説明

バックル本体と取付具の連結構造及びその製造方法

【課題】バックル本体と取付具との間の距離が短く、バックル本体と取付具がウエビングの縫製部分に近接している場合であっても、ウエビングを重ねた状態での縫製を一層容易に行うことができるようにする。
【解決手段】ウエビング5を、バックル本体3及び取付具4のウエビング挿通孔9,11に通した状態で、ウエビング5の一端部5a及び他端部5cを中間部5bに重ね合わせて3重の状態にする((a))。次に、その3重の部分を仮縫製用押え治具15により押えて仮縫製部18を形成することにより仮止めをする((b))。次に、仮止めした3重の部分を本縫製用押え治具19により押えて本縫製部21を形成して連結が完了する((c))。本縫製部21を形成する際には、仮縫製部18により3重に重ねた部分の形態を保持しておくことができるため、本縫製部21を良好に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるシートベルト装置において、バックル本体と、車体またはシートフレーム等に取り付けられる取付具とをウエビングにより連結する構成の、バックル本体と取付具の連結構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバックル本体と取付具の連結構造としては、次のような構成が一般的である。すなわち、帯状をなすウエビングの長手方向の一端部をバックル本体のウエビング挿通孔に通して折り返すとともに、前記ウエビングの他端部を前記取付具のウエビング挿通孔に通して前記バックル本体側に折り返し、前記バックル本体と前記取付具との間において前記ウエビングの一端部及び他端部を当該ウエビングの中間部に重ね合わせて3重の重ね合わせ状態とする。そして、前記ウエビングの前記3重に重ね合わせた部分を、縫製用のミシンの押え治具により押えると共に作業者が手指で押えた状態で、ミシンにより縫製して縫合する。
【0003】
ところで、上記したようにウエビングの一端部及び他端部を当該ウエビングの中間部に重ね合わせて3重の重ね合わせ状態で縫製する場合、当該3重の重ね合わせ形態が崩れないように作業者が手指で保持しつつ縫製する必要がある。この場合、3重に重ね合わせた形態が崩れた状態で縫合されると、見かけが悪くなったり縫い強度が不足したりして、不良品となってしまう。特に、バックル本体と取付具との間の距離が短く、バックル本体と取付具が縫製部分に近接している場合には、ウエビングの前記3重の重ね合わせ部分を保持するために十分なスペースを確保することが難しくなるので、それら3重に重ね合わせた形態が崩れやすく、縫製作業が難しくなるという問題があった。
【0004】
そこで、このようなことに対処するものとして、特許文献1に示すような方法が考えられている。これは、次のような方法である。まず、ウエビングの長手方向の一端部を、バックル本体または取付具のいずれか一方のウエビング挿通孔に通して折り返し、当該ウエビングの中間部に重ね合わせて2重の重ね合わせ状態とし、その2重に重ね合わせた部分をミシンで縫合することにより第一縫製部を形成する。この後、前記ウエビングの他端部を、前記バックル本体または取付具のいずれか他方のウエビング挿通孔に通して折り返し、そのウエビングの他端部を前記第一縫製部で縫製した部分に重ねあわせて3重の状態とし、その3重に重ね合わせた部分を、再度ミシンで縫合することにより第二縫製部を形成するようにしている。
【0005】
この場合、第二縫製部を形成する際には、第一縫製部で縫製した2重の部分と他端部とを押さえるだけでよいため、3重の重ね合わせ状態の保持を比較的狭いスペースで行うことができる。このため、バックル本体と取付具が縫製部分に近接している場合であっても、ウエビングを3重に重ねた状態での縫製を比較的容易に行うことができる。
【特許文献1】特許第4068823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1のものでは、次のような欠点がある。すなわち、第一縫製部を形成する際に、ウエビングの一端部を当該ウエビングの中間部に重ね合わせて形態を整える必要があるとともに、第二縫製部を形成する際にも、ウエビングの他端部を、第一縫製部で縫製した部分に重ね合わせて形態を整える必要がある。このため、第一縫製部及び第二縫製部を形成するごとにウエビングの重ね合わせ部分の形態を整える必要があり、面倒である。
