説明

パイプ材のシール、クランプ装置

【課題】コンパクトで弾性部材の摩耗が少なく、シール性が確実かつ弾性部材の交換が容易なパイプ材のシール、クランプ装置の開発。
【解決手段】パイプ材をシール、クランプするための弾性部材の圧縮部分をテーパー形状にすることにより弾性部材の容量を減らしシール、クランプ部を小型化し、またシール性を確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ストーレートもしくはスプール形状の付いたパイプ材のシール、クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体試験装置等に用いるパイプ材のシール、クランプ装置の形状は図4に示すように、アクチュエータ36を動作させ座金34を移動させることにより、弾性部材33を圧縮拡張変形させ、パイプ材39の内径部分をシール、クランプするもの。
【0003】
図5に示すように、アクチュエータ46を動作させシリンダ42を移動させることにより、シリンダ42、ピストン41、カバー44で内部の弾性部材43を圧縮変形させ、パイプ材52の外径部分をシール、クランプするもの。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術によれば、図4に示すものにおいては弾性部材が摩耗しやすく、また弾性部材がテーパー形状であるためシール、クランプも不確実であった。
【0005】
また図5に示すものにおいては弾性部材を大きくしなければならないために全体の構造が大きくなり、近くに並んだパイプ材付近に邪魔なものがある場合パイプ材をシール、クランプすることが不可能であった。また構造上消耗部品である弾性部材の交換にも時間がかかった。そのうえ、縦方向のみの圧縮機構のためシール性も不安定であった。
【0006】
そこで、この発明は、コンパクト且つシンプルな構造で簡単、確実にパイプをシール、クランプし、また簡単に消耗部品である弾性部材を交換できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、弾性部材を圧縮拡張変形させる部分をテーパー形状としたことを特徴とするパイプ材のシール、クランプ装置である。
【0008】
図3に示すように、テーパー部分を向き合わせその間に弾性部材を挿入した構造であり、アクチュエータによってテーパー部分を圧縮することにより弾性部材を内側方向に圧縮変形させ、パイプ材の外径部分を全周に渡って均等にシール、クランプする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したとおり本発明によれば、弾性部材の圧縮部分をテーパー形状にしたことにより弾性部材が内側方向に圧縮拡張されシール、クランプ効果の向上が得られる。また弾性部材の容量を減らすことが可能である。その結果外形形状もコンパクトにでき、近くに邪魔なものがある場合でもシール、クランプが可能となり、弾性部材の交換も容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0011】
図1〜3は本発明の実施の形態に係り、図1はその中央断面図、図2はその外観斜視図、図3はテーパー部分の拡大図である。
【0012】
図1に示すように、本装置11はシリンダ12とピストン13によりシリンダ構造となっている。
【0013】
図1に示すように、ブラケット17にピストン13とアクチュエータ16がボルトにより締結されている。
【0014】
アクチュエータ16のヘッド部にバックアッププレート15、サイドプレート18を介してシリンダ17がボルト19、21、22によって連結、締結されている。
【0015】
アクチュエータ16が作動するとヘッド部に連結されたシリンダ17がアクチュエータ16側に移動しシリンダ17とピストン13のテーパー部で弾性部材14を圧縮変形させる。
【0016】
図3で示すように、弾性部材はテーパー部で圧縮変形されるため内側方向に等分に拡張しパイプ材をクランプ、シールする。
【0017】
クランプ、シールされた状態で図2の矢印図示のように流体を挿入することができる。
【0018】
挿入された流体は弾性部材14及びOリング20によってシールされているので外部に漏洩しない。
【実施例】
【0019】
クランプ口径を35mmや25.4mm等自動車産業でよく使用される口径に標準化したり、本装置11のブラケット17の形状を標準化することにより検査装置等への取り付け、設計が容易になる。また、金属部品をステンレス材を使用することにより耐食性を増し水没試験装置に使用することも可能である。
【0020】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば流体を流さず栓的用途でも使用でき、また搬送作業等のクランプ的用途にも使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明はパイプ材を利用した自動車、オートバイ、電化製品等の部品の流体試験、気密試験、耐圧試験等の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の中央断面図である。
【図2】本装置の外観斜視図である。
【図3】図1のテーパー部分の拡大図である。
【図4】従来技術の一方法を示す縦断面図である。
【図5】図4とは別の従来技術の一方法を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
図1〜3にて使用。
11、パイプ材のシール、クランプ装置
12、シリンダ 13、ピストン
14、弾性部材 15、バックアッププレート
16、アクチュエータ 17、ブラケット
18、サイドプレート 19、締結ボルト1
20、Oリング 21、締結ボルト2
22、締結ボルト3 23、パイプ材
【0024】
図4にて使用。
31、シャフト 32、ブラケット
33、弾性部材 34、座金
35、ロックナット 36、アクチュエータ
57、バックアッププレート 38、サイドプレート
39、パイプ材
【0025】
図4にて使用。
41、ピストン 42、シリンダ
43、弾性部材 44、カバー
45、ブラケット 46、アクチュエータ
47、バックアッププレート 48、サイドプレート
49、締結ボルト1 50、締結ボルト2
51、締結ボルト3 52、パイプ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ材のシール、クランプ部にテーパー形状を設けたことを特徴とするパイプ材のシール、クランプ装置。
【請求項2】
前記テーパー形状により弾性部材を圧縮変形させパイプを保持することを特徴とする請求項1記載のパイプ材のシール、クランプ装置。
【請求項3】
前記テーパー形状をアクチュエータにて駆動させることを特徴とする請求項1記載のパイプ材のシール、クランプ装置。
【請求項4】
シール、クランプされたパイプ材内部に流体を挿入、通過させることもできることを特徴とする請求項1記載のパイプ材のシール、クランプ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate