バッテリ接続具
【課題】バッテリの接続作業を円滑に行なうことができるようにする。
【解決手段】バスバーホルダ4はバスバー3を収容可能なバスバー収容部15を有する本体部7と、本体部7とはヒンジ8によって接続された蓋部9とによって形成される。バスバー3はバスバー収容部15内にバッテリ1の並び方向に沿って所定量の変位が許容されるクリアランスが設定されている。したがって、バスバー3の差し込み孔5と対応する電極2との位置ずれがある場合には、バスバー3を並び方向に沿って変位させれば、差し込み孔5と電極とを位置合わせして差し込むことができる。また、バスバー3が変位する際には、バスバーに張り出し形成された支持片6が、本体部7に形成されたガイド部16に嵌め入れられてバスバー3の変位動作が支持される。
【解決手段】バスバーホルダ4はバスバー3を収容可能なバスバー収容部15を有する本体部7と、本体部7とはヒンジ8によって接続された蓋部9とによって形成される。バスバー3はバスバー収容部15内にバッテリ1の並び方向に沿って所定量の変位が許容されるクリアランスが設定されている。したがって、バスバー3の差し込み孔5と対応する電極2との位置ずれがある場合には、バスバー3を並び方向に沿って変位させれば、差し込み孔5と電極とを位置合わせして差し込むことができる。また、バスバー3が変位する際には、バスバーに張り出し形成された支持片6が、本体部7に形成されたガイド部16に嵌め入れられてバスバー3の変位動作が支持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載されるバッテリは、複数のバッテリを組み合わせてバッテリ集合体とした形式のものが増えてきている。この形式では、各バッテリはバッテリ接続具によって直列に接続される。バッテリ接続具としては合成樹脂等の絶縁材よりなるホルダ内に複数の接続導体を組み込んだ構成のものが知られている。そのような具体例として、下記文献を挙げることができる。このものにおける接続導体には二つの差し込み孔が貫通し、隣接するバッテリの極性の異なる電極を差し込み可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−82370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリ集合体において、隣接する極性の異なる電極間の間隔のばらつきは、バッテリ集合体の両端部に行くほど大きくなる。その原因は、バッテリ自体の幅寸法のばらつきとバッテリの正負の電極間寸法のばらつきとがバッテリ集合体の両端部へ積み上がることによる。このため、バッテリ接続具が単一部材で構成されることから、接続導体の差し込み孔と対応する電極との位置ずれによって、円滑な接続作業に支障が出る虞があった。その対策として、単純には電極に対する差し込み孔の孔径を拡張することが考えられる。しかし、そのような対策では電極との接触面積が減少し、電気的抵抗の増大に起因した発熱が懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バッテリの接続作業を円滑に行なうことができるバッテリ接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、複数のバッテリを並べ隣接するバッテリの異なる極性の電極同士を接続させることによって、前記各バッテリを直列に接続するバッテリ接続具であって、極性の異なる前記電極へ差し込み可能な一対の差し込み孔が貫通し導電材にて形成された複数のバスバーと、各バスバーを組み込み可能で絶縁材にて形成されたバスバーホルダとからなるとともに、前記バスバーホルダは各バスバーを組み込むためのバスバー収容部が前記バッテリの並び方向に沿って複数個所に形成されかつこのバスバー収容部は前記電極と対向する側が開口して形成され、前記各バスバーは、前記差し込み孔と前記電極とを整合させるに必要な変位量をもって前記各バスバー収容部内を前記バッテリの並び方向へ変位可能であるところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記バスバー収容部において前記バッテリの並び方向に沿った両側面には、前記並び方向に延びる一対のガイド部が形成され、前記バスバーにおいて前記両ガイド部に対向する両側縁には前記両ガイド部に対してスライド可能に嵌め入れられる被ガイド部が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記バスバー収容部には、バスバーを少なくともバッテリの並び方向から挟んで同方向に関して位置決めした状態で保持する弾性保持片が設けられるとともに、この弾性保持片は前記バスバーが前記並び方向への変位を許容する方向へ撓み可能に形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記バスバーホルダは合成樹脂材にて形成される一方、前記バスバーは、前記バスバー収容部においてほぼ点接触あるいはほぼ線接触状態で支持されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記バスバー収容部には、前記バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持するための支持突部が一体に突出形成されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記バスバーには、バスバー自体を前記バスバー収容部に対して点接触あるいは線接触状態で支持する突起が一体に突出形成されているところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のものにおいて、前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなり、前記バスバーは前記蓋部及び前記バスバー収容部の双方に対して点接触あるいは線接触された状態で板厚方向から挟み付けられて支持されるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、バスバーがバスバーホルダに対して差し込み孔と電極との位置ずれを吸収可能なストローク範囲に亘って変位可能な構成としたため、バスバー集合体の両端部においても、バスバーを適宜に変位させることで差し込み孔と電極の位置を整合させることができる。したがって、バッテリの接続作業を円滑に行うことができる。
【0015】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、バスバーはバスバーホルダに設けられた一対のガイド部によって変位動作が案内されるため、バスバーの変位作業を円滑に行うことができる。
【0016】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、バスバーは弾性保持片によってバッテリの並び方向、すなわちバスバーの変位が許容される方向から挟み付けられているため、バッテリ接続具単体時におけるバスバーのがた付きを規制することができる。
【0017】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、蓋部を開放しておけば、バスバー収容部を通してバスバーの装着を行なうことができるため、バスバーの組み込み作業を容易に行なうことができる。
【0018】
<請求項5の発明>
バスバーはバッテリからの通電に伴って発熱するため、バスバーに接している樹脂製のバスバーホルダは発熱による影響が懸念される。しかし、請求項5の発明ではバスバーはバスバー収容部に対して点接触あるいは線接触状態で支持されるようにしたから、熱による影響を極力受けないようにすることができる。
【0019】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持する支持突部はバスバー収容部に一体に形成されるため、成形が容易であり部品点数が増加することもない。
【0020】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持する突起は金属製のバスバーに形成されるため、突起を変形等から保護することができる。
【0021】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、バスバーは蓋部とバスバー収容部との双方から点接触あるいは線接触状態で挟み付けられて支持されるため、僅かな接触面積でありながらも板厚方向にがた付きなく支持される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係るバッテリ相互の接続状況を示す部分平面図
