説明

バルブの開閉位置ロック装置

【課題】バルブに対して簡単な加工を施すのみで、ロック機能を設けることができるバルブの開閉位置ロック装置を提供する。
【解決手段】ボールバルブ1における円筒壁6の外面面に、開位置ロック用の溝18と閉位置ロック用の溝19を設け、ハンドル9の筒状部11で操作アーム12に近い位置と操作アーム12の根元側の位置に、筒状部横孔20と操作アーム横孔21を平行状の配置で設け、前記操作アーム横孔21に移動自在となるよう貫通させた操作軸22の一方端部に、前記筒状部横孔20に対して一端側から軸方向に移動可能に嵌合し、開位置ロック用の溝18又は閉位置ロック用の溝19に対して係脱自在となるロック軸23を設け、前記操作軸22にロック軸23が開位置ロック用の溝18又は閉位置ロック用の溝19に対して常時係合する方向の移動弾性を付勢した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、比較的小型のボールバルブ等において、開閉操作するハンドルを全開及び全閉位置で固定化することができるバルブの開閉位置ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、比較的小型のボールバルブは、管路の途中や端部、容器に取付け、各種流体の流量制御や取出し用として多用されている。
【0003】
このようなボールバルブは、弁体を回転可能に組み込んだバルブボディの外部でステムの取出し側に円筒壁を設け、この円筒壁に外嵌する筒状部の外周に半径へ突出する操作アームを設けたハンドルを前記ステムと結合し、このハンドルで前記弁体を開位置と閉位置の間で回動させることができるような構造になっている。
【0004】
上記のようなボールバルブは、手動操作によってハンドルで弁体を回動させて開閉を行うものであるが、ハンドルが開又は閉の位置にあるとき、不注意等によりハンドルに物が当たって外力が加わったり振動が加わったような場合、ハンドルが回動して弁体の開度が変化することがあり、特に閉位置にあるハンドルが不必要に回動すると流体が漏れるという問題が生じ、これを防ぐため、ボールバルブにハンドルを開位置と閉位置で固定化する開閉位置ロック装置を設け、ハンドルが不必要に回動することのないようにしている。
【0005】
従来のボールバルブにおける閉位置ロック装置は、バルブボデーの外部に突出するステムに、このステムを回動させるためのレバーハンドルを上下に揺動自在となるよう嵌合し、バルブボデーの上面にレバーハンドルの可動域を規制するストッパと、弁体が閉の位置でレバーハンドルが移動不能に嵌まる溝を設け、スプリングによりステムの上昇付勢とレバーハンドルの下降付勢を行い、かつスプリングで閉位置のレバーハンドルを溝内に保持するようにした構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−161531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の閉位置ロック装置を備えたボールバルブは、ロック装置に対応した独自の機構に設計して製作されるため、その機構を既に使用されていたり、在庫として残っているロック装置のない既存のボールバルブに適用して、ロック装置付のボールバルブに改良しようとしても不可能であり、このため、ロック装置付のボールバルブが必要な場合、既に使用されているボールバルブは新たなロック装置付のボールバルブと取換える必要があり、また、在庫として残っているロック装置のない既存のボールバルブでは、処分を余儀なくされるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、バルブに対して簡単な加工を施すのみで、ロック機能を設けることができ、既に使用されていたり在庫として既に完成している既存のバルブをそのままロック装置付きに改良することができ、新規製作も当然可能であるバルブの開閉位置ロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明は、弁体を回転可能に組み込んだバルブボデーの外部でステムの取出し側に円筒壁を設け、前記円筒壁に外嵌する筒状部を有するヘッドに操作