説明

パス管理装置、ノード、通信システム、制御方法及びプログラム

【課題】自律分散制御によるパスの設定要求やパスの削除要求を分轄して行うことが可能な通信システムを提供する。
【解決手段】本実施形態の通信システムは、複数のノード(ノード#1〜#6)と、ノード(#1〜#6)間のパスを管理するパス管理装置(分轄パス管理装置110、分轄パス制御装置120)と、を有して構成する通信システムである。本実施形態のパス管理装置(110、120)は、自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する。そして、その分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GMPLS/ASON/MPLS-TP等の自律分散制御を行うパス管理装置、ノード、通信システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のGMPLS/ASON/MPLS-TP等の自律分散制御では、E2Eのパスの設定及び削除をノード毎にシリアルに行っていた。このため、パスの設定及び削除に多くの時間がかかっていた。E2Eのパスとは、End to Endのパスを意味する。
【0003】
また、パスのホップ数が多くなればなるほど、また、パスの使用リソースの指定が詳細(ERO;Explicit Route ObjectのStrict指定)になればなるほど、メッセージサイズ(ネットワーク管理装置から送信されるパス設定要求メッセージサイズや、自律分散制御装置間のパス設定メッセージサイズ)が大きくなってしまう。
【0004】
ホップ数とは、ネットワークを経由するノードの数を意味する。具体的なホップ数の数え方としては、ある2ノード間でパスの設定を行った場合は、1HOPであり、3ノード間では2HOP、4ノード間では3HOPとなる。
【0005】
EROは、自律分散制御によるPath Computationにおいてユーザがインターフェイスやラベルを指定するために用いるものである。EROにはLoose指定と、Strict指定と、がある。
【0006】
Loose指定では、ノードIDを指定する。Loose指定では、ノードIDをHOP by HOPに指定する必要はない。
【0007】
Strict指定では、ノードID、TEリンク、データリンク、ラベルを指定する。
【0008】
一般的なIPネットワークでは、メッセージサイズが大きくなると、パケットを分轄して送信することになる。また、パケットがロスした場合は、ロスしなかったパケットを含めて全パケットを再送する。このため、メッセージサイズが大きくなり、パケットロスが生じやすい環境の場合は、パスの設定及び削除に要する時間が長くなってしまうことになる。
【0009】
特に、C-Planeネットワークで使用可能な帯域が少ない場合や、ネットワーク上でパケットロスが生じた場合は、IPパケットの再送処理によってさらに帯域を圧迫することになる。
【0010】
このようなことから、パスの設定や削除に要する時間を低減することが可能なシステムの開発が必要視されることになる。
【0011】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、パケット交換ネットワーク上で情報を中継する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
上記特許文献1には、システム入口ノード(I)とシステム出口ノード(E)間のエンドツーエンド接続を提供するための複数の中間ネットワーク(1’、1、1”)を備えるネットワークのシステムが開示されている。そして、各中間ネットワークは、着信中継ノード(2)と発信中継ノード(3)とに接続されており、それらの間で、エンドツーエンド接続のレグ(14)を転送することにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2007−520154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記特許文献1には、自律分散制御によるパスの設定要求や削除要求を行う際に、そのパスの設定要求や削除要求を分轄して行う点については何ら記載もその必要性についても示唆されていない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、自律分散制御によるパスの設定要求やパスの削除要求を分轄して行うことが可能なパス管理装置、ノード、通信システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0017】
<パス管理装置>
本発明にかかるパス管理装置は、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄手段と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0018】
<ノード>
本発明にかかるノードは、上記記載のパス管理装置を搭載したことを特徴とする。
【0019】
<通信システム>
本発明にかかる通信システムは、
複数のノードと、前記ノード間のパスを管理するパス管理装置と、を有して構成する通信システムであって、
前記パス管理装置は、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄手段と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0020】
本発明にかかる通信システムは、
複数のノードを有して構成する通信システムであって、
少なくとも1つのノードは、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄手段と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0021】
<制御方法>
本発明にかかる制御方法は、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄工程と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御工程と、
を有することを特徴とする。
【0022】
