説明

パチンコ機

【課題】主基板、払出制御基板、および外部端子板の3基板間における配線の構造を簡単にする。
【解決手段】主制御部51が搭載された主基板50と、主制御部からの払出制御信号に応じて賞球の払出を行う払出制御基板60とをハーネス201を介して接続し、払出制御基板60と外部端子板100とをハーネス202を介して接続する。主基板50から払出制御基板60には、大当たり信号を含む複数種の状態信号と、シリアル形式の払出制御信号とが、それぞれ個別の信号線を介して伝送される。払出制御基板60の主基板50に対するコネクタ66と外部端子板100に対するコネクタ67との間には、各状態信号毎に中継路66が設けられる。各状態信号は、この中継路66、コネクタ67、およびハーネス202を介して外部端子板100に伝送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ球が打ち出される遊技盤と、この遊技盤における遊技の進行を統括制御する主制御部が搭載された主基板と、主制御部から払出制御信号を受け付けて賞球の払出処理を行う副制御部が搭載された払出制御基板と、主基板から大当たり信号を含む複数種の状態信号を、払出制御基板から賞球の払出状態を示す賞球信号を、それぞれ受け付けて、これらの信号を外部に出力する外部端子板とを具備するパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ機の制御系は、主制御部が搭載された主基板に、賞球の払出を担当する払出制御基板、演出を担当する演出用制御基板などの副制御基板が接続された構成のものである。各副制御基板には、それぞれコンピュータによる副制御部が設けられ、主制御部に個別に接続され、主制御部からの指令に応じて担当の制御を実行する。また下記の特許文献1に記載されているように、主基板と払出制御基板との間で双方向の通信を行うことによって、プログラムの改竄などの不正を防止することも提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−210794号公報
【0004】
また従来のパチンコ機は、「外部端子板」と呼ばれる中継基板を介して、ホール内のホストコンピュータ(以下、「ホールコンピュータ」という。)に接続されている。この外部端子板からは、機体の状態を表す信号(各種センサによる検知信号や大当たり中か否かを示す信号など。この明細書では「状態信号」と呼ぶ。)や、払出制御基板で発生した賞球信号(パチンコ玉の払出機構に対する駆動信号)などが出力される。この信号出力のために、従来のパチンコ機では、図8に示すように、主基板50および払出制御基板60がそれぞれ外部端子板100に個別に接続されている。
【0005】
上記図8に示した各基板50,60,100は、具体的には、ハーネスを介して接続されている。さらに図示しない他の基板間の接続にも、同様に、ハーネスが用いられる。
【0006】
主基板50から払出制御基板60に送られる払出制御信号は、パチンコ球の払出数を表す複数ビット構成の信号である。従来のパチンコ機では、各ビット毎に専用の信号線を用いることによって、各ビットの信号をパラレル伝送している。主制御部50と外部端子板100との間にも同様に、状態信号毎に専用の信号線が設けられる。
【0007】
さらに、近年のパチンコ機には、不正行為に対抗するために、種々の不正検知用のセンサが設けられている。これらの不正検知用のセンサからの信号も主基板50に入力され、状態信号として主基板50から外部端子板100に伝送される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように状態信号の種類が増えると、従前と同様に、信号毎に専用の信号線を用いて伝送すると、主基板と外部端子板との間の信号線数が増加し、その結果、両基板間のハーネスや接続用コネクタが肥大化する。特に、主基板の場合、外部端子板に対する接続用コネクタが肥大化すると、他の接続用コネクタを配置する箇所が限定されてしまい、基板設計の自由度が阻害される。またコネクタのピン数が増えるので、機体の組み立ての際の基板間の接続に時間がかかり、組み立て作業の効率が低下する、という問題も生じる。
【0009】
