説明

バルーンカテーテル製造装置、バルーンカテーテル製造方法、カテーテル接続装置、カテーテルの接続方法

【課題】溶着度合いを適切に調整することができ、用途に適した所望の表面形状とすることができ、医療用としても良好に用いることのできるバルーンカテーテルの製造装置並びに製造方法等を提供すること。
【解決手段】バルーン端部28bにカテーテルチューブ30aが挿入され、当該カテーテルチューブ30aにシャフト14が挿通され、バルーン28の溶着対象部分に加圧チューブ32aが嵌合した状態で、固定チャックによりシャフト14を回転させながら、第一と第二のレーザ照射手段8、108によりバルーン端部28bとカテーテルチューブ30aの溶着対象部分の外周とシャフト14の表面に向けてレーザ光をそれぞれ照射することで溶着対象部分の外周とシャフト14を発熱して溶着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に医療用のバルーンカテーテルの製造装置と製造方法、カテーテルの接続装置と接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バルーンカテーテルは、中空の柔軟な管(以下、チューブという)の先端部等に膨張及び収縮が可能な風船(以下、バルーンという)が設けられて構成されている。
当該バルーンカテーテルは主に医療用に用いられる。例えば、当該バルーンカテーテルを用いた治療法としては、経皮的冠動脈形成術(PTCA:percutaneous transluminal coronary angioplasty)等がある。これは狭窄した病変部にガイドワイヤと呼ばれる細い針金を通過させ、そのワイヤに沿ってバルーンを病変部まで届けて、バルーンを膨らませて病変部を拡げるものである。
【0003】
このようにバルーンカテーテルは、血管内等、人や動物の体内に挿入するものであり、体内を傷つけないよう滑らかな形状とする必要がある。
一般に、バルーンカテーテルの製造では、中央の径の太い本体部と、本体部の両端の径の細い端部からなる筒状のバルーンについて、バルーンの両端部内にカテーテルチューブを挿入し、このバルーンの両端部とカテーテルチューブとを熱により溶着したり、接着剤により接着したりする等して製造している。
【0004】
例えば、バルーン端部にレーザを照射することにより溶着するバルーンカテーテルの製造方法が知られている(特許文献1、特許文献2、参照)。当該特許文献1では、遠赤外線範囲のレーザ光をレンズにより、カテーテルチューブ(カテーテル管)とバルーン(拡張バルーン)の末端端部との境界部分にレンズにより集束させた遠赤外線範囲のレーザ光を照射して溶着を行うものである。また特許文献2には、レーザ照射手段とレーザ光を透過する弾性素材からなる加圧手段を用いたバルーンカテーテル製造装置が記載されている。
【0005】
またレーザを照射する方法ではないが、光吸収発熱体である発熱シャフトにカテーテルチューブとバルーンを被せ、カテーテルチューブとバルーンの重なった部分を熱収縮チューブで覆い、熱収縮チューブに光吸収マーカーを塗り、赤外線・遠赤外線領域波長を多く含む可視光線を照射してカテーテルチューブとバルーンを溶着する方法が知られている(例えば、特許文献3、参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−182796号公報
【特許文献2】特開平2002−301160号公報
【特許文献3】特開平2001−191412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1と特許文献2に開示された技術では、レーザ光をカテーテルチューブとバルーンの境界部分に集束させて、これらを同時に加熱しているが、一般にバルーンはカテーテルチューブよりも薄く、境界部分を加熱していくとバルーンの方が先に溶融してバルーンが破れる。また、レーザ光として遠赤外線範囲のレーザは出力が大きく調整が難しい。そのため特許文献1では、溶着時にバルーンカテーテルを回転させる回転数を高くしているが、溶着度合いを細かく調整するのが難しいという問題がある。
【0008】
特許文献3では、赤外線・遠赤外線領域波長を多く含む可視光線を、カテーテルチューブとバルーンを重ねた部分の内側にある発熱シャフトと外側にある熱収縮チューブに照射して溶着している。すなわち図41に示したように、発熱用光(L)を発熱シャフト(105a)に照射してカテーテルチューブ(300)とバルーン(200)を重ねた部分の内側の温度を高めて溶融させ、同時に同じ発熱用光(L)を熱収縮チューブ(106)に照射してカテーテルチューブ(300)とバルーン(200)を重ねた部分の外側の圧力を高めて、カテーテルチューブ(300)とバルーン(200)の溶融部分を一体化するようにしている。しかし、外側管であるバルーン(200)の端部が内側管であるカテーテルチューブ(300)の外周面に重なった段差部分については、特別な対処をしていないため溶着後に段差部分(凹凸)が残る可能性があった。
【0009】
以上、従来のカテーテルチューブとバルーンを溶着する方法では、溶着部分を所望の形状に仕上げるのは容易でない。そして、バルーンカテーテルに凹凸等があれば、医療用として用いるのが困難であるという問題が生じる。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、溶着度合いを細かく適切に調整することができ、溶着後の表面形状に凹凸や段差のない溶着を行い、用途に適した所望の表面形状とすることができ、医療用としても良好に用いることのできるバルーンカテーテル及びその製造装置並びに製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、請求項1のバルーンカテーテル製造装置では、筒状のバルーンの端部に管状のカテーテルチューブが挿入され、当該バルーンの端部と当該カテーテルチューブとを溶着するバルーンカテーテル製造装置であって、前記カテーテルチューブ内に挿通されレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトと、前記発熱シャフトを支持して回転させる発熱シャフト回転手段と、前記バルーン及び前記カテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、環状で前記近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなり、前記バルーン端部に嵌合してバルーン端部の末端を含んで、当該末端近傍を軸心に向けて加圧する加圧手段と、遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記バルーンの端部の末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を有し、前記発熱シャフトに前記カテーテルチューブと前記バルーンの端部を重ね、更に前記バルーンの端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として前記加圧手段で嵌合して加圧した状態で、前記発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記バルーン端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記バルーンの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射して発熱させ、前記カテーテルチューブと前記バルーン端部の末端近傍とを溶融し、溶着対象部分を溶着するよう制御する溶着制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2のバルーンカテーテル製造装置では、さらに前記第一のレーザ照射手段を移動可能に支持するレーザ支持手段を有し、前記第一のレーザ照射手段はレーザ光の出力を移動位置に対応して可変可能であり、前記溶着制御手段は、前記溶着対象部分において、前記レーザ支持手段及び前記第一のレーザ照射手段から照射する近赤外のレーザ光を前記バルーン端部の末端位置から前記バルーンの中央に向けた所定位置の間で、前記発熱シャフトの軸方向に移動させ、前記バルーンの末端側は、当該レーザ光の出力を高く、前記バルーンの中央に向けて当該レーザ光の出力を徐々に低くして溶着を行うようにしている。このことにより、当該レーザ光の移動した範囲で、前記バルーン端部を前記バルーンの中央に向けて拡がった形状をなすようにしている。
【0012】
また請求項3のバルーンカテーテル製造装置では、筒状のバルーンの端部にカテーテルチューブを挿入して重ねた溶着対象部分を撮影するカメラ手段と、カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、所定の情報を登録可能な記憶手段と、記憶手段に第一のレーザ照射手段のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、を更に設け、溶着制御手段は、登録読出し手段を用いて、カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を記憶手段に登録し、更にレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置での溶着条件を登録し、登録後、当該溶着条件で溶着したときの評価結果を当該溶着条件に関連付けて登録して、記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件をモニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にしている。
【0013】
請求項4のバルーンカテーテル製造方法では、筒状のバルーンの端部に管状のカテーテルチューブが挿入され、当該バルーンの端部と当該カテーテルチューブとを溶着するバルーンカテーテル製造方法であって、バルーン端部にカテーテルチューブを挿入し、当該カテーテルチューブにレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトを挿通し、バルーンの端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなる加圧手段で嵌合して軸心に向けて加圧した状態で、バルーン及びカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、遠赤外のレーザ光を加圧手段及びバルーンの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を用いて、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、バルーン端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、発熱シャフトを発熱させるとともに、第二のレーザ照射手段で、加圧手段及びバルーンの末端を含む当該末端近傍に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、カテーテルチューブとバルーンの端部の末端近傍を溶融し、バルーン端部の溶着対象部分を溶着することを特徴としている。
【0014】
請求項5のバルーンカテーテル製造方法では、溶着対象部分の溶着では、第一のレーザ照射手段を移動し、当該第一のレーザ照射手段が照射する近赤外のレーザ光をバルーン端部の末端位置からバルーンの中央に向けた所定位置の間で、発熱シャフトの軸方向に移動させ、バルーンの末端側は当該レーザ光の出力を高く、バルーンの中央に向けて当該レーザ光の出力が徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、前記バルーン端部の溶着対象部分を溶着することを特徴とすることを特徴としている。
【0015】
