説明

バランスウエイト用ロールテープの製造方法

【課題】バランスウエイトを着設する際に剥離シートを容易に剥離できる両面粘着テープを巻回したバランスウエイト用ロールテープを効率的に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のバランスウエイト用ロールテープの製造方法は、両面粘着テープR0の基材に切り込みを入れて、第1基材部T1と第2基材部T2とに分離する分離工程と、第1基材部を巻き取る第1巻取工程と、第2基材部と第1基材部が除去された部分が露出している剥離シートとからなる加工両面粘着テープを巻き取った加工ロールテープを得る第2巻取工程とからなる。こうして得られた加工ロールテープを用いることにより、バランスウエイト用ロールテープを効率的に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを装着したホイールなどの回転体へ、バランスウエイトを着設する際に用いられる両面粘着テープを巻回してなるバランスウエイト用ロールテープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や二輪車の車輪のように高速回転する回転体は、振動などの原因となるアンバランスを解消するために、回転体の周縁部(ホイールのリムなど)にバランスウエイトが取付けられる。この際、ホイールの意匠性の確保やその傷付き防止のために、バランスウエイトは、両面粘着テープによってホイールのリムの内周面などに着設されることが多い。
【0003】
このようなバランスウエイトは、重量調整を容易にするために、小分割可能な略帯状をしており、その裏面に両面粘着テープが貼着されると共にその両面粘着テープの一方の粘着面(ホイールのリム内周面等へ貼着される粘着面)には容易に剥がせる剥離シートが被着された状態で供給されることが多い。以降本明細書では、このバランスウエイトとそこに貼着された両面粘着テープ(剥離シートを含む)とを併せてバランスウエイトセットという。
【0004】
ところで、そのバランスウエイトセットから剥離シートを剥がして、所望重量のバランスウエイトをホイールのリム内周面等へ着設する際に、粘着面と剥離シートとが同形(または同幅)であると、その基材から剥離シートを剥がし難く、作業性が悪い。そこで下記の特許文献にもあるように、両面粘着テープの基材から剥離シートを少し飛び出させ、その部分(タブ部)を把持することによって、容易に剥離シートを両面粘着テープの基材から剥離できるようにしたバランスウエイトセットが種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3066945号公報
【特許文献2】特開2001−65639号公報
【特許文献3】特開2004−245289号公報
【特許文献4】特開2004−251324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
もっとも、剥離シートにタブ部を設けた両面粘着テープを巻回してなるバランスウエイト用ロールテープの効率的な製造方法についてはこれまであまり提案されていない。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、そのようなバランスウエイト用ロールテープを効率的に製造できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、テープ基材の粘着面と剥離シートとが同幅でいわゆるタブ部のない従来の両面粘着テープを用いつつ、長手方向(幅方向と垂直方向)へ切り込みを入れて剥離シートを残しつつ、テープ基材の一部を分離除去することを新たに思いついた。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
【0008】
《バランスウエイト用ロールテープの製造方法》
