説明

バッテリ式フォークリフト

【課題】 異なる規格のバッテリを搭載できるバッテリ式フォークリフトを提供する。
【解決手段】 バッテリ式フォークリフト1において、バッテリ6を収容するためのバッテリ収容部60を車両本体に設けるとともに、バッテリ収容部60内にオイルタンク20を設ける。オイルタンク20は、当該オイルタンク20をバッテリ収容部60内に係止するためのブラケット部(係止部)21、22を有し、バッテリ収容部60は、オイルタンク20のブラケット部21、22が枢支可能に係止される支軸(被係止部)61を有している。ブラケット部21、22を支軸61の回りに回動させることにより、オイルタンク20がバッテリ収容部60内の異なる位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ式フォークリフトに関し、とくに、バッテリ収容部の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッテリ式フォークリフトは、特開2001−63979号公報に示すように、運転席の下方にバッテリを設置するとともに、その側方にオイルタンクを配置している(同公報の図3参照)。
【0003】
また、特開2001−130885号公報に示すバッテリ式フォークリフトにおいては、同様に、運転席の下方にバッテリを設置するとともに、その前方、後方または上方にオイルポンプを配置している(同公報の図2、図4、図6、図8、図10、図12参照)。
【0004】
しかしながら、特開2001−63979号公報に示すものでは、オイルタンクの取付位置が固定されたものであり、それにより、バッテリ収容部の大きさ(つまりバッテリサイズ)および形状も限定されたものになっている。
【0005】
同様に、特開2001−130885号公報に示すものにおいても、オイルタンクの取付位置が固定されたものであり、それにより、バッテリ収容部の大きさ(つまりバッテリサイズ)および形状も限定されたものになっている。なお、同公報には、オイルタンクおよび油圧機器の取付位置が異なる幾つかの実施例が記載されているが、これらは、車両の組立完了後にオイルタンクおよび油圧機器の取付位置が変更できる点を示しているのではなく、オイルタンクおよび油圧機器の取付位置が異なっている場合の例を記載しているのに過ぎない。
【0006】
その一方、バッテリ式フォークリフトに搭載されるバッテリの規格は、当該フォークリフトが使用される地域(国内または外国を問わない)によって異なっている。一般に、バッテリの規格が異なれば、バッテリの大きさ(バッテリサイズ)も異なってくる。ところが、従来においては、一旦、フォークリフトが組み立てられると、当該フォークリフトには、一種類の規格のバッテリしか搭載できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、異なる規格のバッテリを搭載できるバッテリ式フォークリフトを提供することにある。また、別の言い方をすれば、本発明は、バッテリの規格変更に容易に対応できるバッテリ式フォークリフトを提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係るバッテリ式フォークリフトは、バッテリを収容するためのバッテリ収容部が車両本体に設けられ、バッテリ収容部内にオイルタンクが設けられるとともに、オイルタンクが、当該オイルタンクをバッテリ収容部内に係止するための係止部を有している。バッテリ収容部は、オイルタンクを当該バッテリ収容部内の異なる位置に配置し得るようにオイルタンクの係止部が枢支可能に係止される被係止部を有している。
【0009】
請求項1の発明によれば、オイルタンクの係止部をバッテリ収容部の被係止部に係止させることにより、オイルタンクがバッテリ収容部内に取り付けられる。このとき、バッテリ収容部内の空間のうち、オイルタンクによる占有空間を除く空間がバッテリを収容し得るバッテリ収容スペースとなる。また、この場合には、バッテリ収容部の被係止部がオイルタンクの係止部に枢支可能に係止しているので、オイルタンクの係止部をバッテリ収容部の被係止部に対して回動させることにより、オイルタンクをバッテリ収容部内の異なる位置に配置することが可能である。これにより、バッテリ収容部内においてバッテリ収容スペースの大きさおよび形状を変えることができ、その結果、同一車両のフォークリフトが、異なる規格のバッテリを収容できるようになる。しかも、この場合には、オイルタンクをバッテリ収容部内で単に回動させるだけでよいので、バッテリの規格変更に容易に対応できるようになる。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1において、被係止部が、バッテリ収容部の隅部に設けられている。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1または2において、被係止部がバッテリ収容部内に植設された支軸から構成されるとともに、支軸に係止する係止部が、支軸が挿通する貫通孔を有するブラケット部から構成されている。
【0012】