<プログラム>
本発明にかかるプログラムは、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄処理と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、自律分散制御によるパスの設定要求やパスの削除要求を分轄して行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】Data Planeのネットワーク構成例を示す図である。
【図3】Management Plane及びControl Planeの構成例を示す図である。
【図4】パス設定の処理動作例を示す図である。
【図5】パス情報読出の処理動作例を示す図である。
【図6】パス削除の処理動作例を示す図である。
【図7】分轄パス管理装置110での処理動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<通信システムの概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムの概要について説明する。
【0026】
本実施形態の通信システムは、複数のノード(ノード#1〜#6)と、ノード(#1〜#6)間のパスを管理するパス管理装置(分轄パス管理装置110、分轄パス制御装置120)と、を有して構成する通信システムである。
【0027】
本実施形態のパス管理装置(110、120)は、自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する。そして、その分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う。これにより、自律分散制御によるパスの設定要求やパスの削除要求を分轄して行うことが可能となる。なお、上記パス管理装置(110、120)は、ノード(#1〜#6)に実装することも可能である。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の通信システムについて詳細に説明する。
【0028】
<通信システムの構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムのシステム構成例について説明する。本実施形態の通信システムは、GMPLS/ASON/MPLS-TP等の自律分散制御システムである。
【0029】
本実施形態の通信システムは、ネットワーク管理装置10と、ユーザ端末20,30と、ノード#1〜#6と、分轄パス管理装置110と、分轄パス制御装置120と、を有して構成する。本実施形態の通信システムでは、分轄パス管理装置110と、分轄パス制御装置120と、は各々が分離独立して構成しても良く、一体型になって構成することも可能である。
【0030】
分轄パス管理装置110は、パス設定要求を受け付けた場合に、その受け付けたパス設定要求を複数のパス設定要求に分轄して管理する。
【0031】
分轄パス制御装置120は、分轄したパス設定要求を自律分散制御により制御する。また、分轄したパスのRRO(Record Route Object)を取得する。RROは、パスの経路情報(ノードID、TEリンク、データリンク、ラベル)を保持する。
【0032】
本実施形態では、ネットワーク管理装置10からノード#1にパス設定要求を送信する。そして、ノード#1を始点とし、ノード#6を終点とし、ノード#1→ノード#2→ノード#3→ノード#4→ノード#5→ノード#6を経由するパスを設定し、両端にあるユーザ端末20,30に回線を提供する。
【0033】
ネットワーク管理装置10は、主パスの始点ノード#1に対し、パスの設定要求、パスの削除要求、パス情報の読出要求を送信する。
【0034】
ノード#1は、上位のネットワーク管理装置10からパスの設定要求を受け付けた場合に、パスの始点ノードとなる。この場合、始点ノード#1は、パスの設定要求を分轄パス管理装置110に送信する。
【0035】
本実施形態において、ネットワーク管理装置10より要求されているE2Eのパスを主パスと呼ぶ。また、主パスを分轄したパスを、副パスと呼ぶ。E2Eのパスとは、End to Endのパスを意味し、本実施形態では、ユーザ端末20,30間に設定されたパスのことを意味する。
【0036】
分轄パス管理装置110は、パスの設定要求を受け付けた場合に、主パスの分轄を行い、副パスの設定要求を分轄パス制御装置120に送信する。分轄パス制御装置120は、分轄パス管理装置110から受け付けた副パスの設定要求を基に、各ノードに副パスの設定要求を送信する。
【0037】
図2は、Data Planeのネットワーク構成例である。
【0038】
Data Plane上では、ノード#1〜#8は、図2に示すように接続されている。
【0039】
図2中のリンク情報は、各ノード#1〜#8に設定されているリンクを示している。例えば、ノード#1のリンク情報の一行目では、ノード#1(ノードID=1.1.1.1)と#2(ノードID=2.2.2.2)との間にリンクが設定されており、このリンクはノード#1に、TEリンク=1200、データリンク=120の識別子がふられている。
【0040】
また、ノード#1のリンク情報の三行目では、ノード#1とユーザ端末20との間にリンクが設定されており、このリンクはノード#1に、TEリンク=1000、データリンク=100の識別子がふられている、ユーザ端末20は自律分散制御に対応した装置では無いので、隣接ノードIDはN/Aとなっている。
【0041】
リンク情報に含まれるノードID、データリンク、TEリンクについて説明する。
【0042】
ノードIDは、ネットワーク中でノードを一意に識別する識別子である。
【0043】
データリンクは、自律分散制御で扱う物理リンクである。ノードの物理インターフェイスに対応する。
【0044】
TEリンクは、自律分散制御で扱う論理リンクである。TEリンクは、データリンクと対応付ける。1つのTEリンクは、複数のデータリンクと対応付けることも可能である。
【0045】
図3は、Management Plane及びControl Planeの構成例である。
【0046】
Management Plane上では、ノード#1〜#8の各ノードは、ネットワーク管理装置10と接続されている。
