説明

バナナ菓子とその製造方法

【課題】 バナナ本来の外観を損なうことなく、品質劣化しにくく、持ち運びが容易で、しかもいろいろな味を表現できるバナナ菓子を提供する。


【解決手段】 バナナの皮(1a)を剥くことなくその一方の端部からバナナ(1)内部にパイプ(2)を挿入し、任意の深さまで挿入した後にパイプ内を減圧吸引してパイプ(2)内に入り込んだバナナの果肉をパイプ(2)外のバナナの果肉と分離する。その後にパイプ(2)をバナナ(1)から抜き取ることによりバナナ(1)に孔(3)を設け、次いで孔(3)の開口部より具材(4)を充填した後に開口部を封口部材(5)により封口する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バナナを用いた菓子とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バナナは味や風味が良く栄養バランスにも優れているため、洋菓子の材料としてもよく用いられる。たとえば刻んでパフェやクレープの具材として用いることや、潰してクリームと共に練り込んでバナナクリームとして洋菓子に用いられることが多い。
【0003】
バナナを使用している割合が多い菓子としては、皮を剥いたバナナを1本まるごとホイップクリームと共にスポンジケーキで包んだ「バナナ包み菓子」がある。このようなバナナ包み菓子は、周囲を透明なラップで巻いて表面を保護して出荷,流通される。
【0004】
皮を剥いたバナナは黒ずみやすく、品質も劣化しやすいため、生菓子として10℃以下で冷蔵して流通,販売しなくてはならない。バナナ表面に特殊な劣化防止剤を塗布するなどして黒ずみを防止することもある。
【0005】
また、スポンジケーキもクリームもバナナの果肉も柔らかいため、外部から力を受けると容易に変形してしまう。変形するとスポンジケーキの隙間や裂け目から内部のクリームや圧迫されて潰れたバナナが出てきてしまうこともある。そのよう状態となると商品価値が無くなるので、流通,販売には気を使わなくてはならない。また、購入した客もバナナ包み菓子が変形したり潰れたりしないように気をつかって持ち運ぶ必要がある。そのため、気軽に鞄の中にそのまま入れておくことができず、菓子を保護する箱やケースに入れて持ち運ぶ必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願平5−354890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、バナナ本来の外観を損なうことなく、品質劣化しにくく、持ち運びが容易で、しかもいろいろな味を表現できるバナナ菓子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のバナナ菓子は、皮がついたままのバナナ(1)の端部又は端部近傍から内部に向かって開けられた孔(3)を少なくとも1本有し、該孔(3)の内部には具材(4)が充填されており、該孔(3)の開口部は封口部材(5)により封口されていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、バナナ(1)の皮(1a)を剥くことなく、バナナ(1)内にクリーム,ペースト等の具材(4)を充填した菓子とすることができる。表面は本来のバナナの皮(1a)で保護されているため品質劣化しにくく、持ち運びも容易である。また、内部に充填する具材(4)を変えることにより味を変化させることができる。外観はほとんど普通のバナナと同じなので、菓子であることを知らせずに提供すると、食べた人を驚かせることもできる。
【0010】
請求項2記載のバナナ菓子は、請求項1記載のバナナ菓子において、前記孔(3)の開口部(1e)はバナナの先端(1d)に設けられていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、バナナの先端の黒く堅い部分(1d)に孔(3)の開口部(1e)を設けるので、開口部(1e)が目立たたず、外観上も一見普通のバナナと見分けがつかない。また、開口部(1e)周辺の強度も得やすい。更に、先端から真っ直ぐに孔(3)が開けられるのでバナナ(1)の中心軸に綺麗に沿った孔(3)にすることができる。
【0012】