請求項6のカテーテル接続装置では、一対のカテーテルチューブを重ねて溶着して接続するカテーテル接続装置であって、一対のカテーテルチューブ内に挿通されレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトと、発熱シャフトを支持して回転させる発熱シャフト回転手段と、一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなり、一対のカテーテルチューブに嵌合して、一対のカテーテルチューブのうち外側のカテーテルチューブの端部の末端を含んで、当該末端近傍を軸心に向けて加圧する加圧手段と、遠赤外のレーザ光を加圧手段及び外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を有し、発熱シャフトを一対のカテーテルチューブに通し、外側のカテーテルチューブ端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として加圧手段で嵌合して加圧した状態で、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、第一のレーザ照射手段により、発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、外側のカテーテルチューブ端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、発熱シャフトを発熱させるとともに、第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、一対のカテーテルチューブのうちの内側のカテーテルチューブと外側のカテーテルチューブ端部の末端近傍とを溶融し、外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着するよう制御する溶着制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項7のカテーテル接続装置では、さらに第一のレーザ照射手段を移動可能に支持するレーザ支持手段を有し、第一のレーザ照射手段はレーザ光の出力を移動位置に対応して可変可能であり、溶着制御手段は、溶着対象部分において、レーザ支持手段及び第一のレーザ照射手段から照射する近赤外のレーザ光を外側のカテーテルチューブの末端位置から外側のカテーテルチューブの中央に向けた所定位置の間で、発熱シャフトの軸方向に移動させ、外側のカテーテルチューブの末端側はレーザ光の出力を高く、当該外側のカテーテルチューブ上で末端から離れる方向に向けてレーザ光の出力を徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着することを特徴としている。
【0017】
請求項8のカテーテル接続装置では、一対のカテーテルチューブの端部である溶着対象部分を撮影するカメラ手段と、カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、所定の情報を登録可能な記憶手段と、記憶手段に第一のレーザ照射手段のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、を更に設け、溶着制御手段は、登録読出し手段を用いて、カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を記憶手段に登録し、更にレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置での溶着条件を登録し、登録後、当該溶着条件で溶着したときの評価結果を当該溶着条件に関連付けて登録して、記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件をモニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にするようにしている。
【0018】
請求項9のカテーテル接続方法は、一対のカテーテルチューブを重ねて溶着して接続するカテーテルの接続方法であって、一対のカテーテルチューブに、レーザ光を受けて発熱する発熱シャフトを挿通し、一対のカテーテルチューブのうち外側のカテーテルチューブ端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなる加圧手段を嵌合して加圧した状態で、一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、遠赤外のレーザ光を加圧手段及び一対のカテーテルチューブの外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を用いて、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、第一のレーザ照射手段により、発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、外側のカテーテルチューブの端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、発熱シャフトを発熱させるとともに、第二のレーザ照射手段で、加圧手段及び外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、一対のカテーテルチューブのうちの内側のカテーテルチューブと外側のカテーテルチューブ端部の末端近傍とを溶融し、外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着することを特徴としている。
【0019】
請求項10のカテーテル接続方法は、溶着対象部分の溶着では、第一のレーザ照射手段を移動し、当該第一のレーザ昭手段が照射する近赤外のレーザ光を外側のカテーテルチューブの端部の末端位置から発熱シャフトの軸方向に移動させ、外側のカテーテルチューブの末端側は当該レーザ光の出力を高く、当該外側のカテーテルチューブ上で末端から離れる方向に向けて当該レーザ光の出力が徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着することを特徴としている。
【0020】
請求項11のカテーテル接続装置では一対のカテーテルチューブを突合せ溶着して接続するカテーテル接続装置であって、一対のカテーテルチューブ内に挿通されレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトと、発熱シャフトを支持して回転させる発熱シャフト回転手段と、一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなり、一対のカテーテルチューブに嵌合して、一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を軸心に向けて加圧する加圧手段と、遠赤外のレーザ光を加圧手段及び一対のカテーテルチューブの突合せ面近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を有し、発熱シャフトを一対のカテーテルチューブに通し、一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を溶着対象部分として加圧手段で嵌合して加圧した状態で、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、第一のレーザ照射手段により、発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、一対のカテーテルチューブの突合せ面の位置に近赤外のレーザ光を照射し、発熱シャフトを発熱させるとともに、第二のレーザ照射手段で、加圧手段及び一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍の所定の大きさの照射領域に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を溶融し、一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍の溶着対象部分を溶着するよう制御する溶着制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0021】
請求項12のカテーテル接続装置では、一対のカテーテルチューブの端部である溶着対象部分を撮影するカメラ手段と、カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、所定の情報を登録可能な記憶手段と、記憶手段に第一のレーザ照射手段のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、を更に設け、溶着制御手段は、登録読出し手段を用いて、カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を記憶手段に登録し、更にレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置での溶着条件を登録し、登録後、当該溶着条件で溶着したときの評価結果を当該溶着条件に関連付けて登録して、記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件をモニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にしている。
【0022】
請求項13のカテーテルの接続方法では、一対のカテーテルチューブを突合せ溶着して接続するカテーテルの接続方法であって、一対のカテーテルチューブに、レーザ光を受けて発熱する発熱シャフトを挿通し、一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を溶着対象部分として、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなる加圧手段を嵌合して加圧した状態で、一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、遠赤外のレーザ光を加圧手段及び一対のカテーテルチューブの突合せ面近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を用いて、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、第一のレーザ照射手段により、発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、一対のカテーテルチューブの突合せ面の位置に近赤外のレーザ光を照射し、発熱シャフトを発熱させるとともに、第二のレーザ照射手段で、加圧手段及び一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、前記一対のカテーテルチューブの突合せ面近傍を溶融し、前記一対のカテーテルチューブを突合せた溶着対象部分を溶着することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
上記手段を用いる本発明の請求項1及び請求項4に記載のバルーンカテーテル製造装置及びバルーンカテーテル製造方法によれば、第一と第二のレーザ照射手段を用い、第一のレーザ照射手段からのレーザ光がバルーン及びカテーテルチューブを透過して発熱シャフトを発熱させ、カテーテルチューブの内側から加熱を行うとともに、第二のレーザ照射手段からのレーザ光でバルーン及びカテーテルチューブの外周面を外側から加熱することで、バルーンを過剰に加熱するのを抑え、バルーンの破れ等を防ぎつつ溶着を行うことができる。
【0024】
また、カテーテルチューブの内側と外側から加熱しながら、加圧手段である加圧チューブにより軸心方向に加圧することで、バルーンがカテーテルチューブ内へと溶け込むように溶着される。溶着対象部分を均等に加圧して溶着後の表面形状に凹凸を生じさせることなく溶着することができる。
これにより、用途に適した所望の表面形状とすることができ、医療用としても良好に用いることのできるバルーンカテーテルを製造することができる。
【0025】
また、請求項2及び請求項5に記載のバルーンカテーテル製造装置及びバルーンカテーテル製造方法によれば、第一のレーザ照射手段が移動可能であり、当該レーザ光の出力が可変可能であることで、溶着対象に応じた条件で溶着を行うことができる。そして、バルーンの末端側はレーザ光の出力を高く、バルーンの中央側はレーザ光の出力を低くして溶着を行うことで、バルーンの中央側に向かうにつれて、シャフトの発熱度合いは低下し、バルーン端部の溶け込み度合いも低下することとなり、バルーンの端部末端の外径がチューブ外径と一致し、そこからバルーンの中央側へと滑らかに拡がった形状のバルーンカテーテルとすることができる。
【0026】
また、請求項3のバルーンカテーテル製造装置によれば、多種多様な寸法形状のバルーンカテーテル溶着作業について、既に溶着結果を確認済みである溶着条件の中から、所望の溶着作業について評価の高い順に記憶手段から読み出してモニタ表示させ、その中から溶着条件を任意に選択して溶着作業することができるので、所望のバルーンカテーテルを安定的かつ高品質に製造することができる。
【0027】
請求項6及び請求項9に記載のカテーテル接続装置及びカテーテルの接続方法によれば、発熱シャフトに一対のカテーテルチューブを通し、一対のカテーテルチューブの端部である溶着対象部分に加圧手段を嵌合した状態で、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、第一のレーザ照射手段により一対のカテーテルチューブの溶着対象部分の内側に位置する発熱シャフトの外周面にレーザ光を所定の大きさの照射領域で照射することで発熱シャフトを発熱するとともに、第二のレーザ照射手段からのレーザ光でバルーン及びカテーテルチューブの外周面を外側から加熱することで、一対のカテーテルチューブを内側と外側から加熱して、溶着対象部分の表面形状に凹凸を生じさせることなく溶着することができる。
