説明

バリン含有高密度顆粒剤

【課題】 肝再生治療剤及び肝疾患治療剤等の医薬品として有用な、バリンのみを主薬として含有する経口製剤を製造するための、1回服用量の低容量化を可能とする、バリン含有顆粒を提供すること。
【解決手段】 平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られる顆粒、または、バリン、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物、及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られる顆粒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有効成分としてバリンを含有する顆粒に関する。より詳細には、本発明は肝再生作用、肝機能改善作用、脂質代謝改善作用等を有するバリンを主薬として含有する顆粒に関し、特に患者にとって服用しやすい、バリン含有経口顆粒剤に関する。また本発明は、バリンを主薬として含有する顆粒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種からなる分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する医薬用顆粒製剤が肝機能改善に有効であることは知られている。これらの分岐鎖アミノ酸は苦味や特有のアミノ酸臭があり、また1回の服用量が多いことから、製剤化にあたっては、これら苦味や臭いの低減や1回服用量の低容量化が課題となっており、これまで様々な工夫がとられてきた。
【0003】
例えば、特許第3259731号公報(特許文献1)には、粒度が20〜700μmであるイソロイシン粒子及びロイシン粒子と粒度が1mm以下のバリン粒子からなる3種の分岐鎖アミノ酸粒子のみを主薬とし、配合割合が重量比でイソロイシン1/ロイシン1.9〜2.2/バリン1.1〜1.3であり、かつ酸味剤としてクエン酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸を含有することを特徴とする医薬用顆粒製剤が記載されており、分岐鎖アミノ酸特有の苦みや風味の悪さを改善して服用にあたって不快感の少ない医薬用顆粒製剤を提供できることが開示されている。
【0004】
また、特許第3233155号公報(特許文献2)には、配合割合が重量比でイソロイシン1/ロイシン1.9〜2.2/バリン1.1〜1.3であり、粒度が0.5mm以下の粒子が80%以上であり、粒度が0.18mm未満の粒子が20%未満である造粒粒子からなる、イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸のみを主薬とする医薬用顆粒製剤が記載されており、造粒粒子の粒度分布を調整することにより、該アミノ酸成分に固有の苦みが低減され、異物感が弱く服用し易くなるという効果が得られ、該粒度分布を有する顆粒製剤は包装のし易いものとなることが開示されている。
【0005】
さらに、特許第3368898号公報(特許文献3)には、粒度が10〜1000μmであるイソロイシン、ロイシン及びバリンの3種の分岐鎖アミノ酸の粒子混合物に酸を添加して造粒することを特徴とするイソロイシン、ロイシン及びバリンの3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分とする顆粒の製造方法が記載されており、これにより一服用当たりの服用量を少量とすることができ、服用性の改善に大きな効果をもたらすことができる旨、開示されている。また同公報には、「顆粒剤の場合、一般的には、含量均一性確保、溶解性向上等の要求を満たすために有効成分を50μm以下に粉砕して使用されることが多いが、そのようにして製造された顆粒は、造粒方法の種類や造粒条件等により若干の差違はあるものの、通常、その比容積が2.0mL/gあるいはそれ以上となってしまう。前記3種の分岐鎖アミノ酸粒子の場合は、該分岐鎖アミノ酸の1回服用量が4〜5g程度であることから、50μm以下に粉砕して顆粒製剤を製造すると、その容積は8〜10mL程度となり、口中で嵩張って極めて呑み込みにくいものとなる」と記載されており、この解決方法として、酸を添加することによって嵩密度を高くすることができるとしている。特に100〜800μm、好ましくは150〜500μmであるイソロイシン、ロイシン及びバリンの3種の分岐鎖アミノ酸の粒子混合物を原料として用いることにより、さらに効果を高められることを開示している。
【0006】
一方、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種からなる分岐鎖アミノ酸の混合製剤ではなく、バリンが単独で、肝再生治療剤(特許文献4)、肝疾患治療または肝機能改善用組成物(特許文献5)、脂質代謝改善用組成物(特許文献6)、肝性脳症を治療又は改善するための経口用医薬組成物(特許文献7)として有用であることが知られている。しかしながら、これらの特許文献には、バリンの粒度や添加剤の使用により、1回服用量低減が図れることは何ら記載されていない。
【特許文献1】特許第3259731号公報
【特許文献2】特許第3233155号公報
【特許文献3】特許第3368898号公報
【特許文献4】特許第3696297号公報
【特許文献5】国際公開第99/016433号パンフレット
【特許文献6】国際公開第02/030418号パンフレット
【特許文献7】特開2004−99610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バリンのみを主薬とする製剤を肝再生治療剤、肝疾患治療剤等の医薬品として使用する場合、1回あたりの服用量が2〜4g(6〜12g/日)と多いことから、その服用性の悪さが懸念されており、またバリン自体が有する苦味や臭いを低減する工夫も必要となり、これらの点が改善されたバリン含有の経口製剤の工夫が求められていた。しかしながら、バリンのみを主薬とする製剤では、酸を用い、上記特許第3368898号公報に3種の分岐鎖アミノ酸の粒子混合物として好ましいと記載されている粒度で、バリンのみを用いて製剤を調製しても期待できる効果は得られなかった。
