パターン位相差フィルム、その製造方法、光学積層体の製造方法、及び3D画像表示装置
【課題】微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学素子との位置合わせの困難性の軽減。
【解決手段】画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、d1とd2が等しくないことを特徴とするパターン位相差フィルムである。
【解決手段】画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、d1とd2が等しくないことを特徴とするパターン位相差フィルムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学要素との位置合わせの困難性を解決する技術に関する。より詳細には、裁断用又は位置合わせ用のマークを有するパターン位相差フィルム、並びにその製造方法及びそれを有する3D画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3D表示の方式に、偏光眼鏡方式(パッシブ眼鏡)がある。この方式は、2次元(2D)表示時の画質の劣化を伴わない点にも大きなメリットであり、3Dのコンテンツが十分と言えない現状では、2D−3D切り替えの実現が可能である点で、有力の方式と言える。パッシブ眼鏡方式では、表示パネルからの出射光を異なる2種の偏光状態(例えば、右偏円光と左円偏光)にし、一方の偏光のみを透過する偏光板を右眼用に、及び他方の偏光のみを透過する偏光板を左眼用にして構成された偏光眼鏡を通じて表示画面を観察させることで、立体感のある画像として認識させるものである。
【0003】
パッシブ眼鏡方式において、出射光を異なる2種の偏光状態にするために、パターン位相差板が用いられている。パターン位相差板は、一般的には、遅相軸及び/又は位相差が異なる位相差領域を規則的に配置したパターン位相差層と、それを支持する支持体とからなる(例えば、特許文献1及び2)。従来、該支持体として、ガラス基板が用いられていたが、取り扱い性、薄型化及び軽量化等の観点で、支持体としてフィルムを用いたパターン位相差フィルム(FPR)が注目されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
ところで、3D画質を評価する際、最も重要な項目の一つがクロストークである。3Dにおけるクロストークとは、左右各々の眼にどれだけ望ましい形で、3D表示のための所定の光が入射するかの度合い、即ち、左眼に入射する右眼用の表示情報光量の割合、右眼に入射する左眼の表示情報光量の割合で表すことが出来、当然、クロストークが小さいほど、3D表示の画質は高いものとなる。クロストークを発生させないためには、表示装置の画素とパターニング位相差板の各パターンとを、精度良く位置合わせさせて、貼り合わせることが重要である。このため、貼り合せの際の位置合わせ精度を上げるために、何らかのアライメントマーク、基準が必要である。
【0005】
例えば、高精度のアライメントマークを新たな層で形成する方法が考えられるが、経済的な観点からFPRの使用を試みるにも拘らず、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0006】
また、例えば、特許文献4には、アライメントマークの形成領域に、一方の配向領域用の配向膜を形成し、アライメントマークの形成領域に他方の配向領域用の配向膜を備えるパターン化位相差板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−59949号公報
【特許文献2】米国特許第5327285号明細書
【特許文献3】特許第4508280号公報
【特許文献4】特許第4176600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献4に記載の方法は、ガラス板などの枚葉プロセスを前提としたものであり、ロールプロセス(ロールツーロール)には適用できないという問題があった。FPRが経済的に優れていることの一因は、長尺状に連続的に生産できることにあり、アライメントマークについても連続生産の工程の中で簡易に形成できることが望ましい。
【0009】
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学素子との位置合わせの困難性を解決することを課題とする。
また、本発明は、裁断又は他の光学素子との位置合わせが容易なパターン位相差フィルム、並びにその簡易な製造方法、及びそれを有する3D画像表示装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、クロストークの軽減に寄与するパターン位相差フィルム、その簡易な製造方法、それを有する3D画像表示装置、及びそれを利用した光学積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、
前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び
前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、
d1とd2が等しくないことを特徴とするパターン位相差フィルム。
[2] d2>d1である[1]のパターン位相差フィルム。
[3] 前記非表示画素領域に、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に交互に配置されているパターンを有する[1]又は[2]のパターン位相差フィルム。
[4] 前記非表示画素領域のパターンのピッチがd1である[3]のパターン位相差フィルム。
[5] 前記非表示画素領域のパターンのピッチがd3であり、d3>d1である[3]のパターン位相差フィルム。
[6] 前記マークが、画像表示装置の貼り付けのための又は裁断のためのアライメントマークである[1]〜[5]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[7] 前記マークが、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる位相差領域の境界線である[1]〜[6]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[8] 前記マークが、レーザーを照射することで形成した線状のレーザーマーキング痕である[1]〜[6]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[9] 前記マークが、機械的に設けた線状のマーキング痕である[1]〜[6]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[10] 前記第1及び第2位相差領域が、面内遅相軸が互いに直交し、且つReがλ/4の位相差領域である[1]〜[9]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[11] 前記第1及び第2位相差領域が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物から形成されている[1]〜[10]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[12] 前記第1及び第2位相差領域の一方が、ディスコティック液晶の垂直直交配向状態を固定してなる領域であり、他方が、ディスコティック液晶の垂直平行配向状態を固定してなる領域である[1]〜[11]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[13] 前記非表示画素領域に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向を固定してなる領域を有する[12]のパターン位相差フィルム。
[14] [1]〜[13]のいずれかのパターン位相差フィルムの製造方法であって、
長尺のフィルムを搬送しつつ、該フィルムの表面に、長手方向に沿って、表示画素領域と、線状のマークを有する非表示画素領域とを形成することを特徴とするパターン位相差フィルムの製造方法。
[15] パターン露光により表示画素領域のパターンを形成する露光工程を含む[14]の方法。
[16] 前記露光がハーフ露光である[15]の方法。
[17] 前記露光工程において、非表示画素領域のパターンのピッチd1に応じた幅D1の開口部を有する第1のマスク領域を有する露光マスクを介してパターン露光する[15]又は[16]の方法。
[18] 前記露光工程により、非表示画素領域にも、パターン露光を行い、パターンを形成する[15]〜[17]のいずれかの方法。
[19] 前記マスクが、前記第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有するマスクである[17]又は[18]の方法。
[20] 前記フィルムの表面に、パターン露光により長手方向に沿って前記表示画素領域を形成しつつ、該表示画素領域の外側のフィルム表面に、レーザー照射により、又は機械的作用を供与することにより、長手方向に沿って前記マークを形成する[14]〜[19]のいずれかの方法。
[21] 前記露光工程が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物の塗布層を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該塗布層をパターン露光する工程である[15]〜[20]のいずれかの方法。
[22] 前記露光工程が、配向膜を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該配向膜をパターン露光する工程である[15]〜[20]のいずれかの方法。
[23] フィルム表面に形成された前記マークを基準線として、長尺状のパターン位相差フィルムを裁断する工程をさらに含む[13]〜[22]のいずれかの方法。
[24] [13]〜[23]のいずれかの方法によりパターン位相差フィルムを製造すること、
該パターン位相差フィルムの前記マークを基準線として、光学要素の光学単位又は光学軸と位置合わせして貼合わせることを含む光学積層体の製造方法。
[25] 前記光学要素が表示素子であり、且つ前記光学単位が画素である[24]の方法。
[26] 3D画像表示装置に用いられる光学積層体の製造方法である[25]の方法。
[27] [1]〜[13]のいずれかのパターン位相差フィルムを有する3D画像表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学素子との位置合わせの困難性を解決することができる。
また、本発明によれば、裁断又は他の光学素子との位置合わせが容易なパターン位相差フィルム、その簡易な製造方法、及びそれを有する3D画像表示装置を提供することができる。
また、本発明によれば、クロストークの軽減に寄与するパターン位相差フィルム、それを有する3D画像表示装置、及びそれを利用した光学積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図である。
【図2】本発明のパターン位相差フィルムの一例の断面模式図である。
【図3】本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図である。
【図4】本発明のパターン位相差フィルムの一例の断面模式図である。
【図5】本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図を、貼合する表示パネルの上面模式図とともに示した図である。
【図6】本発明に利用可能な表示画素領域の一例の上面模式図である。
【図7】本発明のパターン位相差フィルムの製造方法の露光工程の一例の斜視模式図である。
【図8】本発明に利用可能なマスクの一例の上面模式図である。
【図9】本発明に利用可能なマスクの一例の上面模式図である。
【図10】本発明に利用可能なマスクの一例の上面模式図である。
【図11】マーキング痕を機械的に設ける場合の一例の斜視模式図である。
【図12】マーキング痕をレーザーで設ける場合の一例の斜視模式図である。
【図13】垂直直交配向、垂直平行配向及びハイブリッド配向の一例の模式図である。
【図14】パターン位相差フィルムのパターンと画素との位置ズレを説明するために用いた模式図である。
【図15】3D液晶表示装置の液晶セルより視認側に配置される偏光膜、位相差フィルムの積層状態の一例の断面模式図である。
【図16】比較例1のパターン位相差フィルムの上面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
本明細書において、「長手方向」という場合は、パターン位相差フィルムのストライプ状のパターンの長さ方向をいい、パターン周期方向と直交する方向をいう。本明細書では、長尺状のパターン位相差フィルムでは、フィルムの長手方向と、パターンの長手方向は一致する。
また、本明細書では、「パターン位相差フィルム」の用語は、実際に使用される大きさに裁断された形態のフィルムのみならず、長尺状のパターン位相差フィルムや、ロール形態に巻き上げられたロール状のパターン位相差フィルム等、裁断前の形態のフィルムに対しても用いるものとする。
また、本明細書では、パターン位相差フィルムの「表示画素領域」とは、これと貼合する表示装置の表示画素部(表示可能なTFTアレイ領域に対応した領域、ゲート、データバスラインを含む)に貼合される領域をいい、「非表示画素領域」とは、これと貼合する表示装置の表示画素部以外であって、表示パネルの表示画素領域外周部(通常、CF基板の外周部のブラック領域等に対応)に貼合される領域をいう。
【0015】
本発明のパターン位相差フィルムは、画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、
前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び
前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った光学的に識別可能な線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、
d1とd2が等しくないことを特徴とする。
【0016】
パターン位相差フィルムは、理想上は、図14(a)のように、横ストライプ状のパターン位相差層(図14(a)では、横ストライプ状の±λ/4層が交互に配置されたパターン位相差層の例を示す)が、画素と精密にアライメント配置、位置合わせされている状態である。
しかしながら、アライメントマークや基準などがないと、図14(b)に示す通り、表示画素との位置ズレが生じる場合があり、クロストークが発生する原因となる。クロストークの発生を防止するために、精密なアライメント配置、位置合わせが要求されるが、アライメントマークや基準がないと、パターニングラインの平行度の確認を含め、容易ではない。
【0017】
従来、LCDなどのアライメントマークは、フォトレジストを利用したフォトリソグラフィーの工程により形成されており、フィルム表面に対してXY座標(パターン周期方向とパターン長手方向)を特定することを基準としていた。しかし、パターン位相差フィルムにおいてクロストークの原因となる位置ズレは、パターン周期方向での位置ズレであって、ストライプパターンの長手方向の位置ズレは、クロストークには影響しない。パターン周期方向における位置ズレを防止するためには、パターニングラインの平行度の確認等が容易な、パターンの長手方向に平行なアライメントマークが重要である。また、パターン位相差フィルムを連続的に長尺状に製造する場合は、パターンを長手方向に沿って形成するのが一般的である。この様な連続的な製造プロセスにおいて、アライメントマークを同時に形成できれば、生産性を格段に改善できる。
【0018】
本発明では、第1及び第2位相差領域がストライプ状に交互に配置されているパターンを有する表示画素領域の外側に、第1及び第2位相差領域の長手方向に沿って線状のマークが存在する非表示画素領域を形成し、当該領域を裁断時及び他の光学要素との貼り合せ時のアライメントに利用することにより、クロストークに起因する、パターン周期方向における位置ズレを効果的に防止するとともに、連続生産におけるアライメントマーク形成の困難性を軽減している。また、非表示画素領域に、さらに、表示画素領域と同一で且つピッチも同一のパターンを形成しておくことにより、パターン位相差フィルムの表示画素領域を表示パネルに貼合する際に、表示面上下方向に若干の位置ズレがあっても、非表示画素領域のパターンによって補うことができる。また、非表示画素領域に、表示画素領域と同一であるが、ピッチが異なる(好ましくピッチがより大きい)パターンを形成し、当該パターンを商品管理及び/又は商品評価に利用することもできる。
【0019】
具体的には、本発明のパターン位相差フィルムは、ピッチd1のパターンを有する表示画素領域から外側の距離d2の位置に線状のマークが存在する非表示画素領域を有し、d1とd2が等しくしないことを特徴とする。パターン位相差フィルムのパターンのピッチは、一般的には100〜1000μmオーダーであり、位置合せは、偏光顕微鏡等の観察下において行われるのが一般的である。偏光顕微鏡下で観察すると、第1及び第2位相差領域の境界ラインとして観察される。非表示画素領域にも、同一のパターンピッチでパターン位相差を形成した場合には、偏光顕微鏡等による観察により、上記ラインを検出することは容易に可能であるが、表示装置の表示画素部との平行度を確認することは、必ずしも容易ではない。本発明では、ピッチd1と、d2とが異なっているので、表示画素領域のパターン内に存在するラインと、非表示画素領域に存在する線状のマークとを容易に判別することができる。
【0020】
なお、本発明において、線状のマークは、少なくとも光学的に識別可能であればよく、目視にて黒等の線として認識されるものの他、偏光顕微鏡によって観察することによって、黒等の線として認識されるものも含む。レーザーによるレーザー痕や、カッター刃などによって形成される切込みなどのほか、光学特性が互いに異なる(面内遅相軸の方向及び/又は位相差の大きさ)位相差領域の境界線であってもよい。
【0021】
d1及びd2の差は、判別できる程度の差であればよい。大小関係については、d2>d1であるほうが、アライメント操作において有利である。例えば、d2が大きければ、フィルムの上下の判断を目視(偏光メガネ等は必要に応じて使用)にて行う等にも利用することができる。また、上記した通り、非表示画素領域に、表示画素領域と同一であるが、ピッチが異なる(好ましくピッチがより大きい)パターンを形成し、当該パターンのピッチd3を、ピッチd1よりも大きくすれば、当該領域の位相差の測定が容易であり、商品管理及び/又は商品評価に利用するのに有利である。d1は一般的には、100〜1000μmであるので、線状のマークの位置は、は本発明の場合それとの区別可能なように、表示画素領域からの距離d2は、200〜2000μmであるのが好ましく、又それ以上であってもよい。表示画素端からの距離d2の好ましい範囲は、貼合されるディスプレイの額縁幅の設計に依存して決定されるのが好ましい。アライメントマークは、ピッチd1のパターンと区別しやすいことが重要であるとともに、アライメントの相手となる表示パネルのTFT基板又はCF基板に設けられる何らかのパターンエッジ位置に一致もしくはその近傍に存在することが、同一カメラで同時認識(高倍率で)できることにおいて重要である。例えば、液晶表示パネルにおいては、カラーフィルタの画素パターンの周囲及び表示画素領域の外周領域を一定幅で遮光(ブラックマトリクス及びその周辺部であって、ディスプレイのブラックのパターニングエッジ部、以下「ブラック部」という)した構成になっているので、そのブラック部の位置にd2を一致させるのが好ましい。そしてこの値は、通常の設計では、数mm〜10mm程度(小型又は特殊用途(Tiled Displayなど)のディスプレイでは、この範囲より極端に狭い設計になっている場合もあるので、この範囲に限定されるものではない)である。従って、アライメントマークに適するという観点からは、前記線状のマークの位置を特定するd2は、d1と異なることを前提として、その好ましい範囲は、ディスプレイのブラック部のエッジ位置との関係で決定され、表示画素領域の端部からの距離d2は、数mm〜10mm程度であるのが好ましい。
【0022】
また、本発明のパターン位相差フィルムは、上記した通り、非表示画素領域にピッチd3のパターンを有していてもよい。非表示画素領域に形成されるパターンのピッチd3についても特に制限はない。d3はd1より大きいのが好ましい。非表示画素領域に存在する位相差領域パターン間の境界線を、前記線状のラインとして利用する態様では、d2=d3×nになる(nは1以上の整数であって、非表示画素領域に形成されたパターンの数である)ので、d3はd2と同様、200〜2000μmであるのが好ましい。一方、上記した通り、非表示画素領域に、表示画素領域と同一で且つピッチも同一のパターンを形成してもよく、その態様では、d1=d3となるので、d3はd1と同様、100〜1000μmであるのが好ましい。また、商品管理や商品試験等用に、d1にも等しくなく、d2にも等しくないピッチd3のパターンを非表示画素領域に形成してもよく、その態様では、d3が大きいほど、商品管理及び商品試験が容易になるので好ましい。また、非表示画素領域に存在する位相差領域パターン間の境界線を、前記線状のラインとして、アライメントに利用する態様では、貼合する表示パネルのアライメントに使用可能なパターン位置(上記表示パネルのブラック部)が、ピッチd3の位相差領域パターンの境界線と一致するのが好ましい。
勿論、d1〜d3のいずれについても、上記範囲に限定されるものではない。
【0023】
なお、非表示画素領域に形成されるパターンは、一組の互いに面内遅相軸及び/又は位相差が異なる、位相差領域かならなるパターンであってもよく、またそれが繰り返しているパターンであってもよい。当該位相差領域の光学特性は、第1及び第2位相差領域と同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
また、非表示画素領域に形成されるパターンを構成している位相差領域間に生じる境界線が、前記線状のマークであってもよいし(即ち、d2とd3が等しくてもよいし)、非表示画素領域は、前記線状のマークとは別に(即ち、d2とd3が異なっていてもよい)、互いに異なる光学特性を示す位相差の交互配置によって形成さるパターンを有していてもよい。後者の態様では、非表示画素領域のパターンは、表示画素領域と線状マークとの間に配置されていても、線状マークのさらに外側に配置されていてもよい。非表示画素領域のパターンは、例えば、商品管理及び/又は商品評価等の光学テストに利用されてもよいし、また他の表示画素領域のパターンであってもよい。さらに、表示画素領域には、ピッチが互いに異なるパターン群が複数形成されていてもよい。
【0025】
以下、図面を用いて、本発明のいくつかの実施形態を説明するが、図中の各層の厚みの相対的関係は、実際の相対的関係を反映しているわけではない。また、図中、同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する場合がある。
【0026】
図1に、本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図を示す。図1に示すパターン位相差フィルムは、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16と、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている表示画素領域16から外側上下に、非表示画素部17を有する。
【0027】
図1に示すパターン位相差フィルムは、いわゆるFPRであり、図2の断面模式図に示す様に、パターン光学異方性層12と、これを支持するポリマーフィルムからなる支持体フィルム13とを有する。なお、通常、位相差層の配向を制御するために用いられると思われる(光)配向膜層の記載は省略してある。パターン光学異方性層12は、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16を構成するとともに、マーク17Aを含む非表示画素領域17を構成している。
【0028】
非表示画素領域17には、長手方向、即ち、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている線状のマーク17Aが存在する。マーク17Aは、表示画素領域16の外側の長手方向に沿って形成されている幅d2の位相差領域と、さらにその外側に配置される位相差又は非位相差領域との境界線である。一例では、表示画素領域16の端部に配置されているのが第1位相差領域14である態様では、非表示画素領域17の幅d2の位相差領域は、第2位相差領域15と同一の位相差を示すのが好ましく;表示画素領域16の端部に配置されているのが第2位相差領域15である態様では、非表示画素領域17の幅(距離)d2の位相差領域は、第1位相差領域15と同一の位相差を示すのが好ましい。また、第1及び第2位相差領域のいずれとも異なる光学特性を示す位相差領域であってもよい。表示画素領域16のパターン周期d1とは異なる距離d2の位置に存在するマーク17Aを特定するのは容易である。またーマーク17Aが特定できれば、表示画素領域16の端部に配置されている第1位相差領域14又は第2位相差領域15と、非表示画素領域17との境界線も、容易に特定できる。マーク17A及び表示画素領域16と非表示画素領域17との境界線は、偏光顕微鏡で容易に確認でき、しかもパターニングラインに平行であるので、これらの少なくとも一方を基準線として画素等と位置合わせを行えば、パターン周期方向に位置ズレのない位置合わせを行うことができる。
【0029】
また、図1に示す通り、非表示画素領域17に、幅d2の第1位相差領域14と同一の位相差を示す位相差領域、及び第2位相領域15と同一の位相差を示す位相差領域との繰り返しのパターンを形成してもよい。この態様では、表示画素領域16の端部に配置されている第1位相差領域14又は第2位相差領域15と、非表示画素領域17との境界線、マーク17A、さらには非表示画素領域17中の位相差領域間の境界線として特定されるマーク17Bのいずれか少なくとも一つを基準線として、画素等と位置合わせを行うことができる。
【0030】
上記した通り、非表示画素領域17には、互いに異なる光学特性の位相差領域が、交互に複数配置されていてもよい。交互に複数配置されている場合には、偏光顕微鏡で位相差領域の境界線として特定される線状のマークが複数になり、位置合せ時には、いずれか1つ又は2以上の境界線を基準線として位置合わせを行うことができる。
【0031】
非表示画素領域17に存在する幅(距離)d2の位相差領域は、表示画素領域16の第1及び第2位相差領域14及び15と同時に、同様の方法で形成できる。例えば、表示画像領域16の形成のためにマスクを介して、パターン露光を行う場合は、表示画像領域形成用の幅D1(d1に応じた大きさ)の開口部とともに、それとは異なる幅D2(d2に応じた大きさ)の開口部を有するマスクを用いて露光することで、非表示画素領域のパターンを形成することができる。長尺状の支持体フィルム13上に、連続的に表示画素領域のパターンを形成すると同時に、非表示画素領域のパターンも形成できるので、製造適性に優れる。製法の詳細については後述する。
【0032】
パターン光学異方性層12は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。パターン光学異方性層12は、液晶化合物を主成分とする硬化性組成物の1種又は2複数種から形成することができ、液晶化合物のうち、重合性基を有する液晶化合物が好ましい。
【0033】
図3及び図4に、本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図を示す。図3に示すパターン位相差フィルムは、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16と、表示画素領域16の外側の距離d2の上下位置に、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている線状のマーク17Aが存在する非表示画素領域とを有する。
【0034】
図4に断面模式図で示す通り、図3に示すパターン位相差フィルムは、いわゆるFPRであり、パターン光学異方性層12と、少なくとも、これを支持するポリマーフィルムからなる支持体フィルム13とを有する。パターン光学異方性層12は、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16を構成する。一方、図3に示すパターン位相差フィルムの端部には、光学異方性層12が形成されていない支持体フィルム13(又はその上に配向膜等の塗布膜が形成されている場合には当該膜)が露出した領域があり、当該領域であって、光学異方性層12の外側の距離d2の位置に、線状のマーク17Aが存在する非表示画素領域17を有する。なお、図3では、支持体フィルムが露出した部分に線状のマークを入れた場合についての説明であるが、必ずしも、支持体が露出している必要はなく、位相差層部に直接、マーキングしてもよい。更に、このマーキングの作業工程は、パターン位相差領域との高い位置精度が要求されるため、パターン位相差のパターン確定工程に近い工程、又は、同時の工程であることが好ましい。
【0035】
線状のマーク17Aは、表示画素領域16の外側の距離d2の位置に、長手方向、即ち、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている。複数形成されていてもよい。複数形成されている場合は、d2の間隔で形成されているのが好ましい。表示画素領域16の外側であって、表示画素領域16のパターン周期d1とは異なる幅(距離)d2の位置にある線状のマーク17Aを特定するのは容易である。また、表示画素領域16と、支持体フィルム13(又はその上に配向膜等の塗布膜が形成されている場合には当該膜)が露出した非表示画素領域17とは、光学的にも判別が容易である。マーク17A及びそれを手がかりに容易に特定できる表示画素領域16と非表示画素領域17との境界線は、偏光顕微鏡で容易に確認でき、しかもパターニングラインに平行であるので、これらの少なくとも一方を基準線として画素等と位置合わせを行えば、パターン周期方向に位置ズレのない位置合わせを行うことができる。
【0036】
線状のマーク17Aは、連続的に搬送されるフィルムに対して、所定の位置にレーザー照射又はカッターの刃で傷(微細な凹部)を付ける等の簡易な方法で、容易に連続的に形成できるので、長尺状の支持体フィルム13上に、連続的に表示画素領域16を形成すると同時に、線状のマーク17Aも連続的に形成できるので、製造適性に優れる。
【0037】
本発明のパターン位相差フィルムは、所望により裁断された後、画素と位置合わせされた状態で、表示パネルに貼合される。本発明のパターン位相差フィルムが有する表示画素領域は、貼合される表示素子の表示領域の大きさと一致していてもよい。その態様では、表示パネルの表示画素部に、パターン位相差フィルムの表示画素領域が貼合され、表示画素領域の外側の線状のマークを含む非表示画素領域は、カラーフィルタ基板の周辺にあるブラック領域に貼合されることになる。但し、表示画素領域が表示パネルの表示画素部と完全に一致している場合は、パターン周期方向において少しでも位置がズレると、その影響は顕著である。これを防止するため、前記非表示画素領域にも、表示画素領域に隣接して、表示画素領域と同一のパターン(例えば、1〜2組程度の第1及び第2位相差領域)を形成してもよい。この態様では、図5に示す様に、表示パネルの表示画素部に対応する表示画素領域の端部から上下の位置にも、第1及び第2位相差領域がピッチd1で交互に配置されている領域が存在し、非表示画素領域の一部になっている。仮に表示画素領域の端部で、多少のパターン乱れ、位置ズレがあっても、その領域を避け、その分、シフトさせてパターン位相差フィルムを用いることで、表示画素部に貼合されるのは、非表示画素領域内に存在する余剰に形成した第1及び第2位相差領域がピッチd1で交互に配置されている領域であるので、表示画素領域端部での、パターン乱れ、位置ズレによる影響はほとんどない。
【0038】
また、本発明のパターン位相差フィルムは、表示画素部に対応する表示画素領域を、幅方向に複数有していてもよい。さらに、2以上の表示画素領域の間に、前記マークが存在する非表示画素領域が配置されていてもよい。2以上の表示画素領域を有する態様では、互いの表示画素領域中の第1及び第2位位相差領域のピッチは、互いに異なっていてもよい。2つの表示画素領域の間に存在する線状のマークは、商品区分のための管理上のマークとしてのみ使用されてもよい。
【0039】
本発明のパターン位相差フィルムは、3D画像表示装置、特にパッシブ方式の3D画像表示装置の部材として有用である。この態様では、第1及び第2位相差領域のそれぞれを通過した偏光画像は、偏光眼鏡等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。従って、左右画像が不均一とならないように、第1及び第2位相差領域は、互いに等しい形状であるのが好ましく、また、それぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
【0040】
表示画素領域の一例は、第1及び第2の位相差領域の位相差(面内レターデーションRe)がλ/4であるλ/4層であって、各領域の遅相軸が互いに直交するパターンλ/4層である。図6にパターンλ/4層の一例の上面模式図を示す。図6中の第1及び第2位相差領域及びの面内レターデーションは、それぞれλ/4程度であり、互いに直交する面内遅相軸a及びbをそれぞれ有するパターンλ/4層である。この態様のパターン光学異方性層を偏光膜と組み合わせると、第1及び第2の位相差領域のそれぞれを通過した光は互いに逆向きの円偏光状態になり、それぞれ右眼及び左眼用の円偏光画像を形成する。
【0041】
表示画素領域は、上記態様に限定されるものではない。第1及び第2位相差領域の一方の面内レターデーションがλ/4であり、且つ他方の面内レターデーションが3λ/4である表示画素領域を利用することができる。さらに、第1及び第2位相差領域14及び15の一方の面内レターデーションがλ/2であり、且つ他方の面内レターデーションが0である表示画素領域を利用することもできる。
【0042】
また、第1及び第2の位相差領域の各パターンの面内遅相軸は、パターン配向膜等を利用することで、互いに異なる方向、例えば互いに直交する方向、に調整することができる。パターン配向膜としては、マスク露光によりパターニング配向膜を形成可能な光配向膜、及びマスクラビングによりパターニング配向膜を形成可能なラビング配向膜、異種の配向膜(例えば、ラビングに対して、直交又は平行に配向する材料)を印刷他でパターニング配置したものなど、いずれも利用することができる。
【0043】
なお、図1〜4では、非表示画素領域を、表示画素領域の外側上下の双方に有する態様を示したが、上下方向の少なくともいずれか一方に有していればよい。
【0044】
本発明のパターン位相差フィルムは、図1〜図4に簡略化して示した態様に限定されるものではなく、他の部材を含んでいてもよい。例えば、上記した通り、パターン光学異方性層を、配向膜を利用して形成する態様では、支持体フィルムとパターン光学異方性層との間に、配向膜を有していてもよい。また、外側表面には、ハードコート層、反射防止層とともに(又はそれに替えて)、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等が配置されていてもよい。
【0045】
本発明は、本発明のパターン位相差フィルムの製造方法にも関する。本発明の製造方法は、本発明のパターン位相差フィルムの製造方法であって
長尺のフィルムを搬送しつつ、該フィルムの表面に、長手方向に沿って、表示画素領域と、線状のマークを有する非表示画素領域とを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0046】
本発明の製造方法では、例えば、ロール形態に巻き上げられた長尺状のフィルムを、送り出し、搬送しながら、その表面に連続的に表示画素領域を形成しつつ、表示画素領域の外側に、線状のマークを有する非表示画素領域を形成し、アライメント用、商品管理用、又は商品検査用等のマーク付きの長尺状のパターン位相差フィルムを連続的に製造する。所望により再びロール形態に巻き上げ、ロール形態で、保存・搬送してもよい。本発明によれば、いわゆるロールツーロールプロセスで、種々の用途のマーク付きパターン位相差フィルムを作製でき、パターン位相差フィルムの生産性の向上に大きく寄与する。
【0047】
本発明の製造方法では、液晶組成物を利用して表示画素領域を形成するのが好ましく、液晶を主成分とする同一の硬化性液晶組成物を利用して、第1及び第2位相差領域を形成するのが好ましく、パターン露光により表示画素領域を形成するのが好ましい。
【0048】
露光工程の一例の斜視模式図を図7に示す。露光工程の一例は、液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層や配向膜を表面に有する長尺のフィルムを、ロール、ドラム等の搬送部材によって搬送しつつ、その上部から、開口部を有するマスクを介して実施される。マスクには、複数の開口部が規則的に配置されている。例えば、第1及び第2位相差領域のピッチd1に応じた幅D1の開口部、及び2つの開口部を隔てる幅D1の遮光部とからなっていてもよい。また、開口部の形状や幅をそれぞれ変えることにより、露光量や露光面積を調整可能なマスクを利用してもよい。
【0049】
また、露光工程では、露光量(露光強度)のオン・オフ(即ち、マスクの開口部と遮光部による)パターン露光だけでなく、露光装置の開口部の形状を変えて露光量を変えることで実現できるハーフ露光により露光することもできる。
【0050】
図8に、本発明の方法に利用可能なマスクの他の例の上面模式図を示す。図8に示すマスクは、第1及び第2位相差領域のピッチd1に応じた幅D1の開口部、及び2つの開口部を隔てる幅D1の遮光部とからなる第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有するマスクである。第1マスク領域を介してパターン露光された領域は、表示画素領域となり、第2マスク領域を介してパターン露光された領域は、マークを含む非表示画素領域になる。線状のマークが、非表示画素領域に形成されたパターンを構成する位相差領域の境界線である態様では、第2マスク領域が有する開口部の幅D2は、d2に応じた大きさになる。一方、線状マークとは別に、非表示画素領域にパターンを形成する態様では、第2マスク領域が有する開口部の幅D2は、d2に応じている必要はなく、所望のパターンのピッチd3に応じた大きさにすることができる。D2>D1であるのが好ましい。
【0051】
図9に本発明の方法に利用可能なマスクの一例の上面模式図を示す。図9に示すマスクは、図8と同様、第1及び第2位相差領域のピッチd1に応じた幅D1の開口部、及び2つの開口部を隔てる幅D1の遮光部とからなる第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有し、且つ第2マスク領域の開口部の長さ(フィルム搬送方向)が、第1マスク領域の開口部の長さより長くなっているマスクである。これにより露光量を任意に変更することが可能となり、表示画素領域とは、位相差等の光学特性が異なるパターンを形成することができる。
【0052】
図10に本発明の方法に利用可能なマスクの他の例の上面模式図を示す。図10に示すマスクは、図9に示すマスクと同様、第1及び第2マスク領域を有するとともに、幅D3の開口部を有する第3マスク領域を有する。このマスクは、画素ピッチが互いに異なる表示パネル(表示画素領域A及びBに対応)、即ち、異なる機種に対応するパターン位相差フィルムを同時に形成するために用いることができる。このようにすることで、フィルム幅一定の制約下においても、フィルム面を有効に利用し、コスト低減を実現することができる。また、このマスクは、表示画素領域のパターンとは別に、商品管理及び/又は商品検査等のパターンを、非表示画素領域に形成するため等にも用いることができる。
【0053】
露光であるが、位相差層の制御方法に応じて、直線偏光、非偏光などの光源を用いることが可能であり、同時に、それに適した(光)配向膜などが必要である。
露光工程は、フィルム上に形成された液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層に対して行っても、又は該塗布層下の液晶の配向を制御するための配向膜に対して行ってもよい。ここで、従来よりよく知られている直線偏光を用いた光配向技術によりパターン位相差フィルムを形成することは可能であるが、特に、一方向に配向処理された配向膜を利用して、一種の硬化性液晶組成物から、パターン位相差領域を形成できると、連続生産において有利である。
【0054】
一例は、以下の通りである。
長尺フィルム上に、一方向に配向処理された配向膜を形成する工程と、
該配向膜上に、液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層を形成し、
前記塗布層中の液晶を配向処理方向に平行にもしくは直交に配向させた後に、パターン露光して、当該露光部に第1位相差領域を形成する第1の露光工程と、
非露光部の塗布層中の液晶を配向処理方向とは異なる方向(例えば、直交にもしくは平行)に配向させた後に露光して、第2位相差領域を形成する第2の露光工程とを含む方法である。
【0055】
第1の露光工程は、開口部を有するマスク等を介して実施する。第2の露光工程は、全面に露光してもよいし、他のマスクを用いて、第2の位相差領域に相当する未露光部のみに露光してもよい。また、上記した通り、第1の露光工程で、非表示画素領域の位相差領域に対応する位置に存在する塗布層にもパターン露光し、さらに第2の露光工程を経ることで、位相差や遅相軸が互いに異なるピッチ等が異なるパターンを形成してもよい。第2位相差領域を第1位相差領域とは異なる配向状態にする方法の一例としては、非露光部を熱処理などの外部刺激により配向を制御している作用を消失させ、第1位相差領域とは異なる配向状態にする方法が挙げられる。
【0056】
他の例は、以下の通りである。
長尺フィルム上に、一方向に配向処理された配向膜を形成する工程と、
該配向膜を、パターン露光して、露光部に、配向処理によって生じた配向制御能とは異なる配向制御能を有する第1の配向制御領域を、未露光部に、配向処理によって生じた配向制御能を有する第2配向制御領域を形成するパターン露光工程と、
該配向膜上に、液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層を形成し、
前記塗布層中の液晶を、第1の配向制御領域、及び第2の配向制御領域のそれぞれの配向制御能により、互いに異なる方向に配向させる工程、
上記配向状態を、維持したまま配向状態を固定し、第1及び第2の位相差領域を形成する工程とを含む方法である。
【0057】
前記方法では、パターン露光工程は、開口部を有するマスク等を介して実施する。また、パターン露光工程では、非表示画素領域の位相差領域に対応する位置に存在する配向膜にもパターン露光し、第1及び第2位相差領域を、加熱下等の条件下で重合反応等を進行させることで形成する際に、当該配向膜上の塗布層の重合反応も進行させて、非表示画素領域のパターンを同時に形成してもよい。
【0058】
前記露光工程を実施しつつ、該表示画素領域の外側のフィルム表面に、レーザー照射により、又は機械的作用を供与することにより、長手方向に沿って線状のマークを形成してもよい。
【0059】
図12に、ロール状の刃で、線状のマークを形成する方法の一例の模式図を、図13に、レーザー照射により、線状のマークを形成する方法の一例の模式図をそれぞれ示す。ロール状の刃を、フィルム表面に接触させて配置し、又はレーザーヘッドをフィルム上部に配置し、搬送されるフィルムの表面に、微細な凹部又はレーザー痕を線状に連続的に形成する。ロール状の刃及びレーザーヘッドは、露光を行う露光装置等よりも上流に配置されていても、下流に配置されていてもよい。
【0060】
図12及び図13では、フィルムの幅方向の両端部に、ロール状の刃及びレーザーヘッドを配置した構成を示したが、一方の端部にのみ配置してもよい。また、より多くの刃及びレーザーヘッドを配置して、複数の線状のマークを、フィルムの幅方向の一方の端部又は両端部に形成してもよい。工程上は、パターン位相差のパターンを確定する工程、即ち、通常、露光工程の上流側、同時、下流側で行うことが可能であるが、パターン位相差との高い位置精度がアライメントとして要求されることから、出来るだけ近い工程で行われることが好ましい。
【0061】
以下に、本発明に利用可能な、液晶組成物を利用した、パターン露光による表示画素領域及び非表示画素領域のパターンの形成方法のいくつかの例について詳細に説明する。
【0062】
上記した通り、表示画素領域等のパターンを、一方向に配向処理された配向膜を利用して、一種の硬化性液晶組成物から形成できると、連続生産において有利である。重合性基を有する液晶化合物、特に重合性基を有するディスコティック液晶化合物を主成分とする組成物を利用する方法として、以下の方法を利用できる。
【0063】
第1の態様は、液晶の配向制御に影響を与える複数の作用を利用し、その後、外部刺激(熱処理等)によりいずれかの作用を消失させて、所定の配向制御作用を支配的にする方法である。例えば、配向膜による配向制御能と、液晶組成物中に添加される配向制御剤の配向制御能との複合作用により、液晶を所定の配向状態とし、それを固定して一方の位相差領域を形成した後、外部刺激(熱処理等)により、いずれかの作用(例えば配向制御剤による作用)を消失させて、他の配向制御作用(配向膜による作用)を支配的にし、それによって他の配向状態を実現し、それを固定して他方の位相差領域を形成する。例えば、所定のピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため前記親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基が、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。前記ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特にディスコティック液晶との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。しかし、その効果は、ある温度を超えて加熱すると、水素結合が切断され、前記ピリジニウム化合物等の配向膜表面における密度が低下し、その作用を消失する。その結果、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向し、液晶は平行配向状態になる。この方法の詳細については、特願2010−141345号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0064】
第2の態様は、パターン配向膜を利用する態様である。この態様では、互いに異なる配向制御能を有するパターン配向膜を形成し、その上に、液晶組成物を配置し、液晶を配向させる。液晶は、パターン配向膜のそれぞれの配向制御能によって配向規制され、互いに異なる配向状態を達成する。それぞれの配向状態を固定することで、配向膜のパターンに応じて第1及び第2の位相差領域のパターンが形成される。パターン配向膜は、印刷法、ラビング配向膜に対するマスクラビング、光配向膜に対するマスク露光等を利用して形成することができる。また、配向膜を一様に形成し、配向制御能に影響を与える添加剤(例えば、上記オニウム塩等)を別途所定のパターンで印刷することによって、パターン配向膜を形成することもできる。大掛かりな設備が不要である点や製造容易な点で、印刷法を利用する方法が好ましい。この方法の詳細については、特願2010−173077号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0065】
また、第1及び第2の態様を併用してもよい。一例は、配向膜中に光酸発生剤を添加する例である。この例では、配向膜中に光酸発生剤を添加し、パターン露光により、光酸発生剤が分解して酸性化合物が発生した領域と、発生していない領域とを形成する。光未照射部分では光酸発生剤はほぼ未分解のままであり、配向膜材料、液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。配向膜へ光照射し、酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。前記配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。使用可能な光酸発生剤の例には、Prog. Polym. Sci., 23巻、1485頁(1998年)に記載の化合物が含まれる。前記光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。この方法の詳細については、特願2010−289360号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0066】
この態様では、配向膜への光照射の露光量が0〜50mJ未満であると、露光量が0〜50mJ未満であると、配向膜材料、ディスコティック液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、ディスコティック液晶は、その遅相軸がラビング方向と垂直直交する方向に配向する(図13(a))。露光量が50〜100mJ未満であると、例えば、光酸発生剤から酸性化合物が発生し、前記相互作用による支配が弱まり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、ディスコティック液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして垂直平行配向する(図13(b))。露光量が100mJを超えると、配向膜面の表面エネルギーが大きくなり、垂直配向が維持できなくなることにより、ディスコティック液晶は、ハイブリッド配向する(図13(c))。また、ハイブリッド配向にする場合、開口部を適宜調節することで、プレチルト角の制御も可能である。なお、図13中の矢印は、ラビング処理方向を表す。
【0067】