【図2】バスバーホルダを開放した状態を示す側断面図
【図3】電極への装着状態を示す側断面図
【図4】バスバーホルダを開放してバスバーの収容作業を示す破断図
【図5】バッテリ接続具の部分正面図
【図6】実施形態2に係るバッテリ接続具の開放状態を示す破断図
【図7】バッテリ接続具の部分正面図
【図8】実施形態3に係るバッテリ接続具の開放状態を示す平面図
【図9】同じく部分正面図
【図10】蓋部を閉じた状態での側断面図
【図11】実施形態4に係るバッテリ接続具の開放状態を示す平面図
【図12】同じく蓋部を閉じた状態の側断面図
【図13】実施形態5に係るバスバーの平面図
【図14】同じく蓋部を閉じた状態において要部を拡大して示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
図1乃至図5は本発明の実施形態1を示すものである。図1にはバッテリ集合体Bとこのバッテリ集合体Bを構成する複数の小型バッテリ1を直列に接続するバッテリ接続具J1とが示されている。各小型バッテリ1は薄型の直方体形状に形成され、正極と負極とを同一端面に備える形式のものが採用されている。また、各小型バッテリ1において、両電極2はほぼ対角位置に配置されている。
【0024】
バッテリ集合体Bは、各小型バッテリ1を長辺側の側面同士を密着させた状態で複数個を並列し、その状態で全体を図示しない結束ベルト等によって束ねることによって構成されている。より詳細には、バッテリ集合体Bを構成するにあたり、各小型バッテリ1は電極2が設けられた面が同一方向を向くようにしてあり、隣接する小型バッテリ1の電極2の正負の極性が小型バッテリ1の並び方向に沿って一定ピッチ間隔で交互に繰り返す向きで並列されている。
【0025】
次に、バッテリ接続具J1について説明すると、バッテリ接続具J1は、図1に示すように、バッテリ集合体Bに対して電極2の並び方向に沿って一対が備えられる。各バッテリ接続具J1は図2に示すように、複数の金属製バスバー3とこれらを組み込むための合成樹脂製のバスバーホルダ4とから構成されている。
【0026】
各バスバー3は長方形状の平板材によって形成され、それぞれは隣接する小型バッテリ1の正負電極2を挿通させるための一対の差し込み孔5が貫通して形成されている。両差し込み孔5は各電極2の形状(断面略円形のねじ軸)に合わせて円形に形成され、各電極2の外よりも僅かに大きめの孔径に形成されている。また、各バスバー3の長辺側の両側縁には片側一対ずつ、外方へ向けて支持片6(被ガイド部)が張り出し形成されている。各支持片6はバスバー3の長さ方向の中心軸線を挟んで対称位置に配されている。
【0027】
バスバーホルダ4は、本体部7とこの本体部7に対してヒンジ8を介して開閉可能に接続された蓋部9とから構成されている。本体部7は小型バッテリ1の並び方向に沿って延びる一対の側壁10と、両側壁10の長さ方向の両端同士を接続する一対の端面壁(図示しない)と、両側壁10同士を一定間隔毎に連結する連結壁11とを備え、全体として長尺の枠体形状に形成されている。バスバーホルダ4においてヒンジ8が設けられていない側の側壁10には一定間隔毎にロック受け部12が張り出し形成されている。各ロック受け部12は高さ方向へ貫通して形成されている。
【0028】
一方、蓋部9はバスバーホルダ4の上面全体を閉止可能な平板状に形成され、バスバーホルダ4における一方の側壁10であって連結壁11と対応する部位に間欠的に配された複数のヒンジ8によって開閉可能となっている。蓋部9のヒンジ8が設けられていない側の長辺には各ロック受け部12と対応してロック爪13が突出して形成されている。各ロック爪13は、蓋部9が閉止されると対応するロック受け部12内に挿入されてロック受け部12の下縁部に係止し、蓋部9全体をロック状態に保持可能である。
【0029】
また、蓋部9には各バスバー3と対応する位置に窓孔14が開口している。この窓孔14はバスバー3より小さめの開口面積をもって形成されており、バスバー3がバスバー収容部15内に収容された状態では、バスバー3の周縁部が窓孔14の周縁部に平面視で重複するようにしてある。なお、この重複範囲はバスバー3が設定された範囲で変位しても重複状態が維持される程度に設定されている。
【0030】
バスバーホルダ4において連結壁11相互の間には、バスバー3を収容するためのバスバー収容部15が設けられている。すなわち、各バスバー収容部15は長さ方向に沿って一定間隔毎に配され、いずれも高さ方向の双方向へ開口して形成され、バスバー3は上面側(蓋部9によって閉止される側)から嵌め入れられる。バスバー3がバスバー収容部15内に嵌め入れられた状態では、バスバー3の長手方向の両側縁とバスバーホルダ4の両側壁10との間には僅かなクリアランスが保有され、バスバー3はそのクリアランスの範囲内で幅方向へ変位することができる。同様に、バスバー3の収容状態では、バスバー3の両短辺と対応する連結壁11との間には、所定のクリアランスが設定されていて、バスバー3はそのクリアランスの範囲内で長手方向、つまりバッテリの並び方向への変位することができる。
【0031】
各バスバー収容部15において、両側壁10の上端縁にはバスバー3の各支持片6に対応してガイド部16が4箇所ずつ凹み形成されている。各ガイド部16は上面側へ開口して形成され、その底面にて支持片6を支持することができる。各ガイド部16の長手方向に関する寸法は、各支持片6の幅寸法より長い寸法をもって形成されており、これによりバスバー3はバスバー収容部15に対する長さ方向への変位が許容される。この許容されるストロークは、後述する電極2とバスバー3の差し込み孔5との間に予想される位置ずれを吸収できる量に設定されているとともに、上記したバスバー3の短辺と連結壁11との間のクリアランスとほぼ同程度に設定されている。
【0032】
図3に示すように、各ガイド部16の深さ寸法はバスバー3の板厚寸法とほぼ等しく設定され、蓋部9が閉じられたときには各支持片6が蓋部9の内面とガイド部16の底面との間でほぼ密着状態で挟み付けられることにより、バスバー3は厚み方向へがたつくことが規制される。さらに、各ガイド部16の板厚方向の寸法は、バスバー3がクリアランスの範囲内で幅方向に変位しても、支持片6がバスバーホルダ4から外方へ突出しないように設定されている。
【0033】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。バッテリ接続具J1の組付け作業を説明すると、まず、図3に示すように、各電極2には円筒状のスペーサ部材17が嵌め込まれる(図3参照)。一方で、バスバーホルダ4の蓋部9を開放して各バスバー収容部15へバスバー3の収容作業を行う。この場合には、バスバー3の各支持片6を対応するガイド部16の底面に載せて蓋部9を閉じる。そしてロック爪13をロック受け部12に挿入すると、ロック受け部12が外方へ膨出変形してロック爪13が貫通することができ、その結果、ロック爪13がロック受け部12の下縁部に係止することにより、各バスバー3がバスバーホルダ4内に組み込まれる。
【0034】
こうして得られたバッテリ接続具J1をバッテリ集合体Bへ接続する場合には、バッテリ集合体Bのうち最も端部側に位置する小型バッテリ1の一方の電極2及び隣接する小型バッテリ1における極性の異なる電極2に対して、対応するバスバー3の両差し込み孔5へ嵌め付ける。このような作業の基準となる嵌め付け作業に伴い、他のバスバー3の差し込み孔5へも対応する小型バッテリ1の電極2が自動的に差し込まれる。
【0035】
しかし、上記した基準の位置から遠ざかるにつれ、小型バッテリ1の電極2と対応するバスバー3の差し込み孔5との位置ずれ量が積み上がるため、そのままでは電極2への差し込みができなくなる事態が生じる。そのような場合には、手作業にて対象となるバスバー3をバスバー収容部15内で適宜に変位操作する。
このとき、支持片6とガイド部16との間のクリアランス、バスバー3の短辺と連結壁11との間のクリアランスに基づいて、バスバー3を小型バッテリ1の並び方向へ変位させうる。また、バスバー3の長辺と両側壁との間のクリアランスに基づいて、小型バッテリ1の並び方向と交差する方向へも変位させうる。したがって、差し込み孔5と電極2とのずれの状況に応じてこれら変位方向を適宜調整してやることで、位置ずれを容易に調整することができる。また、バスバー3をいずれの方向へ変位させるにしても、バスバー3は各支持片6がガイド部16に沿って変位動作が案内されるため、円滑に調整作業をすることができる。
