説明

バーチカルブラインド、スラットおよびスラットの製造法

【課題】表裏が布帛に被覆されていて見る目にも柔らかく温かく、而も、捩れ(カール)の発生し難いバーチカルブラインド用スラットを得る。
【解決手段】表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に、それぞれ芯地20のポリエステルフイルムを構成しているポリエステルポリマーの融点と表布21と裏布22を構成しているポリエステルポリマーの融点よりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー23を介在させて加熱し押圧し、芯地20の表裏に表布21と裏布22を貼り合わせてスラット12を構成する。低融点ポリエステルポリマー23は、接着層24において縦横各10mmの単位矩形面積(1cm2 )内に点状に分布させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチカルブラインド、スラットおよびスラットの製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーチカルブラインドは、一定幅Wの薄板状の多数のスラットの各左右両端間を連結コードによって連結して構成され、その連結コードの長さはスラットの幅Wよりも若干短くなっている。
スラットは、スラットの上端を把持するランナーをカーテンレール内のスクリューによって回転駆動されるようになっており、スラットが軸芯の回りに90度回転すると隣合うスラット間の隙間が開閉するようになっている。
【0003】
薄板状のスラットに成るバーチカルブラインドは、立体感に乏しく、室内装飾品としての装飾性を欠く。
そこで、スラットの側縁を外側に膨出した凸縁と窪んだ凹縁が交互してジグザグに続く曲線縁とし、隣合う一方のスラットの凸縁と他方のスラットの凹縁、および、その隣合う一方のスラットの凹縁と他方のスラットの凸縁を、それぞれ隣合わせに複数条のスラットを所要の間隔をもって並べて吊り下げたバーチカルブラインド(例えば、特許文献1参照)や薄板状芯地の表裏を布帛で被覆したスラット(例えば、特許文献2参照)が開発された。
【0004】
【特許文献1】特開平6−288164号公報
【特許文献2】特開平6−336884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、表裏を布帛で被覆したスラットでは、薄板状芯地と布帛との吸湿性や熱膨張率の相違による伸縮差に起因するものと思われる捩れ(カール)が発生し、所要の間隔をもって吊り下げられた複数条のスラットの配列面に乱れが生じてバーチカルブラインドの装飾性が損なわれ易い。
特に、外側に膨出した凸縁と窪んだ凹縁が交互してジグザグに続く曲線縁を成すスラットでは、その膨出した凸縁に捩れ(カール)が発生し易い。
【0006】
そこで本発明は、表裏が布帛に被覆されていて見た目にも柔らかく温かく、而も、捩れ(カール)の発生し難いバーチカルブラインド用スラットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバーチカルブラインド用スラットは、(a) ポリエステルフイルム(ポリエステル樹脂製フイルム)を芯地20とし、その表裏にポリエステル繊維(ポリエステルポリマー)に成る表布21とポリエステル繊維に成る裏布22を貼り合わせて成るブラインド生地を帯状に裁断して成り、(b) 表布21と裏布22が、それぞれ芯地20のポリエステルフイルムを構成しているポリエステルポリマーと表布21と裏布22を構成しているポリエステルポリマーの何れよりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー(熱融着性ポリエステル樹脂)23に成る接着層24を介して芯地20に貼り合わされており、(c) 表布21と裏布22が同一規格の布帛によって構成されており、(d) 表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に介在する低融点ポリエステルポリマー23に成る接着層24・24の目付けが、表布21と裏布22と芯地20の何れの目付けよりも少ないことを第1の特徴とする。
【0008】
ここに、「同一規格の布帛」とは、表布21と裏布22を構成している糸条の単繊維繊度、糸条の総繊度、繊維絡合・織編組織、糸条の織編密度等の布帛の組織構造が同じであり、表布21と裏布22の目付け、引張強度、破断強度、熱収縮率等の物性品質が同じであること、つまり、同じ布帛を表布21と裏布22に適用することを意味する。
