説明

パターニングされたフィブリル表面を有するフィルム、ならびにフィルムを製造するための方法および装置

本発明は、その表面から出るフィブリルまたは突起を有するフィルムまたは基材に関する。本発明は、また、そのような基材を製造するための方法、そのような基材を製造するためのデバイス、およびそのような基材の最終用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その表面から出るフィブリルまたは突起を有するフィルムまたは基材に関する。本発明は、また、そのような基材を製造するための方法、そのような基材を製造するためのデバイス、およびそのような基材の最終用途に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1およびシェファー(Schaffer)ら(特許文献1)は、軟性ポリマーフィルムに垂直に印加された電界を用いて、それを、100nmもの小さい長手方向の寸法を有するフィブリルにパターニングすることができることを示している。非特許文献2およびチョウ(Chou)ら(特許文献2、2002年4月11日)は、短いフィブリルを、パターニングされたレリーフ特徴を備えた剛性マスター基材に密に近接させることによって、軟性ポリマーから延在させることができることを示している。本発明は、基材から出るフィブリルのアスペクト比を制御することができるパターニングされた基材、そのような構造を製造するための方法、およびそれらの最終用途を開示する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,391,217B2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0042027 A1号明細書
【非特許文献1】トゥルン−アルブレヒト(Thurn−Albrecht)ら(サイエンス(Science)、vol290,2126、2000年12月15日)
【非特許文献2】チョウ(Chou)ら(アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)、75[7]1004(1999))
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、フィブリル構造を形成するための方法であって、
(a)下部プレート上に取付けられた基材上に第1の流動性媒体を提供し、第1の流動性媒体上に第2の流動性媒体を提供し、第1および第2の流動性媒体が、異なった誘電特性を有し、かつそれらの間の界面を規定し、
(b)場合により、第1の流動性媒体を軟化させ、
(c)場合により、界面に沿って第1の流動性媒体の柱構造を製造するのに十分な時間、界面に電界を印加し、柱構造が、第2の流動性媒体を通って延在し、上部プレートと接触しており、
(d)柱構造が、特定のアスペクト比を有するフィブリル構造に延在されるように、上部プレートおよび下部プレートを互いに対して移動させ、
(e)場合により、第1の流動性媒体から得られたフィブリル構造を後処理する
ことを含んでなる方法に関する。
【0005】
本発明は、さらに、上述された方法によって製造されたフィブリル微細構造に関する。
【0006】
本発明は、さらに、複数の基材上にパターンを製造するための方法であって、複数の基材の各々が、少なくとも1つの下部電極を有し、方法が、
(a)パターンを規定するマスターを提供し、マスターが少なくとも1つの上部電極を含んでなり、
(b)第1の流動性媒体を基材の1つの上に提供し、第1の流動性媒体より上に、少なくとも第2の流動性媒体によって第1の流動性媒体から隔置して、マスターを位置決めし、第1および第2の流動性媒体が、異なった誘電特性を有し、かつそれらの間の界面を規定し、
(c)界面に沿って第1の流動性媒体の構造を製造するのに十分な時間、下部電極の少なくとも1つおよび上部電極の少なくとも1つにわたって電圧を印加し、
(d)上部プレートおよび下部プレートを互いに対して相対的に移動させ、
(e)第1の流動性媒体の長手方向の構造を硬化させて、パターンを形成し、
(f)同じマスターを使用して、基材の付加的なもののために、第1の流動性媒体に関連する提供工程、位置決め工程、印加工程、移動工程、および硬化工程を繰返す
ことを含んでなる方法に関する。
【0007】
本発明は、さらに、
(a)場合により金属材料または導電性材料でコーティングされた、基材として作用する下部プレートと、
(b)基材上の第1の流動性媒体と、
(c)場合により、異なったレリーフ高さおよび/またはパターニングされた導体金属でパターニングされた、上部プレートとしての、場合により導電性の頂部電極と、
(d)上部プレートと下部プレート上の第1の流動性媒体との間の第2の流動性媒体を含んでなる間隙と、
(e)場合により外部印加電圧と
を含んでなる、フィブリル構造を製造するためのデバイスであって、
上部プレートおよび下部プレートが、互いに対して移動することができる、デバイスに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
「フィルム」とは、上にフィブリルが形成され、一般に第1の流動性媒体から形成されるワークピースを意味する。
【0009】
「基材」とは、存在するとき、上にフィルムおよびフィブリル構造が形成される加工表面を意味する。基材として働く別個の表面がない状態でも、フィルムをパターニングしてもよい。
【0010】
「下部プレート」とは、上にフィルム(第1の流動性媒体)が最初に配置される、2プレートシステムのプレートまたは電極を意味し、一般に下部プレートである。下部プレートは、基材として作用することができる。
【0011】
「上部プレート」とは、2プレートシステムの下部プレートでなく、一般に頂部側にあり、フィブリル微細構造を製造するための方法の開始時に一般にフィルム(第1の流動性媒体)でコーティングされていないプレートまたは電極を意味する。
【0012】
好ましい2プレートシステムは、キャパシタタイプシステムである。
【0013】
「第1の流動性媒体」とは、下部プレート上に配置され、一般にフィブリル構造が得られるフィルムを意味する。フィブリルが得られる材料またはフィルムのベースは、基材として作用することもでき、すなわち、典型的な基材がない状態でフィブリル構造をパターニングすることができる。
【0014】
「第2の流動性媒体」とは、第1の流動性媒体と上部プレート(または上部プレート上のコーティング)との間の液体、気体、または真空を意味する。
【0015】
