説明

バラスト止めブロック組立体

【課題】 小型かつ軽量で現場施工作業が容易かつ効率的であるバラスト止めブロック組立体を提供すること。
【解決手段】 本発明のバラスト止めブロック組立体は、路盤に設置される底板と、底板から一体に立設された支承壁とからなるブロック本体と、路盤に埋設される埋設垂下部を備えた埋設部材と、隣接する埋設部材を連結する連結部材とからなるバラスト止めブロック組立体であって、ブロック本体の底板は、支承壁よりバラスト堆積面部側に上下に貫通する嵌合孔を設け、埋設部材は、長手方向をブロック本体の配列方向とする略直方体形状をなした埋設垂下部の上部に、前記嵌合孔に嵌合する嵌合突部を設け、該嵌合突部の上部には連結部材と連結する結合部を設けており、連結部材は、互いに隣接する埋設部材の結合部に連結することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路の構造物等として使用するブロック組立体に関し、とくにバラスト道床の端部に一連に連結して敷設し、バラストの流出を防止するバラスト止めブロック組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなバラスト道床の端部に一連に敷設するバラスト止めブロックとしては、先に本出願人が考案した「バラスト流出防止用ブロック」が従来より知られている(下記特許文献1参照)。
このバラスト流出防止用ブロックは、路盤5に敷設する敷き板本体1に支承壁2を立設し、敷き板本体1の支承壁2より一端側に広い歩行面3を設けるとともに、他端側にバラスト堆積面4を設け、該バラスト堆積面4の最後端から、路盤5に埋設する長尺の脚7を突出させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平1−18681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載のバラスト流出防止用ブロックは、広い歩行面と長尺の脚によって、列車通過時の振動や地震の振動に対しても安定性を確保し、バラストの流出を確実に阻止することができるものであるが、プレキャスト製とした場合、全体の重量が大きいため、現場での施工に時間がかかり効率が良くなかった。
とくに、このバラスト流出防止用ブロックは、敷き板本体の側面に連結用の雄部と雌部を設け、これを順次隣接するバラスト流出防止用ブロックに嵌め込んでいくため、重いブロックを横から押して嵌合幅の狭い雄部と雌部を嵌合させる作業が面倒であるとともに、一連に配列して敷設することにより連結状態を維持しているだけなので必ずしも連結強度が充分とは言えなかった。
また、敷設箇所によっては、路盤に広い歩行面をとるスペースがない場合もあり、このような場合に対応することができなかった。
【0005】
本発明は、上記諸問題を解決することを課題とし、路肩が狭く歩行面等の露出した広い敷設面をとることができなくても、安定したバラスト止めブロックを敷設することができ、小型かつ軽量で施工性が良く、敷設作業が容易であるバラスト止めブロック組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、バラスト止めブロック組立体として、路盤に設置される底板と、底板から一体に立設された支承壁とからなるブロック本体と、路盤に埋設される埋設垂下部を備えた埋設部材と、隣接する埋設部材を連結する連結部材とからなるバラスト止めブロック組立体であって、ブロック本体の底板は、支承壁よりバラスト堆積面部側に上下に貫通する嵌合孔を設け、埋設部材は、長手方向をブロック本体の配列方向とする略直方体形状をなした埋設垂下部の上部に、前記嵌合孔に嵌合する嵌合突部を設け、該嵌合突部の上部には連結部材と連結する結合部を設けており、連結部材は、互いに隣接する埋設部材の結合部に連結することを特徴とする構成を採用する。
【0007】
バラスト止めブロック組立体の具体的実施形態として、嵌合孔は、ブロック本体の配列方向に離間して2箇所に設けられ、それぞれ水平断面が略長方形をなして上方に向かって孔の断面積が小さくなるように形成され、支承壁と反対側の面が垂直面に、他の面がテーパー面に形成されるとともに、嵌合突部は、嵌合孔に対応して、埋設垂下部の長手方向に離間して2箇所に設けられ、それぞれ埋設垂下部の長手方向に平行な面の一方が垂直面に、他の面がテーパー面に形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
