説明

バッテリ充電器

【課題】 直列にバッテリセルが接続されて構成されたバッテリパックにおいて、補助充電回路を設けず、各バッテリセルに対して選択的に充電電流を流し、選択的な充電が行えるとともに、従来例に比較して回路規模を小さくし、製造コストを低下させることが可能なバッテリ充電回路を提供する。
【解決手段】 本発明のバッテリ充電回路は、バッテリパックを構成する直列に接続された複数のバッテリセル各々を所定の充電電流により充電するバッテリ充電回路であり、充電電流を供給する充電部と、充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された第1のスイッチと、充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された前記充電回路のマイナス端子と各バッテリセルのマイナス端子との間にそれぞれ介挿された第2のスイッチとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列に接続された複数のバッテリセルからなるバッテリの充電を行うバッテリ充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン(Li)バッテリやリチウムポリマ(Li-Po)バッテリは、携帯機器などの各種電源として用いられている。
これらのバッテリは、対象となる機器に供給する電圧とするため、基本単位のバッテリセルを直列に接続して、バッテリパックとして構成されている。
このため、バッテリパックには、構成するバッテリセル各々の過充電を防止するため、各バッテリセル毎に電圧をモニタするモニタ端子を設けて、充電時において、保護回路が上記モニタ端子により各バッテリセルの電圧を測定して、充放電制御を行っている。
【0003】
しかしながら、バッテリパックを構成するバッテリセル各々は、製造過程において、容量にバラツキがある状態で製造されており、同一パック内においてもほとんど均一な容量となっていない。
そのため、このバッテリパックに対し、バッテリセルが直列接続された状態で充電すると、満充電となるタイミングに差が生じ、全体的に見ると満充電時のバッテリパックとしての出力電圧が低いままで、システム起動不良を起こすこともある。
【0004】
すなわち、バッテリパック内の最小容量のバッテリセルが最も早く満充電電圧に達すると、上記保護回路はいずれかのバッテリパックが満充電となったことを検知することにより、充電を終了してしまう。
これにより、充電器は、バッテリパック内の他のバッテリセルが満充電されない不十分な電圧により充電を終了していた。
【0005】
また、バッテリパックの製造工程において、このバッテリパック内のいずれかのバッテリセルが他のバッテリセルより多く(高い電圧に)充電されていた場合も、放電した後の充電で多く充電されていたバッテリセルが最初に満充電となる。
したがって、この場合にも、上述した容量のバラツキと同様に、充電器はバッテリパック内の他のバッテリセルが満充電されない不十分な電圧により充電を終了する。
【0006】
このように、バッテリパック内のバッテリセル全てが満充電されないままで充電が終了すると、電池の容量のバラツキと製造過程における充電電圧のバラツキとにより、バッテリパック全体の内部抵抗を減少させることができずない。
このため、従来のバッテリパックは、直列接続で得られる最大電圧も理論値に対して低いままとなり、高出力電圧を発生するバッテリとして限界がある。
【0007】
また、上述してきたバッテリパックは、例えば、ノートパソコン(パーソナルコンピュータ)に使用される場合、内部のバッテリセルのいずれかが不具合を生じると、不完全なものとして交換する必要がある。
さらに、バッテリパックにおける不具合を生じたバッテリセルを、別のバッテリセルと交換したとしても、交換したバッテリセルの特性が他のバッテリセルと同様か否かわからないため、却って全体のバラツキを大きくして、結局、バッテリパック全体を交換する必要がある。
【0008】
この問題を解決するため、図18に示すように、充電時に、充電電流を迂回させる迂回回路として、スイッチSW101〜SW106を各バッテリセル(BC1,BC2,BC3)毎に設けている。ダイオードD101,D102,D105,D106は各バッテリセルの端子のショートを防止するために設けられている。
そして、他のバッテリセルに対して電荷の蓄積容量が多く、早いタイミングにて満充電となると、電圧監視部103がバッテリセルの端子電圧からこの満充電となったバッテリセルを検出して、スイッチ制御部102に通知する。
スイッチ制御部102は、満充電となったバッテリセルを迂回して充電電流を流し、蓄積容量が少なく、満充電となっていないバッテリセルに対して、選択的に充電電流を流し、各バッテリセルの蓄積容量のバラツキを補正する充電方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−170428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に示す充電方法にあっては、充電開始の段階において直列状態で全バッテリセルに対して、主従電回路101Aにより充電電流を流しているが、電圧監視部103がいずれかのバッテリセルの満充電を検出した場合、主充電回路101Aのみによる充電を終了する。
そして、スイッチ制御部102は、電圧検出部103が満充電となったことを検出したバッテリセルに充電電流を流さないように迂回させ、主充電回路101Aと補助充電回路101Bとにより、満充電となっていないバッテリセルに選択的に充電電流を流すように、迂回回路のスイッチを制御している。
【0010】
しかしながら、この特許文献1記載の充電方法は、主充電回路101Aのみでなく、いずれかのバッテリセルが満充電となったとき、満充電となっていないバッテリセルに対して選択的に充電電流を流すための補助充電回路101Bが必要であり、充電回路の規模が大きく、コストが上昇する問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、直列にバッテリセルが接続されて構成されたバッテリパックにおいて、補助充電回路を設けずに、各バッテリセルに対して選択的に充電電流を流して、選択的な充電が行えるとともに、従来例に比較して回路規模を小さくし、製造コストを低下させることが可能なバッテリ充電回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のバッテリ充電回路は、バッテリパックを構成する直列に接続された複数のバッテリセル各々を所定の充電電流により充電するバッテリ充電回路であり、前記充電電流を供給する充電部と、充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された第1のスイッチと、前記充電回路のマイナス端子と各バッテリセルのマイナス端子との間にそれぞれ介挿された第2のスイッチとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のバッテリ充電回路は、前記バッテリパックのマイナス端子と前記充電回路のマイナス端子との間に介挿される第1のスイッチがダイオードスイッチであることを特徴とする。
【0013】
