説明

パスワード設定具

【課題】予め設定しているパスワードの情報に基づき新たなパスワードを設定することが可能なパスワード設定具を提供する。
【解決手段】パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号20を決め、決めた従番号20によって乱数表30の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、予め設定しているパスワードの情報に基づき主番号10を決め、決めた主番号10によって乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、従番号20による選択対象の0〜9を含む文字列と、主番号10による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、予め設定しているパスワードの情報に基づき新たなパスワードを設定することが可能なパスワード設定具に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムなどにおいては、携帯電話機から予め登録した内容と乱数表から選択された乱数コードとを暗号化してワンタイムパスワードとして生成し(例えば特許文献1)、携帯電話機の紛失や盗難による不正利用を最小限に抑えることを可能にしている。
【0003】
このような移動体通信システムに限らず、金融システムにおいてもキャッシュカード、クレジットカードなどにもパスワードを設定し、キャッシュカード、クレジットカードなどの紛失や盗難による不正利用を抑えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−140543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャッシュカード、クレジットカードなどのパスワードの設定は、設定したパスワードを忘れることがあるために、生年月日、電話番号、住所などと関連づけて設定していることがある。また、同一のパスワードを流用して使用することも少なくない。
【0006】
このため、例えばキャッシュカード、クレジットカードなどと一緒に、運転免許証や名刺などもバックや鞄に入れていることがあり、このバックや鞄が盗まれることがあると、運転免許証や名刺などから生年月日、電話番号、住所などを知ることができ、容易にパスワードが解り不正利用される虞がある。
【0007】
そこで、この発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、予め設定しているパスワードの情報に基づき新たなパスワードを、個別に設定することが可能なパスワード設定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上述の目的を達成するため、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、
いずれかの横辺に0〜9の番号と、
いずれかの縦辺に0〜9の番号と、
前記横辺の0〜9の番号、または前記縦辺の0〜9の番号のいずれかを主番号とし、この主番号とした他方の0〜9の番号を従番号とし、
0〜9の数字のいずれかと適宜な英文字の組合せの0〜9を含む文字列を作り、
前記主番号と前記従番号とに対応する行列の各行と各列に、前記0〜9を含む文字列を乱数的に配置した乱数表を有し、
パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号を決め、
前記決めた従番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
予め設定しているパスワードの情報に基づき主番号を決め、前記決めた主番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
前記従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、前記主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定することが可能なパスワード設定具である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
0〜9の数字のいずれかと適宜な英文字の組合せの0〜9を含む文字列を作り、前記0〜9を含む文字列を乱数的に配置した乱数表を有するカードと、
前記カードを挿入する挿入部と、この挿入部に前記カードが挿入された状態で乱数表を表示可能な方形開口部と、この方形開口部のいずれかの横辺及びいずれかの縦辺に0〜9の番号を有するカードセット体を含み、
前記カードセット体に、前記カードの挿入位置を変更して保持可能な保持部材を備え、
前記横辺の0〜9の番号、または前記縦辺の0〜9の番号のいずれかを主番号とし、この主番号とした他方の0〜9の番号を従番号とし、
パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号と前記カードの挿入位置を決め、
前記決めた従番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
予め設定しているパスワードの情報に基づき主番号を決め、
前記決めた主番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
前記従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、前記主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定することが可能なパスワード設定具である。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0012】
請求項1に記載の発明では、従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって予め設定しているパスワードから新たなパスワードを設定することが可能であり、この新たなパスワードによって生年月日、電話番号、住所などから容易にパスワードが解ることがなく、キャッシュカード、クレジットカードなどが紛失や盗難によって不正利用されることを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、乱数表を有するカードと、カードセット体と、を含み、カードセット体に、カードの挿入位置を変更し、従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって予め設定しているパスワードから新たなパスワードを設定することが可能であり、この新たなパスワードによって生年月日、電話番号、住所などから容易にパスワードが解ることがなく、キャッシュカード、クレジットカードなどが紛失や盗難によって不正利用されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態のパスワード設定具の平面図である。
