説明

パス収容制御方法

【課題】周波数スロットを用いてパスへのリソース割り当てを行う光ネットワークにおいて、リソース利用効率を向上させる。
【解決手段】リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、ネットワーク管理装置が、要求に係るパスに対して割り当てる周波数スロットが空いている経路がないと判定した場合に、パス再配置処理を行う。パス再配置処理では、前記要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路から1つの経路を抽出し、抽出経路上で、前記パスに必要な周波数スロットのうちの少なくとも1つの周波数スロットが割り当てられたパスである再配置対象パスを抽出し、前記再配置対象パスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置することが可能であるか否かを判定し、可能である場合に再配置を行い、再配置によって、空けられた周波数スロットを前記要求に係るパスに割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数スロットを用いてパスに対する波長の割り当てを行う光ネットワークにおいて、動的にパス収容制御を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在のバックボーンネットワークを支える光ネットワークのトラフィックは年々増加している。このようなトラフィック需要に対応するために、光ファイバ内の限られたスペクトルリソースを効率的に利用するための研究開発が盛んに行われている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、多値で光変調することで光信号の周波数利用効率の向上を図る技術が開示されている。また、特許文献1(WO2010/032844)には、光OFDM信号を用いることで、需要に応じて信号帯域を増減可能な帯域可変通信技術が開示されている。
【0004】
これまで波長多重伝送をベースにした光ネットワークにおいては、ITU-Tで定められた一定間隔の周波数グリッドに基づいて、光パスに波長を割り当てていたが、近年、より柔軟で効率的なリソース割り当てを可能とするために、周波数スロットを用いてリソース割り当てを行う方式が提案されている(非特許文献2)。
【0005】
周波数スロットの一例を図1(a)に示す。図1(a)において横軸は周波数である。各周波数スロットには、どの周波数スロットかを識別するための番号が割り当てられている。各周波数スロットの周波数幅(帯域幅)は同じであり、例えば、1つの周波数スロットの幅を12.5GHzとする。このような周波数スロットを用いて、例えば図1(b)に示すように、パスAに周波数スロット1〜3を割り当て、パスBに周波数スロット5〜8を割り当てるといったようにリソース割り当てを行う。ここで、あるパスに複数の周波数スロットを割り当てる際に、当該複数の周波数スロットは連続でなければならない。
【0006】
また、従来技術では一般に、全ての長さの光パスが、最長光パスにおけるOSNRペナルティ(光信号品質劣化量)に対して伝送可能な変調方式を用いていたところ、非特許文献2に記載された技術では、設定しようとするパス経路のOSNRペナルティの大きさに応じて変調方式を選択している。
【0007】
図2は、各種変調方式とOSNR(Optical Signal to Noise Ratio)ペナルティとの関係を示している。PSK(Phase Shift Keying),QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の多値数の低い変調方式の場合は、OSNRペナルティは小さいため長距離やノード数の多いパスでの転送に適しており、8PSK,16QAM,64QAMのように多値数が高くなるほどOSNRペナルティが増加するため伝送距離や転送できるノード数が低減する。一方、多値数が高くなるほど同じリソース量で伝送できる情報量は増加する。
【0008】
このような特性に基づいて、非特許文献2の技術では、通信距離やビットレートに応じて変調方式を選択し、柔軟に周波数スロットを割り当てることにより、効率的なリソース割り当てを実現している。図3は、非特許文献2に記載されたように、周波数スロットを用い、通信距離等に応じて適応的に変調方式を選択する技術の効果の例を示す図である。図3に示すように、OSNRペナルティが大きい(雑音耐性が低い)が伝送情報量の大きな変調方式(16QAM)を、短いパスに小さな帯域(3スロット)で割り当て、逆に、伝送情報量は小さいがOSNRペナルティの小さい(雑音耐性が高い)変調方式(QPSK)を大きめの帯域(5スロット)に割り当てるといった収容を行うことができる。これにより、従来のように周波数グリッドを用いて波長割当を行う場合(図3の例では、全距離で8スロット必要)に比べて、リソース利用効率が大幅に改善される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】H. Goto et al., "Polarization-multiplexed 1 Gsymbol/s, 128 QAM (14Gbit/s) coherent optical transmission over 160 km using a 1.4 GHz Nyquist filter", OFC/NFOEC 2008, HThA45, 2008
【非特許文献2】M. Jinno, B. Kozicki, H. Takara, A. Watanabe, Y. Sone, T. Tanaka, and A. Hirano : Distance-Adaptive Spectrum Resource Allocation in Spectrum-Sliced Elastic Optical Path Network," IEEE Comm. Mag., Vol.48, No.8, pp.138-145, 2010.