【0008】
本発明の目的は、1回服用量の低容量化を可能とする、バリンのみを主薬として含有するバリン含有経口製剤を提供することである。より詳細には、本発明の目的は、肝再生治療剤、肝疾患治療剤等の医薬品として有用なバリンのみを主薬とする経口製剤を製造するためのバリン含有顆粒を提供することにある。特に、1回服用量の低容量化を可能とする、バリンを含有する高密度の顆粒、及びそのような顆粒の製造方法を提供することである。またバリン自体が有する苦味や臭いを低減させたバリン含有高密度顆粒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、バリンのみを主薬とするバリン含有経口製剤を開発するにあたり鋭意研究を重ねた結果、平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を湿式造粒することによって、またはバリン、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物、及び結合剤を湿式造粒することにより得られる高密度顆粒がこれらの課題を解決することを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明により、
(1)バリンを主薬として含有する顆粒であって、平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られ、バリンの含有量が顆粒の83重量%以上であり、酸性添加剤の含有量が顆粒の0.1〜1.0重量%である前記顆粒、
(2)バリンの平均粒度が50〜70μmである、前記(1)に記載の顆粒、
(3)酸性添加剤が酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸及び乳酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である、前記(1)に記載の顆粒、
(4)バリンを主薬として含有する顆粒であって、バリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られ、バリンの含有量が顆粒の83重量%以上であり、酸性添加剤の含有量が顆粒の0.1〜1.0重量%であり、前記酸性添加剤がコハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物である、前記顆粒、
(5)バリンの含有量が顆粒の96重量%以上である、前記(1)または(4)に記載の顆粒、
(6)バリンがL−バリンである、前記(1)または(4)に記載の顆粒、
(7)嵩密度が0.54g/mL以上である、前記(1)または(4)に記載の顆粒、
(8)湿式造粒が高速攪拌造粒法によって行われる、前記(1)または(4)に記載の顆粒、
(9)前記(1)または(4)に記載の顆粒を含有する顆粒剤、
(10)平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによる、バリンの含有量が顆粒の83重量%以上であり、酸性添加剤の含有量が顆粒の0.1〜1.0重量%である顆粒の製造方法、
(11)バリン、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物、及び結合剤、を含む混合物を湿式造粒することによる、バリンの含有量が83重量%以上であり、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物の含有量が0.1〜1.0重量%である顆粒の製造方法、及び
(12)顆粒の嵩密度が0.54g/mL以上である、前記(10)または(11)に記載の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、バリンを主薬として含有する高密度の顆粒、特に嵩密度が0.54g/mL以上の顆粒を提供することができる。また、本発明によって、1回服用量の低容量化がなされた。これによって、包装充填時のハンドリングが良好になり、またコンパクト包装技術と合わせることによって、長期処方時に患者の負担軽減を図れる。そして、最終目的としては服用が容易なバリンを主薬とする経口顆粒剤を患者に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において使用されるバリンとしては、市販品、合成品、その他製法に関係なく使用されうる。またD体、L体およびDL体のいずれも使用可能であるが、L体のものが最も好ましく使用できる。一般的に醗酵法もしくは合成法で製造されている粒度が1mm以下の粒子で、日本薬局方の規定を満たすものを使用することが好ましいがそれに限定されるものではない。
【0013】
本明細書において、平均粒度とは、50%平均粒径、すなわち、積算値50%の粒度を意味し、レーザー回析・散乱法によって測定した粒子群の粒子径を平均した値を意味する。
【0014】
本発明のバリンを主薬として含有する顆粒は、平均粒度が30〜90μm、好ましくは50〜70μmであるバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得ることができる。ここでバリンは、顆粒全体の重量に対して重量比で83重量%以上、または90重量%以上、好ましくは96重量%以上を構成するように使用される。例えば、バリンは、顆粒の95〜98.5重量%、または96〜97.5重量%を構成するように使用される。
【0015】
バリンの平均粒度を調整する方法としては、特に制限はないが、好ましくは衝撃粉砕法を用いて調整することができる。