【0007】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バックル本体と取付具との間の距離が短く、バックル本体と取付具がウエビングの縫製部分に近接している場合であっても、ウエビングを重ねた状態での縫製を一層容易に行うことができる、バックル本体と取付具の連結構造及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1のバックル本体と取付具の連結構造は、ウエビング挿通孔を有するバックル本体と、ウエビング挿通孔を有し車体またはシートフレーム等に取り付けられる取付具と、前記バックル本体と前記取付具とを連結する帯状のウエビングとを備え、前記ウエビングを前記バックル本体の前記ウエビング挿通孔に通すとともに前記取付具の前記ウエビング挿通孔に通し、前記ウエビングの長手方向の一端部及び他端部を、前記バックル本体と前記取付具との間において当該ウエビングの中間部に重ね合わせ、その重ね合わせ部分を仮止めした仮止め部と、前記ウエビングの前記仮止め部により仮止めした部分を縫合することにより形成された本縫製部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、同様な目的を達成するために、本発明の請求項3のバックル本体と取付具の連結構造の製造方法は、ウエビング挿通孔を有するバックル本体と、ウエビング挿通孔を有し車体またはシートフレーム等に取り付けられる取付具と、前記バックル本体と前記取付具とを連結する帯状のウエビングとを備え、前記ウエビングを前記バックル本体の前記ウエビング挿通孔に通すとともに前記取付具の前記ウエビング挿通孔に通し、前記ウエビングの長手方向の一端部及び他端部を、前記バックル本体と前記取付具との間において当該ウエビングの中間部に重ね合わせ、その重ね合わせた部分を仮止めする仮止め部を形成し、この後、前記前記ウエビングの前記仮止め部を形成した部分を縫合することにより本縫製部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、バックル本体と取付具の連結構造において、ウエビングの一端部及び他端部を当該ウエビングの中間部に重ね合わせた部分を仮止めする際には、重ねた部分の仮止めができればよいため、比較的狭い範囲でも容易に行うことができる。そして、本縫製部を形成する際には、仮止め部により重ねた部分の形態を保持しておくことができるため、その重ね合わせ部分を必ずしも手指で保持する作業を行わなくても、本縫製部を良好に形成することができる。従って、請求項1の発明においては、バックル本体と取付具がウエビングの縫製部分に近接している場合であっても、ウエビングを重ねた状態での縫製を容易に行うことができる。また、重ねた部分の形態を整えるのは、基本的に仮止め部を形成する際の一度でよいため、ウエビングを重ねた状態での縫製を一層容易に行うことができる。
【0011】
請求項3の方法の発明においても、請求項1の発明と同様な作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
本発明の連結構造は、例えば図5に示すように、自動車(車両)のリアシート1に装備されるシートベルト装置2に適用されるものであり、図2の(a)及び(b)に示すように、バックル本体3と、取付具4と、ウエビング5とを備える。
【0013】
バックル本体3は、図5に示す連続ウエビング6側のタングプレート7を連結・解離可能に構成されており、一端部に前記タングプレート7を挿入可能な挿入口8を有している。このバックル本体3は、前記挿入口8とは反対側の他端部にウエビング挿通孔9(図1〜図3参照)を有している。ウエビング挿通孔9は、ウエビング5の幅方向に長い長孔状に形成されている。
【0014】
前記取付具4は、自動車の車体側に取り付けられる、例えば金属板製のもので、一端部側にボルト挿通孔10を有し、そのボルト挿通孔10とは反対側の他端部側にウエビング挿通孔11を有している。このウエビング挿通孔11も、前記バックル本体3のウエビング挿通孔9と同様に、ウエビング5の幅方向に長い長孔状に形成されている。この取付具4は、例えば、リアシート1における座面部分12aの下部で、かつ背もたれ部12b寄りの部位に位置させて、前記ボルト挿通孔10を通した図示しないボルトにより車体側に取付固定される。
【0015】
前記ウエビング5は、繊維材料により形成された帯状の部材であり、後述するように前記バックル本体3と取付具4とを連結するためのものである。この場合、ウエビング5の幅寸法A1(図2(a)参照)は、バックル本体3におけるウエビング挿通孔9の長手方向寸法B1、及び取付具4におけるウエビング挿通孔11の長手方向寸法B2とほぼ同じとなるように設定されている。
【0016】
このウエビング5によりバックル本体3と取付具4とを連結する手順について説明する。
まず、図3に示すように、ウエビング5の長手方向の一端部5aをバックル本体3のウエビング挿通孔9に通してウエビング5の中間部5b側(図3において、取付具4側)へ折り返すとともに、ウエビング5の他端部5cを取付具4のウエビング挿通孔11に通してウエビング5の中間部5b側(図3において、バックル本体3側)へ折り返し、図1(a)の(イ)及び(ロ)に示すように、バックル本体3と取付具4との間において、ウエビング5の一端部5a及び他端部5cを中間部5bに重ね合わせて3重の状態にする。
【0017】
