説明

バーコード印刷方法およびバーコード付印刷体

【課題】 バーコードの印刷不良の有無を目視によって容易かつ正確に点検できるようにするバーコード印刷方法を提供する。
【解決手段】 バーコード13cを単票用紙2に印刷するバーコード印刷方法において、バーコード13cを単票用紙2に印刷する前または後の少なくとも一方に、バーコード13cの縦横の長さと同程度以上の縦横の長さを有して塗りつぶされたベタ塗り部14を、単票用紙2に印刷する。バーコード13cに印刷不良がある場合には、ベタ塗り部14にも印刷不良が現れ、ベタ塗り部14に現れた印刷不良は、目視によって容易かつ正確に確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードを印刷するバーコード印刷方法および、バーコードが印刷されたバーコード付印刷体に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードは、固体を識別するための情報などをコード化したものであって、バーコードシンボルキャラクタであるバー(縦棒)を直線的に配置した一次元バーコードや、シンボルキャラクタを縦横に配置した二次元バーコードなどが用いられている。このようなバーコードは、例えば、電気料金の振込用紙(請求書)に、需要家などを識別する情報として印刷され、この振込用紙をコンビニエンスストアなどに持っていくと、バーコードリーダーによってバーコードから情報が読み取られる、というPOS(Point Of Sales)システム(例えば、特許文献1参照。)などに使用されている。
【特許文献1】特開2002−269483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、情報化社会の進展に伴って、バーコードにコード化すべき情報量が増加し、バーコードの細密化、高密度化が進んでいる。例えば、一次元バーコードにおいては、バーの幅やバー間隔が広いJAN(Japan Article Number)コードに代わり、バーの幅やバー間隔が狭いUCC/EAN(USA Code Center/European Article Number)128コードが使用されるようになった。
【0004】
このような細密化、高密度化したバーコードを正確に読み取るには、バーコードリーダーの読取精度を高める必要がある。一方、細密化、高密度化したバーコードを印刷する場合、印刷機の性能や不純物の付着、あるいはドラムやトナーの状態などによって、印刷不良が発生する場合がある。つまり、バーコードに、かすみ・むら(濃淡)や印刷欠け、あるいはなか白(バー内に生じる白い線や点)などが発生する場合がある。そして、このような印刷不良があると、読取精度が高いバーコードリーダーによってバーコードから情報を読み取ろうとした場合に、情報を正確に読み取ることができない場合がある。このため、印刷されたバーコードに印刷不良があるか否かを目視によって点検しなければならなかった。しかしながら、バーコードは細密化、高密度化され、しかも印刷された黒色の部分と用紙の白色の部分とが混在しているため、目視によって印刷不良の有無を点検することは容易ではなく、多大な時間と労力とを要するばかりでなく、点検精度が不安定となっていた。
【0005】
そこで本発明は、バーコードの印刷不良の有無を目視によって容易かつ正確に点検できるようにするバーコード印刷方法および、バーコード付印刷体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、バーコードを被印刷媒体に印刷するバーコード印刷方法であって、前記バーコードを前記被印刷媒体に印刷する前または後の少なくとも一方に、前記バーコードの縦横の長さと同程度以上の縦横の長さを有して塗りつぶされたベタ塗り部を、前記被印刷媒体に印刷することを特徴としている。
(作用)
被印刷媒体にバーコードが印刷されるとともに、バーコードの大きさ以上のベタ塗り部が印刷される。そして、バーコードに印刷不良がある場合には、ベタ塗り部にも印刷不良が現れ得る。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバーコード印刷方法において、前記ベタ塗り部を印字する際の印刷機のドラムの使用エリアが、前記バーコードを印字する際の前記ドラムの使用エリアを含むように、前記バーコードと前記ベタ塗り部との印刷間隔を設定することを特徴としている。
(作用)
バーコードを印字する際のドラムの使用エリアが、ベタ塗り部を印字する際のドラムの使用エリアに含まれるため、ドラムに起因するバーコードの印刷不良がある場合には、同様の印刷不良がベタ塗り部にも確実に現れる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、バーコードが被印刷媒体に印刷されたバーコード付印刷体であって、前記バーコードの上下の少なくとも一方の前記被印刷媒体の位置に、前記バーコードの縦横の長さと同程度以上の縦横の長さを有して塗りつぶされたベタ塗り部が印刷されていることを特徴としている。
(作用)
バーコードに印刷不良がある場合には、バーコードの上下の少なくとも一方に印刷されたベタ塗り部にも印刷不良が現れ得る。
【発明の効果】
【0009】
請求項1および請求項3に記載の発明によれば、バーコードに印刷不良がある場合には、ベタ塗り部にも印刷不良が現れ得る。そして、ベタ塗り部は、バーコードのように黒色の部分と白色の部分などが混在したものではなく、塗りつぶされたものであるため、かすみ・むらや印刷欠けなどの印刷不良がある場合には、目視によって容易かつ正確に確認することができる。しかも、ベタ塗り部は、バーコードの縦横の長さと同程度以上の縦横の長さを有するため、バーコードのあらゆる位置に発生し得る印刷不良をベタ塗り部でカバーすること、つまりベタ塗り部で印刷不良を確認することができる。このようにして、バーコードの印刷不良の有無を目視によって容易かつ正確に点検することが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、印刷機のドラムに起因するバーコードの印刷不良がある場合には、同様の印刷不良がベタ塗り部にも確実に現れるため、バーコードの印刷不良の有無をより正確・確実に点検することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態に係る電気料金請求関係書(バーコード付印刷体)1の平面図である。この電気料金請求関係書1は、主として、送り状11と電気料金請求書12と払込関係書13とから構成され、1枚の単票用紙(被印刷媒体)2によって各書11〜13が形成され、払込関係書13にバーコード13cが印刷されているものである。
【0013】
単票用紙2の外周側には第1のミシン目2eが設けられ、この第1のミシン目2eによって上下左右に余白部2a〜2dが配設されている。そして、この余白部2a〜2d内に、送り状11と電気料金請求書12と払込関係書13が印刷され、それぞれの境に第2のミシン目2fが設けられている。送り状11には、宛先や送り主などの情報が印刷され、電気料金請求書12には、請求金額や契約番号などが印刷されている。また、払込関係書13は、払込取扱票13aと払込票兼受領書13bとから構成され、その境に第3のミシン目2gが設けられている。そして、払込取扱票13aに、バーコード13cが印刷されている
このバーコード13cは、UCC/EAN128コードの一次元バーコードで、従来広く使用されていたJANコードに比べて、バーの幅やバー間隔が狭いものである。このバーコード13cの下方に位置する単票用紙2の下余白部2bに、ベタ塗り部14が印刷されている。ここで、バーコード13cの下方とは、単票用紙2に印刷する際の印刷方向(印刷順)の後側、つまり、バーコード13cの後に印刷される位置を意味する。このベタ塗り部14は長方形で、図2に示すように、その縦の長さH2および横の長さW2は、バーコード13cの縦の長さH1および横の長さW1よりも大きく設定されている。このベタ塗り部14は、バーコード13cのバーと同じ色、この実施の形態では黒色で塗りつぶされている(ベタ塗り印字されている)。
【0014】
また、バーコード13cとベタ塗り部14との印刷間隔(印刷ピッチ)Pおよび、ベタ塗り部14の横方向(単票用紙2の幅方向)の位置は、図3に示すように、ベタ塗り部14を印字する際の印刷機(プリンタなど)のドラムDの使用エリアD2が、バーコード13cを印字する際のドラムDの使用エリアD1を含むように設定されている。すなわち、バーコード13cが位置するドラムDの外周面部D1が、ベタ塗り部14が位置するドラムDの外周面部D2に含まれるように(図3中のP、またはこのPにドラムDの外周長の整数倍を加算した長さに)設定されている。
【0015】
このような構成の電気料金請求関係書1は、次のようにして印刷される。すなわち、通常の印刷と同様に、単票用紙2を印刷機内に供給し、上側から順に、つまり送り状11、電気料金請求書12、払込関係書13(バーコード13c)の順に印刷する。その後続けて、下余白部2bにベタ塗り部14を印刷する。このような印刷は、連続的にかつ1工程で行う。また、この実施の形態では、すべての単票用紙2(電気料金請求関係書1)にベタ塗り部14を印刷する。なお、このようにして印刷された電気料金請求関係書1は、余白部2a〜2dが切り落とされて、封筒などに入れられるものである。
【0016】
以上のように、本電気料金請求関係書1およびバーコード印刷方法によれば、同じ印刷機によって同一単票用紙2上に連続的にバーコード13cとベタ塗り部14とを印刷するため、バーコード13cに印刷不良がある(発生する)場合には、ベタ塗り部14にも印刷不良が現れ得る(発生し得る)。そして、ベタ塗り部14は、バーコード13cのように単票用紙2の地色(例えば、白色)とバーの黒色とが混在したものではなく、黒色に塗りつぶされたものである。このため、図4に示すように、かすみ・むら14aや印刷欠け14b、あるいはなか白14cなどの印刷不良がある場合には、目視によって容易かつ正確に確認することができる。しかも、ベタ塗り部14は、バーコード13cの縦横の長さH1,W1よりも大きいため、バーコード13cのあらゆる位置に発生し得る印刷不良をベタ塗り部14でカバーすること、つまりベタ塗り部14で印刷不良を確認することができる。このようにして、バーコード13cの印刷不良の有無を目視によって容易かつ正確に点検することが可能となる。