さらに、第3の態様として、重合性が互いに異なる重合性基(例えば、オキセタニル基及び重合性エチレン性不飽和基)を有するディスコティック液晶を利用する方法がある。この態様では、ディスコティック液晶を所定の配向状態にした後、一方の重合性基のみの重合反応が進行する条件で、光照射等を行い、プレ位相差層を形成する。次に、他方の重合性基の重合を可能にする条件で(例えば他方の重合性基の重合を開始させる重合開始剤の存在下で、マスク露光を行う。露光部の配向状態は完全に固定され、所定のReを有する一方の位相差領域が形成される。未露光領域は、一方の反応性基の反応が進行しているものの、他方の反応性基は未反応のままとなっている。よって、等方相温度を超え、他方の反応性基の反応が進行可能な温度まで加熱すると、未露光領域は、等方相状態に固定され、即ち、Reが0nmになる。
【0068】
本発明に利用可能な支持体(支持体フィルム)としては、その材料については特に制限はない。低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的には、面内レターデーションの絶対値が約10nm以下のフィルムを用いるのが好ましい。偏光膜とパターン位相差フィルムとの間に、偏光膜の保護膜が配置されている態様でも、該保護膜として、低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的範囲については、上記通りである。
【0069】
本発明に使用可能な支持体フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0070】
また、前記フィルムの材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
【0071】
また、前記フィルムの材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。
【0072】
前記支持体フィルムの製法については特に制限はなく、溶液製膜法であっても溶融製膜法であってもよい。また、レターデーションの調整のために延伸処理が施された延伸フィルムを用いてもよい。
【0073】
前記方法により、表示画素領域を形成した後、さらにその表面上に、または支持体フィルムの裏面(表示画素領域を構成する光学異方性層が形成される表面と反対側の表面)上に、所定の機能を有する表面層を形成してもよい。また、支持体フィルムとして、あらかじめその裏面(表示画素領域を構成する光学異方性層が形成される表面と反対側の表面)に、表面層が形成されたフィルムを用いてもよい。表面層は、外部からの物理的衝撃から保護するためのハードコート層や、外光の映り込みを防止するための反射防止層等が挙げられる。一例は、ハードコート層及び反射防止層が積層された例である。上記表面層は、上記層とともに、又は上記層に替えて、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を有していてもよい。上記反射防止層及びハードコート層を構成する各層の詳細については、特開2007−254699号公報の[0182]〜[0220]に記載があり、本発明に利用可能な反射防止層についても好ましい特性、好ましい材料等について、同様である。
【0074】
本発明は、本発明のパターン位相差フィルムを有する光学積層体の製造方法にも関する。前記方法は、パターン位相差フィルムのマークを目印にして、光学要素の光学単位又は光学軸と位置合わせして貼合わせることを特徴とする。表示画素領域と位置合わせする光学要素の一例は、表示素子であり、光学単位又は光学軸の一例は、画素であり、具体的には、液晶パネルの画素、偏光膜の透過軸である。
【0075】
前記パターン位相差フィルムは、表示画素領域の長手方向に沿って線状のマークが形成されているので、パターン周期方向における位置合わせが容易であり、表示画素領域と表示素子の画素とを精密に位置合わせすることができる。このため、3D画像表示装置に使用することで、クロストークの発生を防止できる。
【0076】
本発明の位相差フィルムが有する線状のマークは、位置合わせのみならず、裁断のためのマークとしても利用することができる。さらに、同一のフィルム上に、異機種用の互いに異なるピッチの表示画素領域を形成する場合には、その製品区分として、前記線状のマークを活用することもできる。
【0077】
本発明は、本発明のパターン位相差フィルムを有する3D画像表示装置にも関する。一例は、本発明のパターン位相差フィルムと、直線偏光膜と、表示パネルとを少なくとも有する立体画像表示装置である。前記パターン位相差フィルム及び直線偏光膜は、表示パネルの視認側表面に配置され、入射する光を、右眼用及び左眼用の偏光画像(例えば円偏光画像)に分離する。観察者は、これらの偏光画像を、偏光眼鏡(例えば円偏光眼鏡)等の偏光板を介して観察し、立体画像として認識する。
【0078】
なお、本発明のパターン位相差フィルムが有する線状のマークが存在する非表示画素領域は、表示パネルと貼合する際に、表示パネルのCF基板の端部のブラック領域等の表示画素部外の部分に貼合される。
【0079】
本発明では、表示パネルについてなんら制限はない。例えば、液晶層を含む液晶パネルであっても、有機EL層を含む有機EL表示パネルであっても、プラズマディスプレイパネルであってもよい。いずれの態様についても、種々の可能な構成を採用することができる。また、液晶パネル等は、視認側表面に画像表示のための偏光膜を有するが、本発明のパターン偏光板が有する偏光膜は、当該偏光膜を兼ねていても勿論よい。
【0080】
表示パネルの一例は、透過モードの液晶パネルであり、一対の偏光膜とその間に液晶セルとを有する。偏光膜のそれぞれと液晶セルとの間には、通常、視野角補償のための位相差フィルムが配置される。液晶セルの構成については特に制限はなく、一般的な構成の液晶セルを採用することができる。液晶セルは、例えば、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを含み、必要に応じて、カラーフィルタ層などを含んでいてもよい。液晶セルの駆動モードについても特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)、ブルーフェイズ等の種々のモードを利用することができる。
【0081】
本発明のパターン位相差フィルムを、3D画像表示装置の視認側表面に配置する場合は、ハードコート層等の表面層を表面に配置するのが好ましい。例えば、図15に断面模式図として示す通り、本発明のパターン位相差フィルムは、液晶表示装置のフロント側(親面側)偏光板と、粘着剤又は接着剤を利用して一体化され、表示装置に組み込まれる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0083】
[実施例1]
図1と同様の構成の位相差フィルムを作製した。表示画素領域には、互いの面内遅相軸が直交し(±45度方向に遅相軸を有する)、位相差がλ/4である、第1及び第2の位相差領域(ピッチd1は282μm)を、配向膜及びディスコティック液晶を利用して、それぞれ形成した。非表示画素領域には、ピッチd1の2倍の幅d2(=d3=564μm)で、上記第1及び第2の位相差領域を形成した。
【0084】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。貼合作業には、クライムプロダクツ(株)製の高精度貼合装置を用いた。
【0085】
[実施例2]
実施例1において、非表示画素領域に第1及び第2位相差領域を形成せず、ピッチd1(=282μm)の表示画素領域の外側d2(=564μm)の位置に、線状のマークを、マーキング刃を用いて連続的に形成した以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
【0086】
TFT液晶パネルの代わりに、マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。
【0087】
[実施例3]
実施例2において、線状のマークを、ロール上でCO2レーザーを連続的に照射して形成したレーザー痕とした以外は、実施例2と同様にして位相差フィルムを作製した。
【0088】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。
【0089】
[比較例1]
実施例1において、図16に示すように線状のマークを有する非表示画素領域を設けなかった以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
【0090】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、平行度の確認、位置合わせが極めて困難であり、高精度のアライメントができなかった。
【0091】
[実施例4]
表示画素領域には、互いの面内遅相軸が直交し、位相差がλ/4である、第1及び第2の位相差領域(ピッチd1は282μm)を、配向膜及びディスコティック液晶を利用して、それぞれ形成した。非表示画素領域には、表示画素領域のパターンのピッチd1の倍の幅d2(=d3=564μm)の位相差領域を形成した。第1及び第2の位相差領域、並びに非表示画素領域の位相差領域形成のための露光量を、図13に示す様にそれぞれ調整し、垂直直交配向状態及び垂直平行配向状態をそれぞれ固定して、第1及び第2位相差領域を形成するとともに、ハイブリッド配向状態を固定して、非表示画素領域の位相差領域形成を形成した。即ち、アライメントの基準線として、垂直平行配向領域とハイブリッド配向領域との境界線、又は垂直直交配向領域とハイブリッド配向領域との境界線を利用した。
【0092】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したそれぞれのパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。
【0093】
なお、上記実施例では、1回の配向処理で複数の液晶配向を制御してパターニング位相差フィルムを形成する方法を主として説明したが、広く他の制御手法(偏光光配向など)も適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
12 パターン光学異方性層
13 支持体フィルム
14 第1位相差領域
15 第2位相差領域
16 表示画素領域
17 非表示画素領域
17A、17B 線状のマーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学要素との位置合わせの困難性を解決する技術に関する。より詳細には、裁断用又は位置合わせ用のマークを有するパターン位相差フィルム、並びにその製造方法及びそれを有する3D画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3D表示の方式に、偏光眼鏡方式(パッシブ眼鏡)がある。この方式は、2次元(2D)表示時の画質の劣化を伴わない点にも大きなメリットであり、3Dのコンテンツが十分と言えない現状では、2D−3D切り替えの実現が可能である点で、有力の方式と言える。パッシブ眼鏡方式では、表示パネルからの出射光を異なる2種の偏光状態(例えば、右偏円光と左円偏光)にし、一方の偏光のみを透過する偏光板を右眼用に、及び他方の偏光のみを透過する偏光板を左眼用にして構成された偏光眼鏡を通じて表示画面を観察させることで、立体感のある画像として認識させるものである。
【0003】
パッシブ眼鏡方式において、出射光を異なる2種の偏光状態にするために、パターン位相差板が用いられている。パターン位相差板は、一般的には、遅相軸及び/又は位相差が異なる位相差領域を規則的に配置したパターン位相差層と、それを支持する支持体とからなる(例えば、特許文献1及び2)。従来、該支持体として、ガラス基板が用いられていたが、取り扱い性、薄型化及び軽量化等の観点で、支持体としてフィルムを用いたパターン位相差フィルム(FPR)が注目されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
ところで、3D画質を評価する際、最も重要な項目の一つがクロストークである。3Dにおけるクロストークとは、左右各々の眼にどれだけ望ましい形で、3D表示のための所定の光が入射するかの度合い、即ち、左眼に入射する右眼用の表示情報光量の割合、右眼に入射する左眼の表示情報光量の割合で表すことが出来、当然、クロストークが小さいほど、3D表示の画質は高いものとなる。クロストークを発生させないためには、表示装置の画素とパターニング位相差板の各パターンとを、精度良く位置合わせさせて、貼り合わせることが重要である。このため、貼り合せの際の位置合わせ精度を上げるために、何らかのアライメントマーク、基準が必要である。
【0005】
例えば、高精度のアライメントマークを新たな層で形成する方法が考えられるが、経済的な観点からFPRの使用を試みるにも拘らず、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0006】
また、例えば、特許文献4には、アライメントマークの形成領域に、一方の配向領域用の配向膜を形成し、アライメントマークの形成領域に他方の配向領域用の配向膜を備えるパターン化位相差板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−59949号公報
【特許文献2】米国特許第5327285号明細書
【特許文献3】特許第4508280号公報
【特許文献4】特許第4176600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献4に記載の方法は、ガラス板などの枚葉プロセスを前提としたものであり、ロールプロセス(ロールツーロール)には適用できないという問題があった。FPRが経済的に優れていることの一因は、長尺状に連続的に生産できることにあり、アライメントマークについても連続生産の工程の中で簡易に形成できることが望ましい。
【0009】
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学素子との位置合わせの困難性を解決することを課題とする。
また、本発明は、裁断又は他の光学素子との位置合わせが容易なパターン位相差フィルム、並びにその簡易な製造方法、及びそれを有する3D画像表示装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、クロストークの軽減に寄与するパターン位相差フィルム、その簡易な製造方法、それを有する3D画像表示装置、及びそれを利用した光学積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、
前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び
前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、
d1とd2が等しくないことを特徴とするパターン位相差フィルム。
[2] d2>d1である[1]のパターン位相差フィルム。
[3] 前記非表示画素領域に、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に交互に配置されているパターンを有する[1]又は[2]のパターン位相差フィルム。
[4] 前記非表示画素領域のパターンのピッチがd1である[3]のパターン位相差フィルム。
[5] 前記非表示画素領域のパターンのピッチがd3であり、d3>d1である[3]のパターン位相差フィルム。
[6] 前記マークが、画像表示装置の貼り付けのための又は裁断のためのアライメントマークである[1]〜[5]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[7] 前記マークが、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる位相差領域の境界線である[1]〜[6]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[8] 前記マークが、レーザーを照射することで形成した線状のレーザーマーキング痕である[1]〜[6]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[9] 前記マークが、機械的に設けた線状のマーキング痕である[1]〜[6]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[10] 前記第1及び第2位相差領域が、面内遅相軸が互いに直交し、且つReがλ/4の位相差領域である[1]〜[9]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[11] 前記第1及び第2位相差領域が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物から形成されている[1]〜[10]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[12] 前記第1及び第2位相差領域の一方が、ディスコティック液晶の垂直直交配向状態を固定してなる領域であり、他方が、ディスコティック液晶の垂直平行配向状態を固定してなる領域である[1]〜[11]のいずれかのパターン位相差フィルム。