アームを設けたハンドルを前記ステムと結合し、このハンドルで前記弁体を開位置と閉位置の間で回動させることができるようにしたバルブを用い、前記バルブボデーにおける円筒壁の外面面に、開位置ロック用の溝と閉位置ロック用の溝を平面的に直角の配置となるよう接線方向に沿って設け、前記ハンドルの筒状部で操作アームに近い位置と操作アームの根元側の位置に、操作アームの幅方向に沿って貫通する筒状部横孔と操作アーム横孔を平行状の配置で設け、前記筒状部横孔は、その途中がこの筒状部の内周面で開口し、この開口が、ハンドルが開位置にあるとき開位置ロック用の溝に臨み、ハンドルが閉位置にあるとき閉位置ロック用の溝に臨み、開位置ロック用の溝及び閉位置ロック用の溝が筒状部横孔の一部を形成するように設け、前記操作アーム横孔に操作軸を軸方向に沿って移動自在となるよう貫通させ、この操作軸の一方端部に、前記筒状部横孔に対して一端側から軸方向に移動可能に嵌合し、操作軸と一体に移動することにより、開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に対して係脱自在となるロック軸を設け、前記操作軸にロック軸が開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に対して常時係合する方向の移動弾性を付勢したものである。
【0010】
上記筒状部横孔は、穿孔工具を用いて筒状部を穿孔することによって形成され、上記開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝は、前記穿孔工具で筒状部横孔を穿孔するとき、円筒壁の外周面を同時に削り取ることにより形成されている構造とすることができる。
【0011】
上記操作軸とロック軸は、一本の金属円軸材を用い、操作軸の先端延長を、操作アーム横孔と筒状部横孔の配置に合わせた間隔で折り返してロック軸としたU字状に形成され、前記ロック軸は、操作軸よりも短く、折り返し部分が筒状部横孔の一端側に接近する位置で開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に係合する長さを有し、前記操作軸は、自由端側をハンドルに向けて押し込んだとき、ロック軸を開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝から離脱させることができる長さを有し、この操作軸の自由端側とハンドルの間に、ロック軸が常時開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に係合する方向の弾性を付勢するスプリングを縮設した構造とすることができる。
【0012】
ここで、ハンドルは、ヘッドの筒状部が円筒壁に外嵌する状態でステムとビスの締結によって一体に回動するよう固定化され、操作アーム横孔と筒状部横孔は、所定の間隔を隔てて平行するようドリルのような穿孔工具を用いて円形孔に形成され、前記筒状部横孔は筒状部の内周面に対して途中が開口するよう接線方向に施され、このような筒状部横孔を穿孔するとき、円筒壁の外周面も一体に削り取るようにすることで、開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝の一方が形成され、他方は穿孔された筒状部横孔に再度穿孔工具を挿入し、この穿孔工具で円筒壁の外面を削り取ることによって形成する。
【0013】
上記操作軸とロック軸は、操作アーム横孔と筒状部横孔にハンドルの一面側から挿入し、操作アーム横孔を貫通してハンドルの他面側に突出した操作軸の後端部に操作キャップを外嵌固定し、前記操作軸に対してキャップとハンドルの対向面間にスプリングを外嵌縮設し、この操作軸にロック軸を筒状部横孔内に常時引き込む方向の弾性を付勢している。
【0014】
上記ハンドルが開位置にあるとき、スプリングで筒状部横孔内に引き込まれたロック軸は、筒状部横孔と開位置ロック用の溝の両者に嵌り合うことになり、これにより、ハンドルは円筒壁に対して固定化され、ハンドルは回り止め状態にロックされる。
【0015】