この発明は上記の問題に着目してなされたもので、主基板、払出制御基板、および外部端子板の3基板間における配線の構造を従来よりも簡単にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるパチンコ機では、主基板が払出制御基板に、払出制御基板が外部端子板に、それぞれハーネスを介して接続される一方、主基板と外部端子板とは、払出制御基板および各ハーネスを介して接続された状態にある。主基板から払出制御基板には、両基板間のハーネスによって複数種の状態信号および払出制御信号が伝送されるとともに、これらの信号のうちの少なくとも払出制御信号が複数ビット構成のシリアル信号として主基板から送出される。
払出制御基板と外部端子板とを接続するハーネスには、賞球信号および複数種の状態信号のそれぞれに専用の信号線が含まれており、払出制御基板には、主制御部から伝送された各状態信号を、外部端子板側のハーネスへの接続用コネクタに導くための中継路が設けられる。
【0011】
上記の構成によれば、主基板からの状態信号は払出制御基板を経由して外部端子板に送られるので、外部端子板からは、従来どおりの信号を出力することができる。また、払出制御基板に状態信号を伝送することにより、払出制御基板に伝送される信号の数は増えるが、複数ビット構成の払出制御信号をシリアル信号として伝送することによって信号線を削減できるので、主基板と払出制御基板との間のハーネスや接続用コネクタが肥大化するのを防止することができる。
【0012】
上記パチンコ機に含まれる一実施態様では、主基板上の主制御部は、前記払出制御信号を表す複数ビット構成のシリアル信号を生成する。また、主基板と払出制御基板とを接続するハーネスには、シリアル形式の払出制御信号を伝送するための信号線と状態信号毎に設けられた複数の信号線とが含まれ、払出制御基板の主基板に対するハーネスへの接続用コネクタと外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、状態信号毎に中継路が設けられる。
【0013】
この構成によれば、払出制御信号はシリアル信号として払出制御基板に伝送されて、副制御部に取り込まれ、賞球信号が生成される。一方、各種状態信号は、それぞれハーネス内の専用の信号線と払出制御基板に設けられた中継路を介して外部端子板に伝送される。
【0014】
他の実施態様では、主基板上の主制御部は、前記複数種の状態信号のうちの一部の信号を除く複数の信号と前記払出制御信号とを含む複数ビット構成のシリアル信号を生成する。また、主基板と払出制御基板とを接続するハーネスには、前記シリアル信号を伝送するための信号線と、このシリアル信号に含まれない状態信号毎に設けられた当該信号を送信するための信号線とが含まれる。
前記払出制御基板には、主基板からのシリアル信号をパラレル信号に変換するためのシリアル・パラレル変換回路が設けられ、このシリアル・パラレル変換回路と外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、前記シリアル信号に含められていた状態信号毎に中継路が設けられる。さらに、主基板に対するハーネスへの接続用コネクタと外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、前記シリアル信号に含まれずに個別に伝送された状態信号毎に中継路が設けられる。
【0015】
上記の構成によれば、払出制御信号および複数の状態信号を一連にしたシリアル信号と、このシリアル信号に含まれなかった一部の状態信号とが、それぞれ個別の信号線によって払出制御基板に伝送される。このシリアル信号に含まれる各状態信号は、払出制御基板のシリアル・パラレル変換回路により再び個別の信号に分割され、中継路およびハーネスを介して外部端子板へと伝送される。一方、シリアル信号に含まれていない状態信号は、1番目の態様と同様の経路を経て、外部端子板に伝送される。
【0016】
上記の態様によれば、所定数の状態信号を払出制御信号と一体のシリアル信号にして伝送することにより、主基板と払出制御基板との間のハーネスの信号線数を削減することができる。
【0017】
