説明

パウチの製造及び用途

少なくとも3つの区画を有する多区画の水溶性パウチであって、前記区画の少なくとも1つが液体形態の組成物を含有するものを作成する方法であり、前記方法が:
a)少なくとも2つの凹所を有する金型を提供する工程;
b)第1フィルムを金型の中に引き入れて、少なくとも2つの開放区画を少なくとも2つの凹所の中に形成する工程;
c)前記開放区画を充填する工程;
d)前記第1フィルムをピンで刺してピンホールを作り出す工程;
e)前記開放区画を覆って第2フィルムを引き寄せ、それらの区画を閉鎖し及び新しい開放区画を形成する工程であって、前記第2フィルムがピンホールを直接被覆する工程;
f)前記第2フィルムから形成された開放区画を充填する工程;並びに
g)閉鎖フィルムを新しく充填された開放区画を覆って設置してそれを閉鎖する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパウチ及びパウチ製造の分野にあり、特にそれは流体を含有する多区画の水溶性パウチ及び洗浄用途へのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途のため、特に洗浄用途のための水溶性パウチの使用が、益々好評になってきている。多くの他の利点の中でも特に、パウチは、漂白剤及び/又は他の刺激性物質を含有する場合がある洗浄組成物にユーザーが接触することを回避する。
【0003】
2つの部分から成る区画のパウチを作成するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、PCT国際公開特許WO02/085736は、各区画が組成物で充填され、及び前記区画が折り畳み部分により接合されるように各区画を蓋で覆い;及び前記区画の各々の蓋が互いに接着するように折り畳み部分を折り畳む、少なくとも2つの区画を含む水溶性容器を調製するための方法を記載している。
【0004】
PCT国際公開特許WO02/085738は、第1組成物を含有する第1区画及び第2組成物を含む第2区画を含む水溶性物品を製造するための方法を記載しており、これは、第1区画を製造すること;第1区画を第1組成物により充填すること、並びに第2組成物を含むシーリングフィルムを提供し及び第1区画をシーリングフィルムでシールするか、又は第1区画をシーリングフィルムでシールすること;第1区画及び/又は第1区画のシーリングフィルムから第2区画を製造すること;第2区画を第2組成物により充填すること;並びに第2区画を第2シーリングフィルムでシールすることを含む。
【0005】
EP−A−1,337,619は、ほぼ重ねて置かれた又は重ねて置くことができる関係で複数個の区画を含む水溶性のパウチを作成するための方法を開示する。
【0006】
先行技術に記載された2つの部分から成る又は多区画のパウチの大部分は、水平形成方法により作成され、結果として区画は重ねて置かれた方式で配置される。一般に、区画は類似の幾何学及び寸法を有する。現在利用可能なパウチ作成方法は、異なる区画の配置、サイズ、及び幾何学に関して柔軟性を提供しているようには見えない。
【0007】
多くの場合、パウチの幾何学及びサイズはその用途により決定され、例えば自動食器洗い機中で使用するためのパウチの場合には、パウチの幾何学及びサイズは、特に洗剤ディスペンサーの区画の形状により決定づけられる場合がある。2つの部分から成る又は多区画のパウチの場合には、区画は通常、重ねて置かれた方式で配置され及び非常に浅く見え、時には区画の大部分が空気に占有されている場合があり、これは液体組成物を含む区画の場合には特にそうである。
【0008】
多区画のパウチの場合に見出し得る別の欠点は、区画を互いに分離するための介在フィルムの必要性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
パウチの区画のサイズ及び形状について柔軟性を与え及びフィルムの使用量を低減する、多区画のパウチを作成するための方法への要求がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によると、少なくとも3つの区画を有する多区画の水溶性パウチを作成するための方法が提供され、前記区画の少なくとも1つ、好ましくは区画の少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つが液体形態の組成物を含有し、特にすべての区画は液体形態の組成物を含有する。シーリング区域を汚染せずに空気を排出することは非常に困難であるため、一般に、液体形態の組成物を含有する区画を有するパウチは、多量の空気を含有する場合がある。シーリング区域の汚染は、最終的に弱いシールになる可能性がある。そのため、シーリングプロセス中の要件は、開放パウチの液面をパウチのシーリング区域の下、一定距離のところに維持することである。この要件は、液体占有体積に比べて多量の空気占有体積を有するパウチを生じさせる。上述のように、この現象は、浅い区画を有するパウチの場合にはより深刻である。液体含有パウチの場合に見出される別の問題は、区画から空気を排出するために真空を使用できない場合があることである。通常、真空はピンホールを通じて適用されるが、しかしながら液体の場合は、液体が孔を通じて漏れることがあるため、ピンホールを使用することができない。
【0011】
本発明の方法は:
a)少なくとも2つの凹所を有する金型を提供する工程;
b)第1フィルムを前記金型の中に引き入れて、少なくとも2つの開放区画を少なくとも2つの凹所の中に形成する工程;
c)前記開放区画を2つの組成物、好ましくは同じ又は異なることができる2つの洗浄組成物により充填する工程;
d)前記第1フィルムをピンで刺してピンホールを作り出す工程;
e)前記開放区画を覆って第2フィルムを引き寄せ、それらの区画を閉鎖し及び新しい開放区画を形成する工程であって、前記第2フィルムがピンホールを直接被覆する工程;
f)第2フィルムから形成された開放区画を組成物により、好ましくは2つの他の組成物と同じ又は異なることができる洗浄組成物により充填する工程;並びに
g)閉鎖フィルムを新しく充填された開放区画を覆って設置してそれを閉鎖する工程を含む。
【0012】
好ましい実施形態では、少なくとも2つの凹所は、2つの凹所を分離するブリッジ領域によって接続され、この構成は2つの別個の区画を生じさせる。これは、互いに相互作用して製品の安定性を低下しやすい組成物を2つの区画が含有する場合には、特に有用である。ブリッジ領域を覆って設置されたフィルムの領域もまた、本明細書ではブリッジ領域と呼ばれる。本発明の方法において使用される金型は2超過、例えば3又は4の凹所、及び1超過のブリッジ領域を有することができる。
【0013】
第1フィルムは、金型の中に、圧力、真空、慣例などが挙げられるいずれかの手段により、並びに射出成形によりフィルムを形成することにより引き入れることができる。好ましくは第1フィルムは真空によって引き入れられる。この引き入れプロセスはまた、フィルムを加熱することにより援助され得る。
【0014】
少なくとも2つの凹所がブリッジ領域によって接合される実施形態では、フィルムはピンで刺されてブリッジ領域の中にピンホールを形成し、ピンホールは、2つの区画を充填する前又は後(before of after)に形成されることができる。
【0015】
2つの開放区画は、同時に又は順々に、2つの類似した又は異なる組成物、好ましくは洗浄組成物によって充填される。「洗浄組成物」は、本明細書では、それ自体で又は他の組成物(類)との組み合わせにより、基材の洗浄に寄与することができる組成物を意味する。
【0016】
予備形成された開放区画を閉鎖するため、及び新しい開放区画を作り出すための第2フィルムの引き寄せは、第1フィルムの場合のように、圧力、真空、慣例などが挙げられるいずれかの既知の手段により実現され得る。好ましい実施形態では、第2フィルムは真空手段により引き寄せられる。引き寄せプロセスは、フィルムを加熱することにより援助され得る。ピンホールの存在は、第1に形成された開放区画と第2フィルムとの間に取り込まれ得る空気の排出を可能にし、それによって各区画中に保持され得る組成物の量を増加し、パウチの外観を改善する。好ましくは、第1及び第2フィルムは共にシールされる。
【0017】