そして、これらを、図1(b)の(ロ)に示すように、縫製用のミシン本体13における滑り板14上に載置し、ウエビング5の一端部5aと他端部5cと中間部5bの3重の重ね合わせ部分の形態を整えた状態で、その3重の部分を仮縫製用押え治具15により上から押さえる。このとき、仮縫製用押え治具15には、図4に示すように、ウエビング5の幅方向の前後両端部に対応する部位に下向きの規制凸部15a,15bが一体に設けられていて、これら前後の規制凸部15a,15bにより、ウエビング5の3重に重ねた部分の幅方向のずれを規制することができる。
【0018】
このようにウエビング5の3重に重ねた部分を仮縫製用押え治具15により押えるとともに、必要に応じて作業者が手指にて押えた状態で、ミシン針16を駆動して、3重の部分を縫い糸17により縫合して仮縫製部18を形成する(図1(b)の(イ)及び(ロ)参照)。このときの仮縫製部18は、ウエビング5の幅方向に沿って延びる1本の直線状としている。この仮縫製部18を形成することで、3重に重ね合わせた部分が縫合されて仮止めされる。この仮縫製部18が本発明の仮止め部に相当する。
【0019】
次に、前記仮縫製用押え治具15に代えて、図1(c)の(イ)及び(ロ)に示すように、仮縫製用押え治具15より幅広の本縫製用押え治具19により、3重に重ね合わせた部分を押さえ、この状態でミシン針16を駆動して、3重の部分を縫い糸20により縫合して本縫製部21を形成する。この場合、本縫製部21は、四角と×とを組み合わせた模様としていて、前記仮縫製部18より広い範囲で形成されている。この本縫製部21を形成することにより、ウエビング5の3重に重ね合わされた部分がずれないように、十分な強度で縫製される。この本縫製部21を形成する場合、本縫製用押え治具19にも、仮縫製用押え治具15と同様に、ウエビング25の幅方向の前後両端部に対応する部位に下向きの規制凸部19a,19b(図1(c)の(イ)参照)が一体に設けられていて、これら前後の規制凸部19a,19bにより、ウエビング25の3重に重ねた部分の幅方向のずれを規制することができる。
【0020】
以上により、バックル本体3と取付具4との連結構造が完成する(図2参照)。なお、仮縫製部18と本縫製部21は、1台のミシンで形成しても良いし、別々のミシンで形成するようにしても良い。また、仮縫製用押え治具15が移動して、本縫製用押え治具19に入れ替わるように、可変型治具としてもよい。
【0021】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。バックル本体3のウエビング挿通孔9に通したウエビング5の一端部5aと、取付具4のウエビング挿通孔11に通したウエビング5の他端部5cを、ウエビング5の中間部5bに重ね合わせて3重の状態で仮縫製部18を形成することにより仮止めし、この後、前記3重の部分に前記仮縫製部18より広い範囲で本縫製部21を形成するようにした。これにより、ウエビング5の一端部5a及び他端部5cを当該ウエビング5の中間部5bに重ね合わせて3重とした部分を仮止めする仮縫製部18を形成する際には、3重の部分の仮止めができればよいため、比較的狭い範囲でも容易に行うことができる。なおこの場合、ウエビング5の他端部5cを上にして重ね合わせているが、一端部5aを上にして重ね合わせるようにしても同じである。
【0022】
そして、本縫製部21を形成する際には、前記仮縫製部18により3重に重ねた部分の形態を保持しておくことができるため、その重ね合わせ部分を必ずしも手指で保持する作業を行わなくても、本縫製部21を良好に形成することができる。従って、バックル本体3と取付具4との間の距離C(図2参照)が短く、バックル本体3と取付具4がウエビング5の縫製部分に近接している場合であっても、ウエビング5を3重に重ねた状態での縫製を容易に行うことができる。また、3重に重ねた部分の形態を整えるのは、基本的に仮縫製部18を形成する際の一度でよいため、ウエビング5を3重に重ねた状態での縫製を一層容易に行うことができる。
【0023】
仮止め部としては、ミシンによる縫製により形成した仮縫製部18とし、その仮縫製部18は、ウエビング5の幅方向に延びる1本の直線状としているので、簡単な縫製で、3重に重ね合わせた部分がずれることを効果的に防止することができる。また、仮縫製部18を形成する際に用いる仮縫製用押え治具15には、前後両側に下向きの規制凸部15a,15bを設けていて、これら規制凸部15a,15bによりウエビング5の幅方向への動きを規制することができるので、ウエビング5の幅方向へのずれを効果的に防止することができる。
【0024】
また、上記した実施形態において、例えばウエビング5の他端部5cを更に延長し、その他端部5cを、バックル本体3のウエビング挿通孔9にも通しウエビング5の中間部5bの下側に重ね合わせるようにして、4重に重ね合わせた状態としても、同様な作用効果を得ることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