本発明のバッテリ充電回路は、前記各バッテリセルの端子電圧値を測定し、満充電となったバッテリセルの識別番号を出力する電圧監視部と、該識別番号により、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフ制御するスイッチ制御部とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のバッテリ充電回路は、前記スイッチ制御部が、前記識別番号と、満充電となっていないバッテリセルにのみ選択的に充電電流を流す、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフの組合せとの対応関係を示す充電経路テーブルを有し、前記識別番号より前記充電テーブルを参照して、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフ制御することを特徴とする。
【0015】
本発明のバッテリ充電方法は、バッテリパックを構成する直列に接続された複数のバッテリセル各々を所定の充電電流により充電するバッテリ充電方法であり、充電部が前記バッテリパックに充電電流を供給する過程と、電圧監視部が各バッテリセルの端子電圧を測定する過程と、スイッチ制御部が、前記測定結果に応じて、充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された第1のスイッチと、前記充電回路のマイナス端子と各バッテリセルのマイナス端子との間にそれぞれ介挿された第2のスイッチとをオン/オフ制御する過程とを有する。
【0016】
本発明のバッテリ充電方法は、前記スイッチ制御部が、前記識別番号と、満充電となっていないバッテリセルにのみ選択的に充電電流を流す、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフの組合せとの対応関係を示す充電経路テーブルを有し、前記識別番号より前記充電テーブルを参照して、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフ制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明のバッテリ充電回路によれば、直列にバッテリセルが接続されて構成されたバッテリパックにおいて、従来例のように、補助充電回路を設けずに、各バッテリセルに対して選択的に充電電流を流し、選択的に各バッテリセルの充電がバランス良く(端子電圧を均一とする充電)行えるため、従来例に比較して充電回路部分の規模を小さくし、コストを低下させることができるという効果が得られる。
【0018】
また、本発明のバッテリ充電回路によれば、バッテリパックを製造する過程において、各バッテリセルを均一に充電することができるため、使用するバッテリセルの特性を合わせる手間がかからず製造コストを低下させることができる。
また、本発明のバッテリ充電回路によれば、バッテリパックの充電処理時に、各バッテリセルを均一に充電できるため、バッテリパックにおけるいずれかのバッテリセルが不具合を生じた場合、対応するバッテリセルを交換した後、各バッテリセルを均一に充電することが可能となり、メンテナンス費用を削減でき、かつ従来のようにバッテリパックごと破棄するという無駄を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、本発明の一実施形態による充電回路を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成例を示すブロック図である。また、図1は、充電時におけるバッテリパックBPと充電回路との接続関係を示している。
本発明は複数のバッテリセルが直列に接続されて構成されているバッテリパックにおいて各々のバッテリセルが均一の端子電圧(満充電電圧)となるように充電を行う充電回路であるが、以下、一例としてバッテリセルBC1,BC2,BC3の3つが直列に接続されて構成されているバッテリパックBPに対する充電回路として説明する。
ここで、上記バッテリパックは、例えば、リチウムイオン(Li)バッテリやリチウムポリマ(Li-Po)バッテリ等である。リチウムイオンバッテリとすれば、各バッテリセルの満充電状態の端子電圧は4.2Vであり、放電下限値としては2.4Vである。
【0020】
この図において、充電回路は、所定の充電電流を供給する定電流回路である充電部1と、スイッチSW1〜SW6と、このスイッチSW1〜SW6のオン/オフ制御するスイッチ制御回路2と、バッテリパックBPにおける各バッテリセルBC1,BC2,BC3各々の端子電圧を測定する電圧監視部3とから構成されている。
スイッチSW1,SW2,W3(第1のスイッチ)各々は、充電回路2のプラス(+)端子と、バッテリセルBC3,BC2,BC1それぞれのプラス(+)端子との間に介挿されている。
【0021】
すなわち、スイッチSW1は、充電回路2のプラス(+)端子と、バッテリパックBPの端子T3(バッテリセルBC3のプラス(+)端子)と接続される。
スイッチSW2は、充電回路2のプラス(+)端子と、バッテリパックBPの端子T2(バッテリセルBC3のマイナス(−)端子及びバッテリセルBC2のプラス(+)端子の接続点)と接続される。
スイッチSW3は、充電回路2のプラス(+)端子と、バッテリパックBPの端子T1(バッテリセルBC2のマイナス(−)端子及びバッテリセルBC1のプラス(+)端子の接続点)と接続される。
【0022】
スイッチSW4,SW5,SW6(第2のスイッチ)各々は、充電回路2のマイナス(−)端子と、バッテリセルBC3,BC2,BC1それぞれのマイナス(−)端子との間に介挿されている。
すなわち、スイッチSW4は、充電回路2のマイナス(−)端子と、バッテリパックBPの端子T2(バッテリセルBC3のマイナス(−)端子及びバッテリセルBC2のプラス(+)端子の接続点)と接続される。
【0023】
スイッチSW5は、充電回路2のマイナス(−)端子と、バッテリパックBPの端子T1(バッテリセルBC2のマイナス(−)端子及びバッテリセルBC1のプラス(+)端子の接続点)と接続される。
スイッチSW6は、充電回路2のマイナス(−)端子と、バッテリパックBPの端子T0(バッテリセルBC1のマイナス(−)端子)と接続される。
【0024】
スイッチ制御部2は、充電対象として選択的に充電電流を流すバッテリセルとスイッチSW1〜SW6のオン/オフの組合せ状態との対応を示す充電テーブルが記憶されている。
電圧監視部3は、バッテリパックBPにおける各バッテリセルそれぞれの端子電圧を測定し、満充電の電圧値となるバッテリセルを監視(検知)し、バッテリセルを識別する識別情報を、スイッチ制御部2に対して出力する。
電圧監視部3は、例えば、上記識別情報として、各バッテリセル毎に信号線を割り当てておき、満充電の端子電圧に達していないバッテリセルに対応する信号線を「L」レベルとし、満充電の端子電圧に達したバッテリセルに対応する信号線を「H」レベルとする。
ここで、バッテリセルBC1の識別情報に信号線S1を対応させ、バッテリセルBC2の識別情報に信号線S2を対応させ、バッテリセルBC3の識別情報に信号線S3を対応させる。
【0025】
上述した充電テーブルには、以下に示すように、信号線のレベルの組合せと、スイッチのオン/オフ状態の組合せの対応関係が示されている。この組合せは、充電対象のバッテリセルにのみ電流を流し、すでに満充電となったバッテリセルをバイパス(迂回)させて充電電流Iを流す各スイッチのオン/オフの組合せである。