この発明にかかる第3の実施態様では、主基板上の主制御部は、前記複数種の状態信号のすべてと前記払出制御信号とを含む複数ビット構成のシリアル信号を生成する。また、主基板と払出制御基板とを接続するハーネスには、前記シリアル信号を伝送するための信号線が含まれる。
払出制御基板には、主基板からのシリアル信号をパラレル信号に変換するためのシリアル・パラレル変換回路が設けられ、このシリアル・パラレル変換回路と外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、前記シリアル信号に含められていた状態信号毎に中継路が設けられる。
【0018】
上記の態様によれば、すべての状態信号と払出制御信号とがシリアル信号として一体化されるから、主基板と払出制御基板との間のハーネスの信号線を大幅に削減することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、主基板と外部端子板とをハーネスで接続せずに、主基板からの各種状態信号を払出制御基板を介して外部端子板に伝送するようにしたので、基板間の配線を簡単にすることができる。また、払出制御信号を含む所定数の信号をシリアル信号として伝送することによって、主基板と払出制御基板とを接続するハーネスやコネクタの肥大化を防止できるので、主基板におけるコネクタの配置の自由度を確保することができる。また、組み立て時にも、主基板と払出制御基板とを接続し、払出制御基板と外部端子板と接続すれば良いので、組み立て作業が簡単になり、効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、この発明が適用されたパチンコ機の構成を示す。
このパチンコ機の本体を構成する遊技盤保持枠1の前面には、円形状の遊技領域を形成する遊技盤2が設けられるとともに、その下方に、上皿3、下皿4、発射ハンドル5、一対のスピーカー6,6などが配備されている。また上皿3の前面には、演出用のゲームで使用される押釦スイッチ7A,7B,7Cが設けられている。また遊技盤2は、保護用のガラスを備えた前扉9で覆われている。
【0021】
図2は、遊技盤2の盤面の構成例を示す。
この実施例の遊技盤2には、中央部に所定大きさの窓部20が形成され、その内側に液晶パネル10が配備される。窓部20の下方には、上下2段構成の始動入賞口21,22、大入賞口23、アウト口24が設けられる。また、窓部20の周囲には、電飾用のランプ39(図3に示す。)が配備された飾り枠25が設けられる。さらに、盤面2の適所に、ゲート26や、抽選結果を表示するための数値表示部27などが配備される。
なお、始動入賞口21,22のうち下段の入賞口22には、図3に示す始動口開閉機構35(いわゆる電動チューリップ)が設けられる。この始動口開閉機構35は平時は閉じており、パチンコ球がゲートを通過したときに開く。また大入賞口23の大入賞口開閉機構34(図3に示す。)も平時は閉じている。
【0022】
発射ハンドル5の操作により盤面2に打ち出されたパチンコ球が始動入賞口21,22のいずれかに入ると、後記する主制御部51で抽選が実行される。この抽選に当選すると、大入賞口23の開放が所定回数繰り返される「大当たり状態」が出現する。
また、抽選が実行された場合には、その当否に関わらず、液晶パネル10上の図柄の変動表示等による演出が実行される。抽選に当選している場合には、図柄の変動表示の後に、「7」などの大当たり図柄の組み合わせが表示され、その後に、上記の大当たり状態に移行する。大当たりの間も、液晶パネル10の画像表示を中心にした特別の演出が実行される。
【0023】
図3は、上記パチンコ機の主要な電気構成を示す。
このパチンコ機には、機体各部の動作を統括制御するための主制御部51が搭載された主基板50を中心に、払出制御基板60、演出用制御基板70、発射制御基板80などの副制御基板が設けられる。
【0024】
主基板50には、前記始動入賞口21,22への入球を検出するための始動口センサ31、ゲート26を通過した球を検出するためのゲートセンサ32、大入賞口23への入球を検出するための大入賞口センサ33、大入賞口23および下段の始動入賞口22の開閉機構34,35、数値表示器27などが接続される。さらに、主基板50には、パチンコ機に対する不正行為を検出するためのセンサ(この例では、電波検知センサ36、磁気検知センサ37、扉開放検知センサ38の3種類である。以下、これらを総称する場合には、「不正検知用センサ」という。)が接続される。
