説明

パソコン組込式チェア

【解決手段】病院その他の医療機関において、患者や療養者ごとのチェアにSTBと情報端末とを接続された状態で設置し、前記各STBに一般テレビジョン回線と専用VOD回線を接続するとともに、ポータルサービスシステムソフトを搭載し、前記各情報端末をそれぞれ内部ネットワークで接続する。
【効果】患者や療養者は様々な時間帯においてポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを提供してもらうことができる。従って、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上を図ることができるのみならず、医療機関側の悩みも解消される。例えば、ポータルサービスシステムにより、テレビジョンを見たり、ビデオやゲームなどのコンテンツをオン・デマンド配信(VOD)により楽しむことができ、また、インターネットやメールを利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院その他の医療機関で使用すると極めて好適なチェアに関し、さらに詳しくは、情報端末が設置されているチェアにSTBを取り付けたものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報社会の飛躍的発展に伴って社会生活の中にIT(情報技術)が広く浸透し、病院その他の医療機関においてもIT化が進んでいる。例えば、医師や看護師が携帯する情報端末と患者や療養者のベッドサイドにある情報端末とナースセンターにある親機をネットワークで接続し、各種の情報を共有できるようにしたシステムは、特許文献1をはじめとして多数提案されている。また、このようなネットワークを利用して業務上のサービスを実施し得るようにすることもすでに実施されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−4135号公報(第3〜6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなネットワークシステムは看護業務管理や看護支援のために開発されたものであるから、患者や療養者が医療施設内で感じている不安、緊張を払拭することに適応させ得るものではない。
ところが、医療や療養のために長い間医療施設内にいる者にとっては、それでなくても不安感、緊張感を抱きやすく、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上が望まれている。
例えば、透析治療中においては、ほとんどの患者がすることがなくて退屈と感じており、また、医療施設内では通常携帯電話が使用できないので、メールを利用することができないという不便やインターネットを利用できないという不便を感じている人も多い。さらに、必要なものを買いに出掛けることもできず、不自由な生活を余儀なくされている場合も多い。
【0005】
このような場合においても患者や療養者がテレビジョンを見ることができるのはもちろんのこと、ビデオやゲームなどのコンテンツをオン・デマンド配信(VOD)により楽しむことができ、また、インターネットやメールを利用することができるようなサポートシステムが構築されておれば、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上に寄与することができるのみならず、医療機関の悩みを解消することができる。
【0006】
このように、病院その他の医療施設内での生活では、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上が強く望まれており、その一方で医療機関側にとってもそれが悩みの1つになっている。
このような状況下において、患者や療養者の要望と医療機関側の悩みを解消し得るサポートシステムが構築されており、患者や療養者の要望と医療機関側の悩みを解消し得るポータルサービスが患者や療養者ごとに実行できれば、上記課題を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような要望に応えることのできるチェアを開発することを目的とするものであって、病院その他の医療機関において、患者や療養者ごとのチェアにSTBと情報端末とを接続された状態で設置し、前記各STBに一般テレビジョン回線と専用VOD回線を接続するとともに、ポータルサービスシステムソフトを搭載し、前記各情報端末をそれぞれ内部ネットワークで接続したことを特徴とするものである。
このチェアを利用した場合には、患者や療養者は様々な時間帯においてポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを提供してもらうことができる。従って、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上を図ることができるのみならず、医療機関側の悩みも解消される。
【0008】
例えば、ポータルサービスシステムソフトのメニューが、テレビジョン観賞、ビデオ及びゲームなどのコンテンツをオン・デマンド配信(VOD)でき、さらに、インターネットやメールを利用できる場合には、テレビジョンを見ることができるのはもちろんのこと、ビデオやゲームなどのコンテンツをオン・デマンド配信(VOD)により楽しむことができ、また、インターネットやメールを利用することができる。従って、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上に大きく寄与することができるのみならず、医療機関側の悩みも解消される。
【0009】
上記の場合において、チェアにSTBが直接取り付けられているので、極めてコンパクトになる。また、チェアに直接取り付けられているSTBに一般テレビジョン回線と専用VOD回線が接続されているので、それらをSTBから外すとともに、主電源用のコードをコンセントから外すだけでSTB機器のコード類を外すことなくチェアを移動できる。
【0010】
チェアサイドの情報端末として、タッチパネル式のテレビジョンモニタを用いることができる。この場合には、患者や療養者のそばにあるタッチパネル式のテレビジョンモニタの画面に触れることにより、ポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを容易に提供してもらうことができる。例えば、テレビジョン受信の操作やビデオやゲームの操作、インターネット画面やメール画面への変更を容易に実施できる。