しかし、表布21と裏布22は、色彩やプリント模様の有無等によって外観(意匠)が異なるものであってもよい。布帛の組織構造や物性品質が同じであれば、色彩やプリント模様の有無等の単なる外観(意匠)上の相違に起因して、スラットに捩れ(カール)が発生することはあり得ないからである。
【0009】
本発明に係るバーチカルブラインド用スラットの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(e) 接着層24において縦横各10mmの単位矩形面積(1cm2 )内に含まれる低融点ポリエステルポリマー23が点状に分布している点にある。
【0010】
ここに、「点状に分布」とは、低融点ポリエステルポリマーによって構成される接着層24だけを表布21や裏布22と芯地20の間から取り出して加熱して形成されるフイルムの表面に細かい凹凸が生じて厚みが一定にならないこと、つまり、表布や裏布と芯地の間に介在する低融点ポリエステルポリマー(熱融着性ポリエステル樹脂)の分布量がミクロ的に見て部分的に異なることを意味し、その分布形態は、その溶融物(24)が個々に独立した形態であってもよいし、その溶融物が線状に連続して網目を成す形態であってもよいし、その溶融物が厚みが局部的に変化したフイルムを成す形態であってもよい。
【0011】
本発明に係るバーチカルブラインド用スラットの第3の特徴は、上記第1および第2の何れかの特徴に加えて、(f) スラット12の側縁13・14が、スラットの外側に膨出した凸縁18とスラットの内側に窪んだ凹縁19が交互してジグザグに続く曲線を描いており、(g) 片側の側縁13の凸縁18と他の片側の側縁14の凸縁18、および、片側の側縁13の凹縁19と他の片側の側縁14の凹縁19が、スラットの長さ方向に続く中心線を境にして左右対称になっている点にある。
【0012】
本発明に係るバーチカルブラインドは、(h) 上記第3の特徴を有する複数条のスラット12a・12b・12a・12b………を、隣合うスラット12aとスラット12bが触れ合う所要の間隔をもって並べて吊り下げて成り、(i) その隣合う一方のスラット12aの凸縁18と他方のスラット12bの凹縁19、および、その隣合う一方のスラット12aの凹縁19と他方のスラット12bの凸縁18が、それぞれ隣合っていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るバーチカルブラインド用スラットの製造法は、(j) ポリエステルフイルムを芯地20とし、その表裏にポリエステル繊維に成る表布21とポリエステル繊維に成る裏布22を貼り合わせて成るブラインド生地を帯状に裁断して成るバーチカルブラインド用スラット12の芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせる過程において、(k) 表布21と芯地20、裏布22と芯地20の各間に、それぞれ芯地20のポリエステルフイルムを構成しているポリエステルポリマーの融点と表布21と裏布22を構成しているポリエステルポリマーの融点よりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー23を介在させ、加熱し押圧して芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせることを第1の特徴とする。
【0014】
本発明に係るバーチカルブラインド用スラットの製造法の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(l) 芯地20に向き合う表布21の貼合面と、芯地20に向き合う裏布22の貼合面の双方の貼合面、又は、芯地20の表裏両面に、低融点ポリエステルポリマー23を部分的に付与し、加熱し押圧して芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせる点にある。
【0015】