「柱構造」とは、たとえば、電界の印加後であるが、一般にフィブリルまたは柱の所望のアスペクト比が得られる前に、フィルムまたは基材表面上に生成された第1の流動性媒体から得られる柱を有するフィルムまたは基材を意味する。
【0016】
「プレートの相対移動」とは、下部プレートが静止している間に上部プレートが移動することができるか、上部プレートが静止している間に下部プレートが移動することができるか、上部プレートおよび下部プレートが同時にまたは互いに独立して移動することができることを意味する。この移動は、プレートに対して軸方向、すなわち、プレートの平面に対して垂直方向、またはプレートの垂直軸に対してある角度であることができる。それは、また、プレートを、互いに通り過ぎて、たとえば剪断タイプ運動で、摺動することができることを意味することができる。プレートの振動運動、垂直軸方向または角度方向のパルス運動も可能である。これらの運動の組合せも、2つのプレートの相対運動に含めることができる。
【0017】
「フィブリル構造」とは、下部プレートまたは上部プレートを互いに対して移動させ、いかなる他の任意の後処理をフィブリルおよび基材またはフィルムに行った後、第1の流動性媒体から得られるフィブリルを備えたフィルムまたは基材を意味する。
【0018】
「長手方向の」とは、フィブリルの最長寸法、または最長寸法の方向を意味する。各フィブリルは、2aの特徴的な幅と、長さ(「L」)とを有する。フィブリルの特徴的な幅は、フィブリル断面積の、その重心を中心とする回転半径の最小値の4倍と定義する。その重心を中心とする回転半径の最小値を定めるための方法は、応力および歪みのためのロアークの式(Roark’s formulae for stress and strain)、第6版、第5章、ウォレン・シー・ヤング(Warren C. Young)、マグローヒル(McGraw−Hill)、1989(これを、あらゆる目的のため、本明細書の一部として援用する)などのソースから当該技術において知られている。フィブリルの長さは、フィブリルの自由端から、基材へのその付着の平面まで測定される。フィブリルの特徴的な幅の半分であるaの適切な値は、約2ナノメートルから約25,000nmの範囲内、好ましくは約25ナノメートルから約25,000nmの範囲内であってもよい。Lの適切な値は、約20ナノメートルから約1,000000nmの範囲内、好ましくは約50nmから約5,000nmの範囲内であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態は、フィブリルの長手方向の寸法が、約20nmから約20,000nm、好ましくは約50nmから約5000nmの範囲内であるフィブリル構造を開示している。
【0020】
本発明の別の実施形態において、ブラシ状フィブリル構造を生成するためのデバイスを開示する。そのようなデバイスは、
(a)場合により金属材料または導電性材料でコーティングされた、基材または基材上のフィルム、たとえば、シリコンベースのウェーハまたは任意の他の固体支持体として作用する下部プレートと、
(b)第1の流動性媒体、たとえば、たとえば処理可能なポリマー[たとえば、ポリ(メチルメタクリレート)、「PMMA」]から、任意の所望の厚さ、典型的には約100,000nm未満で準備されたフィルムであって、フィルムが、たとえば、溶液からスピンコーティングするか、基材上にそのようなポリマーを溶融するか、基材上にポリマーを粉末コーティングするか、基材上にポリマーを焼結することによって基材上に付与される、第1の流動性媒体と、
(c)好ましくは異なったレリーフ高さおよび/またはパターニングされた導体金属でパターニングされた、上部プレートとしての、場合により導電性の頂部電極であって、間隙(約50,000nmまで)が上部プレートと第1の流動性媒体との間に存在し、間隙が第2の流動性媒体を含んでなる、頂部電極と、
(e)場合により、配列全体をキャパシタに変換する外部印加電圧であって、典型的な電圧が50Vであり、これは、間隙に基いて、所望の電圧勾配を維持するように調整することができる、外部印加電圧とを含む。
【0021】
フィルムの材料は、好ましくは誘電体ポリマーであるが、局所的な接着力に曝すことができ、かつ加熱または膨張などの方法によって変形可能な状態にすることができる、金属および半導体を含む他の材料も使用することができる。局所的な接着力または分離力は、静電荷によって自己発生した外部電界によって供給することができるか、ファン・デル・ワールス接着によって自然に生じることができる。実際には、フィルムのパターン形成は、拘束された変形可能な材料が、その表面に垂直な接着力に曝されたときに発生する一般的な現象である(エー・ガタク(A. Ghatak)、エム・ケイ・チャウドゥーリ(M. K. Chaudhury)、エー・シャルマ(A. Sharma)、ブイ・シェノイ(V. Shenoy).フィジックス・レビュー・レターズ(Physics Review Letters)、2001、エー・ガタク(A. Ghatak)、エム・ケイ・チャウドゥーリ(M.K. Chaudhury)、ラングミュア(Langmuir)2003)
【0022】
本発明の別の実施形態は、そのようなフィブリル構造を生成するための方法を開示する。一実施形態において、そのようなフィブリル構造は、下部プレート上の少なくとも1つのフィルムまたは基材を、平行プレートキャパシタ内に生じたような外部印加電界に曝すことによって製造される。外部印加電界は、フィルムの物質移動を引起すフィルムの力を生じさせ、それにより、柱構造を製造する。パターンの解像度(resolution)は、電界の大きさ、および誘電率、表面エネルギー、およびフィルムの粘度による。パターンは、たとえばキャパシタのパターニングされた電極を使用することによって、電界を空間的に制御することによって、さらに特定することができる。パターンは、また、フィルムの表面エネルギーを空間的に変えることによってさらに特定することができる。
【0023】
一般に、方法は、基材または下部プレート上に第1の流動性媒体を提供し、場合により、第1の流動性媒体上に第2の流動性媒体を提供する工程を含む。第1および第2の流動性媒体は、異なった誘電特性を有し、かつそれらの間の界面を規定する。方法は、さらに、界面に沿って第1の流動性媒体の柱構造を製造するのに十分な時間、界面に電界を印加する工程を含む。その後、下部プレートを、所望の速度で上部プレートに対して移動させ、柱構造を引伸ばして所望のアスペクト比のフィブリル構造にする。最後に、必要ないかなる後処理、たとえば、フィブリル構造の硬化を行う。本発明の実施形態は、次の特徴のいずれかを含むことができる。
