説明

パイプハウスの空中外部遮光方法

【課題】従来のパイプハウスの遮光方法では、室内で遮光カーテンを展張するため太陽光が入ってきてから遮光しているため、また、被覆材外面に沿って遮光カーテンを展張する場合は遮光カーテンと被覆材が密着しているため空気層がなく、遮光はされるものの太陽熱が室内に入り、室温が上昇し、植物にとって過酷な温度となっている。
【解決手段】パイプハウス天面の外部上方に遮光カーテン4が開閉できるようにパイプ等で天面外部遮光カーテン枠6を組み、遮光後の空気層を設け、パイプハウス1の単棟ハウスおよび連棟ハウスの側面は、ハウス側面の地面に埋設する等の方法で側面支持材と、また連棟ハウスの場合は、谷部の谷部支持材7と天面外部遮光カーテン枠6を固定した外部遮光カーテンフレームを設置することで、遮光カーテン4、5が開閉でき、ハウス上部および側面から遮光し、室内の温度上昇抑制ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプハウスの室外の遮光カーテンと被覆材との間に空間を設けることで、遮光後の空気層を有するパイプハウスの外部遮光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパイプハウスの遮光方法は、図1において、室内に遮光カーテンを展張する遮光方法、あるいは図2において、パイプハウスの被覆材外面に沿って遮光カーテンを展張する方法で行われていた。
【0003】
また、図1、図2より従来のパイプハウスの遮光カーテンの開閉方法の多くは巻上方式であり、特にパイプハウスの被覆材外面に沿って遮光カーテンを展張する場合、被覆材との摩擦も加わり均一に巻き取れない現象がおき、不完全な遮光および室温の上昇がみられていた。
【0004】
パイプハウスでの遮光の目的は、遮光して太陽光を遮り、植物に対する太陽光を弱めるために行うという本来の目的よりも、多くの場合、室温を下げるために行われているが、室温は高温になってしまうのが実状であった。
【0005】
また、丈夫な鉄骨温室は、温室の柱を利用して、温室外部の遮光カーテンと被覆材との間に空間を設けることで、遮光後の空気層を有する外部遮光が、近年行われるようになってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上述べた従来のパイプハウスの遮光方法では、室内で遮光カーテンを展張するため太陽光が入ってきてから遮光しているため、また、被覆材外面に沿って遮光カーテンを展張する場合は遮光カーテンと被覆材が密着しているため空気層がなく、遮光はされるものの太陽熱が室内に入り、室温が上昇し、植物にとって過酷な温度となっており、太陽光をパイプハウスの空中で遮ることで、遮光カーテンと被覆材の間に遮光後の空気層を設け、室内に入ってくる太陽熱を和らげ、室温の上昇を抑え、かつ遮光も可能にする方法とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、図3のようにパイプハウス天面の外部上方に遮光カーテンが開閉できるようにパイプ等で天面外部遮光カーテン枠を組み、遮光後の空気層を設け、パイプハウスの単棟ハウスおよび連棟ハウスの側面は、ハウス側面の地面に埋設する等の方法で側面支持材と、また連棟ハウスの場合は、谷部の谷部支持材と天面外部遮光カーテン枠を固定した外部遮光カーテンフレームを設置することで、遮光カーテンが開閉でき、ハウス上部および側面から遮光し、室内の温度上昇抑制ができる。
【0008】
また、パイプハウスの妻面からの太陽光を遮る場合は、側面と同様に天面外部遮光カーテン枠と妻面支持材を固定することで、遮光カーテンを開閉でき、妻面の遮光をし、室内の温度上昇を抑制できる。
【0009】
間口が広いパイプハウスの場合は、パイプハウス天面の外部上方の天面外部遮光カーテン枠が自重で弛むため、パイプハウスの棟等に棟部支持材を設けることで天面外部遮光カーテン枠が安定し、遮光カーテンが開閉できる。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明のパイプハウスの空中外部遮光方法は、室外の遮光カーテンと被覆材の間に遮光後の空気層を設け遮光するため、遮光後の空気層をハウス天面および周囲に有しており、室内への太陽光量および太陽熱量を減らし、室内温度の上昇を抑えることができる。
【0011】
側窓および天窓を開放したパイプハウスでの実験結果では、外気温が30℃の場合、従来の室内での50%遮光カーテンを展張した場合38℃であり、被覆材外面に沿って同様のカーテンを展張した場合36℃、本発明の外部遮光方法で同様のカーテンを展張した場合33℃になり、本発明の外部遮光方法で行った遮光方法が外気温との差が最も少なく室内温度上昇抑制効果があった。
【0012】
パイプハウスの外部遮光カーテンの開閉は、手動および室内の温度や照度を計測しながら自動開閉ができる。
【0013】
また、本発明のパイプハウスの空中外部遮光方法は、新設のパイプハウスのみでなく、既存のパイプハウスにも設置可能であり、現在栽培しているパイプハウスの室内環境を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0015】
図1において、従来のパイプハウス1の遮光方法で、室内で室内巻上遮光カーテン2を展張しているため、遮光はされているが、熱せられた空気が室内上部に溜まっているため室温が上昇していた。
【0016】
図2において、従来のパイプハウス1の外部遮光方法で、被覆材外部に沿って室外巻上遮光カーテン3を展張しているため、遮光カーテンと被覆材が密着しており空気層がなく、図1同様遮光はされているが、室温が上昇していた。
【0017】
図3において、パイプハウス1の上方外部に天面外部遮光カーテン4が開閉できるようにパイプ等で天面外部遮光カーテン枠6を組み、太陽光をパイプハウス1の外部で遮ることで、パイプハウス1周辺に遮光後の空気層を設けることで、室内に入る太陽熱を和らげることができ、パイプハウス1の側面は側面外部遮光カーテン5が開閉できるハウス側面の地面に埋設する等の方法で設置した側面支持材と、また連棟の場合の谷部の雨どい10付近に谷部支持材7あるいは棟部の棟部支持材8または補強材9とを固定した外部遮光カーテンフレームを設置することで、遮光カーテンが開閉でき、ハウス上部および側面から遮光し、室内の温度上昇を抑制することができる。
【0018】
図4において、連棟のパイプハウス1の場合、隣接するパイプハウス1のパイプが2本混じる谷部の2本のパイプあるいは雨どい10に谷部支持材7を設置し、パイプハウス天面の上方の天面外部遮光カーテン枠6と固定し、またはパイプハウス棟部に棟部支持材8または補強材9で天面外部遮光カーテン枠6を固定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 従来のパイプハウスの遮光方法
【図2】 従来のパイプハウスの外部遮光方法
【図3】 パイプハウスの空中外部遮光方法
【図4】 谷部支持材および棟部支持材
【符号の説明】
【0020】
1 パイプハウス
2 室内巻上遮光カーテン
3 室外巻上遮光カーテン
4 天面外部遮光カーテン
5 側面外部遮光カーテン
6 天面外部遮光カーテン枠
7 谷部支持材
8 棟部支持材
9 補強材
10 雨どい

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプハウスの空中に遮光カーテンが展張できるよう室外の遮光カーテンと被覆材との間に空間を設けることで、パイプハウスの上部および周囲に遮光後の空気層を有して遮光するパイプハウスの空中外部遮光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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