【0028】
請求項7及び請求項10に記載のカテーテル接続装置及びカテーテルの接続方法では、第一のレーザ照射手段が移動可能であり、当該レーザ光の出力を可変可能であることで、溶着対象部分の所定位置に応じた条件で溶着を行うことができる。
請求項8のカテーテル接続装置では、記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件をモニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にしている。
【0029】
請求項11及び請求項13に記載のカテーテル接続装置及びカテーテルの接続方法によれば、発熱シャフトに一対のカテーテルチューブを通し、一対のカテーテルチューブの端部を突き合わせた溶着対象部分に加圧手段を嵌合した状態で、発熱シャフト回転手段により発熱シャフトを回転させながら、第一のレーザ照射手段により一対のカテーテルチューブの溶着対象部分の内側に位置する発熱シャフトの外周面にレーザ光を所定の大きさの照射領域で照射することで発熱シャフトを発熱するとともに、第二のレーザ照射手段からのレーザ光でバルーン及びカテーテルチューブの外周面を外側から加熱することで、一対のカテーテルチューブを内側と外側から加熱して、溶着対象部分の表面形状に凹凸を生じさせることなく溶着することができる。
【0030】
請求項12のカテーテル接続装置では、記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件をモニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】バルーンカテーテル製造装置の外観斜視図である。
【図2】バルーンカテーテル製造装置の外観斜視図である。
【図3】バルーンカテーテル製造装置の概略内部構成図である。
【図4】バルーンカテーテル製造装置にセットされたバルーンカテーテルを示した概略図である。
【図5】レーザ光源からの距離とレーザ照射領域の大きさの関係を示す概念図である。
【図6】溶着前におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図7】溶着後におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図8】(a)溶着前におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図(b)溶着後におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図9】溶着完了前におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図10】溶着後におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図11】バルーンカテーテルのレーザ光照射開始位置、レーザ光照射終了位置の一例を示す断面図である。
【図12】メモリ部25に記憶したバルーンカテーテルの溶着条件のデータ構造を示す図である。
【図13】メモリ部25に溶着条件を登録する動作手順を示すフローチャートである。
【図14】メモリ部25に登録した溶着条件を読み出して溶着動作をさせる手順を示したフローチャートである。
【図15】レーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置までレーザ出力を段階的に変化させた状態を示す図である。
【図16】レーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置までレーザ出力を段階的に変化させた状態を示す図である。
【図17】レーザ光照射開始位置、所定位置Xm-1やXn-1、レーザ光照射終了位置でレーザ出力を連続的に変化させた状態を示す図である。
【図18】レーザ光照射開始位置、所定位置Xm-1やXn-1、レーザ光照射終了位置での溶着条件を登録する動作手順を示すフローチャートである。
【図19】バルーンカテーテルの第1変形例を示した概略図である。
【図20】バルーンカテーテルの第2変形例を示した概略図である。
【図21】溶着前における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図22】溶着後における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図23】溶着完了前における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図24】溶着後における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図25】溶着前における、太さが同じ一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図26】溶着後における、太さが同じ一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図27】溶着前における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図28】溶着後における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図29】溶着前における、太さが同じ一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図30】溶着後における、太さが同じ一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図31】溶着前における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図32】溶着後における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図33】溶着前における、太さの違う一対のカテーテルの溶着対象部分を示した断面図である。
【図34】バルーンカテーテル製造装置の外観斜視図である。
【図35】バルーンカテーテル製造装置のカバー部を開けたときの外観斜視図である。
【図36】バルーンカテーテル製造装置の第一のレーザ照射手段8から照射するレーザ光の照射状態を示すイメージ図である。
【図37】バルーンカテーテル製造装置の第二のレーザ照射手段108から照射するレーザ光の照射状態を示すイメージ図である。
【図38】バルーンカテーテル製造装置の第一のレーザ照射手段8と第二のレーザ照射手段108から照射するレーザ光の照射状態を示すイメージ図である。
【図39】バルーンカテーテル製造装置の第一のレーザ照射手段8と第二のレーザ照射手段108の出力状況を示す図である。
【図40】バルーンカテーテル製造装置の第一のレーザ照射手段8と第二のレーザ照射手段108の他の出力状況を示す図である。
【図41】従来のカテーテル溶着装置の溶着対象部分近傍の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1を参照すると、本発明の実施の形態1に係るバルーンカテーテル製造装置の外観斜視図が示されている。
図1に示すように、バルーンカテーテル製造装置1の外観は、溶着作業が行われる部分を覆い隠すカバー部2、溶着に関する情報を表示するモニタ部4、溶着に関する種々の設定等を行う溶着操作部6から構成されている。
【0033】
カバー部2は開閉可能であり、閉塞時のカバー部2内部で溶着作業が行われる。図2に、当該カバー部2を開けたときのバルーンカテーテル製造装置1の外観斜視図を示す。なお、図2では、図示しないシャフト14(発熱シャフト)を把持して所定回転数で回転させるチャック16(発熱シャフト回転手段)と、第一のレーザ照射手段8および第二のレーザ照射手段108とカメラ12の位置関係がわかるように簡略化して示している。
【0034】
第一のレーザ照射手段8は発熱シャフト回転手段であるチャック16の上方に配置してあり、第二のレーザ照射手段108はチャック16の斜め下方に配置してある。カバー部2は、溶着作業時にゴミや作業者の手等が侵入するのを防ぐことと、レーザ光の遮へいを兼ねており、溶着作業の安全性を確保するためのものである。
モニタ部4は、タッチパネルであり、溶着操作部6で操作可能な事項以外にも当該モニタ部4の画面上の表示に応じた操作が可能である。
【0035】
溶着操作部6には、バルーンカテーテル製造装置1の電源ボタン、レーザ光照射開始位置(溶着開始位置)あるいはレーザ光照射終了位置(溶着終了位置)の調整・登録ボタン、手動操作ボタン、非常停止ボタン、及び溶着開始ボタン等が設けられている。
次に、バルーンカテーテル製造装置1の内部構成について説明する。
図3を参照すると、本発明に係るバルーンカテーテル製造装置の概略内部構成図が示されている。
【0036】
図3に示すように、バルーンカテーテル製造装置1の内部には、溶着対象に対してレーザ光を照射する第一のレーザ照射手段8、当該第一のレーザ照射手段8を移動可能に支持するレーザ支持手段10、同じく溶着対象に対してレーザ光を照射する第二のレーザ照射手段108、そして、必要により第二のレーザ照射手段108を軸方向に移動可能に支持する第二のレーザ照射手段の支持手段108a、レーザ照射位置を撮影するカメラ12、一方向に延びたシャフト14(発熱シャフト)、シャフト14の一端を支持しつつ回転させることが可能なチャック16(発熱シャフト回転手段)、及びシャフト14の他端側を回転自在に支持する3つのシャフトガイド18、20、22から構成されている。なお、シャフトガイドはチャック16に近い側から順に、フロントシャフトガイド18、センターシャフトガイド20、リアシャフトガイド22と称し、センターシャフトガイド20及びリアシャフトガイド22は上記図1に示すように、モニタ部4の下部に設けられている。これらセンターシャフトガイド20及びリアシャフトガイド22以外はカバー部2の内側に設けられている。
【0037】
また、上記モニタ部4、溶着操作部6、第一のレーザ照射手段8、レーザ支持手段10、第二のレーザ照射手段108、カメラ12等の各種デバイスは、溶着制御部24と電気的に接続されている。
これら各種デバイスついて詳しく説明すると、第一のレーザ照射手段8は、例えば半導体レーザであり、チャック16に固定されている状態のシャフト14にレーザ光を照射するよう下方に指向している。当該第一のレーザ照射手段8より照射されるレーザ光は、シャフト14付近の所定の点で集束する円錐状をなして照射される。また、当該レーザ光の波長は700nm〜1200nmの範囲であり、好ましくは800nm〜1000nmである。第二のレーザ照射手段108は、例えばCO2レーザであり遠赤外のレーザ光を照射する。当該レーザ光の波長は例えば10640nmである。
【0038】
レーザ支持手段10は、腕部10aが第一のレーザ照射手段8に連結されており、当該腕部10aとともに第一のレーザ照射手段8をシャフト14と直交する上下方向(Z軸方向)及びシャフト14と同方向の水平方向(X軸方向)に移動可能に形成されている。
カメラ12は、例えばCCDカメラであり、レーザ照射位置の様子を動画撮影するものである。当該カメラ12は、レーザ支持手段10のX軸方向の移動と連動するよう支持されており、第一のレーザ照射手段8がX軸方向に移動した場合でもレーザ照射位置を撮影し続けるよう構成されている。
【0039】
シャフト14は、上記第一のレーザ照射手段8により照射されるレーザ光を受けて発熱するものであり、例えばステンレスのワイヤである。
チャック16は、シャフト14がX軸上に延びるよう当該シャフト14の一端を支持し、当該シャフト14の軸心を中心として当該シャフト14を回転させるものである。
フロントシャフトガイド18、センターシャフトガイド20、リアシャフトガイド22は、それぞれシャフト14の他端側を回転自在に支持するものである。
【0040】
溶着制御部24は、電気的に接続された上記各種デバイスからの情報が入力され、当該情報に基づき各種デバイスを制御するものである。例えば、溶着制御部24はカメラ12で撮影した映像をモニタ部4に表示させる。また、溶着制御部24は、溶着操作部6やモニタ部4に対し行われた操作に応じて、対応するデバイスの作動制御を行う。具体的には、第一のレーザ照射手段8に対する制御としてレーザ光の出力調整を行い、レーザ支持手段10に対して第一のレーザ照射手段8をX軸方向に移動させることでレーザ照射位置の調整を、Z軸方向に移動させることでレーザ照射面積の調整をそれぞれ行う。また、溶着制御部24はチャック16の回転数を調整することで溶着対象に対してレーザ光が照射される時間を調整する。
【0041】
これらレーザ光の出力調整、第一のレーザ照射手段8のZ軸方向及びX軸方向の移動、チャック16の回転数等の各種パラメータは予め作業者により設定されるものであり、例えば溶着の進行度合いに応じてレーザ光の出力を可変設定することも可能である。
