説明

バッチ処理の帳票出力状況の管理装置

【課題】 運用担当者に対し印刷時間帯と印刷枚数の情報を提供し、対応時間帯の明確化や待機時間の削減を図るための情報を提供することにある。
【解決手段】 バッチ定義、帳票定義、バッチ実行予実績、パラメタ、印刷スプールの各ファイルを記憶する記憶手段を備え、これらの各ファイルに定義されたデータに基づき、バッチ処理の帳票の印刷出力状況を管理する管理装置であって、指定された期日に実行予定のバッチ処理名及び帳票名を前記バッチ定義、帳票定義のファイルから取得し、各出力帳票のスプール開始時刻、印刷開始時刻、印刷終了時刻を算出し、さらに各出力帳票の印刷枚数、用紙交換時期をバッチ実行予実績、パラメタ、印刷スプールの各ファイルの定義情報を基に算出する手段と、算出した各出力帳票の印刷開始時刻、印刷終了時刻、印刷枚数、用紙交換時期を表示する手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチ処理の印刷帳票出力状況の管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、業務システムの運用コストの効率化の必要性が高まっており、その一つとしてオンライン終了後に日々実行されるバッチ処理の運用を限られた人数で効率よく行うことが挙げられる。その中で帳票印刷においては、当日の印刷予定、印刷枚数、用紙補給時間帯が事前に把握可能であれば、印刷担当者の人員配置や作業時間等の面で効率向上が期待できる。この技術分野では、バッチジョブの自動運転を可能とする技術、印刷帳票のスプール管理を行う技術が実現可能となっている。前者についてはJP1等の運用管理ツール、後者では特許文献1のような技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−250416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッチ処理の運用においては、処理を行うプログラム、開始時刻、実行順序などを運用管理ソフトに事前登録することにより、自動運転による処理の実行や当日の実行予定の照会は比較的容易に実現が可能である。
その半面、バッチ処理から印刷要求される帳票の運用については人手に委ねる部分が大きい。例えば、帳票印刷が開始される時刻から紙詰まりや用紙切れの対処のために常時印刷装置を人手で監視し、印刷終了まで立ち会う必要がある。バッチ処理から出力される帳票の種類、出力枚数は既存の運用管理技術のみでは把握が困難であり、印刷処理終了時刻や印刷枚数が予測できなければ、1回の処理で数万枚規模の予期しない長時間印刷が行われた場合や、バッチ処理が長時間の処理後にようやく印刷が行われる場合などに運用担当者の作業負荷あるいは待機時間などの無駄が考えられる。
【0005】
本発明の目的は、運用担当者に対し印刷時間帯と印刷枚数の情報を提供し、対応時間帯の明確化や待機時間の削減を図るための情報を提供することが可能なバッチ処理の帳票出力状況の管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のバッチ処理における帳票出力状況の管理装置は、バッチ定義、帳票定義、バッチ実行予実績、パラメタ、印刷スプールの各ファイルを記憶する記憶手段を備え、これらの各ファイルに定義されたデータに基づき、バッチ処理の帳票の印刷出力状況を管理する管理装置であって、
指定された期日に実行予定のバッチ処理名及び帳票名を前記バッチ定義、帳票定義のファイルから取得し、各出力帳票のスプール開始時刻、印刷開始時刻、印刷終了時刻を算出し、さらに各出力帳票の印刷枚数、用紙交換時期をバッチ実行予実績、パラメタ、印刷スプールの各ファイルの定義情報を基に算出する手段と、算出した各出力帳票の印刷開始時刻、印刷終了時刻、印刷枚数、用紙交換時期を表示する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、日々のバッチ処理に係る帳票印刷の実績と今後の印刷予定を画面に表示し、運用担当者が容易に印刷予定を把握し、当日の対応予定を立てる上での参考情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】バッチ定義ファイル、帳票定義ファイル、バッチ実行予実績ファイル、パラメタファイル、印刷スプールファイル、印刷処理進捗情報ファイルのデータ構成図である。
【図3】バッチ処理の帳票出力状況の管理装置の画面表示に係る処理のフローチャートである。
