説明

バレイショ品種識別用プライマーセット及びそれを用いるバレイショ品種の識別方法

【課題】品種識別に利用できるDNAマーカーの情報がこれまで得られていなかったバレイショ品種について既存の品種と識別しうるDNAマーカーを特定し、それらのバレイショも含めた多種類のバレイショ品種を迅速かつ簡便に識別するための手段を提供することにある。
【解決手段】バレイショのオリゴヌクレオチドから選択した特定の一対のオリゴヌクレオチドで構成されるバレイショ品種識別用プライマーセット、ならびに該プライマーセットを用いて試料から得られたDNAを鋳型としてPCR増幅を行い、増幅産物を検出することを含むバレイショ品種識別方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレイショの20栽培品種から16品種を迅速かつ簡便に識別する技術に関する。
【0002】
バレイショには収穫物の外観が類似している品種が存在する。このような場合、生産物の品種混入を調査するためには、混入が疑われる塊茎を栽培して生育を調査することが必要であり、時間、面積、労力を要する。また、育成者権侵害の指摘・防止のためにも、収穫物のみならず生育中の植物体を材料に客観的かつ簡便に品種を識別する技術が望まれている。
【0003】
PCR技術の確立以来、DNAの多型を評価する技術が種々開発され(特許文献1)、各種の作物においてそのような手法を利用することによる品種識別の方法が開発されている。バレイショではRAPD、SSR、ISSRなどの手法を用い品種を識別する試みがなされており(非特許文献1〜5)、これらの方法では特異的なDNAの存在あるいは長さ多型を利用し識別を行う。このような品種により多型を示す検出可能なDNA断片をDNAマーカーと称する。
【0004】
DNAマーカーを用いれば上記の目的が達成されるが、新規に育成される品種や新規に導入される品種などDNAマーカーの情報が存在しない品種については新たにDNAマーカーを特定・探索する必要がある。現在、バレイショの栽培種は数多く知られているが、海外より導入されたスタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアについてはDNAマーカーの情報がない。
【0005】
【特許文献1】特許第2818486号
【非特許文献1】DNA フィンガープリンティング サービス(2007年4月11日更新)http://www2.kobe-u.ac.jp/~hosaka/japanese/fingerprinting/home.html
【非特許文献2】SSRマーカーによる国内産ばれいしょの品種識別 園学雑75別1, 327 (2006)
【非特許文献3】Mapping and characterization of new EST-derived microsatellites for potato (Solanum tuberosum L.) Theor Appl Genet 111: 456 (2005)
【非特許文献4】Selection of highly informative and user-friendly microsatellites (SSRs) for genotyping of cultivated potato Theor Appl Genet 108: 881 (2004)
【非特許文献5】Genetic diversity in European and Argentinian cultivated potatoes (Solanum tuberosum subsp. tuberosum) detected by inter-simple sequence repeats (ISSRs) Genome 45: 481 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、品種識別に利用できるDNAマーカーの情報がこれまで得られていなかったバレイショ品種について既存の品種と識別しうるDNAマーカーを特定し、それらのバレイショも含めた多種類のバレイショ品種を迅速かつ簡便に識別するための手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、バレイショ組織から抽出したDNAについてRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法によって品種間の多型解析を行って識別マーカーとなりうるDNAマーカー候補を探索した結果、目的を達成することが可能と考えられる7つのDNAマーカー候補を選抜した。続いてそれらのDNAマーカー候補について塩基配列を決定し、得られた塩基配列から各DNAマーカー候補に特異的なプライマー14種(配列番号1〜14)を作成したところ、14種のうち、8種のプライマー(配列番号1〜8)を用いてPCRにより検出される4つのDNAマーカーの有無により、バレイショ20品種からこれまでDNAマーカーの情報がなかったスタータ、サッシーを含む6品種(シンシア、ドロシー、シェリー、メイクィーン、スタータ、サッシー)と、さらに、残り6種のプライマーを用いたPCRにより検出される3つのDNAマーカーの有無により、これまでDNAマーカーの情報がなかったクロスティ、ロザンナ、アローアを含む10品種の合計16品種(シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローア)を識別することできることを確認した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 配列番号1に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号1に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号2に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(2) 