次に溶着対象であるバルーンカテーテルについて説明する。
図4にはバルーンカテーテル製造装置にセットされたバルーンカテーテルを示した概略図を示している。
【0042】
図4に示すように、バルーンカテーテル26は、収縮または折り畳まれた状態から膨張可能なバルーン28と、当該バルーン28の両端部28b、28cに挿入された管状のカテーテルチューブ30a、30bとから構成されている。
詳しくは、バルーン28は、膨張時に大径の円筒状をなす本体部28aの両端側が軸心に向かってテーパ状に縮小しており、両方の端部28b、28cは小径の円筒状をなしている。当該バルーン28は、柔軟性を有し且つ上記第一のレーザ照射手段8から照射されるレーザ光を透過する透明な樹脂素材、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンから構成されている。
【0043】
カテーテルチューブ30a、30bは、バルーン端部28b、28cの内径とほぼ同径の外径をなし、且つ上記シャフト14とほぼ同径の内径をなした管部材である。そして、当該カテーテルチューブ30a、30bは柔軟性を有し、且つ上記第一のレーザ照射手段8から照射されるレーザ光を透過する樹脂素材からなっている。また、当該カテーテルチューブ30a、30bの厚みは上記バルーン28の厚みよりも厚い。なお、バルーン28及びカテーテルチューブ30a、30bは、当該レーザ光を透過する素材であればよく、カテーテルチューブ30a、30bがレーザ光を吸収し発熱する場合であってもよい。また、色は透明に限られるものではない。例えば、黒色等に僅かに着色された素材で、当該レーザ光の照射を受けてバルーン28自体またはカテーテルチューブ30a、30b自体が多少発熱するものであっても、当該レーザ光がカテーテルチューブ30a、30bより内側まで透過されるものであればよい。
【0044】
そして、バルーン端部28b、28cにカテーテルチューブ30a、30bを挿入し、このバルーン端部28b、28cとカテーテルチューブ30a、30bが重ね合わさった部分のバルーンの端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分とする。
当該溶着対象部分を上記バルーンカテーテル製造装置1により溶着する際、溶着対象部分内側であるカテーテルチューブ30a、30b内には上記シャフト14が挿通され、溶着対象部分外側であるバルーン端部28b、28c外側からカテーテルチューブ30a、30bの一部にかけては加圧チューブ32a、32bが嵌合される。
【0045】
当該加圧チューブ32a、32bは、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材を用いる。例えば、シリコン(シリコンゴム)に添加物を入れて不透明にして遠赤外のレーザ光を吸収するようにしたものでよい。なお、加圧チューブ32a、32bの肉厚はバルーンの外周面を発熱させる目的からすると薄いほうがよい。肉厚が厚いとバルーンの外周面の発熱が遅くなるためである。
【0046】
本発明の加圧チューブ32a、32bとしては、加圧力を確保するために熱収縮チューブを用いてもよい。熱収縮チューブは一般的に扱いにくいのであるが、本発明の場合、レーザ光を照射する範囲をバルーンの末端近傍に絞って加熱するため、熱収縮チューブの所望の範囲を熱収縮させることができ、所望の範囲の加圧力を高めることができるからである。
【0047】
当該加圧チューブ32a、32bは環状をなしており、その内径はバルーン端部28b、28cの外径よりも僅かに小径であり、当該加圧チューブ32a、32bをバルーン端部28b、28cに嵌合させることで、その弾性力により当該バルーン端部28b、28c及びカテーテルチューブ32a、32bを軸心にあるシャフト14の方へ加圧するものである。また、加圧チューブ32a、32bは、少なくともバルーンの端部の末端を含む当該末端近傍という溶着対象部分を覆うように、バルーン端部28b、28cからカテーテルチューブ30a、30bにかけて嵌合されており、バルーン端部28b、28cとカテーテルチューブ30a、30bとの段差により、僅かにすき間が生じている。
【0048】
このようにバルーンカテーテル26は、シャフト14及び加圧チューブ32a、32bが装着された状態で、上記バルーンカテーテル製造装置1にセットされる。このとき、バルーン28がチャック16及びフロントシャフトガイド18との間に位置するよう配置され、シャフト14の一端をチャック16が把持し、シャフト14の他端側を各シャフトガイド18、20、22が支持する。
【0049】
以下、溶着前のバルーンカテーテル26をセットしたバルーンカテーテル製造装置1による溶着方法について説明する。図5は、レーザ光源の一つである、第一のレーザ照射手段8からレーザ照射領域までの距離とレーザ照射領域の大きさの関係を示す概念図である。第一のレーザ照射手段8からレーザ光は、逆円錐状に絞って照射している。そのため、溶着対象部分が第一のレーザ照射手段8に近い位置ではレーザ照射領域が大きく、遠ざかるほどレーザ照射領域が小さくなる。図5で、第一のレーザ照射手段8からの距離がZ0のときはレーザ照射領域が大きく(A0)、第一のレーザ照射手段8から離れるにしたがって(Z1、Z2)レーザ照射領域が小さくなる(A1、A2)ことが理解される。
【0050】
図6には溶着前におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図が示されおり、図7には溶着後におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図が示されている。上記図4、5に加え当該図6、図7に基づき溶着方法について説明する。
図4に示すように、本実施形態ではバルーン28の一端側の端部28bを溶着した後、他端側の端部28cを溶着するものとする。
【0051】
まず、バルーン28の一端側及び他端側の溶着開始位置を設定する。これは作業者がモニタ部4に表示されるカメラ映像を介し、バルーンカテーテル26の位置を確認しながら、溶着操作部6を操作して、適切な溶着開始位置を決定する。本実施形態では、バルーン28の一端側及び他端側の端部28b、28cの末端位置をそれぞれの溶着開始位置とし、メモリ部(記憶手段)25に登録する。なお、溶着開始位置からレーザ光の照射を開始するので、溶着開始位置はレーザ光照射開始位置ということになる。同様に、溶着終了位置でレーザ光の照射を終了するので、溶着終了位置はレーザ光照射終了位置ということになる。
【0052】
溶着開始位置が決まった後、バルーン28の一端側及び他端側における、Z軸方向に沿った第一のレーザ照射手段8の位置及びレーザ出力を設定する。ここで、レーザ出力は溶着の進行度合いに応じて変更可能であり、例えば本実施形態では溶着が進むにつれて徐々にレーザ出力を低下させるよう設定する。このZ軸方向に沿った第一のレーザ照射手段8の位置については溶着パラメータの一つとして、メモリ部25に記憶させる。
【0053】
このように溶着に関する条件の設定を行った後、カバー部2を閉じた状態で溶着操作部6の溶着開始ボタンを押すことで、溶着制御部24による各種デバイス制御により、設定に応じた溶着作業がスタートする。
当該溶着作業は設定された条件に応じて、図6に示すように、チャック16がシャフト14を回転させることで当該シャフト14、カテーテルチューブ30a、30b、バルーン28、及び加圧チューブ32a、32bを一体に回転させる。なお、図6やその他の各図では、説明の便宜上、バルーン28、カテーテルチューブ30aの厚さを現実のものよりも厚く記載しており、例えば図6ではバルーン端部28b末端の外周面とカテーテルチューブ30aの外周面の間に段差があるよう記載されているが、現実はこの段差はごく僅かなものである。図6では、加圧チューブ32aとして、熱収縮チューブを用いた場合を示している。図6で、加圧チューブ32aの内面とカテーテルチューブ30aの外周面の間に隙間があるように記載しているが、この隙間もごく僅かなものである。そのため、加圧チューブ32aである熱収縮チューブが収縮し始めると、加圧チューブ32aの内面とカテーテルチューブ30aの外周面は直ぐに密着する。
【0054】
続いて、第一のレーザ照射手段8からレーザ光が照射され、この照射されたレーザ光は、加圧チューブ32a、バルーン端部28b、カテーテルチューブ30aを透過して、シャフト14に照射される。シャフト14は、当該レーザ光が照射されることで発熱する。そして、このシャフト14の発熱部Bからの熱を受けてカテーテルチューブ30aが加熱され、この加熱されたカテーテルチューブ30aから熱を受けてバルーン端部28bが加熱される。
【0055】
また本発明は、上記のようにシャフト14を発熱させるとともに、第二のレーザ照射手段108で、加圧チューブ32aと、バルーン端部28bと、カテーテルチューブ30aの外周面上でありバルーン端部28bの末端を含む末端近傍を照射して発熱させる。第二のレーザ照射手段108は、炭酸ガスレーザ(CO2レーザ)装置を用いている。第二のレーザ照射手段108からのレーザ光は遠赤外のレーザ光であり、加圧チューブ32aと、バルーン端部28bとカテーテルチューブ30aの表面(外周面)を発熱させる。図6に、第二のレーザ照射手段108と、照射するレーザ光の範囲と、発熱部Sを示した。
【0056】
本発明では、バルーン端部28bとカテーテルチューブ30aを内側から加熱するとともに、バルーン端部28bの末端を含む末端近傍の外周面を加熱している。そのため、加圧チューブ32aの加圧力でバルーン端部28bをカテーテルチューブ30aに埋め込むとともに、バルーン端部28bとカテーテルチューブ30aの外周面が滑らかに一体化する。
【0057】
特に、本発明では、バルーン端部28bの末端とカテーテルチューブ30aの溶着部分に段差を生じないようにすることを目的としている。そして上記のように本発明では、バルーン端部28bがカテーテルチューブ30aに単に埋め込まれるだけでなく、バルーン端部28bとカテーテルチューブ30aの外周面を第二のレーザ照射手段108により加熱して、両者の表面が滑らかに一体化するようにしている。
【0058】
図7では、溶融部Cを、溶着後のバルーンカテーテルの溶着対象部分の断面図中に細かいハッチング(斜線)をつけて示した。カテーテルチューブ30a及びバルーン端部28bは、内側と外側から加熱されて融点に達することで溶融する。カテーテルチューブ30a及びバルーン端部28bは、加圧チューブ32aにより軸心方向に加圧されているので、溶融して流動性が生じると、加圧チューブ32aとカテーテルチューブ30aとの間のバルーン端部28bの先端側(後述する図8のE部分)へ流れ込むように、バルーン端部28bがカテーテルチューブ30a表面から内側へと溶け込み、融合していく。
【0059】
このことを図8(a)(b)を用いて少し詳しく説明する。加圧チューブ32aは、カテーテルチューブ30aのみの部分と、カテーテルチューブ30aの外にバルーン端部28bが重なった部分の両方を加圧する。そのため、加熱前は図8(a)のように、カテーテルチューブ30aのみの部分と、カテーテルチューブ30aの上にバルーン端部28bが重なった部分の厚さが違うため、図8の白抜き矢印の大きさの違いで示しているように、段差のあるE点を境として圧力差を生じている。加圧チューブ32aに熱収縮チューブを用いたときは、加熱前はカテーテルチューブ30aのみの部分に加圧力はほとんど作用していない。
【0060】
それが、カテーテルチューブ30a及びバルーン端部28bが内側と外側から加熱され、溶融して流動性が出ると、図8(b)のように、段差を維持する力がなくなるため、段差は消滅し、バルーン端部28(b)とカテーテルチューブ30aとのつなぎ目が段差や凹凸のない滑らかな曲面でつながった形状に変わる。特に、本発明では、バルーン端部28bとカテーテルチューブ30aの外周面を第二のレーザ照射手段108により加熱しているため、バルーン端部28(b)とカテーテルチューブ30aとのつなぎ目の表面が滑らかに一体化する。
【0061】
そして、第一のレーザ照射手段8が予め設定した時間及び予め設定されたレーザ出力変化でレーザ光を照射すると、一端側の溶着作業は終了する。なお、第二のレーザ照射手段108によるレーザ照射のタイミングは、第一のレーザ照射手段8のレーザ照射のタイミングと同じでも良いし、若干ずらしても良い。溶着作業の条件に応じて任意に設定すればよい。
【0062】
続いて、他端側の溶着開始位置まで移動し、一端側と同様に設定に応じた溶着作業を行う。バルーン28の一端側及び他端側の溶着作業が終了した後は、シャフト14をチャック16から外し、加圧チューブ32a、32bを及びシャフト14を外すことで、バルーンカテーテル26が完成する。
このようにしてバルーン端部28b、28cとカテーテルチューブ30a、30bとを溶着したバルーンカテーテル28は、図7に示すように、バルーン端部28bの末端の外径がカテーテルチューブ30aの外径と一致するよう一体をなし、そこから本体側へと滑らかに拡がった形状をなしている。