【0024】
たとえば、第1の流動性媒体は液体であることができ、第2の流動性媒体は、別の液体、または任意の圧力における気体であることができる。第2の流動性媒体は、また、真空、または非常に低い圧力における気体であることができる。さらに、フィブリル構造の硬化は、第1の流動性媒体から生じるフィブリル構造の化学反応を開始すること、第1の流動性媒体から生じるフィブリル構造を重合すること、第1の流動性媒体から得られたフィブリル構造のポリマーまたはオリゴマーを架橋すること、第1の流動性媒体が結晶性ポリマーである場合に第1の流動性媒体から生じるフィブリル構造を結晶化すること、またはフィブリル構造のこれらの後処理のいずれかの組合せを含むことができる。
【0025】
一例において、第1の流動性媒体としてのポリマーフィルムを、十分に軟性になるまで、典型的にはガラス転移より高く加熱し、電界を印加して、ポリマーの表面に垂直な力を生じさせる。非圧縮性であるため変形することができず、ポリマー表面は不安定になり、これは、電気流体力学的不安定性などによって、ポリマーフィルムの表面上の柱構造の形成をもたらす。これらのピラーの配置およびパターンは、頂部電極または上部プレートをパターニングすることによって制御することができる。
【0026】
「横方向の」とは、プレートの平面に平行な方向を意味する。選択されたパターニングされた構造を作るために、電界の印加は、界面に沿って電界の強度を横方向に変えて、構造を規定することを含むことができる。さらに、方法は、基材または下部プレートに、横方向に変わる表面エネルギーを与えて、構造をさらに規定する工程を含むことができる。あるいは、方法は、界面に沿って電界の強度を横方向に変えることなく、基材または下部プレートに、横方向に変わる表面エネルギーを与えて、構造をさらに規定する工程を含むことができる。
【0027】
基材は、下部プレートを含むことができ、電界の印加は、下部プレート(下部電極としても知られている)および上部プレート(上部電極としても知られている)にわたって、電圧を印加することを含むことができ、上部プレートは、少なくとも第1および第2の流動性媒体によって下部プレートから隔置される。さらに、界面に沿って電界の強度を横方向に変えるために、方法は、上部電極および下部電極の少なくとも1つが、プレート間の横方向に変わる分離を規定する形態を有することができること、上部プレート(電極)および下部プレート(電極)の少なくとも1つが、異なった導電性を有する複数の横方向の領域を含むことができること、基材が、下部プレートと第1の流動性媒体との間に位置決めされた非導電性材料層を含むことができ、非導電性材料層が、異なった誘電特性を有する複数の横方向の領域を含むことのいずれかを伴うことができる。さらに、基材は、複数の独立して扱うことができる下部電極を含むことができ、および/または、複数の独立して扱うことができる上部電極があることができ、それにより、界面に沿って電界の強度を横方向に変えることができる。たとえば、外部電界の印加は、下部プレートまたは電極の1つもしくはそれ以上と、上部プレートまたは電極の1つもしくはそれ以上との間の、複数の電位差を生じさせることを含むことができる。
【0028】
より一般的には、基材が下部プレートまたは電極を含むとき、基材は、下部プレートまたは電極と第1の流動性媒体との間に位置決めされた非導電性材料層を含むことができる。さらに、上部電極は、非導電性材料層によって第2の流動性媒体から隔置することができる。その非導電性材料層は、界面に沿って電界の強度を横方向に変えるために、異なった誘電特性を有する複数の横方向の領域を含んでもよい。
【0029】
方法は、上部電極および第2の流動性媒体を、硬化された長手方向の構造から分離して、パターニングされたフィルムを現す工程をさらに含むことができる。また、方法を繰返して、基材上に複数のパターニングされたフィルムを形成することができる。
【0030】
さらに、方法を、マイクロリソグラフィに使用することができる。たとえば、パターニングされたフィルムは、基材またはフィルムの選択された領域を露出することができ、方法は、各露出領域で基材またはフィルムの層を除去する工程をさらに含むことができる。また、パターニングされたフィルムは、基材の選択された領域を露出することができ、方法は、基材の各露出領域で材料層を堆積させる工程をさらに含むことができる。別の態様において、本発明は、方法によって製造されたパターニングされたフィルムを特徴とする。
【0031】
一般に、別の態様において、本発明は、複数の基材上にパターンを製造するための方法を特徴とする。複数の基材の各々は、少なくとも1つの下部プレートまたは電極を有する。方法は、パターンを規定するマスターを提供し、マスターが少なくとも1つの上部プレートまたは電極を含んでなり、第1の流動性媒体を基材の1つの上に提供し、第1の流動性媒体より上に、少なくとも第2の流動性媒体によって第1の流動性媒体から隔置して、マスターを位置決めし、第1および第2の流動性媒体が、異なった誘電特性を有し、かつそれらの間の界面を規定し、界面に沿って第1の流動性媒体の構造を製造するのに十分な時間、下部電極の少なくとも1つおよび上部プレートまたは電極の少なくとも1つにわたって電圧を印加し、第1の流動性媒体の長手方向の構造を硬化させて、パターンを形成し、同じマスターを使用して、基材の付加的なもののために、第2の提供工程、位置決め工程、発生工程、および硬化工程を繰返すことを含む。
【0032】
ここに開示される技術は、多くの利点を含むことができる。たとえば、パターンは、光学放射線を用いずに製造され、したがって、それらの解像度は、光学放射線の波長によって制限されない。原則として、パターンの長手方向の解像度は、外部印加電界を制御し、適切な特性を有するフィルムを選択することによって、任意に小さくすることができる。さらに、これらの技術は、フィルムの一部をエッチングまたは除去するために化学物質を使用することを必要とせずに、フィルム上に高解像度パターンを製造することができる。
【0033】
第1の流動性媒体、たとえばポリマーが、上部プレートまたは電極と接触し、かつ、上部プレートまたは電極へのポリマーの接着が、接触時に十分な場合、2つのプレートを互いに相対運動で移動させることによって、より長いフィブリルを引伸ばすことが可能である。このようにして、合成フィブリル接着剤のための関心のあるフィブリル寸法を有するフィブリル構造を生成することができる。そのような構造は、場合により後処理されたとき、関心のあるフィブリル構造を形成する。
