装置では、光源からの光はプリズムの傾斜面から射出するが、プリズムの屈折作用によって軸上方向を光の中心として制御された或る角度範囲の光として出射される。射出光がこのように制御されるので、使用者の視覚方向の光の強度が高まる。
【0010】
しかしながら、これと同時にプリズムの一方の傾斜面を界面として反射され、他方の傾斜面で屈折する光成分があり、使用者の視覚方向に進むことなく横方向に無駄に出射されてしまうという不具合があった。
【0011】
図3はディスプレイ装置における視野角に対する輝度分布を示す図である。縦軸は光強度、横軸は軸上(on−axis)を中心とする使用者の視野角である。
【0012】
図3の破線Bは、バックライト調光用光学シートとして、上述したBEFの(プリズムシート)1枚だけを備えたディスプレイ装置についての光強度分布である。破線Bで示すように、BEFにおいては、使用者の視覚方向F(軸上方向)の角度0°における光強度が最も高められ、視覚方向Fに対して画面からの光の射出角度が水平方向になるにつれて、両側(−90°、+90°)方向に対称的に光強度が徐々に減少する。そして、横軸に一致する±90°近辺の射出角度では、視野方向から外れるサイドローブ光が小さな光強度ピークとして示される。このサイドローブ光は観察者の視野から外れるため、プリズムの横方向から無駄に出射される。すなわちBEFでは、この無駄な光があるという問題がある。できれば、±90°近辺でのサイドローブ光による光強度ピークのない、図3の実線Aで略正規分布曲線として示した、滑らかな輝度分布の方が好ましい。
【0013】
一般的には、2枚のプリズムシートを、一方のプリズム列に対して他方のプリズム列が略直交する様に、重ねて使用する形態が普及している。このようにすると、一方のプリズム列に平行方向に入射する光に関しても、使用者の視野角方向Fの角度0°方向に光を集めることが可能になり、光の利用効率を高めることが可能になる。
【0014】
一方、軸上輝度のみが過度に増大すると、図3の曲線のピークの幅が著しく狭くなり、視域が極端に限定される。ピークの幅を適度に拡げるために、バックライト調光用光学シートに光拡散部材(拡散層)を追加して設けることが考えられる。しかし、サイドローブ光を軽減する効果は得られず、光の利用効率が高いとはいえない。
【0015】
このような欠点を克服するために、BEF等の輝度制御部材と拡散層との界面に空気層を形成したものが知られている。空気層における界面屈折を利用することで、一度拡散層で拡散した光のなかでレンズに対して大きな入射角で入射する光を、中央に再度集めるものであり、中心輝度の向上を図ることができる。しかし、輝度制御部材と拡散層とを一体化する場合に、空気層の形状(容積)を変形させずに保持することが難しい。
【0016】
この問題に対して、開口部を有する光反射層を、輝度制御部材と拡散層との間のスペーサーとして用い、該反射層間の開口部を空気層として形成する構成が開示されている。この構成においては、粘着剤や接着剤等の接合材料を介して、拡散層と輝度制御部材とを貼り合わせることで、空気層の形状を一定のまま保持することができる。(特許文献4参照)。
【0017】
上記の方法は、光源の利用効率をかなり向上することができるので、第一の問題の解決策として、最近では多くの液晶ディスプレイ等に採用されている。しかし、もう一つの問題、光源間の明暗むらが使用者が感知してしまう程度に画面上に現れてしまう問題、に対しては、拡散層を設けたにもかかわらず上記の方法では解決することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【特許文献4】特開2007−057871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の課題は、特許文献4に開示されている方法、すなわち反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と拡散層とを両者の界面部分の空気層の形状(容積)を変形させずに一体化する方法、を使用した輝度制御部材と反射層を有するバックライト調光用光学シートにおいて、さらに光源間の明暗むらを低減することができるバックライト調光用光学シート及びそれを備えたバックライトユニット、ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するための、本発明の請求項1に係わる発明は、光源からの光を拡散する拡散層と、該拡散層の拡散光射出側に配置されたレンズの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と、前記拡散層と前記輝度制御部材との間に形成された前記輝度制御部材のそれぞれのレンズに対する光の入射角範囲を規制する開口部を備えた反射部と、を有するバックライト調光用光学シートであって、前記拡散層の光源側表面にマイクロレンズアレイが形成されていることを特徴とするバックライト調光用光学シートである。