信号線S1,S2,S3が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1〜BC3の全てが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC1〜BC2全てに充電電流が流れるように、スイッチSW1及びSW6をオン状態とし、スイッチSW2〜SW5をオフ状態とする。
また、信号線S3が「H」レベルで、信号線S1,S2が「L」レベルの場合、バッテリセルBC3を除いて、バッテリセルBC1及びBC2が充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC1及びBC2のみに充電電流が流れるように、スイッチSW2及びSW6をオン状態とし、スイッチSW1,SW3〜SW5をオフ状態とする。
【0026】
また、信号線S1が「H」レベルで、信号線S2,S3が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1を除いて、バッテリセルBC2及びBC3が充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC2及びBC3のみに充電電流が流れるように、スイッチSW1及びSW5をオン状態とし、スイッチSW2〜SW4,SW6をオフ状態とする。
また、信号線S1及びS2が「H」レベルで、信号線S3が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1及びBC2を除いて、バッテリセルBC3のみが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC3のみに充電電流が流れるように、スイッチSW1及びSW4をオン状態とし、スイッチSW2,SW3,SW5,SW6をオフ状態とする。
【0027】
また、信号線S1及びS3が「H」レベルで、信号線S2が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1及びBC3を除いて、バッテリセルBC2のみが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC2のみに充電電流が流れるように、スイッチSW2及びSW5をオン状態とし、スイッチSW1,SW3,SW4,SW6をオフ状態とする。
また、信号線S2及びS3が「H」レベルで、信号線S1が「L」レベルの場合、バッテリセルBC2及びBC3を除いて、バッテリセルBC1のみが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC1のみに充電電流が流れるように、スイッチSW3及びSW6をオン状態とし、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオフ状態とする。
ここで、スイッチSW6は、スイッチSW4及びSW5のいずれかがオン状態となった際にオフ状態に制御され、バッテリセルBC3のプラス(+)端子、またはバッテリセルBC1のプラス(+)端子のいずれかが、バッテリパックBPのマイナス(−)端子に接続され、大きな放電電流が流れるのを防止している。
【0028】
次に、本発明の第1の実施形態の動作例を図1から図9を参照して説明する。図3〜図8は、各バッテリセルに選択的に充電電流が流れる際のスイッチSW1〜SW6のオン/オフ状態を示す概念図である。
バッテリパックBPに対する充電を開始すると、電圧監視部3は、バッテリセルBC1,BC2,BC3それぞれの端子電圧が満充電に達していないため、上記信号線S1〜S3までの全てを「L」レベルで出力する。
【0029】
そして、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S1〜S3が全て「L」レベルであるので、バッテリセルBC1〜BC3全てに充電電流を流す充電対象とし、これに対応するスイッチ状態として、スイッチSW1及びスイッチSW6をオン状態とし、スイッチSW2〜SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図3に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW6がオン状態となり、スイッチSW2〜SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPを構成するバッテリセルBC1〜BC3全てに充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1〜BC3の充電が行われる。
以下、各バッテリセルのいずれかが満充電となった状態を場合分けして説明する。
【0030】
・充電開始後、最初にバッテリセルBC3が満充電となった場合
電圧監視部3は、バッテリセルBC3の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC3に対応する信号線S3を、「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S1及びS2が「L」レベルであり、信号線S3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1及びBC2が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0031】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW2及びスイッチSW6をオン状態とし、スイッチSW1,SW3〜SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図4に示すように、スイッチSW2及びスイッチSW6がオン状態となり、スイッチSW1,SW3〜SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC1及びBC2に充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1及びBC2の充電が行われ、バッテリセルBC3には充電電流が流れない。
【0032】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC2の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC3に対応する信号線S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC2に対応する信号線S2を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1を「L」レベルとし、信号線S2及びS3双方を「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S1が「L」レベルであり、信号線S2及びS3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0033】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW3及びスイッチSW6をオン状態とし、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図5に示すように、スイッチSW3及びスイッチSW6がオン状態となり、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC1にのみ充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1の充電が行われ、バッテリセルBC2,BC3には充電電流が流れない。
