説明

パズル付き合紙絵本とその製造方法

【課題】 ジグソーパズル等のパズル付き合紙絵本において、ページ間の結合材料取り付け部の破損を生じないようにした構造の絵本とその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のパズル付き合紙絵本1は、パズルシート21と台紙シート22からなる紙葉の組を複数枚合紙したパズル付き合紙絵本であって、各パズルシート21と、それに対面するシートの間を閉じた状態に保持するために、見開いた際の小口側縁辺部分及び/又は天地側縁辺部分とそれに対面するシートの当接部の双方に、シート間結合材料5を取り付けしたパズル付き合紙絵本において、当該結合材料5の取り付け部を形成する開口9の底面に位置する台紙シート22には、当該開口を打ち抜きした抜き跡が形成されないようにしたことを特徴とする。結合材料5には、面ファスナーや磁石を使用し、接着剤を塗布して開口内に充填して固定する方法を採用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジグソーパズル等のパズルシートが複数枚綴じ込みされ、一体にされた合紙絵本であって、絵本を綴じて持ち運びする際に、絵本のパズルを構成するピース等の一部が脱落しないように工夫した絵本とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジグソーパズルは、厚板紙面等に印刷した絵柄を複数の複雑な形状のピースに打ち抜きし、このピースを組み立てて、一つの画面に完成させる遊びであって、多くの愛好者がいる。このジグソーパズルは、一枚のシート状であって額縁状の枠内に画面を完成させるものもあるが、近年、複数枚の厚板紙からなるジグソーシートを合紙して一冊の絵本状にしたものが幼児や子供向けのパズル付き合紙絵本として販売されている。
【0003】
ジグソーシートは、組み合わせる個片であるピース部分を有するパズルシートとピースを嵌め込みする底面となる台紙シートの厚板紙の組みから構成されている。一冊の絵本に含まれるジクソーシートの枚数は、特に限定されないが、通常、2枚から4枚程度のシートが含まれるようにする。ジクソーシートの厚板紙は組み付けたピースが簡単に脱けないようにするため、厚み1.0mm前後のものを使用するので、パズルシートと台紙シートを合わせると、1枚のジグソーシートでもかなりの厚みになり、数枚からなる絵本の場合は、一冊が12〜20mm程度の厚みになる。
【0004】
ところで、このようなパズル付き合紙絵本を持ち運びすると、絵本を閉じた状態であっても内部のジグソーシートのピースが脱落することが生じる。特に、組み合わせが完成しない状態で運べば、ピースが簡単に脱け落ちしてしまう。脱落してピースが1つでも紛失してしまうと、そのジグソーパズルは完全に興味を損なうものとなってしまう。
そこで、絵本を閉じてかつ立てて持ち運びする際にもピースが簡単に脱け落ちしないように、パズルシートの見開き面の縁辺の一部をくり抜いて、対面するシート間を閉じた状態に保つようにするため結合材料を埋め込むことが行われている。結合材料は対面するシートの両面に埋め込みされる。ただし、パズルシートの無いシート間、例えば表紙と見開きページ間、には設ける必要はない。この結合材料には、マジックテープ(商標)又はベルクロテープ(商標)として良く知られるテープ材料(面ファスナー)や磁石などが使用されている。
【0005】
従来のパズル付き合紙絵本には、上記のようにマジックテープ等の結合材料が使用されるが、結合材料を埋め込みする開口を形成する際に、パズルシートと台紙シートを一体にして(部分糊で額縁部分を接着して)からピースの形状や開口を打ち抜きするので、開口の抜き刃がパズルシートを貫通して台紙シートの表面層にまで達してしまう。
そうすると結合材料を強力な接着剤で台紙シート面に固定しても、台紙面に輪郭形成されている抜き刃の跡により表面紙層が破れ易くなっていて、絵本を開く際に、結合材料が台紙シート表面層と共に破れて剥がれてしまう問題があった。
【0006】
なお、このようなパズル付き合紙絵本に関連する先行技術として、特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。特許文献1はジグソーパズル付き絵本に関するが結合材料の使用については記載していない。特許文献2、特許文献3は絵本にマジックテープを使用する例を記載しているが、本願のようにその取り付け構造については記載していない。
【0007】
【特許文献1】実開平6−17798号公報
【特許文献2】実開平5−37299号公報