【0025】
演出用制御基板70には、前出の押釦スイッチ7A,7B,7C、液晶パネル10、スピーカー6、電飾ランプ39などが接続される。
【0026】
払出制御基板60には、賞球の払出用のモータ(払出モータ)40や払出球検知用のセンサ41、球タンクの球切れ検出用のセンサ43などが接続される。
発射制御基板80には、図1に示した発射ハンドル5や、発射モータ42などが接続される。
【0027】
主基板50には、コンピュータによる主制御部51(図4に示す。)が設けられる。演出用制御基板70、払出制御基板60にも、それぞれコンピュータによる副制御部が設けられる。発射制御基板80は、払出制御基板60に接続され、その制御下で発射モータ42の動作を制御する。
【0028】
演出用制御基板70は、主基板50に接続される。ただし、この基板70の副制御部(図示せず。)では、主制御部51からの信号送信に基づき、演出に関する制御を行うのみであり、演出用制御基板70から主基板50に信号が送信されることはない。
【0029】
一方、払出制御基板60と主基板50とは、双方向の通信が可能に接続される。主基板50から払出制御基板60には、払出制御信号や状態信号などが送信される。払出制御基板60は、払出制御信号を受けると、払出球検知センサ41からの検知信号に基づき払い出された球数を計数しつつ、この計数値が払出制御信号により指示された値になるまで、払出モータ40に賞球信号(具体的には、モータ40の駆動信号)を出力する。また、払出制御基板60では、この賞球用の払出を行っているときや、球切れ検出用センサ43により球タンクの球切れを検出したときに、これらの状態を報知する信号を生成し、これを表示用信号として主基板50に送信する。
【0030】
払出制御基板60には、発射制御基板80のほか、外部端子板100や玉貸装置接続用基板90が接続されている。
外部端子板100は、各種状態信号や賞球信号を出力するためのもので、出力側の各端子は、図示しないホールコンピュータへの通信回線に接続される。この外部端子板100との接続については、後で詳細に説明する。
【0031】
玉貸装置接続用基板90は、外部の球貸装置(図示せず。)に接続される。
球貸装置は、磁気カード、ICカードなどの記憶媒体を受け付けて、その媒体に記憶された度数データを引き落とし、パチンコ球の貸出処理を行うものであるが、実質的な貸出処理は、球貸装置からの球貸信号(貸出用のパチンコ球の払出を要求する信号)を受けたパチンコ機側で実施される。
【0032】
上記の球貸信号は、球貸装置接続用基板90を介して払出制御基板60に伝送される。
払出制御基板60は、球貸信号を受け付けると、払出モータ40を駆動して、所定数の貸し出し用のパチンコ球を払い出す。また、この払出処理の間には、球貸信号に対する応答信号を送信するなど、球貸装置との間で複数回の通信を実行する。また、貸出用のパチンコ球を払い出している間は、賞球払出動作を行わないように制御する。
【0033】
主基板50と演出用制御基板70、払出制御基板60と発射制御基板80は、それぞれ中継基板111,112を介して接続される。なお、主基板50や各副制御基板の管轄下の入出力部も、中継基板を介して接続される場合があるが、図3では、これらの中継基板については図示を省略している。
【0034】
また、図3では、電源の供給経路を点線矢印で示している。これらの矢印によれば、電源装置120で生成された直流電源は、電源分配基板110を介して主基板50および球貸装置接続用基板90に供給される。主基板50に供給された電源は、演出用制御基板70および払出制御基板60に分配され、さらに払出制御基板60に供給された電源は、発射制御基板80に分配される。
従来のパチンコ機では、電源分配基板110から各種基板に個別に電源を分配していたため、電源ラインの配線が複雑になっていたが、この実施例の場合には、接続関係にある基板間毎に、信号線と電源ラインとを1つのハーネスにまとめることができ、配線を簡単にすることができる。
【0035】
