説明

バラスト水導入方法およびバラスト水導入装置

【課題】取り入れた海水を処理し清浄なバラスト水を生成可能であるとともに、取水速度を速くすることが可能なバラスト水導入装置を提供する。
【解決手段】タンク10は、海水100の貯蔵に用いられる。タンク10内に配置される複数の浸透膜ユニット50は、フレーム51と、海水100を集水室55まで浸入させる膜体53と、集水室55に接続される吸水管57とを有する。浸透膜ユニット50単体では、膜体53の数は二つである。集水室55は二つの膜体53間に形成される。吸引部60は、浸透膜ユニット50の吸水管57に連通する集水管61を有する。浸透膜ユニット50の吸水管57は、上向きの弧状を形作るサイホン管のように配置される。浸透膜ユニット50の膜体53は大面積となるように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水処理方法および海水処理装置に関し、特にバラスト水導入方法およびバラスト水導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト水を導入する方法としては、直接海水を取り入れる方法、あるいは、海水を簡単にろ過してバラスト水を生成する方法が一般的である。しかしながら、このような方法では、海中の魚介類、微生物、不純物または菌類までも取り入れるため、バラスト水が清浄でなくなるだけでなく、特定の港および海域においては荷物を積載する代わりにバラスト水を船外へ排出できないことが懸念される。
【0003】
設備の比較的新しい船舶では、清浄度の比較的高いフィルタ設備が整っているかも知れない。しかしながら、清浄度の比較的高いフィルタ設備は、価格が高いだけでなく、船舶の重量を増加させ、空間を占有する。また、このようなフィルタ設備は、ろ過速度が比較的遅いため、ろ過工程が延びることが懸念される。
新しい船舶では、設計の際、先進的ろ過設備を配置することが可能である。しかし、古い船舶では、通常、バラスト水をろ過する設備が配置されていない。
【0004】
このように、バラスト水導入方法およびバラスト水導入装置には改善の余地がある。本発明者は研究および開発を積極的に進めた結果、新旧の船舶に適用可能な本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、取り入れた海水を処理して比較的清浄なバラスト水を生成可能であるとともに、取水速度を速くすることが可能なバラスト水導入方法およびバラスト水導入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によるバラスト水導入方法は次のステップを含む。
ステップaでは、浸透膜ユニットを用意する。浸透膜ユニットは水分子を集水室まで透過させる膜体を有する。
ステップbでは、海水を浸透膜ユニットの少なくとも一部分に浸透させる。続いて、浸透膜ユニットの膜体によって海水中の水分子を集水室まで透過させる。
ステップcでは、浸透膜ユニットの集水室内の海水をチャンバーに収集する。
【0007】
ここで、ステップbでは、海水を浸透膜ユニットの少なくとも一部分に浸透させる前、海水にろ過作業を行うことによって海水中の不純物を取り去ることが最も好ましい。
また、ステップcでは、浸透膜ユニットの集水室内の海水をチャンバーに収集する方法として、吸引方法を使用することが好ましい。
本発明は、タンクを配置することが可能であるため、ステップbにおいて海水を浸透膜ユニットの少なくとも一部分に浸透させるステップでは、海水をタンクに取り入れる。
本発明は、取り入れて濾過した海水をタンクから排出し、新しい海水を取り入れるステップをさらに含む。
【0008】