【0021】
本発明請求項2に係わる発明は、光源からの光を拡散する拡散層と、該拡散層の拡散光射出側に配置されたレンズの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と、前記拡散層と前記輝度制御部材との間に形成された前記輝度制御部材のそれぞれのレンズに対する光の入射角範囲を規制する開口部を備えた反射部と、を有するバックライト調光用光学シートであって、前記拡散層の光源側表面に接着剤層を介して、マイクロレンズアレイが形成されたマイクロレンズアレイシートが一体化されていることを特徴とするバックライト調光用光学シートである。
【0022】
本発明請求項3に係わる発明は、前記マイクロレンズアレイシートが、透明基材フィルムとその上に形成されたマイクロレンズアレイよりなることを特徴とする請求項2に記載のバックライト調光用光学シートである。
【0023】
本発明請求項4に係わる発明は、前記マイクロレンズアレイシートが、透明基材フィルムとその上に形成されたマイクロレンズアレイよりなり、さらに該透明基材フィルムと該マイクロレンズアレイが同一材料を用いて同時に形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載のバックライト調光用光学シートである。
【0024】
本発明請求項5に係わる発明は、前記マイクロレンズアレイは、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるマイクロレンズが密に配列されていて、各マイクロレンズの形状が頂部は球面の一部をなし、底部の直径Lは40μm〜50μm、高さは10μm〜200μmである円錐状であり、前記頂部の球面の曲率半径rの底部の直径Lに対する比(r/L)が0.05〜0.4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックライト調光用光学シートである。
【0025】
本発明請求項6に関わる発明は、前記マイクロレンズアレイに粒径10μm以下の光拡散性微粒子を10wt%〜30wt%の割合で添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックライト調光用光学シートである。
【0026】
本発明請求項7に関わる発明は、光線入射側と射出側の基材が等しいことを特徴とする、請求項1記載のバックライト調光用光学シートである。
【0027】
本発明請求項8に係わる発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバックライト調光用光学シートを備えていることを特徴とするバックライトユニットである。
【0028】
本発明請求項9に係わる発明は、請求項7記載のバックライトユニットを備えていることを特徴とするディスプレイ装置である。
【発明の効果】
【0029】
請求項1あるいは2の構成によれば、輝度制御部材と拡散層とを一体化し、かつ光源からの光をマイクロレンズアレイ部で散乱させ、さらに拡散層で散乱させることにより光源の明暗むら(輝度むら)を低減させることができる。
【0030】
また、拡散層で拡散させた光に対して、輝度制御部材と拡散層の間に空気層があるので、所望の屈折効果を得ることができる。すなわち、拡散層で拡散された光が空気層を通過し、レンズ部へ入射する際に屈折率の相違によって射出角度が±40°に制御され、次ぎにレンズ部を通過することで集光する。したがって、光の利用効率にも優れたバックライト調光用光学シートを得ることができる。
【0031】
請求項5の効果は、マイクロレンズアレイが、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるマイクロレンズが密に配列された構造であり、また各マイクロレンズの形状を頂部は球面の一部をなし、底部の直径Lは40μm〜50μm、高さは10μm〜200μmである円錐状とし、さらに前記頂部の球面の曲率半径rの底部の直径Lに対する比(r/L)を0.05〜0.4とした。この形状にすると、所望の効果を得ながらも、金型形状の再現性がよく、通常形状のマイクロレンズにおいて突起の先端がかけやすい欠点を解消することができる。
【0032】
請求項6の効果は、マイクロレンズアレイに光拡散微粒子が添加されることによって、光源の明暗をより効果的に均一にすることができる。光拡散微粒子の粒径が10μm以下の場合、非常に輝度ムラを均一にすることができ、10μmより大きい場合、す抜け光により、効果が低減する。
