説明

パチンコ機

【課題】遊技者の混乱を防止する。
【解決手段】発射通路32には、ストッパ34、開閉扉36、38が設けられている。ストッパ34は、発射通路32内に挿入され、遊技球を開閉扉36、38へ向けて跳ね返す突出位置と、発射通路32外に退避して遊技球の通過を許容する退避位置との間で移動する。開閉扉36、38は、遊技球を回収するための回収通路50の入口52を閉じる閉じ位置と、入口52を開放する開き位置との間で移動する。CPU66は、正常に遊技を行えないと判定されている間、ストッパ34を突出位置に、開閉扉36、38を開き位置にそれぞれセットする。また、CPU66は、正常に遊技を行えると判定されている間、ストッパ34を退避位置に、開閉扉36、38を閉じ位置にそれぞれセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置されるパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機には、遊技領域へ向けて遊技球を打ち出す発射装置や、各種演出表示を行う液晶モニタなどが設けられている。これらパチンコ機の各部は、パチンコ機の電源投入とともに起動される。しかし、パチンコ機の各部は同時に起動完了するわけではなく、例えば、発射装置は液晶モニタよりも早く起動が完了する。このため、発射装置の起動完了直後に遊技球が遊技領域へ打ち出されても、液晶モニタによる演出表示が行われないといった問題があった。
【0003】
ところで、下記特許文献1には、電源オフ時に発射装置の駆動を停止する装置が記載されており、また、下記特許文献2には、エラーが発生したときに発射装置の駆動を停止する装置が記載されている。これら従来技術を応用し、正常な遊技を行えるようになるまで発射装置の駆動を停止すれば、遊技球が遊技領域へ打ち出されても、液晶モニタによる演出表示が行われないといった問題を防止できる。
【特許文献1】特開2005−92640号公報
【特許文献2】特開2006−6983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発射装置の駆動を停止すると、発射操作を行っているにも関わらず遊技球が発射されないため、遊技者を混乱させてしまう。
【0005】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、遊技者を混乱させることのないパチンコ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のパチンコ機は、発射操作に応じて遊技球を発射する発射装置と、発射装置が発射した遊技球を遊技領域へ案内する発射通路とを備えたパチンコ機において、前記発射通路内に挿入され、衝突した遊技球を前記発射通路の側壁へ向けて跳ね返す突出位置と、前記発射通路外に退避して遊技球の通過を許容する退避位置との間で移動するストッパと、前記突出位置のストッパに衝突した遊技球の跳ね返り先に前記側壁を貫通する入口が設けられ、前記ストッパに跳ね返された遊技球を回収するための回収通路と、前記入口を開放する開き位置と、前記入口を閉じる閉じ位置との間で移動する開閉部材と、パチンコ機が正常な遊技を行える遊技可能状態にあるか否かを判定する判定手段と、遊技可能状態にあると判定されたことを契機に前記ストッパを前記退避位置に移動させ、かつ、前記開閉部材を前記閉じ位置に移動させるとともに、前記遊技可能状態にないと判定されたことを契機に前記ストッパを前記突出位置に移動させ、かつ、前記開閉部材を前記開き位置に移動させる制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
前記入口近傍に、前記入口を通過した遊技球が前記発射通路へ逆流することを防止する逆流防止手段を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパチンコ機は、エラーが発生しているときや、液晶モニタの起動が完了していないときなどのように、正常な遊技を行えない状態ではストッパを突出位置にセットするようにしたので、遊技球が遊技領域へ打ち出されることがない。また、このとき、発射操作に応じて発射装置から遊技球が発射されるので、遊技者が混乱してしまうこともない。
【0009】
さらに、ストッパを突出位置に移動したときに回収通路の入口を開放し、ストッパに衝突した遊技球を回収通路の入口へ向けて跳ね返すようにしたので、発射通路を逆流させるように遊技球を跳ね返す場合と比較して、発射通路での球詰まりを防止できる。また、回収通路に入った遊技球が発射通路へ逆流することを防止する逆流防止弁を設ければ、より確実に球詰まりを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1、図2において、パチンコ機10は、透明なガラス板11の背後に遊技盤12が配置されている。遊技盤12の前面には樹脂で形成された樹脂枠14がレバー16による係止によって取り付けられている。樹脂枠14の内側には、遊技領域18が形成されている。遊技領域18には、各種の入賞口20、センター役物22、遊技球の落下方向に変化をつける遊技釘が設けられている。センター役物22には、液晶モニタ24が組み込まれている。液晶モニタ24は、各種演出表示や遊技者にとって有利となる当たりモードへ移行するか否かの抽選結果の表示を行う。
【0011】
パチンコ機10の下部には発射ハンドル26が設けられている。遊技者が発射ハンドル26を回動させるとパチンコ機10の内部に組み込まれた発射装置28が作動し、発射装置28のノックアーム30の揺動によって遊技球が1球ずつ発射される。発射された遊技球は、遊技領域18の側方を通るように設けられた発射通路32により遊技領域18の上部に案内される。
【0012】
