バンパ構造
【課題】被衝突物によって付与される衝撃荷重を衝突センサに対して円滑に伝達すること。
【解決手段】バンパ機構20は、車体12側に取り付けられて連結されたバンパビーム28と、前記バンパビーム28の前方に取り付けられて車幅方向に沿って延在するエネルギ吸収ビーム(エネルギ吸収体)30と、前記エネルギ吸収ビーム30の前面下部側に連結され車幅方向の任意の部位に付与された荷重を衝突センサ22へ伝達する荷重伝達ビーム32と、前記エネルギ吸収ビーム30の前方に所定距離離間して設けられて前記エネルギ吸収ビーム30の前面を覆うバンパフェース18とから構成される。
【解決手段】バンパ機構20は、車体12側に取り付けられて連結されたバンパビーム28と、前記バンパビーム28の前方に取り付けられて車幅方向に沿って延在するエネルギ吸収ビーム(エネルギ吸収体)30と、前記エネルギ吸収ビーム30の前面下部側に連結され車幅方向の任意の部位に付与された荷重を衝突センサ22へ伝達する荷重伝達ビーム32と、前記エネルギ吸収ビーム30の前方に所定距離離間して設けられて前記エネルギ吸収ビーム30の前面を覆うバンパフェース18とから構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突時における衝突エネルギを吸収することが可能なエネルギ吸収体を備えたバンパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車体前部構造として、例えば、特許文献1には、車両が被衝突物(例えば、構造物や歩行者等)に衝突した際、フロントバンパの中央部に設けられた検知センサからの検知信号をトリガとして作動するガス発生器によりロッドを高速で上昇させ、車両用フードをアクチュエータで所定量だけ持ち上げられた状態で保持し、前記保持状態にある車両用フードに対して被衝突物が衝突して車両用フードが変形することによって、被衝突物に付与される衝撃を緩和することが可能な車両用フード装置が開示されている。
【0003】
また、従来から、自動車の車体前部構造において、バンパの衝撃吸収性能を向上させる観点から、バンパフェースとバンパビームとの間に、衝突エネルギを吸収することが可能なエネルギ吸収体を設けることが提案されている。例えば、特許文献2には、車体前部に取り付けられたバンパビームと外部に露呈するバンパフェースとの間に、衝突時における衝突エネルギを吸収することが可能な衝撃吸収プレート(エネルギ吸収体、セーフティプレート)を設けた車両用フロントバンパ装置が開示されている。この衝撃吸収プレートは、例えば、比較的剛性の低い薄鋼板を略U字形状にプレス成形することによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−370611号公報
【特許文献2】特開2007−1358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両が被衝突物に衝突したことを確実に検知すると共に、衝突エネルギを好適に緩和するために、前記衝撃吸収プレートに対し車幅方向に沿って複数個の検知センサを所定間隔離間して配設することが考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合、前記衝撃吸収プレートが前記した薄板構造によって構成されるため、複数個中の隣接する検知センサの間に被衝突物が衝突すると前記被衝突物の衝突部位のみが局所的に変形(局部変形)し、被衝突物による衝撃荷重が検知センサに対して伝播されにくいおそれがある。
【0007】
また、例えば、単一の検知センサを前記衝撃吸収プレートの車幅方向に沿った略中央部に配設した場合であっても、前記単一の検知センサから離間した部位に対して衝撃荷重が付与されると、前記と同様に、前記被衝突物の衝突部位のみが局所的に変形(局部変形)し、被衝突物による衝撃荷重が検知センサに対して伝播されにくいおそれがある。
【0008】
さらに、被衝突物(特に、歩行者)の保護の観点から、前記衝撃吸収プレートの剛性をより一層低下させると、検知センサが振動しやすくなり、例えば、デコボコ道等の悪路を走行したときに発生する振動で検知センサが作動して誤検知するおそれがあり、一方、前記検知センサの誤検知を回避するために、前記衝撃吸収プレートの剛性を従前と比較して増大させると、歩行者等への保護性能が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、本発明の一般的な目的は、衝突を検知する衝突センサを荷重伝達部材に設け、被衝突物によって付与される衝撃荷重を前記衝突センサに対して円滑に伝達させることが可能なバンパ構造を提供することにある。
【0010】
また、本発明の主たる目的は、衝突センサの誤検知を回避するための振動抑制と、被衝突物を保護するためのエネルギ吸収体の変形容易性とを調和させることが可能なバンパ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明は、車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、前記エネルギ吸収体の前面には、車幅方向に沿って延在し付与された荷重を伝達する荷重伝達部材が設けられ、前記荷重伝達部材には、衝突を検知する衝突センサが設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、車両の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェースに被衝突物が衝突した後、前記被衝突物は、エネルギ吸収体の前面部に設けられた荷重伝達部材に当接して押圧する。従って、被衝突物による衝突荷重(衝突エネルギ)が荷重伝達部材に付与されることにより、荷重伝達部材及びエネルギ吸収体が一体的に変形する。
【0013】
その際、エネルギ吸収体よりも高い剛性に設定された荷重伝達部材に付与された衝突荷重は、前記荷重伝達部材に対して直接装着された衝突センサに対して円滑に伝達される。この結果、例えば、被衝突物が隣接する衝突センサ間の部位に衝突した場合であっても、好適に衝突荷重が伝達され、衝突センサで確実に衝突荷重を検知することができる。
【0014】
また、エネルギ吸収体の前面部に設けられた荷重伝達部材は、車幅方向に沿って延在するように設けられることにより、被衝突物が車幅方向の任意の部位に衝突した場合であっても、前記被衝突物が確実に荷重伝達部材に当接して、前記荷重伝達部材を介して衝突荷重が衝突センサに伝達される。この結果、衝突センサの検出精度を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、前記エネルギ吸収体に対して、上下方向に沿って延在する変形容易なブラケットを設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、被衝突物から付与される上下方向に沿った衝突荷重(振動)は、ブラケットが変形することによって好適に吸収されると共に、比較的低剛性の鋼板で形成されたエネルギ吸収体が前後方向に沿って容易に変形する。
【0017】
従って、本発明によれば、被衝突物によって付与される上下方向の振動がブラケットで抑制されることにより、衝突センサの誤検知を防止することができると共に、エネルギ吸収体が前後方向に沿って変形容易となることにより、例えば、歩行者等を保護することで両者の調和を図ることができる。
【0018】
