説明

パチンコ機の制御プログラム検査方法

【課題】パチンコ機の封印された制御基板のROMに記憶された制御プログラムを該封印を解くことなく検査すること。
【解決手段】封印された制御基板10aに配設された記憶手段12に記憶された制御プログラムを検査するパチンコ機1の制御プログラム検査方法において、該パチンコ機1に特定の条件が成立したときに、検査用プログラムが前記記憶手段12に記憶された前記パチンコ機1の制御プログラムを読み出し、プログラム検査手段30が該読み出された制御プログラムを検査することを特徴とするパチンコ機の制御プログラム検査方法。更に、前記特定の条件の成立がエラーの発生であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機の封印された制御基板のメモリに記憶された制御プログラム検査方法に関し、特に制御基板を開封しないで該制御プログラムを検査することができる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ機の動作制御用主制御基板にCPU(central
processingunit )、ROM(read only memory)等が使用されている。CPUはパチンコ機の動作全体を制御するものであり、ROMはパチンコ機の動作制御プログラムを記憶している。なお、CPU,ROM等を含む主制御基板は不正を防ぐために封印されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、前記ROMに記憶された制御プログラムが正常なものであるかどうか検査するためには、前記封印を解いてROMを主制御基板から取り外す必要がある。しかし、不正を防ぐために一旦封印が解かれた主制御基板はもはや使用できないという取扱がなされている。このため、制御プログラムを検査した主制御基板は、封印が解かれているので、もはやパチンコ機に装着できないという問題があった。したがって、本願発明の目的は、上述の従来例の問題点をなくし、パチンコ機の制御基板の封印を解くことなく、該制御基板に配設されたROM等の記憶手段に記憶された制御プログラムの内容を検査することができる検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本願の第1の発明の構成は、封印された制御基板に配設された記憶手段に記憶された制御プログラムを検査するパチンコ機の制御プログラム検査方法において、該パチンコ機に特定の条件が成立したときに、検査用プログラムが前記記憶手段に記憶された前記パチンコ機の制御プログラムを読み出し、プログラム検査手段が該読み出された制御プログラムを検査することを特徴とするパチンコ機の制御プログラム検査方法である。
【0005】
上記第1の発明の構成により、何らかの手段により人為的にパチンコ機に特定の条件を成立させたときに、検査用プログラムが封印された制御基板に配設された記憶手段に記憶されたパチンコ機の制御プログラムを読み出し、該読み出された制御プログフラムがプログラム検査手段により検査されるので、制御プログラムの記憶手段を含む主制御基板の封印を解くことなく前記記憶手段に記憶された制御プログラムの内容を検査することができる。
【0006】
更に、第2の発明の構成は、上記第1の発明の構成において、前記特定の条件の成立がエラーの発生であることである。
【0007】
上記第2の発明の構成により、上記第1の発明の構成による作用とともに、前記特定の条件の成立がエラーの発生であるので、ROMに記憶された制御プログラムを検査しようとする者が人為的にパチンコ機にエラーを発生させるのみで、前記検査用プログラムを起
動させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本願の第1の発明に係わるパチンコ機の制御プログラム検査手段によれば、何らかの手段により人為的にパチンコ機に特定の条件を成立させることにより、検査用プログラムを起動させ、この検査用プログラムにより封印された制御基板の記憶手段に記憶された制御プログラムを読み出して検査するので、前記制御基板の封印を解くことなく前記記憶手段に記憶された制御プログラムの内容を検査することができる。このため、パチンコ機の電源を切ることなく簡単な操作で前記制御プログラムの検査をすることができ、パチンコ機の不正な操作を防ぐことができる。
【0009】
更に、第2の発明により、上記第1の発明による効果とともに、前記特定の条件の成立がエラーの発生であるので、人為的にパチンコ機にエラーを発生させるのみで、前記検査用プログラムを起動させることができる。このため、簡単に検査用プログラムを起動させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の実施の形態のブロックダイヤグラムである。
【図2】図1に示すものの具体的な回路図である。
【図3】図2に示す回路図の変形例の回路図である。
【図4】本願発明の制御プログラム検査装置が適用されるパチンコ機のブロックダイヤグラムである。
