説明

バッテリストッパーおよびそれを備えたバッテリ式フォークリフト

【課題】第2ロック部材の未装着を防止するとともに、振動や衝撃等による第2ロック部材の外れを防止することができるバッテリストッパーおよびそれを備えたバッテリフォークリフトを提供する。
【解決手段】バッテリカバー10と第1ロック部材20と第2ロック部材30とが備えられる。バッテリカバーは一端に係合部11を有する。第1ロック部材は、係合部に係合可能な被係合部21と、係合部と被係合部とを係合又は係合解除可能に操作するレバー部22とを有する。第2ロック部材は、係合部に被係合部とともに係合可能な第1辺部31と、第1辺部を係合位置又は係合解除位置にガイドする第2辺部32と、当接部33とを備える。第2ロック部材が係合位置にある時、当接部がレバー部に当接しなくなって、係合部と被係合部の係合が可能になる一方、第2ロック部材が係合解除位置にある時、当接部がレバー部に当接して、係合部と被係合部の係合が不可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリストッパーおよびそれを備えたバッテリ式フォークリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリ式フォークリフトにおいて、バッテリ収納室からのバッテリの飛び出しを防止するバッテリストッパーが知られている(例えば特許文献1参照)。
図6および図7に示すように、このバッテリストッパーは、バッテリ収納室の開口部を開閉可能なバッテリカバー10と、バッテリ収納室の一方の側壁外面に設けられた第1ロック部材20と、バッテリ収納室の一方の側壁外面側に設けられた第2ロック部材30’と、を備える。
【0003】
バッテリカバー10は、一端にフック部11を有する。バッテリカバー10の他端は、バッテリ収納室の他方の側壁外面に設けられたヒンジ部12に回動自在に連結されている。
【0004】
第1ロック部材20は、フック部11に係合するリング部21と、フック部11とリング部21とを係合または係合解除可能に操作するためのレバー部22とを有する。
【0005】
第2ロック部材30’は、第1辺部31と、第2辺部32とを有する。
第1辺部31は、フック部11にリング部21とともに係合可能な短辺形状のものである。
第2辺部32は、第1辺部31を係合位置(図7(B)の状態を参照)または係合解除位置(図7(A)の状態を参照)にガイドする長孔32Aが形成された長辺形状のものである。すなわち、ピン32Bがバッテリ収納室の一方の側壁外面に固定されており、長孔32Aにピン32Bを挿入することによって、第2ロック部材30’がバッテリ収納室の一方の側壁外面に対して上下動可能に設けられている。
【0006】
このバッテリストッパーにおいては、まず、図7(A)に示すように、第2ロック部材30’を上方へ持ち上げた状態で、レバー部22をフック部11の方向に回動して、フック部11にリング部21を係合させる。
その後、レバー部22をフック部11の方向とは反対の方向に回動して、バッテリカバー10の一番目のロックを行う。
【0007】
その後、図7(B)に示すように、第2ロック部材30’を下方に移動させて、フック部11にリング部21とともに第1辺部31を係合させて、バッテリカバー10の二番目のロックを行う。
以上により、バッテリカバー10の二重ロックが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平2−1808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のバッテリストッパーでは、図8に示すように、上方に持ち上げられた第2ロック部材30’は第1ロック部材20側に傾き易く、この場合において、第2ロック部材30’がバッテリカバー10に未装着のままで(第2ロック部材30’を装着し忘れた状態で)、第1ロック部材20のみによるバッテリカバー10のロックが行われる問題があった。
また、バッテリ式フォークリフトの走行中の振動や衝撃等により、第2ロック部材30’がバッテリカバー10から外れ易くなるという問題もあった。
【0010】