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2010/032844
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
周波数スロットを用いてリソース割り当てを行うことにより、パス毎に柔軟に帯域幅を設定できる。しかし、1つのパスで使用する周波数スロットはパスの経路(一般に複数リンクからなる)を通じて同じでなくてはならず、また、前述したように、1つのパスに割り当てる複数の周波数スロットは連続でなければならないという制約があるため、長短様々なパスを収容する光ネットワークにおいて、単純に空きスロットにパスを割り当てていくだけでは、各リンクで利用できない空きスロットが多く生じ、リソース利用効率の向上の妨げになる可能性があるという問題がある。
【0012】
例えば、図4に示す4つのノードA、B、C、Dからなる光ネットワークで、リソースがスロット1〜8と定められている場合において、A−>Bのパス1にスロット1〜3が割り当てられ、A−>B−>Cのパス2にスロット6〜8が割り当てられ、B−>C−>Dのパス3にスロット1〜5が割り当てられている場合において、仮に、C−>D−>A−>Bのパス4(2個分のスロットを要する)を割り当てる要求があったとしても、AB間とCD間で同じ2スロットを確保できないので、パス4を割り当てることができない。しかし、C−>D、D−>A、A−>Bの各リンクは少なくとも2個分の空きを持っている。このように、利用できない空きスロットが生じる場合がある。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、周波数スロットを用いてパスへのリソース割り当てを行う光ネットワークにおいて、リソース利用効率を向上させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パス設立要求を受信したことに応じて、当該要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路があるか否を判定する空き判定ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路があると判定された場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てる割当ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路がないと判定された場合に、パス再配置処理を行うパス再配置ステップと、を有し、
前記パス再配置ステップは、
前記要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路から1つの経路を抽出する経路抽出ステップと、
前記経路抽出ステップで抽出された経路である抽出経路上で、前記パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットのうちの少なくとも1つの周波数スロットが割り当てられたパスである再配置対象パスを抽出する再配置対象パス抽出ステップと、
前記再配置対象パスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置することが可能であるか否かを判定し、可能である場合に再配置を行い、再配置によって、前記経路を通じて空けられた前記連続する周波数スロットを前記要求に係るパスに割り当てるステップと、を有するパス収容制御方法により解決される。
【0015】
本発明は、リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パスに関わる要求を受信したときに、当該要求を要求記憶手段に格納するステップと、
予め定めた所定のタイミングが到来したことに応じて、当該タイミングと1つ前のタイミングの間に格納された要求毎に、要求に応じた処理を行う要求処理ステップと、を有し、
前記要求処理ステップは、
前記要求がパス設立要求である場合において、当該要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路があるか否を判定する空き判定ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路があると判定された場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てる割当ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路がないと判定された場合に、パス再配置処理を行うパス再配置ステップと、を有し、
前記パス再配置ステップは、
前記パス設立要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路から1つの経路を抽出する経路抽出ステップと、
前記経路抽出ステップで抽出された経路である抽出経路上で、前記パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットのうちの少なくとも1つの周波数スロットが割り当てられたパスである再配置対象パスを抽出する再配置対象パス抽出ステップと、
前記再配置対象パスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置することが可能であるか否かを判定し、可能である場合に再配置を行い、再配置によって、前記経路を通じて空けられた前記連続する周波数スロットを前記要求に係るパスに割り当てるステップと、を有するパス収容制御方法として構成してもよい。
【0016】
また、本発明は、リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パス設立要求を受信したことに応じて実行する再配置ステップと、その後に実行するスロット割当ステップとを有し、
前記再配置ステップは、
前記光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索するステップと、
前記リンクが存在する場合に、当該リンク上のパスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置するステップと、を有し、
前記スロット割当ステップは、
前記要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路がある場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てるステップを有するパス収容制御方法として構成してもよい。
【0017】
また、本発明は、リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パスに関わる要求を受信したときに、当該要求を要求記憶手段に格納するステップと、 予め定めた所定のタイミングが到来したことに応じて、当該タイミングと1つ前のタイミングの間に格納された要求毎に、要求に応じた処理を行う要求処理ステップと、を有し、
前記要求がパス設立要求である場合において、前記要求処理ステップは、再配置ステップと、その後に実行するスロット割当ステップとを有し、
前記再配置ステップは、
前記光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索するステップと、