新しく形成された区画が、好ましくは液体形態の、少なくとも2つの先に形成された区画のものと類似の又は異なる組成物により充填された後、開放区画は閉鎖フィルムにより閉鎖され、並びに第2及び閉鎖フィルムは共にシールされる。あるいは(Alternative)、第1、第2、及び閉鎖フィルムは、単一工程で共にシールされることができる。
【0018】
本発明の第2の態様によると、少なくとも3つの区画を有する多区画の水溶性パウチが提供され、前記区画の少なくとも1つは液体形態の組成物を含有し、好ましくは区画の少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、特にはすべての区画が液体形態の組成物を含有する。本発明のパウチは、下部、中部、及び上部フィルムのみを有する。下部及び中部フィルムは、少なくとも2つの区画(本明細書では、下部区画と呼ばれる)を形成する。下部フィルムはピンホールを含み、及び中部フィルムの少なくとも一部は、ピンホールを直接覆って設置される。中部及び上部フィルムは、もう1つの区画(本明細書では、第2区画と呼ばれる)を形成する。本発明のパウチは、従来のパウチより少ないフィルムを必要とし、例えば3区画のパウチは、1つの中部フィルムのみを必要とする。本発明のパウチは、洗浄プロセスに使用するために、並びに特に洗濯及び自動食器洗いのために特に好適である。
【0019】
好ましい実施形態では、下部フィルムから形成された2つの区画(即ち、下部区画)は隣り合った空間的関係にある。好ましくは、2つの下部区画は、壁のみにより分離される代わりに、ブリッジ領域によって分離されており(即ち、それらの間には好ましくは水平な隔たりが存在する)、それによって、特に2つの区画が、1つの区画からもう一方へフィルムを通じて移動し得る適合性のない物質を含む場合には、2つの下部区画の安定性を改善する。好ましい実施形態では、パウチは2つの隣り合った区画、及び2つの隣り合った区画の上に重ねて置かれたもう1つの区画を含む。これらの実施形態は、3つの区画の視覚化、並びにパウチの外観及び安定性についての改善を可能にする。
【0020】
本発明のパウチは、適合性のない成分の分離を容易に可能にする。好ましい実施形態では、区画、好ましくは下部区画の1つは酵素を含み、及び別の区画、好ましくは他方の下部区画は漂白剤を含む。
【0021】
好ましい実施形態では、上部及び下部フィルムは異なる溶解プロファイルを有し、それによって対応する区画の内容物を異なる時に放出し、これにより、予洗、本洗い、及び/若しくはすすぎサイクル中に、又は更にはいずれかのサイクルの異なる部分において、異なる組成物の送達を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、区画の少なくとも1つが液体組成物を含む、少なくとも3つの区画を有する多区画の水溶性パウチを作成するための方法を構想している。方法は、フィルム量の低減、パウチの中に取り込まれた空気量の低減、及び区画設計の柔軟性を可能にする。最終的なパウチは、改善された審美性及び安定性を提示する。
【0023】
本発明はまた、区画の少なくとも1つが液体組成物を含む、少なくとも3つの区画を有する多区画のパウチ、及び異なる区画の中に含有された組成物の差別的送達を可能にする手法を構想している。
【0024】
本明細書で使用するとき用語「液体」は、ゲル及びペーストを包含する。本明細書で使用するとき用語「パウチ」は、小袋及びカプセルを包含する。
【0025】
本発明の方法は、少なくとも2つの凹所を有する金形の使用を必要とする。好ましくは、金型は2つの/複数の深さを有する。2つの凹所が金型の下部にあること(下部区画を生じさせるために)、及び金型が、下部区画の上部に他の区画(類)の形成を可能にするために十分な空間を有することは好ましい。この構成は、パウチ全部が単一の金型の中で作成でき、方法に複雑さを常に加える予備形成された区画の移動を回避するので、多区画パウチの製造を簡単にする。
【0026】
金型の凹所は、例えば、半円、正方形、三角形、方形、円盤形、又は星、果物などの形状のような周知の形状の形態におけるいずれの幾何学をも有することができる。2つの凹所は、同じ又は異なる幾何学、形状、及び/若しくはサイズを有することができる。本発明の方法は、幾何学の大きな柔軟性を提供し、これは審美的観点からだけでなく、各区画の中に取り込まれる空気の量を低減するという観点からも、特に区画が液体形態の組成物を含有するときには好ましい。
【0027】
好ましくは、本明細書で使用するための金型は、ブリッジ領域により接合された少なくとも2つの凹所を有するものである。好ましくは、少なくとも2つの凹所は、金型の下部にある。
【0028】
本発明の方法は、連続的な、半連続的な、又はバッチ方式で、いずれかの好適な機器を使用して実施されることができる。パウチは個々に作成することもできるし、あるいはパウチのウェブが作成されることもでき、次いで個々のパウチがウェブから分離されることもできる。
【0029】
本発明の方法は、第1ウェブ、好ましくは移動ウェブを形成することにより実行され得る。方法は、好ましくは、第1水溶性フィルムをエンドレス表面上に、好ましくはエンドレス表面の水平な若しくは実質的に水平な部分上に、又はさもなければ、この表面の水平でない部分上に、それが表面の水平な若しくは実質的に水平な部分に向かって連続的に移動し及び最終的にその上になるように、連続的に供給することを伴う。第1ウェブは、あるいは射出成形により形成され得る。
【0030】
第1ウェブを形成するために使用される各金型は、少なくとも2つの凹所を有し、第1フィルムを金型の上に引き寄せた後、少なくとも2つの異なる開放区画が各金型の中に形成されることになる。
【0031】
好ましくは、金型を含有する表面は、移動、回転ベルト、例えば、コンベヤーベルト若しくはプラテンコンベヤーベルトの一部であり、及び/又は好ましくはそれに取り外し可能に接続されている。その結果好ましくは、表面は取り外されることができ、及び他の寸法を有する又は異なる形状若しくは寸法の金型を含む別の表面と取り替えることができる。これにより、機器は容易に洗浄でき、更には異なる種類のパウチの製造のために使用することができる。これは、例えば一連のプラテンを有するベルトであってもよく、その数及びサイズは、水平部分の長さ及び表面の回転サイクルの直径により、例えば50〜150、又は更には60〜120、又は更には70〜100のプラテンを有し、例えば各々が、5〜150cm、好ましくは10〜100cm、又は更には20〜45cmの長さ(プラテン及び表面の運動方向)を有する。
【0032】
プラテンは次に、表面又はその一部を共に形成し、典型的には金型はプラテンの表面上に含まれ、例えば各プラテンは幾つかの金型、例えば20まで、又は更には2〜10又は更には3〜8の金型を幅方向に有してもよく、及び例えば15まで、又は更には1〜10又は更には2〜6又は更には2〜5の金型を縦方向、即ちプラテンの運動方向に有してもよい。
【0033】
表面、又は典型的には表面に接続されたベルトは、いずれかの既知の方法の使用により、連続的に又は断続的に移動されることができる。ゼロ伸長チェーンシステムの使用が好ましく、これは表面又は表面に接続されたベルトを駆動する。
【0034】
プラテンコンベヤーベルトが使用される場合、これは好ましくはa)主ベルト(好ましくはスチールの)及びb)一連のプラテンを含有し、これは1)プラテンが金型を有するエンドレス表面を形成するように、金型を有する表面、及び2)好ましくは、真空シュート接続(vacuum chute connection)、及び3)好ましくはプラテンと真空シュート接続(vacuum chute connection)との間のベースプレートを含む。次にプラテンは、好ましくは主ベルト上に、プラテン間の接合部から空気漏れがないように取り付けられる。プラテンコンベヤーベルトは全体として次に、好ましくは静的真空システム(真空室)に沿って(の上を;下を)移動する。
【0035】
表面が2以上の異なる真空システムに接続されていることが好ましい場合があり、これは各々が異なる負圧(under pressure)を提供し、及び/又はより短い若しくはより長い時間帯又はより短い若しくはより長い持続時間において、こうした負圧(under pressure)を提供する。例えば、第1真空システムが、金型/縁部の間又は金型/縁部に沿った区域上に負圧(under-pressure)を連続的に提供し、別のシステムのみが、フィルムを金型の中に引き入れるために、一定時間の間真空を提供することは好ましい場合がある。例えば、金型の中にフィルムを引き入れる真空は、ひとたびフィルムが表面の水平部分の上になれば、僅か0.2から5秒間、又は更には0.3から3若しくは更には2秒間、又は更には0.5から1.5秒間、適用され得る。この真空は好ましくは、それが−10kPa(−100ミリバール)〜−100kPa(−1000ミリバール)、又は更には−20kPa(−200ミリバール)〜−60kPa(−600ミリバール)の負圧(under-pressure)を提供するようなものであってもよい。