この場合には、オイルタンクのブラケット部を支軸の回りに回動させることにより、オイルタンクがバッテリ収容部内の異なる位置に配置されることになる。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1または2において、被係止部がバッテリ収容部内に植設された支軸から構成されるとともに、支軸に係止する係止部が、略U字状のフック部から構成されている。
【0014】
この場合には、オイルタンクのフック部の略U字状部分を支軸に係止させて支軸の回りを回動させることにより、オイルタンクがバッテリ収容部内の異なる位置に配置されることになる。
【0015】
請求項5の発明では、請求項1または2において、係止部が、バッテリをバッテリ収容部内に取り付けるための取付フランジ部から構成されるとともに、被係止部が、取付フランジに形成された貫通孔を挿通しかつバッテリ収容部内に固定される取付ネジから構成されており、取付フランジ部が取付ネジの回りを回動することにより、オイルタンクがバッテリ収容部内の異なる位置に配置されるようになっている。
【0016】
この場合には、取付ネジを緩めた状態で、取付フランジ部を介してバッテリを取付ネジの回りに回動させることにより、オイルタンクがバッテリ収容部内の異なる位置に配置されることになる。
【0017】
請求項6の発明では、請求項1、3、4または5のいずれかにおいて、前記異なる位置が、オイルタンクを車両本体の前後方向に配設する位置と、オイルタンクを車両本体の幅方向に配設する位置とを含んでいる。
【0018】
請求項6の発明によれば、オイルタンクを車両本体の前後方向に配設した場合には、バッテリ収容スペースの幅方向の寸法が小さくなるものの、前後方向の寸法を長くすることができ、また、オイルタンクを車両本体の幅方向に配設した場合には、バッテリ収容スペースの前後方向の寸法が小さくなるものの、幅方向の寸法を長くすることができる。このようにして、バッテリ収容スペースの大きさおよび形状を変えることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、バッテリ収容部内にオイルタンクが設けられ、バッテリ収容部が、オイルタンクを当該バッテリ収容部内の異なる位置に配置し得るようにオイルタンクの係止部が枢支可能に係止される被係止部を有しているので、オイルタンクの係止部をバッテリ収容部の被係止部に係止させることにより、オイルタンクがバッテリ収容部内に取り付けられるとともに、オイルタンクの係止部をバッテリ収容部の被係止部に対して回動させることにより、オイルタンクをバッテリ収容部内の異なる位置に配置することができる。これにより、バッテリ収容部内においてバッテリ収容スペースの大きさおよび形状を変えることができ、その結果、同一車両のフォークリフトが、異なる規格のバッテリを収容できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるバッテリ式フォークリフトの側面概略図である。
【図2A】図1のX-X線断面図であって、本発明の第1の実施例によるオイルタンクを車両の前後方向に配設した状態を示す図である。
【図2B】図1のX-X線断面図であって、本発明の第1の実施例によるオイルタンクを車両の幅方向に配設した状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例によるオイルタンクの全体斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるオイルタンクの全体斜視図である。
【図5A】図1のX-X線断面図であって、本発明の第2の実施例によるオイルタンクを車両の前後方向に配設した状態を示す図である。
【図5B】図1のX-X線断面図であって、本発明の第2の実施例によるオイルタンクを車両の幅方向に配設した状態を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例によるオイルタンクの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明によるバッテリ式フォークリフト1は、前後方向(同図左右方向)に延びる左右一対の車体フレーム2(図2A参照)と、その前後に配置された駆動輪3および操舵輪4と、車体フレーム2の前端に設けられたフォーク爪5aを有する作業装置5と、車体フレーム2の内部に設けられたバッテリ6とを備えている。
【0022】
バッテリ6は、バッテリカバー7により覆われている。また、バッテリカバー7内においてバッテリ6の後方には、コントローラ8が設けられている。コントローラ8は、作業装置5の駆動用の油圧機器(図示せず)やフォークリフト1の走行用の駆動モータ(図示せず)などを制御するための機器である。
【0023】
バッテリカバー7の上には、運転席9が設けられている。運転席9の前方において車体フレーム2の前部には、ステアリング装置10が設けられている。
【0024】
運転席9の上方には、運転席9に座るオペレータの頭上をガードするためのヘッドガード11が設けられている。ヘッドガード11は、その前端側をフロントピラー12により、後端側をリアピラー13によりそれぞれ支承されている。
【0025】
