説明

バッテリセルと外部回路とを接続するワイヤの断線の検出

【課題】断線を検出するために電圧差に頼るのは、不正確であったり、または信頼できなかったりすることがある。また、ワイヤに印加されている電圧を複数回測定する必要があるので、効率も悪い。
【解決手段】バッテリに接続されたワイヤの断線を検出するデバイスであって、第1のピンおよび第2のピンを有する。第1のピンは、接続回路を通してバッテリセルの正端子に接続される。第2のピンは、接続回路を通してバッテリセルの負端子に接続される。接続回路とバッテリセルとの間のワイヤが断線すると、接続回路を通る電流の経路が変化し、第1のピンと第2のピンとの間の検出電圧が変化して、経路が変化していることを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、バッテリセルと外部回路とを接続するワイヤの断線の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池や鉛酸バッテリなどの各種のバッテリがある。1つのバッテリは、複数のバッテリセルを有することができる。各バッテリセルは、通常、充電、放電またはバランシングなどの目的のために外部回路に接続される。バッテリセルと外部回路とを接続するワイヤは、充電、放電またはバランシング中に、偶然断線することがあり、バッテリの不均衡状態をもたらして、バッテリ全体を損傷することがある。このようなことから、断線を検出することは重要である。
【0003】
断線を検出する従来の解決手段は、複数回の電圧測定から得られる電圧差に頼っている。例えば、バッテリセルBAT1に接続されたワイヤL1に印加されている電圧が、1回目にV1、2回目にV2と測定され、電圧V1とV2との電圧差ΔVが200mVなどの閾値を超える場合、ワイヤL1は断線していると見なされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、測定される電圧差は、例えば雑音または振動などの外部環境からの干渉/影響にさらされている。それ故、断線を検出するために電圧差に頼るのは、不正確であったり、または信頼できなかったりすることがある。また、ワイヤに印加されている電圧を複数回測定する必要があるので、効率も悪い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態におけるバッテリに接続されたワイヤの断線を検出するデバイスは、第1のピンおよび第2のピンを有する。第1のピンは、接続回路を通してバッテリセルの正端子に接続される。第2のピンは、接続回路を通してバッテリセルの負端子に接続される。接続回路とバッテリセルとの間のワイヤが断線すると、接続回路を通る電流の経路が変化し、第1のピンと第2のピンとの間の検出電圧が変化して、経路の変化を示す。
【0006】
特許請求の範囲に記載する発明に関する実施形態の特徴および利点は、図面を参照した以下の詳細説明が進むに連れて、明らかになるであろう。すべての図面において、同じ符号は、同じ要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による断線検出チップを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による断線検出回路を示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態による断線検出回路を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による断線検出システムを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による、バッテリの断線検出方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明について、これらの実施形態に関して説明するが、本発明をこれらの実施形態に限定するつもりはないことが理解されるであろう。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神および範囲内に含みうる代替形態、変更形態、および均等物を包含することを意図している。
【0009】
本発明による実施形態は、断線検出のためのデバイス、回路および方法を提供する。一実施形態では、バッテリに接続されたワイヤの断線を検出するデバイスは、第1のピンおよび第2のピンを有する。第1のピンは、接続回路を通してバッテリセルの正端子に接続される。第2のピンは、接続回路を通してバッテリセルの負端子に接続される。接続回路とバッテリセルとの間のワイヤが断線すると、接続回路を通る電流の経路が変化し、第1のピンと第2のピンとの間の検出電圧が変化して、経路の変化を示す。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による断線検出チップ100を示す。図1の例では、チップ100は、接続回路120を通してバッテリ110に接続されている。接続回路120は、複数のワイヤを介してバッテリ110内の複数のバッテリセルに接続されている。バッテリ110は、リチウムイオン電池または鉛酸バッテリでもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、チップ100は、1つを超えるピンを有し、それらのピンの中のチップ100の第1のピンは、接続回路120を通してバッテリ110内の1つのバッテリセルの正端子に接続され、第2のピンは、接続回路120を通してバッテリ110内のそのバッテリセルの負端子に接続される。一実施形態では、チップ100は、セレクタ130、断線検出モジュール140、増幅器150、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ160、およびマイクロコントロールユニット(MCU)170を有する。
【0011】