また、10wt%未満で有る場合、効果は低く、10wt%以上で有る場合が効果的である。30wt%以上で有る場合、正面輝度の低下が著しく、30wt%未満である必要がある。
【0033】
請求項7の効果は、入射側と射出側の基材が等しいことで光源からの熱によるバックライト調光用光学シートの反りを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の1実施形態におけるディスプレイ装置、およびバックライトユニットの概略構成を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の1実施形態におけるディスプレイ装置、およびバックライトユニットの概略構成を示す模式的な断面図である。
【図3】従来のバックライト調光用光学シートの透過光の光強度分布、および理想的な強度分布を示すグラフである。
【図4】マイクロレンズシートとマイクロレンズの形状の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の実施形態を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の1実施形態に係るディスプレイ装置の概略構成を示す模式的な断面図である。なお、図1においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を適宜異ならせている。
【0036】
図1において、本実施形態のディスプレイ装置100は、本発明のディスプレイ装置の一例であり、バックライト部20および、バックライト光を調整するためのバックライト調光用光学シート21、液晶表示部22がこの順に積層されている。バックライト光はバックライト調光用光学シート21を透過して、明るさむらが減少し、また光の利用効率が向上した状態になり、液晶表示部22へ入り、画像信号によって表示制御されて、液晶表示部22から図の上方に向けて出射される。以下では、このような配置に基づいて、図1の上方向を単に表示画面側(射出側)、下方向を単に背面側と称する場合がある。
【0037】
バックライト部20とバックライト調光用光学シート21とは、バックライトユニット23を構成していて、本発明のバックライトユニットの一例である。
【0038】
バックライト部20は、紙面左右方向に延びるライン状の発光部が紙面奥行き方向に沿って等間隔に配置された複数の光源20aと、これら光源20aを背面側から覆い、表示画面側が開口された反射板20bとで構成される直下型方式の構成を採用している。
【0039】
ただし、バックライト部20は、バックライト調光用光学シート21の背面側に白色光を出射できればこのような構成には限定されず、周知のいかなる構成のバックライト部を採用してもよい。例えば、導光板の側面にライン状光源を配置したエッジライト式の面光源などを採用してもよい。
【0040】
光源20aとしては、例えば、冷陰極管などを用いることができるが、複数のLED素子を紙面奥行き方向に沿うライン上に配列したLED光源などを採用してもよい。
【0041】
バックライト調光用光学シート21は、バックライト部20から表示画面側に射出される光の一部を集光して、表示画面側に透過させ、他の光をバックライト部20側に反射してバックライト部20に再入射させるものであり、背面側から表示画面側に向けて、マイクロレンズアレイ30、拡散層7、接合層6、反射部5、及びレンズ部(光学素子部)1が、この順に積層されてなる。後述するように、反射部5に形成されている空気層5a部分では、接合層6、レンズ部1がこの順に積層されている。
【0042】
拡散層7は、バックライト部20の表示画面側を覆う位置に設けられた板状部材である。拡散層7は、透明樹脂とこの透明樹脂の中に分散された透明粒子とを具備して構成されており、透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率が異なるものである。拡散層7は、バックライト部20から表示画面側に出射される光Pを拡散させるものであり、複数の光源20aによる図示水平方向の明るさムラを抑制するとともに、表示光に適宜の視野角を付与することができるようになっている。なお、拡散層7の透明樹脂としては、例えば、PC(ポリカーボネート)樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、メチルスチレン樹脂及びフルオレン樹脂等を使用することができる。
【0043】
また、拡散層7の裏面(光源側)のマイクロレンズアレイ30を形成する方法としては、マイクロレンズアレイを形成したマイクロレンズアレイシート31を接着剤もしくは粘着剤を用いて貼り合わせる方法がある。具体的には、接着剤もしくは粘着剤を拡散層に塗布し、マイクロレンズアレイシートをラミネーターにより貼合する方法が挙げられる。また、接着剤もしくは粘着剤をドライフィルム状に加工した後、ラミネーターで貼り合わせる方法が挙げられる。