また、バラスト止めブロック組立体のさらなる具体的実施形態として、埋設部材の長手方向の端面には、一方に突出する連結雄部を、他方に凹所をなす連結雌部を形成し、隣接する埋設部材の連結雄部と連結雌部を嵌合して配列することを特徴とする構成、支承壁および埋設部材は、配列方向に同じ幅を有し、底板の配列方向の幅は、下端から高さ方向の少なくとも一部で支承壁および埋設部材より短く、互いに隣接するブロック本体の底板の間に、排水用の間隙を形成することを特徴とする構成、配列方向に隣接するブロック本体に対向する底板の両側面に、それぞれの側の支承壁の側面と共通の平面を頂部に形成する積載用突起を設け、該積載用突起は、配列方向から見て互いに接しないように位置をずらして配置されていることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
バラスト止めブロック組立体の別の具体的実施形態として、ブロック本体の支承壁のバラスト堆積側の支承面に取り付けて、堆積バラストの支承高さを前記支承壁より高くする壁面ブロックであって、支承壁の上面に突出して掛止する掛止部と、該掛止部付近から支承面に沿って上方に延びる壁面本体と、前記掛止部付近から支承面に沿って壁面本体の中央を除く両端が下方に延び、それぞれの下端部はバラスト堆積側に突出して延びる脚部とを有する壁面ブロックをさらに備えたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバラスト止めブロック組立体は、ブロック本体と埋設部材と連結部材とから形成されているため、従来のように全体が一体型のバラスト止めブロックよりも個々の部材は小型軽量となり、現場での施工が容易となった。
また、路盤に埋設した埋設部材の嵌合突部をブロック本体の底板の嵌合孔に嵌合させ、連結部材によって、隣接する埋設部材の嵌合突部の結合部を互いに連結しているから、現場施工時には、重いブロック本体を上から降ろして嵌合突部に嵌合して設置するだけでよく、作業性が良好となり、かつ、連結部材により隣接する埋設部材相互を連結することで隣接するブロック本体をも確実に固定することができるから、一連に配列され敷設されたバラスト止めブロック組立体の安定度を高いものにすることができた。
【0011】
ブロック本体の嵌合孔を、配列方向に離間して2箇所に設け、それぞれ水平断面が略長方形をなして上方に向かって孔の断面積が小さくなるように形成し、支承壁と反対側の面を垂直面に、他の面をテーパー面に形成するとともに、埋設部材の嵌合突部を、嵌合孔に対応して、埋設垂下部の長手方向に離間して2箇所に設け、それぞれ埋設垂下部の長手方向に平行な面の一方を垂直面に、他の面をテーパー面に形成した実施形態では、ブロック本体と埋設部材が確実かつ緊密に嵌合し、安定して連結することができるとともに、支承壁と反対側を垂直面としているので、汎用の杭を使用することによってもブロック本体を固定することができ、固定部材として埋設部材と汎用杭とを兼用することができる。
【0012】
また、埋設部材の長手方向の端面に、一方に突出する連結雄部を、他方に凹所をなす連結雌部を形成した実施形態では、隣接する埋設部材相互のずれを防止して、バラスト止めブロック組立体の一連の配列状態を確実に守ることができる。
さらに、隣接する底板間に排水用間隙を形成した実施形態では、支承壁に大きな排水口を設けなくとも、充分に大きな排水スペースを確保することができ、支承壁の強度を高めることができる。
【0013】
配列方向に隣接するブロック本体に対向する底板の両側面に、それぞれの側の支承壁の側面と共通の平面を頂部に形成する積載用突起を設け、該積載用突起が配列方向から見て互いに接しないように位置をずらして配置された実施形態では、運搬や貯留のためにブロック本体を積載するとき、バランスよく荷重を支えることができ、また敷設時には、隣接する積載用突起が接しないようにして施工を容易にすることができるとともに、連続する広い排水路面積を確保してゴミなどの異物が積載用突起に引っかかりにくくすることができる。
ブロック本体に、さらに壁面ブロックを積み重ねた実施形態では、ブロック本体の支承壁よりも高くバラストを支承することができ、支承壁の上面に掛止する掛止部と支承面に沿って延びる脚部によって、壁面ブロックを安定的に支承壁に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例であるバラスト止めブロック組立体を一連に敷設した状態を示す斜視図である。
【図2】図1のバラスト止めブロック組立体のA−A線における矢視方向からみた断面側面図である。