さらに、本発明は、前記エネルギ吸収体又は前記バンパフェースの少なくともいずれか一方に、被衝突物が衝突した初期状態のとき、変位することによって運動エネルギを発生させる質量部材が設けられることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、質量部材を衝突初期に変形する部位に配設することにより、衝突初期におけるエネルギ吸収(エネルギ消費)を、エネルギ吸収体の変形による歪エネルギだけでなく、変形に伴って質量部材が所定距離だけ移動することによって発生する運動エネルギを前記歪エネルギに加算することができる。この結果、つぶれ残りを増大させることがなく、エネルギ吸収効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、衝突を検知する衝突センサを荷重伝達部材に設け、被衝突物によって付与される衝撃荷重を前記衝突センサに対して円滑に伝達させることが可能なバンパ構造を得ることができる。また、本発明によれば、衝突センサの誤検知を回避するための振動抑制と、被衝突物を保護するためのエネルギ吸収体の変形容易性とを調和させることが可能なバンパ構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバンパ機構が組み込まれた車両の一部省略斜視図である。
【図2】図1に示される車両の一部省略側面図である。
【図3】バンパ機構の分解斜視図である。
【図4】(a)は、バンパ機構の要部斜視図、(b)は、(a)のIV−IV線に沿った拡大縦断面図である。
【図5】(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略斜視図、(b)は、被衝突物の衝突によって荷重伝達ビーム及びエネルギ吸収ビームが一体的に変形した状態を示す一部省略斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るバンパ機構を示す一部省略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った縦断面図である。
【図8】(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略縦断面図、(b)は、被衝突物の衝突によってエネルギ吸収ビームの湾曲部が変形した状態を示す一部省略縦断面図である。
【図9】(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第1適用例であって、質量部材をエネルギ吸収部材の前面部に配設した斜視図、(b)は、(a)のIX−IX線に沿った縦断面図である。
【図10】(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第2適用例であって、質量部材をバンパフェースの裏面に配設した斜視図、(b)は、(a)のX−X線に沿った縦断面図である。
【図11】被衝突物によって付与される衝突荷重と変位量との関係を示す波形特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るバンパ機構が組み込まれた車両の一部省略斜視図、図2は、図1に示される車両の一部省略側面図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、車両10は、例えば、モノコックボディ等からなる車体12と、前記車体12のフロント側であって左右のフロントフェンダ14a、14bの間に設けられるフード部材16と、前記車両12の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェース18を含むバンパ機構(バンパ構造)20と、前記バンパ機構20に被衝突物が衝突したことを検知する複数の衝突センサ22と、前記衝突センサ22からの検知信号に基づいてアクチュエータ24を駆動制御する制御部26とを備える。なお、図1及び図2中において、FRは、車両前方を示し、RRは、車両後方を示している。
【0024】
例えば、図示しない歩行者がバンパ機構20に衝突(当接)したことを衝突センサ22で検知し、前記衝突センサ22からの検知信号をトリガとしてアクチュエータ24を作動させ、図2に示されるようにフード部材16を所定長だけ上方に持ち上げて保持することにより、歩行者に付与される衝撃を軽減して歩行者を保護することができる。
【0025】
図3は、バンパ機構の分解斜視図、図4(a)は、バンパ機構の要部斜視図、図4(b)は、図4(a)のIV−IV線に沿った拡大縦断面図である。
【0026】
バンパ機構20は、図3及び図4(a)に示されるように、車体12側に取り付けられて連結されたバンパビーム28と、前記バンパビーム28の前方に取り付けられて車幅方向に沿って延在するエネルギ吸収ビーム(エネルギ吸収体)30と、前記エネルギ吸収ビーム30の前面下部側に連結され車幅方向の任意の部位に付与された荷重を衝突センサ20へ伝達する荷重伝達ビーム(荷重伝達部材)32と、前記エネルギ吸収ビーム30の前方に所定距離離間して設けられて前記エネルギ吸収ビーム30の前面を覆うバンパフェース18とから構成される。
【0027】
バンパビーム28は、図4(b)に示される縦断面において、矩形状の二つの空間部34a、34bが上下に積層配置された中空部材からなり、例えば、金属製の角形鋼管等によって構成される。この場合、バンパビーム28は、車体12両側の図示しない左右サイドフレームに跨るように延設され、その両端部が図示しない連結ステーを介して各サイドフレームに連結される。これによって、車両10の車体12側に連結されたバンパビーム28が配設される。
【0028】
エネルギ吸収ビーム30は、車両10が構造物や歩行者等の被衝突物と衝突したとき、変形することによって衝突エネルギ(衝突荷重)を吸収して被衝突物への衝撃を軽減するものであり、併せて車両10やその乗員への衝撃荷重をも軽減するものである。
【0029】
エネルギ吸収ビーム30は、図4(b)に示される縦断面において、車幅方向に沿って略平行に対向する上面部30a及び下面部30bと、前記上面部30aと前記下面部30bとの間に設けられ鉛直面に対して所定角度傾斜する傾斜面部30cと、前記傾斜面部30cに連続すると共に前方に向かって突出する前端面部30dとによって構成され、例えば、薄鋼板をプレス成形することによって製造される。
【0030】
この場合、エネルギ吸収ビーム30の上面部30aと下面部30bは、例えば、溶接等によって、それぞれバンパビーム28の上下面と略面一に固着され、上部側よりも下部側が前方に向かって突出した断面形状に形成される。
【0031】
荷重伝達ビーム32は、図4(a)、(b)に示されるように、エネルギ吸収ビーム30に対して比較的厚板からなる金属製材料又は樹脂製材料によって車幅方向に沿って延在するように設けられ、前記エネルギ吸収ビーム30よりも剛性が高くなるように設定される。また、前記荷重伝達ビーム32は、図4(b)に示される縦断面において、略直交する屈曲形状を有し、エネルギ吸収ビーム30の前端面部30d及び下面部30bの一部に対して、例えば、溶接等によって連結される。なお、各部材間の剛性に関しては、例えば、エネルギ吸収ビーム30の剛性よりも荷重伝達ビーム32の剛性が高く設定され、さらに、荷重伝達ビーム32の剛性よりもバンパビーム28の剛性が高く設定される。
【0032】
前記エネルギ吸収ビーム30に対する前記荷重伝達ビーム32の連結手段は、溶接に限定されるものではなく、例えば、図示しないボルト等を用いて締結してもよいし、図示しない他の固定手段を用いて固定するようにしてもよい。
【0033】
前記荷重伝達ビーム32の車幅方向の略中央部及び両端部の下部側には、それぞれ、衝突センサ22が装着される。この場合、図4(b)に示されるように、縦断面略L字状の取付金具36が、例えば、溶接等によって荷重伝達ビーム32の下面に連結され、前記取付金具36に締結されるボルト38及びナット39を介して衝突センサ22が前記荷重伝達ビーム32に対して装着される。前記衝突センサ22は、例えば、加速度センサ等によって構成されるとよい。
【0034】
このように、エネルギ吸収ビーム30の前面には、車幅方向に沿って延在する荷重伝達ビーム32が設けられ、前記荷重伝達ビーム32には、被衝突物がバンパフェース18に衝突したことを検知する複数の衝突センサ22が設けられる。なお、本実施形態では、3個の衝突センサ22が装着された状態を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、1個又は2以上の複数個であってもよい。