【図2】パスワード管理手法のフローチャートである。
【図3】従番号決定手法のフローチャートである。
【図4】主番号決定手法のフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態のパスワード設定具の平面図である。
【図6】カードの平面図である。
【図7】カードセット体の平面図である。
【図8】カードセット体をカード挿入側から見た図である。
【図9】カードセット体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明のパスワード設定具の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
[第1の実施の形態]
【0016】
図1は第1の実施の形態のパスワード設定具の平面図である。この第1の実施の形態のパスワード設定具1は、方形のカードで構成され、この方形のカードの材質は、紙や樹脂などが用いられる。パスワード設定具1は、いずれかの横辺に0〜9の番号と、いずれかの縦辺に0〜9の番号と、を有する。この実施の形態では、上側の横辺に0〜9の番号を有し、左側の縦辺に0〜9の番号を有する。
【0017】
横辺の0〜9の番号、または縦辺の0〜9の番号のいずれかを主番号とし、この主番号とした他方の0〜9の番号を従番号とするが、この実施の形態では、上側の横辺の0〜9の番号を主番号10とし、左側の縦辺の0〜9の番号を従番号20とする。
【0018】
そして、パスワード設定具1は、0〜9の数字のいずれかと適宜な英文字の組合せの0〜9を含む文字列を作り、主番号10と従番号20とに対応する行列の各行と各列に、0〜9を含む文字列を乱数的に配置した乱数表30を有する。この乱数表30の下方位置に、新たに設定したパスワードに関する情報を記入する記入欄40を設けている。
【0019】
このパスワード設定具1では、パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号を決める。例えば、銀行口座×○△□の先頭桁が「1」ならば従番号を「1」とし、決めた従番号20によって乱数表30の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、予め設定しているパスワードの情報、例えば「1234」に基づき主番号10を決め、決めた主番号10によって乱数表30の0〜9を含む文字列を選択対象と定める。
【0020】
そして、従番号20による選択対象の0〜9を含む文字列と、主番号10による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定することが可能である。すなわち、従番号20による選択対象が「1」であり、主番号10による選択対象が「1234」であると、新たなパスワードが「8903」と設定される。この実施の形態では、0〜9を含む文字列の数値のみを取り出して新たなパスワードが「8903」と設定され、この新たなパスワードに関する口座情報等を、記入欄40に記入しておき、前記従番号が「1」であることを連想できる様にしておく。
【0021】
このようにして、従番号20による選択対象の0〜9を含む文字列と、主番号10による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって予め設定しているパスワードから新たなパスワードを設定することが可能である。新たなパスワードは、数字のみでもよく、文字のみでもよく、数字と文字の組み合わせでもよい。
【0022】
この新たなパスワードによって、生年月日、電話番号、住所などから容易にパスワードが解ることがなく、キャッシュカード、クレジットカードなどが紛失や盗難によって不正利用されることを防止することができる。
【0023】
次に、図2のパスワード管理手法のフローチャートに基づいて第1の実施の形態を説明する。
【0024】
パスワード管理では、まず、0〜9の其々と適宜な英文字の組合せとを作り、10×10の行列の各行と列に、この0〜9を含む文字列を乱数的に配置した行列の乱数表10を作成しておく(S11)。
【0025】
次に、主番号の並びを選択し(S12)、例えば縦並びを選択したなら行列の縦並びを主番号に、横並びを従番号に選択し(S13)、例えば横並びを選択したなら行列の横並びを主番号に、縦並びを従番号に選択する(S14)。
【0026】
口座番号等の情報を元に、従番号10を決める(S15)。そして、予め設定しているパスワードの各桁を、1桁目から処理する(S16)。予め設定しているパスワードのn桁目の数値を元に、主番号10を決める(S17)。
【0027】
行列の乱数表10において、主番号10の並びと、従番号20の並びの交差部分の文字を、得られた新たなパスワードのn番目とする(S18)。このようにして、予め設定しているパスワードの最終桁まで処理し(S19,S20)、得られた新たなパスワードのうち、アルファベットが不要ならば削除する(S21)。
【0028】
次に、他の実施の形態の従番号決定について説明する。図3は従番号決定手法のフローチャートである。図2によるパスワードの新規設定の場合には(S31)、銀行口座番号等の先頭桁や末尾桁、又は固定の桁の数字を従番号とする(S32)。図2によるパスワードの新規設定でない場合には(S31)、パスワードの更新か否かの判断を行い(S33)、パスワードの更新の場合には、銀行口座番号等の末尾に任意の数字を追加し、記入欄40にメモしておく(S34)。
【0029】
このパスワードの更新の場合、またステップS33においてパスワードの更新でない場合には、口座番号等の末尾からX桁目とY桁目を足したり、あるいは掛けたりした答えの下1桁を従番号とする。または、同様に末尾からX桁目を主番号にみたて、Y桁目を従番号にみたてた其々の並びが交差する文字列の数字を従番号とする(S35)。
【0030】
次に、他の実施の形態の主番号決定について説明する。図4は主番号決定手法のフローチャートである。図2によるパスワードの新規設定の場合には(S41)、いつものパスワードのn桁目の数値を、そのまま主番号とする(S42)。
【0031】
図2によるパスワードの新規設定でない場合には、予め設定しているパスワードのn桁目の数値を主番号とし、先に決めた従番号の並びと交差する文字列の数字を主番号とする。または、予め設定しているパスワードのn桁目の数値を主番号とし、固定の従番号の並びと交差する文字列の数字を主番号とする(S42)。
【0032】