【図3】本発明の第1実施例であるバラスト止めブロック組立体のブロック本体を想像線で示す埋設部材とともに示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明の第1実施例であるバラスト止めブロック組立体のブロック本体の側面図である。
【図5】本発明の第1実施例であるバラスト止めブロック組立体の埋設部材を示す図であり、(a)は上面図、(b)は図(a)のB−B線における断面正面図、(c)は図(a)のC−C線における断面側面図である。
【図6】本発明の第1実施例であるバラスト止めブロック組立体のブロック本体を杭を使って固定した使用態様を、図2と同様の断面で示した断面側面図である。
【図7】本発明の第1実施例であるバラスト止めブロック組立体のブロック本体を積み重ねた状態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図8】本発明の第2実施例であるバラスト止めブロック組立体のブロック本体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図9】本発明の第3実施例であるバラスト止めブロック組立体を、図2と同様の断面で示した断面側面図である。
【図10】本発明の第3実施例であるバラスト止めブロック組立体のブロック本体を示す図であり、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【図11】本発明の第4実施例である壁面ブロックを取り付けたバラスト止めブロック組立体を、図2と同様の断面で示した断面側面図である。
【図12】本発明の第4実施例である壁面ブロックを取り付けたバラスト止めブロック組立体を一連に敷設した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明のバラスト止めブロック組立体について、実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1〜7において、aはブロック本体、bは埋設部材、cは連結部材であり、Xは線路が敷設されるバラスト道床、Yはバラスト止めブロック組立体が敷設される路盤を示す。
図1、2に示すように、バラスト止めブロック組立体は、それぞれ一のブロック本体aに対して一の埋設部材bが対応し、隣接する埋設部材bを連結部材cで連結することにより、埋設部材bに嵌合する隣接するブロック本体aをも一連に連結して敷設される。
【0017】
ブロック本体aは、路盤に設置される底板1と、底板1のバラスト堆積面部2と反対側の端部近傍に一体に立設された支承壁3からなり、底板1は、バラスト道床側に長く延びて広いバラスト堆積面部2を確保している。
本実施例は、支承壁3を底板1のバラスト堆積面部2と反対側の端部近傍に立設しているので、路肩の狭い箇所でも敷設可能である。
底板1のバラスト堆積面部2と反対側の端部には、支承壁3との間に短い延長部9を設けている。短くても延長部9を設けることは、ブロック本体の転倒を防止し安定度を高める上で有効である。
【0018】
支承壁3は、バラスト道床側の支承面4が底板から略垂直に立ち上がっており、支承面4と反対側の露出面5は、支承壁3の厚さが上方に向けてわずかに小さくなるように傾斜している。
支承壁3には、後に詳述する壁面ブロックhを取り付けるための取付孔6が設けられている。取付孔6は、バラスト道床側から反対側に向けて孔が小さくなるようにテーパーが設けられている。
【0019】
図3,4に示すように、底板1には、バラスト堆積面部2側の端部寄りにブロック本体aの配列方向に離間して2つの嵌合孔7R,7Lが設けられている。
嵌合孔7Rは支承面4に向かって右側,7Lは支承面4に向かって左側にあり、それぞれ水平断面が略長方形をなして上方に向かって孔の断面積が小さくなるように形成され、後述する埋設部材bの嵌合突部22に嵌合される(図3では埋設部材bを想像線で示している)。
本実施例では、ブロック本体aの嵌合孔7R,7Lにおける支承壁3と反対側の面を垂直面、支承壁3側の面をテーパー面としている。
また、嵌合孔7R,7Lの配列方向に垂直な2面にも小さなテーパー面を設けて、両者の嵌合がさらに容易かつ密着して良好に行われるようにしている。
【0020】
支承壁3の両側面10,10間の幅D、すなわちブロック本体aの配列方向の支承壁3の長さは、底板1の両側面11,11間の幅D1よりも2Eだけ大きく形成されており、ブロック本体aを一連に配列した際に、隣接するブロック本体aの支承壁3が隙間なく密接して一連の支承壁群を形成するとともに、隣接するブロック本体aの底板側面11の間に幅2Eの間隙を形成し、該間隙は堆積バラストからの排水を行う排水口として機能する。