[13] 前記非表示画素領域に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向を固定してなる領域を有する[12]のパターン位相差フィルム。
[14] [1]〜[13]のいずれかのパターン位相差フィルムの製造方法であって、
長尺のフィルムを搬送しつつ、該フィルムの表面に、長手方向に沿って、表示画素領域と、線状のマークを有する非表示画素領域とを形成することを特徴とするパターン位相差フィルムの製造方法。
[15] パターン露光により表示画素領域のパターンを形成する露光工程を含む[14]の方法。
[16] 前記露光がハーフ露光である[15]の方法。
[17] 前記露光工程において、非表示画素領域のパターンのピッチd1に応じた幅D1の開口部を有する第1のマスク領域を有する露光マスクを介してパターン露光する[15]又は[16]の方法。
[18] 前記露光工程により、非表示画素領域にも、パターン露光を行い、パターンを形成する[15]〜[17]のいずれかの方法。
[19] 前記マスクが、前記第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有するマスクである[17]又は[18]の方法。
[20] 前記フィルムの表面に、パターン露光により長手方向に沿って前記表示画素領域を形成しつつ、該表示画素領域の外側のフィルム表面に、レーザー照射により、又は機械的作用を供与することにより、長手方向に沿って前記マークを形成する[14]〜[19]のいずれかの方法。
[21] 前記露光工程が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物の塗布層を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該塗布層をパターン露光する工程である[15]〜[20]のいずれかの方法。
[22] 前記露光工程が、配向膜を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該配向膜をパターン露光する工程である[15]〜[20]のいずれかの方法。
[23] フィルム表面に形成された前記マークを基準線として、長尺状のパターン位相差フィルムを裁断する工程をさらに含む[13]〜[22]のいずれかの方法。
[24] [13]〜[23]のいずれかの方法によりパターン位相差フィルムを製造すること、
該パターン位相差フィルムの前記マークを基準線として、光学要素の光学単位又は光学軸と位置合わせして貼合わせることを含む光学積層体の製造方法。
[25] 前記光学要素が表示素子であり、且つ前記光学単位が画素である[24]の方法。
[26] 3D画像表示装置に用いられる光学積層体の製造方法である[25]の方法。
[27] [1]〜[13]のいずれかのパターン位相差フィルムを有する3D画像表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、微細なパターンを有するパターン位相差フィルムの裁断及び他の光学素子との位置合わせの困難性を解決することができる。
また、本発明によれば、裁断又は他の光学素子との位置合わせが容易なパターン位相差フィルム、その簡易な製造方法、及びそれを有する3D画像表示装置を提供することができる。
また、本発明によれば、クロストークの軽減に寄与するパターン位相差フィルム、それを有する3D画像表示装置、及びそれを利用した光学積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図である。
【図2】本発明のパターン位相差フィルムの一例の断面模式図である。
【図3】本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図である。
【図4】本発明のパターン位相差フィルムの一例の断面模式図である。
【図5】本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図を、貼合する表示パネルの上面模式図とともに示した図である。
【図6】本発明に利用可能な表示画素領域の一例の上面模式図である。
【図7】本発明のパターン位相差フィルムの製造方法の露光工程の一例の斜視模式図である。
【図8】本発明に利用可能なマスクの一例の上面模式図である。
【図9】本発明に利用可能なマスクの一例の上面模式図である。
【図10】本発明に利用可能なマスクの一例の上面模式図である。
【図11】マーキング痕を機械的に設ける場合の一例の斜視模式図である。
【図12】マーキング痕をレーザーで設ける場合の一例の斜視模式図である。
【図13】垂直直交配向、垂直平行配向及びハイブリッド配向の一例の模式図である。
【図14】パターン位相差フィルムのパターンと画素との位置ズレを説明するために用いた模式図である。
【図15】3D液晶表示装置の液晶セルより視認側に配置される偏光膜、位相差フィルムの積層状態の一例の断面模式図である。
【図16】比較例1のパターン位相差フィルムの上面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
本明細書において、「長手方向」という場合は、パターン位相差フィルムのストライプ状のパターンの長さ方向をいい、パターン周期方向と直交する方向をいう。本明細書では、長尺状のパターン位相差フィルムでは、フィルムの長手方向と、パターンの長手方向は一致する。
また、本明細書では、「パターン位相差フィルム」の用語は、実際に使用される大きさに裁断された形態のフィルムのみならず、長尺状のパターン位相差フィルムや、ロール形態に巻き上げられたロール状のパターン位相差フィルム等、裁断前の形態のフィルムに対しても用いるものとする。
また、本明細書では、パターン位相差フィルムの「表示画素領域」とは、これと貼合する表示装置の表示画素部(表示可能なTFTアレイ領域に対応した領域、ゲート、データバスラインを含む)に貼合される領域をいい、「非表示画素領域」とは、これと貼合する表示装置の表示画素部以外であって、表示パネルの表示画素領域外周部(通常、CF基板の外周部のブラック領域等に対応)に貼合される領域をいう。
【0015】
本発明のパターン位相差フィルムは、画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、
前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び
前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った光学的に識別可能な線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、
d1とd2が等しくないことを特徴とする。
【0016】
パターン位相差フィルムは、理想上は、図14(a)のように、横ストライプ状のパターン位相差層(図14(a)では、横ストライプ状の±λ/4層が交互に配置されたパターン位相差層の例を示す)が、画素と精密にアライメント配置、位置合わせされている状態である。
しかしながら、アライメントマークや基準などがないと、図14(b)に示す通り、表示画素との位置ズレが生じる場合があり、クロストークが発生する原因となる。クロストークの発生を防止するために、精密なアライメント配置、位置合わせが要求されるが、アライメントマークや基準がないと、パターニングラインの平行度の確認を含め、容易ではない。
【0017】
従来、LCDなどのアライメントマークは、フォトレジストを利用したフォトリソグラフィーの工程により形成されており、フィルム表面に対してXY座標(パターン周期方向とパターン長手方向)を特定することを基準としていた。しかし、パターン位相差フィルムにおいてクロストークの原因となる位置ズレは、パターン周期方向での位置ズレであって、ストライプパターンの長手方向の位置ズレは、クロストークには影響しない。パターン周期方向における位置ズレを防止するためには、パターニングラインの平行度の確認等が容易な、パターンの長手方向に平行なアライメントマークが重要である。また、パターン位相差フィルムを連続的に長尺状に製造する場合は、パターンを長手方向に沿って形成するのが一般的である。この様な連続的な製造プロセスにおいて、アライメントマークを同時に形成できれば、生産性を格段に改善できる。
【0018】
本発明では、第1及び第2位相差領域がストライプ状に交互に配置されているパターンを有する表示画素領域の外側に、第1及び第2位相差領域の長手方向に沿って線状のマークが存在する非表示画素領域を形成し、当該領域を裁断時及び他の光学要素との貼り合せ時のアライメントに利用することにより、クロストークに起因する、パターン周期方向における位置ズレを効果的に防止するとともに、連続生産におけるアライメントマーク形成の困難性を軽減している。また、非表示画素領域に、さらに、表示画素領域と同一で且つピッチも同一のパターンを形成しておくことにより、パターン位相差フィルムの表示画素領域を表示パネルに貼合する際に、表示面上下方向に若干の位置ズレがあっても、非表示画素領域のパターンによって補うことができる。また、非表示画素領域に、表示画素領域と同一であるが、ピッチが異なる(好ましくピッチがより大きい)パターンを形成し、当該パターンを商品管理及び/又は商品評価に利用することもできる。
【0019】
具体的には、本発明のパターン位相差フィルムは、ピッチd1のパターンを有する表示画素領域から外側の距離d2の位置に線状のマークが存在する非表示画素領域を有し、d1とd2が等しくしないことを特徴とする。パターン位相差フィルムのパターンのピッチは、一般的には100〜1000μmオーダーであり、位置合せは、偏光顕微鏡等の観察下において行われるのが一般的である。偏光顕微鏡下で観察すると、第1及び第2位相差領域の境界ラインとして観察される。非表示画素領域にも、同一のパターンピッチでパターン位相差を形成した場合には、偏光顕微鏡等による観察により、上記ラインを検出することは容易に可能であるが、表示装置の表示画素部との平行度を確認することは、必ずしも容易ではない。本発明では、ピッチd1と、d2とが異なっているので、表示画素領域のパターン内に存在するラインと、非表示画素領域に存在する線状のマークとを容易に判別することができる。
【0020】
なお、本発明において、線状のマークは、少なくとも光学的に識別可能であればよく、目視にて黒等の線として認識されるものの他、偏光顕微鏡によって観察することによって、黒等の線として認識されるものも含む。レーザーによるレーザー痕や、カッター刃などによって形成される切込みなどのほか、光学特性が互いに異なる(面内遅相軸の方向及び/又は位相差の大きさ)位相差領域の境界線であってもよい。
【0021】
d1及びd2の差は、判別できる程度の差であればよい。大小関係については、d2>d1であるほうが、アライメント操作において有利である。例えば、d2が大きければ、フィルムの上下の判断を目視(偏光メガネ等は必要に応じて使用)にて行う等にも利用することができる。また、上記した通り、非表示画素領域に、表示画素領域と同一であるが、ピッチが異なる(好ましくピッチがより大きい)パターンを形成し、当該パターンのピッチd3を、ピッチd1よりも大きくすれば、当該領域の位相差の測定が容易であり、商品管理及び/又は商品評価に利用するのに有利である。d1は一般的には、100〜1000μmであるので、線状のマークの位置は、は本発明の場合それとの区別可能なように、表示画素領域からの距離d2は、200〜2000μmであるのが好ましく、又それ以上であってもよい。表示画素端からの距離d2の好ましい範囲は、貼合されるディスプレイの額縁幅の設計に依存して決定されるのが好ましい。アライメントマークは、ピッチd1のパターンと区別しやすいことが重要であるとともに、アライメントの相手となる表示パネルのTFT基板又はCF基板に設けられる何らかのパターンエッジ位置に一致もしくはその近傍に存在することが、同一カメラで同時認識(高倍率で)できることにおいて重要である。例えば、液晶表示パネルにおいては、カラーフィルタの画素パターンの周囲及び表示画素領域の外周領域を一定幅で遮光(ブラックマトリクス及びその周辺部であって、ディスプレイのブラックのパターニングエッジ部、以下「ブラック部」という)した構成になっているので、そのブラック部の位置にd2を一致させるのが好ましい。そしてこの値は、通常の設計では、数mm〜10mm程度(小型又は特殊用途(Tiled Displayなど)のディスプレイでは、この範囲より極端に狭い設計になっている場合もあるので、この範囲に限定されるものではない)である。従って、アライメントマークに適するという観点からは、前記線状のマークの位置を特定するd2は、d1と異なることを前提として、その好ましい範囲は、ディスプレイのブラック部のエッジ位置との関係で決定され、表示画素領域の端部からの距離d2は、数mm〜10mm程度であるのが好ましい。
【0022】
また、本発明のパターン位相差フィルムは、上記した通り、非表示画素領域にピッチd3のパターンを有していてもよい。非表示画素領域に形成されるパターンのピッチd3についても特に制限はない。d3はd1より大きいのが好ましい。非表示画素領域に存在する位相差領域パターン間の境界線を、前記線状のラインとして利用する態様では、d2=d3×nになる(nは1以上の整数であって、非表示画素領域に形成されたパターンの数である)ので、d3はd2と同様、200〜2000μmであるのが好ましい。一方、上記した通り、非表示画素領域に、表示画素領域と同一で且つピッチも同一のパターンを形成してもよく、その態様では、d1=d3となるので、d3はd1と同様、100〜1000μmであるのが好ましい。また、商品管理や商品試験等用に、d1にも等しくなく、d2にも等しくないピッチd3のパターンを非表示画素領域に形成してもよく、その態様では、d3が大きいほど、商品管理及び商品試験が容易になるので好ましい。また、非表示画素領域に存在する位相差領域パターン間の境界線を、前記線状のラインとして、アライメントに利用する態様では、貼合する表示パネルのアライメントに使用可能なパターン位置(上記表示パネルのブラック部)が、ピッチd3の位相差領域パターンの境界線と一致するのが好ましい。
勿論、d1〜d3のいずれについても、上記範囲に限定されるものではない。
【0023】
なお、非表示画素領域に形成されるパターンは、一組の互いに面内遅相軸及び/又は位相差が異なる、位相差領域かならなるパターンであってもよく、またそれが繰り返しているパターンであってもよい。当該位相差領域の光学特性は、第1及び第2位相差領域と同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
また、非表示画素領域に形成されるパターンを構成している位相差領域間に生じる境界線が、前記線状のマークであってもよいし(即ち、d2とd3が等しくてもよいし)、非表示画素領域は、前記線状のマークとは別に(即ち、d2とd3が異なっていてもよい)、互いに異なる光学特性を示す位相差の交互配置によって形成さるパターンを有していてもよい。後者の態様では、非表示画素領域のパターンは、表示画素領域と線状マークとの間に配置されていても、線状マークのさらに外側に配置されていてもよい。非表示画素領域のパターンは、例えば、商品管理及び/又は商品評価等の光学テストに利用されてもよいし、また他の表示画素領域のパターンであってもよい。さらに、表示画素領域には、ピッチが互いに異なるパターン群が複数形成されていてもよい。
【0025】
以下、図面を用いて、本発明のいくつかの実施形態を説明するが、図中の各層の厚みの相対的関係は、実際の相対的関係を反映しているわけではない。また、図中、同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する場合がある。
【0026】
図1に、本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図を示す。図1に示すパターン位相差フィルムは、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16と、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている表示画素領域16から外側上下に、非表示画素部17を有する。
【0027】
図1に示すパターン位相差フィルムは、いわゆるFPRであり、図2の断面模式図に示す様に、パターン光学異方性層12と、これを支持するポリマーフィルムからなる支持体フィルム13とを有する。なお、通常、位相差層の配向を制御するために用いられると思われる(光)配向膜層の記載は省略してある。パターン光学異方性層12は、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16を構成するとともに、マーク17Aを含む非表示画素領域17を構成している。