図6及び図7は本発明の第2の実施形態を示したものであり、この第2の実施形態は、上記した第1の実施形態とは次の点が異なっている。すなわち、バックル本体3と取付具4とを連結するためのウエビング25の幅寸法A2(図7(a)参照)は、第1の実施形態のウエビング5の幅寸法A1よりも大きく形成されており、ウエビング25は、第1の実施形態のウエビング5よりも太幅に設定されている。
【0026】
このウエビング25を用いてバックル本体3と取付具4とを連結する場合の手順について説明する。なお、連結手順は、基本的には第1の実施形態と同様となる。
まず、図6に示すように、ウエビング25の長手方向の一端部25aをバックル本体3のウエビング挿通孔9に通してウエビング25の中間部25b側(図6において、取付具4側)へ折り返すとともに、ウエビング25の他端部25cを取付具4のウエビング挿通孔11に通してウエビング25の中間部25b側(図6において、バックル本体3側)へ折り返す。このとき、ウエビング25の幅寸法A2は、バックル本体3におけるウエビング挿通孔9の長手方向寸法B1、及び取付具4におけるウエビング挿通孔11の長手方向寸法B2よりも大きいため、ウエビング25にあってそれらウエビング挿通孔9,11に通す部分は、幅方向の両端部を内側へ折り返す。その折返し部分を符号25dにて示す。
【0027】
そして、図7(a)の(イ)及び(ロ)に示すように、バックル本体3と取付具4との間において、ウエビング25の一端部25a及び他端部25cを中間部25bに重ね合わせて3重の状態にする。
【0028】
そして、これらを、図7(b)の(ロ)に示すように、縫製用のミシン本体13における滑り板14上に載置し、ウエビング25の一端部25aと他端部25cと中間部25bの3重の重ね合わせ部分の形態を整えた状態で、その3重の部分を仮縫製用押え治具26により押さえる。このときも、仮縫製用押え治具26には、第1の実施形態における仮縫製用押え治具15と同様に、ウエビング25の幅方向の前後両端部に対応する部位に下向きの規制凸部26a,26b(図7(b)の(イ)参照)が一体に設けられていて、これら前後の規制凸部26a,26bにより、ウエビング25の3重に重ねた部分の幅方向のずれを規制することができる。
【0029】
このようにウエビング25の3重に重ねた部分を仮縫製用押え治具26により押えるとともに、必要に応じて作業者が手指にて押えた状態で、ミシン針16を駆動して、3重の部分を縫い糸17により縫合して仮縫製部27を形成する。このときの仮縫製部27も、ウエビング25の幅方向に沿って延びる1本の直線状としている。この仮縫製部27を形成することで、3重に重ね合わせた部分が縫合されて仮止めされる。この場合も、仮縫製部27が本発明の仮止め部に相当する。
【0030】
次に、前記仮縫製用押え治具26に代えて、図6(c)の(イ)及び(ロ)に示すように、仮縫製用押え治具26より幅広の本縫製用押え治具28により、3重に重ね合わせた部分を押さえ、この状態でミシン針16を駆動して、3重の部分を縫い糸20により縫合して本縫製部29を形成する。この場合の本縫製部29も、四角と×とを組み合わせた模様としていて、前記仮縫製部27より広い範囲で形成されている。本縫製部29を形成することにより、ウエビング25の3重に重ね合わされた部分がずれないように、十分な強度で縫製される。この本縫製部29を形成する場合、本縫製用押え治具28にも、本縫製用押え治具19と同様に、ウエビング25の幅方向の前後両端部に対応する部位に下向きの規制凸部28a,28b(図7(c)の(イ)参照)が一体に設けられていて、これら前後の規制凸部28a,28bにより、ウエビング25の3重に重ねた部分の幅方向のずれを規制することができる。
【0031】
以上により、バックル本体3と取付具4との連結構造が完成する。なお、この場合も、仮縫製部27と本縫製部29は、1台のミシンで形成しても良いし、別々のミシンで形成するようにしても良い。また、仮縫製用押え治具26が移動して、本縫製用押え治具29に入れ替わるように、可変型治具としてもよい。そうすることにより、ウエビング25の折返し部分25dを平面状に押える効果も生ずる。このような実施形態においても、上記した第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0032】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
上記した実施形態では、ウエビング5,25の長手方向の一端部5a,25aをバックル本体3のウエビング挿通孔9に通してウエビング5,25の中間部5b,25b側へ折り返すとともに、ウエビング5,25の他端部5c,25cを取付具4のウエビング挿通孔11に通してウエビング5,25の中間部5b,25b側へ折り返すことにより、ウエビング5,25の一端部5a,25a及び他端部5c,25cを中間部5b,25bに重ね合わせて3重の状態にするようにしたが、これに限られず、ウエビング5,25の一端部5a,25aをバックル本体3のウエビング挿通孔9及び取付具4のウエビング挿通孔11に順に通した後、ウエビング5,25の一端部5a,25a及び他端部5c,25cを中間部5b,25bに重ね合わせて3重の状態にするようにしても良い。また、更に重ねて4重にしてもよい。
