説明

パターン生成装置、パターン生成プログラムおよび半導体装置の製造方法

【課題】レジストパターンの微細化に伴う倒壊または抜け不良を低減する。
【解決手段】パターン生成装置11において、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度を算出する光強度算出部11aと、前記パターンおよびパターン周辺の光強度を評価する光強度評価部11bと、光強度評価部11bによる評価結果に基づいて前記パターンの補正データを出力するデータ出力部11cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はパターン生成装置、パターン生成プログラムおよび半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体デバイスの微細化に伴って、リソグラフィ工程で使用されるレジストパターンも微細化され、線幅が数十ナノメートルオーダーにまで細線化されてきている。
レジストパターンが数十ナノメートルオーダーにまで微細化されかつレジスト膜厚が薄くなると、レジストパターンの倒壊が発生したり、抜け不良が発生したりすることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−102555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、レジストパターンの微細化に伴う倒壊または抜け不良を低減することが可能なパターン生成装置、パターン生成プログラムおよび半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のパターン生成装置によれば、光強度算出部と、光強度評価部と、データ出力部とが設けられている。光強度算出部は、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度を算出する。光強度評価部は、前記パターンおよびパターン周辺の光強度を評価する。データ出力部は、前記光強度評価部による評価結果に基づいて前記パターンの補正データを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1(a)は、第1実施形態に係るパターン生成装置およびその周辺装置の概略構成を示すブロック図、図1(b)は、図1(a)のパターン生成装置が用いられる露光装置の概略構成を示す断面図、図1(c)および図1(d)は図1(a)のパターン生成装置が用いられる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】図2は、第2実施形態に係るパターン生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、第3実施形態に係るパターン生成装置にて評価される光学像の一例を示す平面図、図3(b)は、図3(a)の光学像の像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図である。
【図4】図4(a)は、第4実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図4(b)は、図4(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図4(c)は、図4(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、第5実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図5(b)は、図5(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図5(c)は、図5(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【図6】図6は、光強度体積比と倒壊限界寸法との関係を、図4(a)のマスクパターンを用いた場合と図5(a)のマスクパターンを用いた場合とを比較して示す図である。
【図7】図7は、第6実施形態に係るパターン生成方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、焦点深度および露光量裕度とピラー倒壊に対する評価指標の適合領域を条件ごとに示す図である。
【図9】図9(a)は、第7実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図9(b)は、図9(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図である。
【図10】図10(a)は、第8実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図10(b)は、図10(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図である。
【図11】図11(a)は、第9実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図11(b)は、図11(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いた抜け不良に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図11(c)は、図11(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【図12】図12(a)は、第10実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図12(b)は、図12(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いた抜け不良に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図12(c)は、図12(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【図13】図13は、光強度体積比と未開口不良率との関係を、図11(a)のマスクパターンを用いた場合と図12(a)のマスクパターンを用いた場合とを比較して示す図である。
【図14】図14は、焦点深度および露光量裕度と抜け不良に対する評価指標の適合領域を条件ごとに示す図である。
【図15】図15(a)は、第11実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図、図15(b)は、第12実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図、図15(c)は、第13実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図、図15(d)は、第14実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図である。
【図16】図16は、光強度体積比と倒壊限界寸法との関係を、図15(a)および図15(b)のマスクパターンを用いた場合を比較して示す図である。
【図17】図17(a)は、第15実施形態に係るパターン生成装置にて評価される光学像の一例を示す平面図、図17(b)は、図17(a)の光学像の像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図17(c)は、第15実施形態に係るパターン生成装置にて評価される光学像のその他の例を示す平面図、図17(d)は、図17(c)の光学像の像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図17(e)は、図17(b)および図17(d)の裾部の潜像強度の合計を比較して示す図である。
【図18】図18は、ウェハ面内でフォーカスおよび露光量を変化させた時のピラー倒壊の有無を示す図である。
【図19】図19(a)は、第16実施形態に係るレジスト膜構造の一例を示す断面図、図19(b)は、第16実施形態に係るレジスト膜構造のその他の例を示す断面図である。
【図20】図20は、光強度体積比と倒壊限界寸法との関係を、図19(a)のレジスト膜構造を用いた場合と図19(b)のレジスト膜構造を用いた場合とを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係るパターン生成装置および半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係るパターン生成装置およびその周辺装置の概略構成を示すブロック図、図1(b)は、図1(a)のパターン生成装置が用いられる露光装置の概略構成を示す断面図、図1(c)および図1(d)は図1(a)のパターン生成装置が用いられる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図1(a)において、パターン生成装置11には、光強度算出部11a、光強度評価部11bおよびデータ出力部11cが設けられている。また、パターン生成装置11の周辺装置には、CADシステム12およびマスクデータ作成部13が設けられている。また、図1(b)において、露光装置14には、光源G、絞りS、フォトマスクMおよびレンズLが設けられている。
【0009】
ここで、光強度算出部11aは、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度を算出することができる。なお、この光強度の算出は、リソグラフィシミュレーションにて行うことができる。光強度評価部11bは、光強度算出部11aにて算出されたパターンおよびパターン周辺の光強度を評価することができる。データ出力部11cは、露光に基づいて形成されるパターンの補正データを、光強度評価部11bによる評価結果に基づいて出力することができる。
【0010】
なお、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度を評価する評価指標は、パターンおよびそのパターンの周辺における光強度体積比、パターンおよびそのパターンの周辺における光強度の最大値と最小値との比またはパターンの周辺における断面裾部の光強度を用いることができる。
【0011】
露光に基づいて形成されるパターンの補正データは、パターンに対応する設計レイアウトデータN1の補正データD1、パターンに対応するマスクパターンの補正データD2またはパターンにおける露光条件の補正データD3を挙げることができる。
【0012】
そして、CADシステム12において、半導体集積回路の設計レイアウトデータN1が作成され、パターン生成装置11に送られる。また、パターン生成装置11には、露光に基づいて形成されるパターンの露光条件N2が入力される。
【0013】
