説明

パターン化された正方形カーペットタイル

全方向性のパターニングを有する1組の正方形カーペットタイルであって、前記1組は調和したパターンと色をもつ少なくとも2つのタイルを含み、各タイルはそれに付着された少なくとも2つの領域の視覚テクスチャー(31、32、33、34)を有し、前記視覚テクスチャーの領域は各タイル上の少なくとも2つのパイル方向の感じを与える。パターン化とテクスチャー化は両方とも印刷によりなされてもよい。また、全方向にパターン化されたタイルの供給方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン化された正方形カーペットタイル、特に交換可能で全方向性であり、いっしょに用いて1つのタイルよりも大きいパターンを作り出すようにデザインされた、1組のパターン化された正方形カーペットタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化された正方形カーペットタイルは一般的になっており、家庭、ならびに商業の及び公共の建物の床を覆う便利な方法である。
【0003】
近代的なパターンデザインは多くの場合、抽象的または複雑な性質のものである。現在、特におもしろいパターンはコンピュータデザイン技術を使用して生成することができる。このパターンは、任意の適切な方法、例えば染料注入パターニング、先染糸を用いるタフティングまたは製織によって、コンピュータデザインからカーペットタイルへ移すことができる。
【0004】
デザイナーが個々のタイルよりも大きいパターンを作れるようにするために、様々なデザイン技術が使用されてきた。その1つでは、タイルは、より大きな予め配列されたデザインの部分を示す。このデザインは、タイルを作り出し、それからタイルを予め決めておいた方法で敷いて元のパターンを再現することによって制作される。この一例として、4枚1組として使用されるタイル上の4分円(quarter circle)を使用して円を作ることが挙げられる。
【0005】
個々のタイルを越えてパターニングを拡張する代替的な技術は、全方向性のパターンを使用することであり、これはランダムな方法で敷いたときにより大きいパターンを作り出すが、ある配置において決してまたはめったにそれ自体を繰り返さない。このような全方向性のパターンを用いてタイルを作る様々な方法が提案されている。
【0006】
US 5 959 632では、各ピクセルに対して、パターンデータを書き込もうとする、正方形タイル領域における位置を指定する座標アドレスを生成することにより、全方向性のパターンを作り出す。その後にチェックして、座標アドレスがタイル領域のどこか1つの辺に隣接するかどうかを判定する。もしそうなら、その辺に沿う元のタイル領域に隣接する別のタイル領域上の書き込まれたピクセルに隣接するピクセルの位置を割り出し、隣接タイル領域が元のタイル領域上に敷かれる場合の隣接ピクセルの位置を隣接ピクセルのシフトした位置として割り出す。書き込まれたピクセルの位置とシフトした位置を多角形の中心の周りに所定の角度だけ少なくとも一回回転して回転位置を得る。これらのシフト位置および回転位置で、ピクセル値をさらに書き込む。
【0007】
境界領域概念(この概念は、タイルを、他の同じタイルに隣接する可能な四方向のいずれにおいても配列することを可能にする)をもつこの単独のタイルの発展で、2種のタイルをランダムにかつ任意の向きで組み合わせて大きくランダムなパターン化された床設備を作ることを可能にする手段として、同一で対称的な境界領域を使用して、異なりかつ相補的なパターンを有する2枚またはそれ以上で1組のタイルをいっしょに用いてもよい。このようなタイルはMilliken Industrials Limitedから商業的に入手可能である。
【0008】
同時係属している出願GB 0128663.2には、全方向性のカーペットタイルが記載されている。このタイルは、方向性のないパイル上に形成されるために、それらの向きを考慮することなく配置し再置することができるであろう。
【0009】