図2Aに示すように、左右の車体フレーム2、2の間には、平面視矩形状の空間であるバッテリ収容部60が形成されている。バッテリ収容部60内において、一方の車体フレーム2の側に片寄らせた状態でバッテリ6が収容されている。バッテリ収容部60内において、他方の車体フレーム2の側には、本発明の第1の実施例によるオイルタンク20が配置されている。
【0026】
オイルタンク20は、図3に示すように、箱状の部材であって、その一側面には、一つまたは複数のブラケット部(係止部)21、22が設けられている。各ブラケット部21、22にはそれぞれ貫通孔21a、22aが形成されており、各貫通孔21a、22aは上下方向に整列している。一方、バッテリ収容部60内には、上下方向に延びる支軸(被係止部)61が設けられており(図2A参照)、支軸61はブラケット部21、22の各貫通孔21a、22aを挿通している。これにより、オイルタンク20は、バッテリ収容部60内に係止されるとともに、ブラケット部21、22を介して支軸61の回りを回動自在になっている。支軸61は、好ましくは、バッテリ収容部60内の隅部に配置されている。
【0027】
オイルタンク20の上面には、コネクタ23、24が取り付けられている。コネクタ23は、図示しないサクションホースに接続されており、オイルタンク20内のオイルを外部に取り出すためのものである。コネクタ24は、図示しないリターンホースに接続されており、前記サクションホースを通って油圧機器(図示せず)に供給されたオイルをオイルタンク20内に戻すためのものである。オイルタンク20の上面には、さらに、圧抜き用のブリーザ25が設けられている。また、オイルタンク20の別の側面には、オイルタンク20をバッテリ収容部60内に固定するための固定ボルト(図示せず)が挿入される取付フランジ部26が設けられている。
【0028】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
オイルタンク20をバッテリ収容部60内に取り付ける際には、バッテリ収容部60内に予め植設された支軸61を、オイルタンク20のブラケット部21、22の各貫通孔21a、22aに通す。このとき、オイルタンク20を車両の前後方向に沿って配設した状態が図2Aに示されている。この状態から、オイルタンク20の取付フランジ部26に固定ボルトを挿入して、オイルタンク20を固定ボルトによりバッテリ収容部60内に固定する。また、オイルタンク20の各コネクタ23、24にそれぞれサクションホースおよびリターンホースを接続して、油圧回路を構築する。
【0029】
ここで、バッテリ収容部60内の空間のうち、オイルタンク20による占有空間を除く空間がバッテリを収容し得るバッテリ収容スペースとなり(図2A中の×領域参照)、当該バッテリ収容スペースにバッテリ6が収容されている。この場合、バッテリ収容スペースは、幅方向(図2A上下方向)の寸法が小さくなるものの、前後方向(同図左右方向)の寸法を長くすることができる。
【0030】
次に、図2Aに示す状態から、オイルタンク20の固定ボルトを外し、オイルタンク20を支軸61の回りに90度回動させると、図2Bに示す状態となる。このとき、オイルタンク20は、車両の幅方向に沿って配設されている。この状態から、オイルタンク20の取付フランジ部26に固定ボルトを挿入して、オイルタンク20を固定ボルトによりバッテリ収容部60内に固定する。なお、オイルタンク20の回動によって、オイルタンク20の各コネクタ23、24に接続された各ホースも移動するが、このとき、各ホースがオイルタンク20の回動を妨げないように、各ホースの長さを長めにしておく必要がある。
【0031】
この場合のバッテリ収容スペースは、同様に、バッテリ収容部60内の空間のうち、オイルタンク20による占有空間を除いた空間であって(図2B中の×領域参照)、当該バッテリ収容スペースにバッテリ6’が収容されている。この場合、バッテリ収容スペースは、前後方向(図2B左右方向)の寸法が小さくなるものの、幅方向(同図上下方向)の寸法を長くすることができる。
【0032】
このように本実施例によれば、オイルタンク20を支軸61の回りに回動させることにより、オイルタンク20をバッテリ収容部60内の異なる位置に配置することができ、これにより、バッテリ収容部60内においてバッテリ収容スペースの形状を変えることができる。その結果、同一車両のフォークリフトが、異なる規格のバッテリを収容できるようになる。しかも、この場合には、オイルタンク20をバッテリ収容部60内で支軸61の回りに単に回動させるだけでよいので、バッテリの規格変更に容易に対応できるようになる。
【0033】
次に、図4は、本発明の第2の実施例によるオイルタンク20’を示している。なお、同図中、図3と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0034】
ここでは、前記第1の実施例におけるブラケット部21、22の代わりに、略U字状のフック部27、28が設けられている点が、前記第1の実施例と異なっている。すなわち、各フック部27、28は、その略U字状部分の一端がオイルタンク20’の側面に固着されるとともに、他端がオイルタンク20’の当該側面との間に間隙を有している。そして、各フック部27、28の略U字状部分は、支軸61に枢支可能に係止されている。