(1)本発明のバランスウエイト用ロールテープの製造方法は、バランスウエイトに貼着され得る第1粘着面と回転体に貼着され得る第2粘着面とが背向したテープ基材と該第2粘着面へ剥離可能に被着した剥離シートとからなる両面粘着テープを巻回したロールテープを回転可能に配設する配設工程と、該ロールテープから引き出した両面粘着テープの第1粘着面側から該テープ基材の延在方向へ、該剥離シートを残存させつつ該テープ基材に切り込みを入れて該テープ基材を第1基材部と第2基材部とに分離する分離工程と、該分離工程後に、該剥離シートから剥離した該第1基材部を巻き取る第1巻取工程と、該分離工程後に、該第1基材部から分離した該第2基材部と該第2基材部に被着していると共に該第1基材部が除去された部分が露出している該剥離シートとからなる加工両面粘着テープを巻き取った加工ロールテープを得る第2巻取工程とを備え、該加工ロールテープからバランスウエイト用ロールテープを得ることを特徴とする。
【0009】
(2)本発明の製造方法によれば、背向両面に粘着面を有するテープ基材が分離工程で第1基材部と第2基材部に分離される。ここで剥離シート自体は分離されないため、第1巻取工程で巻き取られるのは、分離された第1基材部のみである。一方、剥離シートは、ほぼ当初の形状のまま、テープ基材の残部である第2基材部に被着した状態となっている。この剥離シートと第2基材部とからなる加工両面粘着テープが第2巻取工程で一緒に巻き取られる。こうして加工両面粘着テープが巻き取られた加工ロールテープが効率的に得られる。この加工ロールテープがバランスウエイト用ロールテープとなって、バランスウエイトへ両面粘着テープを貼着する作業工程へ供給されることになる。
なお、元の両面粘着テープから第1基材部が除去されて形成された剥離シートの露出した端縁部が、バランスウエイトをホイールリム等へ着設する際に、剥離シートを剥がすためのつまみ(いわゆるタブ部)となる。
また本発明の製造方法によれば市販されている調達容易な従来の両面粘着テープを有効活用できるので、タブ付き両面粘着テープ(加工両面粘着テープ)からなるバランスウエイト用ロールテープを低コストで得ることができる。
【0010】
《その他》
特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限xおよび上限yを含む。また、本明細書に記載した下限および上限は任意に組合わせて「a〜b」のような範囲を構成し得る。また本発明でいう「工程」を「手段」に変更すれば本発明の製造方法は、バランスウエイト用ロールテープの製造装置とも考えることができる。
本発明でいう「回転体」は特に限定されないが、自動車用ホイールや二輪車用ホイール(特にそれらのリム)などが代表的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るバランスウエイト用ロールテープの製造装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る加工両面粘着テープの部分断面を示す斜視図である。
【図3】その加工両面粘着テープの一部を貼着したホイールバランスウエイトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を、上述した本発明の構成へ付加することができる。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
【0013】
《製造方法》
(1)配設工程
配設工程は、加工前の素材となる両面粘着テープを巻回したロールテープを回転可能に配置する工程である。例えば、素材となる両面粘着テープを巻回したロールテープをロールカセットなどに収納して、そのロールカセットを回転可能な状態にして、従来の両面粘着テープを随時引き出すことができるようにする工程である。この両面粘着テープやロールテープのサイズや種類などは問わない。もっとも、この段階で用いる両面粘着テープは、テープ基材とその一方側の粘着面に被着した剥離シートとが同幅であるのが通常である。
【0014】
(2)分離工程
分離工程は、ロールテープから引き出した両面粘着テープの第1粘着面側からテープ基材の延在方向へ、剥離シートを残存させつつテープ基材に切り込みを入れてテープ基材を第1基材部と第2基材部とに分離する工程である。従ってここで分離されるのはテープ基材のみであり、剥離シートは分離されない。
もっとも、テープ基材へ切り込みを入れる刃物(カッター)の刃先は剥離シートへ当接した状態であることが好ましい。テープ基材を第1基材部と第2基材部とに確実に分離して、両者間の分離面(破面)を清浄な状態にするためである。
【0015】