そして、光強度算出部11aにおいて、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度が算出され、その算出結果が光強度評価部11bに送られる。そして、光強度評価部11bにおいて、パターンおよびパターン周辺の光強度の評価指標が所定値を満たすかどうかが判定される。そして、データ出力部11cにおいて、パターンおよびパターン周辺の光強度の評価指標が所定値を満たすように補正データD1〜D3が算出され、CADシステム12、マスクデータ作成部13および露光装置14にそれぞれ送られる。
【0014】
そして、CADシステム12において、補正データD1がパターン生成装置11から送られると、補正データD1に基づいて設計レイアウトデータN1が補正され、マスクデータ作成部13に送られる。
【0015】
そして、マスクデータ作成部13において、設計レイアウトデータN1で指定されるレイアウトパターンに対応したマスクデータが作成される。そして、フォトマスクMには、マスクデータ作成部13にて作成されたマスクデータで特定されるマスクパターンが遮光膜Hにて形成される。
【0016】
なお、補正データD2がパターン生成装置11から送られた場合、補正データD2に基づいてマスクデータが補正される。なお、マスクデータの補正方法としては、設計レイアウトデータN1で指定されるレイアウトパターンに対して、露光における解像限界以下の寸法のアシストパターンを付加することができる。なお、このアシストパターンは、レジスト膜Rに転写されるパターンおよびそのパターンの周辺における光強度体積比が小さくなるように形成することができる。あるいは、レジスト膜Rに転写されるパターンおよびそのパターンの周辺における光強度の最大値と最小値との比が小さくなるように形成するようにしてもよいし、レジスト膜Rに転写されるパターンの周辺における断面裾部の光強度が小さくなるように形成するようにしてもよい。
【0017】
一方、半導体基板K上には下地層Tが形成され、下地層T上にはレジスト膜Rが塗布されている。なお、下地層Tは、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などの絶縁体膜であってもよいし、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンなどの半導体膜であってもよいし、AlまたはCuなどの金属膜であってもよい。
【0018】
そして、図1(b)に示すように、光源Gからは紫外光などの露光光が出射され、絞りSにて絞られた後、フォトマスクMおよびレンズLを介してレジスト膜Rに入射することで、レジスト膜Rが露光される。
【0019】
ここで、補正データD3がパターン生成装置11から送られた場合、補正データD3に基づいて露光条件が補正される。なお、露光条件としては、例えば、照明形状、照明光学系のNA(開口数)、照射波長または露光量(露光強度又は露光時間)を挙げることができる。
【0020】
次に、図1(c)に示すように、レジスト膜Rが露光された後、そのレジスト膜Rが現像されることで、フォトマスクMのマスクパターンがレジスト膜Rに転写される。
【0021】
次に、図1(d)に示すように、マスクパターンが転写されたレジスト膜Rをマスクとして下地層Tを加工することで、フォトマスクMのマスクパターンが下地層Tに転写される。なお、下地層Tの加工としては、エッチング加工であってもよいし、イオン注入用途とであってもよい。
【0022】
ここで、レジスト膜Rに形成されるレジストパターンおよびパターン周辺の光強度に基づいて補正データD1〜D3を生成することにより、レジストパターンの光強度とその周辺の光強度とのコントラストを低減または向上することができる。このため、ポジパターンでは、レジストパターンの周辺の光強度を弱めることができ、レジストパターンに裾引きを起こさせやすくすることが可能となることから、レジストパターンの倒壊を低減させることができる。一方、ネガパターンでは、レジストパターンの光強度とその周辺の光強度とのコントラストを向上させることで、レジストパターンの抜け不良を低減させることができる。また、レジストパターンの光強度のみ、もしくはレジストパターンの周辺の光強度のみを用いて評価を行うことも可能である。
【0023】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係るパターン生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2において、パターン生成装置11には、CPUなどを含むプロセッサ1、固定的なデータを記憶するROM2、プロセッサ1に対してワークエリアなどを提供するRAM3、人間とコンピュータとの間の仲介を行うヒューマンインターフェース4、外部との通信手段を提供する通信インターフェース5、プロセッサ1を動作させるためのプログラムや各種データを記憶する外部記憶装置6を設けることができ、プロセッサ1、ROM2、RAM3、ヒューマンインターフェース4、通信インターフェース5および外部記憶装置6は、バス7を介して接続されている。
【0024】
なお、外部記憶装置6としては、例えば、ハードディスクなどの磁気ディスク、DVDなどの光ディスク、USBメモリやメモリカードなどの可搬性半導体記憶装置などを用いることができる。また、ヒューマンインターフェース4としては、例えば、入力インターフェースとしてキーボードやマウスやタッチパネル、出力インターフェースとしてディスプレイやプリンタなどを用いることができる。また、通信インターフェース5としては、例えば、インターネットやLANなどに接続するためのLANカードやモデムやルータなどを用いることができる。
【0025】
ここで、外部記憶装置6には、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度に基づいて、そのパターンの補正データを出力させるパターン生成プログラム6aがインストールされている。