【0036】
上記の作業をバッテリ集合体Bにおける二列の電極列に対して行なった後、全ての電極2に対してナット18にて締め込んでやれば、バッテリ接続具J1の接続作業が完了する。また、バスバー3はスペーサ部材17によって下方から支えられているため、ナット18の過剰な締め込みに起因してバスバー3を変形させてしまう虞もない。
【0037】
以上のように、実施形態1によれば、各バスバー3をバスバー収容部15内で小型バッテリ1の並び方向に沿って変位可能に組み込んだため、電極2と差し込み孔5との位置ずれを吸収することができる。また、バスバー3は各支持片6がガイド部16に沿って案内されながら変位するため、バスバー3の変位操作を円滑に行なうことができる。
【0038】
<実施形態2>
図6及び図7は本発明の実施形態2を示すものである。実施形態2はバスバーホルダ4Aの本体部7Aに弾性保持片19を設け、これらによってバスバー3Aを位置決め状態で保持しようとするものである。
【0039】
まず、実施形態2におけるバスバー3Aが実施形態1と異なる点は、支持片6を持たない点、及び長辺側の両側縁の中央部に一対の凹所20が切欠き形成されている点である。各凹所20は外方へ向けて徐々に間口が拡がるように形成されている。
【0040】
バスバー3Aが支持片6を有さないため、各バスバー収容部15Aにおける両側壁10Aには、片側一対ずつ計4片の受け片21がそれぞれ内向きに張り出し形成されており、バスバー3Aをほぼその四隅位置において下面側から支持するようにしている。また、各バスバー収容部15Aにおいて両側壁10Aの長手方向中央部には位置決め突部22が内向きに突出して形成されている。各位置決め突部22は凹所20と対応するような形状、つまり先端に向うに連れて徐々に先細りとなるように形成されている。各位置決め突部22と対応する凹所20との間には所定のクリアランスが設定され、バスバー3Aの長手方向及びこれと交差する方向のいずれの方向についても、所定範囲での変位を許容する。
【0041】
各バスバー収容部15Aにおける両側壁10Aには片側一対ずつ弾性保持片19が設けられている。各弾性保持片19は両側壁10Aに対し3方からスリット23が切り込まれることで片持ち状に形成され、本体部7Aに対し内外方向への撓み変形が可能となっている。そして、各弾性保持片19のうち小型バッテリ1の並び方向で対をなすもの同士は、バスバー収容部15Aの長手方向中央部寄りの端部を支点とし、そこから長手方向に沿って互いに離間する方向へ延び、延出端側が自由端となっている。
【0042】
また、各弾性保持片19の自由端には保持爪24が内向きに突出している。各保持爪24の内面には先端側に行くに連れて上り勾配となるテーパ状の圧接面25が形成されている。
【0043】
バスバー3Aがバスバー収容部15A内に組み込まれた状態では、バスバー3Aはこれらを取り囲む全ての圧接面25にてその四隅がほぼ当接するようにしている。つまり、各バスバー3Aはバスバー収容部15Aの中心部に自動的に位置決めされた状態で組み込みがなされている。但し、このときには各弾性保持片19はいずれも自然状態にある(勿論、各弾性保持片19が撓み状態にあってもよい)。
他の構成は実施形態1と同様であるから、図面中に同一符号を付して説明は省略する。
【0044】
上記のように構成された実施形態2は、各バスバー3Aは四方から弾性保持片19によってバスバー収容部15Aの中央部に位置決めされるようにしたため、バッテリ接続具J2が単体状態のときにバスバー3Aのがた付きを回避することができる。また、バスバー3Aは初期位置が常にバスバー収容部15Aの中央位置となっているため、ずれ調整の際の移動量を少なくすることができる。さらに、バスバー3Aを取り囲む4つの弾性保持片19はそれぞれ独立して撓み可能であるため、ずれ調整の際のバスバー3Aの移動方向は小型バッテリ1の並び方向に限らず、これと直交する方向あるいはバスバー3Aの中心周りの角変位をも許容することができる。
【0045】
<実施形態3>
図8ないし図10は本発明の実施形態3を示すものである。図8に示すように、実施形態3のバッテリ接続具J3の基本的構成は実施形態2と同様である。したがって、共通する構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0046】
本実施形態と実施形態2とはバスバーホルダ4Bにおいて相違する。両者の相違点は、各バスバー収容部15B内に配された全ての受け片21Bの上面(バスバー3Aを支持する側の面)の中央部に本体部側支持突部30が突出形成されている点、及び蓋部9Bの内面であって各本体部側支持突部30と対応する位置に蓋部側支持突部31が形成されている点である。
【0047】
いずれの側の支持突部30,31も略半球状に形成されている。蓋部側支持突部31は、蓋部9Bが本体部7Bに対して閉じられたときに本体部側支持突部30の真上に位置し、本体部側支持突部30と共にバスバー3Aを板厚方向から挟み、いずれの支持突部30,31もバスバー3Aに対して点接触状態で当接するように形成されている。
【0048】
上記のように構成された実施形態3によれば、バスバー3Aは蓋部9Bが開放された状態でバスバー収容部15B内に収められ、その四隅近くの部位が各本体部側支持突部30によって支持される。次に、蓋部9Bが閉じられロック爪13がロック受け部12に係止されることで、蓋部9Bは閉じ状態にロックされる。蓋部9Bが閉じられることに伴い、バスバー3Aは、本体側及び蓋部側の各支持突部30,31によって板厚方向から点接触状態で挟持される。これにより、バスバー3Aは板厚方向に関してほぼがたつきのない状態で位置決めされる。このとき、バスバー3Aの四隅は各弾性保持片19の圧接面25に弾接するため、バスバー3Aはバスバー収容部15Bの中心部に位置決めがなされる。
【0049】
実施形態3においても、実施形態2と同様、バスバー3Aはバッテリの並び方向及びこれと交差する方向のいずれの方向においても位置調整が可能であり、この間、バスバー3Aは各支持突部30,31に対して擦れながら変位する。上記したように、バスバー3Aは各支持突部30,31に対して点接触状態にあるため、バスバー3Aの位置調整時の摺動抵抗も小さい。したがって、バスバー3Aの変位はスムーズであり、バッテリ電極2と差し込み孔5との位置ずれ吸収の作業を円滑に行うことができる。
【0050】
また、バッテリ集合体Bが種々の電気機器に接続されて通電がなされると、バスバー3Aが発熱するが、本実施形態ではバスバー3Aは各支持突部30,31によって点接触状態で支持されているため、発熱の影響がバスバーホルダ4Bに及ぶ事態は有効に緩和されている。加えて、バスバー3Aはバッテリ1への接続時において、各弾性保持片19の圧接面25に対して点接触あるいは非接触の状態にあるため、各弾性保持片19を通じての熱伝達もより効果的に抑制されている。
【0051】
<実施形態4>
図11及び図12は本発明の実施形態4を示すものである。図11に示すように、実施形態4のバッテリ接続具J4の基本的構成は実施形態1と同様である。したがって、共通する構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0052】
本実施形態と実施形態1とはバスバーホルダ4Cの構成において相違する。両者の相違点は、バスバーホルダ4C側の各ガイド部16Cの上面に長手方向に沿って本体部側支持突部30Cが突出形成されている点、蓋部9Cの内面であって各本体部側支持突部30Cと対応する位置に蓋部側支持突部31Cが同方向に沿って突出形成されている点、及びバスバーホルダ4Cの両側壁10Cの内面に側面突部32が突出形成されている点である。
【0053】
本体部7C側及び蓋部9C側のいずれの支持突部30C,31Cも所定長さを有するリブ状をなし、断面が円弧状をなすように形成されている。蓋部側支持突部31Cは、蓋部9Cが本体部7Cに対して閉じられたときに本体部側支持突部30Cの真上に位置し、本体部側支持突部30Cと共にバスバー3の各支持片6を板厚方向から挟み、いずれの支持突部30C,31Cも各支持片6に対して線接触状態で当接する。
【0054】
側面突部32はバスバーホルダ4Cの両側壁10Cの内面で各ガイド部16Cを長さ方向に挟んだ部分の上縁部にそれぞれ二箇所ずつ高さ方向へリブ状をなして突出形成されている。各側面突部32は断面が円弧形状に形成されている。この実施形態では、バスバー3はその中心軸がバスバー収容部15Cの長手方向の中心軸に揃っている場合には各側面突部32に当接しないが、バスバー3が幅方向に偏った場合に、偏り方向に位置する片側の側面突部32にバスバー3の長辺側の側縁が線接触するようにしてある。