【図4】スプール開始時刻を算出する手段のフローチャートである。
【図5】印刷開始時刻を算出する手段のフローチャートである。
【図6】印刷終了時刻を算出する手段のフローチャートである。
【図7】バッチ処理の帳票出力状況の管理装置の画面表示例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施する場合の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態の一例を示すシステム構成図であり、バッチ処理における帳票出力状況の管理装置は、入力装置11、出力装置12、バッチ定義登録手段13、帳票定義登録手段14、バッチ実行予実績取得手段15、バッチ処理名・帳票名取得手段16、帳票スプール時刻表示手段17、帳票印刷開始時刻表示手段18、帳票印刷終了時刻表示手段19、印刷枚数表示手段20、用紙補給回数表示手段21を備えたPC本体1と、バッチ定義ファイル31、帳票定義ファイル32、バッチ実行予実績ファイル33、パラメタファイル34、印刷スプール35を備えた記憶装置3と、印刷手段41、印刷用紙補給手段42、印刷処理進捗応答手段43、印刷処理進捗情報ファイル44を備えた印刷装置4から構成される。
【0010】
PC本体1と記憶装置3、PC本体1と印刷装置4はネットワークで接続されている。
また、印刷スプールファイル35には帳票の印刷データが格納され、印刷装置4へ転送後、所定の印刷用紙への印字出力が行われる。
【0011】
バッチ定義ファイル31は、PC本体1の入力装置11とバッチ定義登録手段13を用いて、バッチ処理の構成を事前登録しておくファイルである。
帳票定義ファイル32は、PC本体1の入力装置11と帳票定義登録手段14を用いて、バッチ処理から印刷する帳票の情報を事前登録しておくファイルである。
バッチ実行予実績ファイル33は、PC本体1の入力装置11とバッチ定義登録手段13を用いて、バッチ処理の実行予定を事前登録し、またバッチ処理の実行終了後にその結果情報を保存するファイルである。
【0012】
パラメタファイル34は、バッチ処理の帳票出力状況の管理装置に必要なパラメタを登録するファイルである。
印刷スプールファイル35はバッチ処理で作成した帳票印刷データで、印刷装置4へ転送されるものである。
印刷処理進捗情報ファイル44は、印刷スプールファイルに35に対する印刷処理の進捗状況を記憶するファイルである。
【0013】
図2は、バッチ定義ファイル31、帳票定義ファイル32、バッチ実行予実績ファイル33、パラメタファイル34、印刷スプールファイル35、印刷処理進捗情報ファイル44のデータ構成図である。
バッチ定義311は、バッチ処理で実行するプログラム等の構成定義、実行予定日時と実行開始時刻などのバッチ処理の実行スケジュールに関するもの、およびその処理の所要時間見込み値が格納されている。ここでは、バッチ処理ID/バッチ処理名/実行周期/実行開始日時/実行プログラム/引数/実行順序/所要時間見込み値を事前に登録しておくこととする。このうち実行順序は、1つのバッチ処理での実行プログラムが複数ある場合の実行順序を指定するものである。実行周期/実行日時は、バッチ処理の実行スケジュールを示す。実行プログラム/引数は、バッチ処理から起動されるプログラム名とその引数を登録する。所要時間見込み値は、そのバッチ処理の実行開始後、帳票印刷を開始するまでの推定所要時間を指定する。なお、1回以上実行されたものについては、バッチ実行予実績ファイル33にて過去平均所要時間として管理することとする。
【0014】
帳票定義321は、バッチ処理のプログラムから印刷される帳票に関する情報が格納されている。ここではバッチ処理ID/帳票ID/帳票名/印刷スプール名称/印刷枚数見込み値/出力用紙を事前に登録しておくこととする。このうち帳票ID/帳票名/出力用紙は帳票に関する基本情報である。バッチ処理IDは、帳票がどのバッチ処理から出力されるものであるかを示しバッチ定義311との関連を持つ。印刷スプール名称はその帳票の印刷データが印刷スプール35、印刷処理進捗情報44においてどのような名称で作成されるかを示す。印刷枚数見込み値は、その帳票の印刷枚数を事前に登録するものである。
【0015】
バッチ実行予実績331は、バッチ処理の毎回の実行予定と実行実績に関する情報が格納されている。ここではバッチ処理ID/実行状態/実行開始日時(予定)/実行開始日時(実績)/実行終了日時(予定)/実行終了日時(実績)/今回所要時間/過去平均所要時間を登録しておくこととする。このうち実行状態には、実行開始日時(予定)より前の時刻であれば「開始前」、実行中の場合は「実行中」、処理終了後は「終了」を示す状態を設定されることとする。