【0034】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2,BC3に対応する信号線S2,S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC1に対応する信号線S1を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1〜S3全てを「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、図1に示すように、スイッチSW1〜SW6全てをオフ状態として、バッテリパックBPに対する充電処理を終了する。
このとき、スイッチ制御部2は、充電回路に設けられた赤及び青のLEDにおいて、いずれかのバッテリセルを充電中の際に、青色のLEDを消灯した状態として赤色のLEDを点灯させ、全ての充電が終了した時点で、赤色のLEDを消灯して青色のLEDを点灯させて、利用者に充電完了を通知するようにしてもよい。
【0035】
・充電開始後、最初にバッテリセルBC1が満充電となった場合
電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC1に対応する信号線S1を、「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S2及びS3が「L」レベルであり、信号線S1が「H」レベルであるので、バッテリセルBC2及びBC3が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0036】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW1及びスイッチSW5をオン状態とし、スイッチSW2〜SW4,SW6をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図6に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW5がオン状態となり、スイッチSW2〜SW4,SW6がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC2及びBC3に充電電流Iが流れて、バッテリセルBC2及びBC3の充電が行われ、バッテリセルBC1には充電電流が流れない。
【0037】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC3の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC1に対応する信号線S1を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC3に対応する信号線S3を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S2を「L」レベルとし、信号線S1及びS3の双方を「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S2が「L」レベルであり、信号線S1及びS3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC2が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0038】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW2及びスイッチSW5をオン状態とし、スイッチSW1,SW3,SW4,SW6をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図7に示すように、スイッチSW2及びスイッチSW5がオン状態となり、スイッチSW1,SW3,SW4,SW6がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC2にのみ充電電流Iが流れて、バッテリセルBC2の充電が行われ、バッテリセルBC1,BC3には充電電流が流れない。
【0039】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC2の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC1,BC3に対応する信号線S1,S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC2に対応する信号線S2を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1〜S3全てを「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、図1に示すように、スイッチSW1〜SW6全てをオフ状態として、バッテリパックBPに対する充電処理を終了する。
【0040】
・充電開始後、最初にバッテリセルBC2が満充電となった場合
電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2に対応する信号線S2を、「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S1及びS3が「L」レベルであり、信号線S2が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1及びBC3が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
ここで、組合せとしてバッテリセルBC1及びBC3とは同時に充電処理を行わずに、いずれか一方ずつ、順番に充電処理を行う構成とし、以下の例としてはバッテリセルBC1から充電処理を行い、次にバッテリセルBC3の充電処理を行うこととして説明する。
【0041】
そして、スイッチ制御部2は、バッテリセルBC3を充電対象としたスイッチ状態として、スイッチSW1及びスイッチSW4をオン状態とし、スイッチSW2,SW3,SW5,SW6をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図8に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW4がオン状態となり、スイッチSW2,SW3,SW5,SW6がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC3のみに充電電流Iが流れて、バッテリセルBC3の充電が行われ、バッテリセルBC1及びBC2には充電電流が流れない。