主基板50の主制御部51では、始動口センサ31からの信号(以下、「始動信号」という。)がオンになったことに応じて抽選を実行する。さらに、この抽選に当選すると、前記大当たり状態を設定するとともに、演出用制御基板70に大当たり用の演出の実行を指示するコマンドを送信する。また、主制御部51には、後記するように、大当たり中であるかどうかを示す信号(以下、「大当たり信号」という。)を出力するための出力ラインが設けられている。この大当たり信号は、抽選に当選してから大当たりが終了するまでオンに設定される。
【0036】
この実施例では、各種センサからの信号のうち、始動口センサ31からの信号(以下、「始動信号」という。)、ゲートセンサ32からの信号(以下、「ゲート信号」という。)、3種類の不正検知用センサ36〜38からの信号(以下、それぞれを「電波検知信号」「磁気検知信号」「扉開放検知信号」という。)、および上記した大当たり信号を、ホールコンピュータに送る状態信号に含めるようにしている(状態信号には、これら6種類以外の信号も含まれるが、以下では、説明を簡単にするために6種類の信号に限定して説明する。)。
【0037】
従来の機種では、上記の状態信号を専用のハーネスを介して、主基板50から外部端子板100に伝送していた。これに対し、この実施例では、各状態信号を、払出制御信号とともに払出制御基板60に送り、この基板60を経由して外部端子板100に伝送するようにしている。
【0038】
図4は、主基板50、払出制御基板60、外部端子板100の接続状態を詳細に示す。ただし、払出制御信号、状態信号、賞球信号以外の入出力信号、ならびに、ROM,RAM等のメモリについては、図示を省略する。また、各基板の接続用コネクタを一点鎖線枠に、基板間のハーネスを楕円状の点線に、それぞれ置き換えて示す。
【0039】
主基板50の点線枠51は、主制御部を構成する半導体チップである(厳密には、主制御部には、図示しないROMやRAMなども含められる。)。このチップ内には、CPU52のほか、パラレル・シリアル変換回路53(図ではP/Sと略して示す。)、一時保存用のメモリ54が収容される。払出制御基板60からの表示用信号は、このメモリ54に情報として一時保存される。
【0040】
始動信号、ゲート信号、電波検知信号、磁気検知信号、扉開放検知信号の各状態信号は、いずれもオン/オフを示す1ビット構成のディジタル信号である。払出制御信号は、後記するように複数ビット構成の信号であって、CPU52からパラレル信号として出力された後、パラレル・シリアル変換回路53によってシリアル信号に変換される。
【0041】
上記5種類の状態信号の信号線は、主制御部51のチップ内で2つに分割され、その一方がCPU52に入力される。他方の信号線および大当たり信号や払出制御信号の信号線は、図示しないリード電極によってチップ外に導かれ、払出制御基板60への接続用コネクタ55に導かれる。
【0042】
このコネクタ55には、各種状態信号および払出制御信号に対する出力用の端子のほか、払出制御基板60のRAMに対するリセット信号の出力用の端子(図示せず。)、表示用信号の入力用の端子、前記した電源供給ライン用の端子(図示せず。)などが設けられる。
【0043】
払出制御基板60にも、半導体チップとして構成された副制御部61が設けられる。この副制御部61には、CPU62、シリアル・パラレル変換回路63(図ではS/Pと略して示す。)、パラレル・シリアル変換回路64が収容される。パラレル・シリアル変換回路64は、CPU62から出力されたパラレル形式の表示用信号をシリアル信号に変換する。また、シリアル・パラレル変換回路63は、主基板50から受信したシリアル形式の払出制御信号をパラレル信号に変換する。このパラレル形式の払出制御信号はCPU62に入力される。CPU62は、この信号に応じて賞球信号のオン/オフを切り替える。
【0044】
払出制御基板60の主基板50に対する接続用コネクタ66には、主基板50のコネクタ55に対応させて、シリアル形式の払出制御信号および各種状態信号に対する入力端子と、表示用信号の出力端子とが設けられる。また、外部端子板100に対する接続用コネクタ67には、6種類の状態信号および賞球信号のそれぞれに対応する出力端子が設けられる。
【0045】