セレクタ130は、接続回路120に接続されており、断線検出のために1つのバッテリセルを選択する。断線検出モジュール140は、セレクタ130に接続されており、指定の時間長、接続回路120を通してほぼ一定の電流を生成する。(以下、ほぼ一定の電流については、単に定電流と呼ぶこともある。「ほぼ一定の電流」という表現を使用しているのは、断線でないときに断線と誤って示すほど変化が大きくない限り、電流のある程度の変化は許容されることを意味している)。本発明の実施形態によれば、接続回路120の状態が変化すると、接続回路120を通る定電流の電流経路が変化する。具体的には、接続回路120のワイヤが万一にも断線(例えば、切断または損傷)したら、電流経路が変化する。定電流の電流経路の変化は、選択されたバッテリセルに接続されたピンとピンの間で測定される検出電圧に変化をもたらす。以下でさらに説明するように、選択されたバッテリセルに接続されたワイヤが断線しているか否かを判定するために、検出電圧の測定を1回行うだけでよい。このように、従来技術とは対照的に、複数回の測定は必要ない。
【0012】
増幅器150は、セレクタ130に接続されており、検出電圧を増幅する。A/Dコンバータ160は、増幅器150に接続されており、増幅された検出電圧をアナログからデジタル電圧読み取り値に変換する。MCU170は、セレクタ130と、断線検出モジュール140と、A/Dコンバータ160に接続されており、デジタル電圧読み取り値を指定の範囲と比較する。電圧読み取り値が指定範囲外の場合、接続回路120の中に断線状態が存在する。一実施形態では、各バッテリセルの動作電圧範囲に応じて、範囲が指定される。一実施形態では、MCU170は、電圧読み取り値を格納するためのメモリ171をさらに有する。一実施形態では、メモリ171は、接続回路120の状態情報を示す状態フラグを格納するためのフラグレジスタ172をさらに有する。一実施形態では、フラグレジスタ172は、複数のビットを有し、フラグレジスタ172の各ビットは、接続回路120の1本のワイヤに対応し、それぞれのワイヤの状態を表す。あるワイヤに対応するビットがある値の場合、そのワイヤは断線していると見なされ、そうでない場合、ワイヤは十分に機能していると見なされる。
【0013】
有利なことに、チップ100は、たった1回の測定によって、接続回路120のワイヤのそれぞれの状態を判定するので、従来の検出方法より効率的に動作する。また、断線を判定するために、比較的広い範囲を指定して、適用することができる。それ故、従来の技術に比べて、チップ100は、より正確に断線を検出でき、外部環境から従来技術ほど強い影響を受けない。それ故、チップ100の方が、バッテリ110を損傷からうまく保護する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による断線検出回路200を示す。図1と同じ符号の要素は、同様の機能を有する。図2の例では、チップ100は、複数のピンP20〜P25を有する。バッテリ110は、直列に接続されたバッテリセル211〜215を有する。一実施形態では、各バッテリセルの動作電圧範囲は、約0〜約5Vである。接続回路120は、バッテリセル211〜215にそれぞれワイヤL0〜L5を介して並列に接続されたコンデンサC1〜C5を有する。ワイヤL0〜L5のそれぞれは、例えば抵抗R0〜R5などの抵抗にそれぞれ接続されている。一実施形態では、コンデンサC1〜C5のそれぞれの容量は、約0.1μである。
【0015】
セレクタ130は、接続回路120に接続されている。図2の例では、セレクタ130は、第1のスイッチSP1〜SP5および第2のスイッチSN1〜SN5を有する。第1のスイッチSP1〜SP5の各第1の端子は、接続回路120を介して、バッテリセル211〜215のそれぞれの正端子に接続されている。第1のスイッチSP1〜SP5の各第2の端子は、増幅器150に接続されている。第2のスイッチSN1〜SN5の各第1の端子は、接続回路120を介してバッテリセル211〜215のそれぞれの負端子に接続されている。第2のスイッチSN1〜SN5の各第2の端子は、増幅器150に接続されている。図2の例では、第1のスイッチSP1〜SP5の第2の端子と増幅器150との結合ノードを、第1のノードBATPと呼び、第2のスイッチSN1〜SN5の各第2の端子と増幅器150との結合ノードを、第2のノードBATNと呼んでいる。
【0016】
断線検出モジュール140は、おのおのがそれぞれのソース電流を生成する2つの電流ソース241P、241Nと、おのおのがそれぞれのシンク電流を生成する2つの電流シンク242P、242Nとを有する。一実施形態では、ソース電流およびシンク電流は、それぞれ約500μAである。電流ソース241P、241Nの電力端子は、電源装置VCCに接続されている。電流ソース241P、241Nの制御端子は、ANDゲートG21を通して、第1の制御信号DIS_CK1および第2の制御信号SNI_M1を受け取る。電流シンク242P、242Nのグランド端子は、接地されている。電流シンク242P、242Nの制御端子は、ANDゲートG22を通して、第1の制御信号DIS_CK1を受け取り、反転ゲートG23およびANDゲートG22を通して、第2の制御信号SNI_M1を受け取る。電流ソース241Pと電流シンク242Pの出力端子は、第1のノードBATPに接続されている。電流ソース241Nと電流シンク242Nの出力端子は、第2のノードBATNに接続されている。
【0017】
増幅器150は、セレクタ130に接続されている。一実施形態では、増幅器150は、第1の演算増幅器251および第2の演算増幅器252を有する。第1の演算増幅器251の非反転入力端子は、抵抗R7を通して第1のノードBATPに接続されている。第1の演算増幅器251の反転入力端子は、抵抗R8を通して第2のノードBATNに接続されるとともに、抵抗R9を通して第1の演算増幅器251の出力端子にも接続されていて、負帰還を提供する。第2の演算増幅器252の非反転入力端子は、電圧信号VR_03Vを受け取る。一実施形態では、電圧信号VR_03Vは、約0.3Vの電圧を有する。第2の演算増幅器252の反転入力端子は、抵抗R10を通して第1の演算増幅器251の非反転入力端子に接続されるとともに、第2の演算増幅器252の出力端子にも接続されていて、負帰還を提供する。図2の例の場合、抵抗R7とR8の電気抵抗は、互いに等しく、抵抗R9とR10の電気抵抗も、互いに等しい。抵抗R8の電気抵抗と抵抗R9の電気抵抗の比は、約2:1である。第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子は、A/Dコンバータ160に接続されている。A/Dコンバータ160は、MCU170にも接続されている。
【0018】