【0011】
チェアサイドの情報端末を、個々にアプリケーションを実行し得るように構成しておくとよい。この場合には、個々のアプリケーションにより、ポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを提供してもらうことができる。例えば、テレビジョン受信を行うアプリケーションにより、テレビジョンを観賞することができ、ビデオやゲームを実行させるアプリケーションにより、テレビジョンモニタでビデオを観賞し、ゲームを行うことができる。さらに、インターネットやメールを実行させるアプリケーションにより、インターネットやメールを楽しむことができる。
【0012】
情報端末には、ICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報を読み取るリーダ/ライタが接続されていることが望ましい。この場合には、患者や療養者のそばにある情報端末に接続されているリーダ/ライタにICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報をかざすことにより、それぞれのサービスの利用とサービス利用後の決済とを行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のチェアを利用した場合には、患者や療養者は様々な時間帯においてポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを提供してもらうことができる。従って、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上を図ることができるのみならず、医療機関側の悩みも解消される。
【0014】
また、請求項1記載のチェアを利用した場合には、チェアにSTBが直接取り付けられているので、極めてコンパクトになるのみならず、チェアに直接取り付けられているSTBに一般テレビジョン回線と専用VOD回線が接続されているので、それらをSTBから外すとともに、主電源用のコードをコンセントから外すだけでSTB機器のコード類を外すことなくチェアを移動できる。
【0015】
請求項2記載のチェアを利用した場合には、患者や療養者のそばにあるタッチパネル式のテレビジョンモニタの画面に触れることにより、ポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを容易に提供してもらうことができる。
【0016】
請求項3記載のチェアを利用した場合には、個々のアプリケーションにより、ポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを提供してもらうことができる。
【0017】
請求項4記載のチェアを利用した場合には、患者や療養者のそばにある情報端末に接続されているリーダ/ライタにICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報をかざすことにより、それぞれのサービスの利用とサービス利用後の決済とを行うことができるので、極めて便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここに示すパソコン組込式チェアは、リクライニング式のチェアであって、図示してないモータにより背もたれを適宜の角度に変更することができ、ベッドのように水平状態にして用いることもできる。また、図示してないモータにより座部を昇降させることもできる。
【0019】
このチェアは病院その他の医療機関で使用すると極めて好適で、患者や療養者ごとのチェア、特に、透析用のチェアに用いると最適なものである。しかしながら、それらの用途のみに限定されるものではなく、いわゆる多目的チェアとして利用できる。
このチェアBには図3に示すようにSTBと情報端末Aとが接続された状態で設置されている。そして、前記各STBには一般テレビジョン回線Cと専用VOD回線Dとが接続してあり、さらに、各STBにはポータルサービスシステムソフトが搭載されている。
チェアサイドにある患者や療養者用の各情報端末A,Aは、それぞれ内部ネットワークで接続されている。ただし、図3では、便宜上1台のチェアBのみが接続された状態が示されている。
【0020】
前記内部ネットワークは、チェアサイドにある患者や療養者用の情報端末Aと、ナースセンターに設置されている情報端末Eと、医師・看護師等医療機関に従事する者用に設置されている情報端末Fと、前記専用VOD回線Dに接続されているサーバーGとで構成されており、サーバーGを介して情報端末A、情報端末E、情報端末Fが互いに通信可能になっている。そして、この内部ネットワークはインターネットHに接続してある。
【0021】
STB(セットトップボックス)は様々なサービスを受けられるようにするための機器であり、パソコンで構成することができる。このSTB2は、図1及び図2に示すようにカバー1内の取付フレーム4に固定用ベルト3で取り付けられ、カバー1内に収納されている。カバー1は合成樹脂製とすることができる。取付フレーム4はチェア本体フレーム5にボルトで固定されている。そして、STB2には主電源用のコードfが接続されており、このコードfから電源タップ13を介して電源タップコードgが延び出させてある。
【0022】
一方、患者や療養者用の前記情報端末Aとして、タッチパネル式のテレビジョンモニタを用いることができる。タッチパネル式のテレビジョンモニタ11はテーブル付きとすることができる。このテレビジョンモニタ11と前記STB2とは、モニタケーブルa,b,e(図1の場合)で、あるいは、モニタケーブルa,c’,e(図2の場合)で接続されている。なお、図1、図2において、符号8はテレビジョンモニタ11固定用のフレームである。
【0023】
STB2に搭載されているポータルサービスシステムソフトとしては、例えば、テレビジョン観賞、ビデオ及びゲームなどのコンテンツをオン・デマンド配信(VOD)でき、さらに、インターネットやメールを利用できるメニューを備えているシステムソフトを挙げることができる。
【0024】
チェアBに設置されているSTB2にこのシステムソフトが搭載されている場合には、チェアBに座ったままで患者や療養者のそばにあるタッチパネル式のテレビジョンモニタ11の画面を通してテレビジョンを見ることができるのはもちろんのこと、ビデオやゲームなどのコンテンツをオン・デマンド配信(VOD)により楽しむことができ、また、インターネットやメールを利用することができる。従って、患者や療養者のアメニティ環境の向上と医療環境の向上に大きく寄与することができるのみならず、医療機関側の悩みも解消される。