【0035】
バンパフェース18は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂によって形成され、車両10の最前部で外部に露呈するように設けられる。
【0036】
第1実施形態に係るバンパ機構20が組み込まれた車両10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0037】
図5(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略斜視図、図5(b)は、被衝突物の衝突によって荷重伝達ビーム及びエネルギ吸収ビームが変形した状態を示す一部省略斜視図である。
【0038】
図5(a)に示されるように、被衝突物Mが、例えば、隣接する衝突センサ22、22間の部位に衝突した場合を想定して以下説明する。
【0039】
車両10の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェース18(図5中では図示を省略している)に被衝突物Mが衝突した後、前記被衝突物Mは、エネルギ吸収ビーム30の前面部に設けられた荷重伝達ビーム32に当接し、図5(b)に示されるように、前記荷重伝達ビーム32を矢印方向に沿って押圧する。従って、被衝突物Mによる衝突荷重(衝突エネルギ)が荷重伝達ビーム32に付与されることにより、荷重伝達ビーム32及びエネルギ吸収ビーム30が一体的に変形する。
【0040】
その際、エネルギ吸収ビーム30よりも高い剛性に設定された荷重伝達ビーム32に付与された衝突荷重は、前記荷重伝達ビーム32に対して直接装着された衝突センサ22(衝突部位から最も近接する衝突センサ22)に対して円滑に伝達される。この結果、例えば、被衝突物Mが隣接する衝突センサ22、22間の部位に衝突した場合であっても、好適に衝突荷重が伝達され、衝突センサ22で確実に衝突荷重を検知することができる。
【0041】
また、エネルギ吸収ビーム30の前面部に設けられた荷重伝達ビーム32は、車幅方向に沿って延在するように設けられることにより、被衝突物Mがバンパ機構20における車幅方向の任意の部位に衝突した場合であっても、前記被衝突物Mが確実に荷重伝達ビーム32に当接して、前記荷重伝達ビーム32を介して衝突荷重が衝突センサ22に伝達される。この結果、衝突センサ22の検出精度を向上させることができる。
【0042】
これに対して、仮に、荷重伝達ビーム32が設けられていない場合には、比較的低剛性に形成されたエネルギ吸収ビーム30に対して被衝突物Mが衝突し、このエネルギ吸収ビーム30における衝突部位が局所的に変形して、隣接する衝突センサ22への衝突荷重の伝達が遅延することが懸念される。
【0043】
第1実施形態では、エネルギ吸収ビーム30よりも高い剛性に設定され、車幅方向に沿って延在する荷重伝達ビーム32が前記エネルギ吸収ビーム30の前面部に設けられることにより、このような懸念を払拭することができる。
【0044】
この結果、第1実施形態では、衝突を検知する衝突センサ22を荷重伝達ビーム32に設け、被衝突物によって付与される衝撃荷重を前記衝突センサ22に対して円滑に伝達させることが可能なバンパ機構20を得ることができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係るバンパ機構20aを以下に説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るバンパ機構を示す一部省略斜視図、図7は、図6のVII−VII線に沿った縦断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
第2実施形態では、エネルギ吸収ビーム40に対して、上下方向に沿って延在する変形容易な複数のブラケット42を設けている点で、第1実施形態と相違している。
【0047】
このブラケット42は、図6に示されるように、エネルギ吸収ビーム40に対して上下方向に沿って延在する帯体44によって構成され、前記帯体44の軸方向に沿った中間部には、衝撃時に変形し易くするために鈍角状に屈曲した屈曲部46が設けられる。なお、図6中では、エネルギ吸収ビーム40の前方に離間して設けられるバンパフェース18が省略されている。
【0048】
エネルギ吸収ビーム40は、図7に示される縦断面において、略水平方向に沿って延在する上面部40aと、前記上部部40aの一端部から反対方向(RR方向)に湾曲する湾曲部40bと、さらに前記湾曲部40bに連続し略鉛直下方向に向かって延在する側部40cと、前記側部40cの下端部から略直交する方向に向かって折曲する下面部40dとによって構成される。
【0049】
なお、第2実施形態では、エネルギ吸収ビーム40が1枚の鋼板を加圧成形して一体的に構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の鋼板等を接合することによって構成されるようにしてもよい。
【0050】
帯体44からなるブラケット42の軸方向に沿った一端部は、エネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bの下側を支持するように、例えば、溶接等によって接合されると共に、前記ブラケット42の軸方向に沿った他端部は、側部40cの下方側に、例えば、溶接等によって接合される。
【0051】
また、エネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bには、図6に示されるように、車幅方向に沿った所定部位に前方(FR方向)に向かって突出するスペーサ部材48が設けられる。例えば、バンパフェース18の形状(縦断面形状)が凹凸によって複雑に形成された場合、バンパフェース18の壁面とエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bまでの略水平方向に沿った離間距離が車幅方向の任意の部位において不均一となり、被衝突物がバンパ機構20aと衝突する部位によって、衝突センサ22におけるセンサ感度が異なるおそれがある。
【0052】
そこで、バンパフェース18の壁面とエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bまでの略水平方向に沿った離間距離が車幅方向の他の部位と比較して遠い場合には、その遠い分だけ略水平方向に沿って突出するスペーサ部材48を設けると共に、前記離間距離が車幅方向の他の部位と比較して近接している場合には、その近接する分だけ切り欠かれた切り欠き部50を前記スペーサ部材48に設けている。なお、例えば、前記スペーサ部材48の剛性は、エネルギ吸収ビーム40の剛性よりも高く設定され、さらに、バンパビーム28の剛性は、前記スペーサ部材48の剛性よりも高く設定される。
【0053】
このように、バンパフェース18の壁面とエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bまでの略水平方向に沿った離間距離を略均一とするために、エネルギ吸収ビーム40にスペーサ部材48を付設することにより、前記離間距離を略同一に設定することができる。この結果、被衝突物がバンパ機構20aのどの部位に衝突した場合であっても、衝突センサ22のセンサ感度の均一化を達成することができる。
【0054】
図8(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略斜視図、図8(b)は、被衝突物の衝突によってエネルギ吸収ビームの湾曲部が変形した状態を示す一部省略斜視図である。
【0055】