【0028】
非表示画素領域17には、長手方向、即ち、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている線状のマーク17Aが存在する。マーク17Aは、表示画素領域16の外側の長手方向に沿って形成されている幅d2の位相差領域と、さらにその外側に配置される位相差又は非位相差領域との境界線である。一例では、表示画素領域16の端部に配置されているのが第1位相差領域14である態様では、非表示画素領域17の幅d2の位相差領域は、第2位相差領域15と同一の位相差を示すのが好ましく;表示画素領域16の端部に配置されているのが第2位相差領域15である態様では、非表示画素領域17の幅(距離)d2の位相差領域は、第1位相差領域15と同一の位相差を示すのが好ましい。また、第1及び第2位相差領域のいずれとも異なる光学特性を示す位相差領域であってもよい。表示画素領域16のパターン周期d1とは異なる距離d2の位置に存在するマーク17Aを特定するのは容易である。またーマーク17Aが特定できれば、表示画素領域16の端部に配置されている第1位相差領域14又は第2位相差領域15と、非表示画素領域17との境界線も、容易に特定できる。マーク17A及び表示画素領域16と非表示画素領域17との境界線は、偏光顕微鏡で容易に確認でき、しかもパターニングラインに平行であるので、これらの少なくとも一方を基準線として画素等と位置合わせを行えば、パターン周期方向に位置ズレのない位置合わせを行うことができる。
【0029】
また、図1に示す通り、非表示画素領域17に、幅d2の第1位相差領域14と同一の位相差を示す位相差領域、及び第2位相領域15と同一の位相差を示す位相差領域との繰り返しのパターンを形成してもよい。この態様では、表示画素領域16の端部に配置されている第1位相差領域14又は第2位相差領域15と、非表示画素領域17との境界線、マーク17A、さらには非表示画素領域17中の位相差領域間の境界線として特定されるマーク17Bのいずれか少なくとも一つを基準線として、画素等と位置合わせを行うことができる。
【0030】
上記した通り、非表示画素領域17には、互いに異なる光学特性の位相差領域が、交互に複数配置されていてもよい。交互に複数配置されている場合には、偏光顕微鏡で位相差領域の境界線として特定される線状のマークが複数になり、位置合せ時には、いずれか1つ又は2以上の境界線を基準線として位置合わせを行うことができる。
【0031】
非表示画素領域17に存在する幅(距離)d2の位相差領域は、表示画素領域16の第1及び第2位相差領域14及び15と同時に、同様の方法で形成できる。例えば、表示画像領域16の形成のためにマスクを介して、パターン露光を行う場合は、表示画像領域形成用の幅D1(d1に応じた大きさ)の開口部とともに、それとは異なる幅D2(d2に応じた大きさ)の開口部を有するマスクを用いて露光することで、非表示画素領域のパターンを形成することができる。長尺状の支持体フィルム13上に、連続的に表示画素領域のパターンを形成すると同時に、非表示画素領域のパターンも形成できるので、製造適性に優れる。製法の詳細については後述する。
【0032】
パターン光学異方性層12は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。パターン光学異方性層12は、液晶化合物を主成分とする硬化性組成物の1種又は2複数種から形成することができ、液晶化合物のうち、重合性基を有する液晶化合物が好ましい。
【0033】
図3及び図4に、本発明のパターン位相差フィルムの一例の上面模式図を示す。図3に示すパターン位相差フィルムは、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16と、表示画素領域16の外側の距離d2の上下位置に、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている線状のマーク17Aが存在する非表示画素領域とを有する。
【0034】
図4に断面模式図で示す通り、図3に示すパターン位相差フィルムは、いわゆるFPRであり、パターン光学異方性層12と、少なくとも、これを支持するポリマーフィルムからなる支持体フィルム13とを有する。パターン光学異方性層12は、第1位相差領域14及び第2位相差領域15が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されている表示画素領域16を構成する。一方、図3に示すパターン位相差フィルムの端部には、光学異方性層12が形成されていない支持体フィルム13(又はその上に配向膜等の塗布膜が形成されている場合には当該膜)が露出した領域があり、当該領域であって、光学異方性層12の外側の距離d2の位置に、線状のマーク17Aが存在する非表示画素領域17を有する。なお、図3では、支持体フィルムが露出した部分に線状のマークを入れた場合についての説明であるが、必ずしも、支持体が露出している必要はなく、位相差層部に直接、マーキングしてもよい。更に、このマーキングの作業工程は、パターン位相差領域との高い位置精度が要求されるため、パターン位相差のパターン確定工程に近い工程、又は、同時の工程であることが好ましい。
【0035】
線状のマーク17Aは、表示画素領域16の外側の距離d2の位置に、長手方向、即ち、第1及び第2位相差領域14、15の長手方向に沿って形成されている。複数形成されていてもよい。複数形成されている場合は、d2の間隔で形成されているのが好ましい。表示画素領域16の外側であって、表示画素領域16のパターン周期d1とは異なる幅(距離)d2の位置にある線状のマーク17Aを特定するのは容易である。また、表示画素領域16と、支持体フィルム13(又はその上に配向膜等の塗布膜が形成されている場合には当該膜)が露出した非表示画素領域17とは、光学的にも判別が容易である。マーク17A及びそれを手がかりに容易に特定できる表示画素領域16と非表示画素領域17との境界線は、偏光顕微鏡で容易に確認でき、しかもパターニングラインに平行であるので、これらの少なくとも一方を基準線として画素等と位置合わせを行えば、パターン周期方向に位置ズレのない位置合わせを行うことができる。
【0036】
線状のマーク17Aは、連続的に搬送されるフィルムに対して、所定の位置にレーザー照射又はカッターの刃で傷(微細な凹部)を付ける等の簡易な方法で、容易に連続的に形成できるので、長尺状の支持体フィルム13上に、連続的に表示画素領域16を形成すると同時に、線状のマーク17Aも連続的に形成できるので、製造適性に優れる。
【0037】
本発明のパターン位相差フィルムは、所望により裁断された後、画素と位置合わせされた状態で、表示パネルに貼合される。本発明のパターン位相差フィルムが有する表示画素領域は、貼合される表示素子の表示領域の大きさと一致していてもよい。その態様では、表示パネルの表示画素部に、パターン位相差フィルムの表示画素領域が貼合され、表示画素領域の外側の線状のマークを含む非表示画素領域は、カラーフィルタ基板の周辺にあるブラック領域に貼合されることになる。但し、表示画素領域が表示パネルの表示画素部と完全に一致している場合は、パターン周期方向において少しでも位置がズレると、その影響は顕著である。これを防止するため、前記非表示画素領域にも、表示画素領域に隣接して、表示画素領域と同一のパターン(例えば、1〜2組程度の第1及び第2位相差領域)を形成してもよい。この態様では、図5に示す様に、表示パネルの表示画素部に対応する表示画素領域の端部から上下の位置にも、第1及び第2位相差領域がピッチd1で交互に配置されている領域が存在し、非表示画素領域の一部になっている。仮に表示画素領域の端部で、多少のパターン乱れ、位置ズレがあっても、その領域を避け、その分、シフトさせてパターン位相差フィルムを用いることで、表示画素部に貼合されるのは、非表示画素領域内に存在する余剰に形成した第1及び第2位相差領域がピッチd1で交互に配置されている領域であるので、表示画素領域端部での、パターン乱れ、位置ズレによる影響はほとんどない。
【0038】
また、本発明のパターン位相差フィルムは、表示画素部に対応する表示画素領域を、幅方向に複数有していてもよい。さらに、2以上の表示画素領域の間に、前記マークが存在する非表示画素領域が配置されていてもよい。2以上の表示画素領域を有する態様では、互いの表示画素領域中の第1及び第2位位相差領域のピッチは、互いに異なっていてもよい。2つの表示画素領域の間に存在する線状のマークは、商品区分のための管理上のマークとしてのみ使用されてもよい。
【0039】
本発明のパターン位相差フィルムは、3D画像表示装置、特にパッシブ方式の3D画像表示装置の部材として有用である。この態様では、第1及び第2位相差領域のそれぞれを通過した偏光画像は、偏光眼鏡等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。従って、左右画像が不均一とならないように、第1及び第2位相差領域は、互いに等しい形状であるのが好ましく、また、それぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
【0040】
表示画素領域の一例は、第1及び第2の位相差領域の位相差(面内レターデーションRe)がλ/4であるλ/4層であって、各領域の遅相軸が互いに直交するパターンλ/4層である。図6にパターンλ/4層の一例の上面模式図を示す。図6中の第1及び第2位相差領域及びの面内レターデーションは、それぞれλ/4程度であり、互いに直交する面内遅相軸a及びbをそれぞれ有するパターンλ/4層である。この態様のパターン光学異方性層を偏光膜と組み合わせると、第1及び第2の位相差領域のそれぞれを通過した光は互いに逆向きの円偏光状態になり、それぞれ右眼及び左眼用の円偏光画像を形成する。
【0041】
表示画素領域は、上記態様に限定されるものではない。第1及び第2位相差領域の一方の面内レターデーションがλ/4であり、且つ他方の面内レターデーションが3λ/4である表示画素領域を利用することができる。さらに、第1及び第2位相差領域14及び15の一方の面内レターデーションがλ/2であり、且つ他方の面内レターデーションが0である表示画素領域を利用することもできる。
【0042】
また、第1及び第2の位相差領域の各パターンの面内遅相軸は、パターン配向膜等を利用することで、互いに異なる方向、例えば互いに直交する方向、に調整することができる。パターン配向膜としては、マスク露光によりパターニング配向膜を形成可能な光配向膜、及びマスクラビングによりパターニング配向膜を形成可能なラビング配向膜、異種の配向膜(例えば、ラビングに対して、直交又は平行に配向する材料)を印刷他でパターニング配置したものなど、いずれも利用することができる。
【0043】
なお、図1〜4では、非表示画素領域を、表示画素領域の外側上下の双方に有する態様を示したが、上下方向の少なくともいずれか一方に有していればよい。
【0044】
本発明のパターン位相差フィルムは、図1〜図4に簡略化して示した態様に限定されるものではなく、他の部材を含んでいてもよい。例えば、上記した通り、パターン光学異方性層を、配向膜を利用して形成する態様では、支持体フィルムとパターン光学異方性層との間に、配向膜を有していてもよい。また、外側表面には、ハードコート層、反射防止層とともに(又はそれに替えて)、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等が配置されていてもよい。
【0045】
本発明は、本発明のパターン位相差フィルムの製造方法にも関する。本発明の製造方法は、本発明のパターン位相差フィルムの製造方法であって
長尺のフィルムを搬送しつつ、該フィルムの表面に、長手方向に沿って、表示画素領域と、線状のマークを有する非表示画素領域とを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0046】
本発明の製造方法では、例えば、ロール形態に巻き上げられた長尺状のフィルムを、送り出し、搬送しながら、その表面に連続的に表示画素領域を形成しつつ、表示画素領域の外側に、線状のマークを有する非表示画素領域を形成し、アライメント用、商品管理用、又は商品検査用等のマーク付きの長尺状のパターン位相差フィルムを連続的に製造する。所望により再びロール形態に巻き上げ、ロール形態で、保存・搬送してもよい。本発明によれば、いわゆるロールツーロールプロセスで、種々の用途のマーク付きパターン位相差フィルムを作製でき、パターン位相差フィルムの生産性の向上に大きく寄与する。
【0047】
本発明の製造方法では、液晶組成物を利用して表示画素領域を形成するのが好ましく、液晶を主成分とする同一の硬化性液晶組成物を利用して、第1及び第2位相差領域を形成するのが好ましく、パターン露光により表示画素領域を形成するのが好ましい。
【0048】
露光工程の一例の斜視模式図を図7に示す。露光工程の一例は、液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層や配向膜を表面に有する長尺のフィルムを、ロール、ドラム等の搬送部材によって搬送しつつ、その上部から、開口部を有するマスクを介して実施される。マスクには、複数の開口部が規則的に配置されている。例えば、第1及び第2位相差領域のピッチd1に応じた幅D1の開口部、及び2つの開口部を隔てる幅D1の遮光部とからなっていてもよい。また、開口部の形状や幅をそれぞれ変えることにより、露光量や露光面積を調整可能なマスクを利用してもよい。
【0049】
また、露光工程では、露光量(露光強度)のオン・オフ(即ち、マスクの開口部と遮光部による)パターン露光だけでなく、露光装置の開口部の形状を変えて露光量を変えることで実現できるハーフ露光により露光することもできる。
【0050】
図8に、本発明の方法に利用可能なマスクの他の例の上面模式図を示す。図8に示すマスクは、第1及び第2位相差領域のピッチd1に応じた幅D1の開口部、及び2つの開口部を隔てる幅D1の遮光部とからなる第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有するマスクである。第1マスク領域を介してパターン露光された領域は、表示画素領域となり、第2マスク領域を介してパターン露光された領域は、マークを含む非表示画素領域になる。線状のマークが、非表示画素領域に形成されたパターンを構成する位相差領域の境界線である態様では、第2マスク領域が有する開口部の幅D2は、d2に応じた大きさになる。一方、線状マークとは別に、非表示画素領域にパターンを形成する態様では、第2マスク領域が有する開口部の幅D2は、d2に応じている必要はなく、所望のパターンのピッチd3に応じた大きさにすることができる。D2>D1であるのが好ましい。
【0051】
図9に本発明の方法に利用可能なマスクの一例の上面模式図を示す。図9に示すマスクは、図8と同様、第1及び第2位相差領域のピッチd1に応じた幅D1の開口部、及び2つの開口部を隔てる幅D1の遮光部とからなる第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有し、且つ第2マスク領域の開口部の長さ(フィルム搬送方向)が、第1マスク領域の開口部の長さより長くなっているマスクである。これにより露光量を任意に変更することが可能となり、表示画素領域とは、位相差等の光学特性が異なるパターンを形成することができる。
【0052】
図10に本発明の方法に利用可能なマスクの他の例の上面模式図を示す。図10に示すマスクは、図9に示すマスクと同様、第1及び第2マスク領域を有するとともに、幅D3の開口部を有する第3マスク領域を有する。このマスクは、画素ピッチが互いに異なる表示パネル(表示画素領域A及びBに対応)、即ち、異なる機種に対応するパターン位相差フィルムを同時に形成するために用いることができる。このようにすることで、フィルム幅一定の制約下においても、フィルム面を有効に利用し、コスト低減を実現することができる。また、このマスクは、表示画素領域のパターンとは別に、商品管理及び/又は商品検査等のパターンを、非表示画素領域に形成するため等にも用いることができる。
【0053】
露光であるが、位相差層の制御方法に応じて、直線偏光、非偏光などの光源を用いることが可能であり、同時に、それに適した(光)配向膜などが必要である。
露光工程は、フィルム上に形成された液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層に対して行っても、又は該塗布層下の液晶の配向を制御するための配向膜に対して行ってもよい。ここで、従来よりよく知られている直線偏光を用いた光配向技術によりパターン位相差フィルムを形成することは可能であるが、特に、一方向に配向処理された配向膜を利用して、一種の硬化性液晶組成物から、パターン位相差領域を形成できると、連続生産において有利である。
【0054】
一例は、以下の通りである。
長尺フィルム上に、一方向に配向処理された配向膜を形成する工程と、