【0055】
なお、本実施形態では各支持片6とガイド部16Cとの間の長さ方向に関するクリアランス及びバスバー3の両短辺とバスバー収容部15Cの短辺側の内壁との間のクリアランスは、バスバー3の位置調整のために想定されている最大ストロークよりも長い寸法が確保されている。したがって、バスバー3の位置調整作業によっても、支持片6とガイド部16C、バスバー3の短辺とバスバー収容部15Cの短辺側内壁とが長手方向に関して突き当たることはない。
【0056】
上記のように構成された実施形態4においても、バスバー3は蓋部9Cが閉じられた状態でバッテリ1の並び方向及びこれと交差する方向のいずれの方向においても位置調整が可能であり、このときには、バスバー3と蓋部側及び本体部側の各支持突部30C,31Cとは線接触状態にあるため、バスバー3をスムーズに変位させることができる。
【0057】
また、バスバー3が発熱しても、バスバー3は高さ方向に関しては蓋部9C及び本体部7Cとの間では線接触状態であり、また幅方向に関しては側面突部32に対して非接触あるいは線接触状態であるため、発熱の影響がバスバーホルダ4Cに及ぶ事態は有効に緩和されている。
【0058】
<実施形態5>
図13及び図14は本発明の実施形態5を示すものである。本実施形態のバッテリ接続具J5の基本的構成は実施形態1と同様である。共通する構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0059】
実施形態3及び実施形態4では、バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持するための構成(支持突部)をバスバーホルダ側に形成したが、本実施形態5では、この支持構造をバスバー3D側である各支持片6Dに設けたものである。
【0060】
本実施形態では各支持片6D毎に3つの突起34a,bが設けられている。これら突起34a,bは各支持片6Dにおいて、バスバー3Dの長手方向に沿って等間隔で並列して配されている。各突起34a,bは支持片6Dの上面側から及び下面側からの叩き出しによって形成され、いずれも半球状に突出するように形成されている。また、各支持片6Dに配された各突起34a,bは、図14に示すように、その突出方向が長手方向で交互に逆向きとなるようにしてある。すなわち、同図における長手方向両端に位置する突起34a,34aは図示上面側から下面側へと叩き出され、中央に位置する突起34bはこれらとは逆に、図示下面側から上面側へと叩き出されている。その結果、各支持片6Dにおいて両端に位置する突起34a,34aはガイド部16の底面に点接触状態で当接し、中央に位置する突起34bは蓋部9の内面に当接するようにしてある。
他の構成は、実施形態1と同様であり、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
上記のように構成された実施形態5においても、バスバー3Dの位置調整が可能であるとともに、バスバー3Dはそれ自体に設けられている各突起34によって本体部7(ガイド部16)と蓋部9に対して点接触状態で支持されるため、バスバー3Dで発生した熱をバスバーホルダ4側に伝達される事態を有効に回避することができる。
【0062】
また、各突起34を金属製のバスバー3Dに形成するようにしたから、突起34を削れあるいは変形から保護することができる、という効果も発揮することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、蓋部9を本体部7に対してヒンジ8によって一体に接続したものを示したが、別体に構成されてもよい。
(2)上記実施形態では、正負電極2が同一端面に配された形式の小型バッテリ1を例示したが、本発明は異なる端面に配される形式の小型バッテリ1にも適用可能である。
【0064】
(3)上記実施形態では、ガイド部16がバッテリ接続具J1,J2の本体部を内外方向に貫通して形成される場合を示したが、必ずしも貫通する必要はなく内面に凹み形成されるようにしてもよい。
(4)実施形態2では、弾性保持片19をバスバー収容部15Aにおける両側壁10Aに形成したが、これに代えて連結壁11に形成しバスバー3Aの両短辺部において挟み付けるようにしてもよい。勿論、そのような配置を併用してもよい。
(5)実施形態3では、蓋部9Bを閉じたときに蓋部側支持突部31もバスバー3Aに当接するようにして板厚方向のがたつきを確実に防止するようにしたが、僅かなクリアランスはあってもよい。熱伝達を緩和する観点のみからすれば、蓋部側支持突部31は必須のものではない。
【0065】
(6)実施形態4では各支持突部30C,31Cは断面が円弧形状に形成されていたが、先端が尖った断面三角形状としてもよい。
【0066】
(7)実施形態4では、バスバー3が長手方向に位置調整されても、バスバー収容部15Cと長手方向に関して当接しない設定としたが、当接する設定としてもよい。その場合には、当接箇所にバスバー3に点接触あるいは線接触するような構造を設けることが望ましい。
【0067】
(8)実施形態5では各支持片6Dに3つの突起34を並列して設けたが、これに代えて長さ方向に延出するリブ状の突起を一条設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…小型バッテリ
2…電極
3,3A,3D…バスバー
4,4A,4B,4C…バスバーホルダ
5…差し込み孔
6,6D…支持片(被ガイド部)
7,7A,7B,7C…本体部
9,9B,9C…蓋部
15,15A,15B,15C…バスバー収容部
16,16C…ガイド部
19…弾性保持片
30,30C…本体部側支持突部
31,31C…蓋部側支持突部
34a,b…突起
B…バッテリ集合体
J1,J2,J3,J4,J5…バッテリ接続具
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載されるバッテリは、複数のバッテリを組み合わせてバッテリ集合体とした形式のものが増えてきている。この形式では、各バッテリはバッテリ接続具によって直列に接続される。バッテリ接続具としては合成樹脂等の絶縁材よりなるホルダ内に複数の接続導体を組み込んだ構成のものが知られている。そのような具体例として、下記文献を挙げることができる。このものにおける接続導体には二つの差し込み孔が貫通し、隣接するバッテリの極性の異なる電極を差し込み可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−82370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリ集合体において、隣接する極性の異なる電極間の間隔のばらつきは、バッテリ集合体の両端部に行くほど大きくなる。その原因は、バッテリ自体の幅寸法のばらつきとバッテリの正負の電極間寸法のばらつきとがバッテリ集合体の両端部へ積み上がることによる。このため、バッテリ接続具が単一部材で構成されることから、接続導体の差し込み孔と対応する電極との位置ずれによって、円滑な接続作業に支障が出る虞があった。その対策として、単純には電極に対する差し込み孔の孔径を拡張することが考えられる。