【0063】
以上のように、上記バルーンカテーテル製造装置1及び製造方法では、第一のレーザ照射手段8からのレーザ光がバルーン28及びカテーテルチューブ30a、30bを透過してシャフト14を発熱させ、カテーテルチューブ30a、30bの内側から加熱を行うとともに、第二のレーザ照射手段108で、バルーン端部及びカテーテルチューブの外周面上のバルーンの末端を含む当該末端近傍を照射して加熱することで、カテーテルチューブ30a、30bに比べて厚さの薄いバルーン28を過剰に加熱するのを抑え、バルーン28の破れ等を防ぎつつ溶着を行うことができる。
【0064】
また、カテーテルチューブ30a、30bの内側から加熱しながら、加圧チューブ32a、32bにより軸心方向に加圧している。また、バルーン端部及びカテーテルチューブの外周面上のバルーンの末端を含む当該末端近傍を加熱しながら、加圧チューブ32a、32bにより軸心方向に加圧している。これにより、バルーン28がカテーテルチューブ30a、30b内へと溶け込むように溶着される。そして、溶着対象部分を均等に加圧して溶着後の表面形状に凹凸を生じさせることなく溶着することができる。
【0065】
図6では、第一のレーザ照射手段8をZ軸方向に沿ってシャフト14に近い位置で固定し、比較的大きなレーザ照射領域にレーザ光を照射している。第一のレーザ照射手段8は固定しているが、シャフト14をチャック16で把持した状態で回転しているため、シャフト14外周表面にはレーザ照射領域の中心位置が最も発熱し、周辺部は発熱の程度が低くなっている。そしてレーザ照射領域の中心位置にあるバルーン28の端部28b、28cは、加圧チューブ32a、32bで加圧されるため、カテーテルチューブ30a、30bに埋没する形で溶融する。
【0066】
そして、第二のレーザ照射手段108で、バルーン端部28b、28c及びカテーテルチューブ30a、30bの外周面上のバルーン28の末端を含む当該末端近傍を照射して加熱しながら、加圧チューブ32a、32bにより軸心方向に加圧することで、バルーン端部28a、28bの末端の外周面とカテーテルチューブ30a、30bの外周面を溶着している。
【0067】
これにより、バルーン28の端部28bとカテーテルチューブ30aの表面は凹凸なく滑らかに溶着される。
また、バルーン28の一端側の溶着を終えた後、そのまま他端側の溶着を行うことができることで、バルーンカテーテル26の生産性を向上させることができる。
【0068】
(実施の形態2)
上記実施形態1では、X軸方向に関しては第一のレーザ照射手段8の位置を固定していたため、レーザ照射領域の中心から離れた周辺部になるほどシャフト14の発熱度合いは低下して、バルーン端部28bの溶け込みの度合いも低下している。そのため、バルーン端部28bの溶け込みが、レーザ照射領域の中心部分にとどまっていた。本発明の実施の形態2では、第一のレーザ照射手段8はX軸及びZ軸に沿って移動させ、レーザ光の出力を可変することで、溶着対象に応じた条件で溶着を行うことができるようにしている。
【0069】
図9では、第一のレーザ照射手段8をZ軸に沿ってシャフト14から上記実施形態1よりも少し離した位置に固定し、レーザ光を絞ってレーザ照射領域を小さくして照射するとともに、X軸に沿って移動させ且つレーザ出力を低下させる。レーザ照射領域の移動に伴い、発熱部BがX軸に沿って移動し、バルーン28とカテーテルチューブ30aの溶融部CもX軸に沿って移動する。また、この移動に伴いレーザ出力を低下させていく。このことにより、溶融部CはX軸方向に広がる。溶着後におけるバルーンカテーテルの溶着対象部分を示した断面図の図7と図10を対比すれば分かるように、バルーン端部28bはカテーテルチューブ30aに広い範囲で埋没するように溶融し、凹凸の無い滑らかな形で一体化される。
【0070】
なお実施の形態2では、第二のレーザ照射手段108の位置を固定したままにしている。第二のレーザ照射手段108の目的は、バルーン端部28b、28cの末端とカテーテルチューブ30a、30bの外周面を滑らかに段差なく溶着するためであり、バルーン端部の末端近傍の一定範囲を加熱すればよいからである。必要により、第一のレーザ照射手段8と同様にX軸に沿って移動させてもよい。
【0071】
つまり、バルーン28の両端で溶着作業をする場合、一端の溶着作業を終えた後、他端の溶着作業のために、第二のレーザ支持手段108aが第二のレーザ照射手段8を他端側へと、第一のレーザ照射手段8の移動とともに所定量移動させてもよい。また、例えばレーザ支持手段10が第二のレーザ照射手段8も移動可能に支持して、他端側に第一のレーザ照射手段8を移動させるとともに第二のレーザ照射手段108を所定量移動させてもよい。
【0072】
これにより、用途に適した所望の表面形状とすることができ、医療用としても良好に用いることのできるバルーンカテーテル26を製造することができる。
図11は、第一のレーザ照射手段8のレーザ光源のレーザ光照射開始位置、レーザ光照射終了位置の一例を示した溶着対象物であるバルーンとカテーテルチューブの断面図である。図11では、レーザ光源である第一のレーザ照射手段8のレーザ光を照射し始めるレーザ光照射開始位置(X1−1)と、レーザ光の照射を終了するレーザ光照射終了位置(X2−1)と、レーザ光照射開始位置(X1−1)から移動距離(L)だけ離れた、他端側の端部のレーザ光照射開始位置(X1−2)と、レーザ光の照射を終了するレーザ光照射終了位置(X2−2)の位置関係を示している。
【0073】
特に、本実施形態のように、バルーン28の末端側は第一のレーザ照射手段8のレーザ光の出力を高く、バルーン28の中央である本体側に向けてレーザ光の出力を低くして溶着を行うことで、本体側に向かうにつれて、シャフト14の発熱度合いは低下し、バルーン端部28b、28cの溶け込み度合いも低下することとなり、バルーン28の端部末端の外径がカテーテルチューブ30a、30bの外径と一致するよう一体をなし、そこから本体側へと滑らかに拡がった形状のバルーンカテーテル26とすることができる。
【0074】
このように、記憶手段であるメモリ部25にレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し、溶着時には、これらの位置の登録読み出し手段として機能する溶着制御部24により、メモリ部25から第一のレーザ照射手段8のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を読み出し、第一のレーザ支持手段8を用いてレーザ光をレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置まで照射することにより、バルーン28の端部とカテーテルチューブ30a、30bを重ねた溶着対象部分を溶着するようにしている。
【0075】
なお、図11で示したレーザ光照射開始位置(X1−1)からレーザ光照射終了位置(X2−1)に至る間に所定位置(Xm−1)、(Xn−1)を定め、それぞれの所定位置でのレーザ照射条件等の溶着条件をメモリ部25に登録しておき、登録後、溶着制御部24がメモリ部25から読み出した溶着条件で溶着対象部分を溶着するようにしてもよい。このことは、後に、図17、図18を用いて詳述する。
【0076】
また、図11では、バルーンの末端をレーザ光照射開始位置とし、バルーンの中央側の所定位置をレーザ光照射終了位置とした例を示したが、本発明では、バルーンの中央側の所定位置をレーザ光照射開始位置とし、バルーンの末端をレーザ光照射終了位置としてレーザ照射手段を逆向きに移動させてもよい。
図12は、メモリ部25に記憶したバルーンカテーテルの溶着条件のデータ構造を示す図である。図12では、溶着条件の溶着パラメータとして、例えば(1)レーザ光のレーザ照射領域(レーザスポット)の径、(2)シャフト14の回転数、(3)第一のレーザ照射手段8が固定か移動か、(4)レーザ光照射開始位置、(5)レーザ光照射終了位置、(6)第一のレーザ照射手段8の移動速度、(7)溶着するのはバルーン28の片側か両側か、(8)バルーン28の両側を溶着するのであれば、第一のレーザ照射手段8を移動させる距離、そしてバルーン28やカテーテルチューブ30a、30bについて(9)材質、(10)厚さの項目を例示している。メモリ部25には、これら一連の項目値を入れたものを一つの溶着条件として、複数記憶するようにしている。
【0077】
また、図12の各溶着条件については、実際に溶着した結果を評価した評価点を記憶できるようにしている。このことにより、所望のバルーンカテーテル26をつくるために溶着パラメータを変えて実際に溶着し、評価して、その評価結果を各溶着条件に付けて、評価点の高い順に溶着条件をソートして表示することにより、最適な溶着条件を見つけやすくしている。また例えば、実験計画法を利用して、各溶着パラメータを変えて実際に溶着して評価結果を入力すると、所望のバルーンカテーテル26を得るための最適溶着条件候補を見出すことが可能になる。
【0078】
図13は、メモリ部25に溶着条件を登録する動作手順を示すフローチャートである。溶着条件を登録する動作をフローチャートの手順に沿って説明すると、まず、バルーン28とカテーテルチューブ30a、30bの材質、厚さ等の条件を入力する(ステップS1)。
次にレーザスポット径を入力する(ステップS2)。シャフト14の回転数を入力する(ステップS3)。そして、第一のレーザ照射手段8を固定したままか、移動させるかを入力する(ステップS4)。第一のレーザ照射手段8を移動させる場合、レーザ光照射開始位置を入力する(ステップS5)。レーザ光照射終了位置を入力する(ステップS6)。第一のレーザ照射手段8の移動速度を入力する(ステップS7)。なお、第一のレーザ照射手段8を固定したままの場合は、ステップS5、6、7の動作は行わない。
【0079】
そして次に、溶着するのはバルーン28の片側の端部のみか、両方かを入力する(ステップS8)。バルーン28の両側の端部28b、28cを溶着する場合は、第一のレーザ照射手段8を移動する距離を入力する(ステップS9)。そして、他端側のレーザ光照射開始位置の入力(ステップS5)、レーザ光照射終了位置の入力(ステップS6)、移動速度を入力する(ステップS7)。バルーン28の片側のみ又は両側の端部についての入力が終われば、レーザ出力の可変設定あるいは、可変しないかを設定する。レーザ出力を可変する場合は、どのように可変するか溶着条件を入力する(ステップS10)。そして、実際に溶着し(ステップS11)、溶着評価結果を入力する(ステップS12)。以上を一つの溶着条件としてメモリ部25に登録する(ステップS13)。
【0080】
図14は、メモリ部25に登録した溶着条件を読み出して溶着動作をさせる手順を示したフローチャートである。所望するバルーン28とカテーテルチューブ30a、30bの材料について材質、厚さ等、溶着の仕様条件を入力する(ステップS21)。すると、入力した仕様条件と同一または類似のバルーンカテーテルを実際に溶着した溶着条件が、評価の高い順にモニタ部4に表示される(ステップS22)。その中から、任意に溶着条件を選択すると(ステップS23)、その選択した条件で溶着作業をおこなうことができる(ステップS24)。もし、それ以上の溶着条件を得たいのであれば、溶着パラメータのいずれかを任意に変えて上書きしてメモリ部25に登録して、新たな溶着条件で溶着を行うことができる。もし、従来より好ましい溶着結果が出れば、より好ましい溶着条件を得たことになる。
【0081】
本発明のバルーンカテーテル製造装置によれば、各溶着パラメータをワンセットの溶着条件として複数記憶しているだけでなく、実際に溶着した評価結果も入力して記憶しているため、高い評価の出た溶着条件を選択することで、安定的かつ高品質の溶着作業を行うことができる。いわば、バルーンカテーテル製造装置に溶着条件と評価結果を教え込む(ティーチングする)ことにより、所望するバルーンとカテーテルチューブの材料について材質、厚さ等、溶着の仕様条件を入力すると、その条件に対して評価結果の高い溶着条件を溶着条件候補としてモニタ表示させることができるので、評価済みの溶着条件候補の中から所望の溶着条件を迅速に選択できるという利点がある。
【0082】
なお、図12の溶着パラメータの項目には上げていないが、本発明では、既に説明したように、レーザ照射手段のレーザ出力を可変することができる。図15と図16に、溶着開始位置から溶着終了位置までレーザ出力を段階的に変化させる例を示す。図15に示した例では、溶着開始位置であるレーザ光照射開始位置(X1−1)から溶着終了位置であるレーザ光照射終了位置(X2−1)の間を5分割し、レーザ出力を5段階に順次減少させている。図16に示した例では、レーザ光照射開始位置(X1−1)からレーザ光照射終了位置(X2−1)の間を同じく5分割し、レーザ出力を初めの2/5の位置までは、最大出力を維持し、その後、段階的に減少させている。
【0083】