【特許文献3】実開平5−41850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、結合材料が台紙シート表面層と共に破れて剥がれてしまう場合には、その後の絵本の外観を著るしく悪くすることになる。ピースの脱落防止効果が無くなるのももちろんのことである。また、本来そのような絵本は購買意欲を減退させるので、出版人も絵本の製造を中止または断念することになる。
そこで、本願発明者は、上記のようにジグソーパズル等のピースを脱落させない効果を有すると共に絵本の体裁を損ねる問題の生じない結合材料の取り付け構造を研究して本発明の完成に至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、パズルシートと台紙シートからなる紙葉の組を複数枚合紙したパズル付き合紙絵本であって、各パズルシートと、それに対面するシートの間を閉じた状態に保持するために、見開いた際の小口側縁辺部分及び/又は天地側縁辺部分とそれに対面するシートの当接部の双方に、シート間結合材料を取り付けしたパズル付き合紙絵本において、当該結合材料取り付け部を形成する開口の底面に位置する台紙シートには、当該開口を打ち抜きした抜き跡が形成されないようにしたことを特徴とするパズル付き合紙絵本、にある。
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、パズルシートと台紙シートからなる紙葉の組を複数枚合紙したパズル付き合紙絵本の製造方法であって、(1)印刷済みのパズルシートと台紙シートを準備する工程、(2)パズルシートの絵本にした際の小口側縁辺部分及び/又は天地側縁辺部分とそれに対面するシートの当接部の双方に、シート間結合材料の大きさを有する開口を抜き刃により型抜きする工程、(3)(2)と同時の工程または別の工程で、パズルシートの各ピースの形状および額縁輪郭形状を抜き刃により型抜きする工程、(4)前記開口を型抜きしたパズルシートと台紙シートを部分糊で接着する工程、(5)前記開口と同等の形状を有する結合材料の底面に接着剤を塗布し、当該開口に充填し、台紙シートに対して結合材料を該接着剤により固定する工程、の各工程を含むことを特徴とするパズル付き合紙絵本の製造方法、にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパズル付き合紙絵本は、パズル絵本が不用意に開いて、ジグソーのピースが脱落しないように各ページの小口側縁辺等に結合材料が取り付けられているが、結合材料を嵌め込みする開口の抜き跡が台紙シートに達しないようにされているので、絵本を開く際に台紙シートが破損して、結合材料が剥がれてしまうようなことが生じない。
従って、パズル付き合紙絵本をいつまでも長期間、体裁良く使用することができる。
本発明のパズル付き合紙絵本の製造方法は、上記のうようなパズル付き合紙絵本を生産性良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、ジグソーパズルを例として説明するが、パズルの内容はジグソーパズルにかぎらず、同様な構成を有する絵本であってもよいものである。
図1は、本発明のパズル付き合紙絵本を示す斜視図、図2は、パズル付き合紙絵本の断面図、図3は、結合材料の取り付け部構造を示す断面図、図4、図5は、結合材料の種類を示す図、図6は、結合材料の取り付け位置を示す図、図7は、パズル付き合紙絵本の製造工程のフローチャート、図8は、従来の製造工程のフローチャート、である。
【0013】
本発明のパズル付き合紙絵本1は、図1(A)の斜視図に示すようにその外観自体は、従来のパズル付き合紙絵本と同様のものである。
パズル付き合紙絵本1は、図1(A)のように複数枚のジグソーシート2が合紙されて、一冊の絵本を構成している。見開いたジグソーシート2の表面には絵柄3が印刷され、額縁4部分を除く内部の絵柄が不定形の形状に打ち抜かれて、ジグソーピースp1,p2,・pnを構成している。各ジグソーピースの打ち抜き形状は任意であるが、図1(B)のように、屈曲した四辺の各辺に入り込んだ凹凸形状を有するような形状のものが多い。組み合わせして完成したシートを傾けたり、あるいは裏返しにしても簡単にはバラバラにならない状態が好ましいからである。
【0014】
ジグソーシート2は、組み合わせるピース部分を有するパズルシート21とピースpを嵌め込みする底面からなる台紙シート22の厚板紙から構成されている。台紙シート22のピースpが嵌め込まれる面22aは白紙であっても構わないが、各ピースと同一の絵柄が印刷されていれば、絵柄の組み立てが容易になり、見た目にも楽しいので通常はパズルシートと同一の絵柄が印刷されている。結合材料5は、小口6側縁辺の額縁4部に楕円形等の開口を設け、その中に埋め込まれているが、取り付け位置は天地側の縁辺でもよく、小口と天地側の両方に設けてもよい。見開いたジグソーシート2の結合材料5が当接する他方側面7にも結合材料5が取り付けられ、両シートを閉じた場合は、結合して絵本が開かないようにされている。