さらに分離工程は、両面粘着テープを移動させつつなされるのが通常である。従って本発明の分離工程は、テープ基材へ切り込みを入れるカッターの刃先の先端を第2粘着面に被着される剥離シートの表面上で摺接させる工程であると好適である。
ここで剥離シートは、通常数十〜数百μm程度の厚さである。このため、テープ基材を完全に分離する一方で、剥離シートを分離しないようにするために、カッターの刃先の位置はマイクロメータなどで高精度に調整されるのがよい。また、そのような微調整を活かすために、両面粘着テープを支持しつつカッターの刃先を受ける受台は、金属製など高剛体であることが望ましい。
【0016】
なお、本発明の分離工程により、剥離シートへ分離しない程度の切り込みが入ってもよい。その切り込みの深さは、剥離シートの厚さ内であれば特に問わない。剥離シートへ多少の切り込みが入っても、バランスウエイトをホイールなどに貼着する際に、テープ基材の第2粘着面から剥離シートを剥がすことができる程度の強度が残存していれば十分である。
【0017】
(3)第1巻取工程
第1巻取工程は、上記の分離工程後に、テープ基材から分離した第1基材部を、剥離シートから剥離させて巻き取る工程である。例えば、ロールカセットなどへ分離工程後の第1基材部を誘導し、そのロールカセットを適当な速度で回転させることにより、第1巻取工程を容易に行える。この第1巻取工程を行うことで、余分な第1基材部は連続的に除去され得る。そして、第1基材部に相当する部分が余分に飛び出した剥離シートと第2基材部とからなる加工両面粘着テープが連続的に得られるようになる。
【0018】
なお、第1巻取工程によりロールカセットに巻き取られた第1基材部は、ロールカセットの幅方向へ切り込みなどを入れることにより、容易に取り除かれ、そのロールカセットを再利用することが可能である。
【0019】
(4)第2巻取工程
第2巻取工程は、分離工程後の第2基材部と剥離シートとからなる加工両面粘着テープを巻き取って加工ロールテープを得る工程である。例えば、ロールカセットなどへ分離工程後の第2基材部を誘導し、そのロールカセットを適当な速度で回転駆動させることにより、第2巻取工程を容易に行うことができる。この第2巻取工程によって、最終的なバランスウエイト用ロールテープとなる加工ロールテープを得ることができる。
なお本発明では、第1巻取工程と第2巻取工程との時間的な前後関係は不問であり、分離工程後に両工程が実質的に同時になされてもよい。
【0020】
(5)本発明の場合、配設工程後になされる分離工程、第1巻取工程および第2巻取工程の具体的な進行方法や進行速度などを問わない。もっとも、工業的に効率よく加工ロールテープを得るために、分離工程と第1巻取工程と第2巻取工程は、両面粘着テープの移動と共に連続的に進行すると好適である。
【0021】
また、素材であるロールテープの回転速度と、そのロールテープから引き出した両面粘着テープから分離した第1基材部を巻取る回転速度および第2基材部を巻取る回転速度は、それぞれ適切に調整されるのが好ましい。それらの回転速度に不均衡が生じると、第1基材部が途中で破断したり、加工ロールテープの巻き取りにたるみを生じたりして、分離工程、第1巻取工程および第2巻取工程を円滑に連続して行うことが困難となる。
【0022】
このような回転速度の調整は、それら回転速度が個別に適切な一定値に保持されるものでもよいが、巻取りの進捗具合に応じて各回転速度が適切に制御されたり、生じた回転速度の不均衡を適時に吸収または解消されるものであると好ましい。なお、回転速度の不均衡の吸収や解消には、ロールテープの回転軸、第1基材部の回転軸または第2基材部(加工ロールテープ)の回転軸などに取り付けたトルクリミッタを作動させて実現することが可能である。
【0023】
また、第1巻取工程が分離工程後の第1基材部を巻き取る第1ローラを回転させる工程であり、第2巻取工程が分離工程後の加工両面粘着テープを巻き取る第2ローラを回転させる工程である場合、第1ローラの回転は第2ローラの回転に連動していると好適である。さらに素材であるロールテープの回転は、その第2ローラの回転に従動していると好適である。
【0024】
《両面粘着テープ(加工両面粘着テープを含む)》