【0016】
パラメタ341には印刷用紙格納枚数/印刷スプール作成処理速度/印刷装置印刷能力/バッチ処理時間最大値を事前登録する。ここでは印刷用紙格納枚数には印刷装置に用紙を補給する際に一回に投入する用紙枚数、印刷スプール作成処理速度には1分当たり何ページ分のデータを作成するかの処理能力、印刷装置印刷能力は1分当たり何枚を印字出力するかの処理能力、バッチ処理時間最大値にはバッチ処理の実行時間を最大何分まで許容するかの上限値を登録する。なお、印刷装置印刷能力の設定値には、用紙補給時間や紙詰まりの対処等に要する時間のロスを加味した値を設定することとする。
【0017】
印刷スプール351は、印刷スプール名称/作成開始時刻/作成終了時刻/処理状態/サイズ/総ページ数/作成済ページ数を管理する。このうち処理状態には、印刷スプールが作成中の場合には「作成中」、作成終了後は「作成済」のを示す状態を設定され、総ページ数は作成開始時点で登録され、作成済ページ数は逐次最新の値に更新されることとする。また、作成状態が「作成済」となったデータは、その日のバッチ運用終了時まで保持されることとする。
【0018】
印刷スプール441は、印刷スプール名称/印刷開始時刻/印刷終了時刻/処理状態/総ページ数/印刷済ページ数を管理する。処理状態には、印刷装置4で印刷中の場合には「印刷中」、印刷終了後は「印刷済」の状態を設定され、総ページ数は印刷開始時点で登録され、作成済ページ数は逐次最新の値に更新されることとする。
【0019】
以下、本実施形態に係るバッチ処理の帳票出力状況の管理装置の動作について説明する。
図3は、バッチ処理の帳票出力状況の管理装置の基本的な処理の流れであり、1日のバッチ処理運用時間帯の開始時刻から終了時刻までの動作を示す。
運用開始後、その日実行される予定のバッチ処理とそれに付随する印刷帳票に関する情報を記憶装置3のバッチ定義31、帳票定義32、バッチ実行予定実績33から取得し、出力装置12に表示する(ステップS301)。
次に、現在時刻とバッチ処理運用終了時刻の比較を行い、バッチ処理運用終了時刻を超過していない場合に、ステップS303〜S309までの処理を反復して行う(ステップS302)。
反復処理の中では、各出力帳票についてのスプール開始時刻、印刷開始時刻、印刷終了時刻の算出処理を行う(ステップS303〜S305)。ここの処理では、処理を行う時間により、予定時刻を求める場合と実績時刻を取得する場合に分かれ、それぞれで手段が異なるため、詳細を図4〜図6にて後述する。
【0020】
各出力帳票で印刷開始〜印刷終了までの時間帯に重複するものが存在する場合、印刷装置では同時に印刷することが出来ないため、印刷順が後となる帳票の印刷開始時刻を、先行する帳票の印刷終了時刻となるように、印刷開始、終了時刻の再計算を行う(ステップS306)。
各帳票に対し、印刷スプール35または印刷処理進捗情報44から、印刷する総ページ数を取得する。ただし、印刷処理が始まっておらず両者に当該情報が無い場合は帳票定義32に登録されている印刷枚数見込み値を適用する(ステップS307)。
【0021】
各帳票の印刷枚数を求めた後、その日の先頭の印刷帳票から印刷順に印刷枚数を累計し、どの帳票の印刷時に用紙補給が必要となるかを計算する。計算の前提として、日々の運用開始前に運用担当者が、パラメタ34に登録した印刷用紙格納枚数と同数の用紙を印刷装置にセットすることとする。累計した印刷枚数が、パラメタ34の印刷用紙格納枚数の倍数値に達する箇所を算出し、該当帳票の表示行に補給回数を設定する。なお、1つの帳票で複数回の補給回数が発生する場合も有りうる(ステップS308)。
最後に、ステップS303〜S308で求めた内容を出力装置12に表示し、一定時間待機後ステップS302に戻る(ステップS309)。
【0022】
図4は、ステップS303の処理を詳細化したものである。
最初にバッチ処理の実行状態等の情報をバッチ実行予実績33から取得し、次の判定を行う。バッチ処理が実行開始前の場合は、実行開始時刻(予定)と過去平均所要時間より、スプール作成時刻を求める(ステップS401〜S402)。
【0023】
バッチ処理が実行中の場合、処理開始からの経過時間が過去平均所要時間以下の場合は、実行開始時刻(実績)に過去平均所要時間を加えたものをスプール作成予定時刻とする。そうでない場合は、実行開始時刻(実績)にバッチ処理最大処理時間を加えたものをスプール作成時刻とする。ただし、過去平均所要時間が存在しない場合は、バッチ定義31の所要時間見込み値を過去平均所要時間として適用する(ステップS403〜S406)。
