説明

バックリット用インクジェット記録材料

【課題】優れたインク吸収性と光遮蔽性を有し、且つディスプレイの中から漏れ光が生じないバックリット用インクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】光透過性支持体の一方の面に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子として非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子から選ばれる少なくとも一種を主体として含有するインク受容層と、該光透過性支持体の反対面に裏塗り層を有するバックリット用インクジェット記録材料であって、該インク受容層と裏塗り層が酸化チタンを含有することを特徴とするバックリット用インクジェット記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックリット用インクジェット記録材料に関する。詳しくは優れたインク吸収性と光遮蔽性を有し、且つディスプレイの中から漏れ光が生じないバックリット用インクジェット記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
バックリット用インクジェット記録材料は、インクジェットプリンターにて画像を記録した後、画像観察面(画像記録面)の逆側(背面側)から光を当てて透過画像を表示する記録材料であり、インクジェットプリンターによってフルカラープリントした記録材料が、例えばデパート、地下鉄や鉄道等の駅のホーム、レストラン、ホテルのロビーその他様々な場所において、ディスプレイ広告として使用されている。
【0003】
透過光によって画像を観賞あるいは観察するバックリット用インクジェット記録材料は光透過性を有することが必須であり、バックリット用インクジェット記録材料の支持体にはプラスチック樹脂フィルムに代表される光透過性支持体が用いられる。しかし光透過性支持体は、従来からインクジェット記録材料の分野で一般的に用いられている紙支持体等と異なり全くインク吸収性がないので、インク受容層は打ち込まれた全てのインクを吸収しなければならない。また、高精彩な記録画像を得るとの観点からもバックリット用インクジェット記録材料のインク受容層には高いインク吸収性が要求される。
【0004】
特開平11−105409号公報(特許文献1)には、シリカを含む微粒子とバインダー樹脂で構成される、多孔質の光拡散性のインク受容層を有するバックリット用インクジェット記録材料が記載され、特開2001−341410号公報(特許文献2)には、平均二次粒子径が500nm未満の無機微粒子、親水性ポリマー、及び平均二次粒子径が500nm以上の無機微粒子を含有し、ヘーズ値が25%以下のインク受容層を有するバックリット用インクジェット記録材料が記載される。しかしながらこれら記録材料の光遮蔽性は十分でなく、記録材料の背面側に配置される光源(照明)が見えてしまうといった問題があった。
【0005】
一方、酸化チタンに代表される光遮蔽剤を利用することで十分な光遮蔽性が得られることは従来から知られており、例えば特開平11−277882号公報(特許文献3)には、ゼラチンと水溶性ポリマー、及び酸化チタンに代表される光遮蔽剤を含有するインク受容層を有するバックリット用インクジェット記録材料が記載される。
【0006】
しかしながら光遮蔽剤として作用するに十分な量の酸化チタンを含有する多孔質のインク受容層を光透過性支持体上に塗設した場合、インク受容層に白抜けが生じ、ディスプレイの中から漏れ光が生じ、ディスプレイ広告の品質が著しく低下するという問題があり改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−105409号公報
【特許文献2】特開2001−341410号公報
【特許文献3】特開平11−277882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の課題は、優れたインク吸収性と光遮蔽性を有し、且つディスプレイの中から漏れ光が生じないバックリット用インクジェット記録材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の上記課題は以下の手段で解決された。
1.光透過性支持体の一方の面に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子として非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子から選ばれる少なくとも一種を主体として含有するインク受容層と、該光透過性支持体の反対面に裏塗り層を有するバックリット用インクジェット記録材料であって、該インク受容層と裏塗り層が酸化チタンを含有することを特徴とするバックリット用インクジェット記録材料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れたインク吸収性と光遮蔽性を有し、且つディスプレイの中から漏れ光が生じないバックリット用インクジェット記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
インク受容層の構成について説明する。本発明のインク受容層は、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子として非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子から選ばれる少なくとも一種を主体として含有する。ここで主体とは、インク受容層の全固形分量に対して、非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子から選ばれる少なくとも一種の無機微粒子の固形分量が50質量%以上であることを意味し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
【0012】
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
【0013】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独又は四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
【0014】
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の1つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
【0015】
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。また気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0016】
本発明では、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカも好ましく使用できる。好ましい平均二次粒子径は10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
【0017】
粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。
【0018】