さらに払出制御基板60には、主基板50に対するコネクタ66で受け付けた各状態信号を外部端子板100側のコネクタ67に導くために、状態信号毎に個別の中継路66が形成される。各中継路66には、それぞれ信号の伝送方向を一方向に限定するために、バッファ65が設けられる。
【0046】
外部端子板100には、払出制御基板60への接続のために、コネクタ67内の各出力端子に対応する入力端子を具備するコネクタ101が設けられる。また、外部への出力用に、コネクタ101内の各端子に対応する出力端子を具備するコネクタ102が設けられる。さらに、外部端子板100上にも、コネクタ101で受け付けた各状態信号および賞球信号毎に、当該信号をコネクタ102に導くための中継路103が設けられる。
【0047】
主基板50のコネクタ55と払出制御基板60のコネクタ66とは、これらのコネクタ55,66の端子の数と同数の信号線を束ねたハーネス201により接続される。払出制御基板60のコネクタ67と外部端子板100のコネクタ101とも同様に、これらのコネクタ67,101の端子の数と同数の信号線を束ねたハーネス202により接続される。この接続により、主基板50から出力される6種類の状態信号を、払出制御基板60を経由して外部端子板100に入力することが可能になる。
【0048】
なお、主基板50のCPU52は、ゲームに関する一連の制御の中に所定の間隔で割り込み期間を設定し、その割り込み期間にメモリ54にアクセスする。このときメモリ54内に表示用信号による情報が書き込まれていれば、CPU52はこれを読み出して、演出制御用基板70に送信する。以後は、演出制御用基板70により液晶パネル10に当該情報を表示する処理が行われ、メモリ54内の情報はCPU52によりクリアされる。このような処理の流れにより、払出制御基板60で生成された情報を簡単に表示することが可能になる。
【0049】
また、上記の例では、便宜上、各種信号毎に1本の信号線を示したが、実際には、払出制御信号、賞球信号、大当たり信号などの重要度の高い信号については、2本以上の信号線が設けられ、各信号線間での信号が整合する場合のみ正しい信号として取り扱い、各信号線間での信号が整合しない場合には、正しい信号としては取り扱わないようにしている。たとえば、以下の図5に示すように、同一の信号に対応する2本の信号線において、各信号の極性が互いに反転するようにしておき、一方の信号線における信号の極性を反転させた信号が他方の信号に一致したときのみ、これらの信号が整合したものと判断する。
【0050】
図5は、払出制御信号の構成例を示す。
この例の払出制御信号は11ビット構成のもので、2種類の払出制御信号A,Bが生成される。信号Aは、データ「0」をハイレベルとし、データ「1」をローレベルとする。信号Bは、信号Aとは反対に、データ「0」をローレベルとし、データ「1」をハイレベルとする。これらの信号A,Bは、それぞれ個別のシリアル信号にされて、払出制御基板60に送信される。
【0051】
払出制御信号の先頭の1ビットは、払出を行うかどうかを指示するコマンドに相当するもので、払出を行う場合には「0」の値が、払出を行わない場合には「1」の値が、それぞれ格納される。
【0052】
コマンドに続く8ビット分の信号は、賞球数(払い出されるパチンコ球の数)を示す2進コードに相当する。そのつぎの1ビットはパリティビットであり、賞球数を表す各ビットのデータの合計値が偶数であれば「0」が、奇数であれば「1」が、それぞれ書き込まれる。最後の1ビットは信号の終了を示すストップビットであって、常に「1」が格納される。
【0053】
払出制御基板60のCPU62は、上記の払出制御信号A,Bが整合するか否かを判別し、整合すれば、正しい払出制御信号であると判断し、さらに先頭のコマンドの内容が「0」であれば、以下の賞球数を有効とみなして認識し、賞球信号をオンにする。このような制御により、主基板50からストローブ信号を送信しなくとも、賞球の払出を正しく行うことができる。
【0054】
上記実施例の構成によれば、従来のように、主基板50と外部端子板100とをハーネスで接続する必要がなくなり、配線を簡単にすることができ、機体の組み立て時の接続作業も容易になる。さらに、パラレル形式の払出制御信号や表示用信号をシリアル信号に変換することにより、これらの信号にかかる信号線を一本にできるので、状態信号の伝送に伴い信号線が増えても、ハーネスやコネクタの肥大化を防止することができる。