WO 02 064 879は、タイルを互いに関連して方向づける必要性を不要にするパターンとカラースキームを有するカーペットタイルを記載している。タイルは、直交的な曖昧さ(orthogonal ambiguity)を示す。直交的な曖昧さは、近接のタイルに対してどの横並びの向きに敷いても通常の観察者には置き違えに見えることなく敷くことができ、それによりさらに絨毯カーペットのような連続的な外観を達成する、ということを意味する。各タイルはいくつかの直線的な辺を有し、ランダムに位置しているように見えるが、いくつかの直線的な辺をカーペットタイルの辺と平行に配向させているように見える形状のパターンを有する。その形状は一色または色の組み合わせからなり、各タイル上の隣接した形状が少なくとも1つの共通する色を有する。さらに、各タイルは全ての他のタイルと共通する少なくとも1つの色を有するため、タイルを敷いたときに隣接するタイル上の色が調和する。全ての色は同様の強さを有し、どの色も他の色から著しく目立つことはない。さらに、各タイル上のパターンはランダムに見えるので、床の上でどの横並びの向きでタイルを配置しても、簡単に大きくランダムなパターンを作り出し、どのタイルも置き違えに見えることはないようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術に必要とされた、境界領域、特別なパイルの向き、または色の限定の必要性によって限定されない全方向性のカーペットタイルのパターンを作り出すことである。さらに、いっしょにランダムに敷いた場合に、カーペットタイルレイアウトに繰り返しのないパターンを有するという効果をさらに増加させる、さまざまなパターンを有する1組のカーペットタイルを作り出すことも目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、1組のパターン化された正方形カーペットタイルであって、前記1組は、調和したパターンおよび色をもち、各タイルに付着された少なくとも2つの領域の視覚テクスチャーを有する、少なくとも2つのタイルを含み、前記視覚テクスチャーの領域は各タイル上で少なくとも2つのパイル方向の感じ(impression)を与えることを特徴とする1組のカーペットタイルがある。好ましくは、パターンは印刷によりタイルにつけられ、かつ視覚テクスチャーも印刷によりつけられる。最も好ましくは、パターンおよび視覚テクスチャーは一段の印刷操作でつけられる。視覚テクスチャーという用語は、タイル表面に三次元の外観を模すか、またはそうでなければ平坦なタイルに見かけの深さを加えるか、または強い明暗効果(light and shade effect)を与えるか、または表面が通常のテクスチャー化された表面を有するなら存在するであろう表面に細部を加えるか、またはこれらの効果の組み合わせである、全ての印刷されたパターンおよび色/陰影の組み合わせを含む。視覚テクスチャーの使用の1つの特に好ましい用途は、カーペットタイルの表面に印刷することによって、自然なテクスチャーまたは織物のテクスチャーの外観を模すことである。従来の表面テクスチャーを上まわる、視覚テクスチャーの使用による利点は、それ以上平らになることができないので、視覚テクスチャーが使用中に良好な外観保持力をもつことである。また、印刷によるテクスチャーの付着は、非常に近接し比較的小さいタイル表面の領域でテクスチャーが互いに組み合わされる点で、より高い柔軟性を与える。特に、視覚テクスチャーを使用してカーペットタイルの実際のパイルとは異なるように方向づけるというパイル効果を作り出すことができる。1つの実施形態では、1組で4枚のタイルでもよく、これらのタイルは、1つのタイルのパターンを選び、それを約90、180および270度まで回転させて4枚のタイルを作り出し、さらに各タイルのパターン化された領域に視覚テクスチャーをつけることによって、デザインされている。タイルは、テクスチャーの付着により個別化され、方向的な顕著さを失う。このことは、各タイルに異なるテクスチャーをつけ、かつ2つの向きに方向的に顕著な少なくとも2つのテクスチャーをつけることによって達成でき、4枚のタイルは互いに異なり、このことが明白になることなく回転できるようになる。
【0012】
本発明の他の実施形態では、1組のタイルは2つまたはそれ以上の異なるタイルデザインを含んでもよく、各々少なくとも2つの色または陰影(これらは好ましくは連結する)のブロックのパターンを有する1組の関連するタイルデザインを作り出すことによってデザインされているタイルを含む。その後、方向的に顕著な少なくとも2つの視覚テクスチャーを色または陰影と組み合わせて、元のパターンの境界を維持する。2つの色(これらはさらに2つの視覚テクスチャーと組み合わされる)があるデザインは、このデザイン方法の変形の1つである。各タイルにおいて少なくとも2つの方向を有する視覚テクスチャーの組み込みにより、複雑なデザインを有する1組のタイルを作り出す。敷くときに、これらのタイルは、タイルの元のパイル方向を考慮に入れることを要しない。このことは、最大限のパターニングの柔軟性を可能にし、また設置の全体の外観に不利に作用することなく、タイルを異なる向きで再置することも可能にする。