【0026】
そして、パターン生成プログラム6aがプロセッサ1にて実行されると、露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度に基づいて補正データD1〜D3が算出され、CADシステム12、マスクデータ作成部13および露光装置14にそれぞれ送られる。
【0027】
なお、プロセッサ1に実行させるパターン生成プログラム6aは、外部記憶装置6に格納しておき、プログラムの実行時にRAM3に読み込むようにしてもよいし、パターン生成プログラム6aをROM2に予め格納しておくようにしてもよいし、通信インターフェース5を介してパターン生成プログラム6aを取得するようにしてもよい。また、パターン生成プログラム6aは、スタンドアロンコンピュータに実行させてもよいし、クラウドコンピュータに実行させてもよい。
【0028】
(第3実施形態)
図3(a)は、第3実施形態に係るパターン生成装置にて評価される光学像の一例を示す平面図、図3(b)は、図3(a)の光学像の像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図である。
図3(a)および図3(b)において、レジストパターンとしてピラーパターンを形成する時の光学像では、ピラーパターンの部分が暗くなり、その周辺が明るくなっている。なお、ポジ型レジストでは、光学像の暗い部分が残り、光学像の明るい部分が除去される。
【0029】
そして、ピラーパターンが形成される暗い部分の暗部体積をV、ピラーパターンの周辺の明るい部分の明部体積をVとすると、光強度体積比はV/(V+V)にて表すことができる。一方、ホールパターンの場合には、ホールパターンが形成される明るい部分の明部体積をV、ホールパターンの周辺の暗い部分の暗部体積Vとなり、同様に光強度体積比はV/(V+V)にて表すことができる。そして、この光強度体積比が所定値を満たすように設計レイアウトデータ、マスクデータまたは露光条件を設定することができる。
【0030】
なお、ピラーパターンが周期的に配置されている場合、ピラーパターンの配置の周期をYとすると、計算精度等の観点から、ピラーパターンの周辺の境界は周期Yに設定することが好ましい。また、孤立パターンの場合、その孤立パターンの周辺の境界は、その孤立パターンとその隣接パターンとの間の中間に設定することが好ましい。
【0031】
(第4実施形態)
図4(a)は、第4実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図4(b)は、図4(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図4(c)は、図4(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【0032】
図4(a)において、フォトマスクM1には、マスクパターンが遮光膜H1にて形成されている。そして、このフォトマスクM1を介して下地層T1上に露光した場合、図4(b)に示すように、下地層T1上の像強度分布は、遮光膜H1の部分は暗くなり、遮光膜H1の周辺は明るくなる。この結果、図4(c)に示すように、図4(b)の像強度分布に対応してレジスト膜R1がパターニングされ、ピラーパターンがレジスト膜R1に形成される。
【0033】
ここで、レジスト膜R1に形成されたピラーパターンの倒壊性を判断する場合、レジスト膜R1に形成されるピラーパターンおよびパターン周辺の光強度を評価することができる。この時の評価指標として光強度体積比はV/(V+V)を用いることができる。このピラーパターンの周辺の光強度が強いと、レジスト膜R1のピラーパターンとして残る部分にも潜像強度分布が顕著に形成され、ピラーパターンとして残る部分のレジスト膜R1の溶解性が増大することから、ピラーパターンが倒壊しやすくなる。このため、光強度体積比=V/(V+V)が所定値を満たすようにピラーパターンの周辺の光強度を低減することにより、ピラーパターンが倒壊しにくくすることができる。
【0034】
(第5実施形態)
図5(a)は、第5実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図5(b)は、図5(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図5(c)は、図5(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【0035】
図5において、このフォトマスクM2には、マスクパターンが遮光膜H2にて形成されるとともに、アシストパターンが遮光膜J2にて形成されている。なお、このアシストパターンは、レジスト膜R2の露光時における解像限界以下の寸法に設定する必要がある。また、このアシストパターンは、マスクパターンの周辺の露光光の強度が弱くなるように配置することができる。そして、このフォトマスクM2を介して下地層T2上に露光した場合、図5(b)に示すように、下地層T2上の像強度分布は、遮光膜H2の部分は暗くなり、遮光膜H2の周辺は明るくなる。また、遮光膜H2の周辺においても、遮光膜J2の部分は、明るさが低下する。この結果、図5(c)に示すように、図5(b)の像強度分布に対応してレジスト膜R2がパターニングされると、ピラーパターンが裾を引くようにしてレジスト膜R2に形成され、ピラーパターンが倒壊しにくくすることができる。
【0036】