【0055】
ただし、各種状態信号の払出制御基板60への伝送は、必ずしも信号毎に個別の信号線を介して行う必要はなく、所定数の信号を払出制御信号とともに一連のシリアル信号にして送信してもよい。シリアル信号に含める信号の数を増やすほど、主基板50と払出制御基板60との間の信号線数を大幅に削減することができ、コネクタ55、66やハーネス201を小さくすることができる。
【0056】
図6および図7は、基板間の接続状態の他の例を示す。なお、いずれの例も、基本的な構成は図4と同様であるので、以下では、構成を変更した箇所のみを説明する。変更のない箇所は、図中に同一の符号で示すことによって、説明を省略する。
また、これらの図では、作図の都合上、払出制御基板60のシリアル・パラレル変換回路63を副制御部61の枠外に配置しているが、実際には、この回路63も、前の実施例と同様に、副制御部61のチップ内に含まれている。
【0057】
図6の例では、主基板50において、各種状態信号のうち、大当たり信号および始動信号を除く各信号をパラレル・シリアル変換回路53に入力し、これらの信号と払出制御信号とを一連にしたシリアル信号を生成する。このシリアル信号は、払出制御基板60のシリアル・パラレル変換回路63に入力され、パラレル信号に変換される。
【0058】
上記のシリアル・パラレル変換回路63から出力されたパラレル信号のうち、払出制御信号に該当する11ビット分の信号は、CPU62に入力される。その他のビットの信号は、それぞれ元の状態信号として、中継路68により外部端子板100側のコネクタ67に伝送される。
【0059】
一方、大当たり信号と始動信号とは、図4の例と同様に、個別の信号線を介して払出制御基板60のコネクタ66まで伝送された後、中継路66によりコネクタ67に伝送される。
【0060】
図7の例では、主基板50において、全ての状態信号をパラレル・シリアル変換回路53に入力し、これらの信号と払出制御信号とを一連にしたシリアル信号を生成する。このシリアル信号は、払出制御基板60のシリアル・パラレル変換回路63に入力され、パラレル信号に変換される。
【0061】
上記のシリアル・パラレル変換回路63から出力されたパラレル信号のうち、払出制御信号に該当する11ビット分の信号は、CPU62に入力される。その他の信号は、それぞれ元の状態信号として、中継路68により外部端子板100側のコネクタ67に伝送される。
【0062】
なお、図6の例では、払出制御基板60に伝送される3種類の信号について、図5の例と同様に、極性が反転した2種類の信号が生成される。図7の例でも、払出制御基板60へのシリアル信号として、極性が反転した2種類の信号が生成される。
【0063】
図6の例によれば、大当たり信号および始動信号を除く各種信号の伝送経路が統合されるので、ハーネス201の信号線数を大幅に削減することができ、コネクタ55,66もより小さくすることができる。図7の例では、主基板50から払出制御基板60に出力される全ての信号の伝送経路が統合されるので、ハーネス201の信号線数はさらに削減され、コネクタ55,66をより一層小さくすることができる。
【0064】
なお、図4,6,7のいずれの例においても、主基板50からのシリアル信号中に、払出制御基板60のRAMに対するクリア信号を含めるようにすれば、主基板50と払出制御基板60との間の信号線をさらに削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】パチンコ機の外観を示す正面図である。
【図2】盤面の構成を示す正面図である。
【図3】パチンコ機の電気構成を示すブロック図である。
【図4】主基板、払出制御基板、外部端子板の接続状態の例を示す回路図である。
【図5】払出制御信号の構成例を示す説明図である。
【図6】主基板、払出制御基板、外部端子板の接続状態の例を示す回路図である。
【図7】主基板、払出制御基板、外部端子板の接続状態の例を示す回路図である。
【図8】主基板、払出制御基板、外部端子板の従来の接続状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
50 主基板
51 主制御部
53 パラレル・シリアル変換回路
60 払出制御基板