【0044】
また、粘着剤、接着剤で貼り合わせた場合、その粘着力は1kg/inch以上であることが望ましい。
【0045】
マイクロレンズアレイシート31は図3(X)の斜視図に示すように、透明基材フィルム32の上面(=光源側)に、マイクロレンズアレイ30として、多数のマイクロレンズが密に配列して形成された凸部33を有するものである。
【0046】
各マイクロレンズの形状はほぼ円錐状であり、凸部33の下側の大部分は円錐形状の一部からなっているが、頂部34は、丸みを帯びており、具体的には、球体の一部をなしている。凸部33は、図3(X)の斜視図で例示するように、矩形格子の格子点上に設けてもよいが、菱形格子の格子点上に設けてもよい。あるいは、密に配列する限り、規則的でない配列であってもよい。
【0047】
なお、図3(X)に示すものでは、凸部33同士が若干の間隔をあけて形成されているが、あまり間隔があいていると、光源の光が素通しになる部分ができるので、できるだけ狭めることが好ましい。さらに、凸部33同士の間に平面状の透明基材部分がない程度に、間隔を詰めてもよい。
【0048】
図3(Y)は、マイクロレンズの凸部33を、その頂部を含み、透明基材フィルム32に対して、垂直な面で切断した状態の断面図である。凸部33の底面の直径Lは、40μm〜50μmであることが好ましく、この数値範囲は、液晶表示素子の電極マトリックスのピッチに匹敵するか、それよりも小さい値である。
【0049】
頂部34をなす球体の半径rは、底面の直径Lに対する比r/Lが、0.05〜0.4となるよう決めることが好ましい。ここで比r/Lが0.05未満(Lが20μmである場合には、0.05は1μmに相当する。)であるものは、製作精度上難しく、好ましくない。また、比r/Lが0.4を超えると、円錐の斜面部分の割合が相対的に減るため、光源からの斜め方向の入射光を拡散することが難しくなり、好ましくない。また、凸部33の高さhは、底面の直径L等に比して、あまり高いもの、および低いものでない方が好ましく、高さhは、10μm〜200μmであることが好ましい。
【0050】
なお、ここで球体とは、真球を指す以外に、真球が上下方向につぶれた、やや偏平形状のものや、真球が上下方向に伸ばされたラグビー用ボールのような形状のものも含む。また、本発明のバックライト調光用光学シートの凸部33の斜面の最下部と透明基材フィルム32の上面との境界は、図3(X)では線状に描いてある。即ち、境界付近が滑らかに連続していないが、境界付近が滑らかな曲面からなった連続的なものであってもよい。
【0051】
上記のような凸部33は、前述したように、密集して多数配列されている。間隔が空きすぎると、単に平坦で光拡散性能がない部分の割合が増加し、シート全体の光拡散性能が低下するので、凸部33同士の間の隙間は、相隣り合う、いずれも底面の直径がLである二つの凸部33が各々の端部間で計測して、L/7程度以下であることが好ましい。
【0052】
マイクロレンズの個数は、配列時の端部間の距離をL/7とした場合、例えば底面の直径が40μmの場合には47852個/cm2、底面の直径が50μmの場合には30625個/cm2となる。
【0053】
また、凸部3同士の間に透明基材の平坦部が露出しないよう、間隔を詰めて形成する場合には、一例として、図3(Z)に示すように、一つの凸部の円錐形状のすそ部を、円錐の頂部および底面の中心を通る面に平行な面で、底面が正方形になるよう切断除去した形状とすることが好ましい。このとき、円錐の斜面の部分が減少し、頂部の球面の一部をなす部分の占める割合が相対的に大きくなるので、この点を解消する意味で、r/Lの最大値を0.3程度とすることが好ましい。
【0054】
円錐状の突起の先端を、尖った形状ではなく、意図的に、球面の一部の形状とすることにより、突起の先端が欠けにくくなり、金型通りの突起の形状の再現性が向上する。
【0055】
以下に、マイクロレンズアレイ30を透明基材フィルムの上に形成してマイクロレンズアレイシート31とする方法について説明する。
【0056】
透明基材フィルム32の素材としては、透明性、平滑性を備え、異物の混入のないものが好ましく、また、加工上および製品の使用上の理由で機械的強度があるものが好ましい。
【0057】
一般的に透明基材フィルム32として好ましいものは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性樹脂のフィルムである。
【0058】
なお、これらの熱可塑性樹脂のフィルムはフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。厚みとしては、8〜1000μm程度が好ましく、50〜200μmがより好ましい。なお、板状である場合には、この範囲を超えてもよい。