そして、患者や療養者はそばにあるタッチパネル式のテレビジョンモニタ11の画面に触れることにより、ポータルサービスシステムソフトのメニューに沿ったサービスを容易に提供してもらうことができる。
【0025】
図1は、コードレスリモコン仕様のチェアの一例を示す。この場合には、タッチパネル式のテレビジョンモニタ11付近にリモコン受信部・イヤホンジャック12が設けられており、このリモコン受信部・イヤホンジャック12とタッチパネル式のテレビジョンモニタ11とがリモコン・音声ケーブルcで接続されている。従って、コードレス赤外線式のリモコン7を操作するだけでリモコン受信部・イヤホンジャック12を介してタッチパネル式のテレビジョンモニタ11を操作できる。
【0026】
一方、図2は、有線リモコン仕様のチェアの一例を示す。この場合には、有線式のリモコン7’(イヤホンジャック付き)が用いられ、このリモコン7’を操作するだけでタッチパネル式のテレビジョンモニタ11を操作できる。なお、図2における符号b’はリモコンケーブルである。
【0027】
図1、図2に示すチェアBには、いずれもSTB2が直接取り付けられているので、極めてコンパクトになり、チェアBの回りをすっきり綺麗にすることができる。また、図1及び図2に示すチェアBに直接取り付けられているSTB2には、一般テレビジョン回線Cと専用VOD回線Dが接続されているので、それらをSTB2から外すとともに、主電源用のコードfをコンセントから外すだけでSTB機器のコード類を外すことなくチェアBを移動できる。
なお、図1、図2において、符号6は収納ボックスで、余ったコード、ケーブル、アダプター類を収納するためのものである。
【0028】
STB2に搭載されているポータルサービスシステムソフトとして、上記の場合以外に例えばオプションメニューとして、病院その他の医療施設内の案内、医師・スタッフの紹介、患者アンケートなどのメニューを設定しておけば、チェアBに座ったままで患者や療養者のそばにあるタッチパネル式のテレビジョンモニタ11の画面を通してそれらのサービスを容易に提供してもらうことができる。
【0029】
さらに、ここには、タッチパネル式のテレビジョンモニタ11付近に、ICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報(ID情報)を読み取るリーダ/ライタ10が取り付けられた場合が例示されている。なお、図1、図2において、符号9はリーダ/ライタ10を固定するための固定フレーム、dはリーダ/ライタ10用のケーブルである。
このリーダ/ライタ10にICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報(ID情報)をかざすことにより、それぞれのサービスの利用とサービス利用後の決済とを行うことができる。例えば、ICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報(ID情報)に記憶された情報に応じてテレビジョン観賞時間が自動的に制御されるとともに、患者や療養者のそばにあるリーダ/ライタ10でICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報における残りの金額その他の情報を知ることができる。
ICカードは例えば非接触型とすることができる。また、支払機能付きの携帯電話はいわゆるお財布携帯と呼ばれてそれをリーダ/ライタ10にかざすことにより支払うことができるものである。
【0030】
このように、患者や療養者のそばにあるリーダ/ライタ10にICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報をかざすことにより、それぞれのサービスの利用とサービス利用後の決済とを行うことができるので、極めて便利である。
そして、前記内部ネットワークが医療施設外の店舗(例えば、コンビニエンスストア)と接続されており、あるいは、医療施設外の店舗がリーダ/ライタ10で使用可能なICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報を利用できるところであれば、患者や療養者のそばにあるリーダ/ライタ10を通じてショッピングができるので、通常の日常生活とほとんど変わらない病院生活・療養生活を送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のパソコン組込式チェアの一例を示す概略図で、コードレスリモコン仕様の場合の一例を示す。
【図2】本発明のパソコン組込式チェアの一例を示す概略図で、有線リモコン仕様の場合の一例を示す。
【図3】本発明のパソコン組込式チェアを用いた病院その他の医療施設におけるサポートシステムの一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0032】
2…STB、7,7’…リモコン、10…リーダ/ライタ、11…テレビジョンモニタ、B…チェア、a,b,c’,e…モニタケーブル、f…主電源用のコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院その他の医療機関において、患者や療養者ごとのチェアにSTBと情報端末とを接続された状態で設置し、前記各STBに一般テレビジョン回線と専用VOD回線を接続するとともに、ポータルサービスシステムソフトを搭載し、前記各情報端末をそれぞれ内部ネットワークで接続したことを特徴とするパソコン組込式チェア。
【請求項2】
チェアサイドの情報端末がタッチパネル式のテレビジョンモニタである請求項1記載のパソコン組込式チェア。
【請求項3】
チェアサイドの情報端末を、個々にアプリケーションを実行し得るように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のパソコン組込式チェア。
【請求項4】
情報端末には、ICカード、支払機能付きの携帯電話その他の電子マネーシステム情報を読み取るリーダ/ライタが接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパソコン組込式チェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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