【0033】
また、仮止め部は、ミシンで縫製する仮縫製部18,27に限られず、ウエビング5,25の3重とした部分をずれないように仮止めできれば、接着剤による接着、高周波による溶着、或いはステープル(例えばホッチキス)による接合などでも良い。
【0034】
仮縫製部18,27の縫い糸17と、本縫製部21,29の縫い糸20は、同じ種類で同じ色の糸でも良いが、違う種類の糸、違う色の糸を用いるようにしても良い。また、仮縫製部18,27の縫目模様、及び本縫製部21,29の縫目模様は、実施形態で示した縫目模様以外でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態の連結手順を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は要部の拡大縦断面図
【図2】連結完成状態を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図
【図3】ウエビングをバックル本体及び取付具のウエビング挿通孔に通した状態での斜視図
【図4】ウエビングを重ねた部分を仮縫製用押え治具にて押えた状態を示す要部の斜視図
【図5】リアシートにおけるシートベルト装置の斜視図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図3相当図
【図7】図1相当図
【符号の説明】
【0036】
図面中、1はリアシート、2はシートベルト装置、3はバックル本体、4は取付具、5はウエビング、5aは一端部、5bは中間部、5cは他端部、9はウエビング挿通孔、11はウエビング挿通孔、15は仮縫製用押え治具(押え治具)、15a,15bは規制凸部、17は縫い糸、18は仮縫製部(仮止め部)、19は本縫製用押え治具、20は縫い糸、21は本縫製部、25はウエビング、25aは一端部、25bは中間部、25cは他端部、25dは折返し部分、26は仮縫製用押え治具(押え治具)、26a,26bは規制凸部、27は仮縫製部(仮止め部)、28は本縫製用押え治具、29は本縫製部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエビング挿通孔を有するバックル本体と、ウエビング挿通孔を有し車体側に取り付けられる取付具と、前記バックル本体と前記取付具とを連結する帯状のウエビングとを備え、
前記ウエビングを前記バックル本体の前記ウエビング挿通孔に通すとともに前記取付具の前記ウエビング挿通孔に通し、前記ウエビングの長手方向の一端部及び他端部を、前記バックル本体と前記取付具との間において当該ウエビングの中間部に重ね合わせ、その重ね合わせた部分を仮止めした仮止め部と、
前記ウエビングの前記仮止め部により仮止めした部分を縫合することにより形成された本縫製部とを有することを特徴とするバックル本体と取付具の連結構造。
【請求項2】
前記仮止め部は、縫製により形成され、前記ウエビングの幅方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1記載のバックル本体と取付具の連結構造。
【請求項3】
ウエビング挿通孔を有するバックル本体と、ウエビング挿通孔を有し車体側に取り付けられる取付具と、前記バックル本体と前記取付具とを連結する帯状のウエビングとを備え、
前記ウエビングを前記バックル本体の前記ウエビング挿通孔に通すとともに前記取付具の前記ウエビング挿通孔に通し、前記ウエビングの長手方向の一端部及び他端部を、前記バックル本体と前記取付具との間において当該ウエビングの中間部に重ね合わせ、その重ね合わせ部分を仮止めする仮止め部を形成し、
この後、前記ウエビングの前記仮止め部を形成した部分を縫合することにより本縫製部を形成することを特徴とするバックル本体と取付具の連結構造の製造方法。
【請求項4】
前記仮止め部を形成する際に前記ウエビングの重ね合わせ部分を上から押える押え治具を用い、この押え治具は、前記ウエビングの幅方向の両端部に対応する部位に下向きの規制凸部を有し、これら規制凸部により前記ウエビングの幅方向への動きを規制することを特徴とする請求項3記載のバックル本体と取付具の連結構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−143267(P2010−143267A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319549(P2008−319549)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(501278423)野場電工株式会社 (18)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】