【0042】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC3の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2に対応する信号線S2を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC3に対応する信号線S3を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1を「L」レベルとし、信号線S2及びS3双方を「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S1が「L」レベルであり、信号線S2及びS3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0043】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW3及びスイッチSW6をオン状態とし、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW6各々を制御する。
これにより、図5に示すように、スイッチSW3及びスイッチSW6がオン状態となり、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC1にのみ充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1の充電が行われ、バッテリセルBC2,BC3には充電電流が流れない。
【0044】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2,BC3に対応する信号線S2,S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC1に対応する信号線S1を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1〜S3全てを「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、図1に示すように、スイッチSW1〜SW6全てをオフ状態として、バッテリパックBPに対する充電処理を終了する。
【0045】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態による充電回路を図面を参照して説明する。図9は同実施形態の構成例を示すブロック図である。また、図9は、図1と同様に、充電時におけるバッテリパックBPと充電回路との接続関係を示している。図9に示す第2の実施形態は、図1に示す第1の実施形態によるバッテリ充電器と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この図9に示す第2の実施形態が図1の第1の実施形態と異なる点は、スイッチSW6をダイオードスイッチ(ダイオード)Dに変更した点である。
【0046】
スイッチSW4,SW5,ダイオードスイッチD(第2のスイッチ)各々は、充電回路2のマイナス(−)端子と、バッテリセルBC3,BC2,BC1それぞれのマイナス(−)端子との間に介挿されている。
ここで、スイッチSW4及びスイッチSW5の接続関係は、第1の実施形態のバッテリ充電器と同様である。
ダイオードスイッチDは、充電回路2のマイナス(−)端子と、バッテリパックBPの端子T0(バッテリセルBC1のマイナス(−)端子)と接続される。
スイッチ制御部2は、充電対象として選択的に充電電流を流すバッテリセルとスイッチSW1〜SW5のオン/オフの組合せ状態との対応を示す、図10に示す充電テーブルが記憶されている。
【0047】
上述した充電テーブル(図10)には、以下に示すように、信号線のレベルの組合せと、スイッチのオン/オフ状態の組合せの対応関係が示されている。
信号線S1,S2,S3が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1〜BC3の全てが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC1〜BC2全てに充電電流が流れるように、スイッチSW1をオン状態とし、スイッチSW2〜SW5をオフ状態とする。
また、信号線S3が「H」レベルで、信号線S1,S2が「L」レベルの場合、バッテリセルBC3を除いて、バッテリセルBC1及びBC2が充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC1及びBC2のみに充電電流が流れるように、スイッチSW2をオン状態とし、スイッチSW1,SW3〜SW5をオフ状態とする。
【0048】
また、信号線S1が「H」レベルで、信号線S2,S3が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1を除いて、バッテリセルBC2及びBC3が充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC2及びBC3のみに充電電流が流れるように、スイッチSW1及びSW5をオン状態とし、スイッチSW2〜SW4をオフ状態とする。
また、信号線S1及びS2が「H」レベルで、信号線S3が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1及びBC2を除いて、バッテリセルBC3のみが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC3のみに充電電流が流れるように、スイッチSW1及びSW4をオン状態とし、スイッチSW2,SW3,SW5をオフ状態とする。
【0049】
また、信号線S1及びS3が「H」レベルで、信号線S2が「L」レベルの場合、バッテリセルBC1及びBC3を除いて、バッテリセルBC2のみが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC2のみに充電電流が流れるように、スイッチSW2及びSW5をオン状態とし、スイッチSW1,SW3,SW4をオフ状態とする。
また、信号線S2及びS3が「H」レベルで、信号線S1が「L」レベルの場合、バッテリセルBC2及びBC3を除いて、バッテリセルBC1のみが充電対象として選択する必要があるため、バッテリセルBC1のみに充電電流が流れるように、スイッチSW3をオン状態とし、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオフ状態とする。
ここで、ダイオードスイッチDは、スイッチSW4及びSW5のいずれかがオン状態となった際に、バッテリセルBC3のプラス(+)端子、またはバッテリセルBC1のプラス(+)端子のいずれかが、バッテリパックBPのマイナス(−)端子に接続され、大きな放電電流が流れるのを防止している。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態の動作例を図9から図16を参照して説明する。図11〜図16は、各バッテリセルに選択的に充電電流が流れる際のスイッチSW1〜SW5のオン/オフ状態を示す概念図である。