しかし、そのような対策では電極との接触面積が減少し、電気的抵抗の増大に起因した発熱が懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バッテリの接続作業を円滑に行なうことができるバッテリ接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、複数のバッテリを並べ隣接するバッテリの異なる極性の電極同士を接続させることによって、前記各バッテリを直列に接続するバッテリ接続具であって、極性の異なる前記電極へ差し込み可能な一対の差し込み孔が貫通し導電材にて形成された複数のバスバーと、各バスバーを組み込み可能で絶縁材にて形成されたバスバーホルダとからなるとともに、前記バスバーホルダは各バスバーを組み込むためのバスバー収容部が前記バッテリの並び方向に沿って複数個所に形成されかつこのバスバー収容部は前記電極と対向する側が開口して形成され、前記各バスバーは、前記差し込み孔と前記電極とを整合させるに必要な変位量をもって前記各バスバー収容部内を前記バッテリの並び方向へ変位可能であるところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記バスバー収容部において前記バッテリの並び方向に沿った両側面には、前記並び方向に延びる一対のガイド部が形成され、前記バスバーにおいて前記両ガイド部に対向する両側縁には前記両ガイド部に対してスライド可能に嵌め入れられる被ガイド部が形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記バスバー収容部には、バスバーを少なくともバッテリの並び方向から挟んで同方向に関して位置決めした状態で保持する弾性保持片が設けられるとともに、この弾性保持片は前記バスバーが前記並び方向への変位を許容する方向へ撓み可能に形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記バスバーホルダは合成樹脂材にて形成される一方、前記バスバーは、前記バスバー収容部においてほぼ点接触あるいはほぼ線接触状態で支持されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記バスバー収容部には、前記バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持するための支持突部が一体に突出形成されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記バスバーには、バスバー自体を前記バスバー収容部に対して点接触あるいは線接触状態で支持する突起が一体に突出形成されているところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のものにおいて、前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなり、前記バスバーは前記蓋部及び前記バスバー収容部の双方に対して点接触あるいは線接触された状態で板厚方向から挟み付けられて支持されるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、バスバーがバスバーホルダに対して差し込み孔と電極との位置ずれを吸収可能なストローク範囲に亘って変位可能な構成としたため、バスバー集合体の両端部においても、バスバーを適宜に変位させることで差し込み孔と電極の位置を整合させることができる。したがって、バッテリの接続作業を円滑に行うことができる。
【0015】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、バスバーはバスバーホルダに設けられた一対のガイド部によって変位動作が案内されるため、バスバーの変位作業を円滑に行うことができる。
【0016】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、バスバーは弾性保持片によってバッテリの並び方向、すなわちバスバーの変位が許容される方向から挟み付けられているため、バッテリ接続具単体時におけるバスバーのがた付きを規制することができる。
【0017】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、蓋部を開放しておけば、バスバー収容部を通してバスバーの装着を行なうことができるため、バスバーの組み込み作業を容易に行なうことができる。
【0018】
<請求項5の発明>
バスバーはバッテリからの通電に伴って発熱するため、バスバーに接している樹脂製のバスバーホルダは発熱による影響が懸念される。しかし、請求項5の発明ではバスバーはバスバー収容部に対して点接触あるいは線接触状態で支持されるようにしたから、熱による影響を極力受けないようにすることができる。
【0019】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持する支持突部はバスバー収容部に一体に形成されるため、成形が容易であり部品点数が増加することもない。
【0020】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持する突起は金属製のバスバーに形成されるため、突起を変形等から保護することができる。
【0021】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、バスバーは蓋部とバスバー収容部との双方から点接触あるいは線接触状態で挟み付けられて支持されるため、僅かな接触面積でありながらも板厚方向にがた付きなく支持される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係るバッテリ相互の接続状況を示す部分平面図
【図2】バスバーホルダを開放した状態を示す側断面図
【図3】電極への装着状態を示す側断面図
【図4】バスバーホルダを開放してバスバーの収容作業を示す破断図
【図5】バッテリ接続具の部分正面図
【図6】実施形態2に係るバッテリ接続具の開放状態を示す破断図
【図7】バッテリ接続具の部分正面図
【図8】実施形態3に係るバッテリ接続具の開放状態を示す平面図
【図9】同じく部分正面図
【図10】蓋部を閉じた状態での側断面図
【図11】実施形態4に係るバッテリ接続具の開放状態を示す平面図
【図12】同じく蓋部を閉じた状態の側断面図
【図13】実施形態5に係るバスバーの平面図
【図14】同じく蓋部を閉じた状態において要部を拡大して示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
図1乃至図5は本発明の実施形態1を示すものである。図1にはバッテリ集合体Bとこのバッテリ集合体Bを構成する複数の小型バッテリ1を直列に接続するバッテリ接続具J1とが示されている。各小型バッテリ1は薄型の直方体形状に形成され、正極と負極とを同一端面に備える形式のものが採用されている。また、各小型バッテリ1において、両電極2はほぼ対角位置に配置されている。
【0024】
バッテリ集合体Bは、各小型バッテリ1を長辺側の側面同士を密着させた状態で複数個を並列し、その状態で全体を図示しない結束ベルト等によって束ねることによって構成されている。より詳細には、バッテリ集合体Bを構成するにあたり、各小型バッテリ1は電極2が設けられた面が同一方向を向くようにしてあり、隣接する小型バッテリ1の電極2の正負の極性が小型バッテリ1の並び方向に沿って一定ピッチ間隔で交互に繰り返す向きで並列されている。
【0025】
次に、バッテリ接続具J1について説明すると、バッテリ接続具J1は、図1に示すように、バッテリ集合体Bに対して電極2の並び方向に沿って一対が備えられる。各バッテリ接続具J1は図2に示すように、複数の金属製バスバー3とこれらを組み込むための合成樹脂製のバスバーホルダ4とから構成されている。
【0026】
各バスバー3は長方形状の平板材によって形成され、それぞれは隣接する小型バッテリ1の正負電極2を挿通させるための一対の差し込み孔5が貫通して形成されている。両差し込み孔5は各電極2の形状(断面略円形のねじ軸)に合わせて円形に形成され、各電極2の外よりも僅かに大きめの孔径に形成されている。また、各バスバー3の長辺側の両側縁には片側一対ずつ、外方へ向けて支持片6(被ガイド部)が張り出し形成されている。各支持片6はバスバー3の長さ方向の中心軸線を挟んで対称位置に配されている。
【0027】
バスバーホルダ4は、本体部7とこの本体部7に対してヒンジ8を介して開閉可能に接続された蓋部9とから構成されている。本体部7は小型バッテリ1の並び方向に沿って延びる一対の側壁10と、両側壁10の長さ方向の両端同士を接続する一対の端面壁(図示しない)と、両側壁10同士を一定間隔毎に連結する連結壁11とを備え、全体として長尺の枠体形状に形成されている。バスバーホルダ4においてヒンジ8が設けられていない側の側壁10には一定間隔毎にロック受け部12が張り出し形成されている。各ロック受け部12は高さ方向へ貫通して形成されている。
【0028】
一方、蓋部9はバスバーホルダ4の上面全体を閉止可能な平板状に形成され、バスバーホルダ4における一方の側壁10であって連結壁11と対応する部位に間欠的に配された複数のヒンジ8によって開閉可能となっている。蓋部9のヒンジ8が設けられていない側の長辺には各ロック受け部12と対応してロック爪13が突出して形成されている。各ロック爪13は、蓋部9が閉止されると対応するロック受け部12内に挿入されてロック受け部12の下縁部に係止し、蓋部9全体をロック状態に保持可能である。
【0029】