請求項3記載のバナナ菓子(11)は、複数本のバナナが繋がったバナナの房の内、房を構成するバナナの一部又は全部が請求項1又は請求項2記載のバナナ菓子であることを特徴とする。
【0013】
これによれば、複数本のバナナを有するバナナの房(11)ごと菓子とすることができる。そのため持ち運びが更に容易となる。また、房(11)を構成するバナナ毎に異なる具材(14)を充填すれば、いろいろな味を楽しむことができる。更に、バナナが房ごと菓子であるという意外性を楽しむこともできる。
【0014】
請求項4記載のバナナ菓子の製造方法は、バナナの皮(1a)を剥くことなくその一方の端部又は端部近傍から該バナナ(1)内部にパイプ(2)を挿入し、該パイプ(2)を任意の深さまで挿入した後に該パイプ内を減圧吸引することにより該パイプ(2)内に入り込んだバナナの果肉をパイプ(2)外に位置するバナナの果肉と分離し、その後に該パイプ(2)を該バナナ(1)から抜き取ることにより該バナナ(1)に孔(3)を設け、次いで該孔(3)の開口部より具材(4)を充填した後に該開口部を封口部材(5)により封口することを特徴とする。
【0015】
これによれば、皮(1a)を剥いていないバナナ(1)に目立たない端部からパイプ(2)を挿入することができる。そして、挿入後にパイプ(2)内を減圧吸引することによりパイプ(2)内に入ってきたバナナの果肉を周囲の果肉と分離することができる。その後にパイプ(2)をバナナ(1)から引き抜くことによりパイプ(2)が挿入されていた箇所に孔(3)を設けることができる。この孔(3)にクリームやペーストなどの具材(4)を注入する等して充填し、その孔(3)の開口部を封口部材(4)で封口すればバナナ(1)内部に具材(4)を有したバナナ菓子とすることができる。
【0016】
請求項5記載のバナナ菓子の製造方法は、請求項4記載の製造方法において、前記パイプ(2)は前記バナナ(1)の形状に近い湾曲を有していることを特徴とする。
【0017】
これによれば、パイプ(2)の形状がバナナ(1)の形状に近いため、バナナ(1)の中心軸に沿うように孔(3)を設けることができる。そのため、バナナ(1)の中心付近に具材(4)を配置することができる。バナナ(1)の湾曲の仕方は一定ではないため、それらに対応できるような湾曲を有する形状のパイプ(2)を複数種用意しておくと良い。
【0018】
請求項6記載のバナナ菓子の製造方法は請求項4又は請求項5の製造方法において、前記バナナ先端(1d)を先にくり抜いて開口部(1e)を設け、次いで該開口部(1e)より前記パイプを挿入し、該開口部(1e)の封口は該バナナ(1)からくり抜いて切除した該バナナ先端(1f)を該開口部(1e)に嵌め入れて接合部をホットメルト接着剤(40)で固めて封止することを特徴とする。
【0019】
これによれば、強度があるバナナ先端の黒い部分(1d)に開口部(1e)を設けて孔(3)を作るので、開口部(1e)周囲の強度を維持しやすい。また、バナナの先端(1d)からパイプを挿入できるので、バナナ(1)の中心軸に沿って孔(3)を設けることが容易となる。そして、封口部材として切除した先端(1f)を開口部に取り付けて固定するので開口箇所が目立ちにくく、普通のバナナとほとんど変わらない外観とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のバナナを用いた菓子において、一見普通のバナナに見える外観のバナナ菓子を提供することができる。また、バナナ本来の皮で菓子を包んで保護することができるので、品質の保持や流通や持ち運びが容易となる。更に、具材を変えることにより種々の味の菓子にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例に用いるバナナとパイプを示した図。
【図2】バナナにパイプを挿入する様子を説明する図
【図3】パイプ先端の一例を示した図。
【図4】パイプ先端の他の一例を示した図。
【図5】バナナにパイプを挿入した状態を説明する図。
【図6】パイプを挿入した際のバナナ内の状態を説明する図。
【図7】パイプを抜いた後のバナナ内の状態を説明する図。
【図8】バナナの孔に具材を注入する様子を説明する図。
【図9】バナナの孔の開口部を封口した状態を説明する図。
【図10】シールの一例を示した図。
【図11】食べている際のバナナ菓子の様子を説明する図。
【図12】実施例2を説明する図。
【図13】実施例3を説明する図。