本発明で使用される酸性添加剤としては、医薬品として添加することができる酸であれば使用することができる。具体的には、例えば、酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸及び乳酸等の化合物を挙げることができる。酸性添加剤は1種類を使用してもよく、または2種類以上を組み合わせて使用することもできる。好ましくは、コハク酸、アジピン酸あるいはこれらの混合物である。
【0016】
本発明において酸性添加剤は、顆粒全体の重量に対して、1種類の酸性添加剤単独の重量あるいは2種類以上の酸性添加剤の合計の重量に基づく重量比で0.1〜1.0重量%、好ましくは0.3〜0.8重量%、さらに好ましくは0.5〜0.7重量%の範囲で添加される。
【0017】
これらの酸性添加剤は、本発明の高密度顆粒を製造する際の結合剤のバリンへの濡れ性を改善することができる。
また、本発明のバリンを主薬として含有する顆粒は、バリン、酸性添加剤としてのコハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物、及び結合剤、を含む混合物を湿式造粒することによって得ることができる。ここでバリンは、顆粒全体の重量に対して重量比で83重量%以上、または90重量%以上、好ましくは96重量%以上を構成するように使用される。例えば、バリンは、顆粒の95〜98.5重量%、または96〜97.5重量%を構成するように使用される。コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物は、顆粒全体の重量に対して、重量比で0.1〜1.0重量%、好ましくは0.3〜0.8重量%、さらに好ましくは0.5〜0.7重量%の範囲で添加される。
【0018】
酸性添加剤としてコハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物が使用される場合、バリンの平均粒度には特に限定はないが、例えば30〜90μmである。
本発明の顆粒は、例えば、予め平均粒度を調整したバリンに酸性添加剤及び結合剤、並びに、必要に応じて任意成分を添加し、水(精製水)を添加しながら、高速攪拌造粒法及び押出し造粒法等の湿式造粒法により造粒して製造することができる。酸性添加剤及び結合剤、並びに必要に応じて使用される任意成分は、各々または一緒に、水(精製水)に溶解させ水溶液としてバリンに添加して造粒を行ってもよい。水は、例えば、バリン100重量部に対して、25〜40重量部、好ましくは30〜39重量部の割合で使用することができる。
【0019】
本発明において結合剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の合成高分子類の日本薬局方あるいは医薬品添加物規格等の規格を満たしているものであれば特に制限なく使用することができる。また、その使用量も通常の造粒が可能な範囲であれば良いが、好ましくは、顆粒全体の重量に対して重量比で1〜4重量%、より好ましくは、2〜3重量%の範囲で使用される。
【0020】
本発明の顆粒の製造において用いることができる任意成分としては、賦形剤、矯味剤、着色料及び香料等が挙げられる。
賦形剤としては、例えばD−マンニトール、乳糖及びコーンスターチ等が挙げられる。バリンとの反応性を考慮すると非還元糖であるD−マンニトールが好ましい。賦形剤の使用量は服用量を抑える目的からは使用しないか、できるだけ少ないことが好ましい。
【0021】
矯味剤としては、例えばアスパルテーム、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム塩、ステビア、スクラロース及びアセスルファムカリウム等が挙げられる。好ましくは、サッカリンナトリウムが挙げられる。賦形剤の使用量も通常の造粒が可能な範囲であれば良いが、好ましくは、顆粒全体の重量に対して重量比で0.1〜1重量%、より好ましくは、0.4〜0.5重量%の範囲で使用できる。
【0022】
香料としては、例えばバニリン及びL−メントール等、好ましくはL−メントールが挙げられ、いずれも使用する場合は、適量で使用できる。
なお、本明細書において、顆粒全体の重量、とは、顆粒の造粒に用いた水以外の各成分の重量の和のことである。
【0023】
本発明において湿式造粒は、例えば、高速攪拌造粒法、押出し造粒法、流動層造粒法及び転動流動層造粒法等により行うことができる。
高速攪拌造粒法により行うことが好ましい。高速攪拌造粒法とは、粉体に水又はバインダー液を投入又は噴霧し、攪拌羽根の回転により、せん断、動転、圧密化を行って造粒する方法である。竪型、横型の攪拌造粒機を使用することができる。
【0024】
高速攪拌造粒法によって造粒を行う場合、回転数の設定は特に限定はしないがブレードスクリュー300rpm、クロススクリュー3000rpmに準じた回転数で行う。またバリンを予混合し、その後、バリン以外の成分を水(精製水)に溶解したものを添加し、15〜30分程度造粒を行うことができる
湿式造粒によって得られた造粒物を、適宜、乾燥及び篩分を行うことによって本発明の顆粒を得ることができる。乾燥は、例えば、乾燥温度及び時間を70℃、2時間とした棚乾燥によって行うことができる。篩分は、例えば、乾燥後の造粒物を1400μm篩過し通過したものに対して、250μm篩で篩分し、その篩過残を顆粒として回収することができる。
【0025】
平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られる本発明の顆粒、並びに、バリン、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物、及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られる本発明の顆粒は、高い密度を有する。すなわち、本発明の顆粒は0.54g/mL以上の嵩密度、好ましくは0.54〜0.64g/mL、または0.58〜0.64g/mLの嵩密度を有する。
【0026】
このように本発明の顆粒は高密度であるので、1回服用量の低容量化が必要とされる経口用の顆粒剤に適している。特に、患者にとって服用しやすいバリン含有経口顆粒剤に適している。
【0027】
本発明の顆粒はそのまま経口用の顆粒剤として用いることができる。また、本発明の顆粒を用いて、常法により、他成分含有顆粒剤と混合することにより複合顆粒剤を製造することができる。
【0028】
さらに、本発明の顆粒を用いて、常法により、例えば整粒、打錠、コーティング等することにより、散剤、丸剤、錠剤、トローチ剤等の固形製剤を製造することができる。
本発明の顆粒は、以下の実施例に示すように、特にバリンの平均粒度が50μm〜70μmの場合に、嵩密度が0.58g/mL以上となる。またバリンの平均粒度にかかわらず、酸性添加剤として、特にコハク酸および/又はアジピン酸を添加した場合には、他の酸性添加剤よりも高い嵩密度の顆粒を製造することができ、これらも本発明に含まれる。
【実施例】
【0029】
本発明の内容を以下の実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。なお、各実施例において、使用したバリンの平均粒度は以下の方法で測定した数値である。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック(登録商標)、日機装株式会社)を用い、2−プロパノール適量を循環槽に入れて循環させ、ブランク測定を行う。続いて、循環槽に2−プロパノール適量を入れ循環させる。装置が測定可能と表示されるようにバリンを分散させ、測定を行った。ここで、レーザー回析/散乱法による平均粒度の測定は、粒子群にレーザー光を照射し、そこから発せられる回析・散乱光の強度パターンから計算によって求められたものである。また、各実施例において、嵩密度は、測定容器50mLを用いた際の同体積に対する造粒物の質量によって測定される。パウダテスタ(登録商標、ホソカワミクロン社製)を用いて計測を行った。
【0030】
<粒度>
実施例1
前もって粉砕処理されたL−バリン230.88g(平均粒度52μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外の全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で30分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.61g/mLであった。
【0031】
【表1】

【0032】
実施例2
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度54μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で30分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.61g/mLであった。
【0033】
実施例3
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度56μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で30分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.61g/mLであった。
【0034】
実施例4
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度63μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.62g/mLであった。
【0035】
実施例5
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度69μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で30分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.60g/mLであった。
【0036】
実施例6
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度38μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液及び精製水15mLを添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.54g/mLであった。
【0037】
<酸>
実施例7
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度25μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表2に示すバリン以外全ての成分(酸性添加剤はアジピン酸を使用した)を精製水70mLに溶解させて得た水溶液及び精製水15mLを添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.58g/mLであった。
【0038】
【表2】

【0039】
実施例8
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度25μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表2に示すバリン以外全ての成分(酸性添加剤はコハク酸を使用した)を精製水70mLに溶解させて得た水溶液及び精製水15mLを添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.54g/mLであった。
【0040】
実施例9