配列番号3に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号3に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号4に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号4に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(3) 配列番号5に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号5に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号6に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号6に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(4) 配列番号7に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号7に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号8に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号8に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(5) 配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号9に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドと、配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号10に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(6) 配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号11に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号12に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショの品種識別用プライマーセット。
(7) 配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号13に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号14に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(8) 試料より抽出したDNAを鋳型とし、(1)〜(4)に記載の4組のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程を含む、バレイショ品種の識別方法。
(9) 識別されるバレイショの品種が、シンシア、ドロシー、シェリー、メイクィーン、スタータ、サッシーである、(8)に記載の方法。
(10) 試料より抽出したDNAを鋳型とし、(5)〜(7)に記載の3組のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程をさらに含む、(8)に記載の方法。
(11) 識別されるバレイショの品種が、シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアである、(10)に記載の方法。
(12) (1)〜(7)に記載のバレイショ品種識別用プライマーセットを含むキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定のバレイショ品種を識別できるDNAマーカーを増幅することができるバレイショ品種識別用プライマーセットが提供される。このプライマーセットを用いることにより、圃場での栽培や特性調査を行うことなく、労力、面積及び時間を必要とせずに、バレイショ品種の識別を迅速かつ簡便に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.バレイショ品種識別用プライマーセット
本発明のバレイショ品種識別用プライマーセットは、バレイショ品種識別の指標となる7つのDNAマーカーを増幅することのできる下記の(a)〜(g)の7組のプライマーセットである。
(a) 配列番号1に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号1に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号2に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(b) 配列番号3に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号3に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号4に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号4に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(c) 配列番号5に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号5に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号6に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号6に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(d) 配列番号7に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号7に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号8に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号8に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(e) 配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号9に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドと、配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号10に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