前記リンクが存在する場合に、当該リンク上のパスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置するステップと、を有し、
前記スロット割当ステップは、
前記パス設立要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路がある場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てるステップを有するパス収容制御方法としてもよい。
【0018】
また、本発明は、リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
予め定めた所定のタイミングが到来したことに応じて実行する再配置ステップと、パスに関わる要求を受信したときに実行する要求処理ステップと、を有し、
前記再配置ステップは、
前記光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索するステップと、
前記リンクが存在する場合に、当該リンク上のパスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置するステップと、を有し、
前記要求処理ステップは、
前記要求がパス設立要求である場合において、当該パス設立要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路がある場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てるステップを有するパス収容制御方法として構成することもできる。
【0019】
パス収容制御方法において、前記要求に係るパスの経路として、前記光ネットワーク上の取り得る経路から1つの経路を選択する際に、最小OSNRペナルティとなる経路に必要なスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲に限って経路を選択し、その中からOSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択することとしてもよい。
【0020】
また、パスの再配置を行う際に、再配置を試みる経路選択範囲を、再配置の対象とするパスが占有している経路上のスロット群を光ネットワークのトポロジから除いた範囲において、当該パスが占有しているスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲とし、OSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択することとしてもよい。
【0021】
また、再配置するパスを、経由リンク数が多いパスから優先的に選択するようにしたり、場合によっては、再配置するパスを、経由リンク数が少ないパスから優先的に選択するようにしてもよい。
【0022】
また、再配置するパスを、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクを経由している数が多いパスから優先的に選択するようにしてもよい。更に、再配置するパスを、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクを経由している数を経由リンク数で割った、平均経由混雑リンク数が大きいパスを優先的に選択することとしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
周波数スロットを用いてパスへのリソース割り当てを行う光ネットワークにおいて、リソース利用効率を向上させるための技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】周波数スロットの例を示す図である。
【図2】各種変調方式とOSNRペナルティとの関係を示す図である。
【図3】周波数スロットを用い、通信距離等に応じて適応的に変調方式を選択する技術の効果の例を示す図である。
【図4】従来技術の課題を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る帯域可変通信システムの構成図である。
【図6】帯域可変通信装置10の構成例である。
【図7】ネットワーク管理装置100の構成図である。
【図8】パス割当情報記憶部に格納される情報の例を示す図である。
【図9A】ネットワーク管理装置100の動作の概要を説明するための図である。
【図9B】ネットワーク管理装置100の動作の概要を説明するための図である。
【図9C】ネットワーク管理装置100の動作の概要を説明するための図である。
【図10】第1の動作例の概要を示す図である。
【図11】第1の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。
【図12】パス再配置に係る処理を説明するための図である。
【図13】第2の動作例の概要を示す図である。
【図14】第2の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。
【図15】第3の動作例の概要を示す図である。
【図16】第3の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。
【図17】スロット使用率が予め定めた値以上であるリンクの例などを説明するための図である。
【図18】第4の動作例の概要を示す図である。
【図19】第4の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。
【図20】第5の動作例の概要を示す図である。
【図21A】第5の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。
【図21B】第5の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
(システム構成)
図5に、本発明の実施の形態に係る帯域可変通信システムの構成図を示す。図5に示すように、本実施の形態に係る帯域可変通信システムは、複数のノードからなる光ネットワーク200とネットワーク管理装置100を備える。光ネットワーク200を構成する各ノードは、ネットワーク管理装置100からの制御信号に基づきパス(通信装置においては特定のポート間の通過帯域)を設定し、光信号の送受信・クロスコネクト等を行う機能を備える帯域可変通信装置である。光ネットワーク200において、各ノードは他のノードとリンク(具体的には光ファイバからなる光伝送路)で接続されている。
【0027】
図6に、光ネットワーク200を構成する帯域可変通信装置10の構成例を示す。図6に示すように、本実施の形態に係る帯域可変通信装置10は、帯域可変の送信部11、帯域可変の受信部12、帯域可変の経路交換部13、光増幅器14、制御部15を含む。
【0028】
送信部11は、光信号を生成して送信する機能部であり、受信部12は、光信号を受信する機能部である。経路交換部13は、入力ポートから入射する1つ以上の光の出力ポートを制御部15からの制御信号に基づいて切り替える経路交換機能と、パスが通過する入力ポートから出力ポートまでの区間の通過可能な周波数帯域を変更する帯域変更機能を有する。制御部15は、ネットワーク管理装置100から制御信号(パス設立命令等)を受信し、送信部11、受信部12、経路交換部13を制御する。これらの機能により、ネットワーク管理装置100から受信する命令に応じたパス設立等を行うことが可能となっている。
【0029】