【0034】
最後に、下部プレートおよび上部プレートの相対移動は、望まれるようなフィブリル構造のアスペクト比をもたらすことができる。軸とは、プレートの平面に垂直な方向を意味する。上部プレートに対する下部プレートの移動は、互いに離れる軸移動、プレートの垂直軸に対してある角度での非軸移動、プレートの軸方向またはプレートの平面に平行な方向のパルスまたは振動移動、たとえば2つのプレートの剪断における摺動、またはこれらの移動の組合せを含む。
【0035】
方法は、第1の流動性媒体のパターンを形成するのに十分な時間、第1の流動性媒体と第2の流動性媒体との間の界面を外部印加電界に曝し、2つのプレートを互いに対して移動させて、フィブリル構造の所望のアスペクト比を形成し、第1の流動性媒体を硬化させて、外部印加電界がない状態でパターンを維持し、パターニングされたフィルムまたは所望のフィブリル構造を形成することを伴う。電界は、流動性媒体を、容量性デバイス内、たとえば、電位差を有する2つの電極の間に配置することによって印加することができる。流動性媒体は、界面に沿った外部印加電界の局所的な変化、および電極またはそれらと接触するいかなる中間層の表面エネルギーの局所的な変化に応答する。したがって、そのようなパラメータを制御することによって、選択されたパターンを、いずれかの流動性媒体上にマッピングすることができる。
【0036】
フィブリル構造を製造するための装置100が、図1aに示されている。基材120上に形成されたフィルム110が、第2の材料150で充填された間隙160によって上部電極130から隔置されている。第2の材料は、任意の圧力における気体(たとえば、空気)、液体、および流動性プラスチックのいずれかであることができる。第2の材料は、典型的には誘電体であるが、導電性または半導性であることもできる。基材120の少なくとも一部が、導電性であり、下部電極を規定する。たとえば、基材は、半導体ウェーハであることができる。第1および第2の電極は可変電圧源140に接続され、これは、動作中、電極間に外部印加電界を発生させる。
【0037】
フィルム110および第2の材料150は、ラプラス圧力(たとえば、表面張力)に応答する界面154を規定し、ラプラス圧力は界面を安定化する傾向がある。しかし、外部印加電界の存在下で、界面にわたる誘電率の差が静電圧力を生じさせ、これは、ラプラス圧力および分離圧力と反対であり、界面を不安定にする。フィルム110および第2の材料150が、各々、互いに対して流れることを可能にする状態であるとき、界面におけるフィルムの構造は、静電圧力に応答して変形し、長手方向の構造を製造することができる。たとえば、そのような流動性媒体としては、気体、液体、ガラス、およびフルオロポリマーなどの流動性プラスチックが挙げられる。上部プレートおよび下部プレートは、互いに対して、軸方向181に、または軸181に対して角度方向θに移動することができる。また、2つのプレートは、プレートが互いに対して移動されているとき、それら自体の平面に平行な平面において振動することができるか、軸方向にパルスする(pulsate)ことができる。これらの運動を組合せて、所望のアスペクト比のフィブリル構造を形成することが可能である。
【0038】
典型的には、フィルム110は、たとえば、誘電体ポリマーまたは誘電体オリゴマーを含む誘電体材料である。たとえば、フィルムは、ガラス状または半結晶性ポリマー(たとえば、ポリスチレン)であることができ、これは、基材120上にスピンコーティングされる。フィルムのための他の適切なポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、臭素化ポリスチレン(PBrS)、およびポリイソプレンが挙げられる。適切なオリゴマーとしては、スチレンおよびジメチルシロキサンが挙げられる。そのようなポリマーおよびオリゴマーは、また、フィルム材料と異なるのであれば、間隙の第2の材料に適している。第1の流動性材料として使用することができるポリマーとしては、あらゆる熱可塑性材料が挙げられる。使用することができる熱可塑性材料としては、非置換のまたは置換された次の材料、すなわち、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレングリコール、ポリベンゾイミダゾール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアリールケトン、ポリケトン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリマーラクトン、多糖類(polysachharides)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアニリン、ポリエチレンオキシド、ポリアラミドなどが挙げられる。繊維を生成することができる他のポリマー、たとえば、熱可塑性エラストマーまたは架橋エラストマーも使用することができる。オリゴマーも使用することができる。コポリマー材料も使用することができる。
【0039】
結晶性ポリマーおよびアモルファスポリマーの両方を、上記方法で使用することができる。同じポリマーの薄い層を、各層の分子量を変えて、フィルムに使用することができる。このようにして、同じポリマーであるがフィブリルの各部分の分子量が異なった階層的構造を生成することができる。また、結晶性ポリマーの場合、さまざまな量の造核剤を、下部プレート(または基材)上に堆積されたフィルムの層に使用することができる。フィブリル構造が形成した後、ポリマーをアニールすると、フィブリル構造の靭性の階層的レベルを達成することができる。
【0040】
ポリマーと、たとえば他の低沸点希釈剤または高沸点希釈剤とのブレンドも使用することができ、希釈剤は、構造が形成された後エッチング除去され、多孔性フィブリルを生成する。ポリマーの物理的ブレンドも使用することができる。フィブリルの表面上の多孔性構造は、「吸引カップ」を形成することによって接着を助けることができる。「吸引カップ」とは、フィブリルの表面上および内部の微視的細孔であって、空気/気体分子を維持することができ、かつ、圧力がかけられると空気を排出し、それにより、細孔空洞、およびそれらが接着された表面内に真空を作る微視的細孔を意味する。
【0041】