【0059】
上記の透明基材フィルム32には、その上面、もしくは下面のいずれか一方、もしくは両方に形成する層との接着性の向上のために、通常、行なわれ得る各種の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なって、プライマー層(図示せず。)を形成しておいてもよい。
【0060】
本発明のマイクロレンズアレイ30は、基本的には、突起の形状に対応する凹部を設けた、好ましくはロール状の金型の凹部に、電離放射線硬化性樹脂組成物を充填して電離放射線により硬化させて成形することにより得られる。熱硬化性樹脂組成物を用いても構成することも可能であるが、金型上で熱硬化性樹脂組成物を硬化させるには時間がかかるため、硬化が瞬時に行なえる電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて構成された方が好ましい。
【0061】
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、金型を用いたキャスティング法によって凸部33を形成する際の硬化速度が速く、かつ使用時に表面に傷付きが起きないよう、硬化後に高い耐擦傷性を有するものが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂組成物としては、硬化後の硬度が、JIS K5400で示す鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものがより好ましい。
【0062】
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
【0063】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0064】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチローラプロパントリチオグリコレート、トリメチローラプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0065】
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
【0066】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。
【0067】
また、図2の31bで示す様にレンズ部へ光拡散微粒子を混合することで輝度ムラをより効果的に低減することができる。このときレンズ部に前記電離放射線硬化性樹脂を使用した場合、該電離放射線硬化性樹脂と該光拡散微粒子との屈折率差は0.07〜0.09であることが好ましい。また、光拡散微粒子の添加割合としては、該電離放射線硬化性樹脂90に対し光拡散微粒子10〜該電離放射線硬化性樹脂70に対し光拡散微粒子30でることが好ましい。また、同屈折率であって、粒径の異なる光拡散微粒子を2種以上混合してもよい。
【0068】
前記、拡散微粒子の形状は球形、無定形、ラグビーボール型、中空型等特に規定せず適用できるが、球形であることが好ましい。
【0069】
マイクロレンズアレイは、基本的には、型基板材の型形成用面に、マイクロレンズアレイの突起の形状に対応する凹部を設けた、好ましくはロール状の金型の凹部に、電離放射線硬化性組成物を充填して電離放射線により硬化させて成形することにより得られる。
【0070】
まず、型基板材の型形成用面に、本発明のバックライト調光用光学シートの特殊な突起の形状に対応させた凹部を形成する。型基板材としては、基板上にセラミックス等で被覆したものを準備する。取扱いの際の強度を考慮すると、型基板は鉄等の金属からなる金属板、もしくは金属製ロールであることが好ましい。
【0071】
型基板の表面に凹部形成用層を形成する。凹部形成用層としては、酸化クロム、アルミナ、もしくはジルコニア等のセラミックスや銅、アルミニウム等の層が好ましい。これらのうちセラミックスの層はプラズマ溶射法、もしくは低温プラズマ溶射法により、銅、アルミニウム等の層は、めっき等により基板上に凹部形成用層として形成することができる。
【0072】
凹部形成用層には、レーザーを使用して、照射部において、逆円錐形で、最深部が球内面の一部をなす凹部を密集して多数配列して生じさせることにより、凹型を形成する。レーザー光源としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、もしくはルビーレーザー等の高出力のレーザーから選択して使用し、レンズを用いて、レーザービームおよび型基板を相対的に移動させつつ、照射する。最深部の球面形状の制御は、レーザーの出力、および焦点距離を調整して行なう。