該配向膜上に、液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層を形成し、
前記塗布層中の液晶を配向処理方向に平行にもしくは直交に配向させた後に、パターン露光して、当該露光部に第1位相差領域を形成する第1の露光工程と、
非露光部の塗布層中の液晶を配向処理方向とは異なる方向(例えば、直交にもしくは平行)に配向させた後に露光して、第2位相差領域を形成する第2の露光工程とを含む方法である。
【0055】
第1の露光工程は、開口部を有するマスク等を介して実施する。第2の露光工程は、全面に露光してもよいし、他のマスクを用いて、第2の位相差領域に相当する未露光部のみに露光してもよい。また、上記した通り、第1の露光工程で、非表示画素領域の位相差領域に対応する位置に存在する塗布層にもパターン露光し、さらに第2の露光工程を経ることで、位相差や遅相軸が互いに異なるピッチ等が異なるパターンを形成してもよい。第2位相差領域を第1位相差領域とは異なる配向状態にする方法の一例としては、非露光部を熱処理などの外部刺激により配向を制御している作用を消失させ、第1位相差領域とは異なる配向状態にする方法が挙げられる。
【0056】
他の例は、以下の通りである。
長尺フィルム上に、一方向に配向処理された配向膜を形成する工程と、
該配向膜を、パターン露光して、露光部に、配向処理によって生じた配向制御能とは異なる配向制御能を有する第1の配向制御領域を、未露光部に、配向処理によって生じた配向制御能を有する第2配向制御領域を形成するパターン露光工程と、
該配向膜上に、液晶を主成分とする硬化性液晶組成物の塗布層を形成し、
前記塗布層中の液晶を、第1の配向制御領域、及び第2の配向制御領域のそれぞれの配向制御能により、互いに異なる方向に配向させる工程、
上記配向状態を、維持したまま配向状態を固定し、第1及び第2の位相差領域を形成する工程とを含む方法である。
【0057】
前記方法では、パターン露光工程は、開口部を有するマスク等を介して実施する。また、パターン露光工程では、非表示画素領域の位相差領域に対応する位置に存在する配向膜にもパターン露光し、第1及び第2位相差領域を、加熱下等の条件下で重合反応等を進行させることで形成する際に、当該配向膜上の塗布層の重合反応も進行させて、非表示画素領域のパターンを同時に形成してもよい。
【0058】
前記露光工程を実施しつつ、該表示画素領域の外側のフィルム表面に、レーザー照射により、又は機械的作用を供与することにより、長手方向に沿って線状のマークを形成してもよい。
【0059】
図12に、ロール状の刃で、線状のマークを形成する方法の一例の模式図を、図13に、レーザー照射により、線状のマークを形成する方法の一例の模式図をそれぞれ示す。ロール状の刃を、フィルム表面に接触させて配置し、又はレーザーヘッドをフィルム上部に配置し、搬送されるフィルムの表面に、微細な凹部又はレーザー痕を線状に連続的に形成する。ロール状の刃及びレーザーヘッドは、露光を行う露光装置等よりも上流に配置されていても、下流に配置されていてもよい。
【0060】
図12及び図13では、フィルムの幅方向の両端部に、ロール状の刃及びレーザーヘッドを配置した構成を示したが、一方の端部にのみ配置してもよい。また、より多くの刃及びレーザーヘッドを配置して、複数の線状のマークを、フィルムの幅方向の一方の端部又は両端部に形成してもよい。工程上は、パターン位相差のパターンを確定する工程、即ち、通常、露光工程の上流側、同時、下流側で行うことが可能であるが、パターン位相差との高い位置精度がアライメントとして要求されることから、出来るだけ近い工程で行われることが好ましい。
【0061】
以下に、本発明に利用可能な、液晶組成物を利用した、パターン露光による表示画素領域及び非表示画素領域のパターンの形成方法のいくつかの例について詳細に説明する。
【0062】
上記した通り、表示画素領域等のパターンを、一方向に配向処理された配向膜を利用して、一種の硬化性液晶組成物から形成できると、連続生産において有利である。重合性基を有する液晶化合物、特に重合性基を有するディスコティック液晶化合物を主成分とする組成物を利用する方法として、以下の方法を利用できる。
【0063】
第1の態様は、液晶の配向制御に影響を与える複数の作用を利用し、その後、外部刺激(熱処理等)によりいずれかの作用を消失させて、所定の配向制御作用を支配的にする方法である。例えば、配向膜による配向制御能と、液晶組成物中に添加される配向制御剤の配向制御能との複合作用により、液晶を所定の配向状態とし、それを固定して一方の位相差領域を形成した後、外部刺激(熱処理等)により、いずれかの作用(例えば配向制御剤による作用)を消失させて、他の配向制御作用(配向膜による作用)を支配的にし、それによって他の配向状態を実現し、それを固定して他方の位相差領域を形成する。例えば、所定のピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため前記親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基が、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。前記ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特にディスコティック液晶との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。しかし、その効果は、ある温度を超えて加熱すると、水素結合が切断され、前記ピリジニウム化合物等の配向膜表面における密度が低下し、その作用を消失する。その結果、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向し、液晶は平行配向状態になる。この方法の詳細については、特願2010−141345号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0064】
第2の態様は、パターン配向膜を利用する態様である。この態様では、互いに異なる配向制御能を有するパターン配向膜を形成し、その上に、液晶組成物を配置し、液晶を配向させる。液晶は、パターン配向膜のそれぞれの配向制御能によって配向規制され、互いに異なる配向状態を達成する。それぞれの配向状態を固定することで、配向膜のパターンに応じて第1及び第2の位相差領域のパターンが形成される。パターン配向膜は、印刷法、ラビング配向膜に対するマスクラビング、光配向膜に対するマスク露光等を利用して形成することができる。また、配向膜を一様に形成し、配向制御能に影響を与える添加剤(例えば、上記オニウム塩等)を別途所定のパターンで印刷することによって、パターン配向膜を形成することもできる。大掛かりな設備が不要である点や製造容易な点で、印刷法を利用する方法が好ましい。この方法の詳細については、特願2010−173077号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0065】
また、第1及び第2の態様を併用してもよい。一例は、配向膜中に光酸発生剤を添加する例である。この例では、配向膜中に光酸発生剤を添加し、パターン露光により、光酸発生剤が分解して酸性化合物が発生した領域と、発生していない領域とを形成する。光未照射部分では光酸発生剤はほぼ未分解のままであり、配向膜材料、液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。配向膜へ光照射し、酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。前記配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。使用可能な光酸発生剤の例には、Prog. Polym. Sci., 23巻、1485頁(1998年)に記載の化合物が含まれる。前記光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。この方法の詳細については、特願2010−289360号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0066】
この態様では、配向膜への光照射の露光量が0〜50mJ未満であると、露光量が0〜50mJ未満であると、配向膜材料、ディスコティック液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、ディスコティック液晶は、その遅相軸がラビング方向と垂直直交する方向に配向する(図13(a))。露光量が50〜100mJ未満であると、例えば、光酸発生剤から酸性化合物が発生し、前記相互作用による支配が弱まり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、ディスコティック液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして垂直平行配向する(図13(b))。露光量が100mJを超えると、配向膜面の表面エネルギーが大きくなり、垂直配向が維持できなくなることにより、ディスコティック液晶は、ハイブリッド配向する(図13(c))。また、ハイブリッド配向にする場合、開口部を適宜調節することで、プレチルト角の制御も可能である。なお、図13中の矢印は、ラビング処理方向を表す。
【0067】
さらに、第3の態様として、重合性が互いに異なる重合性基(例えば、オキセタニル基及び重合性エチレン性不飽和基)を有するディスコティック液晶を利用する方法がある。この態様では、ディスコティック液晶を所定の配向状態にした後、一方の重合性基のみの重合反応が進行する条件で、光照射等を行い、プレ位相差層を形成する。次に、他方の重合性基の重合を可能にする条件で(例えば他方の重合性基の重合を開始させる重合開始剤の存在下で、マスク露光を行う。露光部の配向状態は完全に固定され、所定のReを有する一方の位相差領域が形成される。未露光領域は、一方の反応性基の反応が進行しているものの、他方の反応性基は未反応のままとなっている。よって、等方相温度を超え、他方の反応性基の反応が進行可能な温度まで加熱すると、未露光領域は、等方相状態に固定され、即ち、Reが0nmになる。
【0068】
本発明に利用可能な支持体(支持体フィルム)としては、その材料については特に制限はない。低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的には、面内レターデーションの絶対値が約10nm以下のフィルムを用いるのが好ましい。偏光膜とパターン位相差フィルムとの間に、偏光膜の保護膜が配置されている態様でも、該保護膜として、低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的範囲については、上記通りである。
【0069】
本発明に使用可能な支持体フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0070】
また、前記フィルムの材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
【0071】
また、前記フィルムの材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。
【0072】
前記支持体フィルムの製法については特に制限はなく、溶液製膜法であっても溶融製膜法であってもよい。また、レターデーションの調整のために延伸処理が施された延伸フィルムを用いてもよい。
【0073】
前記方法により、表示画素領域を形成した後、さらにその表面上に、または支持体フィルムの裏面(表示画素領域を構成する光学異方性層が形成される表面と反対側の表面)上に、所定の機能を有する表面層を形成してもよい。また、支持体フィルムとして、あらかじめその裏面(表示画素領域を構成する光学異方性層が形成される表面と反対側の表面)に、表面層が形成されたフィルムを用いてもよい。表面層は、外部からの物理的衝撃から保護するためのハードコート層や、外光の映り込みを防止するための反射防止層等が挙げられる。一例は、ハードコート層及び反射防止層が積層された例である。上記表面層は、上記層とともに、又は上記層に替えて、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を有していてもよい。上記反射防止層及びハードコート層を構成する各層の詳細については、特開2007−254699号公報の[0182]〜[0220]に記載があり、本発明に利用可能な反射防止層についても好ましい特性、好ましい材料等について、同様である。
【0074】
本発明は、本発明のパターン位相差フィルムを有する光学積層体の製造方法にも関する。前記方法は、パターン位相差フィルムのマークを目印にして、光学要素の光学単位又は光学軸と位置合わせして貼合わせることを特徴とする。表示画素領域と位置合わせする光学要素の一例は、表示素子であり、光学単位又は光学軸の一例は、画素であり、具体的には、液晶パネルの画素、偏光膜の透過軸である。
【0075】
前記パターン位相差フィルムは、表示画素領域の長手方向に沿って線状のマークが形成されているので、パターン周期方向における位置合わせが容易であり、表示画素領域と表示素子の画素とを精密に位置合わせすることができる。このため、3D画像表示装置に使用することで、クロストークの発生を防止できる。
【0076】
本発明の位相差フィルムが有する線状のマークは、位置合わせのみならず、裁断のためのマークとしても利用することができる。さらに、同一のフィルム上に、異機種用の互いに異なるピッチの表示画素領域を形成する場合には、その製品区分として、前記線状のマークを活用することもできる。
【0077】
本発明は、本発明のパターン位相差フィルムを有する3D画像表示装置にも関する。一例は、本発明のパターン位相差フィルムと、直線偏光膜と、表示パネルとを少なくとも有する立体画像表示装置である。前記パターン位相差フィルム及び直線偏光膜は、表示パネルの視認側表面に配置され、入射する光を、右眼用及び左眼用の偏光画像(例えば円偏光画像)に分離する。観察者は、これらの偏光画像を、偏光眼鏡(例えば円偏光眼鏡)等の偏光板を介して観察し、立体画像として認識する。
【0078】
なお、本発明のパターン位相差フィルムが有する線状のマークが存在する非表示画素領域は、表示パネルと貼合する際に、表示パネルのCF基板の端部のブラック領域等の表示画素部外の部分に貼合される。
【0079】
本発明では、表示パネルについてなんら制限はない。例えば、液晶層を含む液晶パネルであっても、有機EL層を含む有機EL表示パネルであっても、プラズマディスプレイパネルであってもよい。いずれの態様についても、種々の可能な構成を採用することができる。また、液晶パネル等は、視認側表面に画像表示のための偏光膜を有するが、本発明のパターン偏光板が有する偏光膜は、当該偏光膜を兼ねていても勿論よい。
【0080】
表示パネルの一例は、透過モードの液晶パネルであり、一対の偏光膜とその間に液晶セルとを有する。偏光膜のそれぞれと液晶セルとの間には、通常、視野角補償のための位相差フィルムが配置される。液晶セルの構成については特に制限はなく、一般的な構成の液晶セルを採用することができる。液晶セルは、例えば、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを含み、必要に応じて、カラーフィルタ層などを含んでいてもよい。液晶セルの駆動モードについても特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)、ブルーフェイズ等の種々のモードを利用することができる。
【0081】
本発明のパターン位相差フィルムを、3D画像表示装置の視認側表面に配置する場合は、ハードコート層等の表面層を表面に配置するのが好ましい。例えば、図15に断面模式図として示す通り、本発明のパターン位相差フィルムは、液晶表示装置のフロント側(親面側)偏光板と、粘着剤又は接着剤を利用して一体化され、表示装置に組み込まれる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0083】
[実施例1]
図1と同様の構成の位相差フィルムを作製した。表示画素領域には、互いの面内遅相軸が直交し(±45度方向に遅相軸を有する)、位相差がλ/4である、第1及び第2の位相差領域(ピッチd1は282μm)を、配向膜及びディスコティック液晶を利用して、それぞれ形成した。非表示画素領域には、ピッチd1の2倍の幅d2(=d3=564μm)で、上記第1及び第2の位相差領域を形成した。
【0084】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。貼合作業には、クライムプロダクツ(株)製の高精度貼合装置を用いた。
【0085】
[実施例2]