本発明に係るバーチカルブラインド用スラットの製造法の第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(m) 表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に、低融点ポリエステルポリマー23に成る繊維ウエブを介在させ、加熱し押圧して芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせる点にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、芯地20の表裏にポリエステル繊維に成る表布21と裏布22を貼り合わせ過程において、表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に、それぞれ芯地20のポリエステルポリマーの融点と表布21と裏布22のポリエステルポリマーの融点よりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー23を介在させ、それらを加熱し押圧してスラット12が構成される。そのように、表布21と芯地20および裏布22と芯地20の各間に形成される接着層24・24が、芯地20のポリエステルポリマーの融点と表布21と裏布22のポリエステルポリマーの融点よりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー23に成るので、その貼り合わせ過程において芯地20と表布21と裏布22に蓄積される潜在的熱収縮応力が少なく、その潜在的熱収縮応力の差異が顕在化してスラット12に生じる捩れ(カール)が抑えられる。
【0017】
表布21や裏布22の表面は、鏡面のように平滑ではなく、その構成する繊維や糸条が交絡した繊維間隙間や糸条間隙間による細かい凹凸面となっている。本発明では、その表布21や裏布22に積層される接着層24の低融点ポリエステルポリマー23が、その低融点ポリエステルポリマー23を加熱して形成されるフイルムの表面に細かい凹凸が生じる程度にミクロ的にみて部分的に異なる分布量をもって点状に分布している。
その点状に分布している低融点ポリエステルポリマー23の積層面に表布21や裏布22を重ね合わせると、点状に分布している低融点ポリエステルポリマー23が、表布21や裏布22の細かい凸部に触れ易く、又、表布21や裏布22の細かい凹部(繊維間隙間や糸条間隙間)に入り込み易い。そして、表布21や裏布22の細かい凹部(繊維間隙間や糸条間隙間)に入り込んで融着した低融点ポリエステルポリマー23によって、表布21や裏布22と接着層24の間に強いアンカリング効果が生じる。加えて、低融点ポリエステルポリマー23の積層される芯地20は、ポリエステルフィルムであり、低融点ポリエステルポリマー23の分布量が少なくても、低融点ポリエステルポリマー23の積層面に細かい凹凸が生じ易い。このため、本発明によると、僅かな低融点ポリエステルポリマー23を使用して表布21や裏布22を芯地20に強固に貼り合わせることが出来る。
【0018】
又、低融点ポリエステルポリマー23が点状に分布していれば、表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間が点接着状態になり、加熱されて熱溶融した低融点ポリエステルポリマー23の余熱を受けて表布21と裏布22が熱収縮する度合いが少なくなり、表布21と裏布22の熱収縮する度合いの差異に起因するスラット12の捩れ(カール)が有効に回避されることにもなる。
【0019】
その低融点ポリエステルポリマー23が繊維として調製されており、その繊維の堆積された繊維ウエブとして表布21や裏布22と芯地20の間に介在させる場合、低融点ポリエステルポリマー23に成るフイルムとは異なり、繊維ウエブの表裏が毛羽立っていて表布21や裏布22の繊維に絡み付く。その上、繊維ウエブには細かい無数の繊維間隙間が介在するので、低融点ポリエステルポリマー23を加熱溶融すると、表布21と芯地20、裏布22と芯地20の各間は、その低融点ポリエステルポリマーの溶融物を介して点接着状態になり易い。このため、低融点ポリエステルポリマーを繊維ウエブに調製して表布21と芯地20、裏布22と芯地20の各間に挿入すると、表布21と裏布22の熱収縮する度合いの差異に起因するスラット12の捩れ(カール)を簡便に回避することが出来る。
繊維ウエブ表裏の繊維毛羽と表布21や裏布22の繊維を絡み付き易くするために、表布21や裏布22には単繊維繊度が10dtex以下の繊維を使用し、低融点ポリエステルポリマー繊維(23)の単繊維繊度を3dtex以下にするとよい。
【0020】
表布21と裏布22には、糸条の単繊維繊度、糸条の総繊度、繊維絡合・織編組織、糸条の織編密度等の布帛の組織構造、および、表布21と裏布22の目付け、引張強度、破断強度、熱収縮率等の物性品質が同一規格の布帛が適用されており、表布21と裏布22の伸縮度合いの差異も生じないので、本発明によるスラット12の捩れ(カール)の回避効果が高まる。
【0021】