【図14】実施例4の製造工程を説明する図(その1)。
【図15】実施例4の製造工程を説明する図(その2)。
【図16】実施例4の製造工程を説明する図(その3)。
【図17】実施例4の製造工程を説明する図(その4)。
【図18】実施例4の製造工程を説明する図(その5)。
【図19】実施例4の内部を説明する図。
【図20】実施例5に具材を注入する様子を説明する図。
【図21】実施例5の構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0023】
バナナを用意する。使用するバナナは普通のバナナでよいが、あまり熟しすぎていない方が強度があるので望ましい。このバナナにパイプを用いて孔を設ける。図1はバナナ(1)と、そのバナナ(1)に孔を開けるパイプ(2)を示した図である。
【0024】
図2に示すようにバナナ(1)の端部付近からパイプ(2)を挿入する。本実施例ではバナナの軸(1c)付近の皮を貫通させて挿入した。パイプ(2)は小刻みに左右にひねりながら挿入するようにしてもよい。挿入する際には、パイプ(2)ができるだけバナナ(1)の中心軸付近を通るようにすることが望ましい。挿入していくと、パイプ(2)内にバナナの果肉が入ってくる。
【0025】
パイプ(2)の材質としては本実施例ではステンレスを用いたが、特に限定されるものではない。たとえば、他の金属でもよいし、セラミックや合成樹脂からできているものでもよい。但し、食品であるバナナ(1)の中に挿入するので、挿入した際に破損してバナナ(1)内に破片などが残らないように十分な強度を有することが必要である。
【0026】
バナナ(1)の形状は一定でなく、真っ直ぐに近い形状のものもあれば、大きく湾曲したものもある。そのため、いろいろなバナナ(1)の形状に対応できるように、異なる湾曲を有するパイプを複数種類用意しておき、バナナの形状にあわせて使い分けるとよい。パイプの断面形は円又は楕円形が一般的であるが、断面形が四角や星形などのパイプを使ってもよい。
【0027】
また、パイプ(2)を挿入する際には、パイプ(2)の先端部はバナナ(1)の皮(1a)と果肉(1b)を切り裂きながら進入することになる。そのため、先端部の肉厚は十分な強度を確保できる範囲で、薄く形成することが望ましい。パイプ先端部は単に切り落としたような形状としても良いが、切り裂きやすいように先端部を波状や竹槍状や鋸歯状にしても良い。図3は先端部(20a)を竹槍状にしたパイプ(20)であり、(A)は側面図、(B)は平面図である。また、図4は先端部(21a)を鋸歯状にしたパイプ(21)である。
【0028】
そして、図5に示すようにパイプ(2)が適当なところまで挿入できた段階で、パイプ(2)の挿入を停止する。パイプ(2)を挿入しすぎると、挿入したのと反対側からバナナ(1)の皮を突き破ってパイプ(2)が出てしまうので好ましくない。そこで、予めバナナ(1)の長さを見て、パイプ(2)をどの程度まで挿入すればよいか確認しておくと良い。図6にパイプ(2)を挿入した際のバナナ(1)内部の状態を示す。図中において、(1a)はバナナ(1)の皮、(1b)はバナナ(1)の果肉部分である。
【0029】
パイプ(2)がバナナ(1)内の適当な位置まで挿入できれば、次にパイプ(2)を引き抜く。その際にまずパイプ(2)の反対側の端部からポンプなどでパイプ(2)内を軽く減圧,吸引する。これによりパイプ(2)先端部分近傍でパイプ(2)内外のバナナの繋がりが切れる。パイプ(2)内部に入っているバナナの果肉はパイプ(2)外部の果肉と繋がっていないので、パイプ(2)を引き抜いた際にパイプ(2)内に入っているバナナの果肉はパイプ(2)と一緒にバナナ(1)から引き抜かれることとなる。尚、パイプ(2)内の吸引はパイプ(2)引き抜きの最初の段階で行うだけで良い。
【0030】
バナナ(1)からパイプ(2)を引き抜くと、図7に示すようにパイプ(2)が挿入されていた箇所に孔(3)が形成される。
【0031】
次に、バナナ(1)にできた孔(3)に具材(4)を充填する。具材(4)としては各種クリームやペースト,ジャム,蜂蜜等を用いることができる。ユニークな具材としてはカレー,ミートソース,クリームシチュー,ケチャップ,マヨネーズ,サウザンアイランドドレッシング,海苔の佃煮,練りわさび,味噌などを入れることも可能である。
【0032】