【図5】パチンコ機のエラーの発生を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本願発明の実施の形態に係わるパチンコ機の制御プログラムの検査方法に使用する装置の概略を示している。図1において、パチンコ機1の主制御基板10にコネクタ14が設けられている。変換基板20にはコネクタ21、25が設けられ、コネクタ21は前記主制御基板10のコネクタ14にコード51で接続されている。またコネクタ25はコード52によりプログラム検査手段としてのROMライター30に接続されている。なお、差込プラグ42はコード53によりACアダプタ41に接続され、更に、ACアダプタ41はコード54により変換基板20に接続されている。
【0012】
図2は、上記実施の形態の具体例を示している。図2において、主制御基板10a(図1の主制御基板10に相当する。)では、記憶手段としてのROM12が中央処理装置としてのCPU11により制御されるように接続されている。また、PIO(programmedI/O)13がCPU11により制御されるように接続されている。ROM12はパチンコ機1の制御プログラム及び本願発明に係わる検査用プログラムを記憶している。この制御用プログラムは、パチンコ機1の動作を制御するものであり、例えば図柄制御、大当たり制御、賞球の払出し制御等を行うプログラムである。CPU11がパチンコ機1のエラー状態を検出したとき、ROM12内に記憶された前記検査用プログラムが起動して、前記検査用プログラムが前記制御プログラムを読み出してPIO13へ送る。トランジスタQ1
はPIO13の出力を受けるように接続されている。トランジスタQ1 は、コレクタがコネクタ14aに接続され、エミッタは接地されている。なお、コネクタ14a及び後述するコネクタ14bは可変図柄表示用液晶表示装置60の接続用のものである(図4参照)。
【0013】
変換基板20a(図1の変換基板20に相当する。)には、コネクタ21a、21b、25が設けられている。フォトカプラ22の発光ダイオードD1 のアノードは抵抗R1 を介してコネクタ21bに接続され、発光ダイオードD1 のカソードはコネクタ21aに接続されている。フォトカプラ22のフォトトランジスタQ2
は、エミッタが接地され、コレクタがラインドライバ23の入力端子に接続されている。ラインドライバ23の出力端子はコネクタ25に接続されている。ACアダプタ41の出力はDC/DC変換器24の入力端子に接続され、DC/DC変換器24の出力端子はラインドライバ23の+VCC
端子と−VCC 端子とに接続されている。
【0014】
図4は、制御プログラム検査装置が適用されるパチンコ機1の全体のブロックダイヤグラムを示している。図4において、主制御基板10aは、図2に示すものと同じである。ただし、トランジスタアレイTにおいては、10個のトランジスタのエミッタが接地され、各トランジスタのベースはそれぞれPIO13に接続され、各トランジスタのコレクタはそれぞれコネクタ14aの各ピンに接続されている。なお、図4においては前記10個のトランジスタのうち1つのトランジスタQ1 のみが図示されている。また、図2においては、トランジスタアレイTは図示されずそのうちの前記1つのトランジスタQ1 のみが図示されている。
【0015】
液晶表示装置60は、液晶表示制御基板61、LCD(Liquid crystal display)モジュール67及び冷陰極蛍光ランプ点灯装置68からなる。液晶表示制御基板61には、CPU62、ROM63、VDP(Video
drive processor )64及びコネクタ65a、65b、66a、66bが配設されている。コネクタ65aはコード69aによりコネクタ14aに接続され、コネクタ65bはコード69bによりコネクタ14bに接続されている。ROM63はLCDモジュール67の制御プログラムを記憶し、CPU62はROM63に記憶された制御プログラムに従ってVDP64を制御し、VDP64はコネクタ66aを介してLCDモジュール67を駆動する。なお、電源V1
の電圧は、VDP64に供給され、更に、コネクタ66bを介して冷陰極蛍光ランプ点灯装置68に供給されている。
【0016】
図5はパチンコ機1のエラーの発生原因の1例を説明している。図5に示す可変入賞装置70では、回転羽根71が配設され、該回転羽根71が開いているときは、遊技球76が矢印77に示す経路にて回転羽根71の近傍を通り可変入賞装置70内に落下する。可変入賞装置70内にて、遊技球76がカウントスイッチ72を通過し、猿状キャラクタ73に衝突し、蟹状キャラクタ74を通過し、最後に特定領域75に落下する。なお、猿状キャラクタ73はガイド73aに沿って移動可能である。しかし、可変入賞装置70の前面に配置された図示しないガラス板を開けて、ROM12に記憶された制御プログラムを検査しようとする者が手で遊技球76を摘んで特定領域75に入れることもできる。このように遊技球76がカウントスイッチ72を通過しないで特定領域75に落下すると「エラー」となる。
【0017】
更に、「エラー」として次のものがある。入賞検出スイッチのコネクタが抜けている状態が3秒以上続いた場合(断線)、入賞検出スイッチの検出部に遊技球が詰まった状態が3秒以上続いた場合、通常時に1種大入賞口に入賞した場合等がある。以上の「エラー」の場合は、エラーだと判断される。主制御基板10aが液晶表示装置60と接続されている状態では、エラーと判断すると遊技を一時中断して音、表示部等で報知するようになっており、検査用プログラムは無視される。
【0018】