【0036】
好ましくは例えば、2以上の真空システム、又は好ましくはポンプが上記のシュートに接続され、その結果各真空システムが各シュートに接続され、好ましくはその結果システムがシュートの中で相互接続されず、したがって真空を完全に互いに分離し、並びに金型/縁部の間及び/又は金型/縁部に沿った、金型/表面への真空の制御された送達を保証することが好ましい場合がある。
【0037】
上記の表面又はプラテンは、好ましくは耐食材料から作成され、これは耐久性があり、洗浄が容易である。金型区域を包含する表面又はプラテンが、アルミニウム、好ましくはニッケルと混合されたアルミニウムから作成されているか、又は任意に外層のみがニッケル及び/若しくはニッケルとアルミニウムの混合物を含むことが好ましい場合がある。
【0038】
好ましくは、表面の金型間及び/又は表面の金型中の少なくとも上層は、好ましくは金型間の少なくとも上層は、変形可能な弾力性のある材料からできている。材料は、典型的には、それが0.1以上、好ましくは0.3以上の摩擦係数を有するようなものである。例えば、金型間の上層は、しかし金型の中においても、ゴム、シリコーン材料、又はコルクから、好ましくはゴム又はシリコンゴムからできていることが可能である。例えば10〜90のショア値(shore value)を有するシリコンゴムに類似して、材料が硬過ぎないことがまた好ましい。
【0039】
金型は、パウチの必要とされる寸法によって、いずれかの形状、長さ、幅、及び深さを有することができる。表面ごとに、金型はまたサイズ及び形状について、所望であれば互いに異なることができる。例えば、最終パウチの体積が、5〜100mL、又は更には10〜50mL、又は更には15〜30mLであることは好ましい場合がある。金型のサイズはそれに応じて調整される。
【0040】
表面への及び典型的には表面上への、又は表面上部への、好ましくはその水平部分上へのフィルムの供給は、連続的に又は断続的に、好ましくは連続的に、ひいては典型的には方法全体を通じて一定速度により行われることができる。これは、いずれかの既知の方法により、好ましくはフィルムが巻き戻されるローラーの使用により行われることができる。フィルムはローラーから表面に、いずれかの手段により移送されることができ、例えばベルトにより、好ましくは変形可能な弾力性のあるベルト、例えばシリコンゴムを含むゴム又はシリコーン材料のベルトにより誘導されることができる。材料は、典型的には、それが0.1以上、好ましくは0.3以上の摩擦係数を有するようなものである。
【0041】
ローラーがフィルムを、少なくとも100m/分、又は更には120〜700m/分、又は更には150〜500m/分、又は更には250〜400m/分の速度により巻き戻すことが好ましい場合がある。
【0042】
ひとたび表面上になると、フィルムは適所に保持され、例えば表面上にいずれかの手段により固着又は定着されることができる。例えば、フィルムは、金型が存在しない表面縁部上にグリップ又はクリップにより保持され得るか、又は金型が存在しない表面縁部上にローラーにより下に押され得るか、又は金型が存在しない表面縁部上にベルトにより押し付けられることができる。
【0043】
操作及びフィルムの位置決めを容易にするために、改善された精度及び位置合わせのより良好な信頼性のために、並びにフィルム表面を緩め過ぎない(即ち、グリップ、クリップ、ローラー、又はベルトの中若しくは下に位置付けられる)ために、更にはフィルム上の伸張を低減するために、又はフィルム上のより均質な伸張を確実にするために、フィルム上への真空の適用によりフィルムが適所に保持され、したがって表面上の固定位置にフィルムを引き寄せ又は牽引することが好ましい。典型的には、これは例えばフィルムの下で、フィルムを保持することになる表面を通じて真空(又は負圧)を適用することにより行われる。またこの方法は、フィルムの幅が表面より大きい場合であっても好適であり、そのため、このシステムはグリップ又はクリップ(grips of clips)の使用より柔軟性がある。
【0044】
好ましくは、真空はフィルム縁部、ひいては典型的には表面縁部に沿って、及び/又は金型間若しくは金型周囲の表面区域上に、典型的には金型縁部に沿って適用される。真空が表面縁部に沿って(少なくとも)適用されることが好ましい。
【0045】
好ましくは、それに加えて前記表面は、当該技術分野において既知であるような、真空を提供できる装置、又はいわゆる真空室(類)に接続された孔を含む。したがって、表面は好ましくは、表面縁部に沿った孔及び/又は金型周囲若しくは金型間の孔を有する。
【0046】
孔が、好ましくは0.1mm〜20mm、又は更には0.2〜10mm、又は更には0.5〜7、又は更には1〜5mmの直径の小さいものであることが好ましい。
【0047】
好ましくは、孔の少なくとも幾つかは、本明細書の好ましい実施形態では、閉鎖又はシーリング区域としての役割を果す、金型縁部の周囲の区域中のしわを低減するために金型縁部に近接しており;好ましくは金型縁部と最初の又は最も近い孔の縁部との間の距離は、金型縁部から0.25〜20mmであり、又は更には好ましくは0.5〜5mmであり、又は更には1〜2mmである。
【0048】
孔の列が、表面縁部に沿って及び/又は金型縁部に沿って存在することが好ましく;2若しくは3以上の孔の列が存在することが好ましい場合がある。
【0049】
上記の方式での多くの小さい孔の使用は、フィルムのより均質な伸張を確実にし、フィルムを定着するために必要とされる伸張を低減し、定着を改善し、フィルムにしわが寄る可能性を低減する。
【0050】
フィルムを適所に固着するための真空の使用は、本明細書の以後に記載されるように、フィルムが同様に真空の適用によって金型の中に続いて引き入れられるときに特に有益である。
【0051】
開放区画は金型中にいずれかの方法により及び上記のように形成されることができ、好ましい方法には、フィルムを金型の中に引き入れるための(少なくとも)真空又は負圧の使用が挙げられる。好ましい方法には、(また)好ましくはフィルムを金型の中に牽引する真空をフィルム上に適用することと組み合わせて、フィルムを加熱及び/若しくは濡らし、それによってフィルムをより可撓性にさせる若しくは更には伸長させ、その結果それが金型の形状を取り入れること、又はすべてのこれらの方法の組み合わせが挙げられる。本明細書において少なくとも真空が使用されることが好ましい。粉末含有区画を含むパウチの場合には、フィルムをピンで刺すことは:第1に、例えばフィルムの伸長が速過ぎる場合にフィルムの破裂を生じさせるフィルム不良を生成し得るなど、パウチ形成中のフィルム不良の可能性を低減するために;第2に、例えば漂白剤を含有する粉末の場合の酸素形成のように、パウチの中に入れられた製品から生じるいずれかのガスの放出を可能にするために、及び第3に香料の連続放出を可能にするためにという幾つかの理由により有利である。また、熱及び/又は濡らすことが使用されるときには、これは、真空の使用前、使用中、又は使用後に、好ましくは真空の適用中又は適用前に使用され得る。
【0052】
したがって、本明細書においてより詳細に記載されるように、各金型がシステムに接続された1以上の孔を含み、このシステムはこれらの孔を通じて真空を孔の上のフィルム上に提供できることが好ましい。真空システムが、本明細書で記載されるように、各々が異なる区画の中に分離された少なくとも2つの異なるユニットを含む真空室であることが好ましい。
【0053】
熱はいずれかの手段により適用されることができ、例えば、フィルムを表面上に供給する又はひとたび表面上になる前に、フィルムに加熱要素の下を通過させる若しくは熱い空気を通過させることにより直接的に、又は例えば50〜120℃、若しくは更には60〜90℃の温度まで、例えば表面を加熱することにより若しくは熱い物をフィルム上に適用することにより、好ましくは例えば赤外光により間接的に適用されることができる。
【0054】