図7に、本実施の形態に係るネットワーク管理装置100の構成図を示す。図7に示すように、ネットワーク管理装置100は、要求受信部101、要求記憶部102、処理制御部103、パス収容設計部104、パス再配置処理部105、通信装置命令部106、ネットワーク情報記憶部107、パス割当情報記憶部108を含む。
【0030】
要求受信部101は、例えば外部の通信装置、もしくはネットワーク管理者から、パス設立要求、パス解除要求等を受信する機能部である。パス設立要求は、パスの始点ノード、終点ノード、必要な帯域(ビットレート)を含む。パス解除要求は、例えば、解除対象とするパスの識別情報を含む。要求記憶部102は、受信した要求を格納する機能部である。
【0031】
処理制御部103は、後述する各動作例に示した動作を行うように、パス収容設計部104、パス再配置処理部105、通信装置命令部106等を制御する機能部である。
【0032】
パス収容設計部104は、要求に係るパスに必要なスロット数算出や、パスの経路抽出等を行う機能を含み、要求に係るパスや再配置先のパスへの経路・周波数スロット割り当てを行う機能部である。パス再配置処理部105は、パス再配置のための処理を行う機能部である。通信装置命令部106は、パス設立のための命令(割り当てる周波数スロットの情報を含む)や、パス解除の命令を該当のノードに送信する機能部である。
【0033】
ネットワーク情報記憶部107は、光ネットワーク200の物理トポロジ情報(ノード・リンク接続情報や、リンク長等のOSNRペナルティを算出するための情報を含む)を格納する。パス割当情報記憶部108は、設定されたパス毎に、その経路情報、割当スロット番号等を格納する。
【0034】
図8に、パス割当情報記憶部108に格納される情報の例を示す。なお、図8に示す例は、情報の内容を分かりやすく示すためのものであり、パス割当情報記憶部108に格納される情報のデータ構造は図8に示すものに限られるわけではない。ネットワーク情報記憶部107、及びパス割当情報記憶部108のそれぞれで、もしくは、これら全体でデータベースシステムを構成しており、例えば、特定のリンクを指定した場合、当該リンクにどのパスがどのスロットで割り当てられているかの情報を即座に抽出できる。
【0035】
ネットワーク管理装置100は、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。すなわち、ネットワーク管理装置100の各部が有する機能は、当該ネットワーク管理装置100を構成するコンピュータに内蔵されるCPUやメモリなどのハードウェア資源を用いて、各部で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、ネットワーク管理装置100における各記憶部は、メモリなどの記憶手段により実現される。また、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばFD(Floppy(登録商標) Disk)や、MO(Magneto−Optical disk)、ROM(Read Only Memory)、メモリカード、CD(Compact Disk)−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)−ROM、BD(Blu−ray Disk)−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、BD−R、BD−RE、HDD、リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0036】
(ネットワーク管理装置100の動作)
<概要>
本実施の形態に係るネットワーク管理装置100の動作の概要を図9A〜9Bを参照して説明する。
【0037】
本実施の形態では、ネットワーク管理装置100に対して時々刻々とパス設立要求やパス解除要求が到着する状況を想定している。パス設立要求やパス解除要求は、電話通信等のようにすぐにパス設立/解除が必要な要求とともに、例えばテレビ会議の予約のように、通信を実際に使用するまでにパスが設立されていればよいような要求を含むことを想定している。
【0038】
図9Aに示すように、パス1設立要求、パス2設立要求、パス3設立要求が順次到着し、ネットワーク管理装置100が、各要求に応じてパス設計を行って周波数スロットの割り当てを行い、各ノードに対して設定要求を行うことにより、パス1〜パス3が設立される。
【0039】
その後、図9Bに示すように、パス2を解除するパス2解除要求が到着してパス2が解除され、更に、パス4設立要求が到着する。ところが、パス4設立要求で要求されたパス(D−>C)は、D−>Cのリンクで周波数スロットの空きが足りず、設立できない。
【0040】
そこで、本実施の形態では、図9Cに示すように、ネットワーク管理装置100が、パス1の再配置を行い、D−>C区間において周波数スロットの空きを作り、空けられた周波数スロットをパス4に割り当てる。このような動作により、光ネットワーク全体としての周波数利用効率を高めている。
【0041】
以下では、本実施の形態に係る各動作例をより詳細に説明する。
【0042】
<第1の動作例>
まず、第1の動作例を説明する。第1の動作例は、図10に示すように、要求が到着する度に、パス設立/解除やそれに伴うパス再配置(事後パス再配置)を行うものである。なお、本実施の形態では、パス設立/解除を行うタイミングをパス制御タイミングと称し、パス再配置を行うタイミングをパス再配置制御タイミングと称している。
【0043】
図11は、第1の動作例におけるネットワーク管理装置100の処理フローチャートである。図11に示す手順に沿ってネットワーク管理装置100の動作を説明する。
【0044】
ネットワーク管理装置100が要求を受信する(ステップ101)。本動作例では、要求を受信したタイミングがパス制御タイミングかつパス再配置制御タイミングとなる。
【0045】
ネットワーク管理装置100は、要求の種別を判断し(ステップ102)、要求がパス解除要求であればパス解除処理を行う(ステップ103)。すなわち、パス割当情報記憶部108において該当パスに割り当てられていた周波数スロットを解放するとともに、該当パス上の各ノードに対して周波数スロットに対応する帯域の解放命令を送信することによりパスを解除する。
【0046】
ステップ102において、要求がパス設立要求であった場合、ステップ104に進む。ステップ104において、ネットワーク管理装置100は、ネットワーク情報記憶部107及びパス割当情報記憶部108を参照することにより、要求に係るパスに必要なスロット数を決定し、更に、要求に係るパス(始点ノード−>終点ノード)の経路を抽出し、各経路毎に、当該パスに必要な数分の周波数スロットが経路を通じて割り当て可能か否か(空きか否か)を判定する。
1つの経路で割り当て可能であればその経路に周波数スロットを割り当て、パス割当情報記憶部108を更新し、該当する各ノードに対して当該周波数スロットの帯域設定命令を送信することにより、パス設立を行う(ステップ105)。もし、割り当て可能な経路が複数であれば、例えば、最小OSNRペナルティとなる経路(最も光信号劣化の小さい経路)を選択し、ステップ105のパス設立を行う。なお、パスに対していくつの周波数スロットを割り当てるかについては、例えば非特許文献2に記載された技術を用いる。
【0047】