また、蓋部9には各バスバー3と対応する位置に窓孔14が開口している。この窓孔14はバスバー3より小さめの開口面積をもって形成されており、バスバー3がバスバー収容部15内に収容された状態では、バスバー3の周縁部が窓孔14の周縁部に平面視で重複するようにしてある。なお、この重複範囲はバスバー3が設定された範囲で変位しても重複状態が維持される程度に設定されている。
【0030】
バスバーホルダ4において連結壁11相互の間には、バスバー3を収容するためのバスバー収容部15が設けられている。すなわち、各バスバー収容部15は長さ方向に沿って一定間隔毎に配され、いずれも高さ方向の双方向へ開口して形成され、バスバー3は上面側(蓋部9によって閉止される側)から嵌め入れられる。バスバー3がバスバー収容部15内に嵌め入れられた状態では、バスバー3の長手方向の両側縁とバスバーホルダ4の両側壁10との間には僅かなクリアランスが保有され、バスバー3はそのクリアランスの範囲内で幅方向へ変位することができる。同様に、バスバー3の収容状態では、バスバー3の両短辺と対応する連結壁11との間には、所定のクリアランスが設定されていて、バスバー3はそのクリアランスの範囲内で長手方向、つまりバッテリの並び方向への変位することができる。
【0031】
各バスバー収容部15において、両側壁10の上端縁にはバスバー3の各支持片6に対応してガイド部16が4箇所ずつ凹み形成されている。各ガイド部16は上面側へ開口して形成され、その底面にて支持片6を支持することができる。各ガイド部16の長手方向に関する寸法は、各支持片6の幅寸法より長い寸法をもって形成されており、これによりバスバー3はバスバー収容部15に対する長さ方向への変位が許容される。この許容されるストロークは、後述する電極2とバスバー3の差し込み孔5との間に予想される位置ずれを吸収できる量に設定されているとともに、上記したバスバー3の短辺と連結壁11との間のクリアランスとほぼ同程度に設定されている。
【0032】
図3に示すように、各ガイド部16の深さ寸法はバスバー3の板厚寸法とほぼ等しく設定され、蓋部9が閉じられたときには各支持片6が蓋部9の内面とガイド部16の底面との間でほぼ密着状態で挟み付けられることにより、バスバー3は厚み方向へがたつくことが規制される。さらに、各ガイド部16の板厚方向の寸法は、バスバー3がクリアランスの範囲内で幅方向に変位しても、支持片6がバスバーホルダ4から外方へ突出しないように設定されている。
【0033】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。バッテリ接続具J1の組付け作業を説明すると、まず、図3に示すように、各電極2には円筒状のスペーサ部材17が嵌め込まれる(図3参照)。一方で、バスバーホルダ4の蓋部9を開放して各バスバー収容部15へバスバー3の収容作業を行う。この場合には、バスバー3の各支持片6を対応するガイド部16の底面に載せて蓋部9を閉じる。そしてロック爪13をロック受け部12に挿入すると、ロック受け部12が外方へ膨出変形してロック爪13が貫通することができ、その結果、ロック爪13がロック受け部12の下縁部に係止することにより、各バスバー3がバスバーホルダ4内に組み込まれる。
【0034】
こうして得られたバッテリ接続具J1をバッテリ集合体Bへ接続する場合には、バッテリ集合体Bのうち最も端部側に位置する小型バッテリ1の一方の電極2及び隣接する小型バッテリ1における極性の異なる電極2に対して、対応するバスバー3の両差し込み孔5へ嵌め付ける。このような作業の基準となる嵌め付け作業に伴い、他のバスバー3の差し込み孔5へも対応する小型バッテリ1の電極2が自動的に差し込まれる。
【0035】
しかし、上記した基準の位置から遠ざかるにつれ、小型バッテリ1の電極2と対応するバスバー3の差し込み孔5との位置ずれ量が積み上がるため、そのままでは電極2への差し込みができなくなる事態が生じる。そのような場合には、手作業にて対象となるバスバー3をバスバー収容部15内で適宜に変位操作する。
このとき、支持片6とガイド部16との間のクリアランス、バスバー3の短辺と連結壁11との間のクリアランスに基づいて、バスバー3を小型バッテリ1の並び方向へ変位させうる。また、バスバー3の長辺と両側壁との間のクリアランスに基づいて、小型バッテリ1の並び方向と交差する方向へも変位させうる。したがって、差し込み孔5と電極2とのずれの状況に応じてこれら変位方向を適宜調整してやることで、位置ずれを容易に調整することができる。また、バスバー3をいずれの方向へ変位させるにしても、バスバー3は各支持片6がガイド部16に沿って変位動作が案内されるため、円滑に調整作業をすることができる。
【0036】
上記の作業をバッテリ集合体Bにおける二列の電極列に対して行なった後、全ての電極2に対してナット18にて締め込んでやれば、バッテリ接続具J1の接続作業が完了する。また、バスバー3はスペーサ部材17によって下方から支えられているため、ナット18の過剰な締め込みに起因してバスバー3を変形させてしまう虞もない。
【0037】
以上のように、実施形態1によれば、各バスバー3をバスバー収容部15内で小型バッテリ1の並び方向に沿って変位可能に組み込んだため、電極2と差し込み孔5との位置ずれを吸収することができる。また、バスバー3は各支持片6がガイド部16に沿って案内されながら変位するため、バスバー3の変位操作を円滑に行なうことができる。
【0038】
<実施形態2>
図6及び図7は本発明の実施形態2を示すものである。実施形態2はバスバーホルダ4Aの本体部7Aに弾性保持片19を設け、これらによってバスバー3Aを位置決め状態で保持しようとするものである。
【0039】
まず、実施形態2におけるバスバー3Aが実施形態1と異なる点は、支持片6を持たない点、及び長辺側の両側縁の中央部に一対の凹所20が切欠き形成されている点である。各凹所20は外方へ向けて徐々に間口が拡がるように形成されている。
【0040】
バスバー3Aが支持片6を有さないため、各バスバー収容部15Aにおける両側壁10Aには、片側一対ずつ計4片の受け片21がそれぞれ内向きに張り出し形成されており、バスバー3Aをほぼその四隅位置において下面側から支持するようにしている。また、各バスバー収容部15Aにおいて両側壁10Aの長手方向中央部には位置決め突部22が内向きに突出して形成されている。各位置決め突部22は凹所20と対応するような形状、つまり先端に向うに連れて徐々に先細りとなるように形成されている。各位置決め突部22と対応する凹所20との間には所定のクリアランスが設定され、バスバー3Aの長手方向及びこれと交差する方向のいずれの方向についても、所定範囲での変位を許容する。
【0041】
各バスバー収容部15Aにおける両側壁10Aには片側一対ずつ弾性保持片19が設けられている。各弾性保持片19は両側壁10Aに対し3方からスリット23が切り込まれることで片持ち状に形成され、本体部7Aに対し内外方向への撓み変形が可能となっている。そして、各弾性保持片19のうち小型バッテリ1の並び方向で対をなすもの同士は、バスバー収容部15Aの長手方向中央部寄りの端部を支点とし、そこから長手方向に沿って互いに離間する方向へ延び、延出端側が自由端となっている。
【0042】
また、各弾性保持片19の自由端には保持爪24が内向きに突出している。各保持爪24の内面には先端側に行くに連れて上り勾配となるテーパ状の圧接面25が形成されている。
【0043】
バスバー3Aがバスバー収容部15A内に組み込まれた状態では、バスバー3Aはこれらを取り囲む全ての圧接面25にてその四隅がほぼ当接するようにしている。つまり、各バスバー3Aはバスバー収容部15Aの中心部に自動的に位置決めされた状態で組み込みがなされている。但し、このときには各弾性保持片19はいずれも自然状態にある(勿論、各弾性保持片19が撓み状態にあってもよい)。
他の構成は実施形態1と同様であるから、図面中に同一符号を付して説明は省略する。
【0044】
上記のように構成された実施形態2は、各バスバー3Aは四方から弾性保持片19によってバスバー収容部15Aの中央部に位置決めされるようにしたため、バッテリ接続具J2が単体状態のときにバスバー3Aのがた付きを回避することができる。また、バスバー3Aは初期位置が常にバスバー収容部15Aの中央位置となっているため、ずれ調整の際の移動量を少なくすることができる。さらに、バスバー3Aを取り囲む4つの弾性保持片19はそれぞれ独立して撓み可能であるため、ずれ調整の際のバスバー3Aの移動方向は小型バッテリ1の並び方向に限らず、これと直交する方向あるいはバスバー3Aの中心周りの角変位をも許容することができる。