(1)本発明でいう両面粘着テープは、バランスウエイトに貼着され得る第1粘着面と回転体に貼着され得る第2粘着面とが背向したテープ基材と第2粘着面へ剥離可能に被着した剥離シートとからなる。また、加工両面粘着テープは、その両面粘着テープから、分離した第1基材部を取り除いたものである。つまり、加工両面粘着テープは、第1基材部が除去された部分が露出した剥離シートが第2基材部に被着してなる。いずれも、テープ基材または第2基材部の背向した両面に粘着面を有し、その片面(第2粘着面)側に剥離シートが被着している点で共通する。
【0025】
(2)テープ基材の材質、厚み、サイズなどは問わない。例えば、紙や樹脂などからなるシート状でもよい。もっとも、貼着される面の微妙な凹凸を吸収して、バランスウエイトを回転体へ安定的に着設できるようにする発泡樹脂等の柔軟材(クッション材)からなるマット状であると好適である。
【0026】
(3)剥離シートは、テープ基材の粘着面から容易に剥離できるものである限り、紙製、樹脂製など材質は特に限定されない。もっとも、前述したようにカッターの刃先によって多少切り込まれても分離しない程度の厚みや強度を備えると好適である。
【0027】
《バランスウエイト》
バランスウエイト(ウエイト本体)は、材質や形状を問わない。例えば、バランスウエイトの材質は、鉛、鉄、亜鉛それらの合金などいずれでもよい。もっとも、非鉛系金属からなるバランスウエイトは、自然界への環境負荷が少なくて好ましい。具体的には、バランスウエイトが純鉄、鉄合金(鋼やステンレス等)などの鉄系金属からなると好適である。
【0028】
バランスウエイトの形状は、繭状でも平板状でも帯状でも湾曲面状でもよい。もっとも、着設するホイールリムなどの曲面に適合し易いものであるとよい。例えば、適当な間隔で幅方向に溝が形成されて変形し易い帯状をしていたり、着設面側が緩やかに湾曲していたりすると好ましい。適当な間隔で溝が設けてあると、その溝部分で分割切断することでホイールリムへ着設するバランスウエイトの重量を容易に調整できる。なお、溝は、バランスウエイトの片面のみに設けても両面に設けてもよい。
【0029】
なお、バランスウエイトの防錆や美観向上のために、塗装(工程)や各種の表面処理(工程)が施されていると好ましい。このような塗装には、例えば、アクリル系樹脂を用いたアクリル塗装があり、さらにその一種としてアルミ銀粉塗装などのメタリック塗などがある。また表面処理には、クロムメッキ、クロメート処理などがある。
【実施例】
【0030】
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《製造装置》
先ず本発明のバランスウエイト用ロールテープの製造方法に用いるロールテープ製造装置M(以下単に「製造装置M」という。)を図1に示す。
(1)この製造装置Mは、高剛性金属からなる基盤1と、基盤1の下方右側に設けられた供給部M0と、基盤1の中央に設けられた分離部MKと、基盤1の上方左側に設けられた第1巻取部M1と、基盤1の下方左側に設けられた第2巻取部M2とからなる。
【0031】
供給部M0は、素材となる両面粘着テープR0を巻回したロールテープRT0を収納するロールカセットC0と、このロールカセットC0を支持し共に回転するシャフトA0を備えてなる。なお、シャフトA0へのロールカセットC0の脱着はシャフトA0に螺合するロックナット(図略)により容易に行える。
【0032】
分離部MKは、カッター30と、カッター30の突出量を調整するマイクロメータ31と、カッター30の刃先に対向して両面粘着テープR0を受ける受台34と、受台34の前方で両面粘着テープR0をガイドするアイドラー35と、受台34の後方に形成された加工両面粘着テープR2(第2基材部T2と剥離シートS)をガイドするアイドラー36と、カッター30およびマイクロメータ31を収納保持する枠体37(図1では便宜上、一点鎖線で示した。)とからなる。
【0033】
カッター30は、その刃面が基盤1の正面に平行となるように配設されており、その刃先は両面粘着テープR0のテープ基材T0の長手方向かつ供給部M0側へ向いている。また、カッター30の刃先の最先端と受台34との間には、僅かな隙間が形成されている。なお、この隙間間隔は、マイクロメータ31によって後述の剥離シートSの厚みと同等かそれよりも極僅かに小さく設定される。
【0034】