バッテリパックBPに対する充電を開始すると、電圧監視部3は、バッテリセルBC1,BC2,BC3それぞれの端子電圧が満充電に達していないため、上記信号線S1〜S3までの全てを「L」レベルで出力する。
【0051】
そして、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図2に示す充電テーブルを参照して、信号線S1〜S3が全て「L」レベルであるので、バッテリセルBC1〜BC3全てに充電電流を流す充電対象とし、これに対応するスイッチ状態として、スイッチSW1をオン状態とし、スイッチSW2〜SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図11に示すように、スイッチSW1がオン状態となり、スイッチSW2〜SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPを構成するバッテリセルBC1〜BC3全てに充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1〜BC3の充電が行われる。
以下、各バッテリセルのいずれかが満充電となった状態を場合分けして説明する。
【0052】
・充電開始後、最初にバッテリセルBC3が満充電となった場合
電圧監視部3は、バッテリセルBC3の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC3に対応する信号線S3を、「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図10に示す充電テーブルを参照して、信号線S1及びS2が「L」レベルであり、信号線S3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1及びBC2が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0053】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW2をオン状態とし、スイッチSW1,SW3〜SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図12に示すように、スイッチSW2がオン状態となり、スイッチSW1,SW3〜SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC1及びBC2に充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1及びBC2の充電が行われ、バッテリセルBC3には充電電流が流れない。
【0054】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC2の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC3に対応する信号線S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC2に対応する信号線S2を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1を「L」レベルとし、信号線S2及びS3双方を「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図10に示す充電テーブルを参照して、信号線S1が「L」レベルであり、信号線S2及びS3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0055】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW3をオン状態とし、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図13に示すように、スイッチSW3がオン状態となり、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC1にのみ充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1の充電が行われ、バッテリセルBC2,BC3には充電電流が流れない。
【0056】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2,BC3に対応する信号線S2,S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC1に対応する信号線S1を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1〜S3全てを「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、図9に示すように、スイッチSW1〜SW5全てをオフ状態として、バッテリパックBPに対する充電処理を終了する。
このとき、スイッチ制御部2は、第1の実施形態と同様に、充電回路に設けられた赤及び青のLEDにおいて、いずれかのバッテリセルを充電中の際に、青色のLEDを消灯した状態として赤色のLEDを点灯させ、全ての充電が終了した時点で、赤色のLEDを消灯して青色のLEDを点灯させて、利用者に充電完了を通知するようにしてもよい。
【0057】
・充電開始後、最初にバッテリセルBC1が満充電となった場合
電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC1に対応する信号線S1を、「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図10に示す充電テーブルを参照して、信号線S2及びS3が「L」レベルであり、信号線S1が「H」レベルであるので、バッテリセルBC2及びBC3が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0058】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW1及びスイッチSW5をオン状態とし、スイッチSW2〜SW4,SW6をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図14に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW5がオン状態となり、スイッチSW2〜SW4がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC2及びBC3に充電電流Iが流れて、バッテリセルBC2及びBC3の充電が行われ、バッテリセルBC1には充電電流が流れない。
