説明

バッテリ状態監視回路及びバッテリ装置

【課題】二次電池の電圧が0V付近まで低下したときにおいても、充電器による充電を確実に制御することのできるバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置を提供すること。
【解決手段】二次電池の0V付近の電圧を検出する電圧検出回路を構成するPMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17のゲート電圧を、二次電池の両端に接続した分圧抵抗回路23によって与えるような構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の電圧や異常を検知するバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置に関し、特に、二次電池の電圧が0V付近まで低下したときに、充電器による充電を制御することのできるバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ装置は、二次電池の電圧が極端に低下して0V近くになったときに、充電器が接続されると、二次電池へ充電を許可、もしくは禁止するという機能を備えている(例えば、特許文献1参照)。以下、この機能を0V充電と称する。
【0003】
図3に、従来のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図を示す。従来のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置は、二次電池1と、二次電池1の電圧を監視する充放電制御回路2と、二次電池1の充電と放電を制御するスイッチ回路3と、充電器8または負荷9が接続される外部端子4及び5と、充電スイッチ11に制御信号を出力する充電スイッチ駆動回路7と、を備えている。充電スイッチ駆動回路7は、充放電制御回路2の出力端子に接続したレベルシフタ回路15と、二次電池1の負極の電圧を検出する電圧検出回路を構成するPMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ17、抵抗18、INV回路26と、NOR回路25と、充電スイッチ駆動回路7の出力回路を構成するPMOSトランジスタ20とNMOSトランジスタ21と、を備えている。図3のバッテリ装置は、0V充電を許可する機能を有している。
【0004】
上述したようなバッテリ装置は、以下のように動作して0V充電を許可するように機能する。
【0005】
充放電制御回路2は、二次電池1の電圧で動作し、二次電池1の電圧を監視する。充放電制御回路2は、二次電池1の電圧が増加し過充電電圧以上になった場合、充電スイッチ駆動回路7にローレベルの信号を出力する。また、充放電制御回路2は、二次電池1の電圧が過充電電圧未満になった場合、充電スイッチ駆動回路7にハイレベルの信号を出力する。充電スイッチ駆動回路7は、外部端子4と5の間の外部端子間電圧で動作する。レベルシフタ回路15は、充放電制御回路2の信号を外部端子間電圧に変換する。PMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17は、ゲートが電池の負極と接続されている。二次電池1の電圧が十分あるときには、PMOSトランジスタ16はオンして、NOR回路25にローレベルの信号を出力する。また、二次電池1の電圧が0V近くになったときに、NMOSトランジスタ17はオンして、NOR回路25にハイレベルの信号を出力する。
【0006】
NOR回路25は、入力信号のどちらかがハイレベルのときにローレベルの信号を出力する。従って、出力端子13の電圧がハイレベルとなり、充電スイッチ11はオンして充電を可能にする。また、NAND回路19は、入力信号がどちらもローレベルのときは、ハイレベルの信号を出力する。従って、出力端子13の電圧がローレベルとなり、充電スイッチ11はオフして充電を禁止にする。従って、二次電池1の電圧が0V近くになったときに、充電スイッチ駆動回路7は充電を許可にする。すなわち、バッテリ装置は、0V充電を許可するように機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-308266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の充電スイッチ駆動回路7は、電圧検出回路を構成するPMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17のゲートが電池の負極と接続されているため、以下に述べるような欠点であった。
【0009】
電圧検出回路が充電許可を解除する二次電池1の電圧は、PMOSトランジスタ16の閾値電圧によって決定されている。そして、PMOSトランジスタ16の閾値電圧はバラツキを持っている。充放電制御回路2は、二次電池1の電圧が動作可能になるまでは、出力信号は不定となっている。従って、電圧検出回路が充電許可を解除したときに、充放電制御回路2の出力信号が不定となっている可能性がある。その出力信号が充電禁止の信号であった場合、二次電池の充電は禁止されてしまう。従って、二次電池は充電が禁止され、そのまま充電禁止が解除されない、という不具合が発生する。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するために考案されたものであり、二次電池の電圧が0V付近まで低下したときにおいても、充電器による充電を確実に制御することのできるバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来の課題を解決するために、本発明のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置は以下のような構成とした。
【0012】
二次電池の0V付近の電圧を検出する電圧検出回路を構成するPMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17のゲート電圧を、二次電池の両端に接続した分圧抵抗回路23によって与えるようにしたバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置によれば、二次電池の両端に接続した分圧抵抗回路23によって電圧検出回路に電圧を与えるようにしたので、電圧検出回路が検出する電圧を充放電制御回路が動作可能な電圧以上に設定することが出来、確実に二次電池を充電することが出来る。
【0014】
従って、二次電池の電圧が0V付近まで低下したときにおいても、充電器による充電を確実に制御することが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【図2】他の実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【図3】従来のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態のバッテリ装置の回路図である。