図3(A)、並びに、同図(B)に示すように、発射通路32の出口近傍には、ストッパ34と、一対の開閉扉(開閉部材)36、38が設けられている。ストッパ34は、同図(A)に示すように、遊技盤12に設けられた開口12aから前方に突出して遊技球の通過を阻止する突出位置と、同図(B)に示すように、ガラス11側の端面が遊技盤12の盤面と同じ高さとなるように発射通路32外に退避して遊技球の通過を許容する退避位置(図3(B)に示す位置)との間で移動自在に設けられている。ストッパ34は、突出位置において衝突した遊技球を開閉扉36、38へ向けて跳ね返すように、発射通路32の下流側の端面が、発射通路32に対して傾けられている。
【0013】
ストッパ34は、ストッパ駆動機構40により駆動される。ストッパ駆動機構40としては、通電によりプランジャを移動させるソレノイド、または、モータなどを含む周知の機構が用いられる。そして、ストッパ駆動機構40は、突出位置と退避位置との間でストッパ34を移動させる。
【0014】
開閉扉36、38は、図3(A)に示すように、遊技盤12に設けられた開口12b、12c(図4参照)内に収納された開き位置と、同図(B)に示すように、開口12b、12cから前方に突出して発射通路32の側壁を構成する閉じ位置との間で移動自在に設けられている。
【0015】
図4に示すように、開閉扉36、38は、遊技盤12の背後で連結されており、扉駆動機構42によって駆動され、一体となって移動する。扉駆動機構42としては、ソレノイドやモータなどを含む周知の機構が用いられる。そして、扉駆動機構42は、開き位置と閉じ位置との間で開閉扉36、38を移動させる。
【0016】
図3に戻り、開閉扉36、38の側方には、遊技球を回収するための回収通路50が設けられており、開閉扉36、38が開き位置へ移動すると入口が開放される。これにより、遊技球が回収通路32に入ることができる。また、開閉扉36、38が閉じ位置へ移動すると回収通路50の入口52が閉鎖される。これにより、遊技球が回収通路50に侵入できなくなる。
【0017】
また、開閉扉36、38の間には、入口52を塞ぐように板バネ(逆流防止手段)54が配置されている。板バネ54は、上端側が固定端54a、下端側が自由端54bとなっており、固定端54aが遊技盤12に固定されている。板バネ54は、開閉扉36の下方に設けられた発射通路32の側壁55の上端部55aよりも下方に自由端54bが位置するように形成されている。こうすることで、板バネ54が発射通路32側へは弾性変形せず、回収通路50側へのみ弾性変形するようにしている。これにより、遊技球は発射通路32から回収通路50へ入ることはできるが、回収通路50から発射通路32に逆流することができない。
【0018】
図5において、パチンコ機10の内部には、制御基板64が設けられている。制御基板64には、CPU(制御手段)66が設けられている。CPU66は、ROM68に記憶された制御プログラムや各種設定情報を、作業用メモリであるRAM70に読み出して、パチンコ機10の各部を駆動制御する。
【0019】
また、CPU66には、タイマ72と、判定部(判定手段)74とが設けられている。タイマ72は、パチンコ機10の電源オンからの経過時間を測定している。判定部74は、タイマ72により測定された経過時間がROM68に記憶された設定時間を上回る場合に、パチンコ機10が正常に遊技を行える遊技可能状態にあると判定し、経過時間が設定時間を下回る場合に遊技可能状態にないと判定する。本実施形態では、設定時間として、パチンコ機10の電源がオンされてから液晶モニタ24の起動が完了するまでの時間である「40秒」がROM68に記憶されている。
【0020】
そして、CPU66は、ストッパ駆動機構60並びに扉駆動機構62を制御し、遊技可能状態にないと判定されている間、ストッパ34を突出位置にセットするとともに、開閉扉36、38を開き位置にセットする。すなわち、図6に示すように、パチンコ機10の電源オン時は経過時間が設定時間を下回っており遊技可能状態にないと判定されるので、CPU66は、電源オンを契機にストッパ34を突出位置に移動するとともに、開閉扉36、38を開き位置に移動する(図3(A)参照)。
【0021】
また、パチンコ機10の電源オンからの経過時間が設定時間を経過した場合、すなわち、液晶モニタ24の駆動が完了した場合は、遊技可能状態にあると判定される。このとき、CPU66は、ストッパ34を退避位置へ移動させるとともに、開閉扉36、38を閉じ位置に移動させる(図3(B)参照)。
【0022】
このように、パチンコ機10では、液晶モニタ24が駆動完了するまでは、ストッパ34が突出位置にセットされているので、遊技領域18に遊技球が打ち出されることがない。このため、遊技領域18に打ち出された遊技球が入賞したにも関わらず、演出表示が行われないといったことがない。また、遊技球が遊技領域18に打ち出されない場合であっても、遊技者の発射操作に応じて遊技球が発射されるので、遊技者が混乱することもない。
【0023】
さらに、パチンコ機10では、ストッパ34が突出位置にあるときに回収通路50の入口52を開放し、ストッパ34により跳ね返された遊技球が入口52に入るようにしたので、発射通路32での球詰まりを防止できる。また、入口52には板バネ54が設けられているので、回収通路50に入った遊技球が発射通路32に逆流してしまうこともない。
【0024】
なお、上記実施形態では、パチンコ機の電源オンからストッパを退避位置に移動させるまでの設定時間として、液晶モニタの起動が完了するまでの時間である「40秒」が設定されている例で説明をしたが、この設定時間は液晶モニタの仕様などに応じて適宜変更できる。
【0025】