【0073】
次に、得られた凹型の型面上に、電離放射線硬化性組成物を塗布し、少なくとも凹部に電離放射線硬化性組成物を充填する。凹部以外については、電離放射線硬化性組成物を塗布しても、しなくてもよい。必要に応じ、ドクタリングを施す。塗布後の塗膜上から、電離放射線が透過し得る透明基材フィルムを、気泡が入らないよう注意しつつ重ね、凹型、電離放射線硬化性樹脂組成物、および透明基材フィルムを積層し、積層体とする。
【0074】
前記積層体の透明基材フィルム32の外側から、電離放射線を照射して、積層体中の電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させると共に電離放射線硬化性樹脂組成物を透明基材フィルムに接着させ、その後、凹型から透明基材フィルムを硬化物と共に剥がして、本発明のマイクロレンズアレイシートを得る。照射に使用する電離放射線としては、電子線、もしくは紫外線等のいずれも使用できるが、照射装置がコンパクトで、取扱いが容易な紫外線を利用することがより好ましい。
【0075】
なお、上記の工程では、要するに、凹型、電離放射線硬化性樹脂組成物、および透明基材フィルムの三者が積層されればよいので、上記のようにするほか、透明基材フィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布してから、凹型に重ねてもよいし、あるいは、塗布を凹凸型および透明基材フィルムの両方に行なってから重ね合せてもよく、要するに、凹型の凹部を有する側と、透明基材フィルムを重ねた間に電離放射線硬化性樹脂組成物を充填し、凹型、電離放射線硬化性樹脂組成物、および透明基材フィルムとを積層すればよい。
【0076】
以上の説明では、マイクロレンズアレイシート31が、透明基材フィルム32にマイクロレンズアレイ30を積層したものであるとして説明した。しかし、透明基材フィルムを使用せず、代わりに平面型を使用し、マイクロレンズアレイ30を形成する際に凹型と対平面型を対向させ、そのギャップを調整することによって、透明基材フィルム32を同時に同一材料で形成することができる。ただし、平面型は紫外線等の電離放射線を透過するものであり、さらに硬化したマイクロレンズアレイ材に対して離型性があることが必要である。
【0077】
反射部5は、空気層5aと反射層5bとを備えている。反射部の厚さ(高さ)は約12±2μm、幅は全体の幅を100とすると、反射層の幅が55〜70、空気層の幅が30〜45である。
【0078】
反射層5bは、レンズ部1の背面側において、紙面奥行き方向に延びる矩形状の断面形状であり、紙面左右方向に沿って等間隔に複数配列され、ストライプ状に形成されている。反射層5bは、バックライト部20から射出される光Pうち、反射層5bに入射する光を背面側に反射し、この反射光を反射板20bで再反射させるものである。そして、反射板20bで再反射した光を、再度、表示画面側へ射出させることで、光の利用効率を高めることができる。
【0079】
反射層5bの材質は、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等の金属粒子を分散混合してなるインキを塗布形成、または転写形成したもの、金属箔をラミネート形成したもの、銀などの金属材料を蒸着したもの等を採用することができる。なお、反射層の断面形状は、矩形断面に限定されない。例えば、台形断面や、これら矩形断面、台形断面の背面側の角部を丸めた断面形状などを採用することができる。
【0080】
各反射層5bの間には、開口部が形成されており、この開口部が空気層5aとして構成されている。この空気層5aは、接合層6の表示画面側の表面とレンズ部1の背面側の界面との間で、レンズ部1における後述する複数のレンズのそれぞれに対する光の入射範囲を規制するものである。空気層5aは、後述する接合層6より屈折率が低く、一度拡散層7で拡散した光が、接合層6と空気層5aとの間で界面屈折することで、空気層5aを通過してレンズ部1に対して大きな入射角で入射する光を、中央に再度集めることができる。
【0081】
レンズ部1は、空気層5aを通って表示画面側に透過する拡散光を集光するため、複数の光学素子、例えばレンズを、それぞれ異なる空気層5aに対向させて等間隔でアレイ状に配列したものである。レンズ部1は、例えばPET樹脂、PC樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押し出し成形法、射出成形法、あるいは熱プレス成形法によって形成することができる。もしくは紫外線(UV)硬化性樹脂を用いて成形することができる。
【0082】
また、レンズ部1はレンズ部31と同じ素材を使用することが好ましい。光源からの熱によって、バックライト調光用光学シートが光源側に凸に反る傾向があり、レンズ部1と31を同じ素材にすることで反りを軽減することができる。