【0021】
支承壁3の側面10の下端部には面取り12が施され、底板側面11になだらかに移行している。
ブロック本体aの底板側面11には、支承壁3と反対側の端部近くに、支承壁3に向かって右側に積載用突起8R,左側に積載用突起8Lを設けている。
積載用突起8R、8Lは、それぞれの側の支承壁側面10と共通の平面を頂部に形成するとともに、配列方向から見て互いに接しないように位置をずらして配置されている。
【0022】
図5に示すように、埋設部材bは、路盤に埋設される埋設垂下部21と、埋設垂下部21の上部に長手方向に離間して突出する2つの嵌合突部22、22とからなっている。
埋設垂下部21は略直方体形状をなしており、埋設したときにブロック本体の配列方向と一致する長手方向に、支承壁3と同じ長さDを有し、長手方向の端面には、一方に突出する連結雄部25、他方に凹所をなす連結雌部26が形成されている。
【0023】
嵌合突部22,22は、それぞれ嵌合孔7R,7Lの形状に対応して、水平断面が略長方形をなし、上方に向かって断面積が小さくなるように、立ち上がり面にはテーパーが設けられている。
本実施例では、嵌合突部22の立ち上がり面は、嵌合孔7R,7Lの形状に対応して、埋設垂下部の長手方向に平行な面の一方が垂直面となり、他の3方の面がテーパー面となっている。
【0024】
嵌合突部22のそれぞれの上部には、連結部材cを連結するための結合部23が設けられている。
結合部23は、本実施例では連結ボルト31に螺合する雌ねじ部材24がインサートされたものであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
連結部材cは、両端近傍に連結ボルト31が挿通する長孔32を設けた長尺のプレートであり、非腐食性の金属材料、ないしは非腐食性の皮膜または塗幕が施された鋼材などが用いられることが望ましい。
埋設部材bの結合部23と埋設垂下部21の端部との距離を一定に設定しておけば、連結部材cは同じ長さのものを大量に用意すればよく、効率的である。
【0026】
次に、本実施例のバラスト止めブロック組立体を敷設する態様と作用効果について説明する。
まず、バラスト道床Xの端部から路盤Yを整地するように掘削する。
路盤Yに埋設部材bの埋設垂下部21を埋設する溝を掘削し、埋設部材bを、隣接する長手方向端面の連結雄部25と連結雌部26とを嵌合するとともに、端面に隙間が生じないように配設して該溝に埋設する。
【0027】
埋設部材bの埋設垂下部21が埋設された路盤Yに砂等を布設した上で、ブロック本体aの嵌合孔7R、7Lを埋設部材bの嵌合突部22,22に嵌合しつつ、上方からブロック本体を敷設する。
嵌合突部22は、上方に向かって水平面における断面積が小さくなるようにテーパーが設けられているので、嵌合が容易であるとともに嵌合孔7と緊密に嵌合する。
このとき、ブロック本体aの支承壁3の隣接する側面10,10、および埋設部材bの埋設垂下部21の隣接する端部は、それぞれ互いに隙間なく接するように敷設される。
さらに、図1に示すように、底板1の一方の嵌合孔7Lに嵌合した嵌合突部22は、隣接するブロック本体aの嵌合孔7Rに嵌合した隣接する埋設部材bの嵌合突部22と、それぞれの上部に設けられた結合部23で連結部材cにより連結される。
【0028】
このように敷設されるので、ブロック本体aよりも軽量な埋設部材bを隙間なく配列して埋設すれば、後は重いブロック本体aを嵌合突部22に嵌合させながら上方から降ろして設置すればよく、現場での作業性が良好で効率的である。
そして、各ブロック本体aは対応する各埋設部材bによって位置固定されるとともに、各ブロック本体aと各埋設部材bは、隣接するブロック本体aと埋設部材bに相互に接し、連結部材cにより隣接する埋設部材b相互が連結固定されるから、配列方向にしっかりと固定され、一連の敷設方向の安定度を高めてバラストの流出を防ぐことができる。
【0029】
また、底板1の幅D1は支承壁3と埋設部材bの幅Dより2Eだけ小さいので、隣接するブロック本体aの底板1の側面11,11間に、幅2Eの排水用間隙を形成して排水口として機能させることができる。
そのため、従来のように支承壁3に排水用孔を設けなくともよく、排水用孔を設けることによって支承壁3の強度を低下させることがない。
また、本実施例では、この排水口を形成する間隙は底板1の高さ分の長さを有するので、大きな排水口スペースを確保することができ、強度と排水能力をともに確保しつつ設計の自由度を高めることができる。