表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に介在する低融点ポリエステルポリマー23の付着量を、表布21と裏布22と芯地20の何れの目付けよりも少なくするときは、その各間に介在する低融点ポリエステルポリマー23の熱容量が芯地20と表布21と芯地20の各熱容量よりも少なくなる。この点でも、熱溶融した低融点ポリエステルポリマー23の余熱を受けて表布21と裏布22が熱収縮する度合いが少なくなり、本発明によるスラット12の捩れ(カール)の回避効果が高まる。
【0022】
かくして、本発明によると、表裏が布帛21・22に被覆されていて見る目にも柔らかく温かく、捩れ(カール)の発生し難いバーチカルブラインド用スラット12を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
表布21と裏布22の目付けは300g/m2 以下に、好ましくは200g/m2 以下にし、芯地20のポリエステルフイルムの目付けは表布21と裏布22の目付けよりも少なく、好ましくは100g/m2 以下にするとよい。
ポリエステルフイルムは、曲折したポリエステル繊維になる表布21や裏布22に比して熱収縮し易く、ポリエステルフイルムの熱収縮によってスラット12が熱変形し易くなるためである。
【0024】
低融点ポリエステルポリマー23に成る接着層24の目付け(分布量)は、芯地20の目付けの半分以下に、好ましくは3分の1以下に、概して30g/m2 以下にするとよい。低融点ポリエステルポリマー23に成る繊維ウエブは、低融点ポリエステルポリマー23に成る繊維が部分的に接着した不織布を成すものであってもよい。
低融点ポリエステルポリマー23は、表布21と裏布22の表面に散布して付着し得る程度に微細なパウダー状のものであってもよい。
【0025】
ポリエステルフイルム芯地20の表裏にポリエステル繊維表布21とポリエステル繊維裏布22を貼り合わせたブラインド生地は、レーザービームを走査させて帯状に裁断するとよい。そのようにレーザービームによって裁断すると、その裁断口であるスラット12の側縁13・14において、芯地20と表布21と裏布22と低融点ポリエステルポリマー23が一体化した溶融物が生じ、その溶融物を介して表布21と裏布22がスラットの側縁13・14において連続し、側縁13・14において表布21と裏布22が解れ難くなるからである。
【0026】
側縁13・14が外側に膨出した凸縁18と内側に窪んだ凹縁19が交互してジグザグに続く曲線を描くスラット12では、凸縁18と凹縁19の中心部を通ってスラットの長さ方向に続く片側の側縁13の中心線と、凸縁18と凹縁19の中心部を通ってスラットの長さ方向に続く他の片側の側縁14の中心線に平行にする。
側縁13・14の凸縁18と凹縁19との凹凸差寸法(H)と、スラットの長さ方向に交互してジグザグに続く凸縁18と凹縁19のレピート寸法(L)の比率(H/L)が、0.4以下にするとよい。 側縁13・14の凸縁18と凹縁19との凹凸差寸法(H)は、10〜50mmにするとよい。
【0027】
本発明によるスラットの捩れ(カール)回避効果は、100℃の乾熱にて20時間加熱した後のスラット12の長さ方向に続く中心線に直交するスラットの幅方向におけるスラット12の表裏の各表面10の曲率半径R(表面彎曲度)によって評価される。
そのようよ100℃の乾熱にて20時間加熱して評価するのは、直射日光を浴び、灼熱状態で使用されるスラットの捩れ(カール)の多くが熱に起因すると認められるからである。
スラット表面10の曲率半径R(表面彎曲度)を測定するためには、そのスラット表面の彎曲度に見合った所要の曲率半径Rの円弧で周縁が縁取られた数種の周縁の曲率半径Rの異なるテンプレート10を用意し、その周縁をスラット表面10に当接し、曲率半径Rの異なる何れのテンプレート10の周縁をスラット表面10に隙間なく密着するか否かによってスラット表面10の彎曲状態(表面彎曲度)を測定する。
【0028】
本発明によると、片側の側縁13の凸縁18と他の片側の側縁14の凸縁18、および、片側の側縁13の凹縁19と他の片側の側縁14の凹縁19が長さ方向に続く中心線を境にして左右対称形を成す波形曲線帯状のスラット(図1)でも、表裏の各表面10の曲率半径R(表面彎曲度)が350mm以上で炎天下での使用において捩れ(カール)の発生しないスラットを得ることが出来る。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