(f) 配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号11に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号12に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショの品種識別用プライマーセット。
(g) 配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号13に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号14に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【0011】
上記のプライマーセットを構成するオリゴヌクレオチドは、各DNAマーカーの両端(フォワード、リバース)に位置する塩基配列に相補的な19〜23塩基の連続したオリゴヌクレオチドである。プライマーの設計は、市販のソフトウェア(例えば、GENETYX;ソフトウェア開発株式会社)を用いて行えばよい。
【0012】
また、上記のプライマーセットを構成するオリゴヌクレオチドのうち、「配列番号1〜14に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド」は、「配列番号1〜14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド」の変異オリゴヌレオチドであって、バレイショ品種識別用プライマーとしての機能を保持している限り、連続する10塩基以外の塩基の種類、連続する10塩基の変異オリゴヌレオチドの存在部位(3’末端側、5’末端側)について特に制限はない。また、変異オリゴヌクオチドの全長は、15〜30塩基程度が好ましい。
【0013】
バレイショ栽培品種20品種のうち、上記のプライマーセットを用いたPCRによって識別しうるバレイショ品種には、シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアの16品種が含まれる。また、バレイショ栽培品種20品種のうち、上記16品種以外のニシユタカ、トヨシロ、ダンシャク、さやかの4品種については、ニシユタカとトヨシロ、ダンシャクとさやかの間の識別はできないものの、上記16品種とは異なると判定できる。
【0014】
上記のプライマーセットは、識別すべき品種、識別すべき品種の数、識別の目的によって、全てを用いる必要はなく、例えば、プライマーセット(a)〜(d)の4組だけ用いてもよい。具体的には、プライマーセット(a)〜(d)を用いてPCR増幅を行い、後記表3の4つのDNAマーカーが全部検出されることが確認された場合、被検対象がシンシアであるといえる。
【0015】
プライマーとなる上記オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホトリエチル法、ホスホジエステル法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することが可能である。
【0016】
上記のプライマーセットはキット化することもできる。本発明のキットには、上記の (a)〜(g)の7組のプライマーセットを含むものであればよく、識別すべき品種、識別すべき品種の数、識別の目的によって、これらのプライマーセットの中から適当なセットを適宜選択して用いればよい。また、当該キットには、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬(プライマーを除く)、染色剤電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
【0017】
2.バレイショ品種の識別方法
本発明のバレイショ品種の識別方法は、試料より抽出したDNAを鋳型とし、上記のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出することを含む。本方法によって識別可能なバレイショ品種は、前記のとおりである。
【0018】
本発明のバレイショ品種識別方法は、下記の一次検定および二次検定の2つの工程からなる。二次検定は必要となる場合のみ実施すればよい。
【0019】
(一次検定)
プライマーセット(a)〜(d)を混合してPCR増幅を行い、反応産物を電気泳動により分離し可視化することにより、4つのDNAマーカーそれぞれの存在を検定する。この検定により、シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ニシユタカ、トヨシロ、ダンシャク、さやか、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアの20品種から、シンシア、ドロシー、シェリー、メイクィーン、スタータ、サッシー6品種を識別することが可能である。本一次検定では(i)クロスティとコロール、(ii)ニシユタカとトヨシロ、(iii)ロザンナとホッカイコガネ、(iv)ダンシャク、さやか、ベニマル、キタアカリ、(v)チェルシーとアローア、(vi)デジマと農林一号の6組の品種はそれぞれ4つのDNAマーカーの有無について同一の結果を示す。
【0020】
(二次検定)