見開いた他方側面7もジグソーシートであっても構わないが、あまりパズルが盛り沢山にならないようにするため、通常、他方側面7は絵本の続きの図柄や物語のストーリが単に印刷されている。図中の構成要素12は、ピースpを取り出し易くするための切り欠きである。
【0015】
パズル付き合紙絵本1の中ページの紙葉は、図2の断面図のように、台紙シート22の2枚を全面貼り合わせて中心層とし、その両面にパズルシート21の2枚が部分糊で接着されている。部分糊とは額縁4部分のみを接着する意味である。
パズルシート21と台紙シート22からなる紙葉の組を複数枚合紙した後、表紙8を貼り付けする。表紙8は絵本の前後面のパズルシート21f、21bと貼り合わせするが、絵本の背部10部分は糊付けしないようにする。背固めすると絵本が自在に開かなくなってしまうからである。
【0016】
図3は、結合材料の取り付け部構造を示す断面図であって、図1のA−A線断面に相当する。部分糊で接着したパズルシート21と台紙シート22からなるジグソーシート2のパズルシート21面に開口9を形成し、当該開口9内に裁断した結合材料5の下面に接着剤11を塗布して(あらかじめ塗布されている材料もある。)から充填し、台紙シート22に固定する。従来法の場合、開口9の輪郭に沿って台紙シート22側にも打ち抜き刃の跡が入るため紙層が弱くなる問題があったが、本発明のパズル付き合紙絵本では、パズルシート21を打ち抜いてから台紙シート22と部分糊貼り合わせをするので、そのような問題を生じることがない。
【0017】
結合材料5には、前記のようにマジックテープ(商標)や磁石が使用される。マジックテープは係合布と係止布の組み合わせ、または面ファスナーともいうが、以下、その各種を図4に表示する。
図4(A)は、フックとループからなるもので、上面にループシート5aがあり、下面にフックシート5bがある。上下面シートを圧着すると、ループがフックに引っかかって結合状態になる。同じ面に、フックとループを交互に並べたものも市販されている。
図4(B)も、フックとループからなるものであるが、上面にループシート5cがあり、下面にマッシュルーム形状のフックシート5dがある。上下面シートを圧着すると、同様に結合状態になる。フック形状を矢尻状にして結合を強くしたタイプもある。
マジックテープには、ナイロンやポリエステル製のものがあり、下面に粘着剤や再活性型接着剤を塗布したもの等もある。合紙絵本のためには適度の結合強度のものを選択して使用すればよい。各テープは、開口9面から、ループやフックの先端が僅かに(0.5〜1.5mm程度)突出するようにするのが強い結合力が得られる。これらは、テープの厚みの選択や接着剤の塗布厚みにより調整できる。
【0018】
図5は、磁石5eからなるもので、S極とN極を有する永久磁石の微小なものを上下の開口内に、S極とN極が対面するように取り付けする。いずれか一方側は磁石に替えて単に、鉄板を使用するものであっても構わない。ゴム磁石と鉄板の組み合わせでもよい。
各磁石等は平板状のものとし、テープと同様に開口9から僅かに(0.1〜1.0mm程度)突出するようにする。
【0019】
図6は、絵本を閉じた状態で小口側から見た図である。結合材料5をジグソーシート2の各シートに多段に設ける場合は、図6のように、絵本の縁辺部であって、小口の中心線Cに対して左右に振り分けるように取り付けするのが好ましい。結合材料5が中心線C部分に集中すると、当該部分において絵本の厚みが厚くなり過ぎたり、ジグソーシート2が上下面から打ち抜かれて紙層が弱くなる問題が生じるからである。連続する上下ページ間における結合材料5の埋め込み位置は、図6のように交互に左右にずらすか、あるいは小口部分と天地部分に交互に分配して配置するようにすることもできる。
【0020】
次に、本発明のパズル付き合紙絵本の製造方法について、従来法と対比して説明する。
図8は、従来の製造工程、図7は、本発明の製造工程、を示すフローチャートである。従来、このようなパズル付き合紙絵本の製造は、図8のように、(1)印刷工程、(2)パズルシートと台紙シートの部分糊接着工程、(3)型抜き工程、(4)合紙絵本工程、(5)表紙貼り工程、(6)断裁・角丸工程、の工程で製造されるのが通例である。
【0021】
(1)印刷工程は、パズルシートと台紙シートに絵柄を印刷する工程である。台紙シートはパズルシートの各ピースが嵌め込みされる底面シートとなる部分であるが、前記のようにパズルシートと同じ絵柄が印刷されることが多い。
