説明

バラ物食品の供給装置

【課題】ホッパーに収容されたバラ物食品を傷めることなく、確実に後工程に供給することが出来る供給装置を提供する。
【解決手段】バラ物食品の供給装置Aは、バラ物食品Bを収容する収容凹部4aを設けた複数のモールドプレート4を連続させて一対のチェン3に取り付けると共に傾斜をつけて配置したコンベア1と、コンベア1をモールドプレート4が傾斜に沿って上昇するように駆動するエアシリンダー7と、バラ物食品Bを収容し且つ底部が開放した傾斜面11を有し該傾斜面11がコンベア1の連続したモールドプレート4によって閉鎖されたホッパー10と、コンベア1の頂部近傍に配置されモールドプレート4に設けた収容凹部4aに収容されたバラ物食品Bを後工程に供給するシュート20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバラ物食品を後工程に定量供給する装置に関し、特に、甘味をつけた茹で小豆或いは解凍直後の小海老やコーン等のバラ物食品を定量供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイスクリームやかき氷等の冷菓に甘味をつけた茹で小豆をトッピングしたり、冷凍グラタンや冷凍ピザの素地にベーコンやチーズをトッピングすることが行われている。このような冷菓や冷凍食品では、アイスクリーム等を充填した容器に一定量の茹で小豆を供給したり、解凍直後の小海老や略一定の大きさに切断されたベーコン,チーズ及びコーン等を供給することが必要である。
【0003】
上記茹で小豆はしみこんだ糖分により粘性を発揮し、何等かの力が作用したとき互いに粘着してブロック状になり、バラ物食品であるにも関わらず分離性が悪化するという問題がある。また解凍直後の小海老等のバラ物食品では、食品自体が低温域に保持されていること及び周囲にある水分が薄氷状態を保持すること等からブリッジ現象を呈して分離性が悪いという問題がある。
【0004】
本件出願人は、上記問題を解決するためのバラ物食品の供給装置を開発して特許権を取得している(特許文献1参照)。この技術は、バラ物食品を収容し一方が傾斜面によって構成されたホッパーと、傾斜面に沿って配置された押上部材と、傾斜面の上端と接続され収容部を形成した収容部材と、収容部材の平面に沿って移動しバラ物食品をホッパーに戻す戻し部材と、収容部を開閉してバラ物食品を後工程に供給する開閉部材とを有して構成されており、ホッパーに収容されたバラ物食品を押上部材によって傾斜面に沿って押し上げて収容部材の収容部に供給し、更に、余剰のバラ物食品を戻し部材によってホッパーに戻し、開閉部材を開放することで収容部に収容されたバラ物食品を後工程に供給するものである。
【0005】
上記特許文献1の技術では、粘性を有する茹で小豆や解凍直後の小海老等のようにブリッジ現象を呈するような分離性が悪いバラ物食品であっても、確実に後工程に供給することができる。
【0006】
【特許文献1】特許第3358165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載したバラ物食品の供給装置は現在稼動しており、分離性の悪いバラ物食品の供給に高い能率を発揮している。しかし、押上部材がバラ物食品を収容したホッパー内で傾斜面に沿って往復昇降移動しているため、この往復移動の際に押上部材とホッパーの傾斜面との間にバラ物食品を挟みこんでしまうことがあり、このとき、バラ物食品を傷める虞がある。
【0008】
本発明の目的はバラ物食品を傷めることなく確実に後工程に供給することが出来る供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るバラ物食品の供給装置は、バラ物食品を収容する収容凹部を設けた複数のモールドプレートを連続させて一対のチェンに取り付けると共に傾斜をつけて配置したコンベアと、前記コンベアをモールドプレートが傾斜に沿って上昇するように駆動する駆動手段と、バラ物食品を収容し且つ底部が開放した傾斜面を有し該傾斜面が前記コンベアの連続したモールドプレートによって閉鎖されたホッパーと、前記コンベアの頂部近傍に配置されモールドプレートに設けた収容凹部に収容されたバラ物食品を後工程に供給するシュートとを有して構成されるものである。
【0010】
上記バラ物食品の供給装置に於いて、ホッパー内で且つモールドプレートの長手方向に沿って、ホッパーに収容されたバラ物食品をモールドプレートに設けた収容凹部に案内する案内部材を設けることが好ましい。