目付け90g/m2 のポリエステルフイルム20の表裏に低融点ポリエステルポリマー23に成る目付け27g/m2 の不織布(24)を重ね合わせ、その表裏の不織布(24・24)にポリエステル繊維を経糸と緯糸に使用した経糸密度29.5本/cm、緯糸密度29.7本/cm、目付け170g/m2 の表布21と裏布22を重ね合わせ、加熱圧着して貼り合わせたブラインド生地に炭酸ガス・レーザービームを照射して波形曲線状に走査し、側縁13・14の凸縁18と凹縁19との凹凸差寸法(H)が44mm、凸縁18と凸縁18(凹縁19と凹縁19)のレピート寸法(L)が200mm、左右の側縁13の凹縁19と側縁14の凹縁19との幅(W)が54mmであり、片側の側縁13の凸縁18と他の片側の側縁14の凸縁18、および、片側の側縁13の凹縁19と他の片側の側縁14の凹縁19が長さ方向に続く中心線を境にして左右対称形を成す波形曲線帯状に裁断し、スラット12を調製した(図1)。
【0030】
[実施例2]
目付け90g/m2 のポリエステルフイルム20の表裏に低融点ポリエステルポリマー23に成る目付け27g/m2 の不織布(24)を重ね合わせ、その表裏の不織布(24・24)にポリエステル繊維を経糸と緯糸に使用した経糸密度69.7本/cm、緯糸密度45.7本/cm、目付け40g/m2 の表布21と裏布22を重ね合わせ、加熱圧着して貼り合わせたブラインド生地に炭酸ガス・レーザービームを照射し、実施例1と同様に波形曲線状に走査し、波形曲線帯状のスラット12を調製した。
【0031】
[比較例1]
実施例1において使用したポリエステル繊維を経糸と緯糸に使用した経糸密度29.5本/cm、緯糸密度29.7本/cm、目付け170g/m2 の織物に炭酸ガス・レーザービームを照射し、実施例1と同様に波形曲線状に走査し、波形曲線帯状のスラット12を調製した。
【0032】
[比較例2]
実施例1において使用したポリエステル繊維を経糸と緯糸に使用した経糸密度29.5本/cm、緯糸密度29.7本/cm、目付け170g/m2 の2枚の織物の間に、実施例1において使用した低融点ポリエステルポリマー23に成る目付け27g/m2 の不織布を挟み込み、加熱圧着して貼り合わせたブラインド生地に炭酸ガス・レーザービームを照射し、実施例1と同様に波形曲線状に走査し、波形曲線帯状スラット12を調製した。
【0033】
[比較例3]
実施例1において使用したポリエステル繊維を経糸と緯糸に使用した経糸密度29.5本/cm、緯糸密度29.7本/cm、目付け170g/m2 の1枚の織物をポリエステル樹脂溶液(樹脂分濃度20重量%、互応化学工業株式会社製品プラスコートRZ−105)に浸漬し絞液してポリエステル樹脂を0.7mg/cm2 (乾燥付着量)付与したブラインド生地に炭酸ガス・レーザービームを照射し、実施例1と同様に波形曲線状に走査し、波形曲線帯状スラット12を調製した。
【0034】
[比較例4]
実施例1において使用したポリエステル繊維を経糸と緯糸に使用した経糸密度29.5本/cm、緯糸密度29.7本/cm、目付け170g/m2 の1枚の織物をポリエステル樹脂溶液(樹脂分濃度30重量%、互応化学工業株式会社製品プラスコートRZ−105)に浸漬し絞液してポリエステル樹脂を1.2mg/cm2 (乾燥付着量)付与したブラインド生地に炭酸ガス・レーザービームを照射し、実施例1と同様に波形曲線状に走査し、波形曲線帯状スラット12を調製した。
【0035】
[評価試験]
上記実施例1〜2と比較例1〜4のスラットのJIS−L−1018による剛軟度と表面彎曲度(曲率半径)と厚み(株式会社ミツトヨ製マイクロメーターによる)は、[表1]に示す通りである。
【0036】
【表1】

【0037】
[評 価]
[表1]示す通り、実施例1と2のスラットでは、比較例1〜4のスラットに比してスラット表面の曲率半径(表面彎曲度)が大きく、捩れが発生し難いことが確認された。
実施例1のスラットは、比較例3と4のスラットに比してスラット表面の曲率半径(表面彎曲度)が大きく、捩れが発生し難いにも拘わらず、剛軟度が少なく可撓性に富む。
そして、実施例2のスラットは、実施例1のスラットに比して薄いにも拘わらず、スラット表面の曲率半径(表面彎曲度)が同程度に大きく捩れ難い。
このように、本発明によると、撓かで厚みが薄く、軽快感を与え、表布21と芯地20と裏布22が共に同じ素材であるから廃棄時には毒性燃焼ガスを発生せず、廃棄し易いバーチカルブラインド用スラットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るバーチカルブラインドの一部切截斜視図であり、その一部を円で囲んで拡大して図示している。
【符号の説明】
【0039】
10:スラットの表面
11:テンプレート