【0035】
次に、この第2の実施例において、オイルタンク20’をバッテリ収容部60内に取り付ける際には、バッテリ収容部60内に予め植設された支軸61に、オイルタンク20’の各フック部27、28の略U字状部分を係合させる。このとき、オイルタンク20’を車両の前後方向に沿って配設した状態が図5Aに示されている。この状態から、前記第1の実施例と同様に、オイルタンク20’の取付フランジ部26に固定ボルトを挿入して、オイルタンク20’を固定ボルトによりバッテリ収容部60内に固定するとともに、オイルタンク20’の各コネクタ23、24にそれぞれサクションホースおよびリターンホースを接続して、油圧回路を構築する。
【0036】
この場合のバッテリ収容スペース(図5A中の×領域参照)は、前記第1の実施例と同様に、幅方向(図5A上下方向)の寸法が小さくなるものの、前後方向(同図左右方向)の寸法が長くなっている。
【0037】
次に、図5Aに示す状態から、オイルタンク20’の固定ボルトを外して、オイルタンク20’を支軸61の回りに90度回動させると、図5Bに示す状態となって、オイルタンク20’が車両の幅方向に配設される。この状態から、前記第1の実施例と同様に、オイルタンク20’の取付フランジ部26に固定ボルトを挿入して、オイルタンク20’を固定ボルトによりバッテリ収容部60内に固定する。
【0038】
この場合のバッテリ収容スペース(図5B中の×領域参照)は、前記第1の実施例と同様に、前後方向(図5B左右方向)の寸法が小さくなるものの、幅方向(同図上下方向)の寸法が長くなっている。
【0039】
このように本実施例においても、オイルタンク20’を支軸61の回りに回動させることにより、オイルタンク20’をバッテリ収容部60内の異なる位置に配置することができ、これにより、バッテリ収容部60内においてバッテリ収容スペースの形状を変えることができる。その結果、同一車両のフォークリフトが、異なる規格のバッテリを収容できるようになる。しかも、この場合においても、オイルタンク20をバッテリ収容部60内で支軸61の回りに単に回動させるだけでよいので、バッテリの規格変更に容易に対応できるようになる。
【0040】
次に、図6は、本発明の第3の実施例によるオイルタンク20”を示している。なお、ここでは、オイルタンク20”の上面に設けられる各コネクタおよびブリーザを省略したものが示されている。
【0041】
図6に示すように、オイルタンク20”の底面には、当該オイルタンク20”をバッテリ収容部60(図2A、図5A参照)内に取り付けるための取付フランジ部29、30が設けられている。取付フランジ部29、30に形成された各貫通孔には、バッテリ収容部60内に固定される取付ネジ31、32がそれぞれ挿入される。また、オイルタンク20”の底面において、各取付フランジ部29、30と対向する側にも取付フランジ部(図示せず)がそれぞれ設けられており、これらの取付フランジ部の各貫通孔にも取付ネジがそれぞれ挿入される。なお、ここでは、取付フランジ部29についてのみ、その張出量を他の取付フランジ部の張出量よりも大きくとっている。
【0042】
一方、バッテリ収容部60内には、各取付フランジ部29、30等の各貫通孔に対応する位置にそれぞれネジ孔が形成されている。取付フランジ部29の貫通孔に対応するネジ孔は、好ましくは、前記第1、第2の実施例における支軸61の位置に配置されている。また、各ネジ孔は、オイルタンク20”をバッテリ収容部60内において車両前後方向に配設した場合および車両幅方向に配設した場合の双方にそれぞれ対応する位置に設けられており、これらの場合において、取付フランジ部29の貫通孔に対応するネジ孔は共用されている。
【0043】
次に、オイルタンク20”をバッテリ収容部60内に取り付ける際には、オイルタンク20”の各取付フランジ部29、30等の各貫通孔の位置をこれらに対応する各ネジ孔の位置に合わせ、各貫通孔に取付ネジ31、32等を挿入して締め付けることにより、オイルタンク20”がバッテリ収容部60内に固定される。この場合において、オイルタンク20”を車両の前後方向に沿って配設した場合には、前記第1の実施例の図2Aまたは前記第2の実施例の図5Aと同様に、オイルタンク20”は、いずれかの車体フレーム2の側に片寄った位置に配置される。
【0044】
次に、オイルタンク20”から、取付ネジ31を除くすべての取付ネジを外すとともに、取付ネジ31を緩める。この状態から、オイルタンク20”を取付ネジ31の回りに90度回動させる。すると、オイルタンク20”は、車両の幅方向に沿って配設される(図2B、図5B参照)。このとき、オイルタンク20”の各取付フランジ部の各貫通孔の位置がこれらに対応する各ネジ孔の位置に整列しており、この状態から、各貫通孔に取付ネジを挿入して締め付けることにより、オイルタンク20”がバッテリ収容部60内に固定される。
【0045】
このように、第3の実施例では、取付フランジ部29が係止部に相当するとともに、取付ネジ31が被係止部に相当しており、取付フランジ部29を取付ネジ31の回りに回動させることで、オイルタンク20”をバッテリ収容部60内の異なる位置に配置でき、バッテリ収容部60内のバッテリ収容スペースの形状を変えることができる。これにより、同一車両のフォークリフトが、異なる規格のバッテリを収容できるようになる。しかも、この場合には、オイルタンク20をバッテリ収容部60内で取付ネジ31の回りに単に回動させるだけでよいので、バッテリの規格変更に容易に対応できるようになる。