バッチ処理が終了している場合は、実行終了時刻(実績)をスプール作成時刻とする(ステップS407〜S408)。なお、上記で求めた時刻が見込み値であるか実績値であるかを判別するため、見込み値区分(ON/OFF)を設ける。
【0024】
図5は、ステップS304の処理を詳細化したものである。
印刷スプール35から情報を取得し次の判定を行う。
印刷スプールが未作成の場合は、帳票定義32の印刷枚数見込み値とパラメタ34の印刷スプール作成速度から所要時間を算出し、スプール作成開始時刻に加えることで印刷開始時刻を求める(ステップS501〜S503)。
スプールが作成中の場合は、作成開始からの経過時間、作成済ページ数、総ページ数から所要時間を算出し、スプール作成開始時刻に加えることで印刷開始時刻を求める(ステップS504〜S506)。
【0025】
スプールが作成済の場合は、スプール作成終了時刻を印刷開始時刻とする(ステップS507〜S508)。また、図4と同様に印刷開始時刻にも見込み値区分を設定する。
【0026】
図6は、ステップS305の処理を詳細化したものである。
印刷処理進捗情報44から情報を取得し次の判定を行う。
印刷スプールが未作成の場合は、帳票定義32の印刷枚数見込み値とパラメタ34の印刷装置印刷能力から所要時間を算出し、印刷開始時刻に加えることで印刷終了時刻を求める(ステップS601〜S603)。
スプールが印刷中の場合は、印刷開始からの経過時間、印刷済ページ数、総ページ数から所要時間を算出し、印刷開始時刻に加えることで印刷終了時刻を求める(ステップS604〜S606)。
スプールが印刷済の場合は、印刷終了時刻(実績)を印刷開始時刻とする(ステップS607〜S608)。また、図4と同様に印刷終了時刻にも見込み値区分を設定する。
【0027】
図7は、バッチ処理の帳票出力状況の管理装置の画面表示例である。
当日のバッチ処理の実行予定と出力帳票の印刷予定を、印刷終了時刻の昇順に表示する。図4〜図6で説明した見込み値区分により、既に処理済みであるかこれからの予定であるかを表示し操作者が判別可能とする。
図7の例では予定に該当する欄に「*」を表示している。また、用紙補給欄には、何時どの帳票の印刷時に印刷用紙が切れるかを表示し、運用担当者の作業予定の目安とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1…PC本体
11…入力装置
12…表示装置
13…バッチ定義登録手段
14…帳票定義登録手段
15…バッチ実行予実績取得手段
16…バッチ処理名・帳票名表示手段
17…帳票スプール時刻表示手段
18…帳票印刷開始時刻手段
19…帳票印刷終了時刻表示手段
20…印刷枚数表示手段
21…用紙補給回数表示手段
3…記憶装置
31…バッチ定義ファイル
32…帳票定義ファイル
33…バッチ実行予実績ファイル
34…パラメタファイル
35…印刷スプールファイル
41…印刷手段
42…印刷用紙補給手段
43…印刷処理進捗応答手段
44…印刷処理進捗情報ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチ定義、帳票定義、バッチ実行予実績、パラメタ、印刷スプールの各ファイルを記憶する記憶手段を備え、これらの各ファイルに定義されたデータに基づき、バッチ処理の帳票の印刷出力状況を管理する管理装置であって、
指定された期日に実行予定のバッチ処理名及び帳票名を前記バッチ定義、帳票定義のファイルから取得し、各出力帳票のスプール開始時刻、印刷開始時刻、印刷終了時刻を算出し、さらに各出力帳票の印刷枚数、用紙交換時期をバッチ実行予実績、パラメタ、印刷スプールの各ファイルの定義情報を基に算出する手段と、算出した各出力帳票の印刷開始時刻、印刷終了時刻、印刷枚数、用紙交換時期を表示する手段を備えることを特徴とするバッチ処理の帳票印刷出力状況の管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−192149(P2011−192149A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59208(P2010−59208)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】