添加剤をモノマーに組入れ、柱構造およびフィブリル構造を形成するのに十分な第1の流動性媒体の粘度を増加させることによって、熱硬化性ポリマーを使用することができる。いったん、所望のフィブリル構造が確立されると、フィブリルポリマーを、当業者に知られている方法によって架橋することができる。そのような材料のいくつかを室温で処理することが可能である。
【0042】
特定の実施形態において、メチルメタクリレートモノマーに溶解したPMMAを使用して、フィルムをすることができる。十分な量のPMMAを溶解して、上記方法において柱構造およびフィブリル構造を形成するのに十分な粘度を生じさせる。構造が形成されている間、重合が進むことができる。これは、方法を、室温、または室温よりわずかに高い温度で行うことを可能にする。
【0043】
好ましくは、フィルムは、外部印加電界に曝されると液化される。フィルムは、たとえば、加熱する(すなわち、アニールする)か、溶媒または溶媒雰囲気に曝すことによって液化することができる。たとえば、フィルムがガラス状または半結晶性ポリマーである場合、それは、室温で固体であり、加熱すると液体になってもよい。あるいは、フィルムの液化は、必要でなくてもよく、というのは、たとえば、フィルムは、すでに液体であってもよいし、外部印加電界によって与えられる静電圧力に応答するのに十分に流動性であってもよいからである。誘電体材料であることに加えて、フィルムは、また、導電性または半導性材料であることができる。しかし、フィルム110または第2の材料150が導電性である場合、基材120または上部電極130は、電極間の短絡を防止するために非導電層を含んでもよい。そのような付加的な層は、また、フィルム110および第2の材料150が両方とも導電性でない場合でも望ましいであろう。たとえば、図1bに示された実施形態において、基材120は、非導電層170と、第2の電極を規定する導電層175とを含む。次の説明において、図1aの実施形態が想定されるが、説明を図1bの実施形態にも適用できる。さらに、付加的な実施形態において、フィルム110は、複数の誘電体層、導電層、または半導層を含んでもよい。電圧源140は、AC源またはDC源であることができる。
【0044】
電圧が電極に印加されると、電極120と電極130との間の結果として生じる電界が、フィルム110と間隙160との間の誘電体界面における双極子場を誘起し、これは、最終的に、誘電体フィルムを不安定にし、かつ競争する力を支配する。フィルムは、十分に規定された波長を有する表面波形を生じる。時間とともに、これらの波の振幅が増加し、フィルム110が電極130に接触し、それにより、十分に規定された柱直径および柱間の間隔形態を有する柱構造を製造する。いったん、柱構造が頂部プレート130に接着すると、頂部プレートおよび底部プレートを互いに対して移動させて、所望のフィブリル構造を生成することができる。フィルム材料を硬化または凝固させることによって、最終フィブリル構造を形成する。たとえば、構造を維持するために、フィルムは、温度を低下させるおよび/または圧力を調整することによって整える(ordered)(たとえば、結晶化する)ことができ、それは、また、化学反応、架橋方法、重合反応、およびゾル−ゲル方法のいずれかによって凝固させることができる。
【0045】
柱直径および間隔は、上部電極と下部電極との間の電位差、電極間隔、フィルム110および材料150の誘電特性、ならびにフィルムのラプラス圧力(たとえば、間隙160が気体である場合は表面張力)などのパラメータによる。ポリマーフィルムの多層を製造することによって、階層的構造を有する異なった材料のフィブリルを製造することができる。たとえば、より軟性の高接着ポリマーを、より剛性のポリマーの上に層状に重ね、フィブリルの本体の、より剛性のポリマーの配置をもたらすことができる。
【0046】
フィブリルを引伸ばす間に電圧を変更することによって、特徴の横方向の寸法を階層的におよび/または連続的に変更することが可能である。
【0047】
印加された外部電界が横方向に不均質な電界である場合、誘電体フィルム110の電気的に誘起された不安定性は、電界の横方向の勾配によってさらに修正される。この効果を用いて、マスターパターンを、誘電体フィルムの横方向の構造に複製することができる。上部プレートまたは下部プレートが、横方向のパターンを特徴づけることができる。そのようなパターンを、たとえば、電子ビームエッチングによって製造することができる。そのような実施形態において、上部プレートまたは電極は、形態的にパターニングされた別の上部プレートと取替えられる。結果として、外部印加電界は、フィルム波形を、電界勾配の方向、すなわち、増加する電界の方向に集中させる。誘電体フィルムは、結果として、形態的にパターニングされた上部プレートまたは電極に対応するパターンを形成する。誘電体フィルムを凝固させると、柱構造は維持される。2つのプレートを互いに対して移動させることによって、アスペクト比を増加させることができる。さらに、他の実施形態において、上部電極の代わりに、または上部電極に加えて、下部電極もパターニングすることができる。
【0048】
電界の強度は、たとえば、頂部電極(上部プレート)に柱パターンを設けることによって、横方向に変えることができる。別の例において、界面に沿った電界強度も、一方または両方の電極に、異なった導電性を有する複数の横方向の領域を設けることによって、横方向に変わるようにすることができる。たとえば、電極の一方または両方の組成は、横方向に変わることができる(たとえば、異なった金属を含有する別個の横方向の領域)。さらに、上部電極と下部電極との間に、誘電体材料の横方向の変化を有する層を導入することによって、界面における電界強度を変えることができる。最後に、1つの上部電極および1つの下部電極を使用するのではなく、複数の独立して扱うことができる電極を使用して、異なった対の電極の間の界面にわたって複数の電圧差を生じさせることによって、電界強度を横方向に変えることができる。本発明の実施形態は、界面に沿って電界強度を横方向に変え、それにより、横方向の構造の形成のためのテンプレートを提供するために、そのような技術のどの1つまたはいかなる組合せも含んでもよい。
【0049】