【0059】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC3の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC1に対応する信号線S1を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC3に対応する信号線S3を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S2を「L」レベルとし、信号線S1及びS3の双方を「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図10に示す充電テーブルを参照して、信号線S2が「L」レベルであり、信号線S1及びS3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC2が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0060】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW2及びスイッチSW5をオン状態とし、スイッチSW1,SW3,SW4をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図15に示すように、スイッチSW2及びスイッチSW5がオン状態となり、スイッチSW1,SW3,SW4がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC2にのみ充電電流Iが流れて、バッテリセルBC2の充電が行われ、バッテリセルBC1,BC3には充電電流が流れない。
【0061】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC2の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC1,BC3に対応する信号線S1,S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC2に対応する信号線S2を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1〜S3全てを「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、図9に示すように、スイッチSW1〜SW5全てをオフ状態として、バッテリパックBPに対する充電処理を終了する。
【0062】
・充電開始後、最初にバッテリセルBC2が満充電となった場合
電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2に対応する信号線S2を、「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図10に示す充電テーブルを参照して、信号線S1及びS3が「L」レベルであり、信号線S2が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1及びBC3が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
ここで、組合せとしてバッテリセルBC1及びBC3とは同時に充電処理を行わずに、いずれか一方ずつ、順番に充電処理を行う構成とし、以下の例としてはバッテリセルBC1から充電処理を行い、次にバッテリセルBC3の充電処理を行うこととして説明する。
【0063】
そして、スイッチ制御部2は、バッテリセルBC3を充電対象としたスイッチ状態として、スイッチSW1及びスイッチSW4をオン状態とし、スイッチSW2,SW3,SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図16に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW4がオン状態となり、スイッチSW2,SW3,SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC3のみに充電電流Iが流れて、バッテリセルBC3の充電が行われ、バッテリセルBC1及びBC2には充電電流が流れない。
【0064】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC3の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2に対応する信号線S2を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC3に対応する信号線S3を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1を「L」レベルとし、信号線S2及びS3双方を「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、内部の記憶部に記憶された図10に示す充電テーブルを参照して、信号線S1が「L」レベルであり、信号線S2及びS3が「H」レベルであるので、バッテリセルBC1が、充電電流を流す充電対象であることを検出する。
【0065】
そして、スイッチ制御部2は、上記充電対象に対応するスイッチ状態として、スイッチSW3をオン状態とし、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオフ状態とするスイッチ状態の組合せを読み出し、この組合せの情報により、スイッチSW1〜スイッチSW5各々を制御する。
これにより、図13に示すように、スイッチSW3がオン状態となり、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5がオフ状態となり、バッテリパックBPにおいてバッテリセルBC1にのみ充電電流Iが流れて、バッテリセルBC1の充電が行われ、バッテリセルBC2,BC3には充電電流が流れない。
【0066】
次に、電圧監視部3は、バッテリセルBC1の端子電圧が満充電の電圧値となったことを検出すると、バッテリセルBC2,BC3に対応する信号線S2,S3を「H」レベルで出力したままの状態で、信号線BC1に対応する信号線S1を「L」レベルから「H」レベルへ遷移させて出力、すなわち、信号線S1〜S3全てを「H」レベルとして出力する。
これにより、スイッチ制御部2は、図9に示すように、スイッチSW1〜SW5全てをオフ状態として、バッテリパックBPに対する充電処理を終了する。
第2の実施形態においては、スイッチSW6に替えて、ダイオードスイッチDを使用しているため、スイッチSW4及びSW5のいずれかがオン状態となった際のプラス端子とマイナス端子とのショートを考慮する必要が無くなるため、スイッチの組合せの制御が容易となる効果もある。
【0067】
ここで、第1及び第2の実施形態におけるバッテリパックBPは、例えば、図17に示す構成となっている。図17はバッテリパックBPの構成例を示すブロック図である。
電圧監視部20は、各バッテリセルの電圧が放電下限値を超えている場合、トランジスタMのゲートに所定の電圧を印加して、規定の電流を流す状態となっている。
各バッテリセルBC1,BC2,BC3及びトランジスタMと、電圧監視部20との間に介挿されている抵抗R1,R2,R3,RMは電流制限抵抗である。
また、電圧監視部20は、各バッテリセルBC1〜BC3の端子電圧を測定しており、いずれかの端子電圧が所定の電圧以下となったことを検出すると、トランジスタMをゲート電圧を低下させ、外部機器に供給する電流を低下させる。
【0068】
また、第1及び第2の実施形態において、バッテリパックBPをバッテリセルBC1〜NC3の3個として説明したが、2個以上の複数個のいずれに対しての適用することができる。