図15と図16のように、溶着開始位置でレーザ出力の最大出力を出し、その後段階的に減少させた場合、バルーンの最端部(端面近傍)をカテーテルチューブに埋没するように溶着させることができ、その後は、バルーンの端部がカテーテルチューブに埋没する量を減らすことができるので、溶着したバルーンとカテーテルチューブの表面を、凹凸の無いスムーズな曲面でつなぐことができる。
【0084】
このように、本発明は記憶手段(メモリ部25)に、第一のレーザ照射手段8のレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置と所定位置での溶着条件を登録しておくことにより、登録後、溶着制御手段(溶着制御部24)が記憶手段から溶着条件を読み出して、読み出した溶着条件で溶着対象部分を溶着するようにしている。
なお、上記ではレーザ光照射開始位置(X1−1)からレーザ光照射終了位置(X2−1)の間を同じく5分割した例を示したが、3分割でも、2分割でも任意の分割数を選択してもよい。また、レーザ出力について段階的に変える以外に、連続的にあるいはアナログ的に任意の値に変化するよう設定してもよい。例えば、図17のように、溶着開始位置である第一のレーザ照射手段8のレーザ光照射開始位置(X1−1)から溶着終了位置であるレーザ光照射終了位置(X2−1)までの間に、複数の所定位置(Xm−1、Xn−1)と各所定位置での溶着条件を定めておくことにより、図17のF点からG点、H点、I点へというように、レーザ照射部8が移動した所定位置に対応させて、レーザ出力を連続的かつ折れ線状に変化するようにしても良い。
【0085】
図18は、溶着条件を図17のように設定するときの設定手順をフロー図として示している。図18では、先に説明した図13のステップS1と同様に、バルーン28とカテーテルチューブ30a、30bの材質、厚さ等の条件を入力し、ステップS30で、レーザ光照射開始位置(X1−1)とその位置での溶着条件、例えばレーザ出力(P5)を入力する。そして、ステップS31で、所定位置(Xm−1)とその位置での溶着条件、例えばレーザ出力(P4)を入力し、ステップS32で、所定位置(Xn−1)とその位置での溶着条件、例えばレーザ出力(P2)を入力し、ステップS33で、レーザ光照射終了位置(X2−1)とその位置での溶着条件、例えばレーザ出力(P1)を入力する。このことにより、図17で説明したように第一のレーザ照射手段8の移動とともにレーザ出力を変化させることができる。バルーンカテーテルの両側について同様の溶着条件を設定するときは、図18のステップS9でステップS30に戻り、反対側の溶着条件を入力することは、図13で説明したのと同じ手順である。なお、図18の手順で、図13の手順と同じ手順については、同じステップ番号を付して説明を省略した。
【0086】
このように、バルーンカテーテル26は、バルーン端部28b、28cとカテーテルチューブ30a、30bのつなぎ目に段差や凹凸のない滑らかな形状であることで、医療用として血管等、体内に挿入する場合に体内を傷つけることなく安全な治療を行うことができる。
以上で本発明に係るバルーンカテーテル、バルーンカテーテル製造装置及び製造方法の実施形態1、2についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
【0087】
例えば、上記バルーンカテーテル26の第1変形例を図19に示す。図19に示すように、第1変形例のバルーンカテーテル40は、バルーン42の一端側端部42aと他端側端部42bとにそれぞれ径の異なる第1のカテーテルチューブ44、第2のカテーテルチューブ46が挿入されている。
このように、バルーン端部42a、42bにそれぞれ径の異なるカテーテルチューブ44、46を溶着する場合には、各カテーテルチューブ44、46の内径に合わせて途中で径が変化した2段階の径を持つシャフト48を用い、当該シャフト48を各カテーテルチューブ44、46の径に合わせて挿通する。これにより、径の異なるカテーテルチューブ44、46を溶着する場合でも上記バルーンカテーテル製造装置1によりバルーン42の両端部42a、42bを続けて溶着することができ、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0088】
また、上記バルーンカテーテル26の第2変形例を図20に示す。同図に示すように、バルーンカテーテル50は、バルーン52の両端部52a、52bを1本のカテーテルチューブ54を貫通して構成されている。当該カテーテルチューブ54にはバルーン52の本体部52cに対応する位置に薬剤等の流体をバルーン52内に供給可能な複数の孔54aが形成されている。
【0089】
このような構成のバルーンカテーテル50であっても、上記カテーテル製造装置1により上記実施形態同様、バルーン端部52a、52bとカテーテルチューブ54とを溶着することができ、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上記実施形態では、バルーンカテーテルは、血管内に挿入するものであったが、これに限られるものではなく、胸腔や腹腔等の体腔、消化管や尿管などの管腔部に使用するバルーンカテーテルであっても構わない。
【0090】
以上、本発明の実施の形態1、2では、中空の柔軟なカテーテルチューブの先端部に膨張及び収縮が可能なバルーンを溶着する場合を説明したが、本発明は、中空の柔軟なカテーテルチューブ同士を接続する場合にも適用することができる。
【0091】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について説明する。一般的に、カテーテルチューブ(以下、カテーテルと略す)は用途により、太さ1〜10mm程度、長さ数cmから2m近くまで種々のものが用いられている。中には、細いカテーテルと太いカテーテルを接続して、途中から太さを変えたものも使用されている。カテーテルを接続する場合、接続部分は、バルーンカテーテルの場合と同様に、体内を傷つけないよう滑らかな形状とする必要がある。そのため、本発明によれば、カテーテルの接続部分を用途に適した所望の表面形状とすることができ、医療用としても良好に用いることのできるカテーテルを製造することができる。
【0092】
図21に、細いカテーテルと太いカテーテルというように太さの違う一対のカテーテルチューブ端を重ね合わせ、レーザ光を照射して溶着して、途中から太さが変わるカテーテルを製造するときの溶着前における溶着対象部分の断面図を、図22に溶着後における溶着対象部分の断面図を示している。
図21では、シャフト14に当該シャフト14とほぼ同径の内径をなした細いカテーテルを内側チューブ60として被せ、内側チューブ60の上に当該内側チューブ60の外形とほぼ同径の内径をなし厚みの薄い太いカテーテルを外側チューブ61として被せ、外側チューブ61の端部から内側チューブ60の一部にかけて加圧チューブ32aを嵌合している。そして、第一のレーザ照射手段8からレーザ光を照射する。また、第二のレーザ照射手段108で、加圧チューブ32aと外側のチューブ61の末端を含む末端近傍の外周面にレーザ光を照射する。
【0093】
溶着対象部分に着目すれば、図21は、既に説明した図6のバルーン28を一定の太さの外側チューブ61に置き換えたものとして理解される。第一のレーザ照射手段8から発せられるレーザ光は、加圧チューブ32a、外側チューブ61、内側チューブ60を透過して、シャフト14に照射される。シャフト14は、当該レーザ光が照射されることで発熱する。そして、このシャフト14の発熱部Bからの熱を受けて内側チューブ60が加熱され、この加熱された内側チューブ60から熱を受けて外側チューブ61が加熱される。
【0094】
また、第二のレーザ照射手段108から発せられるレーザ光は、加圧チューブ32aと外側チューブ61の末端を含む末端近傍を照射して、内側チューブ60と外側チューブ61の末端を含む末端近傍の表面を発熱させる。
図22では、溶融部Cを溶着対象部分の断面図中に細かいハッチング(斜線)をつけて示した。内側チューブ60及び外側チューブ61は、内側から加熱されて融点に達することで溶融する。内側チューブ60及び外側チューブ61は、加圧チューブ32aにより軸心方向に加圧されているので、溶融して流動性が生じると、加圧チューブ32aと外側チューブ61との隙間部分へ流れ込むように、溶け込み、融合していく。そして、外側チューブ61の末端の外径が内側チューブ60の外径と一致するよう一体をなし、そこから外側チューブ61へと滑らかに拡がった形状をなしている。
【0095】
図23は、第一のレーザ照射手段8をZ軸に沿ってシャフト14から図21より少し離した位置に固定し、レーザ光を絞ってレーザ照射領域を小さくして照射するとともに、X軸に沿って移動させ且つレーザ出力を低下させるよう構成した場合を示している。図23の構成では、レーザ照射領域の移動に伴い発熱部BがX軸に沿って移動し、外側チューブ61と内側チューブ60の溶融部CもX軸に沿って移動する。また、レーザ照射領域の移動に伴いレーザ出力を低下させている。このことにより、溶融部CはX軸方向に広がっている。
【0096】
図24に、溶着後における溶着対象部分の断面図を示す。図24を、図22と対比すれば分かるように、外側チューブ61の端部は内側チューブ60に広い範囲で埋没するように溶融する。そして、凹凸の無い滑らかな形で一体化される。
以上、本発明の実施の形態3では、太さの違う一対のカテーテルの端部を重ね合わせた重ね合わせ部を溶着対象部分として、この溶着対象部分をレーザで溶着して接続する場合を説明した。
【0097】
(実施の形態4)
本発明は、一対のカテーテルの端面同士を突合せ溶着して接続する場合にも適用することができる。以下、実施の形態4として説明する。
図25は、太さの等しい一対のカテーテルのそれぞれの端面を突き合わせた状態で、外周部より加圧チューブ72で加圧し、第一のレーザ照射手段8と、第二のレーザ照射手段108からそれぞれレーザ光を照射することにより、一対のカテーテルを段差無く溶着している状態を示している。第一のレーザ照射手段8からのレーザ光は加圧チューブ72と一対のカテーテル、具体的には左側チューブ70と右側チューブ71の端部を透過し、シャフト14を発熱させ、左側チューブ70と右側チューブ71の端部を溶融させて一体に接続する。
【0098】
第二のレーザ照射手段108からのレーザ光は加圧チューブ72とその中にある左側チューブ70と右側チューブ71の端部の突合せ面を含む突合せ面近傍の外周面を加熱し、両者の外周面を滑らかに段差無く一体に接続する。図26は、太さの等しい一対のカテーテルを溶着して接続した後の状態を示している。
なお、実施の形態4では、加圧チューブ72の加圧力を実施の形態3の場合よりも小さくしている。実施の形態4の加圧チューブの役割は、一対のカテーテルの突き合わせ部分の外径寸法を保ったまま、溶融・固化させることである。一対のカテーテルの突き合わせ部分が溶融・固化したときに、表面が滑らかで若干細くなる程度であれば、体内あるいは血管内の通過性を損ねることはない。必要により、加圧チューブ72の材質、厚さ、あるいは構造を変えて、両端での加圧力を強く、中央部の加圧力を弱くしておくことにより、一対のカテーテルの突き合わせ部分の外径寸法を保ったまま、溶融・固化させることができる。
【0099】
図25、図26では、シャフト14が発熱し、シャフト14の熱が一対のカテーテルの突合せ面近傍を溶融させているが、一対のカテーテルの素材として、所定のレーザ吸収率のある素材を用いることにより、シャフト14を発熱させると同時に一対のカテーテル自体も同時に発熱させて溶融し、接続するようにしてもよい。
図27は、太さの違う一対のカテーテルのそれぞれの端面を突き合わせた状態で、外周部より加圧チューブ73で加圧し、レーザ光を照射することにより、一対のカテーテルを段差無く溶着している状態を示している。図27で、右側チューブ71の端面に、内径は等しいが外径が小さく太さの細い左側チューブ80の端面を突き合わせ、段差のある突合せ部分に加圧チューブ73を嵌合して加圧するため、図28のように突合せ部分の溶融部Cは、円錐状に固化する。
【0100】
なお、図示はしていないが、実施の形態2のように、一対のカテーテルの端面を突き合わせ部分を撮影するカメラ手段と、カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、記憶手段と、記憶手段にレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、レーザ照射手段を移動可能に支持するレーザ支持手段と、を更に設け、カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を記憶手段に登録し、溶着時には、記憶手段からレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を読み出し、レーザ支持手段を用いてレーザ光をレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置まで照射するときに、径の太いカテーテルにレーザ光を照射するときのレーザ光出力と、径の細いカテーテルにレーザ光を照射するときのレーザ光出力を変えて、カテーテルの太さに応じた溶着条件で溶着するようにしてもよい。このことにより、太さの違う一対のカテーテルの端面をより滑らかに接続することができる。