さらなる実施形態において、基材120は、その表面エネルギーの横方向の変化を有する基材と取替えられる。表面エネルギーの横方向の変化は、たとえば、たとえばペルフルオロ化材料、金属、および自己組立てアルカンチオールのいずれかの、マイクロコンタクトプリンティング(micro−contact printing)、電子ビームまたはイオンビームエッチング、およびパターニング堆積によって生じさせることができる。その後、フィルム110を、表面エネルギーの変化を有する基材上に堆積させる。他の実施形態のように、フィルムを液化し、電圧を電極に印加する。電界は、上述されたように、誘電体フィルムの不安定性をもたらす。生じる表面波形は、基材の表面エネルギーパターンに対して整列する。フィブリル構造をもたらす柱構造の所望のアスペクト比が、上部プレートおよび下部プレートの相対移動によって達成される。誘電体フィルムのこのフィブリル構造は、再び、ポリマーを凝固させることによって、または先に述べられたようないかなる他の硬化方法によって、電界がない状態で維持される。
【0050】
あるいは、他の実施形態において、表面エネルギーの変化を有する基材の代わりに、または表面エネルギーの変化を有する基材に加えて、電極130および隣接した間隙160は、表面エネルギーの横方向の変化を有することができる。さらなる実施形態において、電極の一方または両方の表面エネルギーの横方向の変化、および電極の一方または両方の上の形態的なパターン、および/または界面に沿って電界強度を横方向に変えるための上述された技術のいかなる他の組合せを有することも可能である。
【0051】
これらの要因はすべて、表面へのフィブリルの接着および共形(conformal)接触を達成し、かつフィブリル構造の横方向の崩壊を回避するために、フィブリル構造の設計に重要である。この技術は、大きい領域にスケールアップすることができる。間隙または第2の流動性媒体の制御、および分離の制御を、スペーサを使用することによって、またはドラム上でパターンをエッチングすることによって達成することができる。ポリマーの均一なコーティングを、連続的に移動するフィルム上で達成することができる。本発明のフィルムは、ここで説明される1つもしくはそれ以上のフィブリル特徴を有するフィルムを含む。
【0052】
本発明の方法は、頂部プレート上のパターニングを伴ってまたは伴わずに働く。パターニングがない場合、フィブリルの長手方向の長さスケールは、フィルムに作用する力、および表面張力などの実験条件によって自己決定される。あるいは、頂部プレートを、
(a)表面レリーフ、
(b)導電性対非導電性、
(c)(a)&(b)の組合せ
(d)頂面へのポリマーの接着力の差
などのいくつかの形態でパターニングすることができる。
【0053】
間隙幅は、約0nmから約50,000nmまで変わることができる。
【0054】
フィブリル柱を備えた本発明のフィルムは、さまざまな用途において、たとえば、医療処置、産業設定、および家庭用用途における接着剤として使用することができる。たとえば、これらのフィルムは、外科処置または他の小さい医療処置における接着テープとして使用することができる。それらは、パッキング材料、または熱および電気絶縁性材料として使用することができる。それらは、衣類、室内装飾品、およびそのような用途のファブリックのためのバッキングとして使用することもできる。
【0055】
本発明の実施またはテストに用いるべき適切な方法および材料を、以下で説明する。ここで挙げられた刊行物、特許出願、特許、および他の引例をすべて、それらの全体を引用により援用する。
【実施例】
【0056】
実験
実施例1
厚さh(約100nmから約20ミクロン)のPMMAの薄いポリマーフィルムを、溶液からシリコンウェーハ上にスピンコーティングする。ウェーハは、それ自体電極として作用することができるか、場合により、金属の薄い層、たとえば、接着を促進するために下に5nmのチタン層を備えた50nmの蒸着された金によって、コーティングすることができる。頂部シリコンウェーハを、約1〜10ミクロンの間隙で、第1のものに平行にする。間隙は、上部シリコンウェーハ内にエッチングされた同じ高さの線上の(on lines)スペーサピラーによって維持される。シリコンウェーハを、場合により、金属層でコーティングする。アセンブリ全体を、ポリマーのガラス転移温度よりほんの少し高く加熱し、電圧を印加して、10〜10V/mの範囲内の電界を生じさせる。これは、引用によりここに援用される米国特許第6,391,217号明細書に記載されているような、柱構造の自己形成をもたらす。
【0057】
柱構造またはフィブリル構造の長手方向の寸法は、電界、材料特性、およびジオメトリの組合せによって制御することができる。フィブリルの高さは、元の間隙によって制限され、これは、既知の長手方向の寸法を達成するように選択される。いったんフィブリルが形成されると、上部ウェーハを、一定の速度で、典型的には100nm/分から10,000nm/分で、垂直に移動させる。これは、フィブリルを、高さ/横方向の寸法のより大きい所望のアスペクト比、たとえば2〜20の範囲内に延在させる。2つのシリコンベースのウェーハの間の相対運動を止め、装置をガラス転移より低く冷却することによって構造を固定する。上部ウェーハを取外して、下部ウェーハ上にフィブリル構造を残す。ポリマーをすべてフィブリルの形成に使用する前に方法を止めることができ、したがって、同じ材料のバッキングに付着されたフィブリルをもたらすことができる。ポリマーフィルム全体(基材+フィブリル表面)を、金属アンダーコートの化学エッチングによって、たとえば、アルミニウム層のために希塩酸中に一晩放置することによって除去する。
【0058】
実施例2
実施例1で説明されたのと同じフィルム形成方法をここで用いる。しかし、この実施例において、スタックは、下部プレートとしてのシリコンウェーハと、犠牲層としても作用する金属電極と、高ガラス転移温度ポリマーフィルムと、低ガラス転移温度ポリマーフィルムと、間隙(第2の流動性媒体)と、場合により金属層でコーティングされた頂部電極とからなる。高Tgポリマーフィルムは、上にフィブリルが形成される固定バッキングフィルムとして働く。
【0059】
相対的な横方向の運動を2つのプレートに与えることによって、斜めに整列されたフィブリルが生成される。さまざまな速度での、円形運動などの他の相対運動が、フィブリル長さに沿ってさまざまな厚さを有する構造を生成する。
【0060】
実施例3
実施例1で説明されたのと同じフィルム形成方法をここで用いる。この場合、2つのプレートを互いに対して摺動し、また、同時に互いに離れて軸方向に移動させる。2つのプレートの間の相対運動の速度を一定に維持する。基材に対して角度□で配向されたフィブリル構造が、結果として生成され、Tan(□)=分離速度と摺動速度との比である。
【0061】
実施例4