上記の状態で操作キャップを介して操作軸の後端側を操作アームに向けて押し込むと、一体に移動するロック軸は開位置ロック用の溝から外れ、ハンドルは円筒壁に対するロックが解かれるので、上記押し込み状態のままでハンドルを閉位置側に向けて回動させることができ、ハンドルが閉位置にある状態で操作軸の押し込みを解くと、筒状部横孔内に引き込まれたロック軸は閉位置ロック用の溝に嵌り合い、ハンドルは円筒壁に対して固定化され、ハンドルは回り止め状態にロックされる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、バルブボデーに設けた円筒壁の外面に開位置ロック用の溝と閉位置ロック用の溝を平面的に直角の配置で設け、ステムと結合したハンドルの筒状部と操作アームの根元部分に横孔を穿孔するという簡単な加工を施すのみで、バルブに対してロック機能を設けることができ、既に使用されていたり在庫として既に完成している既存のバルブを、加工コストをかけずにそのままロック装置付きに改良でき、また、新規製作のバルブにおいても簡単な構造でロック機能を付加することができることになる。
【0017】
また、筒状部横孔の穿孔時に円筒壁の外周面を同時に削り取ることにより、開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝を同時に削り取ることにより形成したので、加工工数の削減と同時に、筒状部横孔と前記溝の連通部分を精度の高い円形の孔に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)はこの発明の開閉位置ロック装置を設けたボールバルブのハンドルを開状態にした斜視図、(b)は開閉位置ロック装置を設けたボールバルブの分解斜視図
【図2】(a)はこの発明の開閉位置ロック装置を設けたボールバルブのハンドルを開状態にした縦断正面図、(b)は(a)の矢印b−bでの横断平面図
【図3】(a)はこの発明の開閉位置ロック装置を設けたボールバルブのハンドルを閉状態にした縦断正面図、(b)は同横断平面図
【図4】(a)はこの発明の開閉位置ロック装置を設けたボールバルブのハンドルを開状態にした平面図、(b)はハンドルを開閉の中間位置にした状態の平面図、(c)はハンドルを閉状態にした平面図
【図5】(a)はこの発明の開閉位置ロック装置のハンドルを開位置にした時のロック状態を、操作軸とロック軸を平面的にして示す拡大した横断平面図、(b)は操作軸を押し込んで開位置でのロックを解除した状態を示す横断平面図、(c)はハンドルを開閉の中間位置に回動させた状態の横断平面図
【図6】(d)はこの発明の開閉位置ロック装置のハンドルを閉位置にした時のロック前を、操作軸とロック軸を平面的にして示す拡大した横断平面図、(e)はハンドルを閉位置にした時のロック状態を示す横断平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付画面に基づいて説明する。
【0020】
図示のように、ボールバルブ1は、流体通路2が貫通するバルブボデー3の内部に、回転可能となるボール形の弁体4と、この弁体4の両側に位置する弁シート5を収納し、前記バルブボデー3の外面上部に円筒壁6を突設し、この円筒壁6の内周孔7に弁体4と一体に回転可能となるよう結合したステム8が収まり、前記ステム8の円筒壁6から外部に引き出された突出する上端部分にハンドル9が固定され、このハンドル9で弁体4を回動させることにより、流体の流動と閉止が行えるようになっている。
【0021】
上記ハンドル9は、ヘッド10の下部が上記円筒壁6に外嵌する筒状部11となり、この筒状部11の上部からヘッド10の外周に半径へ突出する操作アーム12を設けた構造を有し、筒状部11が円筒壁6に外嵌する状態で、ヘッド10の上部からステム8の上端部に向けてねじ込んだビス13による締結でステム8に固定され、ビス13はヘッド10の上端凹部にキャップ14を被せることで見えないようになっている。
【0022】
図1(b)のように、上記円筒壁6の上端部外周に弧状のストッパー壁15が設けられ、ステム8の途中に回転角度規制板16が一体に回転するよう外嵌挿され、前記ストッパー壁15と回転角度規制板16によってハンドル9の回動角度を90°に規制し、これにより、弁体4を回動させて開位置と閉位置にするハンドル9は、流体通路2の方向に操作レバー12が平行する開位置と、流体通路2の方向に対して直角となる閉位置の間を回動可能となる。
