説明

バッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造

【課題】簡単な構造であり、保護カバーの取付作業性の向上を図ったバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造を提供する。
【解決手段】ヒュージブルリンクユニット10をバッテリに直付けした際に、上から被せられる保護カバー30の取付構造であって、保護カバーに、ヒュージブルリンクユニットの上面とバッテリポスト及びバッテリ端子を覆う上面カバー部31を設けると共に、該上面カバー部の周縁部に垂下して、端子部に接続された電線付き端子及び該端子に接続されて下方に延びる電線WA、WB、WC、WEの上部を覆う側面カバー部33、34を設け、ヒュージブルリンクユニットに、上から保護カバーを被せる際に、側面カバー部33の側縁部を下方へ位置規制しながら誘導するスライドガイド溝13を設け、このスライドガイド溝13の上端を外側に幅広に形成して誘導部の入口とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリポストに直付けされるヒュージブルリンクユニット(バッテリヒューズとも呼ばれる)の保護カバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のバッテリに、負荷側へ電源分配するためのヒュージブルリンクユニットを直付けした場合、少なくも、バッテリ端子を介してバッテリポストへ直接接続した部分を、後付けの樹脂製の保護カバーで覆っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、そのような役目をする保護カバーを、ヒュージブルリンクを収容するボックス本体にヒンジを介して取り付け、必要時に保護カバーを回動させることにより、保護対象部位を保護カバーで覆うようにした技術が開示されている。
【0004】
また、図5に示すように、ヒュージブルリンクユニット110の上面を覆う保護カバー130を、爪型のロック部132を用いて、ヒュージブルリンクユニット110に取り付け固定するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−338085号公報
【特許文献2】特開2002−358867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に記載の技術のように、ヒンジを用いてヒュージブルリンクユニットに保護カバーを取り付ける場合、ヒンジの構成要素の一部を、ヒュージブルリンクユニットのハウジングに設けておかなくてはならず、構成が複雑になる。また、ヒンジによりヒュージブルリンクユニットと保護カバーを予め連結しておかなくてはならないので、組立が面倒となる。また、ヒュージブルリンクユニットのハウジングを形成する樹脂材料には、一般に、ヒューズエレメントの溶断時の耐熱性を考慮してタルクやガラスフィラーを増量添加したものを使用することが多く、そうした場合には、撓み変形に弱くなりがちであり、ヒンジの構成要素のように、局部的な撓み変形を受けやすい部分を、ヒュージブルリンクユニットのハウジングに一体に形成すると、部分的な強度不足を来す心配がある。従って、通常の安価な樹脂ではなく、高強度で耐熱性を有する高価な樹脂で成形する必要性が出て来てしまい、コストアップに繋がりやすいという問題がある。
【0007】
また、図5に示したものでは、ロック部132を係合させる位置を、よく目で確認しながらでないと、保護カバー130をヒュージブルリンクユニット110に正確に装着できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮し、簡単な構造であり、保護カバーの取付作業性の向上と、ヒュージブルリンクユニットのハウジングの通常樹脂による製作を可能にしたバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上面に、バッテリポストにバッテリ端子を介して接続される第1端子部又は、下方に電線を延ばした電線付き端子が接続される第2端子部とが設けられたヒュージブルリンクユニットをバッテリに直付けした際に、上から被せられる保護カバーの取付構造であって、前記保護カバーに、前記ヒュージブルリンクユニットの上面と前記バッテリポスト及びバッテリ端子を覆う上面カバー部を設けると共に、該上面カバー部の周縁部に垂下して、前記第1端子部又は前記第2端子部に接続された前記電線付き端子及び該端子に接続されて下方に延びる電線の上部を覆う側面カバー部を設け、前記ヒュージブルリンクユニットに、上から前記保護カバーを被せる際に、前記側面カバー部の側縁部を下方へ位置規制しながら誘導するスライドガイド溝を設け、前記スライドガイド溝の入口またはその付近に、前記側面カバー部の側縁部の下端を前記スライドガイド溝に挿入しやすくするための誘導部を設け、前記誘導部は、前記スライドガイド溝の上端が外側に幅広となった入口として形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造であって、前記誘導部は、前記スライドガイド溝の入口の内面とその近傍に形成された傾斜部との間で形成され、前記スライドガイド溝の入口の下端は前記傾斜部の下端より下側に位置するように設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造であって、前記ヒュージブルリンクにおける前記第1端子部又は前記第2端子部の下側側面に、前記電線付き端子から下方に延びる電線を収容する電線収容溝が設けられ、少なくとも1つの前記電線収容溝の側壁の先端に、該電線収容溝内に収容された電線が外へ飛び出すのを規制する電線規制部としての突片が折り曲げ形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、保護カバーをヒュージブルリンクユニットの上から単純に被せれば、保護カバーの側面カバー部がヒュージブルリンクユニットのスライドガイド溝に誘導されるので、確実に位置決めしながら保護カバーを定位置に容易に装着することができる。従って、保護カバーの取付作業性の向上が図れる。また、その装着状態においては、上面カバー部が、ヒュージブルリンクユニットの上面の第1端子部や第2端子部そしてバッテリポストに対する接続部全体を覆い、また、側面カバー部が、ヒュージブルリンクユニットの側面に露出する電線付き端子やその電線の上部を覆うので、端子や電線の導体露出部分を全て安全に保護カバーで覆い隠すことができる。また、側面カバー部は保護カバーに一体に設けられているので、保護カバーを上から被せるだけで、ヒュージブルリンクユニット側面の必要部分を覆い隠すことができる。従って、バッテリの側方の空間が狭くて、バッテリの電線装着側に作業者が手を入れることができない場合でも、側面カバー部の着脱を行うことができる。
【0013】
また、ヒュージブルリンクユニットのハウジングを形成する樹脂材料には、一般に、ヒューズエレメントの溶断時の耐熱性を考慮してタルクやガラスフィラーを増量添加したものを使用することが多く、そうした場合、撓み変形に弱くなりがちであるが、本発明では、ヒュージブルリンクユニットにスライドガイド溝を形成しただけの単純な構成を採用し、ヒンジ等のように無理な力が掛かる部分を設けていないから、強度不足を来す心配もない。そのため、耐熱性及び高強度の樹脂を選択しないでも、通常の安価な樹脂でヒュージブルリンクユニットのハウジングを構成することができる。
【0014】
特に、スライドガイド溝の上端が外側に幅広となった入口としての誘導部の作用により、スライドガイド溝に対し側面カバー部の側縁部の下端が挿入しやすくなるので、保護カバーを被せる位置が多少ずれていても、あるいは、保護カバーが多少斜めになっていても、スムーズにスライドガイド溝に側面カバー部の側縁部の下端を挿入することができ、容易に保護カバーをヒュージブルリンクユニットに装着することができる。実際には、エンジンルーム内において、バッテリに固定したヒュージブルリンクユニットに保護カバーを被せることになるので、無理な姿勢で保護カバーを被せることが多くなるが、おおよその見当で保護カバーをヒュージブルリンクユニットの上に被せれば、誘導部の作用によって自動的に側面カバー部がスライドガイド溝に誘導されることになるので、保護カバーの取り付けが非常にやりやすくなる。
【0015】
請求項2の発明によれば、スライドガイド溝の入口の下端を傾斜部の下端より下側に位置するように設けたことにより、スライドガイド溝に対し側面カバー部の側縁部の下端が挿入しやすくなって、保護カバーを被せる位置が多少ずれていても、あるいは、保護カバーが多少斜めになっていても、スムーズにスライドガイド溝に側面カバー部の側縁部の下端を挿入することができ、極めて容易に保護カバーをヒュージブルリンクユニットに装着することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、電線収容溝に電線を一旦収容すると、電線収容溝の側壁に設けた電線規制部としての突片の働きによって電線を飛び出さないように止めておくことができる。例えば、特に太物電線の場合、車両レイアウトによる屈曲や振動等による大きな曲げ力を受けていると、電線収容溝に収容しても外に飛び出しやすくなり、電線加締部に大きな負担がかかりやすくなるが、本発明によれば、電線規制部の働きにより、電線収容溝からの電線の飛び出しを規制することができるので、保護カバーを被せる際に電線が飛び出してカバーの取り付けを妨げることが防止でき、カバーの取り付け作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態において、保護カバーを被せる前のヒュージブルリンクユニットをバッテリに直付けした状態を示す斜視図である。
