説明

バーコード読取装置及びバーコード読取方法

【課題】バーコードの読み取りを確実かつ迅速に行うことが可能なバーコード読取装置及びバーコード読取方法を提供する。
【解決手段】図書貸出返却装置1では、往路においてバーコード6からの図書コードの取得が正常に完了した時点で、通常速度よりも速い速度でバーコードスキャナ4を原点32に復帰させる。このため、読み取りの正否に関わらずにバーコードスキャナ4を原点32から終点33まで一定速度で駆動させる場合と比較して、次のバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。また、図書貸出返却装置1では、往路においてバーコード6の読み取りが正常に完了しなかった場合には、復路において通常速度よりも遅い速度でバーコードスキャナ4を駆動させる。したがって、往路においてバーコード6の読み取りができなかった場合でも、復路において読み取りの確実性が担保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード読取装置及びバーコード読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば図書などの対象物に貼り付けられたバーコードから、図書のタグ情報などを読み取る読取手段を備えたバーコード読取装置がある。例えば特許文献1に記載の自動図書貸出・返却システムでは、コンベア上を移動する図書のバーコードを読取装置で読み取り、貸出処理及び返却処理に必要な情報を操作パネルに表示するようになっている。また、このようなバーコード読取装置として、当該読取手段を対象物に対して相対的に往復移動させる駆動手段を筐体内に収容し、装置の小型化を図ったものもある。
【特許文献1】特開平6−149831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したバーコード読取装置では、対象物のバーコードから情報をより確実に読み取ることが要求される。情報の読み取りの確実性を向上させるためには、読取手段の駆動速度を遅くすることが有効と考えられるが、単純に駆動速度を遅くすると、処理の迅速性が損なわれてしまうという問題が生じる。
【0004】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、バーコードの読み取りを確実かつ迅速に行うことが可能なバーコード読取装置及びバーコード読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の解決のため、本発明に係るバーコード読取装置は、対象物に付加されたバーコードから情報を読み取る読取手段を備えたバーコード読取装置であって、対象物が載置される載置面と、載置面に対し、読取手段を原点から終点まで所定速度で相対的に往復駆動させる駆動手段と、往路において読取手段による情報の読み取りが正常に完了した場合に、その時点で所定速度よりも速い速度で読取手段を原点に復帰させ、往路において読取手段による情報の読み取りが正常に完了しなかった場合に、復路において所定速度よりも遅い速度で読取手段を駆動させる制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
このバーコード読取装置では、往路においてバーコードからの情報の取得が正常に完了した時点で、往路における読取手段の駆動速度よりも速い速度で読取手段を原点に復帰させる。このため、読み取りの正否に関わらずに読取手段を原点から終点まで一定速度で駆動させる場合と比較して、次の対象物におけるバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。また、このバーコード読取装置では、往路において読取手段による情報の読み取りが正常に完了しなかった場合には、復路において所定速度よりも遅い速度で読取手段を駆動させる。したがって、往路においてバーコードの読み取りができなかった場合でも、復路において読み取りの確実性が担保される。
【0007】
また、制御手段は、復路において読取手段による読み取りが正常に完了した場合に、その時点で所定速度よりも速い速度で読取手段を原点に復帰させることが好ましい。こうすると、往路においてバーコードの読み取りが失敗した場合であっても、次の対象物におけるバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。
【0008】
また、本発明に係るバーコード読取方法は、対象物に付加されたバーコードから情報を読み取る読取手段を用いたバーコード読取方法であって、対象物が載置された載置面に対し、読取手段を原点から終点まで所定速度で相対的に往復駆動させる駆動ステップを有し、往路において読取手段による情報の読み取りが正常に完了した場合に、その時点で所定速度よりも速い速度で読取手段を原点に復帰させ、往路において読取手段による情報の読み取りが正常に完了しなかった場合に、復路において所定速度よりも遅い速度で読取手段を駆動させることを特徴としている。
【0009】
このバーコード読取方法では、往路においてバーコードからの情報の取得が正常に完了した時点で、往路における読取手段の駆動速度よりも速い速度で読取手段を原点に復帰させる。このため、読み取りの正否に関わらずに読取手段を原点から終点まで一定速度で駆動させる場合と比較して、次の対象物におけるバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。また、このバーコード読取方法では、往路において読取手段による情報の読み取りが正常に完了しなかった場合には、復路において所定速度よりも遅い速度で読取手段を駆動させる。したがって、往路においてバーコードの読み取りができなかった場合でも、復路において読み取りの確実性が担保される。
【0010】