【0011】
また上記何れかのバラ物食品の供給装置に於いて、ホッパー内で且つモールドプレートの長手方向に沿って、モールドプレートに設けた収容凹部に収容され且つ該収容凹部からはみ出したバラ物食品を掻き落とす掻き落し部材を設けることが好ましい。
【0012】
また上記何れかのバラ物食品の供給装置に於いてコンベアの頂部近傍に、シュートと対向したモールドプレートを打撃する打撃部材を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るバラ物食品の供給装置では、ホッパーの底部が開放した傾斜面がコンベアを構成するモールドプレートによって閉鎖されているため、該ホッパーに収容されたバラ物食品は下方が常にモールドプレートと接触していることになる。このため、バラ物食品は、自重でモールドプレートに形成された収容凹部に入り込み、コンベアの駆動に伴って傾斜の頂部方向に移動し、頂部を通過した後、収容凹部が下向きとなり収容されたバラ物食品をシュートに落下させることで、収容凹部の容量に対応した量のバラ物食品を後工程に供給することができる。
【0014】
特に、コンベアがモールドプレートを傾斜に沿って上昇させる方向にのみ駆動するので、ホッパーに収容されたバラ物食品が狭い場所に挟み込まれることがなく、該バラ物食品に傷みが生じることがない。このため、常に形状の安定したバラ物食品を後工程に供給することができる。
【0015】
また、ホッパー内に案内部材を設けた場合には、個々のバラ物食品が自重の作用のみで円滑にモールドプレートに設けた収容凹部に入り込むことが困難であっても、確実に収容することが可能となり、後工程に対するバラ物食品の供給量の安定化をはかることができる。
【0016】
また、ホッパー内に掻き落し部材を設けた場合には、モールドプレートに設けた収容凹部に山盛り状態でバラ物食品が入り込んだような場合でも、該収容凹部からはみ出したバラ物食品を掻き落すことが可能となり、後工程に対するバラ物食品の供給量の安定化をはかることができる。
【0017】
また、コンベアの頂部近傍に打撃部材を設けた場合には、収容凹部に収容されたバラ物食品が粘性を有しており、コンベアの頂部を通過したモールドプレートが下向きになっても自重でシュートに落下するのが困難であっても、モールドプレートに衝撃を与えることで確実に落下させることができる。このため、後工程に対するバラ物食品の供給を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るバラ物食品の供給装置(以下、「供給装置」という)の最も好ましい形態について説明する。本発明の供給装置は、個々に分離しているバラ物食品はもとより、自体の有する粘性によりブロック化して個々の分離が困難なバラ物食品、或いは解凍直後の低温によりブリッジ現象を保持して分離性が劣化したバラ物食品、であっても確実に後工程に供給することを実現したものである。
【0019】
例えば、粘性によるブロック化は粘性を有するバラ物食品に何等かの力が作用したときに生じるものである。従って、このようなバラ物食品を大量にホッパーに供給した場合、底部にあるバラ物食品は上部の重量が作用してブロック化するものの、上部にあるバラ物食品はブロック化することはない。
【0020】
また、ブリッジ現象はバラ物食品自体が低温域にあり且つ周囲の水分が薄氷状態を保持するために生じるものである。従って、ブリッジ現象を呈したバラ物食品であっても、ホッパーに供給する際にこのブリッジ現象を一度破壊することで分離性を向上させることが可能である。
【0021】
従って、ホッパーに供給された大量のバラ物食品がブロック化し、或いは軽度のブリッジ現象を起こした場合であっても、コンベアのモールドプレートに設けた収容凹部がホッパーに収容されたバラ物食品と接触しているため、このモールドプレートをコンベアの傾斜に沿って上昇させる間にバラ物食品が自重で収容凹部に入り込むことが可能となる。
【0022】
本発明では、ホッパーが底部が開放した傾斜面を有しており、この傾斜面がコンベアを構成するモールドプレートによって閉鎖されていることが必須である。このように、ホッパーの開放した底部がモールドプレートによって閉鎖されることで、収容されたバラ物食品がこぼれることがなく、且つモールドプレートがホッパーの下端側から上端側に移送される間に自重で収容凹部に入り込むことが可能である。
【0023】