また、ステップ104での経路抽出・割り当て判定処理においては、最小OSNRペナルティとなる経路に必要なスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲に限って経路を抽出し、その中からOSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択し、周波数スロット割り当てを行ってもよい。OSNRペナルティが小さい経路とは、例えばOSNRペナルティが最小の経路である。
【0048】
例えば、最小OSNRペナルティとなる経路に必要なスロット数が3(例:図3に示す16QAMのスロット数)と決定された場合において、スロット数が3で割り当て可能な範囲(例:図3に示す16QAMのスロット数に対応するホップ数の範囲)の経路を抽出し、その中からOSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択する。
【0049】
図11のステップ104において、要求に係るパスに対する周波数スロットを割り当て可能な経路がないと判定された場合、ステップ106に進む。
【0050】
ステップ106では、ネットワーク管理装置100は、要求に係るパスの取り得る経路から1つの経路を選択する。ここで1つの経路を選択する基準は、例えば、最小OSNRペナルティとなる経路とすることができる。
【0051】
また、上記と同様に、最小OSNRペナルティとなる経路に必要なスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲に限って経路を抽出し、その中からOSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択することとしてもよい。
【0052】
続いて、ネットワーク管理装置100は、要求に係るパスに必要なスロット数だけのスロット群を抽出する(ステップ107)。例えば、必要なスロット数が3である場合に、スロット群としてスロット1〜3を抽出するということである。ここで抽出するスロット群は、例えば、ステップ106で選択した経路において、パス設立のためのスロットが空き不足となるリンク数が最も少なくなるスロット群としてもよい。
【0053】
次に、ネットワーク管理装置100は、ステップ106で選択した経路において、ステップ107で抽出したスロット群のうちの少なくとも1つのスロットが割り当て済みのパスを抽出する(ステップ108)。例えば、図12に示す光ネットワークにおいて、要求に係るパスに対して選択した経路がA−>B−>Cであり、抽出したスロット群がスロット1〜3である場合において、既に、D−>A−>BのパスXに対してスロット3〜6が割り当て済みであるとすると、A−Bの区間でスロット1〜3を割り当て不可となるから、ステップ108では当該パスXが抽出される。
【0054】
続いて、ネットワーク管理装置100は、ステップ108で抽出したパスを、別経路に再配置することを試みる(ステップ109)。
【0055】
再配置にあたっては、例えば、再配置を試みる経路選択範囲を、再配置の対象とするパスが占有している経路上のスロット群を光ネットワークのトポロジから除いた範囲において、当該パスが占有しているスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲とし、OSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択することとしてよい。OSNRペナルティが小さい経路とは、例えばOSNRペナルティが最小の経路である。なお、再配置の方法はこれに限られるわけではなく、適切に他の経路でパスを設定できるのであれば、別の方法で再配置を行ってもよい。
【0056】
ステップ109での処理の結果、再配置が可能であれば、パス再配置を行う(ステップ110)。すなわち、再配置前の経路上のスロット群を空きとするとともに、再配置後の経路にスロット群を割り当てるようにパス割当情報を更新し、各ノードに帯域設定命令を送信する。例えば、図12の例では、パスXは、再配置されてD−>C−>E−>Bの経路となる。
【0057】
なお、ステップ108にて複数のパスが抽出された場合には、抽出されたパス毎にステップ109、110の処理を実行する。
【0058】
そして、ネットワーク管理装置100は、要求に係るパスについてのスロット割り当て(パス割当情報記憶部108の更新)、及び各ノードへの帯域設定命令を行う(ステップ111)。ステップ109での処理の結果、再配置が不可能であれば、パス設立要求は通信の失敗とされる(ステップ112)。
【0059】
<第2の動作例>
次に、第2の動作例を説明する。第2の動作例は、図13に示すように、予め定めた時間間隔でパス設立/解除及びそれに伴うパス再配置を行うものである。なお、予め定めた時間間隔でなく、予め定めた時刻毎に行うこととしてもよい。
【0060】
すなわち、本動作例においては、順次到着する要求に対してその都度処理を行うのでなく、所定の時間間隔で、バッチ処理としてまとめて処理を行うものである。本動作例では、到着する要求は、すぐに処理を要さないものを想定している。
【0061】
以下、第2の動作例を図14の手順に沿って説明する。第2の動作例は、処理を行うタイミングが第1の動作例と異なり、パス設立/解除及びそれに伴うパス再配置のための個々の処理は第1の動作例と同じであるので、以下では、処理の流れに重点に置いて説明する。
【0062】
ネットワーク管理装置100は、要求を受信すると(ステップ201)、要求を要求記憶部102に格納する(ステップ202)。ネットワーク管理装置100は、予め定めた所定のタイミング(つまりパス制御タイミングかつパス再配置制御タイミング)になったかどうかを判定し(ステップ203)、所定のタイミングになった場合に、要求記憶部102(前回のタイミングから今回のタイミングまでの要求が格納されている)から1つの要求を取り出し(ステップ204)、当該要求の種別を判断し(ステップ205)、要求がパス解除要求であればパス解除処理を行う(ステップ206)。
【0063】
ステップ205において、要求がパス設立要求であった場合、ステップ207に進む。ステップ207において、ネットワーク管理装置100は、ネットワーク情報記憶部107及びパス割当情報記憶部108を参照することにより、要求に係るパス(始点ノード−>終点ノード)の経路を抽出し、各経路毎に、当該パスに必要な数分の周波数スロットが経路を通じて割り当て可能か否か(空きか否か)を判定する。
そして、割り当て可能な経路があれば、それに周波数スロットを割り当て、パス割当情報記憶部108を更新し、該当する各ノードに対して当該周波数スロットの帯域設定命令を送信することにより、パス設立を行う(ステップ208)。
【0064】
ステップ207において、要求に係るパスに対する周波数スロットを割り当て可能な経路がないと判定された場合、ステップ209に進む。
【0065】
ステップ209では、ネットワーク管理装置100は、要求に係るパスの取り得る経路から1つの経路を選択する。
【0066】
続いて、ネットワーク管理装置100は、要求に係るパスに必要なスロット数だけのスロット群を抽出し(ステップ210)、ステップ209で選択した経路において、ステップ210で抽出したスロット群のうちの少なくとも1つのスロットが割り当て済みのパスを抽出する(ステップ211)。
【0067】
続いて、ネットワーク管理装置100は、ステップ211で抽出したパスを、別経路に再配置することを試みる(ステップ212)。
【0068】
ステップ212での処理の結果、再配置が可能であれば、パス再配置を行う(ステップ213)。そして、ネットワーク管理装置100は、要求に係るパスについてのスロット割り当て(パス割当情報記憶部108の更新)、及び各ノードへの帯域設定命令を行う(ステップ214)。