【0101】
また、図25、図27で示した実施の形態4の変形例として、図29、図31のように一対のカテーテルの端面を軸方向に傾いた円錐面Jとして、一方のチューブの円錐状の端面に、他方のチューブの端面が被さるようにしてもよい。一方のチューブの円錐状の端面に、他方のチューブの端面が被さるようにすれば、突き合せ部分の当接面積は広くなり、より広い当接面で一対のカテーテルを溶融させて一体にすることで、より確実に接続することができる。このことは、図23のように、太さの等しい一対のカテーテルのそれぞれの端面を円錐状にして突き合わせる場合だけでなく、図24のように、太さの違う一対のカテーテルのそれぞれの端面を円錐状にして突き合わせる場合にも適用することができる。
【0102】
太さの違う一対のカテーテルを溶着する際に、第一のレーザ照射手段8を軸方向に移動するとともに、径の太いカテーテルに照射するときのレーザ光の出力と、径の細いカテーテルに照射するときのレーザ光の出力を変えることにより、径の太さに応じた溶着条件で溶着することができること、第二のレーザ照射手段108のレーザ光により太さの違う一対のカテーテルの外周面を滑らかに溶着することについては、図32に示してあり、先に説明した通りである。
【0103】
また、図33に示したように、一方のカテーテル(右側チューブ)91の端面は円錐状にするが、他方のカテーテル(左側チューブ)95の端部を軸方向に直角に切断しただけの形状にして、一方のカテーテル91の円錐面に乗り上げるように重ね合わせ、重ね合わせ部分に加圧手段96を嵌合させ、加圧手段96の外からシャフト14の表面にレーザ光を照射し、シャフト14を発熱させて、重ね合わせ部分を溶着しても良い。図33の場合、端面を円錐状にするという特殊加工が、一方のカテーテル91だけですむという利点がある。
【0104】
(実施の形態5)
実施の形態1から4では、第一のレーザ照射手段8と第二のレーザ照射手段108を各別に、溶着対象部分に対して異なる角度から照射する構成を示した。実施の形態5では、第一のレーザ照射手段8のレーザ光と第二のレーザ照射手段108のレーザ光を溶着対象部分に対して同じ角度から照射する構成を説明する。
【0105】
図34に、本発明の実施の形態5にかかるバルーンカテーテル製造装置の外観斜視図を示す。図34に示すように、バルーンカテーテル製造装置500の外観は、溶着作業が行われる部分を覆い隠すカバー部2、溶着に関する情報を表示するモニタ部4、溶着に関する種々の設定等を行う溶着操作部6から構成されている。カバー部2は開閉可能であり、閉塞時のカバー部2内部で溶着作業が行われる。図35に、カバー部2を上方に開けたときのバルーンカテーテル製造装置500の外観斜視図を示す。なお、図35では、図示しないシャフト14(発熱シャフト)を把持して所定回転数で回転させるチャック16(発熱シャフト回転手段)と、第一のレーザ照射手段8および第二のレーザ照射手段108とカメラ12の位置関係がわかるように簡略化して示している。
【0106】
実施の形態1にかかるバルーンカテーテル製造装置1と大きく異なるのは、半導体レーザを出力する第一のレーザ照射手段8と、CO2レーザを出力する第二のレーザ照射手段108を設け、最終的に一つのレーザ光にして溶着対象部分を照射するようにした点である。第一のレーザ照射手段8から照射するレーザ光を例えば波長940nmの半導体レーザとし、第二のレーザ照射手段108から照射するレーザ光を例えば波長10.6μm(=10,600nm)のCO2レーザとしている。そして、図35に示したように、第一のレーザ照射手段8と第二のレーザ照射手段108を二つ並べてそれぞれのレーザ光を平行に出力し、反射ミラー19a、19b、19c、19dにより光路を引き回し、最終的に一つのレーザ光にして溶着対象部分を照射する。一つのレーザ光として溶着対象部分に対して同じ角度から照射しても、両者の波長は10倍強の違いがあるためレーザ光同士の干渉は起きない。
【0107】
図35では、図示しない発熱ワイヤ14を回転自在に支持するシャフトガイド18、20、22について数を増やした形を描いたが、シャフトガイドの数は任意に増減しても良い。本発明の実施の形態5にかかるバルーンカテーテル製造装置500の構成と制御方法は、基本的に図1、図2で示した実施の形態1にかかるバルーンカテーテル製造装置1と類似している。そのため、同じ部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0108】
第一のレーザ照射手段8から照射する半導体レーザ光(波長940nm)は可視光領域に近い為、透明に見えるものには透過する性質がある。そのため、バルーンやカテーテルチューブを透過してステンレスの加熱ワイヤを発熱させ、バルーンやカテーテルチューブを内側から発熱させる。図36に、この様子をイメージ的に図示した。
一方、第二のレーザ照射手段108から照射するCO2レーザ光(波長10.6μm)は遠赤外の領域であり、水やガラスといった透明なものにも吸収される性質がある。そのため、バルーンの表面を発熱(厳密に言うと収縮チューブの表面から発熱)させる。図37に、この様子をイメージ的に図示した。
【0109】
図38では、第一のレーザ照射手段8から照射する半導体レーザ光(波長940nm)と第二のレーザ照射手段108から照射するCO2レーザ光(波長10.6μm)を一つのレーザ光にして溶着対象部分に対して同じ角度から照射する状態をイメージ的に図示した。半導体(LD)レーザ光とCO2レーザ光は重なって一つのレーザ光として照射する。
このことにより、バルーン端部の末端近傍の外周面は外側から発熱し、バルーン端部の末端近傍とカテーテルチューブは内側から発熱する。そして、バルーン端部の末端近傍はカテーテルチューブに埋まり、バルーン端部の末端近傍のバルーンの外周面とカテーテルチューブの外周面が滑らかに段差無く溶着される。
【0110】
なお、第一のレーザ照射手段8からのレーザ光照射と、第二のレーザ照射手段108からのレーザ光照射の出力については、図39に示したように、溶着のはじめに、第一のレーザ照射手段8から照射する半導体レーザ光の出力を、例えば高出力から低出力に変化させ、第二のレーザ照射手段108については、照射するCO2レーザ光の出力を例えば低出力から高出力に変化させて、溶着はじめに内部を加熱後、外部を加熱して溶着してもよい。
【0111】
また、図40に示したように、溶着開始後、第一のレーザ照射手段8と、第二のレーザ照射手段108の出力を増大することにより、内外から同時にレーザ光を照射して内外から同時に加熱して溶着してもよい。溶着開始後、第一のレーザ照射手段8と、第二のレーザ照射手段108の出力を増大させたほうが、バルーンとカテーテルチューブを滑らかに段差無く溶着できる場合があるからである。
【符号の説明】
【0112】
1 バルーンカテーテル製造装置
2 カバー部
4 モニタ部
6 溶着操作部
8 第一のレーザ照射手段
10 レーザ支持手段
10a 腕部
12 カメラ
14、48 シャフト(発熱シャフト)
16 チャック(発熱シャフト回転手段)
18 フロントシャフトガイド
20 センターシャフトガイド
22 リアシャフトガイド
24 溶着制御部
26、40、50 バルーンカテーテル
28、42、52 バルーン
28a 本体部
28b、28c、42a、42b、52a、52b 端部
30a、30b、44、46、54 カテーテルチューブ
32a、32b、72、73、92、93、96 加圧チューブ
60 外側チューブ
61 内側チューブ
70、80、90、94、95 左側チューブ
71、91 右側チューブ
108 第二のレーザ照射手段
108a 第二のレーザ照射手段の支持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のバルーンの端部に管状のカテーテルチューブが挿入され、当該バルーンの端部と当該カテーテルチューブとを溶着するバルーンカテーテル製造装置であって、
前記カテーテルチューブ内に挿通されレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトと、
前記発熱シャフトを支持して回転させる発熱シャフト回転手段と、
前記バルーン及び前記カテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、
環状で前記近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなり、前記バルーン端部に嵌合してバルーン端部の末端を含んで、当該末端近傍を軸心に向けて加圧する加圧手段と、
遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記バルーンの端部の末端を含む末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を有し、
前記発熱シャフトに前記カテーテルチューブと前記バルーンの端部を重ね、更に前記バルーンの端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として前記加圧手段で嵌合して加圧した状態で、
前記発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記バルーン端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、
前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記バルーンの端部の末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、
前記カテーテルチューブと前記バルーン端部の末端近傍とを溶融し、溶着対象部分を溶着するよう制御する溶着制御手段と、を備えることを特徴とするバルーンカテーテル製造装置。
【請求項2】
さらに前記第一のレーザ照射手段を移動可能に支持するレーザ支持手段を有し、
前記第一のレーザ照射手段はレーザ光の出力を移動位置に対応して可変可能であり、
前記溶着制御手段は、前記溶着対象部分において、前記レーザ支持手段及び前記第一のレーザ照射手段から照射する近赤外のレーザ光を前記バルーン端部の末端位置から前記バルーンの中央に向けた所定位置の間で、前記発熱シャフトの軸方向に移動させ、前記バルーンの末端側は、当該レーザ光の出力を高く、前記バルーンの中央に向けて当該レーザ光の出力を徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、前記バルーン端部の溶着対象部分を溶着する請求項1記載のバルーンカテーテル製造装置。
【請求項3】
前記筒状のバルーンの端部にカテーテルチューブを挿入して重ねた溶着対象部分を撮影するカメラ手段と、
前記カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、
所定の情報を登録可能な記憶手段と、
前記記憶手段に前記第一のレーザ照射手段のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、を更に設け、
前記溶着制御手段は、前記登録読出し手段を用いて、
前記カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を前記記憶手段に登録し、
更にレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置での溶着条件を登録し、登録後、当該溶着条件で溶着したときの評価結果を当該溶着条件に関連付けて登録して、
前記記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件を前記モニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にする請求項1または請求項2に記載のバルーンカテーテル製造装置。
【請求項4】
筒状のバルーンの端部に管状のカテーテルチューブが挿入され、当該バルーンの端部と当該カテーテルチューブとを溶着するバルーンカテーテル製造方法であって、
前記バルーン端部に前記カテーテルチューブを挿入し、当該カテーテルチューブに、レーザ光を受けて発熱する発熱シャフトを挿通し、
前記バルーンの端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなる加圧手段で嵌合して軸心に向けて加圧した状態で、
前記バルーン及び前記カテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、
遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記バルーンの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を用いて、