図1に関して述べたように、セレクタ130は、バッテリセル211〜215の中から1つのターゲットバッテリセルを選択する。断線検出モジュール140は、定電流を生成する。接続回路120は、ターゲットバッテリセルに接続された接続回路120の状態に基づいて、異なる電流経路を定電流に提供する。接続回路120は、さらに検出電圧を生成する。この検出電圧は、定電流の電流経路に基づいて決まる。増幅器150は、検出電圧を処理する。A/Dコンバータ160は、検出電圧に基づいて電圧読み取り値を出力する。MCU170は、電圧読み取り値を例えば電圧0〜5Vなどの範囲と比較し、それによって接続回路120の状態を判定する。より具体的には、ターゲットバッテリセルに関する検出電圧が指定範囲外の場合は、断線状態を示している。逆に、検出電圧が指定範囲内の場合は、接続状態を示している。従って、検出電圧が指定範囲内の値から指定範囲外の値に変化したら、断線状態を示すであろう。一実施形態では、MCU170は、フラグレジスタ172に状態フラグ(例えば、対応するビット)をさらに設定して、接続回路120の状態を表す。一実施形態では、フラグレジスタ172の各ビットは、ワイヤが接続されていることを表すデフォルト値ゼロ(0)に設定される。ターゲットバッテリセルに関して、A/Dコンバータ160から出力される電圧読み取り値が指定範囲外で、接続回路120のワイヤが断線していることを示している場合、そのワイヤに対応する状態フラグは、値イチ(1)に再設定され、そのワイヤが断線状態であることを示す。そうでない場合、状態フラグは、デフォルト値から変更されない。
【0019】
より具体的には、一実施形態では、バッテリセル211〜215は、バッテリの一端から他端まで(例えば、図2の方向で下から上へ)続けて、断線検出のために選択される。図2の例では、断線検出プロセスの最初の段階において、ワイヤL0、L1の状態を検出するために、セレクタ130によって、第1のスイッチSP1および第2のスイッチSN1のスイッチが入れられると、バッテリセル211が選択される。従って、ピンP21は、前述の第1のピンの役割を果たし、ピンP20は、前述の第2のピンの役割を果たす。電流ソース241P、241Nは、第1の制御信号DIS_CK1と第2の制御信号SNI_M1の両方とも指定の電圧レベル(例えば、高い電圧レベル)に設定されると、例えばそれぞれ約500μAなどのソース電流をそれぞれ供給する。
【0020】
ワイヤL0とL1の両方ともバッテリセル211に接続されていると仮定すると、電流ソース241P、241Nから供給されるソース電流は、抵抗R0およびR1をそれぞれ通って流れる。それ故、ソース電流のソース前にバッテリセル211のセル電圧に等しかったコンデンサC1の電圧は、ソース後も変化しないであろう。従って、ピンP20とピンP21との間の検出電圧も変化しない。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内である。従って、MCU170は、フラグレジスタ172のワイヤL0、L1に対応する状態フラグを再設定しない。
【0021】
ワイヤL0が断線していて、ワイヤL1はバッテリセル211に接続されていると仮定すると、電流ソース241Nからのソース電流は、コンデンサC1を流れ、コンデンサC1を放電する。コンデンサC1の放電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、ソース電流が500μA、コンデンサC1の容量が0.1μ、バッテリセル211のセル電圧が4Vの場合、コンデンサC1の両端間の電圧は、2ms間の放電後、約4Vから約−6Vに変化することになる。その結果として、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高くなるであろう。第2の演算増幅器252の非反転入力端子の電圧信号VR_03Vに起因して、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約−0.3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約−0.6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較する。A/Dコンバータ160の出力はその範囲外なので、フラグレジスタ172のワイヤL0に対応する状態フラグは1に設定され、ワイヤL0が断線していることを表す一方で、ワイヤL1に対応する状態フラグは、そのデフォルト値に設定されたままである。
【0022】
ワイヤL1が断線していて、ワイヤL0はバッテリセル211に接続されていると仮定すると、電流ソース241Pから供給されるソース電流は、コンデンサC1を充電する一方で、コンデンサC2を放電する。コンデンサC1の充電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、ソース電流が500μA、コンデンサC1の容量が0.1μ、バッテリセル211のセル電圧が1Vの場合、コンデンサC1の両端間の電圧は、2ms間の充電後、約1Vから約6Vに変化することになる。それ故、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較する。電圧読み取り値はその範囲外なので、フラグレジスタ172のワイヤL1に対応する状態フラグは1に設定され、ワイヤL1が断線していることを表す一方で、ワイヤL0に対応する状態フラグは、そのデフォルト値に設定されたままである。
【0023】
ワイヤL0、L1の両方とも断線していると仮定すると、ソース電流は、コンデンサC1を流れない。それ故、コンデンサC1の電圧は変化しない。従って、ピンP20とピンP21との間の検出電圧も変化しない。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内にある。従って、MCU170は、フラグレジスタの172のワイヤL0、L1に対応する状態フラグを再設定しない。チップ100が、ワイヤL0、L1の断線状態を検出し損なったように見えるかもしれないが、そんなことはない。ワイヤL0、L1の断線状態は、以下に述べる、断線検出プロセスの次の段階で検出されることになる。
【0024】
断線検出プロセスの次の段階において、ワイヤL1、L2の状態を検出するために、セレクタ130によって、第1のスイッチSP2および第2のスイッチSN2がスイッチを入れられると、バッテリセル212が選択される。従って、ピンP22は、前述の第1のピンの役割を果たし、ピンP21は前述の第2のピンの役割を果たす。電流シンク242P、242Nは、第1の制御信号DIS_CK1が第1の指定(高い)電圧レベルに設定され、第2の制御信号SNI_M1が第2の指定(第1より低い)電圧レベルに設定されると、例えばそれぞれ約500μAなどのそれぞれのシンク電流を供給する。