実施例1において、非表示画素領域に第1及び第2位相差領域を形成せず、ピッチd1(=282μm)の表示画素領域の外側d2(=564μm)の位置に、線状のマークを、マーキング刃を用いて連続的に形成した以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
【0086】
TFT液晶パネルの代わりに、マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。
【0087】
[実施例3]
実施例2において、線状のマークを、ロール上でCO2レーザーを連続的に照射して形成したレーザー痕とした以外は、実施例2と同様にして位相差フィルムを作製した。
【0088】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。
【0089】
[比較例1]
実施例1において、図16に示すように線状のマークを有する非表示画素領域を設けなかった以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
【0090】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、平行度の確認、位置合わせが極めて困難であり、高精度のアライメントができなかった。
【0091】
[実施例4]
表示画素領域には、互いの面内遅相軸が直交し、位相差がλ/4である、第1及び第2の位相差領域(ピッチd1は282μm)を、配向膜及びディスコティック液晶を利用して、それぞれ形成した。非表示画素領域には、表示画素領域のパターンのピッチd1の倍の幅d2(=d3=564μm)の位相差領域を形成した。第1及び第2の位相差領域、並びに非表示画素領域の位相差領域形成のための露光量を、図13に示す様にそれぞれ調整し、垂直直交配向状態及び垂直平行配向状態をそれぞれ固定して、第1及び第2位相差領域を形成するとともに、ハイブリッド配向状態を固定して、非表示画素領域の位相差領域形成を形成した。即ち、アライメントの基準線として、垂直平行配向領域とハイブリッド配向領域との境界線、又は垂直直交配向領域とハイブリッド配向領域との境界線を利用した。
【0092】
マーク入りガラス基板を用いて、作製したそれぞれのパターン位相差フィルムを用いてアライメント実験を行った結果、容易に平行度の確認、位置合わせが可能であり、短時間での高精度でのアライメントが可能であることがわかった。
【0093】
なお、上記実施例では、1回の配向処理で複数の液晶配向を制御してパターニング位相差フィルムを形成する方法を主として説明したが、広く他の制御手法(偏光光配向など)も適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
12 パターン光学異方性層
13 支持体フィルム
14 第1位相差領域
15 第2位相差領域
16 表示画素領域
17 非表示画素領域
17A、17B 線状のマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、
前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び
前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、
d1とd2が等しくないことを特徴とするパターン位相差フィルム。
【請求項2】
d2>d1である請求項1に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項3】
前記非表示画素領域に、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に交互に配置されているパターンを有する請求項1又は2に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項4】
前記非表示画素領域のパターンのピッチがd1である請求項3に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項5】
前記非表示画素領域のパターンのピッチがd3であり、d3>d1である請求項3に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項6】
前記マークが、画像表示装置の貼り付けのための又は裁断のためのアライメントマークである請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項7】
前記マークが、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる位相差領域の境界線である請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項8】
前記マークが、レーザーを照射することで形成した線状のレーザーマーキング痕である請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項9】
前記マークが、機械的に設けた線状のマーキング痕である請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項10】
前記第1及び第2位相差領域が、面内遅相軸が互いに直交し、且つReがλ/4の位相差領域である請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項11】
前記第1及び第2位相差領域が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物から形成されている請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項12】
前記第1及び第2位相差領域の一方が、ディスコティック液晶の垂直直交配向状態を固定してなる領域であり、他方が、ディスコティック液晶の垂直平行配向状態を固定してなる領域である請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項13】
前記非表示画素領域に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向を固定してなる領域を有する請求項12に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルムの製造方法であって、
長尺のフィルムを搬送しつつ、該フィルムの表面に、長手方向に沿って、表示画素領域と、線状のマークを有する非表示画素領域とを形成することを特徴とするパターン位相差フィルムの製造方法。
【請求項15】
パターン露光により表示画素領域のパターンを形成する露光工程を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記露光がハーフ露光である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記露光工程において、非表示画素領域のパターンのピッチd1に応じた幅D1の開口部を有する第1のマスク領域を有する露光マスクを介してパターン露光する請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記露光工程により、非表示画素領域にも、パターン露光を行い、パターンを形成する請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記マスクが、前記第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有するマスクである請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルムの表面に、パターン露光により長手方向に沿って前記表示画素領域を形成しつつ、該表示画素領域の外側のフィルム表面に、レーザー照射により、又は機械的作用を供与することにより、長手方向に沿って前記マークを形成する請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記露光工程が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物の塗布層を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該塗布層をパターン露光する工程である請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記露光工程が、配向膜を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該配向膜をパターン露光する工程である請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
フィルム表面に形成された前記マークを基準線として、長尺状のパターン位相差フィルムを裁断する工程をさらに含む請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項13〜23のいずれか1項に記載の方法によりパターン位相差フィルムを製造すること、
該パターン位相差フィルムの前記マークを基準線として、光学要素の光学単位又は光学軸と位置合わせして貼合わせることを含む光学積層体の製造方法。
【請求項25】
前記光学要素が表示素子であり、且つ前記光学単位が画素である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
3D画像表示装置に用いられる光学積層体の製造方法である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルムを有する3D画像表示装置。
【請求項1】
画像表示装置の表示画素部に貼合される表示画素領域を有するパターン位相差フィルムであって、
前記表示画素領域が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に且つピッチd1で交互に配置されているパターンを有し、及び
前記表示画素領域から外側の距離d2の位置に、前記第1及び第2位相差領域の長手方向に沿った線状のマークが少なくとも存在する非表示画素領域を有し、
d1とd2が等しくないことを特徴とするパターン位相差フィルム。
【請求項2】
d2>d1である請求項1に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項3】
前記非表示画素領域に、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域が、ストライプ状に交互に配置されているパターンを有する請求項1又は2に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項4】
前記非表示画素領域のパターンのピッチがd1である請求項3に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項5】
前記非表示画素領域のパターンのピッチがd3であり、d3>d1である請求項3に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項6】
前記マークが、画像表示装置の貼り付けのための又は裁断のためのアライメントマークである請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項7】
前記マークが、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる位相差領域の境界線である請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項8】
前記マークが、レーザーを照射することで形成した線状のレーザーマーキング痕である請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項9】
前記マークが、機械的に設けた線状のマーキング痕である請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項10】
前記第1及び第2位相差領域が、面内遅相軸が互いに直交し、且つReがλ/4の位相差領域である請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項11】
前記第1及び第2位相差領域が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物から形成されている請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項12】
前記第1及び第2位相差領域の一方が、ディスコティック液晶の垂直直交配向状態を固定してなる領域であり、他方が、ディスコティック液晶の垂直平行配向状態を固定してなる領域である請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項13】
前記非表示画素領域に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向を固定してなる領域を有する請求項12に記載のパターン位相差フィルム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルムの製造方法であって、
長尺のフィルムを搬送しつつ、該フィルムの表面に、長手方向に沿って、表示画素領域と、線状のマークを有する非表示画素領域とを形成することを特徴とするパターン位相差フィルムの製造方法。
【請求項15】
パターン露光により表示画素領域のパターンを形成する露光工程を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記露光がハーフ露光である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記露光工程において、非表示画素領域のパターンのピッチd1に応じた幅D1の開口部を有する第1のマスク領域を有する露光マスクを介してパターン露光する請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記露光工程により、非表示画素領域にも、パターン露光を行い、パターンを形成する請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記マスクが、前記第1のマスク領域とともに、幅D1と異なる幅D2の開口部を少なくとも1つ有する第2のマスク領域を有するマスクである請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルムの表面に、パターン露光により長手方向に沿って前記表示画素領域を形成しつつ、該表示画素領域の外側のフィルム表面に、レーザー照射により、又は機械的作用を供与することにより、長手方向に沿って前記マークを形成する請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記露光工程が、液晶を主成分とする同一の硬化性組成物の塗布層を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該塗布層をパターン露光する工程である請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記露光工程が、配向膜を表面に有する長尺のフィルムを搬送しつつ、該配向膜をパターン露光する工程である請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
フィルム表面に形成された前記マークを基準線として、長尺状のパターン位相差フィルムを裁断する工程をさらに含む請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項13〜23のいずれか1項に記載の方法によりパターン位相差フィルムを製造すること、
該パターン位相差フィルムの前記マークを基準線として、光学要素の光学単位又は光学軸と位置合わせして貼合わせることを含む光学積層体の製造方法。
【請求項25】
前記光学要素が表示素子であり、且つ前記光学単位が画素である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
3D画像表示装置に用いられる光学積層体の製造方法である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン位相差フィルムを有する3D画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−11800(P2013−11800A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145491(P2011−145491)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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