発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記バルーン端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、
前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記バルーンの末端を含む当該末端近傍に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、
前記カテーテルチューブと前記バルーンの端部の末端近傍を溶融し、前記バルーン端部の溶着対象部分を溶着することを特徴とするバルーンカテーテル製造方法。
【請求項5】
前記溶着対象部分の溶着では、前記第一のレーザ照射手段を移動し、当該第一のレーザ照射手段が照射する近赤外のレーザ光を前記バルーン端部の末端位置から前記バルーンの中央に向けた所定位置の間で、前記発熱シャフトの軸方向に移動させ、前記バルーンの末端側は当該レーザ光の出力を高く、前記バルーンの中央に向けて当該レーザ光の出力が徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、前記バルーン端部の溶着対象部分を溶着することを特徴とする請求項4に記載のバルーンカテーテル製造方法。
【請求項6】
一対のカテーテルチューブを重ねて溶着して接続するカテーテル接続装置であって、
前記一対のカテーテルチューブ内に挿通されレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトと、
前記発熱シャフトを支持して回転させる発熱シャフト回転手段と、
前記一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、
環状で前記近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなり、前記一対のカテーテルチューブに嵌合して、前記一対のカテーテルチューブのうち外側のカテーテルチューブの端部の末端を含んで、当該末端近傍を軸心に向けて加圧する加圧手段と、
遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を有し、
前記発熱シャフトを前記一対のカテーテルチューブに通し、前記外側のカテーテルチューブ端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として前記加圧手段で嵌合して加圧した状態で、
前記発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記外側のカテーテルチューブ端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、
前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、
前記一対のカテーテルチューブのうちの内側のカテーテルチューブと前記外側のカテーテルチューブ端部の末端近傍とを溶融し、前記外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着するよう制御する溶着制御手段と、
を備えることを特徴とするカテーテル接続装置。
【請求項7】
さらに前記第一のレーザ照射手段を移動可能に支持するレーザ支持手段を有し、
前記第一のレーザ照射手段はレーザ光の出力を移動位置に対応して可変可能であり、
前記溶着制御手段は、前記溶着対象部分において、前記レーザ支持手段及び前記第一のレーザ照射手段から照射する近赤外のレーザ光を前記外側のカテーテルチューブの末端位置から外側のカテーテルチューブの中央に向けた所定位置の間で、前記発熱シャフトの軸方向に移動させ、前記外側のカテーテルチューブの末端側はレーザ光の出力を高く、当該外側のカテーテルチューブ上で末端から離れる方向に向けてレーザ光の出力を徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、前記外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着する請求項6記載のカテーテル接続装置。
【請求項8】
前記一対のカテーテルチューブの端部である溶着対象部分を撮影するカメラ手段と、
前記カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、
所定の情報を登録可能な記憶手段と、
前記記憶手段に前記第一のレーザ照射手段のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、を更に設け、
前記溶着制御手段は、前記登録読出し手段を用いて、
前記カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を前記記憶手段に登録し、
更にレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置での溶着条件を登録し、登録後、当該溶着条件で溶着したときの評価結果を当該溶着条件に関連付けて登録して、
前記記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件を前記モニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にする請求項6又は請求項7記載のカテーテル接続装置。
【請求項9】
一対のカテーテルチューブを重ねて溶着して接続するカテーテルの接続方法であって、
前記一対のカテーテルチューブに、レーザ光を受けて発熱する発熱シャフトを挿通し、
前記一対のカテーテルチューブのうち外側のカテーテルチューブ端部の末端を含む当該末端近傍を溶着対象部分として、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなる加圧手段を嵌合して加圧した状態で、
前記一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、
遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記一対のカテーテルチューブの外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を用いて、
発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記外側のカテーテルチューブの端部の末端位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、
前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記外側のカテーテルチューブの末端を含む当該末端近傍に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、
前記一対のカテーテルチューブのうちの内側のカテーテルチューブと前記外側のカテーテルチューブ端部の末端近傍とを溶融し、前記外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着することを特徴とするカテーテルの接続方法。
【請求項10】
前記溶着対象部分の溶着では、前記第一のレーザ照射手段を移動し、当該第一のレーザ昭手段が照射する近赤外のレーザ光を前記外側のカテーテルチューブの端部の末端位置から前記発熱シャフトの軸方向に移動させ、前記外側のカテーテルチューブの末端側は当該レーザ光の出力を高く、当該外側のカテーテルチューブ上で末端から離れる方向に向けて当該レーザ光の出力が徐々に低下させることで、当該レーザ光の移動した範囲で、前記外側のカテーテルチューブ端部の溶着対象部分を溶着することを特徴とする請求項9記載のカテーテルの接続方法。
【請求項11】
一対のカテーテルチューブを突合せ溶着して接続するカテーテル接続装置であって、
前記一対のカテーテルチューブ内に挿通されレーザ光を受けて発熱する発熱シャフトと、
前記発熱シャフトを支持して回転させる発熱シャフト回転手段と、
前記一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、
環状で前記近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなり、前記一対のカテーテルチューブに嵌合して、前記一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を軸心に向けて加圧する加圧手段と、
遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記一対のカテーテルチューブの突合せ面近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を有し、
前記発熱シャフトを前記一対のカテーテルチューブに通し、前記一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を溶着対象部分として前記加圧手段で嵌合して加圧した状態で、
前記発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記一対のカテーテルチューブの突合せ面の位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、
前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記一対のカテーテルチューブの前記突合せ面を含む当該突合せ面近傍の所定の大きさの照射領域に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、
前記一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を溶融し、前記一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍の溶着対象部分を溶着するよう制御する溶着制御手段と、
を備えることを特徴とするカテーテル接続装置。
【請求項12】
前記一対のカテーテルチューブの端部である溶着対象部分を撮影するカメラ手段と、
前記カメラ手段で撮影した画像を表示するモニタ手段と、
所定の情報を登録可能な記憶手段と、
前記記憶手段に前記第一のレーザ照射手段のレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を登録し読み出す登録読出し手段と、を更に設け、
前記溶着制御手段は、前記登録読出し手段を用いて、
前記カメラ手段で撮像した画像をモニタ手段に表示しているときにレーザ光照射開始位置ならびにレーザ光照射終了位置を前記記憶手段に登録し、
更にレーザ光照射開始位置からレーザ光照射終了位置に至る間の所定位置での溶着条件を登録し、登録後、当該溶着条件で溶着したときの評価結果を当該溶着条件に関連付けて登録して、
前記記憶手段から溶着条件を読み出すときに、評価の高い順に溶着条件を前記モニタ手段に表示して、任意の溶着条件を選択可能にする請求項11に記載のカテーテル接続装置。
【請求項13】
一対のカテーテルチューブを突合せ溶着して接続するカテーテルの接続方法であって、
前記一対のカテーテルチューブに、レーザ光を受けて発熱する発熱シャフトを挿通し、
前記一対のカテーテルチューブの突合せ面を含む当該突合せ面近傍を溶着対象部分として、環状で近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材からなる加圧手段を嵌合して加圧した状態で、
前記一対のカテーテルチューブを透過する近赤外のレーザ光を前記発熱シャフトの外周面上の所定の大きさの照射領域に照射する第一のレーザ照射手段と、
遠赤外のレーザ光を前記加圧手段及び前記一対のカテーテルチューブの突合せ面近傍の所定の大きさの照射領域を照射する第二のレーザ照射手段と、を用いて、
発熱シャフト回転手段により前記発熱シャフトを回転させながら、前記第一のレーザ照射手段により、前記発熱シャフトの外周面に、所定の大きさの照射領域で、前記一対のカテーテルチューブの突合せ面の位置に近赤外のレーザ光を照射し、前記発熱シャフトを発熱させるとともに、
前記第二のレーザ照射手段で、前記加圧手段及び前記一対のカテーテルチューブの前記突合せ面を含む当該突合せ面近傍に遠赤外のレーザ光を照射して発熱させ、
前記一対のカテーテルチューブの突合せ面近傍を溶融し、前記一対のカテーテルチューブを突合せた 溶着対象部分を溶着することを特徴とするカテーテルの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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