【0025】
ワイヤL1とL2の両方ともバッテリセル212に接続されていると仮定すると、電流シンク242P、242Nから供給されるシンク電流は、抵抗R2およびR1をそれぞれ通って流れる。それ故、シンク電流のシンク前にバッテリセル212のセル電圧に等しかったコンデンサC2の電圧は、シンク後も変化しないであろう。従って、ピンP22とピンP21との間の検出電圧も変化しない。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内である。従って、MCU170は、フラグレジスタ172のワイヤL1、L2に対応する状態フラグを再設定しない。
【0026】
ワイヤL0はバッテリセル211に接続され、ワイヤL1が断線、ワイヤL2はバッテリセル212に接続されていると仮定すると、電流シンク242Nから供給されるシンク電流は、コンデンサC1、C2を流れ、コンデンサC1を放電する一方で、コンデンサC2を充電する。上述のように、検出のためにバッテリセル211が選択された前段階の断線検出プロセスにおいて、コンデンサC2は放電されている。バッテリセル212が選択されると、前段階の検出プロセス中の放電から生じたコンデンサC2の電圧変化は、現段階のプロセス中の充電によって補償されるであろう。すなわち、コンデンサC2の両端間の電圧は、正常に戻り、シンク電流のシンク前のバッテリセル211の電圧に等しい。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内である。従って、MCU170は、フラグレジスタ172のワイヤL1、L2に対応する状態フラグを再設定しない。ワイヤL1の断線状態は、バッテリセル212が選択される時には検出されないであろうが、前段階の断線検出プロセスでバッテリセル211が選択された時に、検出されているであろう。ワイヤL1に対応する状態フラグは、1に設定されて断線状態を表しており、再設定されない。
【0027】
ワイヤL0とL1の両方とも断線しており、ワイヤL2はバッテリセル212に接続されていると仮定すると、シンクソース242NがコンデンサC2を充電するであろう。ワイヤL0とL1の両方とも断線していると、上述のように、バッテリセル211が選択されている時、この状態は検出されない。しかし、ワイヤL1の状態は、バッテリセル212が選択されている時、首尾よく検出される。より具体的には、コンデンサC2の充電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、シンク電流が500μA、コンデンサC2の容量が0.1μ、バッテリセル212のセル電圧が約1Vの場合、コンデンサC2の両端間の電圧は、2ms間の充電後、約1Vから約6Vに変化することになる。それ故、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較する。A/Dコンバータ160からの出力がその範囲外なので、フラグレジスタ172の適切な状態フラグを1に再設定し、ワイヤL1が断線していることを表す。ワイヤL1の状態検出後、ワイヤL0の状態をそれに応じて判定することができる。
【0028】
ワイヤL0、L1は、バッテリセル211に接続されており、ワイヤL2が、断線していると仮定すると、電流シンク242Pからのシンク電流がコンデンサC2、C3に流れ、コンデンサC2を放電する一方で、コンデンサC3を充電するであろう。コンデンサC2の放電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、シンク電流が500μA、コンデンサC2の容量が0.1μ、バッテリセル212のセル電圧が4Vの場合、コンデンサC2の両端間の電圧は、2ms間の放電後、約4Vから約−6Vに変化することになる。その結果として、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高くなるであろう。第2の演算増幅器252の非反転入力端子における電圧信号VR_03Vに起因して、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約−0.3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約−0.6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較する。A/Dコンバータ160の出力がその範囲外なので、フラグレジスタ172の適切な状態フラグを1に再設定し、ワイヤL2が断線していることを表す。
【0029】
同様に、適切な第1のスイッチSP3、SP4またはSP5と、適切な第2のスイッチSN3、SN4またはSN5のスイッチを入れることによって、断線検出のために、バッテリセル213〜215が個別に選択される。例えば、ピンP23とピンP22との間の検出電圧に基づく電圧読み取り値が指定範囲(例えば、0〜5V)の下限より小さいとき、MCU170は、フラグレジスタ172の対応する状態フラグを1に再設定し、ワイヤL3が断線していることを表す。ピンP23とピンP22との間の検出電圧に基づく電圧読み取り値が指定範囲(例えば、0〜5V)の上限より大きいとき、MCU170は、フラグレジスタ172の対応する状態フラグを1に再設定し、ワイヤL2が断線していることを表す。
【0030】
一実施形態では、各バッテリセルの動作電圧範囲がそれぞれ約0.5〜約4.5Vまたは約2〜約4.5Vのとき、断線を検出するために適用される範囲は、約0.5〜約4.5Vまたは約2〜約4.5Vに変更されてもよい。それ故、範囲の下限が0Vより高いので、電圧信号VR_03Vが不要になり、第2の演算増幅器252が除かれて、コストが節約される。例えば、ワイヤL3が断線のとき、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高いであろう。それ故、A/Dコンバータ160から出力される電圧読み取り値は0Vであり、この電圧は、指定範囲(例えば、0.5〜4.5Vまたは2〜4.5V)の下限より小さい。
【0031】