【0047】
Control Plane上では、ノード#1〜ノード#8は、Data Planeの接続関係に従って隣接するノード同士が接続されている。
【0048】
<通信システムの処理動作>
次に、図2、図4〜図7を参照しながら、本実施形態の通信システムの処理動作について説明する。図4は、パス設定の処理動作例を示し、図5は、パス情報読出の処理動作例を示し、図6は、パス削除の処理動作例を示し、図7は、分轄パス管理装置110での処理動作例を示す。
【0049】
<パス設定の処理動作>
まず、図2、図4、図7を参照しながら、パス設定の処理動作について説明する。なお、ネットワーク管理装置10は、図7のSTEP1で示すように、ノード#2のTEリンク:2300とデータリンク:230とを指定しているものとする。
【0050】
ネットワーク管理装置10は、ノード#1に自律分散制御によるパス設定要求を送信する(ステップS1)。
【0051】
ノード#1は、パス設定要求を受け付けた場合に、その要求された主パスの設定要求を分轄パス管理装置110に送信する(ステップS2)。ノード#1は、主パスの設定要求と共に、図7のSTEP1に示す経路情報を分轄パス管理装置110に送信する。
【0052】
主パスは、図7のSTEP1に示すようなノードIDと、TEリンクと、データリンクと、を指定しているものとする。
【0053】
分轄パス管理装置110は、主パスの設定要求を受け付けた場合に、図7のSTEP2で示すように、主パスを副パスに分轄する(ステップS3)。
【0054】
なお、主パスを副パスに分轄する手法としては、副パス毎に管理するノード数を設定し、その設定したノード数毎に分轄する。図7のSTEP2では、副パス毎に管理するノード数を2とし、2ノード毎に副パスに分轄することにしている。
【0055】
また、他の手法としては、副パスの数を設定し、その設定した副パスの数の範囲内で主パスを分轄する手法等も適用可能である。例えば、副パスの数を3に設定し、その設定した3つの副パスの範囲内で主パスを分轄する手法等も適用可能である。
【0056】
分轄パス管理装置110は、図7のSTEP2に示すように、主パス(パス#A)と副パス(パス#A1,パス#A2,パス#A3)とを関連付けて、自身のDB(データベース)に登録して管理する。
【0057】
分轄パス管理装置110は、副パスの設定要求を分轄パス制御装置120に送信する(ステップS4)。
【0058】
分轄パス制御装置120は、副パスの設定要求を受け付けた場合に、その受け付けた副パスの設定要求を基に、ノード#1、ノード#3、ノード#5に副パスの設定要求を送信する(ステップS5)。
【0059】
ノード#1、ノード#3、ノード#5は、副パスの設定要求を受け付けた場合に、自律分散制御のSignalingにより、パス設定を行い(ステップS6〜S9)、パス設定完了通知を分轄パス制御装置120に送信する(ステップS10)。パス設定は、ノード#1の場合は、ノード#2にLSP Setupを送信し(ステップS6)、ノード#2で回線設定を行い(ステップS7)、ノード#2からLSP Acceptを受け付け(ステップS8)、ノード#1で回線設定を行うことになる(ステップS9)。これにより、各副パスの設定が行われることになる。
【0060】
分轄パス制御装置120は、副パスの設定要求を送信した全てのノード#1、ノード#3、ノード#5から副パスの設定完了通知を受け付けた場合に、ネットワーク管理装置10と、分轄パス管理装置110と、にパス設定完了通知を送信する(ステップS11,S12)。
【0061】
次に、分轄パス制御装置120は、副パスの情報読出要求をノード#1、ノード#3、ノード#5に送信する(ステップS13)。
【0062】
ノード#1、ノード#3、ノード#5は、副パスの情報読出要求を受け付けた場合に、副パスの情報(ノードID、TEリンク、データリンク、ラベル)を読み出し、副パスの情報読出応答を分轄パス制御装置120に送信する(ステップS14)。
【0063】
分轄パス制御装置120は、副パスの情報読出要求を送信した全てのノード#1、ノード#3、ノード#5から副パスの情報読出応答を受け付けた場合に、その副パスの情報を分轄パス管理装置110に送信する(ステップS15)。
【0064】
分轄パス管理装置110は、副パスの情報を受け付けた場合に、その受け付けた副パスの情報を基に、自身のDBの副パス情報を更新する(ステップS16)。これにより、分轄パス管理装置110は、図7のSTEP3で示すようにDBを更新することになる。
【0065】
<パス情報の読出処理>
次に、図5、図7を参照しながら、パス情報の読出処理について説明する。本実施形態では、ネットワーク管理装置10は、パス#Aの情報読出要求を行うものとする。
【0066】
まず、ネットワーク管理装置10は、ノード#1にパス#Aの情報読出要求を送信する(ステップA1)。
【0067】
ノード#1は、パス#Aの情報読出要求を受け付けた場合に、分轄パス管理装置110にパス#Aの情報読出要求を送信する(ステップA2)。
【0068】
分轄パス管理装置110は、自身のDBを検索し、パス#Aの情報(ノードID、TEリンク、データリンク、ラベル)を読み出し、その読み出したパス#Aの情報を分轄パス制御装置120に送信する(ステップA3)。
【0069】
分轄パス制御装置120は、パス#Aの情報を受け付けた場合に、パス#Aの情報読出応答をネットワーク管理装置10に送信する(ステップA4)。
【0070】
これにより、ネットワーク管理装置10は、パス#Aの情報を読み出すことが可能となる。
【0071】
<パス削除の処理動作>
次に、図6、図7を参照しながら、パス削除の処理動作について説明する。本実施形態では、ネットワーク管理装置10は、パス#Aの削除要求を行うものとする。
【0072】
ネットワーク管理装置10は、ノード#1に自律分散制御によるパス削除要求を送信する(ステップB1)。
【0073】
ノード#1は、パス削除要求を受け付けた場合に、主パスの削除要求を分轄パス管理装置110に送信する(ステップB2)。
【0074】
分轄パス管理装置110は、主パスの削除要求を受け付けた場合に、主パスを、自身の持つDBに問い合わせて、副パスに分轄する(ステップB3)。
【0075】