本発明によるバラスト水導入装置は、タンク、浸透膜ユニットおよび吸引部を備える。タンクは海水の貯蔵に用いられる。浸透膜ユニットはタンク内に配置される。浸透膜ユニットは、海水を集水室まで浸入させる膜体、および集水室に接続される吸水管を有する。吸引部は、浸透膜ユニットの吸水管に連通する集水管を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態によるバラスト水導入装置の前面を示す断面図。
【図2】本発明の実施形態によるバラスト水導入装置の側面を示す断面図。
【図3】本発明の実施形態によるバラスト水導入装置の浸透膜を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるバラスト水導入方法およびバラスト水導入装置を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバラスト水導入方法は次のステップを含む(図1から図3参照)。
【0011】
ステップaでは、タンク10および複数の浸透膜ユニット50を用意する。浸透膜ユニット50はタンク10内に縦方向に配列される。浸透膜ユニット50は、フレーム51、二つの膜体53、集水室55および吸水管57を有する。膜体53はフレーム51に配置され、かつ海水100の水分子を透過させる複数の透孔531を有する。集水室55は膜体53間に形成される。吸水管57は集水室55に接続される。
【0012】
ステップbでは、海水100を浸透膜ユニット50の少なくとも一部分に浸透させ、続いて浸透膜ユニット50の膜体53によって海水100の水分子を集水室55まで透過させる。
ステップbにおいて、海水100を浸透させるステップは、海水100をタンク10に導入する方法を採用する。特に海水100にタンク10を直接沈める方法が比較的好ましい。また吸引方法を採用することも可能である。
【0013】
ステップbにおいて、海水100を浸透させる前、海水100にろ過作業を行うことによって海水中の不純物を取り去る。ろ過作業は、海水100がまず粗目フィルタ31を流れ、続いて中目フィルタ32および細目フィルタ33を流れることによって大きさが異なる不純物を段階式で取り去ることである。
【0014】
ステップcでは、浸透膜ユニット50の集水室55内の海水100をチャンバー(図示せず)に収集する。浸透膜ユニット50の集水室55内の海水100を収集する方法は吸引方法である。
【0015】
上述したステップの過程において、同時に取り入れた海水100をタンク10から排出するステップまたは取れ入れた海水100をタンク10から段階式で排出するステップを含むことが可能である。タンク10は排水口19を有する。
【0016】
このように本実施形態では、海水100の不純物を迅速にろ過し、比較的清浄なバラスト水を獲得することができる。
【0017】
(第2実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の第2実施形態によるバラスト水導入装置は、タンク10、複数の浸透膜ユニット50および吸引部60を備える。タンク10は、海水100の貯蔵に用いられ、貯蔵空間12を有する。
複数の浸透膜ユニット50はタンク10内に配置される。浸透膜ユニット50は、フレーム51と、海水100を集水室55まで浸入させる膜体53と、集水室55に接続される吸水管57とを有する。
【0018】
浸透膜ユニット50単体では、膜体53の数は二つである。集水室55は二つの膜体53間に形成される。
浸透膜ユニット50の膜体53はPTFE膜(四フッ化エチレン樹脂)またはePTFE膜(延伸PTFE膜)である。浸透膜ユニット50の透孔531は、平均孔径が0.2μから1.5μの間であることが好ましい。
【0019】
吸引部60は、浸透膜ユニット50の吸水管57に連絡する集水管61を有する。浸透膜ユニット50の吸水管57を配置する際、効果的に吸引するため、吸水管57を上向きの弧状を形作るサイホン管のように配置することが最も好ましい(図2参照)。浸透膜ユニット50の膜体53は大面積となるように設計される。浸透膜ユニット50の吸水管57は、数が多いため、吸引効果を向上することができる。
【0020】
(他の実施形態)
上述した実施形態の説明、実施形態により挙げられた方法、材料および部品の構成などは、適切に取り替え可能である。上述した実施形態は、例えば、下記のように変更してもよい。
【0021】
浸透膜ユニット50のフレーム51は開閉可能なように構成されてもよい。これにより、フレーム51を交換することを必要とせず、二つの膜体53の着脱および取換を容易に行うことができる。
【0022】
また、濾過水の清浄度または取水速度に対する要求に対応するために、浸透膜ユニット50の透孔531の孔径は、0.2μから0.7μの間、0.7μから1.3μの間、または1.3μから1.5μの間に設定されてもよい。
【0023】
さらにまた、浸透膜ユニット50は、単独で取り換えたり、配置しなおしたりすることができるように構成されてもよい。これにより、濾過効果を一定の効率に維持することができる。また、浸透膜ユニット50を交換する際に、浸透膜ユニット50全てを交換する必要がないため、無駄なコストを省くことができる。
また、浸透膜ユニット50の膜体53は、数が一つであり、折り重なるように構成されるか、フレーム51と結合するように構成されるか、丸まるように構成されてもよい。これにより、濾過面積を増大させることができる。
【0024】
本発明によるバラスト水導入方法およびバラスト水導入装置は、取り入れた海水100を比較的清浄に処理し、バラスト水を生成することが可能なだけでなく、取水速度を速くすることが可能である。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0025】
50 ・・・ 浸透膜ユニット
53 ・・・ 膜体
55 ・・・ 集水室
100 ・・・ 海水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分子を集水室まで透過させる膜体を有する浸透膜ユニットを用意するステップaと、
海水を前記浸透膜ユニットの少なくとも一部分に浸透させ、続いて前記浸透膜ユニットの前記膜体によって海水中の水分子を前記集水室まで透過させるステップbと、
前記浸透膜ユニットの前記集水室内の海水をチャンバーに収集するステップcと、
を含むことを特徴とするバラスト水導入方法。
【請求項2】
前記ステップbにおいて、海水を前記浸透膜ユニットの少なくとも一部分に浸透させる前に、海水にろ過作業を行うことによって海水中の不純物を取り去ることを特徴とする請求項1に記載のバラスト水導入方法。
【請求項3】
前記ステップcにおいて、前記浸透膜ユニットの前記集水室内の海水を前記チャンバーに収集する方法は、吸引方法であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバラスト水導入方法。
【請求項4】
前記浸透膜ユニットはタンク内に配置されており、
前記ステップbにおいて、海水を前記浸透膜ユニットの少なくとも一部分に浸透させる際に、海水を前記タンクに取り入れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバラスト水導入方法。
【請求項5】
取り入れた海水を前記タンクから排出するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のバラスト水導入方法。
【請求項6】
海水の貯蔵に用いられるタンクと、
前記タンク内に配置され、海水を集水室まで浸入させる膜体、および前記集水室に接続される吸水管を有する浸透膜ユニットと、
前記浸透膜ユニットの前記吸水管に連通する集水管を有する吸引部と、
を備えることを特徴とするバラスト水導入装置。
【請求項7】
前記浸透膜ユニットの膜体は、PTFE膜、またはePTFE膜であることを特徴とする請求項6に記載のバラスト水導入装置。
【請求項8】
前記浸透膜ユニットの透孔は、孔径が0.2μから1.5μの間であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のバラスト水導入装置。
【請求項9】
前記浸透膜ユニットの前記膜体の数は二つであり、前記集水室は二つの前記膜体間に形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のバラスト水導入装置。
【請求項10】
前記浸透膜ユニットは、さらにフレームを有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のバラスト水導入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−35147(P2012−35147A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174368(P2010−174368)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(510211516)
【出願人】(510211756)宇明泰化工股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】