上述のように、回路200は、選択されたバッテリセルに接続された2本のワイヤの接続状態を同時に検出できる。一実施形態では、バッテリセル211〜215は、ワイヤL0〜L5の状態を検出するために、下から上に順々に選択される。別の実施形態では、制御信号DIS_CK1およびSN1_M1によって電流ソース241P、241Nおよび電流シンク242P、242Nの作動シーケンスを変更することによって、バッテリセル211〜215は、ワイヤL0〜L5の状態を検出するために、上から下に順々に選択される。また別の実施形態では、バッテリセル211〜215は、選択されたバッテリセルに接続されたワイヤの状態を検出するために、任意の順序で選択されてもよい。別の実施形態では、バッテリセル211〜215は、ランダムに選択され、バッテリセルの中には選択されないものもあろう。例えば、あるテストサイクル中に、バッテリセル213が選択されてもよく、次のテストサイクル中に、バッテリセル212および214が選択される。最上部のワイヤ(例えば、ワイヤL5)は、最上部のバッテリセル(例えば、バッテリセル215)を電流シンク242Pおよび242Nでシンクすることによって検出され、最下部のワイヤ(例えば、ワイヤL0)は、最下部のバッテリセル(例えば、バッテリセル211)を電流ソース241Pおよび241Nでソースすることによって検出される。
【0032】
有利なことに、回路200は、セル当たりたった1回の測定に基づいて、第1のピンと第2のピンとの間の検出電圧に基づく電圧読み取り値を所定の範囲と比較することによって、接続回路120のワイヤがバッテリセルに接続されているか否かを検出する。それ故、回路200は、断線状態を確実かつ効率的に検出できる。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態による断線検出回路300を示す。図1および図2と同じ符号の要素は、記述することを除いて、類似の機能および構成を有する。図2の例とは異なり、図3の例の断線検出モジュール140は、例えば約500μAなどのソース電流を生成する電流ソース341と、例えば約500μAなどのシンク電流を生成する電流シンク342とを有する。電流ソース341の電力端子は、電源装置VCCに接続されている。電流ソース341の出力端子は、第2のノードBATNに接続されている。電流ソース341の制御端子は、第1のANDゲートG31を通して、第1の制御信号DIS_CK2および第2の制御信号SN1_M2を受け取る。電流シンク342のグランド端子は、接地されている。電流シンク342の出力端子は、第1のノードBATPに接続されている。電流シンク342の制御端子は、第2のANDゲートG32を通して、第1の制御信号DIS_CK2を受け取り、第2の制御信号SN1_M2を反転ゲートG33および第2のANDゲートG32を順に通して受け取る。
【0034】
より具体的には、一実施形態では、バッテリセル211〜215は、バッテリ110の一端から他端まで(例えば、図3の方向を考慮して上から下へ)セレクタ130によって選択される。図3の例では、ワイヤL5の状態を検出するために、第1のスイッチSP5と第2のスイッチSN5のスイッチが入れられると、バッテリセル215がまず選択される。それ故、ピンP25は、上述の第1のピンの役割を果たし、ピンP24は、上述の第2のピンの役割を果たす。電流シンク342は、第1の制御信号DIS_CK2が第1の電圧レベルに設定され、第2の制御信号SNI_M2がより低い第2の電圧レベルに設定されると、シンク電流を供給する。
【0035】
ワイヤL5がバッテリセル215に接続されていると仮定すると、電流シンク342から供給されるシンク電流が、抵抗R5を流れる。それ故、シンク電流のシンク前にバッテリセル215のセル電圧に等しかったコンデンサC5の電圧は、シンク後も変化しないであろう。従って、ピンP25とピンP24との間の検出電圧も変化しない。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内である。従って、MCU170は、フラグレジスタ172のワイヤL5に対応するビットフラグを再設定しない。
【0036】
ワイヤL5が断線していると仮定すると、電流シンク342によって生成されたシンク電流は、コンデンサC5に流れ、コンデンサC5を放電する。コンデンサC5の放電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、シンク電流が500μA、コンデンサC5の容量が0.1μ、バッテリセル215のセル電圧が4Vの場合、コンデンサC5の両端間の電圧は、2ms間の放電後、約4Vから約−6Vに変化することになる。その結果として、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高くなるであろう。第2の演算増幅器252の非反転入力端子の電圧信号VR_03Vに起因して、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約−0.3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約−0.6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較し、その電圧読み取り値がその範囲外なので、フラグレジスタ172のワイヤL5に対応する状態フラグを1に設定し、ワイヤL5が断線していることを表す。
【0037】
次に、ワイヤL4の状態を検出するために、第1のスイッチSP4と第2のスイッチSN4のスイッチが入れられると、バッテリセル214が選択される。それ故、ピンP24は、上述の第1のピンの役割を果たし、ピンP23は、上述の第2のピンの役割を果たす。電流シンク342は、制御信号DIS_CK2が第1の電圧レベルに設定され、制御信号SNI_M2がより低い第2の電圧レベルに設定されると、例えば約500μAなどのシンク電流を供給する。
【0038】
ワイヤL4がバッテリセル214に接続されていると仮定すると、電流シンク342が供給するシンク電流は、抵抗R4を流れる。それ故、シンク電流のシンク前にバッテリセル214のセル電圧に等しかったコンデンサC4の電圧は、シンク後も変化しないであろう。従って、ピンP24とピンP23との間の検出電圧も変化しない。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内である。それ故、MCU170は、フラグレジスタ172のワイヤL4に対応する状態フラグを再設定しない。
【0039】