図6は、光強度体積比と倒壊限界寸法との関係を、図4(a)のマスクパターンを用いた場合(A1)と図5(a)のマスクパターンを用いた場合(A2)とを比較して示す図である。
図6において、ピラーパターンをレジスト膜R2に形成した場合ではピラーパターンをレジスト膜R1に形成した場合に比べて光強度体積比が小さくなり、ピラーパターンの倒壊限界寸法が小さくなる。このため、ピラーパターンの倒壊が減少するため、ピラーパターンを微細化することができる。
【0037】
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態に係るパターン生成方法を示すフローチャートである。
図7において、設計レイアウトデータに基づいて作成されたマスクパターンデータ、露光量、照明形状、開口数などを入力としてリソグラフィシミュレーションを行う(P1)。
【0038】
次に、焦点深度DOF(Depth of Focus)および露光量裕度EL(Exposure Latitude)が所望の露光マージンを満たすかどうかを判断する(P2)。そして、焦点深度DOFおよび露光量裕度ELが所望の露光マージンを満たす場合、評価指標が所定値を満たすかどうかを判定する(P3)。そして、評価指標が所定値を満たす場合、所望パターン形成可能なマスクパターンおよび露光条件を出力する(P4)。
【0039】
図8は、焦点深度および露光量裕度とピラー倒壊に対する評価指標の適合領域を条件ごとに示す図である。
【0040】
図8において、例えば、条件A〜Dにおいて、条件Aでは評価指標を満たすが焦点深度および露光量裕度を満たさず、条件B、Cでは評価指標、焦点深度および露光量裕度を満たし、条件Dでは焦点深度および露光量裕度を満たすが評価指標を満たさないものとする。この場合、ピラー倒壊を低減させるために、条件B、Cを選択することができる。なお、条件A〜Dは、マスクパターン、露光量、照明形状および開口数などを適宜変更したものである。
【0041】
(第7実施形態)
図9(a)は、第7実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図9(b)は、図9(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図である。
図9(a)および図9(b)において、このマスクパターンおよび像強度分布は図4(a)および図4(b)と同様である。ただし、図4(b)の方法では、評価指標として光強度体積比はV/(V+V)を用いる方法について示したが、図9(b)の方法では、露光光の光強度の最大値をDmax、最小値をDminとすると、これらの最大値Dmaxと最小値Dminとの比を用いることができる。
【0042】
(第8実施形態)
図10(a)は、第8実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図10(b)は、図10(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図である。
図10(a)および図10(b)において、このマスクパターンおよび像強度分布は図5(a)および図5(b)と同様である。ただし、図5(b)の方法では、評価指標として光強度体積比はV/(V+V)を用いる方法について示したが、図10(b)の方法では、露光光の光強度の最大値Dmaxと最小値Dminとの比を用いることができる。
【0043】
(第9実施形態)
図11(a)は、第9実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図11(b)は、図11(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いた抜け不良に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図11(c)は、図11(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【0044】
図11において、フォトマスクM3には遮光膜H3が形成され、遮光膜H3には開口パターンK3がマスクパターンとして形成されている。そして、このフォトマスクM3を介して下地層T3上に露光した場合、図11(b)に示すように、下地層T3上の像強度分布は、開口パターンK3の部分は明るくなり、開口パターンK3の周辺は暗くなる。この結果、図11(c)に示すように、図11(b)の像強度分布に対応してレジスト膜R3がパターニングされ、開口パターンがレジスト膜R3に形成される。
【0045】
ここで、レジスト膜R3に形成された加工パターンの抜け性を判断する場合、レジスト膜R3に形成される開口パターン部とその周辺の光強度で評価することができる。この時の評価指標として光強度体積比V/(V+V)を用いることができる。開口パターン周辺に対する開口パターン部の光強度が弱いと、レジスト膜R3の開口パターン部の溶解性が減少し、開口パターンが抜けにくくなる。このため、強度体積比=V/(V+V)が所定値を満たす必要がある。
【0046】
(第10実施形態)
図12(a)は、第10実施形態に係るマスクパターンの一例を示す断面図、図12(b)は、図12(a)のマスクパターンによる像強度分布を用いた抜け不良に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図12(c)は、図12(b)の像強度分布に対応したレジストパターンの一例を示す断面図である。
【0047】