例えば、ホッパーの下部側でバラ物食品がブロック化し、或いはブリッジ現象を起こした場合でも、ホッパーの上部に収容されているバラ物食品がブロック化或いはブリッジ現象を起こす虞がないため、モールドプレートが上昇してブロック化或いはブリッジ現象を起こしていないバラ物食品に到達したとき、このバラ物食品が自重で収容凹部に入り込むことが可能である。
【0024】
本発明のコンベアは、一対のチェンに複数のモールドプレートを連続させて取り付けている。コンベアの傾斜部位に位置する複数のモールドプレートの間は略接触していることが好ましく、隣設した複数のモールドプレートの表面が略同一面にあるように構成される。即ち、隣設するモールドプレートの間隙は、コンベアが円滑に回転するのに最小限必要な寸法であれば良く、このようなコンベアによってホッパーの開放された底部を閉鎖することが可能である。
【0025】
このため、コンベアの幅方向の寸法(モールドプレートの長さ)はホッパーの幅寸法よりも十分に大きいことが好ましく、長さは一対のチェンを巻き掛けたスプロケットの軸間距離がホッパーの傾斜面よりも十分に大きいことが好ましい。即ち、ホッパーの底部が開放した傾斜面を、連続したモールドプレートによって構成された平面によって確実に閉鎖することが可能である。
【0026】
コンベアを構成するモールドプレートに設ける収容凹部の数や容量は特に限定するものではなく、後工程に供給するバラ物食品の種類や量、或いは系列数等の仕様に対応させて最適な寸法と数を設定することが好ましい。
【0027】
また収容凹部は、モールドプレートの表面から陥没した凹部であることが必要である。即ち、連続したモールドプレートのホッパー側の表面が同一面となることで、該ホッパーの底部が開放した傾斜面を閉鎖することが可能となるため、収容凹部はこの表面からモールドプレートの板厚側に陥没した凹部であることが必要である。
【0028】
このような収容凹部はモールドプレートを厚さ方向に切削して形成することが可能であり、またモールドプレートに穴を形成すると共に裏面にカップ状に形成された部材を取り付けて形成することも可能である。収容凹部はモールドプレートの表面側に突出してはならないが、裏面側に突出しても支障はない。
【0029】
コンベアの傾斜角度は限定するものではなく、収容すべきバラ物食品の大きさや粘性等の条件を考慮して適宜設定することが好ましい。
【0030】
またコンベアを駆動する駆動手段は、コンベアを構成するモールドプレートを上昇する方向に駆動するものであり、この機能を有するものであれば限定するものではない。特に、コンベアの駆動方式は、バラ物食品が供給された後工程の構成に対応することが好ましく、連続駆動であっても間歇駆動であっても良い。コンベアを連続駆動する場合、モーター、変速機、減速機からなる駆動手段を構成することが可能である。またコンベアを間歇駆動する場合、エアシリンダーや油圧シリンダー等の往復直線駆動部材や、ゼネバやクラッチを利用した間歇駆動部材を用いることが可能である。
【0031】
本発明のホッパーは、底部が開放した傾斜面を有しており、この傾斜面がコンベアのモールドプレートによって構成される平面によって閉鎖されることで、上方から投入されたバラ物食品を収容し得る容器としての機能を発揮している。
【0032】
シュートは、モールドプレートがコンベアの頂部を通過して下降段階に入り、収容凹部が下向きの姿勢をとったときに、該収容凹部から落下するバラ物食品を後工程に供給する機能を有するものである。シュートは前記機能を発揮し得る構造であれば良く、形状や寸法を限定するものではない。即ち、シュートの形状や構造は、後工程の構造に対応して最適な形状に設定されることが好ましい。
【実施例1】
【0033】
次に、本実施例に係る供給装置の構成について図を用いて説明する。図1は本実施例に係る供給装置の構成を説明する三面図である。図2はコンベアと駆動部材の構成を説明する図である。図3はモールドプレートに設けた収容凹部からはみ出したバラ物食品を掻き落す状態を説明する図である。図4は打撃部材によってモールドプレートを打撃する手順を説明する図である。
【0034】
図1〜図4に示す供給装置Aは、粘性を有する茹で小豆や解凍直後の小海老等の難分離性を有するバラ物食品、及び容易に分離し得るバラ物食品を確実に後工程に供給し得るように構成されている。この供給装置Aは一つのユニットとして構成され、このユニットの状態で例えばアイスクリームの充填装置や冷凍食品の製造装置に取り付けることが可能である。尚、本実施例ではバラ物食品B(図3参照)として茹で小豆を供給する場合について説明する。