ワイヤL4が断線していると仮定すると、シンク電流は、コンデンサC4、C5に流れ、コンデンサC5を充電する一方で、コンデンサC4を放電する。コンデンサC4の放電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、シンク電流が500μA、コンデンサC4の容量が0.1μ、バッテリセル214のセル電圧が4Vの場合、コンデンサC4の両端間の電圧は、2ms間の放電後、約4Vから約−6Vに変化することになる。その結果として、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高くなるであろう。第2の演算増幅器252の非反転入力端子の電圧信号VR_03Vに起因して、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約−0.3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約−0.6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較する。電圧読み取り値はその範囲外なので、フラグレジスタ172のワイヤL4に対応する状態フラグは1に再設定され、ワイヤL4が断線していることを表す。
【0040】
同様に、適切な第1のスイッチSP1、SP2またはSP3と、適切な第2のスイッチSN1、SN2またはSN3のスイッチを入れることによって、断線検出のためにバッテリセル211〜213のそれぞれが順々に選択され、ワイヤL1〜L3の状態を検出するために、電流シンク342は、シンク電流を供給できるようになる。
【0041】
次いで、ワイヤL0の状態検出のために、第1のスイッチSP1と第2のスイッチSN1のスイッチを入れることによって、バッテリセル211は、2度目の選択をされる。それ故、ピンP21は、今までどおり前述の第1のピンの役割を果たし、ピンP20は、今までどおり前述の第2のピンの役割を果たす。電流ソース341は、制御信号DIS_CK2および制御信号SNI_M2が指定の電圧レベル(例えば、高い電圧レベル)に設定されると、例えば約500μAなどのソース電流を供給する。
【0042】
ワイヤL0がバッテリセル211に接続されていると仮定すると、電流ソース341から供給されるソース電流は、抵抗R0を流れる。それ故、コンデンサC1の電圧は、変化しないであろう。それ故、ソース電流をソースする前にバッテリセル211のセル電圧に等しかったコンデンサC1の電圧は、ソース後に変化しない。従って、ピンP20とピンP21との間の検出電圧も、変化しない。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、指定範囲(例えば、0〜5V)内である。従って、MCU170は、フラグレジスタ172のワイヤL0に対応する状態フラグを再設定しない。
【0043】
ワイヤL0が断線していると仮定すると、電流ソース341から供給されるソース電流は、コンデンサC1に流れ、コンデンサC1を放電する。コンデンサC1の放電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、ソース電流が500μA、コンデンサC1の容量が0.1μ、バッテリセル211のセル電圧が4Vの場合、コンデンサC1の両端間の電圧は、2ms間の放電後、約4Vから約−6Vに変化することになる。その結果として、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高くなるであろう。第2の演算増幅器252の非反転入力端子の電圧信号VR_03Vに起因して、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約−0.3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約−0.6Vになる。MCU170は、電圧読み取り値を指定範囲(例えば、0〜5V)と比較する。電圧読み取り値はその範囲外なので、フラグレジスタ172の状態フラグは1に再設定され、ワイヤL0が断線していることを表す。
【0044】
一実施形態では、各バッテリセルの動作電圧がそれぞれ約0.5〜約4.5Vまたは約2〜約4.5Vのとき、断線状態を検出するために使用される範囲は、約0.5〜約4.5Vまたは約2〜約4.5Vに変更されてもよい。それ故、範囲の下限が0Vより高いので、電圧信号VR_03Vは不要であり、第2の演算増幅器252は除かれ、コストが節約される。例えば、ワイヤL3が断線のとき、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高いであろう。従って、A/Dコンバータ160から出力される電圧読み取り値は、0Vであり、指定範囲(例えば、0.5〜4.5Vまたは2〜4.5V)の下限より小さい。
【0045】
上述のように、回路300は、ワイヤL0〜L5の状態を1本ずつ検出する。一実施形態では、バッテリセル211〜215は、ワイヤL0〜L5の状態を検出するために、上から下に順々に選択される。別の実施形態では、制御信号DIS_CK2およびSN1_M2によって電流ソース341および電流シンク342の作動シーケンスを変更することによって、バッテリセル211〜215は、ワイヤL0〜L5の状態を検出するために、下から上に順々に選択される。また別の実施形態では、バッテリセル211〜215は、選択されたバッテリセルに接続されたワイヤの状態を検出するために、任意の順序で選択されてもよい。最上部のワイヤ(例えば、ワイヤL5)は、最上部のバッテリセル(例えば、バッテリセル215)を電流シンク342でシンクすることによって検出され、最下部のワイヤ(例えば、ワイヤL0)は、最下部のバッテリセル(例えば、バッテリセル211)を電流ソース341でソースすることによって検出される。
【0046】
有利なことに、回路300は、セル当たりたった1回の測定に基づいて、第1のピンと第2のピンとの間の検出電圧を指定の範囲と比較することによって、ワイヤがバッテリセルに接続されているかどうかを検出する。それ故、回路300は、断線状態を確実かつ効率的に検出できる。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態による断線検出システム400を示す。図1、2、3と同じ符号の要素は、類似の機能を有する。システム400は、放電スイッチ410を有する。放電スイッチ410は、バッテリ110に接続され、負荷420が、放電スイッチ410とバッテリ110との間に接続されている。放電スイッチ410は、MCU170の制御のもとでバッテリ110の放電を制御する。一実施形態では、放電スイッチ410は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。一実施形態では、充電器430が、バッテリ110に接続されている。充電器430は、MCU170の制御のもとでバッテリ110を充電する。