上記の一次検定で識別できない品種の識別が必要な場合は、以下のようにして行う。 (i)クロスティとコロールと(v)チェルシーとアローアを識別するには、プライマーセット(e)を用いてPCR増幅を行い、反応産物を電気泳動により分離し可視化することにより、このDNAマーカーの存在を検定すればよい。(iii)ロザンナとホッカイコガネを識別する場合は、プライマーセット(f)を用いてPCR増幅を行い、反応産物を電気泳動により分離し可視化することにより、このDNAマーカーの存在を検定すればよい。(iv)デジマと農林一号を識別する場合は、プライマーセット(g)を用いてPCR増幅を行い、反応産物を電気泳動により分離し可視化することにより、このDNAマーカーの存在を検定すればよい。(iv)ダンシャク、さやか、ベニマル、キタアカリを識別する場合は、プライマーセット(f)を用いてPCR増幅を行い、反応産物を電気泳動により分離し可視化するとともに、プライマーセット(g)のプライマーを用いてPCR増幅を行い、反応産物を電気泳動により分離し可視化することにより、これら2つのDNAマーカーの存在を検定すればよい。ただしダンシャクとさやかは両DNAマーカーとも検出されるので相互の識別はできない。
【0021】
RAPD解析によれば、例えば、上記20品種からアローアあるいはコロールを識別しようとした場合最少のPCR反応で識別できる可能性があるがそれでもPCR反応を2回行う必要がある(後記実施例1参照)。これに対し、本発明の方法によれば、1回のPCR反応により上記20品種の中からシンシア、ドロシー、シェリー、メイクィーン、スタータ、サッシーの6品種の識別が可能であり(後記実施例2参照)、3回のPCR反応により上記20品種の中からシンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアの16品種の明確な識別が可能となる(後記実施例3参照)。
【0022】
本発明方法の具体的手順について以下に説明する。まず、被検試料となるバレイショの組織からDNAを抽出する。バレイショの組織としては、例えば、葉(幼葉、成葉)、塊茎、根などを用いることができる。
【0023】
バレイショからのDNAの抽出は、核酸抽出法として当業者に公知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、フェノール抽出法、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法、アルカリSDS法等が挙げられる。また、これらの方法は適宜改変して行ってもよく、試薬メーカーより販売されている各種DNA抽出キットを用いてもよい。試料の種類によっては、メンブランフィルターによる濾過やホモジナイズを行う。
【0024】
DNAの抽出後、クロロホルム/イソアミルアルコール処理、イソプロパノール沈澱、フェノール/クロロホルムによる除蛋白、エタノール沈澱などの精製処理を行ってもよい。
【0025】
次に、上記の操作で得られたDNA試料を鋳型とし、前記のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物(DNAマーカー)の有無を検出する。PCR増幅は常法に従って行えばよく、上記のプライマーセットを用いる以外は特に制限はなく、PCR反応液の組成、PCR条件(温度サイクル、サイクルの回数等)は、各プライマーセットを用いたPCRにおいて高感度でPCR増幅産物を得られるような条件を予備実験等により当業者であれば適切に選択及び設定することができる。例えば、鋳型となるDNA0.1〜100ng、10×PCR反応用緩衝液、プライマー各0.25〜1μM、DNAポリメラーゼ(Taq ポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼなど)0.25〜2.5U、dNTP各250μMを混合した後、全液量が10〜100μlとなるように希釈したものについて、94〜96℃ 5分×1サイクル、(94〜96℃ 30秒、52〜58℃ 30秒、70〜74℃ 1分)×30サイクル、70〜74℃ 5分×1サイクルで反応を行う。これは一例にすぎず、PCR反応液の組成、反応温度や時間は、プライマーとなるオリゴヌクレオチド配列の長さや塩基組成などに応じて適宜設定することができる。これらPCRの一連の操作は、市販のPCRキットやPCR装置を利用して、その操作説明書に従って行うことができる。
【0026】
各DNAマーカーは、各プライマーセットのPCR増幅産物を電気泳動により分離することにより当該位置にバンドとして検出されるものである。それらマーカーの有無からバイレイショ品種を識別することが可能となる。電気泳動方法としては、アガロースゲル、変性及び非変性のアクリルアミドゲルを用いる方法のいずれでもよい。バンドの検出はエチジウムブロマイド染色により行うことが一般的であるが、蛍光色素(FAM,NED,HEX等)を付加したプライマーを用いた場合は、蛍光発色を指標として行ってもよい。
【0027】
本発明の方法を実施するにあたっては、上記のバレイショ品種と、その品種が有するDNAマーカーを関連付けた対応表を作成し、被検バレイショ品種から抽出したDNAを上記のプライマーセットを用いて増幅して得られた検出結果と照合することによって品種を判定すればよい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)RAPD法によるバレイショ品種識別
(1) 被検バレイショ品種
被検バレイショ品種として、シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ニシユタカ、トヨシロ、ダンシャク、さやか、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアの20品種を用いた。
【0029】
(2) DNA試料の調製
DNA試料の調製は、文献(細胞工学 別冊 植物細胞工学シリーズ2「植物のPCR実験プロトコール」秀潤社(1995) 47〜48ページに記載のWalbot, V. and Warren, C. (1988) Mol. Gen. Genet. 211, 27)に記載の方法を参考に一部改変した方法を用い、以下のようにして行った。
【0030】