本発明における平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法について詳細に説明する。まず、水を主体とする分散媒中に湿式法シリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、又はローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
【0019】
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散あるいは粉砕に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。かかるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は2000〜10万が好ましく、特に2000〜3万がより好ましい。カチオン性ポリマーの添加量は、シリカに対して1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0020】
また本発明では無機微粒子として平均二次粒子径が500nm以下のアルミナ又はアルミナ水和物も好適に用いられる。アルミナ又はアルミナ水和物は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者のいずれかを使用してもよいし、併用してもよい。
【0021】
本発明に用いることのできる酸化アルミナは、平均二次粒子径が50〜300nmであることがより好ましい。酸化アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは50〜300nm程度まで分散したものが好ましく使用できる。
【0022】
本発明に用いることのできるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。酸化アルミニウム含水物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nmである。
【0023】
本発明に用いられるアルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、メタンスルホン酸、塩酸、硝酸等の公知の分散剤によって平均二次粒子径が500nm以下まで分散されたものが好ましく用いられる。
【0024】
また上記に記載した平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物は、併用して使用することができる。好ましい併用方法としては、気相法シリカ(A)と湿式法シリカ(B)がA/B=70/30〜30/70の質量比で含有させる方法、もしくは気相法シリカ(A)と、該気相法シリカよりも平均一次粒子径が小さい酸化アルミニウム(C)をA/C=70/30〜30/70の質量比で含有させる方法等がある。このようにして併用することにより、単独で使用するより塗工液の経時安定性が高くハンドリング性が良好となる場合がある。
【0025】
インク受容層の固形分量は、インク受容層が含有する平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子の固形分量として、10〜50g/mの範囲が好ましく、12〜40g/mの範囲がより好ましく、特に15〜35g/mの範囲が好ましい。
【0026】
本発明のインク受容層は、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有することが好ましい。かかるバインダーとしては、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の各種セルロース誘導体が挙げられる。これら親水性バインダーは2種類以上併用することも可能である。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。好ましい親水性バインダーは完全又は部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変成ポリビニルアルコールである。
【0027】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分又は完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0028】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0029】
インク受容層におけるバインダーの含有量は、インク受容層が主体に含有する平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に10〜35質量%がインク受容層内に微細な空隙を形成し、多孔質な層を形成するために好ましい。
【0030】
本発明のインク受容層には、上記したバインダーと共に硬膜剤を含有することができる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、米国特許第2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ほう砂、ほう酸、ほう酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。特にほう砂、ほう酸、ほう酸塩類等の含ほう素化合物を含有するのが好ましく、これらを1種又は2種以上組み合わせることもできる。ほう酸塩としては、オルトほう酸塩、メタほう酸塩、二ほう酸塩、四ほう酸塩、五ほう酸塩等が挙げられる。
【0031】
本発明のインク受容層には、発色性や耐水性を向上させるために、カチオン性定着剤を含有させることができる。本発明におけるカチオン定着剤としては、気相法シリカ及び湿式法シリカの分散あるいは粉砕に使用するカチオン性化合物として前述した各種カチオン性ポリマーや、各種多価金属類が使用できるが、中でも水溶性アルミニウム化合物や水溶性ジルコニウム化合物に代表される水溶性多価金属を用いることが好ましい。これらの化合物は、無機塩や有機酸の単塩及び複塩、金属錯体等のいずれであっても良い。
【0032】
水溶性アルミニウム化合物は、例えば、無機塩としては塩化アルミニウム又はその水和物、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
【0033】
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2又は3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0034】
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
【0035】
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
【0036】
水溶性ジルコニウム化合物は、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。
【0037】
これらの水溶性ジルコニウム化合物の中でもインク受容層を形成する塗布液に安定に添加でき、優れた滲み耐性を示す酢酸ジルコニウム(ジルコニル)化合物は特に好ましい。これらのものは、第一稀元素化学工業(株)からジルコゾールZA−20、ZA−30等、又は日本軽金属(株)等からも市販されている。
【0038】
上記カチオン性定着剤の添加量は、平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子の固形分量に対して10固形分質量%以下が好ましく、0.5〜8固形分質量%がより好ましい。