車両10の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェース18(図8中では図示を省略している)に被衝突物Mが衝突した後、図8(b)に示されるように、被衝突物Mがエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40b(又は、スペーサ部材48)に当接した際、被衝突物Mから付与される上下方向に沿った衝突荷重(振動)は、ブラケット42の屈曲部46が鋭角状に容易に変形することによって好適に吸収されると共に、比較的低剛性の鋼板で形成されたエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bが前後方向に沿って容易に変形する。
【0056】
従って、第2実施形態では、被衝突物Mによって付与される上下方向の振動が変形容易なブラケット42で抑制されることにより、衝突センサ22の誤検知を防止することができると共に、エネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bが前後方向に沿って変形容易となることにより、例えば、歩行者等を保護することで両者の調和を図ることができる。
【0057】
この結果、第2実施形態では、衝突センサ22の誤検知を回避するための振動抑制と、被衝突物Mを保護するためのエネルギ吸収ビーム40の変形容易性とを調和させることが可能なバンパ機構20aを得ることができる。
【0058】
さらに、第2実施形態では、ブラケット42を設けることにより、エネルギ吸収ビーム40に付与される上下方向の振動の固有周波数が上昇し、非衝突時における車体振動系からの共振による衝突センサ22の誤検知を好適に回避することができる。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構20bについて、以下説明する。
図9(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第1適用例であって、質量部材をエネルギ吸収部材の前面部に配設した斜視図、図9(b)は、図9(a)のIX−IX線に沿った縦断面図、図10(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第2適用例であって、質量部材をバンパフェースの裏面に配設した斜視図、図10(b)は、図10(a)のX−X線に沿った縦断面図である。
【0060】
例えば、ケース1として、エネルギ吸収ビーム30におけるエネルギ吸収効率を高めるため、衝突初期に発生する荷重を増加させようとすると、エネルギ吸収ビーム30の剛性を増大する必要があり、これによってエネルギ吸収ビーム30のつぶれ残りが増加し(変形量が少なくなり)、このため、比較的剛性が高く設定されたバンパビーム28への底付け(当接)が増加してしまい、例えば、歩行者等に対して悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0061】
一方、ケース2として、車両10前方の限定された空間中において、例えば、歩行者等への保護性能を向上させようとすると、ケース1とは逆に変形量が多くなりすぎ、結果としてケース1と同様にバンパビーム28に底付きする。このため、エネルギ吸収効率とつぶれ残りとの両立が困難となる。
【0062】
そこで、第3実施形態では、衝突初期に変形するエネルギ吸収ビーム30の前面部(前端部)又はバンパフェース18の裏面に所定重量からなる質量部材52を配設している。
【0063】
質量部材52を衝突初期に変形する部位に配設することにより、衝突初期におけるエネルギ吸収(エネルギ消費)を、エネルギ吸収ビーム30の変形による歪エネルギだけでなく、変形に伴って質量部材52が所定距離だけ移動することによって発生する運動エネルギを前記歪エネルギに加算することができる。この結果、ケース1のようにつぶれ残りを増大させることがなく、また、ケース2のようにつぶれ残りがほとんどなくなる以前にエネルギ吸収効率を向上させることができる。さらに、質量部材52を局所的に配設することにより、バンパ機構20bの任意の部位に対して、局部的にエネルギ吸収量を変化させることが容易となる。
【0064】
図11は、被衝突物によって付与される衝突荷重と変位量との関係を示す波形特性図である。
【0065】
図11中において、波形特性曲線A(破線参照)は、質量部材52を設けていない比較例(ケース2に相当)を示し、波形特性曲線B(細実線参照)は、質量部材52を設けた第3実施形態を示し、波形特性曲線C(太実線参照)は、質量部材52が変位することによって発生する運動エネルギ分の反力を示し、波形特性曲線D(一点鎖線参照)は、従来品と比較してエネルギ吸収ビーム(図示せず)の剛性を向上させた他の比較例(ケース1に相当)を示している。
【0066】
質量部材52を設けていない比較例では、波形特性曲線Aに示されるように、衝突初期状態において吸収される荷重がレベルH1まで上昇した後、前記レベルH1を略保持したまま変位量が増大し、終局的にバンパビーム28等の比較的硬質な部材に当接することによって衝突荷重が急上昇してピーク値P1となって終了する(衝突荷重ゼロ)。
【0067】
また、エネルギ吸収ビームの剛性を従来よりも高めた他の比較例では、波形特性曲線Dに示されるように、衝突初期状態における吸収効率が向上するが、つぶれ残りが増大すると共に、比較例や第3実施形態よりも早いタイミングで比較的硬質な部材に底付きし、しかも荷重が急激に上昇するピーク値P2が発生して終了する(衝突荷重ゼロ)という不具合がある。
【0068】
これに対して、質量部材52を設けた第3実施形態では、波形特性曲線Bに示されるように、前記比較例に係る波形特性曲線Aと運動エネルギ分の反力に係る波形特性曲線Cとが加算された衝突荷重となり(A+C)、衝突初期状態において吸収される衝突荷重が前記レベルH1よりも高いレベルH2まで上昇させることができる。
【0069】
また、第3実施形態では、つぶれ残りも従来と同様であると共に、終局的にバンパビーム28等の比較的硬質な部材に当接する前に変形しきってしまい、比較的硬質な部材に対して底付きする前にエネルギ吸収が完了する。この結果、第3実施形態では、比較例のようなピーク値P1が発生することがなく、変位量が増大しても一定のレベルH1を保持したまま急激に上昇することがなく終了する。
【0070】
このように第3実施形態では、被衝突物がバンパ機構20bに対して衝突した際、衝突初期に変形する部位に質量部材52を設けることにより、前記質量部材52が移動する分だけの運動エネルギを衝突エネルギとして吸収(消費)することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
【0071】
なお、前記質量部材52は、その形状、剛性、材料、取り付け方法等は、図9及び図10の適用例に限定されるものではなく、衝突初期状態において変形する部位に配設されればよい。
【0072】
換言すると、被衝突物が衝突した初期状態のとき、変位することによって運動エネルギを発生させる質量部材52が前記エネルギ吸収ビーム30又は前記バンパフェース18のいずれか一方又はその両方に設けられ、前記発生した運動エネルギ分だけ衝突荷重が吸収(消費)されるとよい。
【符号の説明】
【0073】
10 車両
12 車体
18 バンパフェース
20、20a、20b バンパ機構(バンパ構造)
22 衝突センサ
28 バンパビーム
30、40 エネルギ吸収ビーム(エネルギ吸収体)
32 荷重伝達ビーム(荷重伝達部材)
42 ブラケット
52 質量部材
M 被衝突物
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突時における衝突エネルギを吸収することが可能なエネルギ吸収体を備えたバンパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車体前部構造として、例えば、特許文献1には、車両が被衝突物(例えば、構造物や歩行者等)に衝突した際、フロントバンパの中央部に設けられた検知センサからの検知信号をトリガとして作動するガス発生器によりロッドを高速で上昇させ、車両用フードをアクチュエータで所定量だけ持ち上げられた状態で保持し、前記保持状態にある車両用フードに対して被衝突物が衝突して車両用フードが変形することによって、被衝突物に付与される衝撃を緩和することが可能な車両用フード装置が開示されている。