また、上記実施形態では、パチンコ機の電源オンを契機にストッパを突出位置へ移動させ、電源オンから設定時間が経過した際にストッパを退避位置へ移動させる例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、パチンコ機の電源をオフする操作がなされた際にストッパを突出位置へ移動させ、パチンコ機の電源オンから設定時間が経過した際にストッパを退避位置へ移動させてもよい。
【0026】
さらに、上記実施形態では、液晶モニタが駆動完了するまでは遊技領域に遊技球が打ち出されないようにする例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御基板の起動が完了するまでは遊技領域に遊技球が打ち出されないようにしてもよい。この場合、パチンコ機の電源オンから制御基板の起動が完了するまでの時間を予め測定しておき、測定した時間を設定時間としてROMに記憶しておけばよい。
【0027】
また、上記実施形態では、設定時間を上回るか否かによってストッパの位置を切り替える例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、液晶モニタの起動が完了した際に、液晶モニタがCPUにこの旨を示す起動完了信号を出力し、CPUがこの起動完了信号を受信した際にストッパを退避位置へ移動させてもよい。もちろん、液晶モニタ以外の部品が起動完了時に起動完了信号を出力し、この起動完了信号を受信した際にストッパを退避位置へ移動させてもよい。また、起動完了信号を暗号化して送信するといったセキュリティ対策を施してもよい。
【0028】
なお、パチンコ機のなかには、上述した制御基板(メイン制御基板)とは別に、発射装置や液晶モニタを制御するためのサブ制御基板を備えているものもある。このようなパチンコ機においては、サブ制御基板によりストッパの位置を制御してもよい。
【0029】
なお、上記実施形態では、起動完了していない部品がある場合にストッパを突出位置へ移動させる例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、不正行為やエラーを検出した際もパチンコ機が正常な遊技を行えない状態であるので、このような場合にストッパを突出位置へ移動させるようにしてもよい。
【0030】
さらに、遊技可能な状態にないとは、遊技球を遊技領域に発射させた場合において、正常なゲームが実行されない、または、正常なゲームが実行されない恐れがある場合を含む。このため、遊技可能な状態にあると判定させるためには、複数のエラー要因(例えば、遊技領域内の球詰まり、遊技釘の不正な曲げ、制御機器の故障など)の全てを解消する必要がある。従ってCPUにてそれらエラー要因に応じた時間に関するものを選択させるようにするとよい。また、予めエラー要因に応じた時間をROMに記憶させなくても該エラー要因が解消されたか否かをCPUによって監視し、遊技可能状態にあるか否かを判定させてもよい。さらに、エラー要因に応じた時間について、CPUがROMから読み出してRAMに記憶させ、その記憶に基づき前記監視を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】パチンコ機の外観斜視図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】ストッパと開閉扉とが移動する様子を表す説明図である。
【図4】開閉扉の断面図である。
【図5】ストッパ及び開閉扉の位置を制御する機構の構成図である。
【図6】ストッパ及び開閉扉の位置を切り替える手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
10パチンコ機
12 遊技盤
18 遊技領域
24 液晶モニタ
28 発射装置
32 発射通路
34 ストッパ
36、38 開閉扉(開閉部材)
40 ストッパ駆動機構
42 扉駆動機構
50 回収通路
52 入口
54 板バネ(逆流防止手段)
66 CPU(制御手段)
74 判定部(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射操作に応じて遊技球を発射する発射装置と、発射装置が発射した遊技球を遊技領域へ案内する発射通路とを備えたパチンコ機において、
前記発射通路内に挿入され、衝突した遊技球を前記発射通路の側壁へ向けて跳ね返す突出位置と、前記発射通路外に退避して遊技球の通過を許容する退避位置との間で移動するストッパと、
前記突出位置のストッパに衝突した遊技球の跳ね返り先に前記側壁を貫通する入口が設けられ、前記ストッパに跳ね返された遊技球を回収するための回収通路と、
前記入口を開放する開き位置と、前記入口を閉じる閉じ位置との間で移動する開閉部材と、
パチンコ機が正常な遊技を行える遊技可能状態にあるか否かを判定する判定手段と、
遊技可能状態にあると判定されたことを契機に前記ストッパを前記退避位置に移動させ、かつ、前記開閉部材を前記閉じ位置に移動させるとともに、前記遊技可能状態にないと判定されたことを契機に前記ストッパを前記突出位置に移動させ、かつ、前記開閉部材を前記開き位置に移動させる制御手段とを備えたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記入口近傍に、前記入口を通過した遊技球が前記発射通路へ逆流することを防止する逆流防止手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−237823(P2008−237823A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86540(P2007−86540)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】