【図2】保護カバーをヒュージブルリンクユニットに被せる途中の状態を示す斜視図でる。
【図3】図2の状態をスライドガイド溝のある位置で切断した断面図である。
【図4】ヒュージブルリンクユニットの上に完全に保護カバーを被せた状態を示す斜視図である。
【図5】従来の保護カバーの取付構造の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は保護カバーを被せる前のヒュージブルリンクユニットをバッテリに直付けした状態を示す斜視図、図2は保護カバーをヒュージブルリンクユニットに被せる途中の状態を示す斜視図、図3は図2の状態をスライドガイド溝のある位置で切断した断面図、図4はヒュージブルリンクユニットの上に完全に保護カバーを被せた状態を示す斜視図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、この実施形態の構造は、上面に、バッテリポスト2にバッテリ端子3を介して接続される第1端子部8Eと、下方に電線W(WA、WA、WC、WE)を延ばした電線付き端子20A、20B、20C、20Eが接続される第2端子部8A、8B、8C、8Eとが設けられたヒュージブルリンクユニット10をバッテリ1に直付けした際に、上から被せられる保護カバー30の取付構造である。
【0021】
ここで、第1端子部8Eは、バッテリポスト2にバッテリ端子3を介して接続される入力端子部であり、スタータ電線WE付き端子20Eを接続する第2端子部を兼ねている。他の第2端子部8A、8B、8Cは、負荷側に繋がる電線WA、WB、WC付き端子20A、20B、20Cに接続される出力端子部である。
【0022】
これら入力端子部と出力端子部は、1枚のブスバー7(図3に一部図示)上に形成した入力端子片や出力端子片(図示略)にボルトを立設することで構成されている。入力端子片と出力端子片は、ヒューズエレメント(図示せず)を介して繋がった1枚のブスバー7上にプレス成形されており、入出力端子部とヒューズエレメントを露出させた状態で、ボルトやブスバー7の必要箇所を樹脂モールド成形することにより、全体でヒュージブルリンクユニット10が構成されている。
【0023】
そして、このヒュージブルリンクユニット10の樹脂ハウジング11の上面に、前記第2端子部8A、8B、8Cと第1端子部8Eなどが、ボルトの先端を上向きにして設けられている。また、第2端子部8A、8B、8Cの周囲には、電線付き端子20A、20B、20Cを上から挿入するための端子収容凹部16A、16B、16Cを形成する筒壁15A、15B、15Cが突設されている。
【0024】
これら筒壁15A、15B、15Cは、ハウジング11の側方に面する部分に開口を有すると共に、周方向の一部に互いに位置をずらした位置決め凹部16a、16b、16cを有している。これら位置決め凹部16a、16b、16cは、電線付き端子20A、20B、20Cの取り付け位置を間違わないようにするためのものであり、電線付き端子20A、20B、20Cの各円板部の周縁に設けた凸部(図示略)と係合するようになっている。
【0025】
前記筒壁15A、15B、15Cの開口が並んだハウジング11の側面(第2端子部よりも下側)には、上下方向に延びる一対の側壁12、12が突設されている。一対の側壁12、12は、3つ並んだ筒壁15A、15B、15Cの最外位置に対応した間隔を持って配置されており、両側壁12の間には、上下方向に延びる電線収容溝17A、17B、17Cを形成する隔壁14が設けられている。一対の側壁12及び隔壁14は、筒壁15A、15B、15Cの開口の左右側縁に対応する位置に配置されており、それぞれ各筒壁15A、15B、15Cと連続して形成されている。これにより、電線収容溝17A、17B、17Cと端子収容凹部16A、16B、16Cがそれぞれ連通している。
【0026】
また、一対の側壁12、12の対向面には、上下方向に直線状に延びるスライドガイド溝13が設けられている。各スライドガイド溝13の上端は、外側に幅広となった入口13aとして形成されており、入口13aの内面が後述する誘導部となっている。また、側壁12や隔壁14の筒壁15A、15B、15Cに繋がる上端縁は面取状に斜めにカットされており、この傾斜部12a、14aが後述する誘導部となっている。なお、図3に示すように、傾斜部12a(14a)の傾斜の延長線より上側にスライドガイド溝13の入口13aの上端縁が位置するように、同上端縁の位置と傾斜の角度が設定されている。また、入口13aの内部の段部にも、誘導しやすいように傾斜が付いている。
【0027】
また、出力側の電線付き端子20A、20B、20Cを取り付ける側面と直交する関係にある、隣り側のハウジング11の側面には、スタータ電線付き端子20E及び電線WEを収容するための電線収容溝19を形成する一対の側壁18が設けられている。これら側壁18の一方の下端には、電線収容溝19内に収容した電線WEが外へ飛び出さないようにするための電線規制部18aが設けられている。この電線規制部18aは、一方の側壁18の先端にL字状に折り曲げ形成した突片により構成されており、該突片と他方の側壁18との隙間から、電線WEを電線収容溝19に無理嵌めできるようになっている。