【0048】
図1、2、3に関して述べたように、MCU170は、ワイヤとバッテリ110内のバッテリセルとの接続が断線しているか否かを判定する。断線状態が存在することを検出したら、MCU170は、保護動作を行う。例えば、断線状態が充電、放電またはバランシング中に確認されると、システム400は、充電、放電またはバランシングに関係する回路を切り離し、バッテリ110の損傷を防ぐ。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態による断線検出方法のフロー図500を示す。一実施形態では、フロー図500に示される動作は、チップ100が行う。図5について、図1、2、3と一緒に述べる。図5には具体的なステップを明示しているが、これらのステップは例である。すなわち、本発明は、種々の他のステップまたは図5に挙げるステップの変形のステップを行うのにも適している。
【0050】
ブロック502において、セレクタが、断線検出のために、バッテリ内の1つのバッテリセル(例えば、バッテリセル213)を選択する。一実施形態では、セレクタ130の第1のスイッチSP3と第2のスイッチSN3のスイッチが入れられる。それ故、ピンP23は、上述の第1のピンの役割を果たし、ピンP22は、上述の第2のピンの役割を果たす。その結果、バッテリセル213が、断線検出のために選択される。
【0051】
ブロック504において、断線検出モジュールが、定電流を生成する。指定の期間中、定電流が、バッテリセルに接続された接続回路に流れる。一実施形態では、断線検出モジュール140の電流シンク242P、242Nは、第1の制御信号DIS_CK1が第1の電圧レベルに設定され、第2の制御信号SN1_M1がより低い第2の電圧レベルに設定されると、例えば接続回路120に流れるそれぞれ約500μAなどの、それぞれのシンク電流を生成できる。
【0052】
ブロック506において、定電流がバッテリセルに接続された接続回路に流れると、検出電圧が測定される。一実施形態では、シンク電流がバッテリセル213に接続された接続回路120に流れると、ピンP23とピンP22との間に検出電圧が生成される。
【0053】
ブロック508において、検出電圧値の変化が、ワイヤがバッテリセルに適切に接続されているか否かを示す。一実施形態では、ワイヤL1がバッテリセル212に接続され、ワイヤL2が断線、ワイヤL3がバッテリセル213に接続されているとき、電流シンク242Nから供給される定シンク電流は、コンデンサC2、C3を流れ、コンデンサC2を放電する一方で、コンデンサC3を充電する。コンデンサC3の充電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、シンク電流が500μA、コンデンサC3の容量が0.1μ、バッテリセル213のセル電圧が1Vの場合、コンデンサC3の両端間の電圧は、2ms間の充電後、約1Vから約6Vに変化することになる。それ故、第1の演算増幅器251と第2の演算増幅器252の出力端子間の電圧差は、約3Vになる。その結果、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約6Vになる。ワイヤL1、L2がバッテリセル212に接続されていて、ワイヤL3が断線しているとき、電流シンク242Pから供給されるシンク電流は、コンデンサC3、C4を流れ、コンデンサC3を放電する一方で、コンデンサC4を充電する。コンデンサC3の放電の結果として、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、それ相応に変化する。例えば、シンク電流が500μA、コンデンサC3の容量が0.1μ、バッテリセル213のセル電圧が4Vの場合、コンデンサC3の両端間の電圧は、2ms間の放電後、約4Vから約−6Vに変化することになる。その結果、第2のノードBATNの電圧レベルは、第1のノードBATPの電圧レベルより高くなるであろう。第2の演算増幅器252の非反転入力端子の電圧信号VR_03Vに起因して、A/Dコンバータ160からの電圧読み取り値は、約−0.6Vになる。
【0054】
ブロック510において、MCUが、バッテリセルに接続された接続回路の状態を判定する。一実施形態では、MCU170は、A/Dコンバータ160から出力された電圧読み取り値を指定の範囲と比較する。電圧読み取り値がその範囲外の場合、フラグレジスタ172の断線しているワイヤに対する状態フラグは1に再設定され、ワイヤが断線していることを表す。一実施形態では、MCU170はまた、メモリ171の中に電圧読み取り値を格納する。一実施形態では、フラグレジスタ172は、1ワイヤ当たり1ビットの複数のビットを有し、ワイヤのそれぞれの状態を示す。
【0055】
これまでの説明および図面は本発明の実施形態を表しているが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の原理の精神および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に種々の追加、変更および代替を行いうることが理解されるであろう。本発明の原理から逸脱することなしに特定の環境および動作要件に具体的に適合される、本発明の実践において使用される形態、構造、配置、割合、材料、要素、コンポーネントやその他の多くの変更を行って、本発明を使用しうることを、当業者は理解するであろう。従って、ここに開示する実施形態は、すべての面において説明であり、限定ではないと見なされるものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物に示されており、これまでの説明に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
100 断線検出チップ
110 バッテリ
120 接続回路
130 セレクタ
140 断線検出モジュール