【0023】
上記ボールバルブ1に設ける開閉位置ロック装置17は、図5と図6に示すように、上記バルブボデー3における円筒壁6の外面に設けた断面円弧状となる開位置ロック用の溝18及び閉位置ロック用の溝19と、ハンドル9の筒状部11で操作アーム12に近い位置と操作アーム12の根元側の位置に、操作アーム12の幅方向に沿って貫通するよう設けた筒状部横孔20及び操作アーム横孔21と、前記操作アーム横孔21に軸方向へ移動自在となるよう貫通させた操作軸22と、この操作軸22の一方端部に連ねて設けられ、前記筒状部横孔20に対して一端側から軸方向に移動可能に嵌合するロック軸23と、前記操作軸22にロック軸23が常時進入する方向の移動弾性を付勢するスプリング24とで形成されている。
【0024】
上記開位置ロック用の溝18は、円筒壁6の外面面でハンドル9が開位置にあるとき操作アーム12の長さ方向が向く位置に、また、閉位置ロック用の溝19は、円筒壁6の外面面でハンドル9が閉位置にあるとき操作アーム12の長さ方向が向く位置に、それぞれ接線方向に沿って設けられ、図5のように、開位置ロック用の溝18と閉位置ロック用の溝19は、平面的に直角の配置になっている。
【0025】
上記筒状部横孔20と操作アーム横孔21は共に等しい直径を有し、前記筒状部横孔20は、円筒壁6に設けた開位置ロック用の溝18及び閉位置ロック用の溝19と等しい高さ位置になるよう筒状部11に設けられ、その途中がこの筒状部11の内周面で開口し、その開口が、ハンドル9が開位置にあるとき開位置ロック用の溝18に臨み、ハンドル9が閉位置にあるとき閉位置ロック用の溝19に臨み、開位置ロック用の溝18及び閉位置ロック用の溝19が筒状部横孔20の一部を形成するようになっている。
【0026】
また、操作アーム横孔20は、操作アーム12の筒状部11に近い根元側の位置に、操作アーム12を幅方向に貫通するよう設けられ、この操作アーム横孔21は図2(a)のように筒状部横孔20に対して斜め上部に所定の距離をおいて位置し、操作アーム横孔21と筒状部横孔20は平行状の配置になっている。
【0027】
上記操作軸22とロック軸23は、操作アーム横孔21と筒状部横孔20に挿通することのできる一本の金属線材を用い、直線となる操作軸22の先端側である一方端部折り弧状に返すことによって操作軸22とロック軸23が連成され、操作軸22とロック軸23は、操作アーム横孔21と筒状部横孔20の配置と等しい間隔で平行する平面U字状になっている。
【0028】
上記操作軸22は、操作アーム横孔21の全長を貫通するのに十分な長さを有し、これに対してロック軸23は筒状部横孔20の全長よりも少し短くなっている。
【0029】
この操作軸22とロック軸23は、ハンドル9の一方側面から操作アーム横孔21と筒状部横孔20に対して挿入し、ハンドル9の他方側面から突出する操作軸22の自由端となる後端に操作キャップ25を外嵌固定し、前記操作軸22に対して操作キャップ25とハンドル9の対向面間にスプリング24を外嵌縮設し、この操作軸22にロック軸23を筒状部横孔20内に常時引き込む方向の弾性を付勢している。
【0030】
上記操作軸22は操作アーム横孔21の軸方向に移動自在となるよう貫通し、ロック軸23は筒状部横孔20に対して軸方向に移動自在となるよう嵌合し、ハンドル9が開位置又は閉位置にあるとき、操作軸22を押し込み操作しない状態でロック軸23は開位置ロック用の溝18又は閉位置ロック用の溝19に対して係合し、円筒壁6に対してハンドル9を回転不能にロックしている。
【0031】
また、ハンドル9が開位置又は閉位置にあるとき、スプリング24の弾性に抗して操作軸22をハンドル9に向けて押し込み操作すると、この操作軸22と一体に移動するロック軸23はその自由端が筒状部横孔20の端部にまで移動して開位置ロック用の溝18又は閉位置ロック用の溝19から外れ、これによって、円筒壁6に対するハンドル9のロックが解かれ、ハンドル9を開位置と閉位置の間で回動させることができる。
【0032】