【0035】
図に於いて、コンベア1は、回転可能に設けたスプロケット2に巻き掛けられた一対のチェン3に複数のモールドプレート4を連続させて取り付けており、予め設定された角度(特に限定しないが、本実施例では約45度)で傾斜した状態でフレーム5に取り付けられて構成されている。またフレーム5に設けたブラケット6には、コンベア1の駆動部材となるエアシリンダー7が設けられている。
【0036】
モールドプレート4の幅寸法はチェン3のピッチに対応(チェン3のピッチの整数倍)しており、スプロケット2間の直線部分では、隣設するモールドプレート4どうしが略接触して隙間が形成されることがないようになっている。またスプロケット2の間には、モールドプレート4の裏面を支持する支持部材8が設けられており、モールドプレート4が支持部材8に支持されることで、スプロケット2の間で複数のモールドプレート4が1枚の板状に移送される。
【0037】
モールドプレート4には、バラ物食品Bを収容する収容凹部4aが設けられている。この収容凹部4aは表面4bから陥没して形成されており、予め設定された容量を持った有底の逆円錐台状の形状を有している。従って、コンベア1のスプロケット2間に於ける複数のモールドプレート4の表面4bは同一面内に存在することになる。特に、モールドプレート4は裏面が支持部材8によって支持されるため、ホッパー10に収容されたバラ物食品Bの荷重が作用しても撓むことがなく、確実に表面4bを同一面内に保持することが可能である。
【0038】
尚、モールドプレート4に設ける収容凹部4aの数は限定するものではなく、本実施例の供給装置Aでは5個の収容凹部4aが予め設定された間隔を持って設けられている。
【0039】
モールドプレート4の一方側の端面には係合突起4cが形成されている。この係合突起4cは、エアシリンダー7のロッド7aに取り付けたフック7bと係合し、ロッド7aの縮小に伴う駆動力が付与されるように構成されている。
【0040】
即ち、コンベア1は、エアシリンダー7のロッド7aを伸長させたとき、フック7bは係合突起4cと係合することがない。このため、モールドプレート4は移送されることなく停止した状態を保持している。そして、エアシリンダー7のロッド7aが伸長限に達して縮小される際に、フック7bがモールドプレート4の係合突起4cと係合して該モールドプレート4を傾斜に沿って上昇させる方向に移送する。
【0041】
従って、コンベア1はエアシリンダー7の作動に応じて間歇駆動され、モールドプレート4はエアシリンダー7のストロークに対応した距離移送される。エアシリンダー7の1ストロークに応じたモールドプレート4の移送距離は特に限定するものではないが、モールドプレート4の幅寸法と等しい距離であることが好ましい。即ち、エアシリンダー7の1ストローク毎に、モールドプレート4が1枚分移送されることが好ましい。
【0042】
ホッパー10は側面視が逆三角形状に形成されており、コンベア1の移送方向に沿って両側に夫々配置された側面片10aと、コンベア1の移送方向上流側に配置された斜片10bと、からなる平面視が略コ字状の枠体として構成されている。そして、コンベア1の移送方向下流側は底部が開放した傾斜面11として構成され、上面は開放されたバラ物食品Bの投入口12として構成されている。
【0043】
このホッパー10は、傾斜面11がコンベア1のスプロケット2間に於ける平面状になったモールドプレート4の表面4bと対向すると共に、略接触するように極めて接近して配置され、この状態でフレーム5に固定されている。従って、ホッパー10の投入面12側から見たとき、図1の平面図に示すように、傾斜面11と対向するコンベア1のモールドプレート4が露出していることとなる。そして、傾斜面11がモールドプレート4の表面4bと極めて接近しているため、ホッパー10は側面片10aと斜片10b、及びモールドプレート4からなり、上方のみに投入口12が開放した閉鎖空間として構成される。このため、投入されたバラ物食品Bがホッパー10の外部にこぼれることがない。
【0044】
ホッパー10に案内部材15が設けられている。この案内部材15は、ホッパー10に収容されたバラ物食品Bをモールドプレート4に設けた収容凹部4aに確実に収容させるように案内するものであり、この機能を有するものであれば構造を問うものではなく、例えば、モールドプレート4の移送方向に沿って一対の羽根を配置し、この羽根をコンベア1の傾斜方向の下側を幅広にかつ上側を収容凹部4aの縁に沿うような勾配をつけて設けたものであって良い。