【0030】
さらに、本実施例では、嵌合突部22が嵌合孔7R,7Lに対応して、嵌合孔7R,7Lにおける支承壁3と反対側の面、すなわち、バラスト堆積側の面を垂直面とし、他の面をテーパー面としているので、ブロック本体と埋設部材が確実かつ緊密に嵌合し、安定して連結することができるとともに、図6に示すように、該垂直面に当接する平面をもった三角杭27のような汎用の角形杭によっても、堆積したバラストの圧力によりブロック本体aが動かないように固定することができる。
【0031】
また、図7に示されるように、本実施例では、ブロック本体aは、バンド50により所定組ずつまとめて積載されるが、支承壁側面10および底板側面11を水平にしてブロック本体aを積み重ねたとき、底板側面11に設けた積載用突起8R、8Lの頂部が、それぞれの側の支承壁側面10と共通の平面を形成しているので、支承壁側面10と積載用突起8R、8Lの頂部とによりバランスよく水平に支持され、積載時に傾くようなことがない。
さらに、この積載用突起8R、8Lは、配列方向から見て互いに位置をずらして配置されているので、ブロック本体aを敷設するときに、隣接する積載用突起8R、8Lが互いに接して施工の邪魔になったり、ブロック本体aの配列を乱したりすることがない。
また、積載用突起8R、8Lは、互いに位置をずらして配置されているので、排水路断面が積載用突起によって画成されず、連続する広い排水路面積を確保して、ゴミなどの異物が積載用突起に引っかかりにくくすることができる。
【0032】
連結部材cは、長孔32に挿通された連結ボルト31により、隣接するブロック本体aの底板1の上下に貫通する嵌合孔7R、7Lに嵌合した嵌合突部22,22の上部に設けられた雌ねじ部材24に連結され、隣接するブロック本体aの底板1の上面を跨いで固定される。
このように、連結部材cは、次々に隙間なく隣接する埋設部材bを連結していくから、一連に敷設された埋設部材a全体を、あたかも一体の長尺な埋設構造物であるかのように強化することができるとともに、ブロック本体aの浮き上がりや移動をも阻止して、一連に敷設されたバラスト止めブロック組立体群を一体のものとして安定度を高めることができる。
【実施例2】
【0033】
次に、ブロック本体aの支承壁3の一方の側面にスライド嵌合凸条を、他方の側面にスライド嵌合凹条を設けた第2実施例について、図面を参照して説明する。
埋設部材b、連結部材cについては、第1実施例と同じなので説明を省略し、ブロック本体aについて、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
【0034】
図8に示すように、本実施例のバラスト止めブロック組立体は、ブロック本体aの支承壁3の側面10、すなわち配列方向で隣接するブロック本体aの支承壁3の対向する面の一方にスライド嵌合凸条13を、他方にスライド嵌合凹条14を、それぞれ鉛直方向に設けている。
スライド嵌合凸条13とスライド嵌合凹条14とは、嵌合した状態でスライド可能な程度に嵌合される略台形状の断面をなしている。
スライド嵌合凸条13は、支承壁3の側面10の下端部から少し上方の位置より立ち上がって、支承壁の上面まで延びている。スライド凹条12は、支承壁3の側面10の下端から上面まで溝状に延びている。
【0035】
本実施例のバラスト止めブロック組立体を敷設する態様と作用効果について説明する。
本実施例のブロック本体aについても、嵌合孔7R、7Lを埋設部材bの嵌合突部22に嵌合しつつ、上方からブロック本体を敷設していくが、この際、本実施例では、すでに配列され敷設されている隣接するブロック本体aの側面10のスライド嵌合凹条14にスライド嵌合凸条13を嵌合させながら、ブロック本体aを上方から下降させ、嵌合孔7R、7Lを埋設部材bの嵌合突部22に嵌合して敷設していく。
本実施例は、このように敷設していくことによって、ブロック本体aの浮き上がりや移動を一層堅固に阻止することができ、一連に敷設されたバラスト止めブロック組立体群をさらに一体のものとして安定度を高めることができる。
【実施例3】
【0036】
次に、ブロック本体の延長部に歩行面を設けて歩行面部とした第3実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号に添字sを付し、相違点を中心に説明する
【0037】
図9,10に示されるように、本実施例では、ブロック本体asの底板1sの支承壁3sよりバラスト堆積面部2sと反対側に歩行面部(延長部)9sを設け、その上部に歩行面を形成している。