【0083】
レンズ部1は、表示画面側に凸に形成されたレンズ面1aが図中紙面奥行き方向に延ばされた凸シリンドリカルレンズを単位レンズとする、凸シリンドリカルレンズアレイからなる。すなわち、レンチキュラーレンズとして構成されている。該凸シリンドリカルレンズアレイは高さ50〜60μm、ピッチ130〜140μmのものが好ましい。
【0084】
なお、レンズ面の形状は、必要な集光性能に応じて、周知の適宜のレンズ面形状、例えば、球面、楕円面などを採用してもよい。また、集光効率を向上するために、楕円面を基準面とし高次項により補正を加えた非球面形状としてもよい。
【0085】
ここで、接合層6は、反射部5が設けられたレンズ部1に対して拡散層7を積層一体化するためのものであり、拡散層7と反射部5とが接合層6を介して貼りあわされている。
接合層6の厚さは20μm以上が好ましい。20μmより薄い場合、80℃以上の高温下において剥がれが生じてしまう。また、接合層の厚さの上限は原理的にはないが、コストの面で40μm程度までが好ましい。
【0086】
接合層6の構成材料としては、光透過性の粘着剤等が挙げられる。本実施形態の粘着剤の主原料は、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ビニル系等の高分子材料のうち少なくとも何れかからなり、これら高分子材料中に粘着付与剤、粘着調整剤等の添加剤を含んでいるものが好ましい。
【0087】
また、上記の粘着剤には、球形または無定形の形状で、かつ有機または無機の微粒子からなる微粒子が含まれている。微粒子を含ませることで、粘着剤の弾性率が適度になり、粘着剤の流動性が減少して、接合時に空気層が保持される。微粒子が含まれない場合、80℃以上の高温下で粘着剤が流動し、空気層をつぶしてしまう。
【0088】
接合層6に用いられる粘着剤の具体的な製造方法としては、まず光拡散微粒子を分散させた有機溶剤中に主原料の高分子材料、様々な添加剤を混合撹拌することで、光拡散微粒子を粘着剤中に分散させ、分散液を製造する。さらに、この分散液に架橋剤を混合し、基材に塗布・乾燥を行うことによって粘着剤が得られる。この時用いる基材は、安価なPET等の基材に離型処理を施したフィルムを使用しても良い。また、基材への塗布方式、乾燥方式としては特に制限はない。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例をもとに説明する。マイクロレンズの形状を種々変化させた場合の光源の明暗ムラを打ち消す能力を比較した。光源にCCFLを用い、CCFLからバックライト調光用光学シートまでの距離39mm、CCFL間の距離18mmの条件にてバックライト調光用光学シート越しの光源の明暗のムラの程度を目視にて比較した。
【0090】
バックライト調光用光学シートとして、図1の21構成のサンプルシート作成し、使用した。
【0091】
<評価>明暗のムラが目視で感知できる状態を「×」、感知できない状態を「○」とし評価を実施した。(h:マイクロレンズの高さ、L:マイクロレンズの底辺の一片の長さ、r:マイクロレンズの頂部の球の半径)。
【0092】
<実施例1>
h=70μm、r/L=0.1として固定し、Lを変化した場合の明暗ムラを評価した。結果を表1に示したが、マイクロレンズの底辺の一片の長さ(L)が40〜50μmの範囲において肉眼(目視)で感知できないという良好な結果であった。
【0093】
<実施例2>
L=45μm、r/L=0.1として固定し、hを変えた場合の明暗ムラを評価した。
結果を表2に示したが、マイクロレンズの高さ(h)が10〜200μmの範囲において目視で明暗ムラが感知できなかった。
【0094】
<実施例3>
L=45μm、h=70μmと固定し、r/Lを変化した場合の明暗ムラを評価した。
結果を表3に示したが、マイクロレンズの頂部の球の半径(r)/マイクロレンズの底辺の一片の長さ(L)が0.05〜0.4の範囲で目視で明暗ムラが感知できなかった。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
以上より、輝度制御部材と拡散層とを一体化したバックライト調光用光学シートにおいて、光源側の拡散板面に底部の直径Lが40μm〜50μm、高さが10μm〜200μmである円錐状のマイクロレンズアレイを密に配列し、各マイクロレンズの頂部の前記球面の曲率半径rの前記Lに対する比r/Lが0.05〜0.4、とした場合、光源の明暗のムラを目視で感知することができない程度に低減することができるという結果を得た。
【0099】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0100】