【0039】
本発明におけるインク受容層には、平均粒子径100nm以下でガラス転移温度Tgが40℃以下のポリマーラテックス及び炭素数3〜5のアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上を含有せしめることができる。
【0040】
上記ポリマーラテックスは、乳化重合法で重合されたポリマーラテックスであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステル系ラテックス、ポリメタクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス等が好ましく用いられる。
【0041】
上記ポリマーラテックスはインク受容層が含有する平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子の固形分量に対して5〜30固形分質量%使用するのが好ましく、5〜20固形分質量%が更に好ましい。
【0042】
前記炭素数3〜5のアルカンジオールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールがあり、それらの異性体はいずれも含まれる。また、3−メチル−1,3−ブタンジオール等のような分岐のブタンジオールも含まれる。これらの中でも、炭素数が3〜4のプロパンジオールやブタンジオールが好ましく、特にプロパンジオールが好ましい。プロパンジオールとしてはプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)とトリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)があり、特にプロピレングリコールが好ましい。該化合物の添加量は、平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子の固形分量に対して0.1〜50固形分質量%が好ましく、1〜20固形分質量%が更に好ましい。
【0043】
本発明のインク受容層は酸化チタンを含有する。かかる酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型のいずれであっても良く、例えば石原産業(株)より市販されるタイペークCR−60(平均粒径0.21μm)、CR60−2(平均粒径0.21μm)、CR−50(平均粒径0.25μm)、CR−58(平均粒径0.28μm)、堺化学工業(株)より市販されるSR−1(平均粒径0.26μm)、テイカ(株)より市販されるTITANIX JR301(平均粒径0.30μm)、WP0042(平均粒径0.34μm)、JR−1000(平均粒径1.0μm)等を入手し、利用することができる。酸化チタンの平均粒径は0.18〜0.3μmであることが好ましい。インク受容層が含有する酸化チタンの量は0.1〜5g/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3〜3.0g/mの範囲である。
【0044】
インク受容層は単層であっても2層であっても良いが2層であることが好ましく、特に光透過性支持体に近いインク受容層が酸化チタンを含有することが好ましい。またその際には光透過性支持体から離れたインク受容層が酸化チタンを実質的に含有しないことが好ましい。ここで実質的に含有しないとは、酸化チタンを含有しても0.1g/m未満であることを意味する。インク受容層をこのような積層構造とすることで、より優れたインク吸収性と光遮蔽性が得られる。また酸化チタンを含有する光透過性支持体に近いインク受容層の固形分量は、平均二次粒子径が500nm以下の非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子の固形分量として1〜5g/mであることが好ましく、より好ましくは2〜4g/mである。
【0045】
本発明のインク受容層は、インク吸収性と塗層強度を損なわない範囲で必要に応じ、有機顔料、分散剤、画像保存剤、消泡剤、可塑剤、架橋剤、着色剤、その他の添加剤を含有していても良い。
【0046】
本発明の裏塗り層には塗布適性とプリンター搬送性を高めるために無機微粒子を含有させることが好ましい。使用できる無機微粒子は特に限定されないが、裏塗り層がインク受容層のように多孔質な層であると、インク受容層に記録した画像の裏写りが生じる場合がある。また高い光透過性を維持する等の観点から、裏塗り層には平均一次粒子径が40nm以下のコロイダルシリカを含有させるのが好ましい。使用できるコロイダルシリカとして、例えば、日産化学工業(株)からスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−S、ST−XS、ST−AK等が市販されているほか、(株)ADEKAからアデライトとして市販されているものがある。これらコロイダルシリカは、裏塗り層が含有するバインダーに対して50〜400質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜200質量%である。上記範囲にすることによって、優れた塗布適性とプリンター搬送性、更には高い層強度を得ることができる。
【0047】
本発明の裏塗り層に使用されるバインダーとしてはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等の重合体又はこれらの誘導体や、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、澱粉類、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体等が使用できるが、溶剤の裏写りを防止する効果を高めるためにはポリビニルアルコール系化合物が好ましい。
【0048】
ポリビニルアルコール系化合物の中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分又は完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0049】
本発明の裏塗り層には前記バインダーと共に硬膜剤を用いることもできる。かかる硬膜剤としては、前記したインク受容層の硬膜剤と同様の化合物が挙げられる。
【0050】
本発明において、裏塗り層は酸化チタンを含有する。裏塗り層が含有する酸化チタンとしては、前記したインク受容層が含有する酸化チタンと同様のものが挙げられる。裏塗り層が含有する酸化チタンの平均粒径は0.18〜0.3μmであることが好ましい。裏塗り層が含有する酸化チタンの量は0.1〜5g/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3〜3.0g/mの範囲である。
【0051】
本発明において、裏塗り層には必要に応じて、界面活性剤、有機顔料、着色剤等を添加することもできる。
【0052】
本発明において、裏塗り層の塗布量は得られる記録材料のカール性等を考慮して決定される。裏塗りの塗布量としては固形分で3〜25g/mであり、好ましくは8〜18g/mである。
【0053】
本発明において酸化チタンは分散剤を添加して分散することもできる。分散剤としては、公知のカチオン系化合物、アニオン系化合物、ノニオン系化合物等の分散剤を使用することができる。また酸化チタンの分散には、公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
【0054】