DNA抽出のための試料として上記20品種のバレイショの葉または塊茎を用いた。なお、本実施例で用いた品種の塊茎は株式会社ジャパンポテト(〒104-0033東京都中央区新川二丁目9番7号 ラールアライビル4F、TEL:03-5541-5335)から入手可能である。葉の場合は直径1cm程を採取、塊茎の場合は皮を剥き内部の健全な部分3〜5mm角(約50mg)をメスで切り取って用いた。試料を1.5mlチューブに入れ、マイクロペッスルで磨砕し、組織が崩れたらDNA抽出バッファー500μl(15 % シュクロース、50mM Tris-HCl (pH 8.0)、50mM EDTA、500mM NaCl)を添加して完全に組織がなくなるまで磨砕した。磨砕は液体窒素を用いずに行った。磨砕後の試料を4℃、4000rpmで5分間遠心した後、上清を除去し、2T1E(20mM Tris-HCl (pH8.0)、10mM EDTA)300μl、10% SDS 40μlを加え、ボルテックスでよく混合し、70℃で20分間処理した。その後、7.5M 酢酸アンモニウム 150μlを添加し、さらにボルテックスでよく混合して氷上に30分間おいた。その後、4℃、15000rpmで10分間遠心し、上清を新しい1.5mlチューブに移し、イソプロパノール700μlを加え転倒混和した。さらに、20℃、8000rpmで5分間遠心し上清を除去し70% エタノール500μlを加えて転倒混和した。20℃、15000rpmで5分間遠心し、上清を除去しエタノール臭がなくなるまで乾燥させた。 TE バッファー(10mM Tris-HCl (pH8.0)、1mM EDTA)200μlを加えDNAを溶解し、さらに 70℃ 15分処理によりDNAを完全に溶解させた。
【0031】
(3) RAPD解析
市販の試薬キット(Ready-To-Go RAPD Analysis Beads、 GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社)を用い添付のプロトコールに従ってRAPD解析を行った。下記表1に記載のプライマー1,3,4,5,6,7については、キットに付属のチューブ(Analysis Beads入り)に(1)で調製したDNA試料1μl、プライマー(25pmol)1.25μl、ミリQ水22.75μlを添加し混合したのち、0.2mlチューブに移してPCR増幅を行った。プライマー2についてのみ、キットに付属のチューブ(Analysis Beads入り)に、プライマー(25pmol)2.5μl、TaKaRa Ex Taqに添付されているバッファー2.5μl、TaKaRa Ex Taq (タカラバイオサイエンス株式会社)0.25μl、ミリQ水42.75μlを添加し混合したのち、0.2mlチューブに半量(24μl)を移して(1)で調製したDNA試料1μlを加えPCR増幅を行った。PCR増幅の条件は、95℃ 5分間×1サイクル、(95℃ 1分間、36℃ 1分間、72℃ 2分間)×45サイクルに設定した。反応を行った後、RAPD反応産物10μlを2%アガロースゲルにて30分間(100V)泳動した。なお、アガロースは1×TAEバッファー(Tris-base 4.84 g/l、酢酸 1.14 ml/l、0.5M EDTA 2 ml/l)に溶解して調製し、電気泳動用緩衝液として1×TAEバッファーを用いた。泳動後のアガロースゲルをエチジウムブロマイド(0.5μg/ml)溶液で20分間染色し、UV下でその多型を確認した。
【0032】
【表1】

【0033】
図1にRAPD解析の結果、表2にその結果のまとめを記載した。
【0034】
【表2】

【0035】
表2に示されるように、7回のRAPD解析により、バレイショ品種シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ニシユタカ、トヨシロ、ダンシャク、さやか、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアの計20品種から、マーカーが共通するニシユタカとトヨシロ、キタアカリとさやかの4種を除く計16品種を識別することが可能であった。ただし、(+)の結果のようにRAPD解析では結果が判然としない場合があった。また、DNAマーカー以外の増幅産物があるため結果の解析を誤らせることも予想された。
【0036】
(実施例2) バレイショ品種識別のための一次検定
DNA試料は実施例1で抽出したものを用いた。プライマーは下記の8種のオリゴヌレクオチドを混合して用いた。
【0037】
配列番号1:5'-GACCGTTAAACTCCGCGCT-3'
配列番号2:5'-CTGAAATGAGGCATAGTTGATT-3'
配列番号3:5'-CACACTTTTTCTTTAGACTTCACT-3'
配列番号4:5'-ATCAAGGATCACATGGACAGC-3'
配列番号5:5'-ATATTTGGAGAGATGACAACC-3'
配列番号6:5'-CATACGATCAGTTAAATCAGTAC-3'
配列番号7:5'-TAAGAGCCCTGAGTGTTTTAC-3'
配列番号8:5'-AACATGACAAGGGTGGATAAC-3'
【0038】
DNA 試料1μl、TaKaRa Ex Taqに添付されているバッファー2μl、dNTPs(2.5mM) 2μl、プライマー(20μM)8種3.74μl(配列番号1,2各0.75μl、配列番号3,4各0.5μl、配列番号5,6各0.37μl、配列番号7,8各0.25μl)、TaKaRa Ex Taq (タカラバイオサイエンス株式会社)0.1μl、ミリQ水11.16μlを混合しPCR増幅を行った。PCR増幅の条件は、95℃ 5分間×1サイクル、(95℃ 30秒間、55℃ 30秒間、72℃ 1分間)×30サイクル、72℃ 5分間×1サイクルで行った。反応を行った後、そのPCR産物10μlを2%アガロースゲルにて30分間(100V)泳動した。なお、アガロースゲル電気泳動および増幅産物の可視化は実施例1と同様に行った。
【0039】
この結果、図2に示すような多型が観察された。各DNAマーカーの有無をまとめると表3のとおりであった。
【0040】
【表3】

【0041】