すなわち、満充電となったバッテリセルをバイパスさせ、充電が必要な充電対象となるバッテリセルにのみ充電電流を流すスイッチ回路の組合せを作成することで、複数個のバッテリセルからなるバッテリパックの充電において、バッテリパックの各バッテリセルに対して、端子電圧を均一にし、全体的にバランスのとれた充電を行うことができ、満充電時のバッテリパックの出力電圧は常に最大となり、システム起動不良が起こらず、バッテリパックの寿命を大幅に延ばすことができる。
【0069】
なお、図1及び図9における電圧監視部3及びスイッチ制御部2の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより電圧監視及びスイッチ制御の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0070】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態によるバッテリ充電回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の電圧監視部3に記憶されている充電テーブルを示す概念図である。
【図3】第1の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図4】第1の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図5】第1の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図6】第1の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図7】第1の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図8】第1の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図9】本発明の第2の実施形態によるバッテリ充電回路の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9の電圧監視部3に記憶されている充電テーブルを示す概念図である。
【図11】第2の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図12】第2の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図13】第2の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図14】第2の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図15】第2の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図16】第2の実施形態の充電動作例を示す概念図である。
【図17】図1,図3〜図8及び図9,図11〜図16におけるバッテリパックの構成を示すブロック図である。
【図18】従来例におけるバッテリ充電器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1…充電部
2…スイッチ制御部
3…電圧監視部
BC1,BC2,BC3…バッテリセル
BP…バッテリパック
SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6…スイッチ
T0,T1,T2,T3…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックを構成する直列に接続された複数のバッテリセル各々を所定の充電電流により充電するバッテリ充電回路であり、
前記充電電流を供給する充電部と、
充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された第1のスイッチと、
充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された前記充電回路のマイナス端子と各バッテリセルのマイナス端子との間にそれぞれ介挿された第2のスイッチと
を有することを特徴とするバッテリ充電回路。
【請求項2】
前記バッテリパックのマイナス端子と前記充電回路のマイナス端子との間に介挿される第1のスイッチがダイオードスイッチであることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電回路。
【請求項3】
前記各バッテリセルの端子電圧値を測定し、満充電となったバッテリセルの識別番号を出力する電圧監視部と、
該識別番号により、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフ制御するスイッチ制御部と
を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のバッテリ充電回路。
【請求項4】
前記スイッチ制御部が、前記識別番号と、満充電となっていないバッテリセルにのみ選択的に充電電流を流す、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフの組合せとの対応関係を示す充電経路テーブルを有し、前記識別番号より前記充電テーブルを参照して、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフ制御することを特徴とする請求項3に記載のバッテリ充電回路。
【請求項5】
バッテリパックを構成する直列に接続された複数のバッテリセル各々を所定の充電電流により充電するバッテリ充電方法であり、
充電部が前記バッテリパックに充電電流を供給する過程と、
電圧監視部が各バッテリセルの端子電圧を測定する過程と、
スイッチ制御部が、前記測定結果に応じて、充電回路のプラス端子と前記各バッテリセルのプラス端子との間にそれぞれ介挿された第1のスイッチと、前記充電回路のマイナス端子と各バッテリセルのマイナス端子との間にそれぞれ介挿された第2のスイッチとをオン/オフ制御する過程と
を有することを特徴とするバッテリ充電方法。
【請求項6】
前記スイッチ制御部が、前記識別番号と、満充電となっていないバッテリセルにのみ選択的に充電電流を流す、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフの組合せとの対応関係を示す充電経路テーブルを有し、前記識別番号より前記充電テーブルを参照して、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチ各々をオン/オフ制御することを特徴とする請求項5に記載のバッテリ充電方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−320044(P2006−320044A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137222(P2005−137222)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】