【0013】
本発明は、同一のタイルの箱に入っているタイルを供給し、さらにこれらをコンピュータで生成されたパターンコードに従って敷く方法も含む。
【0014】
あるいは、製造後にタイルを箱にランダムに詰め、箱から取り出した順に敷くことができるようにしてもよい。このランダム化は、タイルを回転し、パイル方向もランダム化することも含んでもよい。
【0015】
Millitron(登録商標)方法のようなタイル印刷方法の使用により、本発明のさらに他の実施形態においては、4枚のタイルを、それらをランダムに製造し、詰めるときまたは使用するときに並べ替える必要がないように、印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、単に例として、図面を参照しながら、本発明を説明する。
【0017】
4分の1回転反復デザイン法としても知られる、ピンウィール反復デザイン法(Pinwheel repeat design method)を普通は使用して、正方形タイルを4つの象限に回転した形態にするデザインを繰り返すことによって、方向性のないタイルデザインを作り出す。4つの象限を互いに分離したとすれば、できあがった4つの半分のサイズのタイルは同一であろう。
【0018】
図1は、2×2マトリックスの繰り返しを使用してピンウィール反復デザイン法を作り出す方法を示す。左上のクウォーター(quarter)1の向きは変えずに、右上のクウォーター2は右に90度回転させ、右下のクウォーター3は180度回転させ、左下のクウォーター4は270度右に回転させる。ピンウィール反復デザイン法は実際のデザインを回転させるので、この反復デザイン法は、実際のデザインが正方形であり、その寸法はカーペットタイルの半分であることを必要とする。
【0019】
本発明は、ピンウィール反復デザイン法を選び、それを強化して、組み合わせて使用した場合に、テクスチャーがあり精細にパターン化された外観を有するモジュールカーペットの設備を提供する、別々の4枚のカーペットタイルの組を作り出す。さらに、本発明により、組を構成する4枚のカーペットタイルを全体のパターンの内部にランダムに敷いた場合、およびタイルの向きをランダムにした場合にも、設備の外観は引き立てられる。これは、タイルのパターンとパイル方向が適切に配列を保っていない場合に設備の外観が損なわれる標準的なものと対照的である。
【0020】
デザイン工程の出発点は、第1のタイルに書き込むランダムグラフィックデザインを作り出すことであり、さらにこのグラフィックを繰り返すが、ピンウィール技術を用いて、他の3つのクウォーター上で90°まで回転する。
【0021】
図2は適切なランダムグラフィックデザインの一例を示す。この例においては、デザインは多くのライン21、22、23および24を含み、これらは互いに直交し、カーペットタイルの辺に平行か、または約45°の角度にある。このデザインは、互いに対照的な隣接領域25、26、および目立つ直交ラインをやわらげるように湾曲したライン27、28も含む。
【0022】
次に、高いおよび低いループの外観を模したテクスチャーデザインを、ピンウィール技術により作られた4つのグラフィックデザインの上に重ねる。テクスチャーデザインは、ループパイルによって作り出される三次元テクスチャーを連想させる、明るいおよび暗いパターニングを有する。少なくとも2つの向きの視覚テクスチャーを各々のタイルにつける。これは、回転パターンが「逆ピンウィール(reverse pinwheel)」により元の向きに戻ったとしても、もはや互いに一致しないことを意味する。
【0023】
図3は、テクスチャーがつけられた図2のグラフィックパターンを示す。別々のテクスチャーの領域31、32、33、34が別々の方向に向いているように見える。これらのデザインをカーペットタイル上につけると、エッジがタイルごとに一致しない一連の4枚のタイルとなる。図4はテクスチャーをつけた後にピンウィール配列にした、4枚のタイルの組を示す。この構成においても、タイルが合わさったところを見分けるのは困難である。要するに、図2の元のデザインは様々な陰影と色をもつ幾何学的な形状と線から構成されている一方、テクスチャーは、タイルに対しては方向づけられているがパターンに対しては方向付けられていない補助的なパターンを元のデザインに加える。視覚テクスチャーの複数の方向性のため、および視覚テクスチャーを別々に4枚のタイルにつけてもよいため、以下に説明するように、ランダムに敷いたときに4枚のタイルは一体的な外観を作り出す。