【0003】
また、従来から、自動車の車体前部構造において、バンパの衝撃吸収性能を向上させる観点から、バンパフェースとバンパビームとの間に、衝突エネルギを吸収することが可能なエネルギ吸収体を設けることが提案されている。例えば、特許文献2には、車体前部に取り付けられたバンパビームと外部に露呈するバンパフェースとの間に、衝突時における衝突エネルギを吸収することが可能な衝撃吸収プレート(エネルギ吸収体、セーフティプレート)を設けた車両用フロントバンパ装置が開示されている。この衝撃吸収プレートは、例えば、比較的剛性の低い薄鋼板を略U字形状にプレス成形することによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−370611号公報
【特許文献2】特開2007−1358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両が被衝突物に衝突したことを確実に検知すると共に、衝突エネルギを好適に緩和するために、前記衝撃吸収プレートに対し車幅方向に沿って複数個の検知センサを所定間隔離間して配設することが考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合、前記衝撃吸収プレートが前記した薄板構造によって構成されるため、複数個中の隣接する検知センサの間に被衝突物が衝突すると前記被衝突物の衝突部位のみが局所的に変形(局部変形)し、被衝突物による衝撃荷重が検知センサに対して伝播されにくいおそれがある。
【0007】
また、例えば、単一の検知センサを前記衝撃吸収プレートの車幅方向に沿った略中央部に配設した場合であっても、前記単一の検知センサから離間した部位に対して衝撃荷重が付与されると、前記と同様に、前記被衝突物の衝突部位のみが局所的に変形(局部変形)し、被衝突物による衝撃荷重が検知センサに対して伝播されにくいおそれがある。
【0008】
さらに、被衝突物(特に、歩行者)の保護の観点から、前記衝撃吸収プレートの剛性をより一層低下させると、検知センサが振動しやすくなり、例えば、デコボコ道等の悪路を走行したときに発生する振動で検知センサが作動して誤検知するおそれがあり、一方、前記検知センサの誤検知を回避するために、前記衝撃吸収プレートの剛性を従前と比較して増大させると、歩行者等への保護性能が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、本発明の一般的な目的は、衝突を検知する衝突センサを荷重伝達部材に設け、被衝突物によって付与される衝撃荷重を前記衝突センサに対して円滑に伝達させることが可能なバンパ構造を提供することにある。
【0010】
また、本発明の主たる目的は、衝突センサの誤検知を回避するための振動抑制と、被衝突物を保護するためのエネルギ吸収体の変形容易性とを調和させることが可能なバンパ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明は、車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、前記エネルギ吸収体の前面には、車幅方向に沿って延在し付与された荷重を伝達する荷重伝達部材が設けられ、前記荷重伝達部材には、衝突を検知する衝突センサが設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、車両の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェースに被衝突物が衝突した後、前記被衝突物は、エネルギ吸収体の前面部に設けられた荷重伝達部材に当接して押圧する。従って、被衝突物による衝突荷重(衝突エネルギ)が荷重伝達部材に付与されることにより、荷重伝達部材及びエネルギ吸収体が一体的に変形する。
【0013】
その際、エネルギ吸収体よりも高い剛性に設定された荷重伝達部材に付与された衝突荷重は、前記荷重伝達部材に対して直接装着された衝突センサに対して円滑に伝達される。この結果、例えば、被衝突物が隣接する衝突センサ間の部位に衝突した場合であっても、好適に衝突荷重が伝達され、衝突センサで確実に衝突荷重を検知することができる。
【0014】
また、エネルギ吸収体の前面部に設けられた荷重伝達部材は、車幅方向に沿って延在するように設けられることにより、被衝突物が車幅方向の任意の部位に衝突した場合であっても、前記被衝突物が確実に荷重伝達部材に当接して、前記荷重伝達部材を介して衝突荷重が衝突センサに伝達される。この結果、衝突センサの検出精度を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、前記エネルギ吸収体に対して、上下方向に沿って延在する変形容易なブラケットを設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、被衝突物から付与される上下方向に沿った衝突荷重(振動)は、ブラケットが変形することによって好適に吸収されると共に、比較的低剛性の鋼板で形成されたエネルギ吸収体が前後方向に沿って容易に変形する。
【0017】
従って、本発明によれば、被衝突物によって付与される上下方向の振動がブラケットで抑制されることにより、衝突センサの誤検知を防止することができると共に、エネルギ吸収体が前後方向に沿って変形容易となることにより、例えば、歩行者等を保護することで両者の調和を図ることができる。
【0018】
さらに、本発明は、前記エネルギ吸収体又は前記バンパフェースの少なくともいずれか一方に、被衝突物が衝突した初期状態のとき、変位することによって運動エネルギを発生させる質量部材が設けられることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、質量部材を衝突初期に変形する部位に配設することにより、衝突初期におけるエネルギ吸収(エネルギ消費)を、エネルギ吸収体の変形による歪エネルギだけでなく、変形に伴って質量部材が所定距離だけ移動することによって発生する運動エネルギを前記歪エネルギに加算することができる。この結果、つぶれ残りを増大させることがなく、エネルギ吸収効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、衝突を検知する衝突センサを荷重伝達部材に設け、被衝突物によって付与される衝撃荷重を前記衝突センサに対して円滑に伝達させることが可能なバンパ構造を得ることができる。また、本発明によれば、衝突センサの誤検知を回避するための振動抑制と、被衝突物を保護するためのエネルギ吸収体の変形容易性とを調和させることが可能なバンパ構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバンパ機構が組み込まれた車両の一部省略斜視図である。
【図2】図1に示される車両の一部省略側面図である。
【図3】バンパ機構の分解斜視図である。
【図4】(a)は、バンパ機構の要部斜視図、(b)は、(a)のIV−IV線に沿った拡大縦断面図である。
【図5】(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略斜視図、(b)は、被衝突物の衝突によって荷重伝達ビーム及びエネルギ吸収ビームが一体的に変形した状態を示す一部省略斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るバンパ機構を示す一部省略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った縦断面図である。