【0045】
<実施形態3>
図8ないし図10は本発明の実施形態3を示すものである。図8に示すように、実施形態3のバッテリ接続具J3の基本的構成は実施形態2と同様である。したがって、共通する構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0046】
本実施形態と実施形態2とはバスバーホルダ4Bにおいて相違する。両者の相違点は、各バスバー収容部15B内に配された全ての受け片21Bの上面(バスバー3Aを支持する側の面)の中央部に本体部側支持突部30が突出形成されている点、及び蓋部9Bの内面であって各本体部側支持突部30と対応する位置に蓋部側支持突部31が形成されている点である。
【0047】
いずれの側の支持突部30,31も略半球状に形成されている。蓋部側支持突部31は、蓋部9Bが本体部7Bに対して閉じられたときに本体部側支持突部30の真上に位置し、本体部側支持突部30と共にバスバー3Aを板厚方向から挟み、いずれの支持突部30,31もバスバー3Aに対して点接触状態で当接するように形成されている。
【0048】
上記のように構成された実施形態3によれば、バスバー3Aは蓋部9Bが開放された状態でバスバー収容部15B内に収められ、その四隅近くの部位が各本体部側支持突部30によって支持される。次に、蓋部9Bが閉じられロック爪13がロック受け部12に係止されることで、蓋部9Bは閉じ状態にロックされる。蓋部9Bが閉じられることに伴い、バスバー3Aは、本体側及び蓋部側の各支持突部30,31によって板厚方向から点接触状態で挟持される。これにより、バスバー3Aは板厚方向に関してほぼがたつきのない状態で位置決めされる。このとき、バスバー3Aの四隅は各弾性保持片19の圧接面25に弾接するため、バスバー3Aはバスバー収容部15Bの中心部に位置決めがなされる。
【0049】
実施形態3においても、実施形態2と同様、バスバー3Aはバッテリの並び方向及びこれと交差する方向のいずれの方向においても位置調整が可能であり、この間、バスバー3Aは各支持突部30,31に対して擦れながら変位する。上記したように、バスバー3Aは各支持突部30,31に対して点接触状態にあるため、バスバー3Aの位置調整時の摺動抵抗も小さい。したがって、バスバー3Aの変位はスムーズであり、バッテリ電極2と差し込み孔5との位置ずれ吸収の作業を円滑に行うことができる。
【0050】
また、バッテリ集合体Bが種々の電気機器に接続されて通電がなされると、バスバー3Aが発熱するが、本実施形態ではバスバー3Aは各支持突部30,31によって点接触状態で支持されているため、発熱の影響がバスバーホルダ4Bに及ぶ事態は有効に緩和されている。加えて、バスバー3Aはバッテリ1への接続時において、各弾性保持片19の圧接面25に対して点接触あるいは非接触の状態にあるため、各弾性保持片19を通じての熱伝達もより効果的に抑制されている。
【0051】
<実施形態4>
図11及び図12は本発明の実施形態4を示すものである。図11に示すように、実施形態4のバッテリ接続具J4の基本的構成は実施形態1と同様である。したがって、共通する構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0052】
本実施形態と実施形態1とはバスバーホルダ4Cの構成において相違する。両者の相違点は、バスバーホルダ4C側の各ガイド部16Cの上面に長手方向に沿って本体部側支持突部30Cが突出形成されている点、蓋部9Cの内面であって各本体部側支持突部30Cと対応する位置に蓋部側支持突部31Cが同方向に沿って突出形成されている点、及びバスバーホルダ4Cの両側壁10Cの内面に側面突部32が突出形成されている点である。
【0053】
本体部7C側及び蓋部9C側のいずれの支持突部30C,31Cも所定長さを有するリブ状をなし、断面が円弧状をなすように形成されている。蓋部側支持突部31Cは、蓋部9Cが本体部7Cに対して閉じられたときに本体部側支持突部30Cの真上に位置し、本体部側支持突部30Cと共にバスバー3の各支持片6を板厚方向から挟み、いずれの支持突部30C,31Cも各支持片6に対して線接触状態で当接する。
【0054】
側面突部32はバスバーホルダ4Cの両側壁10Cの内面で各ガイド部16Cを長さ方向に挟んだ部分の上縁部にそれぞれ二箇所ずつ高さ方向へリブ状をなして突出形成されている。各側面突部32は断面が円弧形状に形成されている。この実施形態では、バスバー3はその中心軸がバスバー収容部15Cの長手方向の中心軸に揃っている場合には各側面突部32に当接しないが、バスバー3が幅方向に偏った場合に、偏り方向に位置する片側の側面突部32にバスバー3の長辺側の側縁が線接触するようにしてある。
【0055】
なお、本実施形態では各支持片6とガイド部16Cとの間の長さ方向に関するクリアランス及びバスバー3の両短辺とバスバー収容部15Cの短辺側の内壁との間のクリアランスは、バスバー3の位置調整のために想定されている最大ストロークよりも長い寸法が確保されている。したがって、バスバー3の位置調整作業によっても、支持片6とガイド部16C、バスバー3の短辺とバスバー収容部15Cの短辺側内壁とが長手方向に関して突き当たることはない。
【0056】
上記のように構成された実施形態4においても、バスバー3は蓋部9Cが閉じられた状態でバッテリ1の並び方向及びこれと交差する方向のいずれの方向においても位置調整が可能であり、このときには、バスバー3と蓋部側及び本体部側の各支持突部30C,31Cとは線接触状態にあるため、バスバー3をスムーズに変位させることができる。
【0057】
また、バスバー3が発熱しても、バスバー3は高さ方向に関しては蓋部9C及び本体部7Cとの間では線接触状態であり、また幅方向に関しては側面突部32に対して非接触あるいは線接触状態であるため、発熱の影響がバスバーホルダ4Cに及ぶ事態は有効に緩和されている。
【0058】
<実施形態5>
図13及び図14は本発明の実施形態5を示すものである。本実施形態のバッテリ接続具J5の基本的構成は実施形態1と同様である。共通する構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0059】
実施形態3及び実施形態4では、バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持するための構成(支持突部)をバスバーホルダ側に形成したが、本実施形態5では、この支持構造をバスバー3D側である各支持片6Dに設けたものである。
【0060】
本実施形態では各支持片6D毎に3つの突起34a,bが設けられている。これら突起34a,bは各支持片6Dにおいて、バスバー3Dの長手方向に沿って等間隔で並列して配されている。各突起34a,bは支持片6Dの上面側から及び下面側からの叩き出しによって形成され、いずれも半球状に突出するように形成されている。また、各支持片6Dに配された各突起34a,bは、図14に示すように、その突出方向が長手方向で交互に逆向きとなるようにしてある。すなわち、同図における長手方向両端に位置する突起34a,34aは図示上面側から下面側へと叩き出され、中央に位置する突起34bはこれらとは逆に、図示下面側から上面側へと叩き出されている。その結果、各支持片6Dにおいて両端に位置する突起34a,34aはガイド部16の底面に点接触状態で当接し、中央に位置する突起34bは蓋部9の内面に当接するようにしてある。
他の構成は、実施形態1と同様であり、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
上記のように構成された実施形態5においても、バスバー3Dの位置調整が可能であるとともに、バスバー3Dはそれ自体に設けられている各突起34によって本体部7(ガイド部16)と蓋部9に対して点接触状態で支持されるため、バスバー3Dで発生した熱をバスバーホルダ4側に伝達される事態を有効に回避することができる。
【0062】
また、各突起34を金属製のバスバー3Dに形成するようにしたから、突起34を削れあるいは変形から保護することができる、という効果も発揮することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、蓋部9を本体部7に対してヒンジ8によって一体に接続したものを示したが、別体に構成されてもよい。
(2)上記実施形態では、正負電極2が同一端面に配された形式の小型バッテリ1を例示したが、本発明は異なる端面に配される形式の小型バッテリ1にも適用可能である。