【0028】
一方、保護カバー30は、ヒュージブルリンクユニット10の上面とバッテリポスト2及びバッテリ端子3を覆う上面カバー部31と、その周縁に下向きに連設された周壁部32と、上面カバー部31の周縁部に垂下して設けられることで、第1端子部8E又は第2端子部8A、8B、8C、(8E)に接続された電線付き端子20A、20B、20C、20E及び該端子20A、20B、20C、20Eに接続されて下方に延びる電線WA、WB、WC、WEの上部を覆う側面カバー部33、34と、を有している。
【0029】
前述したヒュージブルリンクユニット10のスライドガイド溝13は、上からヒュージブルリンクユニット10の上に保護カバー30を被せる際に、図2、図3に示すように、側面カバー部33の側縁部を下方へ位置規制しながら誘導するものであり、スライドガイド溝13の入口13aの内面とその近傍の傾斜部12a、14aとが、側面カバー部33の側縁部の下端をスライドガイド溝13に挿入しやすくするための誘導部の機能を果たすようになっている。即ち、誘導部は、スライドガイド溝13の入口13aの内面とその近傍の傾斜部12a、14aとの間で形成され、スライドガイド溝13の入口13aの下端Jは傾斜部12a、14aの下端Kより下側に位置するように設定されている。
【0030】
次に作用を説明する。
【0031】
バッテリ1にヒュージブルリンクユニット10を取り付ける場合は、図1に示すように、バッテリ端子3を介して、ヒュージブルリンクユニット10の第1端子部8Eをバッテリポスト2に接続する。その際、同時にスタータ電線付き端子20Eを第1端子部8Eに共締めし、スタータ電線WEを電線収容溝19に挿入する。また、出力側の電線付き端子20A、20B、20Cを、出力用の第2端子部8A、8B、8Cに接続し、各端子20A、20B、20Cから下方へ延びる電線WA、WB、WCをそれぞれ電線収容溝17A、17B、17Cに挿入する。
【0032】
このようにヒュージブルリンクユニット10をバッテリ1に直付けした後に、図2、図3に示すように、保護カバー30を上から被せる。この場合、保護カバー30をヒュージブルリンクユニット10の上から単純に被せれば、保護カバー30の側面カバー部33の両側縁部がヒュージブルリンクユニット10のスライドガイド溝13に挿入されて誘導されるので、確実に位置決めしながら保護カバー30を定位置に容易に装着することができる。従って、保護カバー30の取付作業性の向上が図れる。
【0033】
特に、このヒュージブルリンクユニット10には、誘導部として機能する入口13aと傾斜部12a、14aが設けられており、それら誘導部の作用により、スライドガイド溝13に対し側面カバー部33の側縁部の下端が挿入しやすくなるので、保護カバー30を被せる位置が多少ずれていても、あるいは、保護カバー30が多少斜めになっていても、スムーズにスライドガイド溝13に側面カバー部33の側縁部の下端を挿入することができ、容易に保護カバー30をヒュージブルリンクユニット10に装着することができる。
【0034】
実際には、エンジンルーム内において、バッテリ1に固定したヒュージブルリンクユニット10に保護カバー30を被せることになるので、無理な姿勢で保護カバー30を被せることが多くなるが、おおよその見当で保護カバー30をヒュージブルリンクユニット10の上に被せれば、誘導部の作用によって自動的的に側面カバー部33がスライドガイド溝13に誘導されることになるので、保護カバー30の取り付けが非常にやりやすくなり作業性が向上する。
【0035】
また、その装着状態においては、上面カバー部31が、ヒュージブルリンクユニット10の上面の第1端子部8Eや第2端子部8A、8B、8Cそしてバッテリポスト2に対する接続部全体を覆い、また、側面カバー部33、34が、ヒュージブルリンクユニット10の側面に露出する電線付き端子20A、20B、20C、20Eやその電線WA、WB、WC、WEの上部を覆うので、端子20A、20B、20C、20Eや電線WA、WB、WC、WEの導体露出部分を全て安全に保護カバー30で覆い隠すことができる。
【0036】
また、側面カバー部33、34は保護カバー30に一体に設けられているので、保護カバー30を上から被せるだけで、ヒュージブルリンクユニット10の側面の必要部分を覆い隠すことができる。従って、バッテリ1の側方の空間が狭くて、バッテリ1の電線装着側に作業者が手を入れることができない場合でも、側面カバー部33、34の着脱を行うことができる。
【0037】