【0046】
なお、前記第1ないし第3の実施例では、バッテリ収容部60の前側の隅部に支軸61または取付ネジ31を配設した例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。本発明は、支軸61または取付ネジ31をバッテリ収容部60の後側の隅部に配設した場合にも同様に適用できる。
【0047】
この場合には、オイルタンク20、20’または20”を支軸61または取付ネジ31の回りに90度回動させたとき、オイルタンク20、20’または20”はバッテリ収容部60の後側に配置されることになり、バッテリ6は、オイルタンク20、20’または20”の前方に配置されることになる。
【0048】
また、前記第1および第2の実施例では、オイルタンク20をバッテリ収容部60内に固定するための取付フランジ部26がオイルタンク20の側面に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。このような取付フランジ部は、オイルタンク20の底面に設けるようにしてもよい(図6参照)。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明は、バッテリ式フォークリフトに有用であり、とくに規格の異なるバッテリの搭載を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0050】
1: バッテリ式フォークリフト

6: バッテリ
6’: バッテリ
60: バッテリ収容部

20、20’、20”: オイルタンク
21、22: ブラケット(係止部)
27、28: フック部(係止部)
29: 取付フランジ部(係止部)

31: 取付ネジ(被係止部)
61: 支軸(被係止部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2001−63979号公報(図3参照)
【特許文献2】特開2001−130885号公報(図2、図4、図6、図8、図10、図12参照)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ式フォークリフトにおいて、
バッテリを収容するためのバッテリ収容部が車両本体に設けられるとともに、
前記バッテリ収容部内にオイルタンクが設けられており、
前記オイルタンクが、当該オイルタンクを前記バッテリ収容部内に係止するための係止部を有し、
前記バッテリ収容部が、前記オイルタンクを当該バッテリ収容部内の異なる位置に配置し得るように前記オイルタンクの前記係止部が枢支可能に係止される被係止部を有している、
ことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。
【請求項2】
請求項1において、
前記被係止部が、前記バッテリ収容部の隅部に設けられている、
ことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記被係止部が前記バッテリ収容部内に植設された支軸から構成されるとともに、前記支軸に係止する前記係止部が、前記支軸が挿通する貫通孔を有するブラケット部から構成されており、前記ブラケット部が前記支軸の回りを回動することにより、前記オイルタンクが前記バッテリ収容部内の異なる位置に配置されるようになっている、
ことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記被係止部が前記バッテリ収容部内に植設された支軸から構成されるとともに、前記支軸に係止する前記係止部が、略U字状のフック部から構成されており、前記フック部が前記支軸の回りを回動することにより、前記オイルタンクが前記バッテリ収容部内の異なる位置に配置されるようになっている、
ことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記係止部が、前記バッテリを前記バッテリ収容部内に取り付けるための取付フランジ部から構成されるとともに、前記被係止部が、前記取付フランジに形成された貫通孔を挿通しかつ前記バッテリ収容部内に固定される取付ネジから構成されており、前記取付フランジ部が前記取付ネジの回りを回動することにより、前記オイルタンクが前記バッテリ収容部内の異なる位置に配置されるようになっている、
ことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。
【請求項6】
請求項1、3、4または5のいずれかにおいて、
前記異なる位置が、前記オイルタンクを車両本体の前後方向に配設する位置と、前記オイルタンクを車両本体の幅方向に配設する位置とを含んでいる、
ことを特徴とするバッテリ式フォークリフト。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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