実施例1で説明されたのと同じフィルム形成方法をここで用いる。この実施例において、上部Siウェーハまたは上部プレートを、表面レリーフまたは金属島でパターニングし、場合により個別に扱う。レリーフパターンの横方向のサイズおよび間隔は、任意であり、約50nmから約50,000nmの範囲内で、必要に応じて選択される。たとえば、それは、線、孤立した円、正方形、または他の特徴からなることができる。これは、フィブリル構造の形成をテンプレートする(templates)。米国特許第6,391,217号明細書に教示されているように、パターンの横方向のサイズが、フィブリルの自然サイズより著しく大きい(5倍を超える)場合、いくつかの個別のフィブリルが、各パターニングされた領域内で形成する。サイズが自然フィブリル寸法よりはるかに小さい(0.25倍未満)場合、不安定性方法は、パターンによって生じた局所的な変化ではなく、平均電界(average fields)に応答する。サイズが、はるかに小さくもなく、はるかに大きくもない場合、パターンは、形成されるフィブリルのサイズを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a−1b】フィブリル構造を形成するための装置の概略図である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィブリル構造を形成するための方法であって、
(a)下部プレート上に取付けられた基材上に第1の流動性媒体を提供し、前記第1の流動性媒体上に第2の流動性媒体を提供し、前記第1および第2の流動性媒体が、異なった誘電特性を有し、かつそれらの間の界面を規定し、
(b)場合により、前記第1の流動性媒体を軟化させ、
(c)場合により、前記界面に沿って前記第1の流動性媒体の柱構造を製造するのに十分な時間、前記界面に電界を印加し、前記柱構造が、前記第2の流動性媒体を通って延在し、上部プレートと接触しており、
(d)前記柱構造が、特定のアスペクト比を有する前記フィブリル構造に延在されるように、前記上部プレートおよび前記下部プレートを互いに対して移動させる工程と、
(e)場合により、前記第1の流動性媒体から得られた前記フィブリル構造を後処理する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
前記第2の流動性媒体が、任意の圧力における気体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の流動性媒体が液体である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電界の印加が、前記界面に沿って前記電界の強度を横方向に変えて、前記構造を規定することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基材に、横方向に変わる表面エネルギーを与えて、前記構造をさらに規定することをさらに含んでなる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基材に、横方向に変わる表面エネルギーを与えることをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材が、下部プレートまたは電極を含んでなり、前記電界の印加が、下部プレートまたは電極、ならびに少なくとも前記第1および第2の流動性媒体によって前記下部プレートまたは電極から隔置された上部プレートまたは電極にわたって、電圧を印加することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記上部プレートまたは電極および前記下部プレートまたは電極の少なくとも1つが、電極間の横方向に変わる分離を規定する形態を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記上部プレートまたは電極および前記下部プレートまたは電極の少なくとも1つが、異なった導電性を有する複数の横方向の領域を含んでなる請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基材が、前記下部プレートまたは電極と前記第1の流動性媒体との間に位置決めされた非導電性材料層を含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記非導電性材料層が、異なった誘電特性を有する複数の横方向の領域を含んでなる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記上部プレートまたは電極が、非導電性材料層によって第2の流動性媒体から隔置される請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記非導電性材料層が、異なった誘電特性を有する複数の横方向の領域を含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基材が、複数の独立して扱うことができる下部プレートまたは電極を含んでなる請求項7に記載の方法。
【請求項15】
外部電界の印加が、下部電極と、少なくとも前記第1および第2の流動性媒体によって下部電極から隔置された複数の独立して扱うことができる上部プレートまたは電極との間の、複数の電位差を生じさせることを含んでなる請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の流動性媒体が液体である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記流動性媒体が、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマー、熱硬化性ポリマー、モノマー、熱可塑性エラストマー、架橋性エラストマー、およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーが、置換または非置換ポリアルキルアクリレート、置換または非置換ポリスチレン、置換または非置換ポリイソプレン、置換または非置換ナイロン、置換または非置換ポリエステル、置換または非置換ポリオレフィン、置換または非置換ポリフェニレンスルフィド、置換または非置換ポリスルホン、置換または非置換ポリ乳酸、置換または非置換ポリグリコール酸、置換または非置換ポリエチレングリコール、置換または非置換ポリベンゾイミダゾール、置換または非置換ポリアクリロニトリル、置換または非置換ポリウレタン、置換または非置換ポリアリールケトン、置換または非置換ポリケトン、置換または非置換ポリイミド、置換または非置換ポリアクリレート、置換または非置換ポリマーラクトン、置換または非置換多糖類、置換または非置換ポリテトラフルオロエチレン、ポリアニリン、置換または非置換ポリエチレンオキシド、置換または非置換ポリアラミド、置換または非置換ポリ酢酸ビニル、置換または非置換ポリビニルアルコール、それらの混合物、およびそれらの物理的ブレンドよりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記オリゴマーが、ジメチルシロキサンおよびスチレンよりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項20】