フィルムはいずれかの手段により濡らすことができ、例えば、フィルムを表面上に供給する又はひとたび表面上になる前に、湿潤剤(水、フィルム材料の溶液、若しくはフィルム材料のための可塑剤を包含する)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、又は表面を濡らすことにより若しくは濡れた物をフィルム上に適用することにより間接的に濡らすことができる。
【0055】
ひとたび、パウチの第1ウェブが形成されたら、それはピンで刺されてピンホールを形成し、ピンホールは好ましくは下部区画の間に、好ましくはフィルムのブリッジ領域の中に設置される。開放区画の充填は、いずれかの既知の方法により行われることができる。的確な最も好ましい方法は、製品形態及び必要とされる充填速度による。
【0056】
一般に、好ましい方法には、ライン充填における連続運動が挙げられ、これは、ノズルを有するエンドレスの回転表面を有する、開放区画の上に位置付けられた分配ユニットを使用し、これは典型的には連続運動により回転可能に移動し、それによってノズルは開放区画と同じ速度で及び同じ方向に移動し、その結果各開放区画は、分配工程の持続時間の間、同じノズル又はノズル類の下に存在する。充填工程の後、ノズルは回転し及び元の位置に復帰し、別の分配/充填工程を開始する。すべてのノズル又は幾つかのノズルは共に、製品の規定量又は体積のみが、ノズルごとの1回転の間に分配されるように正確に制御できる装置に好ましくは接続されている。
【0057】
充填/分配システムは、1分ごとに10〜100サイクル(充填工程)、又は更には1分ごとに30〜80、又は更には40〜70を行うことができるようなものであることが好ましい場合がある。これはもちろん、開放区画のサイズ、表面の速度などにより調整されることになる。
【0058】
水平直線運動で移動する表面のために好適な開放区画を充填するための極めて好ましい方法は、往復運動充填方法である。この方法は好ましくは、復帰可能な(運動方向を変える)及び変速可能な移動充填ステーションを使用する。充填ステーションは、典型的には、製品が開放区画の中に分配されることが必要な期間中、各々が(充填される)開放区画と同じ速度及び同じ方向に移動する一連のノズルを有する。次に、典型的には区画が充填されたとき、区画を充填したノズル又はノズル類は開放区画に沿ったそれらの動作を停止して反対方向に戻り、次に再び停止し、その結果それは、なお充填されるべき別の開放区画(類)の上に位置付けられ、次にそれが開放区画の速度に達するまで、開放区画と同じ速度及び方向で反対方向への移動を再び開始し、次にこの速度を継続し、前の充填サイクルでのように分配及び区画(類)の充填を開始する。復帰動作の速度は、充填中の動作速度より速い場合がある。
【0059】
すべてのノズル又は幾つかのノズルは共に、製品の規定量又は体積のみが、ノズルごとの1回転の間に、例えば、したがって1つの開放区画の中に分配されるように正確に制御できる装置に好ましくは接続されている。
【0060】
本発明の方法に使用される充填ユニット又はステーションは、開放区画ごとに製品の正しい量又は体積を投与するために好ましくは流量計及び/又は容積移送式ポンプを使用し、特に容積移送式ポンプは非常に正確であることが見出されている。これによって、製品の必要とされる量又は体積がポンプの中に導入され、これは次にノズルに供給される。例えば、システムが、充填サイクルごとに、60の開放区画が充填されることになるようなものである場合、典型的には60のノズルが提供され、60の容積移送式ポンプに接続され(1パウチにつき、1ノズルごとに1ポンプ)、これらはすべて、製品を有する一般タンクに接続される。
【0061】
ポンプは、分配される製品によって調整されることができる。例えば、製品が粘稠な液体である場合、急速充填で、ひいては表面の動作が必要とされる場合には、ポンプはより強力である必要がある。
【0062】
使用され得る他の方法には、電磁流量計又は質量流量計の使用による流量測定、及び圧力流量(pressure flow)充填/測定(これは圧力を一定に保ち、及び充填時間それによって体積を制御する)が挙げられる。
【0063】
充填前に、各々が開放区画の表面積以下の表面積を有する開口部を有する第2表面が、開放区画の移動ウェブの上に設置され、開放区画のウェブの方向及び速度により移動され、その結果各開口部が、充填工程の間に1つの開放区画の上に位置付けられたまま残り、金型の少なくとも一部の間の空間が前記表面により被覆され、好ましくは前記第2表面がエンドレスの回転可能な移動ベルトである充填システムを使用することもまた好ましい可能性がある。
【0064】
充填は次にこの表面又はベルト上の開口部を通じて行われ、その結果製品は、被覆された区画間の区域上ではなく、開放区画の中にだけ入ることができる。これにより、区画を閉鎖するときに典型的にはシーリング区域としての役割を果す開放区画間の区域には、製品が存在しないままであり、これはより良好な又はより容易なシールを確実にするため、有利である。
【0065】
充填された開放区画(下部区画)は次に第2フィルムにより閉鎖される。好ましくは第1及び第2フィルムは共にシールされ、並びに新しい開放区画が、第2フィルムの上に各金型の中に形成される。これらの新しい開放区画は、いずれかの方法、及び好ましくは、以上に記載された充填方法の1つを使用して充填される。
【0066】
第2移動ウェブの場合には、閉鎖は、開放パウチのウェブを覆って及びその上に第2フィルムを連続供給し、次いで好ましくは第1フィルムと第2フィルムを共に、典型的には金型間ひいてはパウチ間の区域、及び下部区画間の区域においてシールすることにより行われることが好ましい。閉鎖材料が開放区画の上に、開放区画と同じ速度で供給され、同じ方向に移動することが好ましい。
【0067】
シーリングは、いずれの方法によっても行われることができる。シーリングは、例えばパウチのウェブを別のシーリング区域及びシーリング機器に移送することによって、非連続的な方式で行われてもよい。しかしながら、パウチの閉鎖ウェブが連続的に及び一定速度で移動する間に、シーリングは好ましくは、連続的に及び好ましくは一定速度により行われ、並びにそれはまた好ましくは水平位置において、好ましくはまた表面の前記水平部分上で行われてもよい。
【0068】
好ましい方法には、ヒートシーリング、溶剤溶着、及び溶剤又は湿式シーリングが挙げられる。これによって、シールを形成することになる区域のみが熱又は溶剤により処理されるのが好ましい場合がある。熱又は溶剤は、いずれかの方法により、好ましくは閉鎖材料の上に、好ましくはシールを形成することになる区域の上のみに適用されることができる。
【0069】
ヒートシーリングが使用されるとき、金型に囲まれないパウチの部分のサイズの、及びパウチのパターンを有するキャビティがあるローラーが、ローラーの下を通るウェブパウチの上で(連続的に)回転されることが好ましい場合がある。これによって、加熱されたローラーは、シーリング区域となるべき区域のみに接触する。典型的には、シーリング温度は、コースのフィルム材料によって、50℃から300℃まで、又は更には80℃から200℃までである。また有用なのは、上記の復帰可能な、移動可能充填/投与装置のように動作する、移動可能な復帰可能シーリング装置であり、これは金型間の区域、縁部周囲に一定時間接触してシールを形成し、次いでシーリング区域から離れて後方に復帰し別のシーリングサイクルを開始する。ヒートシーリングの場合には、第1ウェブへの第2ウェブのシーリング区域は、パウチの個々の第1及び/又は第2ウェブのシーリング区域と重なり合わないことが重要である。
【0070】
溶剤若しくは湿式シーリング又は溶着が使用される場合、熱もまた適用されることが好ましい場合がある。好ましい湿式又は溶剤シーリング/溶着方法には、溶剤を金型間及び好ましくは下部区画間の区域上、又は閉鎖材料上に、例えばこれをこれらの区域上に噴霧又は印刷することにより選択的に適用すること、次いで圧力をこれらの区域に適用してシールを形成することが挙げられる。例えば上記のようなシーリングロール及びベルト(任意にまた熱を提供する)が使用され得る。
【0071】
パウチの重ねて置かれた及びシールされたウェブは次に、切断装置により切断されることができ、これはパウチを互いに別個の多区画パウチに切り離す。
【0072】