以上の構成により、主制御基板10aを開封せずに、コネクタ14a、14bから図4に示す液晶表示装置60を取り外し、コネクタ21aをコード51aによりコネクタ14aに接続し、コネクタ21bをコード51bによりコネクタ14bに接続する。このとき、発光ダイオードD1 のカソードはコネクタ21a、14aによりトランジスタQ1 のコレクタに接続され、抵抗R1 はコネクタ21b、14bにより直流電源V1に接続される。CPU11がパチンコ機1のエラー(例えば、パチンコ機1の図示されていない入賞検出スイッチの配線用コネクタを抜くことにより該入賞検出スイッチに対する配線を断線させた場合)を検知したときに、検査用プログラムとしてのプログラムローダ用サブプログラムが起動し、このプログラムローダ用サブプログラムによりROM12に記憶されたパチンコ機1の制御プログラムが読み出されてCPU11を経てPIO13に印加される。
【0019】
トランジスタQ1 はPIO13の出力端子から該制御プログラムの信号を受けて発光ダイオードD1 を制御する。このため、発光ダイオードD1 は該制御プログラムに従って発光し、フォトトランジスタQ2
を動作させる。フォトトランジスタQ2 の出力信号はラインドライバ23に印加される。ラインドライバ23は、デジタル機器用のデータ伝送インターフェースであり、フォトトランジスタQ2
から出力された前記制御プログラム信号をROMライター30に伝送する。なお、フォトカプラ22が使用されているため、パチンコ機1とラインドライバ23とは電気的に絶縁されている。ROMライター30は、前記制御プログラムの内容を記憶し、正規のROMに記憶されている制御プログラムと照合し、一致しない場合はその旨表示される。これにより主制御基板10aに取り付けられているROM12に記憶された制御プログラムが正規のものであるか否かが判断可能となる。
【0020】
図3は、図2に示す具体例の変形例として、通常は使用せず検査時にのみ使用する専用の検査用コネクタを設けた場合を示している。図3において、主制御基板10bは上記主制御基板10aに対応し、主制御基板10bにはCPU11、ROM12及びPIO13が図2と同様に配設され、トランジスタQ11 はベースがPIO13の出力端子に接続され、エミッタが接地され、コレクタが後述するコネクタ14cの一方の回路に接続されている。検査用コネクタ14cは、2ピンのものであり、直流電源V2
が抵抗R2 を介してコネクタ14cの他方の回路に接続されている。変換基板20bは上記変換基板20aに対応するものである。変換基板20bにおいて、フォトカプラ22、ラインドライバ23、DC/DC変換器24及びコネクタ25が図2と同様に配設されている。コネクタ21cは2回路のものであり、上記コネクタ14cにコード51cにより接続されている。フォトカプラ22の発光ダイオードD1
のカソードはコネクタ21cの一方の回路に接続され、発光ダイオードD1 のアノードはコネクタ21cの他方の回路に接続されている。なお、図3において、図4に示すトランジスタアレイT及びコネクタ14a、14bから液晶表示装置60側の部分の図示が省略されている。
【0021】
以上の構成により、上述の図2に示す具体例と同様にROM12に記憶された制御プログラムの内容を検査することができる。ただし、この場合は前記プログラムローダ用サブプログラムは前記検査用コネクタ14cに前記制御プログラムを送るようにプログラムされている。
【0022】
なお、パチンコ機1に検査用プログラムの作動スイッチを設け、該作動スイッチにより特許請求の範囲における「特定の条件」を成立させてもよい。また、図2に示した実施の形態において、トランジスタQ1 のコレクタをコネクタ14aの空きポートに接続してもよい。また、図2におけるコネクタ14aとコネクタ14bとをまとめて1つのコネクタとしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 パチンコ機
10、10a、10b 主制御基板
11 CPU
12 ROM
13 PIO
20、20a、20b 変換基板
30 ROMライター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封印された制御基板に配設された記憶手段に記憶された制御プログラムを検査するパチンコ機の制御プログラム検査方法において、
該パチンコ機に特定の条件が成立したときに、検査用プログラムが前記記憶手段に記憶された前記パチンコ機の制御プログラムを読み出し、プログラム検査手段が該読み出された制御プログラムを検査することを特徴とする
パチンコ機の制御プログラム検査方法。
【請求項2】
前記特定の条件の成立がエラーの発生であることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機の制御プログラム検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−88900(P2010−88900A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254512(P2009−254512)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【分割の表示】特願平9−231139の分割
【原出願日】平成9年8月27日(1997.8.27)
【出願人】(000148922)株式会社大一商会 (3,262)
【Fターム(参考)】