第1巻取部M1は、カッター30により両面粘着テープR0から分離された第1基材部T1を巻回するロールカセットC1と、このロールカセットC1を支持し共に回転するシャフトA1と、第1基材部T1を案内するアイドラー11と、スライダー12とからなる。ここで、シャフトA1へのロールカセットC1の脱着はシャフトA1に螺合するロックナット(図略)により容易に行える。また、スライダー12は、シャフトA1と平行(基盤1のベース面に垂直)な方向に移動して、第1基材部T1がロールカセットC1に均等に巻き取られるように第1基材部T1を案内する。なお、スライダー12は、スライダー・クランク機構13(図1では便宜上、一点鎖線で示した。)により駆動される。
【0035】
第2巻取部M2は、両面粘着テープR0から第1基材部T1が除去され加工両面粘着テープR2を案内するアイドラー21と、この加工両面粘着テープR2を巻回するロールカセットC2と、このロールカセットC2を支持し共に回転するシャフトA2とを備えてなる。なお、シャフトA2へのロールカセットC2の脱着はシャフトA2に螺合するロックナット(図略)により容易に行える。ちなみにロールカセットC0とロールカセットC2とを同型とすることにより、作業性を向上させ得る。
【0036】
(2)ところで、シャフトA0、A1、A2の駆動関係は、シャフトA2が主動であり、シャフトA1はシャフトA2に連動し、シャフトA0はそれらに従動している。すなわち、先ずシャフトA2は、基盤1の背面側に取り付けられた駆動モータ(図示せず)によって駆動される。次にシャフトA1は、そのシャフトA2に懸架されたベルトを介してシャフトA2と連動して回転する。さらにシャフトA0は、ロールカセットC1およびロールカセットC2によって両面粘着テープR0が引き解かれることに連動して回転する。つまりシャフトA0は、シャフトA1、A2に対して従動的に回転することになる。
ところで、上記の駆動モータは回転速度を微調整できるサーボモータであり、これによりシャフトA2およびロールカセットC2の回転が適切に調整される。一方、シャフトA0およびシャフトA1の基盤1の背面側には、図示しないトルクリミッタが取り付けられている。これにより、シャフトA2との間で生じる不適切な回転速度差または両面粘着テープR0(R2)や第1基材部T1に作用する不適切な張力などが適時に吸収または解消されるようになっている。
【0037】
《バランスウエイト用ロールテープの製造方法》
上述した製造装置Mによりバランスウエイト用ロールテープを製造する工程を説明する。
(1)先ず、両面粘着テープR0を巻回したロールテープRT0を素材として用意する。この両面粘着テープR0は、背向する両面に粘着面が設けられたテープ基材T0と、その一方の粘着面に被着したテープ基材T0と同幅の剥離シートSとからなる市販品である。
このロールテープRT0をセットしたロールカセットC0をシャフトA0へ取り付ける。これによりロールテープRT0は、ロールカセットC0およびシャフトA0を介して回転可能になる(配設工程)。
【0038】
次に、そのロールカセットC0から両面粘着テープR0を引き出して、アイドラー35を経て受台34の中央上面まで両面粘着テープR0の先端を導く。このとき、カッター30の刃先の先端が両面粘着テープR0の剥離シートSへ僅かに当接する程度に、マイクロメータ31によってカッター30の刃先の突出量を調整する。
この状態のカッター30に対して、両面粘着テープR0を供給部M0から第1巻取部M1または第2巻取部M2の方向へ引き出すと、そのテープ基材T0は切断されて第1基材部T1と第2基材部T2とに分離される(分離工程)。
【0039】
この分離した第1基材部T1を剥離シートSから剥離して、アイドラー11およびスライダー12へ導き、その先端を予め回転可能にセットしておいたロールカセットC1へ巻き付ける(第1巻取工程)。
他方の分離した第2基材部T2は剥離シートSを被着させたままアイドラー21へ導き、その先端を予め回転可能にセットしておいたロールカセットC2へ巻き付ける(第2巻取工程)。
【0040】