図12において、このフォトマスクM4には遮光膜H4が形成され、遮光膜H4には開口パターンK4がマスクパターンとして形成されるとともに、開口パターンJ4がアシストパターンとして形成されている。なお、このアシストパターンは、レジスト膜R4の露光時における解像限界以下の寸法に設定する必要がある。また、このアシストパターンは、マスクパターンとその周辺の露光光の光強度体積比が高くなるように配置することができる。そして、このフォトマスクM4を介して下地層T4上に露光した場合、図12(b)に示すように、下地層T4上の像強度分布は、開口パターンK4の部分は明るくなる。また、開口パターンK4の周辺においても、開口パターンJ4の部分は、明るさが増大する。この結果、図12(c)に示すように、図12(b)の像強度分布に対応してレジスト膜R4がパターニングされると、開口パターンが切り立つようにしてレジスト膜R4に形成され、開口パターンを抜けやすくすることができる。
【0048】
図13は、光強度体積比と未開口不良率との関係を、図11(a)のマスクパターンを用いた場合(B1)と図12(a)のマスクパターンを用いた場合(B2)とを比較して示す図である。
図13において、開口パターンをレジスト膜R4に形成した場合では開口パターンをレジスト膜R3に形成した場合に比べて光強度体積比が大きくなり、未開口不良が低減する。このため、未開口不良が減少するため、開口パターンを微細化することができる。
【0049】
図14は、焦点深度および露光量裕度と抜け不良に対する評価指標の適合領域を条件ごとに示す図である。
図14において、例えば、条件A〜Dにおいて、条件Aでは評価指標、焦点深度および露光量裕度を満たさず、条件B、Cでは焦点深度および露光量裕度を満たすが評価指標を満たさず、条件Dでは評価指標、焦点深度および露光量裕度を満たすものとする。この場合、開口パターンを抜けやすくするために、条件Dを選択することができる。
【0050】
(第11〜第14実施形態)
図15(a)は、第11実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図、図15(b)は、第12実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図、図15(c)は、第13実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図、図15(d)は、第14実施形態に係るマスクパターンの一例を示す平面図である。
【0051】
図15(a)において、マスクパターンH11が周期的に配置されている。なお、マスクパターンH11の一辺の長さがFであるとすると、例えば、マスクパターンH11間の間隔は3Fに設定することができる。この時、マスクパターンH11の周辺E11の境界は、マスクパターンH11の配置の1周期分に設定することができる。
【0052】
また、図15(b)において、マスクパターンH11の周辺E11の光強度を減少させるために、マスクパターンH11間にアシストパターンJ11を配置するようにしてもよい。なお、アシストパターンJ11は、マスクパターンH11を介して露光する時の解像限界以下の寸法に設定する必要がある。
【0053】
また、図15(c)において、マスクパターンH11の周辺E11の光強度を減少させるために、マスクパターンH11の各辺に隣接してアシストパターンJ12を配置するようにしてもよい。なお、アシストパターンJ12は、マスクパターンH11を介して露光する時の解像限界以下の寸法に設定する必要がある。
【0054】
また、図15(d)において、マスクパターンH11の周辺E11の光強度を減少させるために、マスクパターンH11間にアシストパターンJ13を配置するとともに、マスクパターンH11の各辺に隣接してアシストパターンJ14を配置するようにしてもよい。なお、アシストパターンJ13、J14は、マスクパターンH11を介して露光する時の解像限界以下の寸法に設定する必要がある。
【0055】
図16は、光強度体積比と倒壊限界寸法との関係を、図15(a)および図15(b)のマスクパターンを用いた場合を比較して示す図である。なお、B1は図15(a)のマスクパターンを用いた場合、B2は図15(b)のマスクパターンを用いた場合を示す。
【0056】
図16において、アシストパターンJ11〜J14をマスクパターンH11に追加した場合ではアシストパターンJ11〜J14をマスクパターンH11に追加しない場合に比べて光強度体積比が小さくなり、ピラーパターンの倒壊限界寸法が小さくなる。このため、ピラーパターンの倒壊を減少させつつ、ピラーパターンを微細化することができる。
【0057】
(第15実施形態)
図17(a)は、第15実施形態に係るパターン生成装置にて評価される光学像の一例を示す平面図、図17(b)は、図17(a)の光学像の像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図17(c)は、第15実施形態に係るパターン生成装置にて評価される光学像のその他の例を示す平面図、図17(d)は、図17(c)の光学像の像強度分布を用いたピラー倒壊に対する評価指標の算出方法の一例を示す図、図17(e)は、図17(b)および図17(d)の裾部の潜像強度の合計を比較して示す図である。なお、図17(a)および図17(b)は、図4(a)のフォトマスクM1を用いた時の光学像、図17(c)および図17(d)は、図5(a)のフォトマスクM2を用いた時の光学像である。
【0058】