【0045】
本実施例では、図1に示すように、ホッパー10の側面片10aを横断する方向(モールドプレート4の長手方向)にエアシリンダー15aによって駆動される軸15bが往復移動可能に支持されており、軸15bに複数の案内板15cが取り付けられている。そして、エアシリンダー15aを駆動して軸15bを往復移動させるのに伴って、案内板15cによってホッパー10に収容されたバラ物食品Bをモールドプレート4の長手方向(コンベア1によるモールドプレート4の移送方向に対し交叉する方向)に移動させることで、バラ物食品Bを収容凹部4aに移動させるように構成されている。
【0046】
このため、モールドプレート4に設けた収容凹部4a毎に一対の案内板15cを対応させて配置し、且つ一対の案内板15cの間隔を収容凹部4aの寸法とエアシリンダー15aのストローク寸法を加えた寸法と略等しくしている。そして、エアシリンダー15aがストローク限に到達したとき、何れか一方の案内板15cが収容凹部4aの縁の近傍に位置するように設定している。
【0047】
上記の如く構成された案内部材15では、コンベア1が駆動され、モールドプレート4が傾斜に沿って上昇する過程でエアシリンダー15aを駆動することで、ホッパー10に収容されたバラ物食品Bをモールドプレート4の移送方向に対し交叉する方向に移動させることが可能となり、この移動によってバラ物食品Bを収容凹部4aに確実に収容することが可能となる。
【0048】
このような案内部材15は、バラ物食品Bを収容するホッパー10では有利である。即ち、収容凹部4aは複数のモールドプレート4に於ける同じ位置に設けられるため、コンベア1を連続運転したとき、ホッパー10に収容されたバラ物食品Bは同じ位置にあるものが収容凹部4aに収容されて搬送され、ホッパー10内の収容状態にばらつきが生じる。しかし、案内部材15によってバラ物食品Bを収容凹部4aに送り込むと同時に、ホッパー10内のバラ物食品Bを均すことも可能となり、確実で安定した収容を実現することが可能となる。
【0049】
また解凍した小海老のようにバラ物食品Bとは言いながら比較的大きいものである場合、モールドプレート4に設けた収容凹部4aとの位置関係で自重による収容が困難なことがあるが、このような場合にも、案内部材15を駆動することによって小海老をモールドプレート4の移送方向に対し交叉する方向に移動させることで、収容凹部4aに対する位置をずらすことで、確実な収容を実現することが可能である。
【0050】
尚、案内部材15を構成するエアシリンダー15aの駆動タイミングはコンベア1の駆動と同期させる必要はなく、コンベア1のモールドプレート4が停止しているときに駆動しても良いことは当然である。
【0051】
ホッパー10に掻き落し部材17が設けられている。この掻き落し部材17は、モールドプレート4に設けた収容凹部4aに収容されたバラ物食品Bであって、該収容凹部4aの上部に山盛り状に盛り上がった部分を掻き落して収容量(後工程への供給量)を略一定にするためのものであり、この機能を有するものであれば構造を限定するものではない。例えば、モールドプレート4に設けた収容凹部4aに対向させてナイフ状の板を設けておき、モールドプレート4が該板の下方を通過する際に掻き落すように構成することが可能である。
【0052】
本実施例では、図1及び図3に示すように、ホッパー10の側面片10aを横断する方向にモーター18によって駆動される軸17aが回転可能に支持されており、この軸17aに複数の羽根17b(本実施例では3枚)が固定されている。そして、コンベア1を駆動すると共にモーター18を駆動することで、ホッパー10に収容されたバラ物食品Bをモールドプレート4の収容凹部4aに収容して搬送し、この収容凹部4aが羽根17bに対向したとき、回転する羽根17bによって収容凹部4aに盛り上がった余剰分のバラ物食品Bを掻き落すことが可能である。
【0053】
特に、羽根17bが図3に示す矢印a方向に回転することで、余剰のバラ物食品Bをホッパー10の斜片10b方向に向けて掻き落すこととなり、バラ物食品Bがホッパー10の外部に飛散することがない。
【0054】
羽根17bは、モールドプレート4に設けた収容凹部4aに対向して該収容凹部4aに対し余剰のバラ物食品Bを掻き落すのに十分な長さ、例えば収容凹部4aの寸法よりも大きめな長さであれば良いが、本実施例ではホッパー10の側面片10aの内面間の距離よりも僅かに小さい長さを持って構成されている。このような長さの羽根17bを利用することで、モールドプレート4の表面4b全域に載置されているバラ物食品Bを同時に掻き落すことが可能となり、ホッパー10から無駄にバラ物食品Bが排出されるのを防止することが可能となる。