12:スラット
13・14:側縁
18:凸縁
19:凹縁
20:芯地
21:表布
22:裏布
23:低融点ポリエステルポリマー
24:接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) ポリエステルフイルムを芯地20とし、その表裏にポリエステル繊維に成る表布21とポリエステル繊維に成る裏布22を貼り合わせて成るブラインド生地を帯状に裁断して成り、
(b) 表布21と裏布22が、それぞれ芯地20のポリエステルフイルムを構成しているポリエステルポリマーと表布21と裏布22を構成しているポリエステルポリマーの何れよりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー23に成る接着層24を介して芯地20に貼り合わされており、
(c) 表布21と裏布22に同一規格の布帛が適用されており、
(d) 表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に介在する低融点ポリエステルポリマー23に成る接着層24・24の目付けが、表布21と裏布22と芯地20の何れの目付けよりも少ないことを特徴とするバーチカルブラインド用スラット。
【請求項2】
(e) 接着層24において縦横各10mmの単位矩形面積(1cm2 )内に含まれる低融点ポリエステルポリマー23が点状に分布している前掲請求項1に記載のバーチカルブラインド用スラット。
【請求項3】
(f) スラット12の側縁13・14が、スラットの外側に膨出した凸縁18とスラットの内側に窪んだ凹縁19が交互してジグザグに続く曲線を描いており、
(g) 片側の側縁13の凸縁18と他の片側の側縁14の凸縁18、および、片側の側縁13の凹縁19と他の片側の側縁14の凹縁19が、スラットの長さ方向に続く中心線を境にして左右対称になっている前掲請求項1と2の何れかに記載のバーチカルブラインド用スラット。
【請求項4】
(h) 前掲請求項3に記載の複数条のスラット12a・12b………を、隣合うスラット12aとスラット12bが触れ合う所要の間隔で配置して吊り下げて成り、
(i) その隣合う一方のスラット12aの凸縁18と他方のスラット12bの凹縁19、および、その隣合う一方のスラット12aの凹縁19と他方のスラット12bの凸縁18が、それぞれ隣合っていることを特徴とするバーチカルブラインド。
【請求項5】
(j) ポリエステルフイルムを芯地20とし、その表裏にポリエステル繊維に成る表布21とポリエステル繊維に成る裏布22を貼り合わせて成るブラインド生地を帯状に裁断して成るバーチカルブラインド用スラット12の芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせる過程において、
(k) 表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に、それぞれ芯地20のポリエステルフイルムを構成しているポリエステルポリマーの融点と表布21と裏布22を構成しているポリエステルポリマーの融点よりも融点が低い低融点ポリエステルポリマー23を介在させ、加熱し押圧して芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせることを特徴とするバーチカルブラインド用スラット製造法。
【請求項6】
(l) 芯地20に向き合う表布21の貼合面と、芯地20に向き合う裏布22の貼合面の双方の貼合面、又は、芯地20の表裏両面に、低融点ポリエステルポリマー23を部分的に付与し、加熱し押圧して芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせる前掲請求項5に記載のバーチカルブラインド用スラット製造法。
【請求項7】
(m) 表布21と芯地20、および、裏布22と芯地20の各間に、低融点ポリエステルポリマー23に成る繊維ウエブを介在させ、加熱し押圧して芯地の表裏に表布と裏布を貼り合わせる前掲請求項5に記載のバーチカルブラインド用スラット製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−115672(P2008−115672A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302584(P2006−302584)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000148151)株式会社川島織物セルコン (104)