そこで、本発明の課題は、第2ロック部材の未装着を防止するとともに、振動や衝撃等による第2ロック部材の外れを防止することができるバッテリストッパーおよびそれを備えたバッテリフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、(1)一端に係合部を有し、バッテリ収納室の開口部を開閉可能なバッテリカバーと、前記係合部に係合して前記バッテリカバーをロック可能な被係合部、および、前記係合部と前記被係合部とを係合または係合解除可能に操作するためのレバー部を有し、前記バッテリ収納室の側壁外面に設けられた第1ロック部材と、前記係合部に前記被係合部とともに係合可能な第1辺部、および、前記第1辺部を係合位置または係合解除位置にガイドする第2辺部を有し、前記バッテリ収納室の側壁外面側に設けられた第2ロック部材と、を備えたバッテリストッパーであって、前記第2ロック部材は、当接部を備えており、前記第2ロック部材が前記係合位置にある時には、前記当接部が前記レバー部に当接しないことにより、前記レバー部の操作に伴う前記係合部と前記被係合部との係合が可能になる一方、前記第2ロック部材が前記係合解除位置にある時には、前記当接部が前記レバー部に当接することにより、前記レバー部の操作に伴う前記係合部と前記被係合部との係合が不可能になることを特徴とするバッテリストッパーとしたものである。
【0012】
この構成(1)によれば、第2ロック部材に当接部が備えられ、第2ロック部材が係合位置にある時に、当接部がレバー部に当接し、第2ロック部材が係合解除位置にある時に、当接部がレバー部に当接するように構成されているので、第2ロック部材がバッテリカバーに対して未装着状態となる場合には、第1ロック部材がバッテリカバーをロックすることができなくなり、これによって、第2ロック部材の未装着(装着し忘れ)が防止される。
【0013】
上記構成(1)において、(2)前記第1ロック部材が前記バッテリカバーをロックし、かつ、前記第2ロック部材が前記係合位置にある時に、前記当接部が前記被係合部に当接することにより、前記第2ロック部材の前記係合解除位置への移動が規制されることが好ましい。
【0014】
この構成(2)によれば、第1ロック部材および第2ロック部材がバッテリカバーをロックしている時に、当接部が第1ロック部材の被係合部に当接して第2ロック部材の係合解除位置への移動を規制するように構成されているので、振動や衝撃等による第2ロック部材の外れを防止することができる。
【0015】
上記構成(1)または(2)において、(3)前記当接部は、前記第2辺部に設けられていることが好ましい。
【0016】
上記構成(1)〜(3)のいずれかに記載のバッテリストッパーを、バッテリ式フォークリフトに備えることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第2ロック部材の未装着を防止するとともに、振動や衝撃等による第2ロック部材の外れを防止することができるバッテリストッパーおよびそれを備えたバッテリフォークリフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のバッテリストッパーを備えたバッテリ式フォークリフトの概略側面図である。
【図2】図1に示すI−I’方向から見た概略断面図である。
【図3】(A)は第2ロック部材の正面図、(B)は(A)の上面図、(C)は(A)の側面図である。
【図4】バッテリストッパーの概略正面図であり、(A)は、第2ロック部材のみが係合位置にある状態を示す正面図、(B)は、第1ロック部材および第2ロック部材が係合位置にある状態を示す正面図である。
【図5】(A)は第2ロック部材の未装着状態を説明する概略斜視図、(B)は第1ロック部材および第2ロック部材によるバッテリカバーのロック状態を説明する概略斜視図、(C)は第2ロック部材の外れ防止を説明する概略斜視図である。
【図6】従来のバッテリストッパーを備えたバッテリ式フォークリフトの概略側面図である。
【図7】従来のバッテリストッパーの概略正面図であり、(A)は、第2ロック部材が係合解除位置にある状態を示す正面図、(B)は、第1ロック部材および第2ロック部材が係合位置にある状態を示す正面図である。
【図8】従来の第2ロック部材の未装着状態を説明する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、バッテリ式フォークリフト1において、車体2に設けられたバッテリ収納室には、バッテリ3が収納されている。
また、車体2には、下側に比較的小さなバッテリカバー10が設けられ、上側に比較的大きなバッテリカバー110が設けられている。