例えば、上述した実施形態では、ディスプレイ装置として、特にカラー表示の構成について説明しなかったが、液晶表示部の目視する側にカラーフィルタを設けるといった周知の構成を付加すれば、カラー表示を行うディスプレイ装置にも適用できることは言うまでもない。
【0101】
また、本発明によるバックライト調光用光学シートは、使用者側レンズ面がレンチキュラーレンズシートであるものに限定されることなく、プリズムシートやその他の単位レンズをアレイ状に配列したシートを使用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1・・・レンズ部
1a・・レンズ面
5・・・反射部
5a・・空気層(開口部)
5b・・反射層
6・・・接合層
7・・・拡散層
8・・・接着剤層
20・・バックライト部
20a・光源
20b・反射板
21・・バックライト調光用光学シート
22・・液晶表示部
23・・バックライトユニット
30・・マイクロレンズアレイ
31・・マイクロレンズアレイシート
32・・透明基材フィルム
33・・マイクロレンズの円錐状の凸部
34・・マイクロレンズの頂部
100・ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を拡散する拡散層と、該拡散層の拡散光射出側に配置されたレンズの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と、前記拡散層と前記輝度制御部材との間に形成された前記輝度制御部材のそれぞれのレンズに対する光の入射角範囲を規制する開口部を備えた反射部と、を有するバックライト調光用光学シートであって、前記拡散層の光源側表面にマイクロレンズアレイが形成されていることを特徴とするバックライト調光用光学シート。
【請求項2】
光源からの光を拡散する拡散層と、該拡散層の拡散光射出側に配置されたレンズの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材と、前記拡散層と前記輝度制御部材との間に形成された前記輝度制御部材のそれぞれのレンズに対する光の入射角範囲を規制する開口部を備えた反射部と、を有するバックライト調光用光学シートであって、前記拡散層の光源側表面に接着剤層を介して、マイクロレンズアレイが形成されたマイクロレンズアレイシートが一体化されていることを特徴とするバックライト調光用光学シート。
【請求項3】
前記マイクロレンズアレイシートが、透明基材フィルムとその上に形成されたマイクロレンズアレイよりなることを特徴とする請求項2に記載のバックライト調光用光学シート。
【請求項4】
前記マイクロレンズアレイシートが、透明基材フィルムとその上に形成されたマイクロレンズアレイよりなり、さらに該透明基材フィルムと該マイクロレンズアレイが同一材料を用いて同時に形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載のバックライト調光用光学シート。
【請求項5】
前記マイクロレンズアレイは、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる各マイクロレンズが密に配列されていて、各マイクロレンズの形状が頂部は球面の一部をなし、底部の直径Lは40μm〜50μm、高さは10μm〜200μmである円錐状であり、前記頂部の球面の曲率半径rの底部の直径Lに対する比(r/L)が0.05〜0.4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックライト調光用光学シート。
【請求項6】
前記マイクロレンズアレイに粒径10μm以下の光拡散性微粒子を10wt%〜30wt%の割合で添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックライト調光用光学シート。
【請求項7】
光線入射側と射出側の基材が等しいことを特徴とする、請求項1記載のバックライト調光用光学シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のバックライト調光用光学シートを備えていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項9】
請求項8記載のバックライトユニットを備えていることを特徴とするディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−107934(P2010−107934A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28179(P2009−28179)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】