【0024】
タイルをランダムに敷くことを確実にするために、以下の技術の1つまたはそれ以上を使用してもよい。タイルを同一のタイルの箱に入れて供給し、さらにコンピュータで生成されたパターンコードに従って敷いてもよい。
【0025】
製造後にタイルをランダムに箱に詰め、箱から取り出した順に敷くことができるようにしてもよい。このランダム化は、タイルを回転し、パイル方向もランダム化されるようにすることを含んでもよい。
【0026】
Millitron(登録商標)方法のようなタイル印刷方法の使用により、4枚のタイルを、それらをランダムに製造し、詰めるときまたは使用するときに並べ替える必要がないように、印刷することができる。
【0027】
図5は、図4に図示された4枚のタイルのランダムな配列による、仮想的なカーペットタイルの設備の平面図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ピンウィール技術を使用して作り出される、タイルパターンの図。
【図2】本発明で使用するのに適した、グラフィックパターンの平面図。
【図3】テクスチャーをつけた後の、図2と同じパターンの平面図。
【図4】テクスチャーをつけた後にピンウィール配列にした、4枚のタイルの組の平面図。
【図5】4枚のタイルのランダムな配置を有する、考えられるカーペットタイルの設備の平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1組のパターン化された正方形カーペットタイルであって、前記1組は調和したパターンおよび色をもつ少なくとも2つのタイルを含み、各タイルは付着された少なくとも2つの領域の視覚テクスチャーを有し、前記視覚テクスチャーの領域は各タイル上で少なくとも2つのパイル方向の感じを与えることを特徴とする1組のカーペットタイル。
【請求項2】
前記パターンは印刷によりタイルにつけられ、かつ前記視覚テクスチャーも印刷によりつけられている請求項1記載の1組のカーペットタイル。
【請求項3】
前記パターンおよび前記視覚テクスチャーは一段の印刷操作でつけられている請求項2記載の1組のカーペットタイル。
【請求項4】
前記1組に4枚のタイルを有する請求項1から3のいずれか1項記載の1組のカーペットタイル。
【請求項5】
前記タイルは、1つのタイルのパターンを選び、それを約90、180および270°まで回転させて4枚のタイルを作り出し、さらに各タイルのパターン化された領域にテクスチャーをつけることによって、デザインされている請求項4記載の1組のカーペットタイル。
【請求項6】
前記タイルは、各タイルに異なるテクスチャーをつけることによって個別化されている請求項5記載の1組のカーペットタイル。
【請求項7】
前記タイルは、各タイルに2つの向きにおいて方向的に顕著な少なくとも2つの視覚テクスチャーをつけることによって、個別化されている請求項5または6記載の1組のカーペットタイル。
【請求項8】
同一のタイルの箱に入っている請求項1から7のいずれか1項記載のタイルを供給し、さらにコンピュータで生成されたパターンコードに従って敷く方法。
【請求項9】
製造後に前記タイルをランダムに箱に詰め、箱から取り出した順に敷くことができるようにする、請求項1から7のいずれか1項記載のタイルを供給する方法。
【請求項10】
前記ランダム化は、前記タイルを回転し、パイル方向もランダム化されるようにすることを含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記タイルをタイル印刷方法により製造する、請求項1から7のいずれか1項記載のタイルを供給する方法。
【請求項12】
前記印刷方法は染料注入印刷方法である請求項11記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2006−522628(P2006−522628A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504918(P2006−504918)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003355
【国際公開番号】WO2004/089654
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】