歩行面にはブロック組立体の配列方向に直角に溝が切られ、歩行時にすべらないようにするとともに排水を良好にしている。
【0038】
該歩行面により連続した歩行路を形成するため、底板1sの上部は、配列方向に支承壁3sおよび埋設部材bsと同じ幅を有し、下部は支承壁3sより幅が短くなって底板側面11の下部は排水口形成部15を形成している。
排水口形成部15は、隣接するブロック本体asの排水口形成部15と対向して排水口として機能する間隙を形成する。排水口形成部15の高さHは、底板1sの強度を確保できる範囲で適宜決定しうる。
本実施例では、さらに水抜き孔16を支承壁3sに設けているが、必ずしも必要ではない。
【0039】
本実施例は、路肩に余裕がある場合に、ブロック本体asの底板1sに歩行面を形成して、ブロック組立体を敷設して一連に配列したとき、路肩に歩行路を同時に整備することができる。
また、底板1sの配列方向の端面の下部に排水口形成部15を設けたから、底面1sの上部を歩行面とするとともに、隣接する排水口形成部15との間に排水口となる間隙を形成することができる。
【実施例4】
【0040】
次に、ブロック本体aに壁面ブロックhを取り付けたバラスト止めブロック組立体である第4実施例について、図面を参照して説明する。
図面上、第1実施例のブロック本体a、埋設部材b、連結部材cを用いて説明するが、本実施例は、第1〜3実施例におけるブロック本体a,as、埋設部材b,bs、連結部材c,csのいずれを用いても実施可能であり、これら部材についての説明は省略する。
【0041】
図11,12に示すように、本実施例のバラスト止めブロック組立体は、ブロック本体aの上部に壁面ブロックhを取り付けて、堆積バラストの支承高さをさらに高くするものである。
壁面ブロックhは、支承壁3と同じ幅Dを有し、支承壁3の支承面4に沿って取り付けられる。
壁面ブロックhには、高さ方向の中央より下方でバラスト道床Xの反対側に突出し、支承壁3の上面に掛止する掛止部41が設けられている。
該掛止部41より上方には、バラスト道床Xの堆積バラストを支承する壁面本体42が支承面4に沿って延びている。
掛止部41より下方には、中央に設けられた支承壁3への取付のための空間を除いて、両端の2つの脚部43に分かれて支承面4に沿って延びており、脚部43の下端部はバラスト堆積側に突出して延びる鉤部44を形成している。
【0042】
壁面ブロックhの側面には、一方に壁面雄部45、他方に壁面雌部46が形成され、隣接する壁面ブロックhの壁面雌部46には壁面雄部45が、隣接壁面ブロックの壁面雄部45には壁面雌部46が嵌合して、壁面ブロックhは、配列方向に隙間なく連結されて一体となった支承壁面を形成する。
壁面ブロックhは、バラスト堆積側から2つの脚部43に跨るように、取付部材47を支承壁3の取付孔6に取付ボルト48で取り付けることによって、支承壁3に取り付けられる。
【0043】
次に、本実施例のバラスト止めブロック組立体を敷設する態様と作用効果について説明する。
ブロック本体a、埋設部材b、連結部材cを敷設し、組み立てる施工方法については、第1実施例で説明したとおりである。
本実施例では、敷設・組立られたブロック本体aの支承壁3上面に壁面ブロックhの掛止部41を当接し、脚部43が支承面4に接する状態を保持しながら、側面の壁面雄部45を隣接する壁面ブロックhの壁面雌部46に嵌合させる。
その後、前記中央の取付空間に取付部材47を脚部43に跨るようにして設置し、取付ボルト48により取付部材47を支承壁3の取付孔6に結合する。
【0044】
壁面ブロックhの壁面本体42までバラストが堆積すると、壁面本体42には、掛止部41付近を中心として堆積したバラストの圧力によるモーメントが発生するが、脚部43には、堆積したバラストの圧力によるモーメントが働くとともに取付部材47によって支承壁3に結合されているので、壁面ブロックhが転倒することはない。
壁面ブロックhには、脚部43の下端部に鉤部44を設けているから、脚部43の高さが短くても転倒を防止するモーメントを大きくすることができるので、支承壁3の高さに比較して、高いバラスト支承高さを得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のバラスト止めブロック組立体は、鉄道線路用のバラスト道床の端部に一連に敷設し、バラストの流出を防止するバラスト止めブロック組立体として好適であるが、鉄道線路用に限定されず、バラストの流出を防止し堆積したバラストを保持するブロック組立体として広く利用できる。