また、充填する具材(4)は1種類である必要はなく、2種類以上の具材(4)を順に充填してもよい。たとえば、前半にチョコレートクリーム、後半に抹茶クリームを充填する等してもよい。
【0033】
また、細かく崩したゼリー,寒天,水ようかん,フルーツ,コーンフレーク,ナッツ類や、顆粒状のチョコレート,抹茶,きな粉,シナモンパウダー等を充填しても良い。孔(3)の開口部は後の工程で封口部材により封口するが、酒類,ジュース,牛乳のような液体は封口の隙間から染み出すおそれがある。そのため、入れたい具材が液体のように粘性が低い場合は、ゼラチン,片栗,葛などで「とろみ」がつくようにしてやるとよい。
【0034】
図8は具材(4)を孔(3)内に注入する様子を説明する図である。具材(4)を充填する際には、クリームやペーストについては注射器,絞り出し器,チューブ等の先端部が細くなっている注入具(10)を用いて、経の細いノズル部(10a)を孔(3)内に差し入れて圧入してやると作業がしやすい。
【0035】
尚、バナナ(1)から抜き取ったパイプ(2)の中にはバナナの果肉が入っているが、ポンプで更に吸引するか、逆にポンプによる加圧や棒などで押し出すことによりパイプ(2)内から取り除く事ができる。パイプ(2)内に入っていたバナナの果肉は、皮部分を除いてパフェやバナナクリームの材料等として利用すると無駄がない。
【0036】
孔(3)にクリーム,ペーストなどの具材(4)を充填した後に、図9に示すように孔(3)の開口部を封口する。本実施例では、図10に示すように封口部材として裏面に粘着部を有したシール(5)を用いて封口した。シール粘着部に塗布されている粘着材は、口に入っても問題のないように食用の粘着材を用いた。シール(5)の表面には、孔(3)に充填している具材(4)の種類,生産者,賞味期限などを印字しておくこともできる。また、シール(5)の色をバナナ(1)の皮(1a)と同じような黄色にすれば目立たなくなり、より普通のバナナに近い外観とすることができる。
【0037】
尚、封口部材としてはシール(5)ではなく栓体を用いても良い。この栓体としてはコルクなどでも良いが、栓の形に成形したクッキーやチョコレートなどを用いることも可能である。
【0038】
従来のバナナ包み菓子の場合、製造後に表面を合成樹脂フィルムなどでラッピングする必要があったが、本実施例のバナナ菓子は表面が本来のバナナの皮(1a)で覆われている。そのため、別途表面を覆うラッピングは必須ではない。
【0039】
また、バナナ(1)は皮(1a)を剥くと酸化等により黒ずんで品質が劣化しやすいが、本実施例のバナナ菓子は天然の保護部材である皮(1a)で守られているので劣化しにくい。更に、配送時,販売時はもちろん、購入後に持ち運ぶ際にもある程度の強度を有したバナナの皮(1a)で守られているので、変形や変質がしにくく運びやすい。例えば、購入後にそのまま鞄や上着のポケットに入れて持ち運ぶことも容易である。
【0040】
食べる際には普通のバナナと同じように皮(1a)を剥いて食べればよい。図11は本実施例のバナナ菓子を食べる際の様子を示した図である。果肉(1b)の断面中心付近に見えるのが充填した具材(4)である。本実施例のバナナ菓子は食べる前には普通のバナナに見えるため、菓子であることを知らせずに知人に食べさせると、予期せぬ具材(4)の存在で視覚的,味覚的に驚かせることもできる。
【実施例2】
【0041】
図12は、本実施例を説明する図である。実施例1では、1本のバナナ(1)に1本の孔(3)を設けて具材を充填したが、本実施例では2本の孔(3a),(3b)を設けた。パイプ(2)で2カ所に孔を設けた以外は実施例1と同様である。
【0042】
孔が2本となる関係で、実施例1よりも径の小さなパイプを用いた。2本の孔(3a),(3b)に充填する具材(4a),(4b)は、同じでもよいが異なるものである方が楽しい。例えば一方の孔(3a)には具材(4a)として抹茶クリームを充填し,他方の孔(3b)には具材(4b)として
「きな粉」を充填するようなことが考えられる。必要なら孔を3本以上とすることも可能である。
【実施例3】
【0043】