切断はいずれの既知の方法によっても行われることができる。切断はまた、連続方式で、並びに好ましくは一定速度で及び好ましくは水平位置にある間に行われることが好ましい場合がある。しかしながら、切断工程は水平位置において行われる必要もないし、また連続的に行われる必要もない。例えば、閉鎖された(シールされた)パウチのウェブは切断装置に、例えば切断装置が動作する別の表面に移送されることができる。しかしながら、処理の容易さのために、前の工程と同じ表面上で切断工程を遂行することが好ましい場合がある。
【0073】
切断装置は、例えば鋭利な物又は熱い物であることができ、それによって後者の場合には、それはフィルム/シーリング区域を「焼き」落とす。ナイフのような鋭利な道具を有し、パウチのサイズ及びパターンのキャビティを有するローラーが好ましい場合があり、これはパウチの上を、鋭利な道具が切断されるべき区域だけに触れるように回転する。パウチのウェブが1方向に移動するとき(例えばなお本明細書のエンドレス表面上において、例えば連続的に及び/又は水平に)、動作方向に沿ってパウチ間の区域に接触する静的装置が使用されて、連続方式で動作方向においてパウチを切断できることもまた好ましい場合がある。次にパウチのウェブの幅方向に沿ってパウチ間を切断することが、例えば区域上に切断装置を短時間適用し、切断装置を取り除き、及びこの動作をパウチの次の組について繰り返すことにより、断続的な切断工程により行われることができる。
【0074】
パウチは、水に可溶性であるパウチ材料から好ましくは作成され、20ミクロンの最大孔径を有するガラスフィルターの使用後に、ここで提示された方法により測定されたときに、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶解度を有する。
【0075】
50グラム±0.1グラムのパウチ材料が、予め秤量された400mLビーカーの中に添加され、245mL±1mLの蒸留水が添加される。これは、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌される。次に混合物は、以上に定義されたような孔径(最大20ミクロン)を有する折り畳み定性焼結ガラスフィルターを通して濾過される。収集された濾液からいずれかの従来の方法によって水が蒸発され、残った材料の重量が測定される(これが溶解又は分散した画分である)。次に溶解度%又は分散度%が計算され得る。
【0076】
好ましいパウチ材料は、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに形成されるポリマーである。パウチ材料は、当該技術分野において既知であるように、例えば、ポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形、又はインフレーションにより得ることができる。
【0077】
パウチ材料として使用するために好適な好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを包含する多糖類、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えばPVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。
【0078】
ポリマーは、いずれの重量平均分子量を有することもできるが、好ましくは約1000〜1,000,000、より好ましくは約10,000〜300,000、更により好ましくは約20,000〜150,000である。
【0079】
ポリマーの混合物もまたパウチ材料として使用されることができる。これは、その用途及び必要とされるニーズによって、区画又はパウチの機械的プロファイル及び/又は溶解プロファイルを制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーが別のポリマーよりも高い水溶性を有し、及び/又は1つのポリマーが別のポリマーよりも高い機械強度を有する混合物が挙げられる。また好適なのは、異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量が約10,000〜40,000、好ましくは20,000前後のPVA又はそのコポリマーと、重量平均分子量が約100,000〜300,000、好ましくは150,000前後のPVA又はそのコポリマーとの混合物ある。
【0080】
また本明細書で好適なのは、例えば、ポリラクチドとポリビニルアルコールとを混合することによって得られ、典型的には約1〜35重量%のポリラクチドと約65重%〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチド及びポリビニルアルコールのような、加水分解によって分解可能な及び水溶性のポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物である。
【0081】
本明細書に使用するために好ましいのは、材料の溶解プロファイルを改善するために約60%〜約98%加水分解された、好ましくは約80%〜約90%加水分解されたポリマーである。
【0082】
最も好ましいパウチ材料は、米国、インディアナ州ゲーリー(Gary)のクリス−クラフト・インダストリアル・プロダクツ(Chris-Craft Industrial Products)より販売されている商品照会名モノゾル(Monosol)M8630として既知のPVAフィルム、並びに相当する溶解度プロファイル及び変形プロファイルのPVAフィルムである。本明細書で使用するために好適な他のフィルムには、アイセロ(Aicello)により供給される商品照会名PTフィルム若しくはフィルムのK−シリーズとして既知のフィルム、又はクラレ(Kuraray)により供給されるVF−HPフィルムとして既知のフィルムが挙げられる。
【0083】
また、本明細書のパウチ材料は、1以上の添加剤成分を含むことができる。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を添加することは有益であり得る。他の添加剤には、洗浄水に送達されることになる機能的洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0084】
本発明のパウチは、農業、製薬、洗浄などが挙げられる、多数の用途を有することができる。好ましくは、本発明のパウチは洗浄組成物、及び特に洗濯又は食器洗い用組成物を含有する。
【0085】
本発明のパウチは、液体形態の組成物を含有する少なくとも1つの区画を含む。区画の残りは、液体(ゲル及びペーストを包含する)又は固体形態(粉末、錠剤、固体ボールを包含する)の組成物を含有することができる。本明細書で好ましいパウチは、液体形態の3つの類似した又は異なる組成物、特にゲル組成物を含む少なくとも3つの区画を含む。
【0086】
本明細書でまた好ましいのは、下部区画の中に固体形態の組成物、及び第2区画の中に液体形態の組成物、特にゲルを含むパウチである。本明細書に使用するために好適な液体形態の組成物は、懸濁した固体、例えばフレーク、ビーズ、パールなどを含むことができる。組成物は異なる色及び外観を有することができる。
【0087】
異なる区画は、異なる溶解プロファイルを有するフィルム、即ち異なる時間に溶解するフィルムから作成されることができる。フィルムの溶解は、温度、pHなどにより誘発され得る。
【0088】
好ましい実施形態では、下部区画は、約50℃超過、より好ましくは約55℃超過でのみ溶解するフィルム材料から作成され、及び好ましくは下部区画は、すすぎサイクル中に送達されることになるすすぎ組成物を含有する。好ましくは、第2区画は、冷水中で溶解する第2フィルムから作成され、及び好ましくは本洗いの中に送達されることになる本洗い用洗浄組成物を含有する。この種類のパウチは、自動食器洗いに使用するために好ましい。別の好ましい実施形態では、好ましくは自動食器洗いに使用するために、下部区画の1つは漂白剤を含み、別の下部区画は約10超過、好ましくは約11超過のpH(20℃で1%の水溶液中で測定されたとき)を有する組成物を含み、及び別の区画は酵素を含み、好ましくは、3つの区画の組成物は、特にゲルとしての液体形態であり、及びより特には組成物の少なくとも1つ、好ましくは組成物の少なくとも2つは、無水ゲル(即ち、10%未満の遊離水を含むゲル)の形態である。
【0089】