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度56μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表2に示すバリン以外全ての成分(酸性添加剤はアジピン酸を使用した)を精製水70mLに溶解させて得た水溶液及び精製水10mLを添加し、続けて同条件下で30分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.63g/mLであった。
<粒度>
比較例1
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度207μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表1に示すバリン以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.36g/mLであった。
【0041】
比較例2
L−ロイシン:L−イソロイシン:L−バリン=2:1:1.2(平均粒度111μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表3に示す分岐鎖アミノ酸以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で7分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.39g/mLであった。
【0042】
【表3】

【0043】
比較例3
L−ロイシン:L−イソロイシン:L−バリン=2:1:1.2(平均粒径52μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表3に示す分岐鎖アミノ酸以外全ての成分を精製水70mLに溶解させて得た水溶液を添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.52g/mLであった。
【0044】
<酸>
比較例4
前もって粉砕処理されたL−バリン(平均粒度25μm)を高速攪拌造粒機(FM−VG−01 Powrex製)に投入し、ブレード300rpm、クロススクリュー3000rpm条件下で1分間混合した。混合後、表2に示すバリン以外全ての成分(酸性添加剤は酒石酸を使用した)を精製水70mLに溶解させて得た水溶液及び精製水15mLを添加し、続けて同条件下で15分間攪拌造粒を行った。得られた造粒物を棚型乾燥機で70℃、2時間乾燥し、次いで1400μm篩により篩過し、そして250μm篩により篩分し、250μm篩の篩上品を回収して顆粒を得た。得られた顆粒の嵩密度を測定したところ0.53g/mLであった。
【0045】
上記実施例1〜9及び比較例1〜4から明らかなように、本発明に基づき得られた顆粒はいずれも嵩密度0.54g/mL以上の値を示したのに対し、バリンの平均粒度が大きいもの(比較例1)、小さいもの(比較例4)、バリン単独ではなく、分岐鎖アミノ酸の混合物であるもの(比較例2及び3)はいずれも、嵩密度が小さいことから、本発明により、バリンを主薬とする医薬品製剤において、1回の服用量をより低減化できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリンを主薬として含有する顆粒であって、平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られ、バリンの含有量が顆粒の83重量%以上であり、酸性添加剤の含有量が顆粒の0.1〜1.0重量%である前記顆粒。
【請求項2】
バリンの平均粒度が50〜70μmである、請求項1に記載の顆粒。
【請求項3】
酸性添加剤が酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸及び乳酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である、請求項1に記載の顆粒。
【請求項4】
バリンを主薬として含有する顆粒であって、バリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによって得られ、バリンの含有量が顆粒の83重量%以上であり、酸性添加剤の含有量が顆粒の0.1〜1.0重量%であり、前記酸性添加剤がコハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物である、前記顆粒。
【請求項5】
バリンの含有量が顆粒の96重量%以上である、請求項1または4に記載の顆粒。
【請求項6】
バリンがL−バリンである、請求項1または4に記載の顆粒。
【請求項7】
嵩密度が0.54g/mL以上である、請求項1または4に記載の顆粒。
【請求項8】
湿式造粒が高速攪拌造粒法によって行われる、請求項1または4に記載の顆粒。
【請求項9】
請求項1または4に記載の顆粒を含有する顆粒剤。
【請求項10】
平均粒度が30〜90μmのバリン、酸性添加剤及び結合剤を含む混合物を湿式造粒することによる、バリンの含有量が顆粒の83重量%以上であり、酸性添加剤の含有量が顆粒の0.1〜1.0重量%である顆粒の製造方法。
【請求項11】
バリン、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物、及び結合剤、を含む混合物を湿式造粒することによる、バリンの含有量が83重量%以上であり、コハク酸若しくはアジピン酸またはその混合物の含有量が0.1〜1.0重量%である顆粒の製造方法。
【請求項12】
顆粒の嵩密度が0.54g/mL以上である、請求項10または11に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−162955(P2008−162955A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355284(P2006−355284)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【Fターム(参考)】