上記ハンドル9に設ける操作アーム横孔21と筒状部横孔20は、ドリルのような穿孔工具を用いて加工されるが、筒状部横孔20を穿孔するとき、例えば、ハンドル9を開位置にしておき、この状態で筒状部11の操作アーム12に近い位置で、この筒状部11の内周面と円筒壁6の外周面間を中心が通るように、接線方向に沿って筒状部横孔20を穿孔する。
【0033】
このような条件で筒状部横孔20を穿孔すると、筒状部横孔20はその途中が筒状部11の内周面で開口し、同時に円筒壁6の外周面が削り取られ、これが開位置ロック用の溝18となり、一度の穿孔によって筒状部横孔20と開位置ロック用の溝18が同時に加工でき、筒状部横孔20と開位置ロック用の溝18が一つの横孔を形成することになる。
【0034】
また、円筒壁6に閉位置ロック用の溝19を形成する場合は、上記のように筒状部横孔20を穿孔した後、ハンドル9を閉位置に回動させ、筒状部11に設けた筒状部横孔20に再度穿孔工具を挿入し、筒状部横孔20の開口に臨む円筒壁6の外周面を穿孔工具で削り取るようにすればよい。
【0035】
なお、上記とは逆に、筒状部横孔20と閉位置ロック用の溝19を先に加工し、開位置ロック用の溝18を後で形成するようにしてもよい。
【0036】
このように、ボールバルブ1に開閉位置ロック装置17を設ける場合、ボールバルブ1に筒状部横孔20と操作アーム横孔21を穿孔するだけでよいので、ボールバルブ1は既存の構造をそのまま使用することができ、既に使用されていたり在庫状態のボールバルブに対して開閉位置ロック機能を簡単に低コストで付加することができ、また、新造のボールバルブにおいても基本構造を変えることなく安価に開閉位置ロック機能を付加することができる。
【0037】
なお、ボールバルブ1は、図示の場合、ハンドル9の開位置が流体通路2に平行し、閉位置がこれと直角の例を示したが、ハンドル9の開閉位置は選択できると共に、更に、バルブボデー3が直線状で、配管との接続のために、一端に雄ねじ26と他端に雌ねじ27を設けた形式を示したが、ボールバルブ1の形式は何ら限定されるものではなく、配管の接続部を一端側と下部に設けたアングル形や、配管との接続にニップルやワンタッチ継手を用いたもの等を例示することができる。
【0038】
この発明のバルブの開閉位置ロック装置は、上記のような構成であり、ボールバルブ1は管路の途中や端部、容器に取付け、各種流体の流量制御や取出し用として使用するものであり、図2(a)のように、ハンドル9を開位置にすると弁体4が流体通路2を導通させた開弁状態となり、また、図3(a)のように、ハンドル9を閉位置にすると弁体4が流体通路2を遮断した閉弁状態となる。
【0039】
上記ボールバルブ1において、ハンドル9が開位置にある状態で、操作軸22を押し込まないときは、図5(a)のように、スプリング24の弾性により、ロック軸23が筒状部横孔20内に一端側から引き込まれ、このロック軸23は円筒壁6の開位置ロック用の溝18に対して略全長にわたって係合し、この係合部分が円筒壁6に対するハンドル9の回り止めとなり、ハンドル9は開位置にロックされるので、ハンドル9に振動や外力が作用しても開弁状態が保たれることになる。
【0040】
ボールバルブ1を開弁状態から閉弁状態にするには、図5(b)のように、スプリング24の弾性に抗して操作軸22をハンドル9に向けて押し込み操作すると、この操作軸22と一体にロック軸23は筒状部横孔20から抜ける方向に移動し、その自由端が筒状部横孔20の端部にまで移動して開位置ロック用の溝18から外れ、これによって、円筒壁6に対するハンドル9のロックが解かれ、図5(c)のように操作軸22を押し込んだままハンドル9を開位置に回動させることができる。
【0041】
図6(d)のように、ハンドル9が開位置に回動すると、操作軸22を押し込みを解けばよく、図6(e)のように、スプリング24の伸長で操作軸22が引き戻され、これと一体に移動するロック軸23も筒状部横孔20内に引き戻され、このロック軸23は円筒壁6の閉位置ロック用の溝19に対して略全長にわたって係合し、この係合部分が円筒壁6に対するハンドル9の回り止めとなり、ハンドル9は閉位置にロックされるので、ハンドル9に振動や外力が作用しても閉弁状態が保たれることになる。
【0042】