分轄パス管理装置110は、副パスの削除要求を分轄パス制御装置120に送信する(ステップB4)。
【0076】
分轄パス制御装置120は、副パスの削除要求を受け付けた場合に、副パスの削除要求を、ノード#1、ノード#3、ノード#5に送信する(ステップB5)。
【0077】
ノード#1、ノード#3、ノード#5は、副パスの削除要求を受け付けた場合に、自律分散制御のSignalingにより、パス削除を行い(ステップB6〜B8)、副パスの削除完了通知を分轄パス制御装置120に送信する(ステップB9)。パス削除は、ノード#1の場合は、ノード#2にLSP releaseを送信し(ステップB6)、ノード#2で回線削除を行い(ステップB7)、ノード#1で回線削除を行うことになる(ステップB9)。これにより、各副パスの削除が行われることになる。
【0078】
分轄パス制御装置120は、副パスの削除要求を送信した全てのノード#1、ノード#3、ノード#5から副パスの削除完了通知を受け付けた場合に、ネットワーク管理装置10と分轄パス管理装置110とにパス削除完了通知を送信する(ステップB10,B11)。
【0079】
分轄パス管理装置110は、パス削除完了通知を受け付けた場合に、自身の持つDBのパス情報を削除する(ステップB12)。これにより、分轄パス管理装置110は、図7のSTEP4に示すように、DBの情報を削除することになる。
【0080】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態の通信システムは、自律分散制御によるパスの設定要求やパスの削除要求を分轄し、該分轄したパスの設定要求やパスの削除要求をパラレル処理で行う。これにより、シリアル処理で行っていた従来の処理よりも、パスの設定/パスの削除を迅速に行うことができる。
【0081】
また、IPパケットの分轄を用いずにパスの設定を行う段階で、パスの設定要求自体を分轄するため、多ホップの場合でも容易、且つ、迅速にパス設定を行うことができる。
【0082】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0083】
例えば、分轄パス管理装置110と分轄パス制御装置120との機能を各ノード内に搭載するように構築することも可能である。
【0084】
また、上述した本実施形態における通信システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0085】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0086】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0087】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0088】
また、本実施形態における通信システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、GMPLS/ASON等の自律分散制御ネットワークシステムを組み込んだネットワーク機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
#1〜#8 ノード
10 ネットワーク管理装置
20、30 ユーザ端末
110 分轄パス管理装置
120 分轄パス制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄手段と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御手段と、
を有することを特徴とするパス管理装置。
【請求項2】
分轄前のパスと、分轄後の複数のパスと、を対応付けて管理する管理手段を有することを特徴とする請求項1記載のパス管理装置。
【請求項3】
前記管理手段は、
分轄後の複数のパスの情報を基に、パス毎にパスの設定情報を取得し、該取得した各パスの設定情報を、分轄前のパスに対応付けて管理することを特徴とする請求項2記載のパス管理装置。
【請求項4】
前記分轄手段は、
パスの要求を所定のノード数毎に分轄し、前記パスの要求を複数に分轄することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のパス管理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、前記パスの要求をパラレルに行うことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のパス管理装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のパス管理装置を搭載したことを特徴とするノード。
【請求項7】
複数のノードと、前記ノード間のパスを管理するパス管理装置と、を有して構成する通信システムであって、
前記パス管理装置は、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄手段と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
複数のノードを有して構成する通信システムであって、
少なくとも1つのノードは、
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄手段と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項9】
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄工程と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
自律分散制御によるパスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を複数に分轄する分轄処理と、
前記分轄した複数のパスの要求を用いて、パスの設定要求とパスの削除要求との少なくとも1つのパスの要求を行う制御処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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