本発明のパウチに使用するための組成物は好ましくは洗浄組成物である。好ましくは、本明細書に使用するための洗浄組成物は、伝統的な洗剤構成成分を含み、また洗浄機能を有する有機溶媒、及びキャリア若しくは希釈剤機能又はいずれかの他の特殊機能を有する有機溶媒を含むことができる。組成物は一般にビルダーを含み、並びに漂白剤、界面活性剤、アルカリ性供給源、酵素、増粘剤(液体組成物の場合)、防食剤(例えばケイ酸ナトリウム)、並びに崩壊及び結合剤(粉末、粒剤、又は錠剤の場合)から選択されてもよい1以上の洗剤活性構成成分を含む。非常に好ましい洗剤構成成分には、ビルダー化合物、アルカリ性供給源、界面活性剤、酵素、及び漂白剤が挙げられる。
【0090】
本明細書に使用することができる溶媒には:i)アルコール、例えばベンジルアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、フルフリルアルコール、1,2−ヘキサンジオール及びその他の類似物質;ii)アミン、例えば、アルカノールアミン(例えば、一級アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン);二級アルカノールアミン(ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール);三級アルカノールアミン(トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン));アルキルアミン(例えば一級アルキルアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、シクロヘキシルアミン)、二級アルキルアミン(ジメチルアミン))、アルキレンアミン(一級アルキレンアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン))及びその他の類似物質;iii)エステル、例えば、乳酸エチル、メチルエステル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びその他の類似物質;iv)グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル及びその他の類似物質;v)グリコール、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、トリエチレングリコール、組成物及びジプロピレングリコール及びその他の類似物質;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0091】
界面活性剤
自動食器洗いに使用するための本発明のパウチにおいて、洗剤界面活性剤は、それ自体でも又は他の構成成分(即ち泡抑制剤)との組み合わせにおいても、好ましくは低発泡性である。本明細書で好適な界面活性剤には、アルキル、アルケニル、又はアシル部分がC5〜C20、好ましくはC10〜C18の直鎖又は分枝鎖である、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキル及びアルケニルスルホネート、アルキルエトキシカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート、並びにアルキルサクシネート及びスルホサクシネートなどの陰イオン性界面活性剤;クロラインエステル(chlorine esters)(US−A−4228042、US−A−4239660、及びUS−A−4260529)及び残りのN位がメチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基で置換されている、モノC6〜C16N−アルキル又はアルケニルアンモニウム界面活性剤などの陽イオン性界面活性剤;非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C6〜C18の第一級アルコールから誘導されるエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)、エポキシ末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(登録商標)SLF18B、PCT国際公開特許WO−A−94/22800参照)、エーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、並びにミシガン州ワイアンドット(Wyandotte)のBASF−ワイアンドット社(BASF-Wyandotte Corp.)によるプルロニック(PLURONIC)(登録商標)、リバースド・プルロニック(REVERSED PLURONIC)(登録商標)及びテトロニック(TETRONIC)(登録商標)などのブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー化合物を包含する、低曇点及び高曇点の非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物;C12〜C20アルキルアミンオキシド(本明細書で使用するために好ましいアミンオキシドには、C12ラウリルジメチルアミンオキシド、C14及びC16ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)、及びミラノール(Miranol)(商標)C2Mなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤などの両性界面活性剤;並びにベタイン及びスルタインなどの双極性界面活性剤;並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書で好適な界面活性剤は、例えば、US−A−3,929,678、US−A−4,259,217、EP−A−0414549、PCT国際公開特許WO−A−93/08876、及びPCT国際公開特許WO−A−93/08874に開示されている。界面活性剤は、典型的には、組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する。本明細書に使用するために好ましい界面活性剤は、低発泡性であり、これには、低曇点非イオン性界面活性剤、及び高発泡性界面活性剤と、その泡抑制剤としての役割を果す低曇点非イオン性界面活性剤との混合物が挙げられる。
【0092】
ビルダー
本明細書の組成物に使用するために好適なビルダーには、クエン酸塩、炭酸塩及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム及びトリポリリン酸ナトリウムとカリウムとの混合塩などの水溶性ビルダー;並びに結晶性層状ケイ酸塩(EP−A−0164514及びEP−A−0293640)及びゼオライトA、B、P、X、HS及びMAPを包含するアルミノケイ酸塩などの部分的水溶性又は不溶性ビルダーが挙げられる。ビルダーは、典型的には、組成物の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約10重量%〜約70重量%、最も好ましくは約20重量%〜約60重量%の濃度で存在する。
【0093】
長期保存安定性の観点から、非常に好ましいのは、約22%未満、好ましくは約15%未満の全ケイ酸塩(非晶性及び結晶性)を含有する組成物であるが、SiO2対Na2Oの比が1.8〜3.0、好ましくは1.8〜2.4、最も好ましくは2.0である非晶性ケイ酸ナトリウムもまた、本明細書において使用することができる。
【0094】
酵素