また、閉弁状態から開弁状態にするには、上記と同様に、操作軸22の押し込みによるロックの解除とハンドル9の回動によって行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ボールバルブ
2 流体通路
3 バルブボデー
4 弁体
5 弁シート
6 円筒壁
7 内周孔
8 ステム
9 ハンドル
10 ヘッド
11 筒状部
12 操作アーム
13 ビス
14 キャップ
15 ストッパー壁
16 回転角度規制板
17 開閉位置ロック装置
18 開位置ロック用の溝
19 閉位置ロック用の溝
20 筒状部横孔
21 操作アーム横孔
22 操作軸
23 ロック軸
24 スプリング
25 操作キャップ
26 雄ねじ
27 雌ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体を回転可能に組み込んだバルブボデーの外部でステムの取出し側に円筒壁を設け、前記円筒壁に外嵌する筒状部を有するヘッドに操作アームを設けたハンドルを前記ステムと結合し、このハンドルで前記弁体を開位置と閉位置の間で回動させることができるようにしたバルブを用い、
前記バルブボデーにおける円筒壁の外面に、開位置ロック用の溝と閉位置ロック用の溝を平面的に直角の配置となるよう接線方向に沿って設け、
前記ハンドルの筒状部で操作アームに近い位置と操作アームの根元側の位置に、操作アームの幅方向に沿って貫通する筒状部横孔と操作アーム横孔を平行状の配置で設け、
前記筒状部横孔は、その途中がこの筒状部の内周面で開口し、この開口が、ハンドルが開位置にあるとき開位置ロック用の溝に臨み、ハンドルが閉位置にあるとき閉位置ロック用の溝に臨み、開位置ロック用の溝及び閉位置ロック用の溝が筒状部横孔の一部を形成するように設け、
前記操作アーム横孔に操作軸を軸方向に沿って移動自在となるよう貫通させ、この操作軸の一方端部に、前記筒状部横孔に対して一端側から軸方向に移動可能に嵌合し、操作軸と一体に移動することにより、開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に対して係脱自在となるロック軸を設け、
前記操作軸にロック軸が開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に対して常時係合する方向の移動弾性を付勢したバルブの開閉位置ロック装置。
【請求項2】
上記筒状部横孔は、穿孔工具を用いて筒状部を穿孔することによって形成され、上記開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝は、前記穿孔工具で筒状部横孔を穿孔するとき、円筒壁の外周面を同時に削り取ることにより形成されている請求項1に記載のバルブの開閉位置ロック装置。
【請求項3】
上記操作軸とロック軸は、一本の金属円軸材を用い、操作軸の先端延長を、操作アーム横孔と筒状部横孔の配置に合わせた間隔で折り返してロック軸としたU字状に形成され、前記ロック軸は、操作軸よりも短く、折り返し部分が筒状部横孔の一端側に接近する位置で開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に係合する長さを有し、前記操作軸は、自由端側をハンドルに向けて押し込んだとき、ロック軸を開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝から離脱させることができる長さを有し、この操作軸の自由端とハンドルの間に、ロック軸が常時開位置ロック用の溝又は閉位置ロック用の溝に係合する方向の弾性を付勢するスプリングを縮設した請求項1又は2に記載のバルブの開閉位置ロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−57651(P2012−57651A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198851(P2010−198851)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(593071834)アソー株式会社 (5)
【Fターム(参考)】