実施例1,実施例2はバナナ(1)1本ずつを用いた菓子としている。それに対して本実施例は複数本が房状になった状態のバナナを使って複数本のバナナからなる菓子とした。バナナ1本毎の加工については実施例1と同様である。複数本からなる一房のバナナ(11)を1つの商品として構成できるので、販売,流通,保管も容易となる。また、バナナが房ごと菓子になっているということは意外性があり、パーティーやプレゼントなどで提供すると喜んでもらえる。
【0044】
房(11)を構成する全てのバナナの孔(13)に同じ種類の具材(14)を充填しても良いが、味の複数種類のクリームやペーストを充填すれば、1本毎に異なった味を楽しむことができる。もちろん、房(11)の中に加工せずに孔(13)や具材(14)を有しない普通のバナナを1本又は複数本残しておいても良い。
【0045】
複数の具材(14)を使用する場合、具材(14)の味が外からでも認識できるように封口用のシールに「チョコレート」,「コーヒーゼリー」,「蜂蜜」,「きな粉」のように具材の内容を表示しておくもよい。また、どのような味の具材(14)が入っているのかわからないように、あえて1本毎の具材(14)の内容表示をしないという楽しみもある。その場合、食べる人は食べる前に何味かわからないため、ゲーム感覚でワクワクして選んで食べることができる。ゲーム性を高めるために、1本だけユニークな味の具材として、誰がそれを食べるのかを複数人で楽しみながら食べるようなこともできる。
【実施例4】
【0046】
実施例1では軸(1c)付近から孔(3)を開けたが、本実施例はバナナ(1)先端(房とつながっている軸(1)とは反対の端部)(1d)から孔(3)を設けた点が異なる。バナナ(1)の先端(1d)は黒く堅い部分となっている。この部分は十分な強度があり、孔を開けても目立たないだけでなく、バナナ(1)の端からバナナ(1)の中心に沿って孔(3)を開けることができるというメリットがある。
【0047】
まず、図14及び図15に示すように先端の黒い部分(1d)に穿孔用のパイプ(30)を刺してくり抜く。このパイプ(30)は、バナナの果肉(1b)をくり抜くのに用いるパイプ(2)と同じ物でも良いが、バナナ(1)の先端部(1d)はバナナ(1)の皮(1a)や果肉(1b)に比べて堅いので、より強度と鋭さを有する別のパイプを用いても良い。また、パイプではなく切り出しナイフやデザインナイフのような先端が細いナイフを差し入れてえぐるようくり抜いても良い。
【0048】
くり抜き用のパイプ(30)の経はバナナ先端の黒い部分(1d)よりも小さくし、孔が黒い部分(1d)の内側に収まるように設ける。黒い部分の外側まで切ってしまうと、後工程の封口がやりにくくなると共に、切れた部分からバナナの皮(1a)がめくれ易くなってしまうからである。
【0049】
次に、くり抜いた箇所からパイプを挿入して引き抜くことによりバナナの果肉を取り除いて孔を作る。すると図16に示すように黒い先端部(1d)に孔(3)の開口部(1e)ができる。本実施例ではくり抜いた先端部(1f)は後の工程で封口部材として使用するので、楊枝などでパイプ(30)から取り除いて捨てずにとっておく。孔(3)にクリーム等の具材(4)を充填する工程は実施例1と同じである。
【0050】
封口に際しては、本実施例ではシールではなく最初にくりぬいたバナナ先端部分(1f)を用いた。図17に示すように、バナナの先端部分(1f)を元あったように開口部(1e)に嵌め入れる。そして、図18に示すように、グルーガン(41)を用いてその周囲をホットメルト接着剤(40)で固めた。接着はホットメルト接着剤(40)が容易であるが溶かしたロウなどを用いて接合部分を固めてもよい。もちろん、バナナの先端部分(1f)ではなく、他の部材を封口部材として使用しても良い。例えばコルク栓などを嵌め入れても良いし、キャップのような部材を被せるようにして封口することも可能である。
【0051】
図19は本実施例の内部を説明する図である。このようにして製作した本実施例のバナナ菓子は具材(4)の注入口がバナナ先端の黒い部分であり封口部分が目立たない。特に封口部材として、もともとその場所にあった黒い部分(1f)を使うと普通のバナナと見分けがつきにくくなるという面白さがある。菓子であることを隠して他の人に食べてもらい、食べた人を驚かせるような楽しみ方もできる。
【実施例5】
【0052】
本実施例は孔(3)に空気抜き穴を設けた点が他の実施例と異なる。孔(3)に具材(4)の粘度や注入具(10)の形状によっては具材(4)を素早く注入,充填しようとすると孔(3)内の空気が邪魔になって注入しにくい場合がある。そこで本実施例では孔(3)の開口部と反対側に針で小さな空気抜き穴を設けた。