本発明において、インク受容層及び裏塗り層の塗工方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。上記塗工方式の中でも、特に前計量タイプであるスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式が好ましく用いられる。
【0055】
本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。なお、光透過性支持体のヘーズは30%以下であることが好ましい。
【0056】
ヘーズとは、JIS−K7105において以下で定義されている値であり、値が低い方が透視性に優れる。
H=(Td/Tt)×100(%)
H:ヘーズ
Td:拡散光線透過率
Tt:平行光線透過率
【0057】
上記光透過性支持体の厚みは、カール性や取り扱いやすさ等から50〜250μm程度のものが好ましい。
【0058】
プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体にインク受容層等の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
【0059】
プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上には天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられ、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、以下に示す「部」は、固形分の質量部を表す。
【0061】
(実施例1)
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値4%)の両面に下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設けた後に、両面に高周波コロナ放電処理を施した。
プライマー層:塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1)の共重合体ラテックス(重量平均分子量42000)。
【0062】
<気相法シリカ分散液>
平均一次粒子径7nm、BET法による比表面積300m/gの気相法シリカ100部とジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)4部を濃度が20質量%となるように水に分散し、高圧ホモジナイザー(APVゴウリン社製、15MR−8TA型)を用いて微粒化処理を行い、平均二次粒子径が130nmの気相法シリカを含有する固形分濃度が20質量%の気相法シリカ分散液を得た。
【0063】
<酸化チタン分散液>
酸化チタン(石原産業(株)製、Tipaque CR60−2)を濃度が30質量%となるようディスパーで水分散し、酸化チタン分散液とした。
【0064】
<インク受容層塗布液1>
気相法シリカ分散液(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 22部
ほう酸 3部
界面活性剤 0.3部
全体の固形分濃度が11質量%になるように水で調整した。
【0065】
<インク受容層塗布液2>
気相法シリカ分散液(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 30部
ほう酸 3部
界面活性剤 0.3部
酸化チタン分散液(酸化チタン固形分として) 33部
全体の固形分濃度が11質量%になるように水で調整した。
【0066】
<裏塗り層塗布液>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業(株)製、スノーテックスO、平均一次粒子径10〜20nm)
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 100部
ほう酸 12部
酢酸ジルコニウム 2部
界面活性剤 0.3部
酸化チタン分散液(酸化チタン固形分として) 18部
全体の固形分濃度が8質量%になるように水で調整した。
【0067】
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
前記光透過性支持体の一方の面に、スライドビード方式にて裏塗り層塗布液を固形分量が13g/mになるよう塗布し、60℃の高温空気中を2分間通過させた後、充分乾燥して裏塗り層を設けた。その後、光透過性支持体のもう一方の面に、光透過性支持体から近い順に、インク受容層塗布液2を乾燥固形分量が5g/m、インク受容層塗布液1を乾燥固形分量が22g/mになるよう、スライドビード方式を利用して重層塗布し、その後35℃及び50℃の熱風を順次吹き付けて乾燥し、実施例1のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0068】
(実施例2)
<湿式法シリカ分散液1>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000、4部)と沈降法シリカ(ニップシールVN3、比表面積210m/g、平均二次粒子径23μm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度30質量%の湿式法シリカ分散液1を得た。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定による湿式法シリカの平均二次粒子径は200nmであった。
【0069】
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のインク受容層塗布液1及びインク受容層塗布液2の作製に用いた気相法シリカ分散液に代えて、上記湿式法シリカ分散液1を用いた以外は同様にして、実施例2のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0070】
(実施例3)
<アルミナ水和物分散液>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30%のアルミナ水和物分散液を作製した。平均二次粒子径は160nmであった。
【0071】
<インク受容層塗布液3>
アルミナ水和物分散液(アルミナ水和物固形分として) 100部
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 12部
ほう酸 0.5部
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル) 0.3部
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
【0072】
<インク受容層塗布液4>
アルミナ水和物分散液(アルミナ水和物固形分として) 100部
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 20部
ほう酸 0.8部
界面活性剤 0.3部
酸化チタン分散液(酸化チタン固形分として) 33部
全体の固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
【0073】
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製にて用いたインク受容層塗布液1に代えて上記インク受容層塗布液3を、及びインク受容層塗布液2に代えてインク受容層塗布液4を用いた以外は同様にして、実施例3のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0074】