図17(b)および図17(d)において、図4(b)および図5(b)の方法では、評価指標として光強度体積比はV/(V+V)を用いる方法について示したが、図17(b)および図17(d)の方法では、レジスト膜R1、R2に転写されるピラーパターンの周辺における断面裾部21の光強度を用いることができる。この時、断面裾部21の光強度の合計は、図17(e)に示すように、図4(a)のフォトマスクM1を用いた場合(A1)に比べて図5(a)のフォトマスクM2を用いた場合(A2)の方が小さくなっている。
【0059】
図18は、ウェハ面内でフォーカスおよび露光量を変化させた時のピラー倒壊の有無を示す図である。
図18において、ウェハ31の面内でフォーカスおよび露光量を変化させた時のピラー32の倒壊の有無について調べた。
【0060】
(第16実施形態)
図19(a)は、第16実施形態に係るレジスト膜構造の一例を示す断面図、図19(b)は、第16実施形態に係るレジスト膜構造のその他の例を示す断面図である。
図19(a)において、このレジスト膜構造では、下地層41上に塗布カーボン膜42およびSOG(Spin On Glass)膜43が順次積層され、SOG膜43上にレジスト膜44が形成される。なお、このレジスト膜構造では、レジスト膜44をマスクとしてSOG膜43がパターニングされ、そのSOG膜43をマスクとして塗布カーボン膜42がパターニングされ、その塗布カーボン膜42をマスクとして下地層41がパターニングされる。ここで、下地層41をパターニングする時に塗布カーボン膜42をマスクとして用いることで下地層41との間の選択比を稼ぐことができる。
【0061】
また、図19(b)において、このレジスト膜構造では、下地層51上に反射防止膜52を介してレジスト膜53が形成される。なお、反射防止膜52は、レジスト膜53と屈折率を異ならせることができる。
【0062】
図20は、光強度体積比と倒壊限界寸法との関係を、図19(a)のレジスト膜構造を用いた場合と図19(b)のレジスト膜構造を用いた場合とを比較して示す図である。なお、B1は図15(a)のマスクパターンおよび図19(a)の下地層を用いた場合、B2は図15(b)のマスクパターンおよび図19(a)の下地層を用いた場合、B5は図15(a)のマスクパターンおよび図19(b)の下地層を用いた場合、B6は図15(b)のマスクパターンおよび図19(b)の下地層を用いた場合を示す。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 プロセッサ、2 ROM、3 RAM、4 ヒューマンインターフェース、5 通信インターフェース、6 外部記憶装置、6a パターン生成プログラム、7 バス、11 パターン生成装置、11a 光強度算出部、11b 光強度評価部、11c データ出力部、12 CADシステム、13 マスクデータ作成部、14 露光装置、K 半導体基板、T、T1〜T4、41、51 下地層、R、R1〜R4、44、53 レジスト膜、M フォトマスク、H 遮光膜、S 絞り、G 光源、42 塗布カーボン膜、43 SOG膜、52 反射防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度を算出する光強度算出部と、
前記パターンおよびパターン周辺の光強度を評価する光強度評価部と、
前記光強度評価部による評価結果に基づいて前記パターンの補正データを出力するデータ出力部とを備えることを特徴とするパターン生成装置。
【請求項2】
前記パターンおよびパターン周辺の光強度を評価する評価指標は、前記パターンおよび前記パターンの周辺における光強度体積比、前記パターンおよび前記パターンの周辺における光強度体積、前記パターンおよび前記パターンの周辺における光強度の最大値と最小値との比または前記パターンの周辺における断面裾部の光強度であることを特徴とする請求項1に記載のパターン生成装置。
【請求項3】
前記補正データは、前記パターンに対応する設計レイアウトデータの補正データ、前記パターンに対応するマスクパターンの補正データまたは前記パターンにおける露光条件の補正データであることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン生成装置。
【請求項4】
露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度を算出させるステップと、
前記パターンおよびパターン周辺の光強度を評価させるステップと、
前記評価結果に基づいて前記パターンの補正データを出力させるステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするパターン生成プログラム。
【請求項5】
露光に基づいて形成されるパターンおよびパターン周辺の光強度に基づいて、前記露光における解像限界以下の寸法のアシストパターンを前記パターンに対応するマスクパターンに付加する工程と、
前記マスクパターンを介して下地層上のレジスト膜を露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を現像することで前記パターンを前記レジスト膜に転写する工程と、
前記パターンが転写された前記レジスト膜をマスクとして前記下地層を加工する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図3】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−41155(P2013−41155A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178473(P2011−178473)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】