本明細書に好適な酵素には、ケアザイム(Carezyme)及びセルザイム(Celluzyme)(ノボノルディスクA/S(Novo Nordisk A/S))などの細菌性及び真菌性のセルラーゼ;ペルオキシダーゼ;アマノ−P(Amano-P)(天野薬品(Amano Pharmaceutical Co.))、M1リパーゼ(M1 Lipase)(登録商標)及びリポマックス(Lipomax)(登録商標)(ヒスト・ブロカデス(Gist-Brocades))並びにリポラーゼ(Lipolase)(登録商標)及びリポラーゼウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)(ノボ)などのリパーゼ;クチナーゼ;エスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、デュラザイム(Durazym)(登録商標)及びサビナーゼ(Savinase)(登録商標)(ノボ)並びにマキサターゼ(Maxatase)(登録商標)、マキサカル(Maxacal)(登録商標)、プロペラーゼ(Properase)(登録商標)及びマキサペム(Maxapem)(登録商標)(ヒスト・ブロカデス(Gist-Brocades))などのプロテアーゼ;プラフェクトOxAm(Purafect Ox Am)(登録商標)(ジェネンコア(Genencor))及びターマミル(Termamyl)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)、デュラミル(Duramyl)(登録商標)及びナタラーゼ(Natalase)(登録商標)(ノボ)などのα及びβアミラーゼ;ペクチナーゼ;並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、本明細書では、好ましくは、プリル、粒状物、又は共粒状物として、典型的には、組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の範囲の純酵素の濃度で添加される。
【0095】
漂白剤
本明細書に好適な漂白剤には、塩素漂白剤及び酸素漂白剤が挙げられ、特に無機過水和物塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに制御された放出速度を提供するために任意にコーティングされた過炭酸ナトリウム(例えば、硫酸塩/炭酸塩コーティングについてはGB−A−1466799を参照のこと)、予備形成有機ペルオキシ酸及び有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体とのこれらの混合物、並びに/又は遷移金属含有漂白触媒(特にマンガン又はコバルト)が挙げられる。無機過水和物塩は、典型的には、組成物の約1重量%〜約40重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、及びより好ましくは約5重量%〜約25重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書に使用するために好ましいペルオキシ酸漂白剤前駆体には、過安息香酸及び置換型過安息香酸の前駆体;陽イオン性ペルオキシ酸前駆体;過酢酸前駆体、例えばTAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びペンタアセチルグルコース;過ノナン酸(pernonanoic acid)前駆体、例えば、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS);アミド置換型アルキルペルオキシ酸前駆体(EP−A−0170386);並びにベンゾオキサジンペルオキシ酸前駆体(EP−A−0332294及びEP−A−0482807)が挙げられる。漂白剤前駆体は、典型的には、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で組み込まれ、一方予備形成有機ペルオキシ酸自体は、典型的には、組成物の0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書に使用するために好ましい漂白触媒には、トリアザシクロノナンマンガン(manganese triazacyclononane)及び関連錯体(US−A−4246612、US−A−5227084);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、及びビスピリジルアミン鉄、並びに関連錯体(US−A−5114611);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(US−A−4810410)が挙げられる。
【0096】
低曇点非イオン性界面活性剤及び泡抑制剤
本明細書に使用するために好適な泡抑制剤には、低曇点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用するとき、「曇点」とは、温度が増加するにつれて溶解性が低下する界面活性剤で生じる、非イオン性界面活性剤の周知のプロファイルであり、第2相の出現が観察できる温度を「曇点」と呼ぶ(カーク・オスマー(Kirk Othmer)、360〜362頁参照)。本明細書で使用するとき、「低曇点」非イオン性界面活性剤は、30℃未満、好ましくは約20℃未満、及び更により好ましくは約10℃未満、及び最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。典型的な低曇点非イオン性界面活性剤には、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に第一級アルコールから誘導されるエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマー(reverse block polymer)が挙げられる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤には、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFのポリ・タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)及びエポキシ末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、US−A−5,576,281に記載されたような非イオン性物質のBASFのポリ・タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18Bシリーズ)が挙げられる。
【0097】
好ましい低曇点界面活性剤は、次式を有するエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)泡抑制剤である:
【0098】
【化1】

式中、R1は平均約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R2は約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素であり、R3は約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素であり、xは約1〜約6の整数であり、yは約4〜約15の整数であり、及びzは約4〜約25の整数である。
【0099】
その他の低曇点非イオン性界面活性剤は、次式を有するエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)であり:
IO(RIIO)nCH(CH3)ORIII
式中、RIは、約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換型又は非置換型、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルから成る群から選択され;RIIは同じものでも異なるものでもよく、いずれかの所与の分子における分枝鎖又は直鎖C2〜C7アルキレンから成る群から独立して選択され;nは1〜約30の数であり;並びにRIIIは以下のものから成る群から選択される:
(i)1〜3個のヘテロ原子を含有する4〜8員環の置換型又は非置換型複素環;及び
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換型又は非置換型、環式又は非環式の脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカル;
(b)ただし、R2が(ii)の場合、(A)R1の少なくとも1つがC2〜C3アルキレン以外のものであるか;又は(B)R2が6〜30個の炭素原子を有することを条件とし、更にR2が8〜18個の炭素原子を有する場合、RがC1〜C5アルキル以外のものであることを条件とする。
【0100】