また、復路において読取手段による読み取りが正常に完了した場合に、その時点で所定速度よりも速い速度で読取手段を原点に復帰させることが好ましい。こうすると、往路においてバーコードの読み取りが失敗した場合であっても、次の対象物におけるバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バーコードの読み取りを確実かつ迅速に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るバーコード読取装置及びバーコード読取方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るバーコード読取装置の一実施形態として示す図書貸出返却装置の斜視図である。また、図2は、その側面図である。図1及び図2に示すように、図書貸出返却装置1は、筐体2と、操作パネル3と、バーコードスキャナ(読取手段)4とを含んで構成されている。図書貸出返却装置1は、例えば図書館の受付カウンターなどに設置され、利用者が貸し出し又は返却を希望する図書5に付加されたバーコード6から図書コードを読み取ることにより、図書5の貸出処理及び返却処理を自動的に行う装置として用いられる。
【0014】
図3は、図書貸出返却装置1の機能的な構成要素を示す図である。同図に示すように、図書貸出返却装置1は、主制御部11と、スキャナ制御部(制御手段)12とを内蔵している。主制御部11とスキャナ制御部12とは、所定の信号回線によって互いに情報通信可能に接続されている。主制御部11には、カードリーダ13、操作パネル3、図書コード管理部14等が接続されている。また、スキャナ制御部12には、図書検出センサ15、バーコードスキャナ4、スキャナ駆動ユニット(駆動手段)16等が接続されている。
【0015】
筐体2は、例えば金属によって形成され、幅450mm×奥行き550mm×高さ710mm程度の箱型をなしている。筐体2の正面下部には、例えば利用者のIDカードを挿入するカード挿入口21、及び貸出処理・返却処理後にレシートを発行するレシート発行口22が左右に並べて設けられている。カードリーダ13は、カード挿入口21に挿入されたIDカードから利用者のID情報を取得する。
【0016】
筐体2の中央部分には、正面側から奥側に向かう凹部23が形成されている。凹部23は、筐体2の幅方向に延在しており、凹部23の下面は、図書5を載置するための載置面24となっている。載置面24は、筐体2の奥側に向かって下方に傾斜している。載置面24の一端側には、図書5の載置位置を一定にするための板状の位置決め部材25が載置面24の延在方向と直交して設けられている。また、位置決め部材25の近傍には、図書5が載置面24に置かれたことを検出する図書検出センサ15が設けられている。
【0017】
一方、載置面24に対向する凹部23の上面には、バーコードスキャナ4のスキャナ窓26が設けられている。スキャナ窓26は、載置面24の延在方向と略平行に延在しており、バーコードスキャナ4から出射する検出光、及びこの検出光がバーコード6にあたって反射した反射光を透過する。
【0018】
操作パネル3は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイであり、筐体2の正面上部に配置されている。操作パネル3には、例えば「貸出」「返却」「終了」といった操作アイコンや、案内用の図柄、図書5のバーコード6から読み取った図書コードなどの各種の情報が表示される。
【0019】
バーコードスキャナ4は、筐体2の上部において、スキャナ窓26の内側に配置されている。バーコードスキャナ4は、利用者による操作パネル3の所定の操作を契機として検出光を出射する。バーコードスキャナ4の駆動は、スキャナ制御部12によって制御される。スキャナ制御部12は、図4に示すように、バーコードスキャナ4を支持レール31に沿って原点32から終点33まで所定速度で相対的に往復駆動させる。駆動の原点32は、載置面24の一端側において位置決め部材25の位置に対応して設定され、駆動の終点33は、載置面24の他端側に設定されている。制御の詳細は後述する。
【0020】
バーコードスキャナ4は、バーコード6から反射する反射光を検出し、図書5の図書コードといった情報を取得する。バーコード6には、複数の文字列及びチェックデジットが含まれている。バーコードスキャナ4は、チェックデジットに基づいて、バーコード6の読み取りの正否を判断する。バーコードスキャナ4は、取得した情報を図書コード管理部14に出力する。図書コード管理部14は、図書コード、貸出数、返却期限といった情報を利用者のID情報ごとに格納する。
【0021】
続いて、上述した構成を有する図書貸出返却装置1の動作について説明する。図5は、図書貸出返却装置1の動作を示すフローチャートである。
【0022】
利用者がカード挿入口21にIDカードを挿入し、載置面24に図書5を置いた状態で操作パネル3において所定の操作を行うと、バーコードスキャナ4が原点32から終点33に向かって一定速度(以下、「通常速度」と称す)で往路駆動を開始する(ステップS01)。
【0023】
往路駆動において、バーコードスキャナ4は、チェックデジットを用いてバーコード6の読み取りが正常に完了したか否かを判断する(ステップS02)。バーコード6の読み取りが正常に完了した場合、取得した図書コードが図書コード管理部14に出力される。次に、バーコード6の読み取りが正常に完了した位置から原点32に向かって通常速度よりも速い速度でバーコードスキャナ4が復路移動を開始する(ステップS03)。このときの速度は、例えば通常速度の140%程度に設定される。
【0024】
バーコードスキャナ4が原点32に復帰すると、(ステップS04)、図書コード管理部14に格納されているID情報、図書コード、貸出数、返却期限等に基づいて図書5の貸出・返却処理が実行される(ステップS05)。この後、レシート発行口22から利用者にレシートが発行され、処理が終了する。
【0025】