【0069】
ステップ212での処理の結果、再配置が不可能であれば、今回取り出したパス設立要求を通信の失敗とする(ステップ215)。
【0070】
ステップ206、208、214、215の後、まだ処理していない要求がなければ今回のタイミングでの処理を終了してステップ201に戻る(ステップ216のNo)。なお、今回のタイミングで処理を実行中に要求を受信した場合、今回のタイミングでの要求として扱ってもよいし、次のタイミングでの要求として扱ってもよい。
【0071】
ステップ206、208、214、215の後、まだ処理していない要求があれば、ステップ204に戻り、次の要求に対して処理を行う。
【0072】
<第3の動作例>
次に、第3の動作例を説明する。第3の動作例は、図15に示すように、要求が到着する度に、パス再配置(事前パス再配置と呼ぶ)を行って、その後にパス設立/解除を行うものである。なお、要求がパス解除である場合、パス再配置を行わなくてもよい。以下の動作例では、要求がパス解除である場合は、パス再配置を行わない例を示している。
【0073】
以下、第3の動作例を図16の手順に沿って説明する。第3の動作例において要求に対応するパス設立/解除処理自体は第1の動作例と同じである。ただし、以下で説明する第3の動作例では、パス設立を試みた後のパス再配置を行わない。もちろん、第3の動作例(及び事前パス再配置を行い第4、第5の動作例)でも、第1の動作例と同様に、パス設立を試みた後のパス再配置を行うようにしてもよい。以下では、第1の動作例と異なる部分に重点に置いて説明する。
【0074】
ネットワーク管理装置100が要求を受信する(ステップ301)。 ネットワーク管理装置100は、要求の種別を判断し(ステップ302)、要求がパス解除要求であればパス解除処理を行う(ステップ303)。
【0075】
ステップ302において、要求がパス設立要求であった場合、ステップ304に進む。ステップ304にて、ネットワーク管理装置100は、光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクをパス割当情報記憶部108から検索する。スロット使用率が予め定めた値以上であるリンクがあればステップ305に進み、なければステップ306に進む。
【0076】
ステップ304に関し、例えば、図17に示す光ネットワークにおいて、全スロットが1〜8であり、各リンクの使用スロット数が図17に示すとおりであり、予め定めた閾値が仮に0.6であるとすると、C−>Dのリンク(スロット使用率6/8=0.75)が、スロット使用率が予め定めた値以上であるリンクとして抽出される。
【0077】
ステップ305では、ステップ304で抽出されたリンク上のパスの再配置を行う。例えば、図17の場合において、抽出されたリンク上のパスとしてパスXとパスYが抽出され、これらのパスについての再配置を行う。
【0078】
抽出されたパスのうちのどのパスを再配置するかについては、少なくとも該当リンクについてのスロット使用率が予め定めた値未満になる本数のパスについての再配置を行う。再配置するパスが複数である場合、再配置するパスとして、例えば、経由リンク数が多いパスから優先的に選択する。つまり、図17の例であれば、パスXの再配置を優先的に行う。優先的に再配置を行うとは、先に再配置を行うことである。
【0079】
ネットワークの規模が大きい場合(例えば、リンク数が所定の数以上のネットワーク)、一般に、経由リンク数が多いパス経路は多く存在するので、経由リンク数が多いパスから優先的に選択して再配置することにより、リソース割り当てを効果的に分散させることが期待できる。
【0080】
また、ネットワークの規模が大きくない場合等においては、再配置するパスとして、例えば、経由リンク数が少ないパスから優先的に選択するようにしてもよい。
【0081】
更に、再配置するパスを、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクを経由している数が多いパスから優先的に選択することとしてもよい。また、再配置するパスを、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクを経由している数を経由リンク数で割った、平均経由混雑リンク数が大きいパスを優先的に選択することとしてもよい。
【0082】
上記のようにして再配置するパスを選択することにより、スロット使用率が大きいリンクを効果的に減少させることができ、ネットワーク全体の各リンクのスロット使用率を分散させて、スロット使用効率を向上させることができる。
【0083】
ステップ305における各パスの再配置処理自体は、第1の動作例における再配置処理と同様である。すなわち、例えば、再配置を試みる経路選択範囲を、再配置の対象とするパスが占有している経路上のスロット群を光ネットワークのトポロジから除いた範囲において、当該光パスが占有しているスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲とし、OSNRペナルティが最小の経路を優先的に選択する。また、再配置後のパスが経由するリンクにおいて、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクが生じないように(もしくはスロット使用率が予め定めた値以上のリンクができるだけ少なくなるように)、再配置先の経路を決定するようにしてもよい。
【0084】
再配置を要しない場合、もしくは、再配置が終了した後、要求に係るパス設立のための処理を行う(ステップ306、307)。ここでの処理は、第1の動作例でのパス設立処理と同じであり、ネットワーク管理装置100は、ネットワーク情報記憶部107及びパス割当情報記憶部108を参照することにより、要求に係るパス(始点ノード−>終点ノード)の経路を抽出し、各経路毎に、当該パスに必要な数分の周波数スロットが経路を通じて割り当て可能か否か(空きか否か)を判定し(ステップ306)、割り当て可能な経路に周波数スロットを割り当て、パス割当情報記憶部108を更新し、該当する各ノードに対して当該周波数スロットの帯域設定命令を送信することにより、パス設立を行う(ステップ307)。
【0085】
図16のステップ306において、要求に係るパスに対する周波数スロットを割り当て可能な経路がないと判定された場合、パス設立要求に係る通信は失敗とされ(ステップ308)、処理を終了する。
【0086】
<第4の動作例>
次に、第4の動作例を説明する。第4の動作例は、図18に示すように、予め定めた時間間隔で、事前パス再配置、及びパス設立/解除を行うものである。なお、予め定めた時間間隔でなく、予め定めた時刻毎に行うこととしてもよい。
【0087】
すなわち、本動作例においては、順次到着する要求に対してその都度処理を行うのでなく、所定の時間間隔で、バッチ処理としてまとめて処理を行うものである。本動作例では、到着する要求は、すぐに処理を要さないものを想定している。第4の動作例における、個々の事前パス再配置及びパス設立処理は第3の動作例のものと同じである。第4の動作例は、処理を行うタイミングが第3の動作例と異なる。以下では、図19のフローチャートを参照して、処理の流れに重点に置いて説明を行う。
【0088】
