説明

パイプ式ジャンパ装置

【課題】把持金具のサイズの種類を少なくして、パイプ式ジャンパ装置のコストダウンを図る。
【解決手段】平行な2本のパイプ導体11を把持する把持金具25を有するパイプ式ジャンパ装置において、ある外径のパイプ導体を把持するように製作された把持金具25を用いてそれより外径の小さいパイプ導体11を把持するために、前記把持金具25とパイプ導体11との間に、外径が把持金具25のパイプ把持溝29の内径に適合し、内径がパイプ導体11の外径に適合するアダプタ金具35を介在させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は架空送電線用のパイプ式ジャンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパイプ式ジャンパ装置を図2に示す。パイプ式ジャンパ装置は、鉄塔のアーム1の両側にそれぞれ耐張碍子連3、ヨーク5、引留クランプ7を介して引き留められた架空送電線9を電気的に接続するもので、剛性を有するパイプ導体11、可撓性を有するジャンパ線13、パイプ導体11を吊り下げる棒状の吊り下げ部材15等から構成されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
パイプ導体11は、同一水平面内に平行に配置された2本の断面円形のアルミパイプで構成されている。ジャンパ線13は、一般に架空送電線9の導体本数と同じ本数で(図示の例は4本)、上端が引留クランプ7に接続され、下端がパイプ導体11の端部に接続されている。吊り下げ部材15は、上端がヨーク5に連結され、下端がパイプ導体11の端部付近に連結されている。
【0004】
また、パイプ導体11には、吊り金具17、接地金具19、ジャンパホーン21、スペーサ23が取り付けられている。吊り金具17は、パイプ導体11を吊り下げ部材15の下端に連結するもので、図3に示すように、2本のパイプ導体11を把持する把持金具25に取り付けられている。把持金具25は、それぞれパイプ把持溝29を有する上側金具27A及び下側金具27Bと、締め付け用のボルトナット31とで構成されている。
【0005】
接地金具19は、停電工事などの際に送電線等に残っている電荷をアースに放電させるためのもので、これも、2本のパイプ導体11を把持する図3のような把持金具25に取り付けられている。ジャンパホーン21は、鉄塔アーム1に取り付けられたアース側ホーン33と対峙してサージ電圧を放電させるためのもので、これも、2本のパイプ導体11を把持する図3のような把持金具25に取り付けられている。スペーサ23は、2本のパイプ導体11を所定の間隔に保持するもので、図3のような把持金具25で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−157347号公報
【特許文献2】特開2002−51442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パイプ式ジャンパ装置のパイプ導体には、電流容量に応じて外径80mm〜120mmの範囲の各種サイズのアルミパイプが使用されている。このため従来は、パイプ導体の外径毎に把持金具の設計、製作が行われていた。しかし、把持金具は、鋼又はアルミ合金の鋳造や鍛造等により製作されるため、把持金具をパイプ導体の外径毎に製作すると、パイプ導体の外径毎に金型を用意して少量生産する必要があり、コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、把持金具のサイズの種類を少なくして、パイプ式ジャンパ装置のコストダウンを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、平行な2本のパイプ導体を把持する把持金具を有するパイプ式ジャンパ装置において、ある外径のパイプ導体を把持するように製作された把持金具を用いてそれより外径の小さいパイプ導体を把持するために、前記把持金具とパイプ導体との間に、外径が把持金具のパイプ把持溝の内径に適合し、内径がパイプ導体の外径に適合するアダプタ金具を介在させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ある外径のパイプ導体を把持するように製作された1つのサイズの把持金具で、それより外径の小さいパイプ導体を把持できるようにしたので、1つのサイズの把持金具を外径の異なるパイプ導体に共用することができる。このため、把持金具のサイズの種類を大幅に少なくすることができ、パイプ式ジャンパ装置のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るパイプ式ジャンパ装置の一実施例の要部を示す正面図。
【図2】従来のパイプ式ジャンパ装置の一例を示す側面図。
【図3】図2のパイプ式ジャンパ装置の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図1を参照して詳細に説明する。パイプ式ジャンパ装置の全体構成は図2に示す従来例と同様であるので、説明を省略する。図1は先に説明した図3に相当するもので、図3と同様、11はパイプ導体、17は吊り金具、25はパイプ導体11を把持する把持金具、27A、27Bは把持金具25を構成する上側金具及び下側金具、29は把持金具25のパイプ把持溝、31は上側金具27Aと下側金具27Bを締め付けると共に、吊り金具17を把持金具25に取り付けるボルトナットである。
【0013】
このパイプ式ジャンパ装置の特徴は、ある外径のパイプ導体を把持するように製作された把持金具25を用いてそれより外径の小さいパイプ導体11を把持するために、把持金具25とパイプ導体11との間に、外径が把持金具25のパイプ把持溝29の内径に適合し、内径がパイプ導体11の外径に適合するアダプタ金具35を介在させて、ある外径のパイプ導体を把持するように製作された把持金具25でそれより外径の小さいパイプ導体11を把持したものである。アダプタ金具35は上下に二つ割りになった一対の半円筒部材で構成されている。
【0014】
このようにすると、1つのサイズの把持金具を、外径の異なるパイプ導体に共用することができるので、把持金具のサイズの種類を大幅に少なくできる。例えば外径100mmのパイプ導体を把持するように製作された把持金具を用いて、外径90mmのパイプ導体を把持する場合には、外径100mm、内径90mmのアダプタ金具を介在させて、外径90mmのパイプ導体を把持すれば、外径90mmのパイプ導体を把持する把持金具は必要なくなる。この場合、アダプタ金具が別に必要となるが、アダプタ金具は把持金具よりもサイズが格段に小さく、形状も単純であるため、把持金具よりも大幅にコスト安である。このように、1つのサイズの把持金具を例えば2種類の外径のパイプ導体に共用できるようにするだけでも、把持金具のサイズの種類を従来の2分の1にすることが可能となる。
【0015】
なお、アダプタ金具35の上半分は上側金具27Aに、下半分は下側金具27Bに、それぞれねじ止め等により固定することが好ましい。
【0016】
また、上記実施例では、把持金具25に吊り金具17を取り付ける場合を説明したが、把持金具に接地金具又はジャンパホーン等を取り付ける場合や、把持金具でスペーサを構成する場合も同様である。
【符号の説明】
【0017】
11:パイプ導体
17:吊り金具
25:把持金具
27A:上側金具
27B:下側金具
29:パイプ把持溝
31:ボルトナット
35:アダプタ金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な2本のパイプ導体を把持する把持金具を有するパイプ式ジャンパ装置において、ある外径のパイプ導体を把持するように製作された把持金具を用いてそれより外径の小さいパイプ導体を把持するために、前記把持金具とパイプ導体との間に、外径が把持金具のパイプ把持溝の内径に適合し、内径がパイプ導体の外径に適合するアダプタ金具を介在させたことを特徴とするパイプ式ジャンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−234515(P2011−234515A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102885(P2010−102885)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【Fターム(参考)】