【0053】
図20は具材(4)を孔(3)に注入している状態を示した図である。図中(50)は孔(3)の開口部と反対側に設けた空気抜き穴である。バナナ(1)に孔(3)を設けた後に、バナナの外側から孔(3)に向かって細い針を刺すことにより空気抜き穴(50)を設けた。空気抜き穴(50)はバナナの皮(1a)や果肉(1b)を貫通して孔(3)内に至っている。
【0054】
具材(4)を孔(3)の開口部から素早く注入すると、孔(3)内の空気は外部から入ってきた具材(4)に押される。しかし、孔(3)内の空気は空気抜き穴(50)を通ってバナナ(1)の外部に放出されるので、孔(3)内の空気の内圧は高くならない。そのため、具材(4)を孔(3)に充填する際に、孔(3)内の空気に邪魔されずにスムーズに注入することができる。
【0055】
図21は本実施例の構造を説明する図である。空気抜き穴(50)は極めて経の小さな穴であり、ここを通して孔(3)内の具材(4)が漏れ出すことはほとんど無い。しかしながら、本実施例では衛生面を配慮して具材(4)の充填後に空気抜き穴(50)を封口した。空気抜き穴(50)の封口は封口部材してのシール(51)を用いて行った。シール(51)は透明かバナナの色に近い黄色にすると目立たない。また、あえてシール(51)が目立つようにして、充填されている具材(4)の種類や賞味期限などを表示するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のバナナ菓子は、バナナ本来の外観を失うことなく種々の具材を内部に仕込むことができる。また、バナナは栄養的にも優れる。そのため、中に入れる具材を工夫すれば菓子としてだけでなく、おにぎりやサンドイッチのように携帯用の食事としても利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 バナナ
1a バナナの皮
1b バナナの果肉
1c バナナの軸部
1d バナナの先端部
1e 開口部
1f くり抜いたバナナ先端部
2 パイプ
3 孔
4 具材
5 シール(封口部材)
10 注入具
10a ノズル部
11 バナナの房
13 孔
14 具材
20 パイプ
21 パイプ
30 穿孔用パイプ
40 ホットメルト接着剤
41 グルーガン
50 空気抜き穴
51 空気抜き穴のシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮がついたままのバナナの端部又は端部近傍から内部に向かって開けられた孔を少なくとも1本有し、
該孔の内部には具材が充填されており、
該孔の開口部は封口部材により封口されている
ことを特徴とするバナナ菓子。
【請求項2】
前記孔の開口部はバナナの先端に設けられていることを特徴とする請求項1記載のバナナ菓子。
【請求項3】
複数本のバナナが繋がったバナナの房の内、房を構成するバナナの一部又は全部が請求項1又は請求項2記載のバナナ菓子であることを特徴とするバナナ菓子。
【請求項4】
バナナの皮を剥くことなくその一方の端部又は端部近傍から該バナナ内部にパイプを挿入し、
該パイプを任意の深さまで挿入した後に該パイプ内を減圧吸引することにより該パイプ内に入り込んだバナナの果肉をパイプ外に位置するバナナの果肉と分離し、
その後に該パイプを該バナナから抜き取ることにより該バナナに孔を設け、
次いで該孔の開口部より具材を充填した後に該開口部を封口部材により封口する
ことを特徴とするバナナ菓子の製造方法。
【請求項5】
前記パイプは、前記バナナの形状に近い湾曲を有していることを特徴とする請求項4記載のバナナ菓子の製造方法。
【請求項6】
前記バナナ先端を先にくり抜いて開口部を設け、
次いで該開口部より前記パイプを挿入し、
該開口部の封口は該バナナからくり抜いて切除した該バナナ先端を該開口部に嵌め入れて接合部をホットメルト接着剤で固めて封止する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載のバナナ菓子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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