本明細書に好適なその他の構成成分には、組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、最も好ましくは約1重量%〜約10重量%の濃度の、分散性、再付着防止性、汚れ放出性、又はその他の洗浄プロファイルを有する有機ポリマーが挙げられる。本明細書に好ましい再付着防止ポリマーには、アクリル酸含有ポリマー、例えば、ソカラン(Sokalan)PA30、PA20、PA15、PA10、及びソカラン(Sokalan)CP10(BASF社(BASF GmbH))、アクゾル(Acusol)45N、480N、460N(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas))、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、例えばソカラン(Sokalan)CP5、並びにアクリル/メタクリルコポリマーが挙げられる。本明細書に好ましい汚れ放出ポリマーには、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース(US−A−4,000,093)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びこれらのコポリマー、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの混合物のテレフタレートエステルに基づく非イオン性及び陰イオン性ポリマーが挙げられる。
【0101】
重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ−エチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートは、それらの塩及び遊離酸の形態で、一般に、組成物の約0.005重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約7.5重量%、及び最も好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の濃度で本明細書で使用するために好適である。
【0102】
本明細書の組成物は、腐食防止剤、例えば、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度の有機銀コーティング剤(特に、ドイツ、ザルツベルゲン(Salzbergen)のヴィンターシャル(Wintershall)から販売されているヴィノグ(Winog)70のようなパラフィン)、窒素含有腐食防止化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンズイマダゾール(benzimadazole)、GB−A−1137741参照)、及び組成物の約0.005重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約0.4重量%の濃度のマンガン(II)化合物、特に有機配位子のマンガン(II)塩を含有することができる。
【0103】
本明細書に好適なその他の構成成分には、着色剤、約0.01%〜約5%の濃度の水溶性ビスマス化合物、例えば、酢酸ビスマス及びクエン酸ビスマス、約0.01%〜約6%の濃度の酵素安定剤、例えば、カルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール及び塩素漂白剤スカベンジャー、石灰石鹸分散剤(PCT国際公開特許WO−A−93/08877参照)、泡抑制剤(PCT国際公開特許WO93/08876、及びEP−A−0705324参照)、ポリマー染料移行阻害剤、蛍光増白剤、香料、充填剤、及び粘土が挙げられる。
【0104】
液体洗剤組成物は、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールのような低分子量一級又は二級アルコールの少量を含有でき、本発明の液体洗剤に使用することができる。少量で使用されるその他の好適なキャリア溶媒には、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ソルビトール及びこれらの混合物が挙げられる。
【実施例】
【0105】
表1に記載された組成物が、3区画PVAパウチの中に導入される。パウチは、ブリッジ領域により分離された2つの隣り合った下部区画(区画1及び2)、及び下部区画の上に重ねて置かれた上部区画(区画3)を有する。パウチは、モノソル社(MonoSol LLC)より供給されるような、モノソル(MonoSol)M8630フィルムから作成される。組成物1及び2の0.7gが、区画1及び2にそれぞれ設置される。パウチは、本明細書に記載されたように、水平直線運動で移動する連続方法を使用して製造される。この方法により、パウチのウェブは、パウチの開放区画1及び2をPVAフィルムにより形成し及びそれらを充填することにより調製される。このフィルムは次に、区画1及び2の間をピンで刺され、並びにPVAの第2フィルムが真空を使用して金型の中に形成される。新しい開放区画(区画3)が形成されるとき、第2PVAフィルムは第1にシールされる。区画3は次に17.0gの組成物3により充填される。PVAの第3フィルムが開放区画を覆って設置され、及び第2PVAフィルムに対してシールされる。パウチは次に切り離され、真空が解除され、及びパウチは金型から取り出される。
【0106】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの区画を有する多区画の水溶性パウチであって、前記区画の少なくとも1つが液体形態の組成物を含有するものを作成する方法であり、前記方法が:
a)少なくとも2つの凹所を有する金型を提供する工程;
b)第1フィルムを前記金型の中に引き入れて、少なくとも2つの開放区画を前記少なくとも2つの凹所の中に形成する工程;
c)前記開放区画を充填する工程;
d)前記第1フィルムをピンで刺してピンホールを作り出す工程;
e)前記開放区画を覆って第2フィルムを引き寄せ、それらの区画を閉鎖し、新しい開放区画を形成する工程であって、前記第2フィルムが前記ピンホールを直接被覆する工程;
f)前記第2フィルムから形成された前記開放区画を充填する工程;並びに
g)閉鎖フィルムを前記新しく充填された開放区画を覆って設置してそれを閉鎖する工程を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの凹所が、ブリッジ領域によって接続され、前記ピンホールが、前記ブリッジ領域を覆うフィルム部分の上に設置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2フィルムが、真空によって引き寄せられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2フィルムから形成された前記区画が、液体形態の組成物を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも3つの区画を有する多区画の水溶性パウチであって、前記区画の少なくとも1つが液体形態の組成物を含有し、前記パウチが下部フィルム、中部フィルム、及び上部フィルムを含み、前記下部フィルムが少なくとも2つの区画を形成し及びピンホールを含み、並びに前記中部フィルムの少なくとも一部が前記ピンホールを直接覆って設置される、多区画の水溶性パウチ。
【請求項6】
前記下部フィルムによって形成された前記少なくとも2つの区画が、隣り合っている、請求項5に記載のパウチ。
【請求項7】
前記中部及び下部フィルムによって形成された前記区画が、液体形態の組成物を含有する、請求項5又は6に記載のパウチ。
【請求項8】
前記下部フィルムによって形成された隣り合った2つの区画、及びこれらの2つの区画の上に重ねて置かれた区画を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項9】
前記区画の1つが酵素を含み、もう1つの区画が漂白剤を含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項10】
前記上部及び下部フィルムが、異なる溶解プロファイルを有する、請求項5〜9のいずれか一項に記載のパウチ。

【公表番号】特表2009−533287(P2009−533287A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504879(P2009−504879)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051230
【国際公開番号】WO2007/116357
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】