【0017】
しかも、上記のように、バーコード13cが位置するドラムDの外周面部D1が、ベタ塗り部14が位置する外周面部D2に含まれるように、バーコード13cとベタ塗り部14との印刷間隔Pおよび、ベタ塗り部14の横方向の位置が設定されている。このため、ドラムDに起因するバーコード13cの印刷不良がある場合には、同様の印刷不良がベタ塗り部14にも確実に現れる。このため、バーコード13cの印刷不良の有無をより正確・確実に点検することが可能となる。
【0018】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、この実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態では、このバーコード13cの下方にベタ塗り部14を印刷しているが、バーコード13cの上方(印刷方向の前側)に印刷してもよい。つまり、バーコード13cを単票用紙2に印刷する前にベタ塗り部14を印刷してもよく、この場合にも、バーコード13cに発生する印刷不良と同様な印刷不良がベタ塗り部14に発生し得る。また、ベタ塗り部14の縦横の長さH2、W2を、バーコード13cの縦横の長さH1、W1よりも大きく設定しているが、ベタ塗り部14の大きさはバーコード13cよりも同程度以上であればよい。すなわち、バーコード13cに発生し得る印刷不良がベタ塗り部14にも発生し、かつその印刷不良を目視で確認できる程度の大きさ以上であればよい。以上のように、バーコード13cに発生し得る印刷不良がベタ塗り部14にも発生し得るように、印刷機の性能・特性や印刷不良が発生しやすい条件などに応じて、ベタ塗り部14の位置や大きさを設定すればよい。
【0019】
また、この実施の形態では、すべての単票用紙2にベタ塗り部14を印刷しているが、複数の電気料金請求関係書1を連続的に印刷する場合に、一部の単票用紙2にのみベタ塗り部14を印刷するようにしてもよい。つまり、バーコード13cの印刷不良の有無を抜き取り点検するようにしてもよい。また、単票用紙2に印刷するものではなく、連続用紙に印刷するものでもよく、バーコード13cが二次元バーコードなどであってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態に係る電気料金請求関係書の平面図である。
【図2】図1の電気料金請求関係書におけるバーコードとベタ塗り部との大きさなどを示す図である。
【図3】図2におけるバーコードとベタ塗り部とのドラム上における位置関係を示す図である。
【図4】図1の電気料金請求関係書におけるベタ塗り部の印刷不良の例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 電気料金請求関係書(バーコード付印刷体)
2 単票用紙(被印刷媒体)
2a〜2d 余白部
2e〜2g ミシン目
11 送り状
12 電気料金請求書
13 払込関係書
13c バーコード
14 ベタ塗り部
14a かすみ・むら(印刷不良)
14b 印刷欠け(印刷不良)
14c なか白(印刷不良)
D 印刷機のドラム
D1 バーコードが位置する外周面部
D2 ベタ塗り部が位置する外周面部
P バーコードとベタ塗り部との印刷間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを被印刷媒体に印刷するバーコード印刷方法であって、
前記バーコードを前記被印刷媒体に印刷する前または後の少なくとも一方に、
前記バーコードの縦横の長さと同程度以上の縦横の長さを有して塗りつぶされたベタ塗り部を、前記被印刷媒体に印刷することを特徴とするバーコード印刷方法。
【請求項2】
前記ベタ塗り部を印字する際の印刷機のドラムの使用エリアが、前記バーコードを印字する際の前記ドラムの使用エリアを含むように、前記バーコードと前記ベタ塗り部との印刷間隔を設定することを特徴とする請求項1に記載のバーコード印刷方法。
【請求項3】
バーコードが被印刷媒体に印刷されたバーコード付印刷体であって、
前記バーコードの上下の少なくとも一方の前記被印刷媒体の位置に、
前記バーコードの縦横の長さと同程度以上の縦横の長さを有して塗りつぶされたベタ塗り部が印刷されていることを特徴とするバーコード付印刷体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−334516(P2007−334516A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163946(P2006−163946)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】