ネットワーク管理装置100は、要求を受信すると(ステップ401)、要求を要求記憶部102に格納する(ステップ402)。ネットワーク管理装置100は、予め定めた所定のタイミング(つまり、事前パス再配置制御タイミングかつパス制御タイミング)になったかどうかを判定し(ステップ403)、所定のタイミングになった場合に、要求記憶部102(前回のタイミングから今回のタイミングまでの要求が格納されている)から1つの要求を取り出し(ステップ404)、当該要求の種別を判断する(ステップ405)、要求がパス解除要求であればパス解除処理を行う(ステップ406)。
【0089】
ステップ405において、要求がパス設立要求であった場合、ステップ407に進む。ステップ407にて、ネットワーク管理装置100は、光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索する。スロット使用率が予め定めた値以上であるリンクがあればステップ408に進み、なければステップ409に進む。ステップ408では、ステップ407で抽出されたリンク上のパスの再配置を行う。
【0090】
再配置を要しない場合、もしくは、再配置が終了した後、要求に係るパス設立のための処理を行う(ステップ409、410)。ここでの処理は、第1の動作例でのパス設立処理と同じであり、ネットワーク管理装置100は、ネットワーク情報記憶部107及びパス割当情報記憶部108を参照することにより、要求に係るパス(始点ノード−>終点ノード)の経路を抽出し、各経路毎に、当該パスに必要な数分の周波数スロットが経路を通じて割り当て可能か否か(空きか否か)を判定し(ステップ409)、割り当て可能な経路に周波数スロットを割り当て、パス割当情報記憶部108を更新し、該当する各ノードに対して当該周波数スロットの帯域設定命令を送信することにより、パス設立を行う(ステップ410)。
【0091】
図19のステップ409において、要求に係るパスに対する周波数スロットを割り当て可能な経路がないと判定された場合、パス設立要求に係る通信は失敗とされる(ステップ411)。
【0092】
ステップ406、410、411の後、まだ処理していない要求がなければ今回のタイミングでの処理を終了してステップ401に戻る(ステップ412のNo)。なお、今回のタイミングで処理を実行中に要求を受信した場合、今回のタイミングでの要求として扱ってもよいし、次のタイミングでの要求として扱ってもよい。
【0093】
ステップ406、410、411の後、まだ処理していない要求があれば、ステップ404に戻り、次の要求に対して処理を行う。
【0094】
<第5の動作例>
次に、第5の動作例を説明する。第5の動作例は、図20に示すように、要求が到着する度に、パス設立/解除を行う。一方、予め定めた時間間隔で事前パス再配置を行う。なお、予め定めた時間間隔でなく、予め定めた時刻毎に事前パス再配置を行うこととしてもよい。
【0095】
第5の動作例における要求に対応するパス設立/解除処理自体は第1の動作例と同じである。ただし、以下で説明する第5の動作例では、パス設立を試みた後のパス再配置を行わない。もちろん、第5の動作例でも、第1の動作例と同様に、パス設立を試みた後のパス再配置を行うようにしてもよい。事前パス再配置処理自体は第3、第4の動作例と同じである。
【0096】
以下では、図21A、図21Bのフローチャートを参照して、処理の流れに重点を置いて説明する。
【0097】
図21Aは、要求に応じて行うパス設立/解除の処理のフローチャートである。
【0098】
ネットワーク管理装置100が要求を受信する(ステップ501)。ネットワーク管理装置100は、要求の種別を判断し(ステップ502)、要求がパス解除要求であればパス解除処理を行う(ステップ503)。
【0099】
ステップ502において、要求がパス設立要求であった場合、ステップ504に進む。 ステップ504、505での処理は、第1の動作例でのパス設立処理と同じであり、ネットワーク管理装置100は、ネットワーク情報記憶部107及びパス割当情報記憶部108を参照することにより、要求に係るパス(始点ノード−>終点ノード)の経路を抽出し、各経路毎に、当該パスに必要な数分の周波数スロットが経路を通じて割り当て可能か否か(空きか否か)を判定し(ステップ504)、割り当て可能な経路に周波数スロットを割り当て、パス割当情報記憶部108を更新し、該当する各ノードに対して当該周波数スロットの帯域設定要求を送信することにより、パス設立を行う(ステップ505)。
【0100】
ステップ504において、要求に係るパスに対する周波数スロットを割り当て可能な経路がないと判定された場合、パス設立要求に係る通信は失敗とされ(ステップ506)、処理を終了する。
【0101】
図21Bは、所定の時間間隔で行う事前パス再配置の処理のフローチャートである。
【0102】
ネットワーク管理装置100は、予め定めた所定のタイミング(つまり、事前パス再配置制御タイミング)になったかどうかを判定し(ステップ511)、所定のタイミングになった場合に、ステップ512に進む。ステップ512にて、ネットワーク管理装置100は、光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索する。スロット使用率が予め定めた値以上であるリンクがあればステップ513に進む。ステップ513では、ステップ512で抽出されたリンク上のパスの再配置を行う。再配置を要しない場合、もしくは、再配置が終了した後、ステップ511に戻り、次のタイミングまで待つ。
【0103】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 帯域可変通信装置
11 帯域可変の送信部
12 帯域可変の受信部
13 帯域可変の経路交換部
14 光増幅器
15 制御部
100 ネットワーク管理装置
101 要求受信部
102 要求記憶部
103 処理制御部
104 パス収容設計部
105 パス再配置処理部
106 通信装置命令部
107 ネットワーク情報記憶部
108 パス割当情報記憶部
200 光ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パス設立要求を受信したことに応じて、当該要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路があるか否を判定する空き判定ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路があると判定された場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てる割当ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路がないと判定された場合に、パス再配置処理を行うパス再配置ステップと、を有し、
前記パス再配置ステップは、
前記要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路から1つの経路を抽出する経路抽出ステップと、
前記経路抽出ステップで抽出された経路である抽出経路上で、前記パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットのうちの少なくとも1つの周波数スロットが割り当てられたパスである再配置対象パスを抽出する再配置対象パス抽出ステップと、
前記再配置対象パスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置することが可能であるか否かを判定し、可能である場合に再配置を行い、再配置によって、前記経路を通じて空けられた前記連続する周波数スロットを前記要求に係るパスに割り当てるステップと、