【0021】
バッテリ式フォークリフト1の走行時(通常動作時)には、下側のバッテリカバー10は、後述する第1ロック部材20および第2ロック部材30によってロックされ、上側のバッテリカバー110は、後述する第1ロック部材120および第2ロック部材130によってロックされている。
【0022】
また、バッテリ収納室にバッテリ3を収納した状態でメンテナンスを行う時には、上側のバッテリカバー110のみが開放され、バッテリ3の交換等でバッテリ3をバッテリ収納室から取り出す時には、下側および上側のバッテリカバー10、110がともに開放されるようになっている。
【0023】
このように、バッテリカバー10(110)、第1ロック部材20(120)および第2ロック部材30(130)によって、バッテリ収納室からのバッテリ3の飛び出しを防止するバッテリストッパーが構成される。
【0024】
ここで、下側のバッテリストッパー(バッテリカバー10、第1ロック部材20および第2ロック部材30)と上側のバッテリストッパー(バッテリカバー110、第1ロック部材120および第2ロック部材130)とは同じロック機構を有しているため、以下では、下側のバッテリストッパーのロック機構について説明する。
【0025】
図2に示すように、バッテリカバー10は、一端にフック部(係合部)11を有する。バッテリカバー10の他端は、バッテリ収納室の他方の側壁外面2Bに設けられたヒンジ部12に回動自在に連結され、バッテリ収納室の開口部を開閉可能となっている。
【0026】
第1ロック部材20は、バッテリ収納室の一方の側壁外面2Aに設けられている。第1ロック部材20は、フック部11に係合するリング部(被係合部)21と、フック部11とリング部21とを係合または係合解除可能に操作するためのレバー部22とを有する。
【0027】
図2および図3(A)〜(C)に示すように、第2ロック部材30は、バッテリ収納室の一方の側壁外面2A側に設けられており、第1辺部31と、第2辺部32と、当接部33と、持ち手部34とを有する。
【0028】
第1辺部31は、フック部11にリング部21とともに係合可能な短辺形状のものである。
第2辺部32は、第1辺部31を係合位置または係合解除位置にガイドする長孔32Aが形成された長辺形状のものである。長孔32Aは、第2辺部32の長手方向に沿って、上下方向に形成されている。ピン32Bがバッテリ収納室の一方の側壁外面に固定されており、長孔32Aにピン32Bを挿入することによって、第2辺部32がバッテリ収納室の一方の側壁外面2Aに対して上下動可能に設けられている。すなわち、第2辺部32は、従来例と同様、第1辺部31を係合位置(図7(B)の状態を参照)または係合解除位置(図7(A)の状態を参照)にガイドするようになっている。
【0029】
当接部33は、第2辺部32の右側側面の下方に設けられ、バッテリ収納室の一方の側壁外面2Aから突出する方向にのびている。
持ち手部34は、第1辺部31および第2辺部32の上方に設けられ、バッテリ収納室の一方の側壁外面2Aから突出する方向にのびている。
【0030】
次に、このバッテリストッパーのロック機構について、図4(A)、(B)および図5(A)〜(C)を参照しながら、説明する。
【0031】
まず、作業者は、図4(A)に示すように、持ち手部34を持って第2ロック部材30を下方に移動させて、フック部11に第1辺部31を係合させて一番目のロックを行う。
【0032】
そして、図4(B)に示すように、レバー部22をフック部11の方向に回動して、フック部11にリング部21を係合させた後、レバー部22をフック部11の方向とは反対の方向に回動して、バッテリカバー10の二番目のロックを行う。
以上により、バッテリカバー10の二重ロックが行われる。
【0033】
ここで、図5(A)に示すように、第2ロック部材30がバッテリカバー10に未装着の状態(第2ロック部材30が係合解除位置にあって第1ロック部材20側に傾いた状態)で、作業者がバッテリカバー10のロックを行う場合には、当接部33がレバー部22に当接することにより、レバー部22の操作に伴うフック部11とリング部21との係合が不可能になる。一方、図5(B)に示すように、第2ロック部材30がバッテリカバー10に装着された状態(第2ロック部材30が係合位置にある状態)で、作業者がバッテリカバー10のロックを行う場合には、当接部33がレバー部22に当接しないことにより、レバー部22の操作に伴うフック部11とリング部21との係合が可能になる。