【0055】
モーター18は、上記した掻き落し部材17と、後述する打撃部材25の偏心軸29を駆動するものであり、変速機能及び減速機能を持った回転駆動装置として構成されている。
【0056】
コンベア1の頂部から下方にシュート20が配置されている。このシュート20は、コンベア1を構成するモールドプレート4の収容凹部4aに収容されたバラ物食品Bを後工程に確実に受け渡す機能を有するものであり、この機能を発揮し得るものであれば構造を問うものではない。
【0057】
本実施例では、シュート20は、図1に示すように、コンベア1の頂上の直下に、該コンベア1の傾斜方向とは反対方向に傾斜して配置された樋状の部材によって構成されている。このシュート20は、モールドプレート4に設けた収容凹部4a毎に対応して設けられており、上端部20aがコンベア1のリターン側に於けるモールドプレート4の略2ピッチ分に相当する程度まで入り込んだ位置に配置され、下端部20bはフレーム5に取り付けた後工程への供給部材21の上方に位置して配置されている。
【0058】
従って、収容凹部4aにバラ物食品Bを収容したモールドプレート4がコンベア1の頂部に対応するスプロケット2の周囲を回転して図1、図3に符号22で示す位置にあるモールドプレート4のように略垂直姿勢となったとき、収容凹部4aに収容されたバラ物食品Bが自重で落下し、落下したバラ物食品Bを下方に位置しているシュート20によって受け取り、更に、供給部材21を介して後工程、図示しない例えばアイスクリームやパイ生地を供給するコンベアに供給することが可能である。特に、後工程を構成するコンベアと、コンベア1を同期して間歇運転或いは連続運転することで、バラ物食品Bを確実に後工程に供給することが可能である。
【0059】
上記したように、コンベア1に於けるモールドプレート4が符号22で示す位置まで回転したとき、該モールドプレート4に設けた収容凹部4aに収容されたバラ物食品Bが自重でシュート20に落下すれば、後工程に対する供給については何の問題も生じない。
【0060】
しかし、バラ物食品Bの有する粘性や再固着性によっては円滑な落下を期待し得ない場合も生じる。このため、符号22で示す位置のモールドプレート4を打撃する打撃部材25が設けられている。この打撃部材25は、コンベア1の運転により収容凹部4aにバラ物食品Bを収容した状態で符号22で示す位置まで移送されたモールドプレート4を打撃することで衝撃を与え、この衝撃によって収容されたバラ物食品Bを円滑で且つ確実に落下させるものである。このため、打撃部材25としてはこの機能を発揮し得るものであれば構造を問うものではない。
【0061】
本実施例では、図1及び図4に示すように、打撃部材25は、フレーム5に設けた支点26aを中心として天秤状に形成され一方側の端部にハンマー26bが取り付けられ他方側の端部26cがばね27とカム28に挟まれたハンマー部材26と、ハンマー部材26の端部26cをカム28側に付勢するばね27と、エアシリンダー28dによって駆動されて往復回動してハンマー部材26の端部26cの位置を規制することでハンマー26bによる打撃を制御するカム28と、モーター8によって回転駆動されハンマー部材26の支点26aとハンマー26bの間の部分26dを付勢する偏心軸29と、を有して構成されている。
【0062】
カム28は円弧からなる円弧カム面28aと、弦からなる弦カム28bとを有しており、エアシリンダー28dに駆動されてハンマー部材26の端部26cに対し、円弧カム面28a、或いは弦カム面28bを選択的に対向させる。そして、端部26cに対し、円弧カム面28aを対向させたときにはハンマー26bによる符号22に位置するモールドプレート4に対する打撃を行うことなく、弦カム面28bを対向させたときにハンマー26bによる符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対する打撃を実行する。
【0063】
ハンマー26aによる符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対する打撃の実行について図4により説明する。
【0064】