上記結果から明らかなように、20品種、すなわちシンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ニシユタカ、トヨシロ、ダンシャク、さやか、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアから、6品種、すなわちシンシア、ドロシー、シェリー、メイクィーン、スタータ、サッシーを識別することが可能であった。しかしながら、本一次検定では(i)クロスティとコロール、(ii)ニシユタカとトヨシロ、(iii)ロザンナとホッカイコガネ、(iv)ダンシャク、さやか、ベニマル、キタアカリ、(v)チェルシーとアローア、(vi)デジマと農林一号の6組の品種はそれぞれ4つのDNAマーカーの有無について同一の結果を示した。
【0042】
(実施例3) バレイショ品種識別のための二次検定
DNA試料は実施例1で抽出したものを用いた。プライマーは、下記に示す6種のオリゴヌレクオチドから選ばれる2種のオリゴヌレクオチドのセット(配列番号9と10のオリゴヌクレオチドのセット、配列番号11と12のオリゴヌクレオチドのセット、配列番号13と14のオリゴヌクレオチドのセット)を用いた。
【0043】
配列番号9:5'-TCTATATGGAGCAACCACCTA-3'
配列番号10:5'-TGACTTCACAAATGTTGTAGAGT-3'
配列番号11:5'-GTCCACACGGGATGAGGCT-3'
配列番号12:5'-GTCCACACGGTCCAAGATATA-3'
配列番号13:5'-TGGGGGACTCCAAATCACTAT-3'
配列番号14:5'-TGGGGGACTCAGGGCCGA-3'
【0044】
DNA 試料1μl、TaKaRa Ex Taqに添付されているバッファー2μl、dNTPs (2.5mM) 2μl、プライマー(20μM)各DNAマーカーについて2種各0.5μl、TaKaRa Ex Taq (タカラバイオサイエンス株式会社) 0.1μl、ミリQ水13.9μlを混合しPCR増幅を行った。PCR増幅の条件、アガロースゲル電気泳動および増幅産物の可視化は実施例1と同様に行った。
【0045】
この結果、図3に示すような多型が観察された。一次検定で識別できなかった(i)クロスティとコロール、(ii)ニシユタカとトヨシロ、(iii)ロザンナとホッカイコガネ、(iv)ダンシャク、さやか、ベニマル、キタアカリ、(v)チェルシーとアローア、(vi)デジマと農林一号のうち、(i)クロスティとコロールおよび(v)チェルシーとアローアは配列番号9,10のオリゴヌクレオチドを用いた二次検定により識別が可能であった(図3A)。(iii)ロザンナとホッカイコガネは配列番号11,12のオリゴヌクレオチドを用いた二次検定により識別が可能であった(図3B)。(vi)デジマと農林一号は配列番号13,14のオリゴヌクレオチドを用いた二次検定により識別が可能であった(図3C)。(iv)ダンシャク、さやか、ベニマル、キタアカリのうち配列番号11,12のオリゴヌクレオチドおよび配列番号13,14のオリゴヌクレオチドを用いた二次検定によりベニマルとキタアカリの識別が可能であった(図3D,E)。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1−1】RAPD解析結果を示す。Aはプライマー1を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真、Bはプライマー2を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真、Cはプライマー3を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真、Dはプライマー4を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真である(図1−1のA〜D中、M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、1:シンシア、2:シェリー、3:チェルシー、4:コロール、5:ロザンナ、6:アローア、7:スタータ、8:クロスティ、9:サッシー、10:ニシユタカ、11:デジマ、12:ホッカイコガネ、13:キタアカリ、14:ダンシャク、15:メイクィーン、16:ドロシー、17:さやか、18:ベニマル、19:トヨシロ、20:農林一号を示す)。
【図1−2】RAPD解析結果を示す。Eはプライマー5を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真、Fはプライマー6を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真、Gはプライマー7を用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真である(図1−2のE〜G中、M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、1:シンシア、2:シェリー、3:チェルシー、4:コロール、5:ロザンナ、6:アローア、7:スタータ、8:クロスティ、9:サッシー、10:ニシユタカ、11:デジマ、12:ホッカイコガネ、13:キタアカリ、14:ダンシャク、15:メイクィーン、16:ドロシー、17:さやか、18:ベニマル、19:トヨシロ、20:農林一号を示す)。
【図2】一次検定の結果を示す(M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、1:シンシア、2:スタータ、3:クロスティ、4:コロール、5:ニシユタカ、6:トヨシロ、7:ロザンナ、8:ホッカイコガネ、9:ダンシャク、10:さやか、11:ベニマル、12:キタアカリ、13:ドロシー、14:シェリー、15:チェルシー、16:アローア、17:デジマ、18:農林一号、19:サッシー、20:メイクィーン)。