(実施例4)
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製にて用いたインク受容層塗布液2及び裏塗り層塗布液が含有する酸化チタン分散液を、堺化学工業(株)製、SR−1を用いて濃度が30質量%となるようディスパーで水分散した酸化チタン分散液に代えた以外は同様にして、実施例4のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0075】
(比較例1)
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液2を用いずインク受容層塗布液1のみを乾燥固形分量が27g/mとなるよう単層で塗布した以外は同様にして、比較例1のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0076】
(比較例2)
<インク受容層塗布液7>
ゼラチン 100部
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 100部
酸化チタン分散液(酸化チタン固形分として) 33部
全体の固形分濃度が5質量%になるように水で調整した。
【0077】
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製にて用いたインク受容層塗布液2に代えて上記インク受容層塗布液7を、乾燥固形分量が7.1g/mとなるよう重層塗布した以外は同様にして、比較例2のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0078】
(比較例3)
<湿式法シリカ分散液2>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000、4部)と沈降法シリカ(ニップシールVN3、比表面積210m/g、平均二次粒子径23μm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率70容量%、円盤周速8.0m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度30質量%の湿式法シリカ分散液2を得た。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定による湿式法シリカの平均二次粒子径は800nmであった。
【0079】
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インク受容層塗布液1及びインク受容層塗布液2の作製に用いた気相法シリカ分散液に代えて、上記湿式法シリカ分散液2を用いた以外は同様にして、比較例3のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0080】
(比較例4)
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製にて用いたインク受容層塗布液2及び裏塗り層塗布液が含有する酸化チタン分散液を、硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、バリエースB−35)を濃度が30質量%となるようディスパーで水分散した硫酸バリウム分散液に代えた以外は同様にして、比較例4のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0081】
(比較例5)
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製にて用いたインク受容層塗布液2及び裏塗り層塗布液が含有する酸化チタン分散液を、炭酸マグネシウム(神島化学工業(株)製、GP30N)を濃度が30質量%となるようディスパーで水分散した炭酸マグネシウム分散液に代えた以外は同様にして、比較例5のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0082】
(比較例6)
<バックリット用インクジェット記録材料の作製>
実施例1のバックリット用インクジェット記録材料の作製にて用いたインク受容層塗布液2及び裏塗り層塗布液が含有する酸化チタン分散液を、炭酸カルシウム(白石工業(株)製、Brilliant−15)を濃度が30質量%となるようディスパーで水分散した硫酸カルシウム分散液に代えた以外は同様にして、比較例6のバックリット用インクジェット記録材料を得た。
【0083】
得られた実施例1〜4及び比較例1〜6のバックリット用インクジェット記録材料をA3サイズに裁断して下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0084】
<インク吸収性>
セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター(PX−7550)にてレッド、ブルー、グリーン、ブラックをそれぞれ100%で印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:全く転写しない。
○:やや転写する。
△:転写はあるが実使用可。
×:転写が大きく実使用不可。
【0085】
<光遮蔽性>
セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター(PX−7550)にてレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、蛍光灯から1m離れた場所に裏面から蛍光灯が当たるように設置し、印字した画像を目視で観察した。下記の基準で評価した。
○:画像がはっきりわかる。
△:画像部全体が少し明るくなるが実使用可。
×:画像部全体が明るくなり光源が見え実使用不可。
【0086】
<白抜けの観察>
セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター(PX−7550)にて各バックリット用インクジェット記録材料を10枚印字して、蛍光灯から1m離れた場所に裏面から蛍光灯が当たるように設置し、印字面側から見て光が漏れている白抜けがあるかどうか10枚それぞれ観察し評価した。
○:白抜けが全くない。
×:白抜けが1枚でも観察される。
【0087】
【表1】

【0088】
表1の試験結果から明らかなように、本発明により優れたインク吸収性と光遮蔽性を有し、且つディスプレイの中から漏れ光が生じないバックリット用インクジェット記録材料が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性支持体の一方の面に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子として非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物子から選ばれる少なくとも一種を主体として含有するインク受容層と、該光透過性支持体の反対面に裏塗り層を有するバックリット用インクジェット記録材料であって、該インク受容層と裏塗り層が酸化チタンを含有することを特徴とするバックリット用インクジェット記録材料。

【公開番号】特開2012−240301(P2012−240301A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112425(P2011−112425)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】