【図8】(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略縦断面図、(b)は、被衝突物の衝突によってエネルギ吸収ビームの湾曲部が変形した状態を示す一部省略縦断面図である。
【図9】(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第1適用例であって、質量部材をエネルギ吸収部材の前面部に配設した斜視図、(b)は、(a)のIX−IX線に沿った縦断面図である。
【図10】(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第2適用例であって、質量部材をバンパフェースの裏面に配設した斜視図、(b)は、(a)のX−X線に沿った縦断面図である。
【図11】被衝突物によって付与される衝突荷重と変位量との関係を示す波形特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るバンパ機構が組み込まれた車両の一部省略斜視図、図2は、図1に示される車両の一部省略側面図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、車両10は、例えば、モノコックボディ等からなる車体12と、前記車体12のフロント側であって左右のフロントフェンダ14a、14bの間に設けられるフード部材16と、前記車両12の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェース18を含むバンパ機構(バンパ構造)20と、前記バンパ機構20に被衝突物が衝突したことを検知する複数の衝突センサ22と、前記衝突センサ22からの検知信号に基づいてアクチュエータ24を駆動制御する制御部26とを備える。なお、図1及び図2中において、FRは、車両前方を示し、RRは、車両後方を示している。
【0024】
例えば、図示しない歩行者がバンパ機構20に衝突(当接)したことを衝突センサ22で検知し、前記衝突センサ22からの検知信号をトリガとしてアクチュエータ24を作動させ、図2に示されるようにフード部材16を所定長だけ上方に持ち上げて保持することにより、歩行者に付与される衝撃を軽減して歩行者を保護することができる。
【0025】
図3は、バンパ機構の分解斜視図、図4(a)は、バンパ機構の要部斜視図、図4(b)は、図4(a)のIV−IV線に沿った拡大縦断面図である。
【0026】
バンパ機構20は、図3及び図4(a)に示されるように、車体12側に取り付けられて連結されたバンパビーム28と、前記バンパビーム28の前方に取り付けられて車幅方向に沿って延在するエネルギ吸収ビーム(エネルギ吸収体)30と、前記エネルギ吸収ビーム30の前面下部側に連結され車幅方向の任意の部位に付与された荷重を衝突センサ20へ伝達する荷重伝達ビーム(荷重伝達部材)32と、前記エネルギ吸収ビーム30の前方に所定距離離間して設けられて前記エネルギ吸収ビーム30の前面を覆うバンパフェース18とから構成される。
【0027】
バンパビーム28は、図4(b)に示される縦断面において、矩形状の二つの空間部34a、34bが上下に積層配置された中空部材からなり、例えば、金属製の角形鋼管等によって構成される。この場合、バンパビーム28は、車体12両側の図示しない左右サイドフレームに跨るように延設され、その両端部が図示しない連結ステーを介して各サイドフレームに連結される。これによって、車両10の車体12側に連結されたバンパビーム28が配設される。
【0028】
エネルギ吸収ビーム30は、車両10が構造物や歩行者等の被衝突物と衝突したとき、変形することによって衝突エネルギ(衝突荷重)を吸収して被衝突物への衝撃を軽減するものであり、併せて車両10やその乗員への衝撃荷重をも軽減するものである。
【0029】
エネルギ吸収ビーム30は、図4(b)に示される縦断面において、車幅方向に沿って略平行に対向する上面部30a及び下面部30bと、前記上面部30aと前記下面部30bとの間に設けられ鉛直面に対して所定角度傾斜する傾斜面部30cと、前記傾斜面部30cに連続すると共に前方に向かって突出する前端面部30dとによって構成され、例えば、薄鋼板をプレス成形することによって製造される。
【0030】
この場合、エネルギ吸収ビーム30の上面部30aと下面部30bは、例えば、溶接等によって、それぞれバンパビーム28の上下面と略面一に固着され、上部側よりも下部側が前方に向かって突出した断面形状に形成される。
【0031】
荷重伝達ビーム32は、図4(a)、(b)に示されるように、エネルギ吸収ビーム30に対して比較的厚板からなる金属製材料又は樹脂製材料によって車幅方向に沿って延在するように設けられ、前記エネルギ吸収ビーム30よりも剛性が高くなるように設定される。また、前記荷重伝達ビーム32は、図4(b)に示される縦断面において、略直交する屈曲形状を有し、エネルギ吸収ビーム30の前端面部30d及び下面部30bの一部に対して、例えば、溶接等によって連結される。なお、各部材間の剛性に関しては、例えば、エネルギ吸収ビーム30の剛性よりも荷重伝達ビーム32の剛性が高く設定され、さらに、荷重伝達ビーム32の剛性よりもバンパビーム28の剛性が高く設定される。
【0032】
前記エネルギ吸収ビーム30に対する前記荷重伝達ビーム32の連結手段は、溶接に限定されるものではなく、例えば、図示しないボルト等を用いて締結してもよいし、図示しない他の固定手段を用いて固定するようにしてもよい。
【0033】
前記荷重伝達ビーム32の車幅方向の略中央部及び両端部の下部側には、それぞれ、衝突センサ22が装着される。この場合、図4(b)に示されるように、縦断面略L字状の取付金具36が、例えば、溶接等によって荷重伝達ビーム32の下面に連結され、前記取付金具36に締結されるボルト38及びナット39を介して衝突センサ22が前記荷重伝達ビーム32に対して装着される。前記衝突センサ22は、例えば、加速度センサ等によって構成されるとよい。
【0034】
このように、エネルギ吸収ビーム30の前面には、車幅方向に沿って延在する荷重伝達ビーム32が設けられ、前記荷重伝達ビーム32には、被衝突物がバンパフェース18に衝突したことを検知する複数の衝突センサ22が設けられる。なお、本実施形態では、3個の衝突センサ22が装着された状態を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、1個又は2以上の複数個であってもよい。
【0035】
バンパフェース18は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂によって形成され、車両10の最前部で外部に露呈するように設けられる。
【0036】
第1実施形態に係るバンパ機構20が組み込まれた車両10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0037】
図5(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略斜視図、図5(b)は、被衝突物の衝突によって荷重伝達ビーム及びエネルギ吸収ビームが変形した状態を示す一部省略斜視図である。
【0038】
図5(a)に示されるように、被衝突物Mが、例えば、隣接する衝突センサ22、22間の部位に衝突した場合を想定して以下説明する。
【0039】
車両10の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェース18(図5中では図示を省略している)に被衝突物Mが衝突した後、前記被衝突物Mは、エネルギ吸収ビーム30の前面部に設けられた荷重伝達ビーム32に当接し、図5(b)に示されるように、前記荷重伝達ビーム32を矢印方向に沿って押圧する。従って、被衝突物Mによる衝突荷重(衝突エネルギ)が荷重伝達ビーム32に付与されることにより、荷重伝達ビーム32及びエネルギ吸収ビーム30が一体的に変形する。
【0040】