図4(a)は、ハンマー部材26の端部26cがカム28の円弧カム面28aと接触した状態でばね27によって円弧カム面28a側に付勢されており、偏心軸29はハンマー部材26とは接触していない状態を示している。この状態では、ハンマー26bは端部26cが円弧カム面28aとばね27によって挟まれた姿勢を維持している(初期位置)。
【0065】
次に、同図(b)に示すように、偏心軸の回転が進行してハンマー部材26の部分26dと接触して付勢する。この付勢に伴って端部26cがばね27の付勢に抗して円弧カム面28aから離隔し、ハンマー26aは初期位置から符号22で示す位置にあるモールドプレート4から離隔する方向に移動する。
【0066】
次に、同図(c)に示すように、ハンマー部材26の端部26cが離隔した状態で、エアシリンダー28dに駆動されたカム28が回動し、弦カム面28bが端部26cに対向する。そして、ばね27に付勢されたハンマー部材26は、偏心軸29の更なる回転に伴ってハンマー26bが符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対し打撃する。
【0067】
上記の如くしてハンマー26bによって打撃された符号22で示す位置にあるモールドプレート4は、この衝撃によって収容凹部4aに収容されているバラ物食品Bをシュート20に落下させる。特に、モールドプレート4のチェン3のアタッチメントに対する取付構造によっては、打撃を受けることによってモールドプレート4がアタッチメントを中心として回動し、より効果的にバラ物食品Bを落下させることも可能である。
【0068】
次に、同図(d)に示すように、偏心軸29の更なる回転によってハンマー部材26の部分26dが押し戻され、ハンマー26bが符号22で示す位置にあるモールドプレート4から離隔する。
【0069】
上記した一連の打撃工程に於いて、同図(a)、(b)に示すように、ハンマー部材26の端部26cに対しカム28の円弧カム面28aが対向した状態にある場合、偏心軸29の回転に伴ってハンマー部材26は支点26aを中心として回動するものの、端部26cの回動範囲が円弧カム面28aによって規制されることとなり、ばね27による付勢に関わらず、ハンマー26bによる符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対する打撃は実行されない。
【0070】
また同図(c)、(d)に示すように、ハンマー部材26の端部26cに対し弦カム面28bが対向した状態にある場合、偏心軸29の回転に伴ってハンマー部材26は支点26aを中心として回動し、端部26cはばね27によりハンマー26bを打撃方向に付勢する。そして端部26cの回動範囲はハンマー26aによる打撃可能範囲となり、偏心軸29の回転に伴って、ハンマー26bによる符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対する打撃を実行する。
【0071】
従って、コンベア1の駆動と同期させてエアシリンダー28dを駆動することによって、順に符号22で示す位置に移送されたモールドプレート4に対し確実に打撃を実行することが可能となる。特に、コンベア1がエアシリンダー7によって間歇駆動されるため、このエアシリンダー7の駆動と、エアシリンダー28dの駆動の同期をはかることは比較的容易であり、停止した状態で符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対する打撃を容易に且つ確実に実行することが可能となる。
【0072】
上記の如く構成された供給装置Aでは、該供給装置Aを駆動すると、ホッパー10に収容されていたバラ物食品Bの最低部分をコンベア1を構成する複数のモールドプレート4が連続して上昇する方向に移送される。このとき、ホッパー10に収容されたバラ物食品Bは自重で収容凹部4aに落下して収容され、上昇するモールドプレート4によって搬出される。
【0073】
コンベア1の駆動に伴って、案内部材15の案内板15cがモールドプレート4の移送方向に対し交叉する方向に移動してバラ物食品Bを収容凹部4a方向に移動させることで、各収容凹部4aに対し確実にバラ物食品Bを供給して収容することが可能となる。
【0074】
更に、モールドプレート4に設けた収容凹部4aから盛り上がったバラ物食品B、及びモールドプレート4の表面4bに付着したバラ物食品Bは、ホッパー10から上昇する過程で掻き落し部材17の羽根17bによってホッパー10の内部方向に掻き落され、各収容凹部4aには該収容凹部4aの容量と略等しい量のバラ物食品Bが収容された状態でコンベア1の頂部に移送される。