このように、従番号決定と、主番号決定が図2のパスワード管理手法が異なるが、他の取り扱いは同様して新たなパスワードが設定される。
[第2の実施の形態]
【0033】
この第2の実施の形態のパスワード設定具は、図5乃至図8に示すように構成される。図5はパスワード設定具の平面図、図6はカードの平面図、図7はカードセット体の平面図、図8はカードセット体をカード挿入側から見た図、図9はカードセット体の断面図である。
【0034】
この実施の形態のパスワード設定具1は、方形のカード50と、カードセット体60と、を有する。この方形のカード50は、材質として紙や樹脂などが用いられ、0〜9の数字のいずれかと適宜な英文字の組合せの0〜9を含む文字列を作り、0〜9を含む文字列を乱数的に配置した乱数表51を有する。
【0035】
カードセット体60は、カード50を挿入する挿入部61と、この挿入部61にカード50が挿入された状態で乱数表51を表示可能な方形開口部62と、この方形開口部62のいずれかの横辺及びいずれかの縦辺に0〜9の番号を有する。この実施の形態では、方形開口部62の上側の横辺に0〜9の番号を有し、左側の縦辺に0〜9の番号を有する。
【0036】
この実施の形態では、カード50の乱数表51には列が左側の縦辺に0〜9の番号に対応する部分より多く設けられ、方形開口部62によって乱数表51の特定範囲を表示可能になっている。
【0037】
カードセット体60には、挿入部61に先端部63aが突出するように保持部材63を備え、この保持部材63はスプリングで構成される。カード50の側部には、凹凸52が形成され、カード50を挿入部61に挿入した状態で、保持部材63の先端部63aが凹凸52に係合する。
【0038】
カード50の挿入位置を変更する際には、カード50の凹凸52によって保持部材63の先端部63aが押されてカード50を自由に移動することができ、カード50を所定位置に停止すると、保持部材63の先端部63aが凹凸52に係合して保持される。カードセット体60は、方形開口部62の下方位置に、新たに設定したパスワードに関する口座情報等を記入する記入欄63を有する。
【0039】
このように、カード50の挿入位置を変更することで、方形開口部62によって乱数表51の表示範囲を変更することができ、これにより新たに設定するパスワードの設定範囲を変更することができる。
【0040】
この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、横辺の0〜9の番号、または縦辺の0〜9の番号のいずれかを主番号とし、この主番号とした他方の0〜9の番号を従番号とし、パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号とカード50の挿入位置を決め、決めた従番号によって乱数表51の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、予め設定しているパスワードの情報に基づき主番号を決め、決めた主番号によって乱数表51の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、予め設定しているパスワードの情報に基づき新たなパスワードを設定することが可能であり、キャッシュカード、クレジットカードなどが紛失や盗難によって不正利用されることを防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 パスワード設定具
10 主番号
20 従番号
30 乱数表
40 記入欄
50 カード
51 乱数表
52 カードの凹凸
53 挿入位置決め目印
60 カードセット体
61 挿入部
62 方形開口部
63 保持部材
63a 保持部材の先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれかの横辺に0〜9の番号と、
いずれかの縦辺に0〜9の番号と、
前記横辺の0〜9の番号、または前記縦辺の0〜9の番号のいずれかを主番号とし、この主番号とした他方の0〜9の番号を従番号とし、
0〜9の数字のいずれかと適宜な英文字の組合せの0〜9を含む文字列を作り、
前記主番号と前記従番号とに対応する行列の各行と各列に、前記0〜9を含む文字列を乱数的に配置した乱数表を有し、
パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号を決め、
前記決めた従番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
予め設定しているパスワードの情報に基づき主番号を決め、
前記決めた主番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
前記従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、前記主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定することが可能なパスワード設定具。
【請求項2】
0〜9の数字のいずれかと適宜な英文字の組合せの0〜9を含む文字列を作り、前記0〜9を含む文字列を乱数的に配置した乱数表を有するカードと、
前記カードを挿入する挿入部と、この挿入部に前記カードが挿入された状態で乱数表を表示可能な方形開口部と、この方形開口部のいずれかの横辺及びいずれかの縦辺に0〜9の番号を有するカードセット体を含み、
前記カードセット体に、前記カードの挿入位置を変更して保持可能な保持部材を備え、
前記横辺の0〜9の番号、または前記縦辺の0〜9の番号のいずれかを主番号とし、この主番号とした他方の0〜9の番号を従番号とし、
パスワードによって処理すべき対象の情報に基づき従番号と前記カードの挿入位置を決め、
前記決めた従番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
予め設定しているパスワードの情報に基づき主番号を決め、
前記決めた主番号によって前記乱数表の0〜9を含む文字列を選択対象と定め、
前記従番号による選択対象の0〜9を含む文字列と、前記主番号による選択対象の0〜9を含む文字列との交差によって新たなパスワードを設定することが可能なパスワード設定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−8212(P2013−8212A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140643(P2011−140643)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(594173902)マイクロメーション株式会社 (10)
【Fターム(参考)】