(2)パズルシートと台紙シートの部分糊接着工程は、両シートの額縁となる部分の面間に糊を塗工して接着する工程である。
(3)型抜き工程は、パズルシートの各ピースの形状と額縁の形状を型抜きする工程である。この際、前記の結合材料のための開口9や切り欠き12も同時に型抜きする。型抜きは型抜き用の刃型を用い、接着したパズルシート21と台紙シート22の組みのパズルシート面から台紙シートの表面に達する深さに刃を入れるようにする。従って、台紙シート面にも浅い深さではあるが各ピースの形状や開口の形状が形成される。
【0022】
(4)合紙絵本工程は、図2のように、台紙シート22と台紙シート22間を全面糊で接着した後絵本の形態に合紙する工程である。
(5)表紙貼り工程は、図2のように、表紙8を貼り付けする工程である。表紙8は、前記のように、背部10が固定されないようにして見開きを容易にする。
(6)断裁・角丸工程は、絵本の三方断裁と表紙の角部分に丸みを付ける加工を行う工程のことである。
最後に、先に形成した開口9内に結合材料に接着剤を塗布し台紙シート面に固定する。
【0023】
従来法は、上記のように、開口9の型抜きをパズルシート21と台紙シート22の部分糊接着の後に行うので、台紙シート22にも抜き刃の輪郭が残る問題があった。また、台紙シート22に抜き型跡が残らないように、開口部の刃高を調整する場合にはパズルシート21が完全に抜けない場合が生じるので、台紙シートにも抜き型跡が残る程度に打ち抜くのは止むを得ない事情であった。この抜き跡が台紙シート22を破損し易くし、結合材料の固定を弱くしていた。
【0024】
本発明の製造方法では、この工程を図7のように、(1)印刷工程、(2)パズルシート型抜き工程、(3)パズルシートと台紙シートの部分糊接着工程、(4)結合材料接着工程、(5)合紙絵本工程、(6)表紙貼り工程、(7)断裁・角丸工程、とすることで、上記課題を解決するものである。
【0025】
(1)印刷工程は、従来法と同一であって、印刷済みのパズルシートと台紙シートを準備する工程である。
(2)型抜き工程は、従来法と同様であるが部分糊工程の前に行う特徴がある。従来法と同様に、ジグソーシートの各ピースの形状と額縁の形状を型抜きすることの他に、パズルシートの絵本にした際の小口側縁辺部分及び/又は天地側縁辺部分とそれに対面するシートの当接部の双方に、シート間結合材料の大きさを有する開口9を抜き刃により型抜きすること、を行う。開口9の型抜きと各ピースの形状等の型抜きは、通常同時の工程で行うが、別工程で行ってもよい。
ジグソーシートの各ピース間を完全に切り離すように打ち抜きすると、後の部分糊工程でピースの脱落が生じ易いので、簡単に切り取りできる程度にピース間の接続部を残しておいてもよい。
【0026】
(3)パズルシートと台紙シートの部分糊接着工程は、前記開口を打ち抜きしたパズルシート21と台紙シート22を部分糊で接着する工程である。
(4)結合材料接着工程は、前記開口9と同等の大きさ、形状を有する結合材料5を準備し、その底面に接着剤11を塗布し、当該開口9内に充填し、台紙シート22に対して結合材料を該接着剤により固定する工程である。
(5)合紙絵本工程、(6)表紙貼り工程、(7)断裁・角丸工程、は従来法と同一の工程である。なお、(4)結合材料接着工程は、断裁・角丸工程の後に行ってもよい。
【実施例】
【0027】
パズルシートと台紙シートの双方の用紙として、厚み1.0mmの厚板紙(北越製紙株式会社製「ハイクリーンコート」)を使用し、双方の片面に、ジグソーパズル絵柄をオフセット印刷した。ジグソーのあるパズルシート21の対面する面は、絵柄のみのシート面となるようにした。次いで、パズルシート21面に額縁4の輪郭形状と各ジグソーピースpの形状と開口9の形状を抜き刃型を用いて打ち抜きした。開口9は絵本にした際の小口側縁辺に長辺が15mm、短辺が7mmの楕円形になるように打ち抜きした。
ただし、表紙と見返し間、裏表紙と見返し間には、ジグソーを設けなかったので、結合材料の取り付けはしなかった。開口9の中心位置は、絵本の小口側中心線Cに対して、左側10mm、右側10mm、左側10mm、・・の交互の位置関係になるように、各ページ間の開口形成位置を調整した。
【0028】
パズルシート21と台紙シート22を額縁4の部分のみ部分糊して接着してパズルシートの組みとした後、各パズルシートの組みを台紙面間で接着する合紙絵本工程を行った。一冊の絵本に4枚のジグソーシート2が含まれるようにした。最後に表紙8を貼り付けしてから、断裁・角丸工程を行った。仕上がった絵本は、横160mm、幅150mm、厚み15mmのものとなった。