【図3】二次検定の結果を示す。 A:配列番号9,10のオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真(M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、1:クロスティ、2:コロール、3:チェルシー、4:アローア) B:配列番号11,12のオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真(M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、5:ロザンナ、6:ホッカイコガネ) C:配列番号13,14のオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真(M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、7:デジマ、8:農林一号) D:配列番号11,12のオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真(M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、9:ダンシャク、10:さやか、11:ベニマル、12:キタアカリ) E:配列番号13,14のオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真(M:分子量マーカー(φX174 HinCII消化物)、9:ダンシャク、10:さやか、11:ベニマル、12:キタアカリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号1に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号2に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【請求項2】
配列番号3に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号3に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号4に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号4に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【請求項3】
配列番号5に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号5に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号6に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号6に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【請求項4】
配列番号7に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号7に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号8に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号8に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【請求項5】
配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号9に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドと、配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号10に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【請求項6】
配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号11に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号12に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショの品種識別用プライマーセット。
【請求項7】
配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号13に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドまたは配列番号14に記載の塩基配列のうち連続する10塩基を含むオリゴヌクレオチドとから構成される、バレイショ品種識別用プライマーセット。
【請求項8】
試料より抽出したDNAを鋳型とし、請求項1〜4に記載の4組のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程を含む、バレイショ品種の識別方法。
【請求項9】
識別されるバレイショの品種が、シンシア、ドロシー、シェリー、メイクィーン、スタータ、サッシーである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
試料より抽出したDNAを鋳型とし、請求項5〜7に記載の3組のプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
識別されるバレイショの品種が、シンシア、ドロシー、シェリー、コロール、チェルシー、メイクィーン、ホッカイコガネ、キタアカリ、ベニマル、デジマ、農林一号、スタータ、サッシー、クロスティ、ロザンナ、アローアである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜7に記載のバレイショ品種識別用プライマーセットを含むキット。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−71(P2009−71A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165514(P2007−165514)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】