を有するパス収容制御方法。
【請求項2】
リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パスに関わる要求を受信したときに、当該要求を要求記憶手段に格納するステップと、
予め定めた所定のタイミングが到来したことに応じて、当該タイミングと1つ前のタイミングの間に格納された要求毎に、要求に応じた処理を行う要求処理ステップと、を有し、
前記要求処理ステップは、
前記要求がパス設立要求である場合において、当該要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路があるか否を判定する空き判定ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路があると判定された場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てる割当ステップと、
前記空き判定ステップにおいて、前記周波数スロットが空いている経路がないと判定された場合に、パス再配置処理を行うパス再配置ステップと、を有し、
前記パス再配置ステップは、
前記パス設立要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路から1つの経路を抽出する経路抽出ステップと、
前記経路抽出ステップで抽出された経路である抽出経路上で、前記パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットのうちの少なくとも1つの周波数スロットが割り当てられたパスである再配置対象パスを抽出する再配置対象パス抽出ステップと、
前記再配置対象パスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置することが可能であるか否かを判定し、可能である場合に再配置を行い、再配置によって、前記経路を通じて空けられた前記連続する周波数スロットを前記要求に係るパスに割り当てるステップと、
を有するパス収容制御方法。
【請求項3】
リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パス設立要求を受信したことに応じて実行する再配置ステップと、その後に実行するスロット割当ステップとを有し、
前記再配置ステップは、
前記光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索するステップと、
前記リンクが存在する場合に、当該リンク上のパスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置するステップと、を有し、
前記スロット割当ステップは、
前記要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路がある場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てるステップ
を有するパス収容制御方法。
【請求項4】
リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
パスに関わる要求を受信したときに、当該要求を要求記憶手段に格納するステップと、
予め定めた所定のタイミングが到来したことに応じて、当該タイミングと1つ前のタイミングの間に格納された要求毎に、要求に応じた処理を行う要求処理ステップと、を有し、
前記要求がパス設立要求である場合において、前記要求処理ステップは、再配置ステップと、その後に実行するスロット割当ステップとを有し、
前記再配置ステップは、
前記光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索するステップと、
前記リンクが存在する場合に、当該リンク上のパスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置するステップと、を有し、
前記スロット割当ステップは、
前記パス設立要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路がある場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てるステップ
を有するパス収容制御方法。
【請求項5】
リンク接続された帯域可変通信装置群からなる光ネットワークにおいて、周波数スロットを用いてパス設立及び解除に係る処理を行うネットワーク管理装置が実行するパス収容制御方法であって、
予め定めた所定のタイミングが到来したことに応じて実行する再配置ステップと、パスに関わる要求を受信したときに実行する要求処理ステップと、を有し、
前記再配置ステップは、
前記光ネットワーク上でスロット使用率が予め定めた値以上であるリンクを検索するステップと、
前記リンクが存在する場合に、当該リンク上のパスを、当該パスが設立されている経路とは別の経路に再配置するステップと、を有し、
前記要求処理ステップは、
前記要求がパス設立要求である場合において、当該パス設立要求に係るパスの経路として前記光ネットワーク上で取り得る経路のうち、当該パスに必要なスロット数の連続する周波数スロットが経路を通じて空いている経路がある場合に、当該経路上で前記パスに前記周波数スロットを割り当てるステップ
を有するパス収容制御方法。
【請求項6】
前記要求に係るパスの経路として、前記光ネットワーク上の取り得る経路から1つの経路を選択する際に、最小OSNRペナルティとなる経路に必要なスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲に限って経路を選択し、その中からOSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択する
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のパス収容制御方法。
【請求項7】
パスの再配置を行う際に、再配置を試みる経路選択範囲を、再配置の対象とするパスが占有している経路上のスロット群を光ネットワークのトポロジから除いた範囲において、当該パスが占有しているスロット数と同じスロット数で割り当て可能な範囲とし、OSNRペナルティが小さい経路を優先的に選択する
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のパス収容制御方法。
【請求項8】
再配置するパスを、経由リンク数が多いパスから優先的に選択する請求項3ないし5のうちいずれか1項に記載のパス収容制御方法。
【請求項9】
再配置するパスを、経由リンク数が少ないパスから優先的に選択する請求項3ないし5のうちいずれか1項に記載のパス収容制御方法。
【請求項10】
再配置するパスを、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクを経由している数が多いパスから優先的に選択する請求項3ないし5のうちいずれか1項に記載のパス収容制御方法。
【請求項11】
再配置するパスを、スロット使用率が予め定めた値以上のリンクを経由している数を経由リンク数で割った、平均経由混雑リンク数が大きいパスを優先的に選択する請求項3ないし5のうちいずれか1項に記載のパス収容制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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