その際、エネルギ吸収ビーム30よりも高い剛性に設定された荷重伝達ビーム32に付与された衝突荷重は、前記荷重伝達ビーム32に対して直接装着された衝突センサ22(衝突部位から最も近接する衝突センサ22)に対して円滑に伝達される。この結果、例えば、被衝突物Mが隣接する衝突センサ22、22間の部位に衝突した場合であっても、好適に衝突荷重が伝達され、衝突センサ22で確実に衝突荷重を検知することができる。
【0041】
また、エネルギ吸収ビーム30の前面部に設けられた荷重伝達ビーム32は、車幅方向に沿って延在するように設けられることにより、被衝突物Mがバンパ機構20における車幅方向の任意の部位に衝突した場合であっても、前記被衝突物Mが確実に荷重伝達ビーム32に当接して、前記荷重伝達ビーム32を介して衝突荷重が衝突センサ22に伝達される。この結果、衝突センサ22の検出精度を向上させることができる。
【0042】
これに対して、仮に、荷重伝達ビーム32が設けられていない場合には、比較的低剛性に形成されたエネルギ吸収ビーム30に対して被衝突物Mが衝突し、このエネルギ吸収ビーム30における衝突部位が局所的に変形して、隣接する衝突センサ22への衝突荷重の伝達が遅延することが懸念される。
【0043】
第1実施形態では、エネルギ吸収ビーム30よりも高い剛性に設定され、車幅方向に沿って延在する荷重伝達ビーム32が前記エネルギ吸収ビーム30の前面部に設けられることにより、このような懸念を払拭することができる。
【0044】
この結果、第1実施形態では、衝突を検知する衝突センサ22を荷重伝達ビーム32に設け、被衝突物によって付与される衝撃荷重を前記衝突センサ22に対して円滑に伝達させることが可能なバンパ機構20を得ることができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係るバンパ機構20aを以下に説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るバンパ機構を示す一部省略斜視図、図7は、図6のVII−VII線に沿った縦断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
第2実施形態では、エネルギ吸収ビーム40に対して、上下方向に沿って延在する変形容易な複数のブラケット42を設けている点で、第1実施形態と相違している。
【0047】
このブラケット42は、図6に示されるように、エネルギ吸収ビーム40に対して上下方向に沿って延在する帯体44によって構成され、前記帯体44の軸方向に沿った中間部には、衝撃時に変形し易くするために鈍角状に屈曲した屈曲部46が設けられる。なお、図6中では、エネルギ吸収ビーム40の前方に離間して設けられるバンパフェース18が省略されている。
【0048】
エネルギ吸収ビーム40は、図7に示される縦断面において、略水平方向に沿って延在する上面部40aと、前記上部部40aの一端部から反対方向(RR方向)に湾曲する湾曲部40bと、さらに前記湾曲部40bに連続し略鉛直下方向に向かって延在する側部40cと、前記側部40cの下端部から略直交する方向に向かって折曲する下面部40dとによって構成される。
【0049】
なお、第2実施形態では、エネルギ吸収ビーム40が1枚の鋼板を加圧成形して一体的に構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の鋼板等を接合することによって構成されるようにしてもよい。
【0050】
帯体44からなるブラケット42の軸方向に沿った一端部は、エネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bの下側を支持するように、例えば、溶接等によって接合されると共に、前記ブラケット42の軸方向に沿った他端部は、側部40cの下方側に、例えば、溶接等によって接合される。
【0051】
また、エネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bには、図6に示されるように、車幅方向に沿った所定部位に前方(FR方向)に向かって突出するスペーサ部材48が設けられる。例えば、バンパフェース18の形状(縦断面形状)が凹凸によって複雑に形成された場合、バンパフェース18の壁面とエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bまでの略水平方向に沿った離間距離が車幅方向の任意の部位において不均一となり、被衝突物がバンパ機構20aと衝突する部位によって、衝突センサ22におけるセンサ感度が異なるおそれがある。
【0052】
そこで、バンパフェース18の壁面とエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bまでの略水平方向に沿った離間距離が車幅方向の他の部位と比較して遠い場合には、その遠い分だけ略水平方向に沿って突出するスペーサ部材48を設けると共に、前記離間距離が車幅方向の他の部位と比較して近接している場合には、その近接する分だけ切り欠かれた切り欠き部50を前記スペーサ部材48に設けている。なお、例えば、前記スペーサ部材48の剛性は、エネルギ吸収ビーム40の剛性よりも高く設定され、さらに、バンパビーム28の剛性は、前記スペーサ部材48の剛性よりも高く設定される。
【0053】
このように、バンパフェース18の壁面とエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bまでの略水平方向に沿った離間距離を略均一とするために、エネルギ吸収ビーム40にスペーサ部材48を付設することにより、前記離間距離を略同一に設定することができる。この結果、被衝突物がバンパ機構20aのどの部位に衝突した場合であっても、衝突センサ22のセンサ感度の均一化を達成することができる。
【0054】
図8(a)は、被衝突物がバンパ機構に対して衝突する前の状態を示す一部省略斜視図、図8(b)は、被衝突物の衝突によってエネルギ吸収ビームの湾曲部が変形した状態を示す一部省略斜視図である。
【0055】
車両10の最前部に設けられ外部に露呈するバンパフェース18(図8中では図示を省略している)に被衝突物Mが衝突した後、図8(b)に示されるように、被衝突物Mがエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40b(又は、スペーサ部材48)に当接した際、被衝突物Mから付与される上下方向に沿った衝突荷重(振動)は、ブラケット42の屈曲部46が鋭角状に容易に変形することによって好適に吸収されると共に、比較的低剛性の鋼板で形成されたエネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bが前後方向に沿って容易に変形する。
【0056】
従って、第2実施形態では、被衝突物Mによって付与される上下方向の振動が変形容易なブラケット42で抑制されることにより、衝突センサ22の誤検知を防止することができると共に、エネルギ吸収ビーム40の湾曲部40bが前後方向に沿って変形容易となることにより、例えば、歩行者等を保護することで両者の調和を図ることができる。
【0057】
この結果、第2実施形態では、衝突センサ22の誤検知を回避するための振動抑制と、被衝突物Mを保護するためのエネルギ吸収ビーム40の変形容易性とを調和させることが可能なバンパ機構20aを得ることができる。
【0058】
さらに、第2実施形態では、ブラケット42を設けることにより、エネルギ吸収ビーム40に付与される上下方向の振動の固有周波数が上昇し、非衝突時における車体振動系からの共振による衝突センサ22の誤検知を好適に回避することができる。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構20bについて、以下説明する。