(2)上述の各工程を行った後に、シャフトA2を駆動モータで駆動すると、ロールカセットC2には加工両面粘着テープR2が連続的に巻き取られることになる(第2巻取工程)。ここでシャフトA1はシャフトA2に連動しているため、その加工両面粘着テープR2の巻き取りに連動して、第1基材部T1もロールカセットC1に巻き取られる(第1巻取工程)。さらに、これら加工両面粘着テープR2と第1基材部T1とに牽引されるようにして、ロールカセットC0が従動し、両面粘着テープR0が弛むことなく供給される。
そして素材であるロールテープRT0から両面粘着テープR0が全部送り出されると、ロールカセットC2には加工両面粘着テープR2からなる加工ロールテープRT2が新たに形成されることとなる。
そしてロールカセットC2から加工ロールテープRT2を取出せば、本発明でいうバランスウエイト用ロールテープが得られることとなる。
【0041】
《加工両面粘着テープおよびバランスウエイトセット》
なお参考に、上述した分離工程を経て得られた加工両面粘着テープR2の一部分を拡大した斜視図を図2に示した。図2からわかるように、第1粘着面T2aに背向した第2粘着面T2b側のみに剥離シートSが被着しており、第2基材部T2の端部からはみ出した端縁部がタブ部Stとなる。そして図3に示すように、その加工両面粘着テープR2を平板状または帯状のバランスウエイトWへ貼着すると、バランスウエイトセットHが得られる。
このバランスウエイトセットHの剥離シートSは、そのタブ部Stを把持しつつ引張ることにより、第2基材部T2から容易に剥離される。こうして露出した第2粘着面T2bをホイールリムの内周面などに貼着すれば、バランスウエイトWがホイールリムへ効率的に着設されることとなる。
【符号の説明】
【0042】
S 剥離シート
R0 両面粘着テープ
RT0 ロールテープ
R2 加工両面粘着テープ
RT2 加工ロールテープ
T0 テープ基材
T1 第1基材部
T2 第2基材部
T2a 第1粘着面
T2b 第2粘着面
W バランスウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランスウエイトに貼着され得る第1粘着面と回転体に貼着され得る第2粘着面とが背向したテープ基材と該第2粘着面へ剥離可能に被着した剥離シートとからなる両面粘着テープを巻回したロールテープを回転可能に配設する配設工程と、
該ロールテープから引き出した両面粘着テープの第1粘着面側から該テープ基材の延在方向へ、該剥離シートを残存させつつ該テープ基材に切り込みを入れて該テープ基材を第1基材部と第2基材部とに分離する分離工程と、
該分離工程後に該剥離シートから剥離した該第1基材部を巻き取る第1巻取工程と、
該分離工程後に該第1基材部から分離した該第2基材部と該第2基材部に被着していると共に該第1基材部が除去された該剥離シートとからなる加工両面粘着テープを巻き取った加工ロールテープを得る第2巻取工程とを備え、
該加工ロールテープからなるバランスウエイト用ロールテープを得ることを特徴とするバランスウエイト用ロールテープの製造方法。
【請求項2】
前記分離工程は、前記テープ基材へ切り込みを入れるカッターの刃先の先端を前記第2粘着面に被着される前記剥離シートの表面上で摺接させる工程である請求項1に記載のバランスウエイト用ロールテープの製造方法。
【請求項3】
前記分離工程、前記第1巻取工程および前記第2巻取工程は、前記両面粘着テープの移動に連動して連続的になされる請求項1または2に記載のバランスウエイト用ロールテープの製造方法。
【請求項4】
前記第1巻取工程は、前記分離工程後の第1基材部を巻き取る第1ローラを回転させる工程であり、
前記第2巻取工程は、前記分離工程後の加工両面粘着テープを巻き取る第2ローラを回転させる工程であり、
該第1ローラの回転は、該第2ローラの回転に連動している請求項1または3に記載のバランスウエイト用ロールテープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−21066(P2011−21066A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165151(P2009−165151)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(309022822)東豊工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】