また、ヒュージブルリンクユニット10のハウジング11を形成する樹脂材料には、一般に、ヒューズエレメントの溶断時の耐熱性を考慮してタルクやガラスフィラーを増量添加したものを使用することが多く、そうした場合、撓み変形に弱くなりがちであるが、本実施形態では、ヒュージブルリンクユニット10にスライドガイド溝13を形成しただけの単純な構成を採用し、ヒンジ等のように無理な力が掛かる部分を設けていないから、強度不足を来す心配もない。そのため、耐熱性及び高強度の樹脂を選択しないでも、通常の安価な樹脂でヒュージブルリンクユニット10のハウジング11を構成することができる。
【0038】
また、太物電線であるスタータ電線WE用の電線収容溝19の側壁18には、電線規制部18aが設けられているので、電線収容溝19に電線WEを一旦収容すると、電線規制部18aの働きによって電線WEを飛び出さないように止めておくことができる。例えば、太物電線であるスタータ電線WEの場合、車両レイアウトによる屈曲や振動等による大きな曲げ力を受けていると、電線収容溝19に収容しても外に飛び出しやすくなり、電線加締部に大きな負担がかかりやすくなるが、本実施形態によれば、電線規制部18aの働きにより、電線収容溝19からの電線WEの飛び出しを規制することができるので、電線加締部にかかる負担を軽減することができ、信頼性の向上が図れる。
【0039】
尚、電線規制部18aの構造は、電線収容溝19以外の他の電線収容溝(17A、17B、17C)に設けた場合も同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0040】
1 バッテリ
2 バッテリポスト
3 バッテリ端子
8A、8B、8C 第2端子部
8E 第1端子部(第2端子部を兼用)
10 ヒュージブルリンクユニット
11 ハウジング
12 側壁
12a 傾斜部(誘導部)
13 スライドガイド溝
13a 入口(誘導部)
14a 傾斜部(誘導部)
17A、17B、17C 電線収容溝
18 側壁
18a 突片(電線規制部)
19 電線収容溝
20A、20B、20C、20E 電線付き端子
30 保護カバー
31 上面カバー部
33 側面カバー部
34 側面カバー部
W 電線
WA、WB、WC 出力側の電線
WE スタータ電線
J スライドガイド溝の入口の下端
K 傾斜部の下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に、バッテリポストにバッテリ端子を介して接続される第1端子部又は、下方に電線を延ばした電線付き端子が接続される第2端子部とが設けられたヒュージブルリンクユニットをバッテリに直付けした際に、上から被せられる保護カバーの取付構造であって、
前記保護カバーに、前記ヒュージブルリンクユニットの上面と前記バッテリポスト及びバッテリ端子を覆う上面カバー部を設けると共に、該上面カバー部の周縁部に垂下して、前記第1端子部又は前記第2端子部に接続された前記電線付き端子及び該端子に接続されて下方に延びる電線の上部を覆う側面カバー部を設け、
前記ヒュージブルリンクユニットに、上から前記保護カバーを被せる際に、前記側面カバー部の側縁部を下方へ位置規制しながら誘導するスライドガイド溝を設け、
前記スライドガイド溝の入口またはその付近に、前記側面カバー部の側縁部の下端を前記スライドガイド溝に挿入しやすくするための誘導部を設け、
前記誘導部は、前記スライドガイド溝の上端が外側に幅広となった入口として形成されていることを特徴とするバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造であって、
前記誘導部は、前記スライドガイド溝の入口の内面とその近傍に形成された傾斜部との間で形成され、前記スライドガイド溝の入口の下端は前記傾斜部の下端より下側に位置するように設定されていることを特徴とするバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造であって、
前記ヒュージブルリンクにおける前記第1端子部又は前記第2端子部の下側側面に、前記電線付き端子から下方に延びる電線を収容する電線収容溝が設けられ、少なくとも1つの前記電線収容溝の側壁の先端に、該電線収容溝内に収容された電線が外へ飛び出すのを規制する電線規制部としての突片が折り曲げ形成されていることを特徴とするバッテリ直付けヒュージブルリンクユニットの保護カバー取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−79072(P2013−79072A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−280806(P2012−280806)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2007−227438(P2007−227438)の分割
【原出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】