【0029】
結合材料5として面ファスナーを用いた。これには、クラレ株式会社製の「マジックテープ(商標)」であってナイロン製の一般フックとループの標準品(厚み;2.0mm)を使用した。結合材料を開口9の内寸の形状に打ち抜きした後、下面に酢酸ビニル系水性接着剤を塗布してから開口9内に充填して、台紙シート22に接着固定した。接着剤の塗布厚みが0.2mm程度なので、接着後は、テープのフックまたはループの先端が紙表面から、1.2mm程度突出する状態となった。
【0030】
以上により完成したパズル付き合紙絵本は、結合材料の取り付け構造が強固にできているため、結合部の開閉を繰り返し行っても、従来品のように台紙シートの破損を生じることがなかった。また、適度の結合強度が得られ、シート間を開くことが困難になったり、逆にページ間が自然に開いて、ピースが脱落するような問題を生じなかった。
【0031】
本発明の実施形態については、以上のように、ジグソーパズルを例として説明しているが、ジグソーパズルにかぎらず、内部に絵本本体から分離した部品、または分離し易い部品等を含む同様の構成のパズル絵本にも適用できるのは当業者には自明のことである。
部品や飛び出す絵柄等を含む絵本も飛び出し絵柄部分と台紙シートを合紙して製造する場合には、結合部材の取り付け部を同様の構造にする必要があり、また、絵本を閉じた際に、部品や絵柄が飛び出したり、剥がれて脱落しないようにする必要があるからである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のパズル付き合紙絵本を示す斜視図である。
【図2】パズル付き合紙絵本の断面図である。
【図3】結合材料の取り付け部構造を示す断面図である。
【図4】結合材料の種類を示す図である。
【図5】結合材料の種類を示す図である。
【図6】結合材料の取り付け位置を示す図である。
【図7】パズル付き合紙絵本の製造工程のフローチャートである。
【図8】従来の製造工程のフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 パズル付き合紙絵本
2 ジグソーシート
3 絵柄
4 額縁
5 結合材料
6 小口
7 他方側面
8 表紙
9 開口
10 背部
11 接着剤
12 切り欠き
21 パズルシート
22 台紙シート



【特許請求の範囲】
【請求項1】
パズルシートと台紙シートからなる紙葉の組を複数枚合紙したパズル付き合紙絵本であって、各パズルシートと、それに対面するシートの間を閉じた状態に保持するために、見開いた際の小口側縁辺部分及び/又は天地側縁辺部分とそれに対面するシートの当接部の双方に、シート間結合材料を取り付けしたパズル付き合紙絵本において、当該結合材料取り付け部を形成する開口の底面に位置する台紙シートには、当該開口を打ち抜きした抜き跡が形成されないようにしたことを特徴とするパズル付き合紙絵本。
【請求項2】
結合材料が、面ファスナーもしくは磁石であることを特徴とする請求項1記載のパズル付き合紙絵本。
【請求項3】
パズルシートが、ジグソーシートであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のパズル付き合紙絵本。
【請求項4】
パズルシートと台紙シートからなる紙葉の組を複数枚合紙したパズル付き合紙絵本の製造方法であって、
(1)印刷済みのパズルシートと台紙シートを準備する工程、
(2)パズルシートの絵本にした際の小口側縁辺部分及び/又は天地側縁辺部分とそれに対面するシートの当接部の双方に、シート間結合材料の大きさを有する開口を抜き刃により型抜きする工程、
(3)(2)と同時の工程または別の工程で、パズルシートの各ピースの形状および額縁輪郭形状を抜き刃により型抜きする工程、
(4)前記開口を型抜きしたパズルシートと台紙シートを部分糊で接着する工程、
(5)前記開口と同等の形状を有する結合材料の底面に接着剤を塗布し、当該開口に充填し、台紙シートに対して結合材料を該接着剤により固定する工程、
の各工程を含むことを特徴とするパズル付き合紙絵本の製造方法。
【請求項5】
結合材料が、面ファスナーもしくは磁石であることを特徴とする請求項4記載のパズル付き合紙絵本の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−129889(P2006−129889A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318690(P2004−318690)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】