一方、ステップS02において、バーコード6の読み取りが正常に完了しなかった場合、バーコードスキャナ4が終点33に到達するまでバーコード6の読み取りの正否判断が継続される(ステップS06)。バーコードスキャナ4が終点33に到達してもバーコード6の読み取りが正常に完了しなかった場合、バーコードスキャナ4が終点33から原点32に向かって通常速度よりも遅い速度で復路駆動を開始する(ステップS07)。このときの速度は、例えば通常速度の60%程度に設定される。
【0026】
復路駆動において、バーコードスキャナ4は、往路駆動時と同様に、チェックデジットを用いてバーコード6の読み取りが正常に完了したか否かを判断する(ステップS08)。バーコード6の読み取りが正常に完了した場合、ステップS03〜ステップS05と同様に、バーコード6の読み取りが正常に完了した位置から原点32に向かって通常速度よりも速い速度でバーコードスキャナ4が復路移動し、原点32に復帰後、図書5の貸出・返却処理が実行される。
【0027】
ステップS08において、バーコード6の読み取りが正常に完了しなかった場合、バーコードスキャナ4が原点32に到達するまでバーコード6の読み取りの正否判断が継続される(ステップS09)。バーコードスキャナ4が原点32に到達してもバーコード6の読み取りが正常に完了しなかった場合、ステップS01からの各処理がリトライされる。
【0028】
以上説明したように、図書貸出返却装置1では、往路においてバーコード6からの図書コードの取得が正常に完了した時点で、通常速度よりも速い速度でバーコードスキャナ4を原点32に復帰させる。このため、読み取りの正否に関わらずにバーコードスキャナ4を原点32から終点33まで一定速度で駆動させる場合と比較して、次の図書におけるバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。
【0029】
また、この図書貸出返却装置1では、往路においてバーコード6の読み取りが正常に完了しなかった場合には、復路において通常速度よりも遅い速度でバーコードスキャナ4を駆動させる。したがって、往路においてバーコード6の読み取りができなかった場合でも、復路において読み取りの確実性が担保される。通常速度よりも遅くバーコードスキャナ4を駆動させることにより、復路においてバーコード6の読み取りが正常に完了した場合には、その時点で所定速度よりも速い速度でバーコードスキャナ4を原点32に復帰させるので、次の対象物におけるバーコード読み取りを開始するまでの時間を短縮できる。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、図書5に付加されたバーコード6を例示しているが、読み取り対象物は、CD・DVDなどであってもよい。バーコードスキャナ4の駆動速度は、読み取り対象物によって適宜設定を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るバーコード読取装置の一実施形態として示す図書貸出返却装置の斜視図である。
【図2】図1に示した図書貸出返却装置の側面図である。
【図3】図書貸出返却装置の機能的な構成要素を示す図である。
【図4】バーコードスキャナの動作の様子を示す模式図である。
【図5】図書貸出返却装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1…図書貸出返却装置(バーコード読取装置)、4…バーコードスキャナ(読取手段)、5…図書(対象物)、6…バーコード、12…スキャナ制御部(制御手段)、16…スキャナ駆動ユニット(駆動手段)、24…載置面、32…原点、33…終点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に付加されたバーコードから情報を読み取る読取手段を備えたバーコード読取装置であって、
前記対象物が載置される載置面と、
前記載置面に対し、前記読取手段を原点から終点まで所定速度で相対的に往復駆動させる駆動手段と、
往路において前記読取手段による前記情報の読み取りが正常に完了した場合に、その時点で前記所定速度よりも速い速度で前記読取手段を前記原点に復帰させ、往路において前記読取手段による前記情報の読み取りが正常に完了しなかった場合に、復路において前記所定速度よりも遅い速度で前記読取手段を駆動させる制御手段と、を備えたことを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、復路において前記読取手段による前記読み取りが正常に完了した場合に、その時点で前記所定速度よりも速い速度で前記読取手段を前記原点に復帰させることを特徴とする請求項1記載のバーコード読取装置。
【請求項3】
対象物に付加されたバーコードから情報を読み取る読取手段を用いたバーコード読取方法であって、
前記対象物が載置された載置面に対し、前記読取手段を原点から終点まで所定速度で相対的に往復駆動させる駆動ステップを有し、
往路において前記読取手段による前記情報の読み取りが正常に完了した場合に、その時点で前記所定速度よりも速い速度で前記読取手段を前記原点に復帰させ、往路において前記読取手段による前記情報の読み取りが正常に完了しなかった場合に、復路において前記所定速度よりも遅い速度で前記読取手段を駆動させることを特徴とするバーコード読取方法。
【請求項4】
復路において前記読取手段による前記読み取りが正常に完了した場合に、その時点で前記所定速度よりも速い速度で前記読取手段を前記原点に復帰させることを特徴とする請求項3記載のバーコード読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−116622(P2009−116622A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288993(P2007−288993)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】