図9(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第1適用例であって、質量部材をエネルギ吸収部材の前面部に配設した斜視図、図9(b)は、図9(a)のIX−IX線に沿った縦断面図、図10(a)は、本発明の第3実施形態に係るバンパ機構の第2適用例であって、質量部材をバンパフェースの裏面に配設した斜視図、図10(b)は、図10(a)のX−X線に沿った縦断面図である。
【0060】
例えば、ケース1として、エネルギ吸収ビーム30におけるエネルギ吸収効率を高めるため、衝突初期に発生する荷重を増加させようとすると、エネルギ吸収ビーム30の剛性を増大する必要があり、これによってエネルギ吸収ビーム30のつぶれ残りが増加し(変形量が少なくなり)、このため、比較的剛性が高く設定されたバンパビーム28への底付け(当接)が増加してしまい、例えば、歩行者等に対して悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0061】
一方、ケース2として、車両10前方の限定された空間中において、例えば、歩行者等への保護性能を向上させようとすると、ケース1とは逆に変形量が多くなりすぎ、結果としてケース1と同様にバンパビーム28に底付きする。このため、エネルギ吸収効率とつぶれ残りとの両立が困難となる。
【0062】
そこで、第3実施形態では、衝突初期に変形するエネルギ吸収ビーム30の前面部(前端部)又はバンパフェース18の裏面に所定重量からなる質量部材52を配設している。
【0063】
質量部材52を衝突初期に変形する部位に配設することにより、衝突初期におけるエネルギ吸収(エネルギ消費)を、エネルギ吸収ビーム30の変形による歪エネルギだけでなく、変形に伴って質量部材52が所定距離だけ移動することによって発生する運動エネルギを前記歪エネルギに加算することができる。この結果、ケース1のようにつぶれ残りを増大させることがなく、また、ケース2のようにつぶれ残りがほとんどなくなる以前にエネルギ吸収効率を向上させることができる。さらに、質量部材52を局所的に配設することにより、バンパ機構20bの任意の部位に対して、局部的にエネルギ吸収量を変化させることが容易となる。
【0064】
図11は、被衝突物によって付与される衝突荷重と変位量との関係を示す波形特性図である。
【0065】
図11中において、波形特性曲線A(破線参照)は、質量部材52を設けていない比較例(ケース2に相当)を示し、波形特性曲線B(細実線参照)は、質量部材52を設けた第3実施形態を示し、波形特性曲線C(太実線参照)は、質量部材52が変位することによって発生する運動エネルギ分の反力を示し、波形特性曲線D(一点鎖線参照)は、従来品と比較してエネルギ吸収ビーム(図示せず)の剛性を向上させた他の比較例(ケース1に相当)を示している。
【0066】
質量部材52を設けていない比較例では、波形特性曲線Aに示されるように、衝突初期状態において吸収される荷重がレベルH1まで上昇した後、前記レベルH1を略保持したまま変位量が増大し、終局的にバンパビーム28等の比較的硬質な部材に当接することによって衝突荷重が急上昇してピーク値P1となって終了する(衝突荷重ゼロ)。
【0067】
また、エネルギ吸収ビームの剛性を従来よりも高めた他の比較例では、波形特性曲線Dに示されるように、衝突初期状態における吸収効率が向上するが、つぶれ残りが増大すると共に、比較例や第3実施形態よりも早いタイミングで比較的硬質な部材に底付きし、しかも荷重が急激に上昇するピーク値P2が発生して終了する(衝突荷重ゼロ)という不具合がある。
【0068】
これに対して、質量部材52を設けた第3実施形態では、波形特性曲線Bに示されるように、前記比較例に係る波形特性曲線Aと運動エネルギ分の反力に係る波形特性曲線Cとが加算された衝突荷重となり(A+C)、衝突初期状態において吸収される衝突荷重が前記レベルH1よりも高いレベルH2まで上昇させることができる。
【0069】
また、第3実施形態では、つぶれ残りも従来と同様であると共に、終局的にバンパビーム28等の比較的硬質な部材に当接する前に変形しきってしまい、比較的硬質な部材に対して底付きする前にエネルギ吸収が完了する。この結果、第3実施形態では、比較例のようなピーク値P1が発生することがなく、変位量が増大しても一定のレベルH1を保持したまま急激に上昇することがなく終了する。
【0070】
このように第3実施形態では、被衝突物がバンパ機構20bに対して衝突した際、衝突初期に変形する部位に質量部材52を設けることにより、前記質量部材52が移動する分だけの運動エネルギを衝突エネルギとして吸収(消費)することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
【0071】
なお、前記質量部材52は、その形状、剛性、材料、取り付け方法等は、図9及び図10の適用例に限定されるものではなく、衝突初期状態において変形する部位に配設されればよい。
【0072】
換言すると、被衝突物が衝突した初期状態のとき、変位することによって運動エネルギを発生させる質量部材52が前記エネルギ吸収ビーム30又は前記バンパフェース18のいずれか一方又はその両方に設けられ、前記発生した運動エネルギ分だけ衝突荷重が吸収(消費)されるとよい。
【符号の説明】
【0073】
10 車両
12 車体
18 バンパフェース
20、20a、20b バンパ機構(バンパ構造)
22 衝突センサ
28 バンパビーム
30、40 エネルギ吸収ビーム(エネルギ吸収体)
32 荷重伝達ビーム(荷重伝達部材)
42 ブラケット
52 質量部材
M 被衝突物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、
前記エネルギ吸収体の前面には、車幅方向に沿って延在し付与された荷重を伝達する荷重伝達部材が設けられ、
前記荷重伝達部材には、衝突を検知する衝突センサが設けられることを特徴とするバンパ構造。
【請求項2】
車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、
前記エネルギ吸収体に対して、上下方向に沿って延在する変形容易なブラケットを設けたことを特徴とするバンパ構造。
【請求項3】
請求項2記載のバンパ構造において、
前記エネルギ吸収体又は前記バンパフェースの少なくともいずれか一方には、被衝突物が衝突した初期状態のとき、変位することによって運動エネルギを発生させる質量部材が設けられることを特徴とするバンパ構造。
【請求項1】
車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、
前記エネルギ吸収体の前面には、車幅方向に沿って延在し付与された荷重を伝達する荷重伝達部材が設けられ、
前記荷重伝達部材には、衝突を検知する衝突センサが設けられることを特徴とするバンパ構造。
【請求項2】
車両の車体側に連結されたバンパビームを配設すると共に、前記バンパビームの前方に連結されたエネルギ吸収体を設け、前記エネルギ吸収体の前方にバンパフェースを設けたバンパ構造において、
前記エネルギ吸収体に対して、上下方向に沿って延在する変形容易なブラケットを設けたことを特徴とするバンパ構造。
【請求項3】
請求項2記載のバンパ構造において、
前記エネルギ吸収体又は前記バンパフェースの少なくともいずれか一方には、被衝突物が衝突した初期状態のとき、変位することによって運動エネルギを発生させる質量部材が設けられることを特徴とするバンパ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−269709(P2010−269709A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123805(P2009−123805)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
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