150 増幅器
160 A/Dコンバータ
170 MCU
171 メモリ
172 フラグレジスタ
200、300 断線検出回路
211〜215 バッテリセル
241P、241N、341 電流ソース
242P、242N、342 電流シンク
251 第1の演算増幅器
252 第2の演算増幅器
400 断線検出システム
410 放電スイッチ
420 負荷
430 充電器
500 断線検出方法のフロー図
BATP 第1のノード
BATN 第2のノード
C1〜C5 コンデンサ
DIS_CK1、DIS_CK2 第1の制御信号
SNI_M1、SNI_M2 第2の制御信号
G21、G22 ANDゲート
G23、G33 反転ゲート
G31 第1のANDゲート
G32 第2のANDゲート
P20〜P25 ピン
L0〜L5 ワイヤ
R0〜R5、R7〜R9 抵抗
SN1〜SN5 第2のスイッチ
SP1〜SP5 第1のスイッチ
VCC 電源装置
VR_03V 電圧信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに接続されたワイヤの断線を検出するデバイスであって、
接続回路を通してバッテリセルの正端子に接続される第1のピンと、
前記接続回路を通して前記バッテリセルの負端子に接続される第2のピンと
を備え、
前記接続回路と前記バッテリセルとの間のワイヤが断線すると、前記接続回路を通る電流の経路が変化し、前記第1のピンと前記第2のピンとの間の検出電圧が変化して、前記経路の変化を示すデバイス。
【請求項2】
前記接続回路が、前記バッテリセルに並列に接続されるコンデンサを備える、請求項1のデバイス。
【請求項3】
前記第1のピンおよび前記第2のピンを通って前記接続回路に接続されたセレクタをさらに備え、前記セレクタは、前記バッテリの中の複数のバッテリセルの中から前記バッテリセルを選択する、請求項1のデバイス。
【請求項4】
前記セレクタに接続され、前記検出電圧を増幅する増幅器をさらに備える、請求項1のデバイス。
【請求項5】
前記接続回路に接続され、前記検出電圧に基づく電圧読み取り値を出力するとともに、前記電圧読み取り値をアナログからデジタルに変換するA/Dコンバータをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記検出電圧を範囲と比較するマイクロコントロールユニット(MCU)をさらに備え、前記検出電圧が前記範囲外の場合、前記ワイヤを断線と示す、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記検出電圧に基づく電圧読み取り値を格納するメモリをさらに備え、前記メモリは、前記ワイヤが断線しているかどうかを示す状態フラグを格納するフラグレジスタをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記接続回路に接続され、前記電流を生成できる断線検出モジュールをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
複数のバッテリセルに接続される断線検出回路であって、
前記複数のバッテリセルに接続され、前記複数のバッテリセルの中から1つのターゲットバッテリセルを選択できるセレクタと、
前記セレクタに接続され、電流を生成できる断線検出モジュールと、
前記複数のバッテリセルと前記セレクタとの間に接続される複数のワイヤを有し、前記複数のワイヤの状態に基づいて前記電流に複数の経路を提供する接続回路と、
前記断線検出モジュールおよび前記セレクタに接続され、前記検出電圧に基づいてワイヤの状態を検出できるマイクロコントロールユニット(MCU)と
を備え、
前記接続回路が、前記接続回路を通る前記電流の経路に基づく検出電圧をさらに生成する断線検出回路。
【請求項10】
前記接続回路が、前記バッテリセルに並列に接続されるコンデンサを備える、請求項9に記載の断線検出回路。
【請求項11】
前記セレクタが、複数の第1のスイッチおよび複数の第2のスイッチを備える、請求項9に記載の断線検出回路。
【請求項12】
前記セレクタに接続され、前記検出電圧を増幅する増幅器をさらに備える、請求項9に記載の断線検出回路。
【請求項13】
前記増幅器に接続され、前記検出電圧に基づいて電圧読み取り値を出力するとともに、前記電圧読み取り値をアナログからデジタルに変換するA/Dコンバータをさらに備える、請求項12に記載の断線検出回路。
【請求項14】
前記MCUが、前記検出電圧に基づく電圧読み取り値を格納するメモリをさらに備える、請求項9に記載の断線検出回路。
【請求項15】
前記MCUが、前記複数のワイヤの状態を示す状態フラグを格納するフラグレジスタを備える、請求項9に記載の断線検出回路。
【請求項16】
前記断線検出モジュールが、電流ソースおよび電流シンクを備える、請求項9に記載の断線検出回路。
【請求項17】
複数のバッテリセルに接続されたワイヤの断線を検出する方法であって、
前記複数のバッテリセルの中から1つのターゲットバッテリを選択するステップと、
前記ターゲットバッテリセルに接続された接続回路を通る電流を生成するステップと、
前記接続回路を通る前記電流の経路に基づく検出電圧を測定するステップと、
前記検出電圧の変化を検出することによって、前記経路の変化を示すステップと、
検出電圧の前記変化に基づいて、前記接続回路のワイヤが断線しているかどうかを判定するステップと
を備える方法。
【請求項18】
電圧読み取り値を出力するために、前記検出電圧を処理するステップと、
前記ワイヤが断線しているかどうかを判定するために、前記電圧読み取り値を電圧範囲と比較するステップと
をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アナログの前記検出値をデジタルの前記電圧読み取り値に変換するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ワイヤが断線しているかどうかを示す状態フラグを格納するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36975(P2013−36975A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−79421(P2012−79421)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】