【0017】
本実施形態のボルテージレギュレータは、二次電池1と、二次電池1の電圧を監視する充放電制御回路2と、二次電池1の充電と放電を制御するスイッチ回路3と、充電器8または負荷9が接続される外部端子4及び5と、充電スイッチ11に制御信号を出力する充電スイッチ駆動回路7と、を備えている。充電スイッチ駆動回路7は、充放電制御回路2の出力端子に接続したレベルシフタ回路15と、二次電池1の負極の電圧を検出する電圧検出回路を構成するPMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ17、抵抗18、INV回路26、分圧抵抗回路23と、NOR回路25と、充電スイッチ駆動回路7の出力回路を構成するPMOSトランジスタ20とNMOSトランジスタ21と、を備えている。図1のバッテリ装置は、0V充電を許可する機能を有している。
【0018】
電圧検出回路は、二次電池1の正極と外部端子5の間にPMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17と抵抗18とが直列に接続されている。また、電池の正極と負極の間に接続された分圧抵抗回路23は、分圧電圧をPMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17のゲートに出力する。なお、NMOSトランジスタ17をよりオンさせるためには、分圧電圧ではなく二次電池1の正極電圧を入力しても良い。
【0019】
NOR回路25は、レベルシフタ回路15の出力信号とINV回路26を介した電圧検出回路の出力信号を入力し、出力回路に制御信号を出力する。
【0020】
上述したようなバッテリ装置は、以下のように動作して0V充電を許可するように機能する。
【0021】
充放電制御回路2は、二次電池1の電圧で動作し、二次電池1の電圧を監視する。充放電制御回路2は、二次電池1の電圧が増加し過充電電圧以上になった場合、充電スイッチ駆動回路7にローレベルの信号を出力する。また、充放電制御回路2は、二次電池1の電圧が過充電電圧未満になった場合、充電スイッチ駆動回路7にハイレベルの信号を出力する。充電スイッチ駆動回路7は、外部端子4と5の間の外部端子間電圧で動作する。レベルシフタ回路15は、充放電制御回路2の信号を外部端子間電圧に変換する。
【0022】
二次電池1の電圧が十分あるときには、PMOSトランジスタ16はオンして、NOR回路25にINV回路26を介してローレベルの信号を出力する。また、二次電池1の電圧が0V近くになったときに、NMOSトランジスタ17はオンして、NOR回路25にハイレベルの信号を出力する。
【0023】
NOR回路25は、入力信号のどちらかがハイレベルのときにローレベルの信号を出力する。従って、出力端子13の電圧がハイレベルとなり、充電スイッチ11はオンして充電を可能にする。また、NAND回路19は、入力信号がどちらもローレベルのときは、ハイレベルの信号を出力する。従って、出力端子13の電圧がローレベルとなり、充電スイッチ11はオフして充電を禁止にする。
【0024】
PMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17のゲートには分圧抵抗回路23の出力端子が接続されている。従って、PMOSトランジスタ16がオフする電圧は、分圧電圧とPMOSトランジスタ16の閾値電圧によって決定される。すなわち、分圧抵抗回路23の抵抗値を調整することによって、PMOSトランジスタ16がオフする電圧を充放電制御回路2が動作可能な電圧以上に設定することが出来る。
【0025】
ここで、二次電池1の電圧が0V近くになったときの動作について説明する。
【0026】
二次電池1の電圧が0V近くになったときは、充放電制御回路2が動作可能な電圧以下であり、レベルシフタ回路15への出力信号は不定である。分圧抵抗回路23の出力は、二次電池1の正極の電圧に近い値となる。従って、PMOSトランジスタ16はVgsが小さくなりオフする。従って、二次電池1の電圧が0V近くになったときに、充電スイッチ駆動回路7は充電を許可にする。すなわち、バッテリ装置は、0V充電を許可するように機能する。
【0027】
なお、分圧抵抗回路23は二次電池1の電流が流れるため、二次電池1の正極との間にスイッチ回路22を設けて、0V充電の検出機能が必要のない時には、電流が流れないような構成としても良い。
【0028】
図2に、他の実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図を示す。図2のバッテリ装置は、0V充電を禁止するように回路を構成した例である。電圧検出回路の出力信号は、NAND回路19を介して出力回路に入力されている。
【0029】
このような構成のバッテリ状態監視回路に本発明の電圧検出回路を設けることで、分圧抵抗回路23の抵抗値を設定によって、PMOSトランジスタ16やNMOSトランジスタ17のオンオフ電圧の精度を良くすることが出来る。
【0030】
なお、本実施形態は二次電池1の負極側にスイッチ回路3を設けた構成で説明した。しかし、二次電池1の正極側にスイッチ回路3を設けた構成であっても、基準の電圧を二次電池1の負極側にするように構成すれば、同様の効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0031】
2 充放電制御回路
3 スイッチ回路
7 充電スイッチ駆動回路
8 充電器
15 レベルシフト回路
23 分圧抵抗回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の両端に接続され、前記二次電池の電圧を監視する充放電制御回路と、
前記充放電制御回路の出力信号を充電スイッチに出力する充電スイッチ制御回路と、を備え、前記二次電池の充放電を制御するバッテリ状態監視回路であって、
前記充電スイッチ制御回路は、前記バッテリ状態監視回路の外部端子の電圧で動作し、
前記充放電制御回路の出力信号を前記外部端子の電圧に変換するレベルシフト回路と、
前記二次電池の両端に接続され、分圧電圧を発生する分圧抵抗回路と、
前記分圧電圧が入力され0V充電の電圧を検出する電圧検出回路と、
前記レベルシフト回路と前記電圧検出回路との出力電圧を入力され、前記充電スイッチを制御する出力回路と、を備えたことを特徴とするバッテリ状態監視回路。
【請求項2】
充放電が可能な二次電池と、
前記二次電池と外部端子の間に設けられて、前記二次電池の充放電を制御するスイッチ回路と、
前記二次電池の両端の電圧を監視する請求項1に記載のバッテリ状態監視回路と、を備えたことを特徴とするバッテリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−55658(P2011−55658A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203137(P2009−203137)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】