【0034】
したがって、このバッテリストッパーによれば、第2ロック部材30がバッテリカバー10に対して未装着状態(第2ロック部材30を装着し忘れた状態)となる時には、第1ロック部材20がバッテリカバー10をロックすることができなくなり、これによって、第2ロック部材30の未装着(装着し忘れ)が防止される。
【0035】
また、図5(C)に示すように、第1ロック部材20および第2ロック部材30がバッテリカバー10をロックしている時(第1ロック部材20がバッテリカバー10をロックし、かつ、第2ロック部材30が係合位置にある時)においては、当接部33がリング部21に当接することにより、第2ロック部材20の係合解除位置への移動が規制される。
【0036】
したがって、このバッテリストッパーによれば、振動や衝撃等による第2ロック部材30の外れを防止することができる。
【0037】
最後に、バッテリカバー10の二重ロックを解除するためには、レバー部22をフック部11の方向に回動してフック部11からリング部21を離した後、第2ロック部材30を上方へ持ち上げることにより、バッテリカバー10を開放することができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0039】
例えば、係合部および被係合部として、上記実施例のようなフック部11およびリング部21に限定されるものではなく、互いに係合可能な様々な公知の係合部材および被係合部材が用いられてもよい。
【0040】
当接部33は、上記実施例では第2辺部31に設けられていたが、これに限定されるものではなく、第2ロック部材30の未装着防止および外れ防止を実現するものであれば、第2ロック部材30の任意の位置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 バッテリ式フォークリフト
2 車体
3 バッテリ
4 ストラドルレッグ
10、110 バッテリカバー
11 フック部(係合部)
12、112 ヒンジ部
20、120 第1ロック部材
21 リング部(被係合部)
22 レバー部
30、30’、130 第2ロック部材
31 第1辺部
32 第2辺部
32A 長孔
32B ピン
33 当接部
34 持ち手部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に係合部を有し、バッテリ収納室の開口部を開閉可能なバッテリカバーと、
前記係合部に係合して前記バッテリカバーをロック可能な被係合部、および、前記係合部と前記被係合部とを係合または係合解除可能に操作するためのレバー部を有し、前記バッテリ収納室の側壁外面に設けられた第1ロック部材と、
前記係合部に前記被係合部とともに係合可能な第1辺部、および、前記第1辺部を係合位置または係合解除位置にガイドする第2辺部を有し、前記バッテリ収納室の側壁外面側に設けられた第2ロック部材と、を備えたバッテリストッパーであって、
前記第2ロック部材は、当接部を備えており、
前記第2ロック部材が前記係合位置にある時には、前記当接部が前記レバー部に当接しないことにより、前記レバー部の操作に伴う前記係合部と前記被係合部との係合が可能になる一方、前記第2ロック部材が前記係合解除位置にある時には、前記当接部が前記レバー部に当接することにより、前記レバー部の操作に伴う前記係合部と前記被係合部との係合が不可能になることを特徴とするバッテリストッパー。
【請求項2】
前記第1ロック部材が前記バッテリカバーをロックし、かつ、前記第2ロック部材が前記係合位置にある時に、前記当接部が前記被係合部に当接することにより、前記第2ロック部材の前記係合解除位置への移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリストッパー。
【請求項3】
前記当接部は、前記第2辺部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリストッパー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバッテリストッパーを備えたことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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