61 副制御部
63 シリアル・パラレル変換回路
66,68 中継路
55,66,67,101 コネクタ
201,202 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ球が打ち出される遊技盤と、この遊技盤における遊技の進行を統括制御する主制御部が搭載された主基板と、前記主制御部から払出制御信号を受け付けて賞球の払出処理を行う副制御部が搭載された払出制御基板と、前記主基板から大当たり信号を含む複数種の状態信号を、払出制御基板から賞球の払出状態を示す賞球信号を、それぞれ受け付けて、これらの信号を外部に出力する外部端子板とを具備するパチンコ機において、
前記主基板は払出制御基板に、払出制御基板は外部端子板に、それぞれハーネスを介して接続される一方、前記主基板と外部端子板とは払出制御基板および前記各ハーネスを介して接続されており、
前記主基板から払出制御基板には、両基板間のハーネスによって前記複数種の状態信号および払出制御信号が伝送されるとともに、これらの信号のうちの少なくとも払出制御信号が複数ビット構成のシリアル信号として主基板から送出され、
前記払出制御基板と外部端子板とを接続するハーネスには、前記賞球信号および複数種の状態信号のそれぞれに専用の信号線が含まれており、前記払出制御基板には、主制御部から伝送された各状態信号を、前記外部端子板側のハーネスへの接続用コネクタに導くための中継路が設けられている、
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記主基板上の主制御部は、前記払出制御信号を表す複数ビット構成のシリアル信号を生成し、
前記主基板と払出制御基板とを接続するハーネスには、シリアル形式の払出制御信号を伝送するための信号線と状態信号毎に設けられた複数の信号線とが含まれており、
前記払出制御基板の主基板に対するハーネスへの接続用コネクタと外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、状態信号毎に中継路が設けられている、請求項1に記載されたパチンコ機。
【請求項3】
前記主基板上の主制御部は、前記複数種の状態信号のうちの一部の信号を除く複数の信号と前記払出制御信号とを含む複数ビット構成のシリアル信号を生成し、
前記主基板と払出制御基板とを接続するハーネスには、前記シリアル信号を伝送するための信号線と、このシリアル信号に含まれない状態信号毎に設けられた当該信号を送信するための信号線とが含まれており、
前記払出制御基板には、主基板からのシリアル信号をパラレル信号に変換するためのシリアル・パラレル変換回路が設けられ、このシリアル・パラレル変換回路と外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、前記シリアル信号に含められていた状態信号毎に中継路が設けられ、主基板に対するハーネスへの接続用コネクタと外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、前記シリアル信号に含まれずに個別に伝送された状態信号毎に中継路が設けられている、請求項1に記載されたパチンコ機。
【請求項4】
前記主基板上の主制御部は、前記複数種の状態信号のすべてと前記払出制御信号とを含む複数ビット構成のシリアル信号を生成し、
前記主基板と払出制御基板とを接続するハーネスには、前記シリアル信号を伝送するための信号線が含まれており、
前記払出制御基板には、主基板からのシリアル信号をパラレル信号に変換するためのシリアル・パラレル変換回路が設けられ、このシリアル・パラレル変換回路と外部端子板に対するハーネスへの接続用コネクタとの間には、前記シリアル信号に含められていた状態信号毎に中継路が設けられている、請求項1に記載されたパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−237376(P2008−237376A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79803(P2007−79803)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】