【符号の説明】
【0046】
a as ブロック本体
b bs 埋設部材
c cs 連結部材
h 壁面ブロック
X バラスト道床
Y 路盤
1 1s 底板
2 2s バラスト堆積面部
3 3s 支承壁
4 4s 支承面
5 5s 露出面
6 6s 取付孔
7R 7Rs 嵌合孔(右側)
7L 7Ls 嵌合孔(左側)
8R 積載用突起(右側)
8L 積載用突起(左側)
9 9s 延長部(歩行面部)
10 支承壁側面
11 底板側面
12 面取り
13 スライド嵌合凸条
14 スライド嵌合凹条
15 排水口形成部
16 水抜き孔
21 埋設垂下部
22 22s 嵌合突部
23 23s 結合部
24 24s 雌ねじ部材
25 連結雄部
26 連結雌部
27 三角杭
31 31s 連結ボルト
32 長孔
41 掛止部
42 壁面本体
43 脚部
44 鉤部
45 壁面雄部
46 壁面雌部
47 取付部材
48 取付ボルト
50 バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路盤に設置される底板と、底板から一体に立設された支承壁とからなるブロック本体と、路盤に埋設される埋設垂下部を備えた埋設部材と、隣接する埋設部材を連結する連結部材とからなるバラスト止めブロック組立体であって、
ブロック本体の底板は、支承壁よりバラスト堆積面部側に上下に貫通する嵌合孔を設け、
埋設部材は、長手方向をブロック本体の配列方向とする略直方体形状をなした埋設垂下部の上部に、前記嵌合孔に嵌合する嵌合突部を設け、該嵌合突部の上部には連結部材と連結する結合部を設けており、
連結部材は、互いに隣接する埋設部材の結合部に連結することを特徴とするバラスト止めブロック組立体。
【請求項2】
嵌合孔は、ブロック本体の配列方向に離間して2箇所に設けられ、それぞれ水平断面が略長方形をなして上方に向かって孔の断面積が小さくなるように形成され、支承壁と反対側の面が垂直面に、他の面がテーパー面に形成されるとともに、嵌合突部は、嵌合孔に対応して、埋設垂下部の長手方向に離間して2箇所に設けられ、それぞれ埋設垂下部の長手方向に平行な面の一方が垂直面に、他の面がテーパー面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のバラスト止めブロック組立体。
【請求項3】
埋設部材の長手方向の端面には、一方に突出する連結雄部を、他方に凹所をなす連結雌部を形成し、隣接する埋設部材の連結雄部と連結雌部を嵌合して配列することを特徴とする請求項1または2に記載のバラスト止めブロック組立体。
【請求項4】
支承壁および埋設部材は、配列方向に同じ幅を有し、底板の配列方向の幅は、下端から高さ方向の少なくとも一部で支承壁および埋設部材より短く、互いに隣接するブロック本体の底板の間に、排水用の間隙を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバラスト止めブロック組立体。
【請求項5】
配列方向に隣接するブロック本体に対向する底板の両側面に、それぞれの側の支承壁の側面と共通の平面を頂部に形成する積載用突起を設け、該積載用突起は、配列方向から見て互いに接しないように位置をずらして配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバラスト止めブロック組立体。
【請求項6】
ブロック本体の支承壁のバラスト堆積側の支承面に取り付けて、堆積バラストの支承高さを前記支承壁より高くする壁面ブロックであって、
支承壁の上面に突出して掛止する掛止部と、該掛止部付近から支承面に沿って上方に延びる壁面本体と、前記掛止部付近から支承面に沿って壁面本体の中央を除く両端が下方に延び、それぞれの下端部はバラスト堆積側に突出して延びる脚部とを有する壁面ブロックをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバラスト止めブロック組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−162972(P2012−162972A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139398(P2011−139398)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(597165928)栄松通商株式会社 (4)
【Fターム(参考)】