【0075】
コンベア1の頂部に到達したモールドプレート4は、コンベア1の更なる回転に伴って符号22で示す位置まで移送される。このとき、収容凹部4aに収容されたバラ物食品Bは自重でシュート20に落下する。しかし、バラ物食品Bが落下し難い物性を有する場合、符号22で示す位置にあるモールドプレート4に対し打撃部材25のハンマー26bによって打撃することで、確実な落下を実現することが可能である。
【0076】
モールドプレート4に設けた収容凹部4aから落下したバラ物食品Bは、下方のシュート20に受け取られて供給部材21に供給され、図示しない後工程に供給される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の供給装置Aは、粘性を有することでブロック化し易いバラ物食品や、解凍直後のブリッジ化し易いバラ物食品のみならず、液体を含むことのないバラ物食品を確実に、且つホッパー10に収容されているバラ物食品Bに対し傷めることなく、後工程に供給することが可能である。従って、定量のバラ物食品を後工程に供給する供給装置として利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施例に係る供給装置の構成を説明する三面図である。
【図2】コンベアと駆動部材の構成を説明する図である。
【図3】モールドプレートに設けた収容凹部からはみ出したバラ物食品を掻き落す状態を説明する図である。
【図4】打撃部材によってモールドプレートを打撃する手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0079】
A 供給装置
B バラ物食品
1 コンベア
2 スプロケット
3 チェン
4 モールドプレート
4a 収容凹部
4b 表面
4c 係合突起
5 フレーム
6 ブラケット
7 エアシリンダー
7a ロッド
7b フック
8 支持部材
10 ホッパー
10a 側面片
10b 斜片
11 傾斜面
12 投入口
15 案内部材
15a エアシリンダー
15b 軸
15c 案内板
17 掻き落し部材
17a 軸
17b 羽根
18 モーター
20 シュート
20a 上端部
20b 下端部
21 供給部材
22 モールドプレートが略垂直になる位置
25 打撃部材
26 ハンマー部材
26a 支点
26b ハンマー
26c 端部
26d 偏心軸との接触部分
27 ばね
28 カム
28a 円弧カム面
28b 弦カム面
28d エアシリンダー
29 偏心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ物食品を収容する収容凹部を設けた複数のモールドプレートを連続させて一対のチェンに取り付けると共に傾斜をつけて配置したコンベアと、前記コンベアをモールドプレートが傾斜に沿って上昇するように駆動する駆動手段と、バラ物食品を収容し且つ底部が開放した傾斜面を有し該傾斜面が前記コンベアの連続したモールドプレートによって閉鎖されたホッパーと、前記コンベアの頂部近傍に配置されモールドプレートに設けた収容凹部に収容されたバラ物食品を後工程に供給するシュートと、を有することを特徴とするバラ物食品の供給装置。
【請求項2】
前記ホッパー内で且つモールドプレートの長手方向に沿って、ホッパーに収容されたバラ物食品をモールドプレートに設けた収容凹部に案内する案内部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載したバラ物食品の供給装置。
【請求項3】
前記ホッパー内で且つモールドプレートの長手方向に沿って、モールドプレートに設けた収容凹部に収容され且つ該収容凹部からはみ出したバラ物食品を掻き落とす掻き落し部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載したバラ物食品の供給装置。
【請求項4】
前記コンベアの頂部近傍に、シュートと対向したモールドプレートを打撃する打撃部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載したバラ物食品の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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