【0064】
(3)上記実施形態では、ガイド部16がバッテリ接続具J1,J2の本体部を内外方向に貫通して形成される場合を示したが、必ずしも貫通する必要はなく内面に凹み形成されるようにしてもよい。
(4)実施形態2では、弾性保持片19をバスバー収容部15Aにおける両側壁10Aに形成したが、これに代えて連結壁11に形成しバスバー3Aの両短辺部において挟み付けるようにしてもよい。勿論、そのような配置を併用してもよい。
(5)実施形態3では、蓋部9Bを閉じたときに蓋部側支持突部31もバスバー3Aに当接するようにして板厚方向のがたつきを確実に防止するようにしたが、僅かなクリアランスはあってもよい。熱伝達を緩和する観点のみからすれば、蓋部側支持突部31は必須のものではない。
【0065】
(6)実施形態4では各支持突部30C,31Cは断面が円弧形状に形成されていたが、先端が尖った断面三角形状としてもよい。
【0066】
(7)実施形態4では、バスバー3が長手方向に位置調整されても、バスバー収容部15Cと長手方向に関して当接しない設定としたが、当接する設定としてもよい。その場合には、当接箇所にバスバー3に点接触あるいは線接触するような構造を設けることが望ましい。
【0067】
(8)実施形態5では各支持片6Dに3つの突起34を並列して設けたが、これに代えて長さ方向に延出するリブ状の突起を一条設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…小型バッテリ
2…電極
3,3A,3D…バスバー
4,4A,4B,4C…バスバーホルダ
5…差し込み孔
6,6D…支持片(被ガイド部)
7,7A,7B,7C…本体部
9,9B,9C…蓋部
15,15A,15B,15C…バスバー収容部
16,16C…ガイド部
19…弾性保持片
30,30C…本体部側支持突部
31,31C…蓋部側支持突部
34a,b…突起
B…バッテリ集合体
J1,J2,J3,J4,J5…バッテリ接続具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリを並べ隣接するバッテリの異なる極性の電極同士を接続させることによって、前記各バッテリを直列に接続するバッテリ接続具であって、
極性の異なる前記電極へ差し込み可能な一対の差し込み孔が貫通し導電材にて形成された複数のバスバーと、各バスバーを組み込み可能で絶縁材にて形成されたバスバーホルダとからなるとともに、
前記バスバーホルダは各バスバーを組み込むためのバスバー収容部が前記バッテリの並び方向に沿って複数個所に形成されかつこのバスバー収容部は前記電極と対向する側が開口して形成され、
前記各バスバーは、前記差し込み孔と前記電極とを整合させるに必要な変位量をもって前記各バスバー収容部内を前記バッテリの並び方向へ変位可能であることを特徴とするバッテリ接続具。
【請求項2】
前記バスバー収容部において前記バッテリの並び方向に沿った両側面には、前記並び方向に延びる一対のガイド部が形成され、前記バスバーにおいて前記両ガイド部に対向する両側縁には前記両ガイド部に対してスライド可能に嵌め入れられる被ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ接続具。
【請求項3】
前記バスバー収容部には、バスバーを少なくともバッテリの並び方向から挟んで同方向に関して位置決めした状態で保持する弾性保持片が設けられるとともに、この弾性保持片は前記バスバーが前記並び方向への変位を許容する方向へ撓み可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のバッテリ接続具。
【請求項4】
前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバッテリ接続具。
【請求項5】
前記バスバーホルダは合成樹脂材にて形成される一方、前記バスバーは、前記バスバー収容部においてほぼ点接触あるいはほぼ線接触状態で支持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバッテリ接続具。
【請求項6】
前記バスバー収容部には、前記バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持するための支持突部が一体に突出形成されていることを特徴とする請求項5記載のバッテリ接続具。
【請求項7】
前記バスバーには、バスバー自体を前記バスバー収容部に対して点接触あるいは線接触状態で支持する突起が一体に突出形成されていることを特徴とする請求項5記載のバッテリ接続具。
【請求項8】
前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなり、
前記バスバーは前記蓋部及び前記バスバー収容部の双方に対して点接触あるいは線接触された状態で板厚方向から挟み付けられて支持されることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のバッテリ接続具。
【請求項1】
複数のバッテリを並べ隣接するバッテリの異なる極性の電極同士を接続させることによって、前記各バッテリを直列に接続するバッテリ接続具であって、
極性の異なる前記電極へ差し込み可能な一対の差し込み孔が貫通し導電材にて形成された複数のバスバーと、各バスバーを組み込み可能で絶縁材にて形成されたバスバーホルダとからなるとともに、
前記バスバーホルダは各バスバーを組み込むためのバスバー収容部が前記バッテリの並び方向に沿って複数個所に形成されかつこのバスバー収容部は前記電極と対向する側が開口して形成され、
前記各バスバーは、前記差し込み孔と前記電極とを整合させるに必要な変位量をもって前記各バスバー収容部内を前記バッテリの並び方向へ変位可能であることを特徴とするバッテリ接続具。
【請求項2】
前記バスバー収容部において前記バッテリの並び方向に沿った両側面には、前記並び方向に延びる一対のガイド部が形成され、前記バスバーにおいて前記両ガイド部に対向する両側縁には前記両ガイド部に対してスライド可能に嵌め入れられる被ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ接続具。
【請求項3】
前記バスバー収容部には、バスバーを少なくともバッテリの並び方向から挟んで同方向に関して位置決めした状態で保持する弾性保持片が設けられるとともに、この弾性保持片は前記バスバーが前記並び方向への変位を許容する方向へ撓み可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のバッテリ接続具。
【請求項4】
前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバッテリ接続具。
【請求項5】
前記バスバーホルダは合成樹脂材にて形成される一方、前記バスバーは、前記バスバー収容部においてほぼ点接触あるいはほぼ線接触状態で支持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバッテリ接続具。
【請求項6】
前記バスバー収容部には、前記バスバーを点接触あるいは線接触状態で支持するための支持突部が一体に突出形成されていることを特徴とする請求項5記載のバッテリ接続具。
【請求項7】
前記バスバーには、バスバー自体を前記バスバー収容部に対して点接触あるいは線接触状態で支持する突起が一体に突出形成されていることを特徴とする請求項5記載のバッテリ接続具。
【請求項8】
前記バスバーホルダは、前記各バスバー収容部が前記バスバーの組付け側に開放して前記バスバーが着脱可能に形成された本体部と、この本体部に取り付け可能で前記バスバー収容部を開閉可能な蓋部とを備えてなり、
前記バスバーは前記蓋部及び前記バスバー収容部の双方に対して点接触あるいは線接触された状態で板厚方向から挟み付けられて支持されることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のバッテリ接続具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−138333(P2012−138333A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6368(P2011−6368)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]