スピンコーティング、焼結、溶融、粉末コーティング、蒸着、およびそれらの組合せよりなる群から選択される方法によって、前記第1の流動性媒体が下部プレート上に提供される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の流動性媒体が、1つの材料の少なくとも1つの層を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の流動性媒体が、ポリマー材料、オリゴマー材料、エラストマー材料、コポリマー材料、および熱硬化性材料よりなる群から選択され、前記第1の流動性媒体が、各層の分子量が異なった同じ材料の少なくとも2つの層を含んでなる請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記上部プレートおよび前記下部プレートの前記相対移動が、軸移動、前記上部プレートまたは前記下部プレートの軸からある角度での非軸移動、前記上部プレートおよび前記下部プレートの摺動移動、プレートの軸方向のパルスまたは振動移動、プレートの平面に平行な方向のパルスまたは振動移動、ならびにそれらの移動の組合せよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項24】
後処理が、前記第1の流動性媒体の化学反応を開始することによるフィブリル微細構造の硬化、前記第1の流動性媒体を重合することによる前記フィブリル微細構造の硬化、前記第1の流動性媒体を架橋することによる前記フィブリル微細構造の硬化、前記第1の流動性媒体が結晶性ポリマーである場合に前記フィブリル微細構造を結晶化すること、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項25】
提供工程、印加工程、および硬化工程を繰返して、第2のパターニングされたフィルムを基材上に形成することをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項26】
パターニングされたフィルムが、基材の選択された領域を露出し、方法が、各露出領域で基材層を除去することをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項27】
パターニングされたフィルムが、基材の選択された領域を露出し、方法が、基材の各露出領域で材料層を堆積させることをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の流動性媒体が、ポリマーと、別のポリマー、オリゴマー、低沸点希釈剤、およびそれらの組合せよりなる群から選択される別の材料とのブレンドであり、前記別の材料が、フィブリル構造が形成された後、溶媒でエッチング除去される請求項1に記載の方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法によって製造されたフィブリル微細構造。
【請求項30】
複数の基材上にパターンを製造するための方法であって、複数の基材の各々が、少なくとも1つの下部電極を有し、方法が、
(a)パターンを規定するマスターを提供し、マスターが少なくとも1つの上部電極を含んでなり、
(b)第1の流動性媒体を基材の1つの上に提供し、第1の流動性媒体より上に、少なくとも第2の流動性媒体によって第1の流動性媒体から隔置して、マスターを位置決めし、第1および第2の流動性媒体が、異なった誘電特性を有し、かつそれらの間の界面を規定し、
(c)界面に沿って第1の流動性媒体の構造を製造するのに十分な時間、下部電極の少なくとも1つおよび上部電極の少なくとも1つにわたって電圧を印加し、
(d)前記上部プレートおよび前記下部プレートを相対的に移動させ、
(e)第1の流動性媒体の長手方向の構造を硬化させて、パターンを形成し、
(f)同じマスターを使用して、基材の付加的なもののために、第1の流動性媒体に関連する提供工程、位置決め工程、印加工程、移動工程、および硬化工程を繰返す
ことを含んでなる方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法によって製造されたパターニングされたフィルム。
【請求項32】
(a)場合により金属材料または導電性材料でコーティングされた、基材として作用する下部プレートと、
(b)前記基材上の第1の流動性媒体と、
(c)場合により、異なったレリーフ高さおよび/またはパターニングされた導体金属でパターニングされた、上部プレートとしての、場合により導電性の頂部電極と、
(d)上部プレートと前記下部プレート上の前記第1の流動性媒体との間の第2の流動性媒体を含んでなる間隙と、
(e)場合により外部印加電圧と
を含んでなる、フィブリル構造を製造するためのデバイスであって、
前記上部プレートおよび前記下部プレートが、互いに対して移動することができる、デバイス。
【請求項33】
前記上部プレートが、表面レリーフ、導電性対非導電性表面、前記上部プレートの表面へのポリマーの接着力の差、およびそれらの組合せよりなる群から選択される形態でパターニングされる請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の流動性媒体と前記上部プレートとの間の幅が、約0nmから約50,000nmの範囲内である請求項1に記載の方法。
【請求項35】
接着剤として使用されるフィブリル構造。

【公表番号】特表2006−506474(P2006−506474A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543726(P2004−543726)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/032313
【国際公開番号】WO2004/033190
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】