説明

パチンコ機

【課題】ハンドルの構造がそれほど複雑でなく、且つ、ハンドルや固定部材が傷ついたりすることもないパチンコ機を提供する。
【解決手段】ハンドルにレバー部材32を所望の回動位置にて維持するための固定部材34を回動操作可能に設け、遊技球が所望の位置へ打ち出されるようにレバー部材32の回動量を調整した後、固定部材34のみを回動操作すれば、当該回動位置にてレバー部材32を維持することができるようにした。また、固定部材34を合成樹脂製部材とし、固定状態にあるレバー部材32に対して固定部材34の固定に係る回動操作方向と同方向へ負荷をかければ、自身の弾性により固定部材34による固定が自動的に解除されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を打ち出すためのハンドルを回動操作可能に設けてなるパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パチンコ機には遊技球を打ち出すための発射装置と、当該発射装置を動作させるためのハンドルとが備えられている。ハンドルは、パチンコ機から前方へ突出して設けられており、遊技者がハンドルのレバー部材を回動操作することによって、発射装置が動作し、遊技球が打ち出されるようになっている。また、レバー部材の回動量を調整することで、遊技球の打ち出し強度を調整可能となっている。さらに、ハンドル内には、レバー部材を初期回動位置へ復帰させる方向に付勢する戻りバネ等の復帰手段が設けられており、遊技者がレバー部材から手を離すと、レバー部材を初期回動位置へ自動復帰させるようになっている。
【0003】
ここで、遊技者が長時間遊技を継続する際には、手が疲れる等してレバー部材から手を離すことが考えられる。しかしながら、上記パチンコ機では、手を離すことでレバー部材が初期回動位置まで自動復帰してしまうため、遊技を再開する際に、再びレバー部材を回動操作して好適な回動位置を探らなければならず、無駄球が多く発生してしまい、遊技者に不快感を与えかねない。そのため、たとえ手を離す等したとしてもレバー部材を所定の回動位置で維持可能としたパチンコ機も考案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1及び2に記載のパチンコ機では、ハンドルにボタンを設け、レバー部材が所定の回動位置にある際にボタンを押し込み操作すると、レバー部材が当該回動位置にて維持されるように構成している。また、特許文献3に記載のパチンコ機では、回動操作されるレバー部材とハンドルの前端に固着されているカバー部材との間にリング状部材を介在させ、当該リング状部材の摩擦力によってレバー部材を所定の回動位置にて維持するように構成している。
【0005】
【特許文献1】実公昭60−31753号公報
【特許文献2】実公平7−42459号公報
【特許文献3】特開2004−337435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の構成では、ハンドル内部に自動復帰防止のための機構(たとえば、スイッチの係止部等)を設けなければならず、ハンドルの構造が複雑になるという問題がある。また、特許文献3に記載の構成では、レバー部材を回動操作する場合にも常に摩擦力が作用するため、レバー部材とリング状部材との当接面が傷つきやすいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、ハンドルの構造がそれほど複雑でなく、且つ、ハンドルや固定部材が傷ついたりすることもないパチンコ機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、レバー部材を回動可能に備えたハンドルが設置されており、前記レバー部材の回動位置に応じた打ち出し強度で遊技球を打ち出すとともに、前記ハンドルに、前記レバー部材を任意の回動位置で固定するための固定部材が設けられたパチンコ機であって、前記固定部材は、常態では前記レバー部材を固定しない解除位置にあり、所定の操作に応じて、前記レバー部材をその回動軸を中心とした径方向へ押圧し、自身と前記レバー部材との間で生じる摩擦力により前記レバー部材を固定することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ハンドルが、筒状の本体と、前記本体の前端部の外周面を非接触で覆うように取り付けられる前記レバー部材とからなり、前記レバー部材の前記本体の外周面を非接触で覆う部分を、径方向で凹凸する波状に成形して、前記レバー部材の内周面と前記本体の外周面との間に、幅広な第1隙間と幅狭な第2隙間とを設ける一方、前記固定部材が、弾性を有する合成樹脂製のリング状体で、その前面に前記第1隙間よりは肉薄で前記第2隙間よりは肉厚な固定突起が設けられてなり、当該固定部材を前記本体の前端部における前記レバー部材よりも後方位置で、且つ、前記固定突起を前記第1隙間に位置させた状態で、前記本体に対して回動可能に外装しており、遊技球の打ち出し強度を調整するために前記レバー部材を回動操作する際には、前記固定部材も同期させて回動操作し、前記レバー部材が所望の回動位置となると、前記固定部材のみを回動操作して、前記固定突起を前記第2隙間へ入り込ませることにより、前記レバー部材を固定可能としたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記固定部材の外周面が、前記レバー部材と同じピッチの波状に成形されており、前記固定部材が解除位置にある場合、前記固定部材の波形の位相と前記レバー部材の波形の位相とが同期していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、常態ではレバー部材を固定しない解除位置にあり、所定の操作に応じて、レバー部材をその回動軸を中心とした径方向へ押圧し、自身とレバー部材との間で生じる摩擦力によりレバー部材を固定する固定部材を設けているため、固定部材によりレバー部材を固定することで、手が疲れたり、席を外したりしたとしても、遊技を再開する際に同じ打ち出し強度で遊技球を打ち出すことができ、遊技の再開時に無駄球を減らすことができ、遊技者に不快感を抱かせることがない。また、摩擦力がかかった状態のままレバー部材を回動させる等するわけではなく、レバー部材や固定部材の摩耗や損傷を防止することができる。さらに、固定部材によりレバー部材を直接押圧して固定する構成を採用しているため、ハンドル内部に複雑な固定機構を設けずとも構成することができ、レバー部材の固定/解除に係る構造を簡易な構造で実現することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、固定部材を回動操作するだけでレバー部材を固定することができるとともに、固定状態にあるレバー部材に対して固定部材を回動操作した方向と同方向へ負荷をかけるだけで、自身の弾性により固定突起が自動的に第1隙間へ押し出され、レバー部材の固定を解除することができる。したがって、レバー部材の固定/解除に係る操作が簡易であるし、レバー部材の固定/解除に係る構造をより簡易な構造とすることができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、固定部材の外周面が、レバー部材と同じピッチの波状に成形されており、固定部材が解除位置にある場合、固定部材の波形の位相とレバー部材の波形の位相とが同期しているため、遊技者はレバー部材を把持した際、自然と固定部材をも把持することができる。そのため、遊技球の打ち出し強度を調整すべくレバー部材を回動操作する際、固定部材も容易に回動操作することができる。したがって、レバー部材のみを回動操作してしまい、意図してないにも拘わらず固定突起が第2隙間へ入り込み、レバー部材が不用意に固定されてしまうといった事態が生じにくく、操作性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
<パチンコ機全体の構成>
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図であり、図2は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域2a内へ遊技球を打ち込み、遊技領域2a内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス扉を嵌め込み設置してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域2aとされている。
【0012】
遊技領域2aは、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール及び内レール(図示せず)等によって囲まれており、両レール間が遊技球を遊技領域2a内へ打ち込むための発射通路とされている。また、遊技領域2aの略中央には、「0」〜「9」の数字や絵柄等からなる「図柄」を表示するための図柄表示部6が設けられている。さらに、遊技領域2aには、図示しない多数の遊技釘、遊技球が通過可能なゲート部材、一対の爪片を開閉動作可能に備えたチューリップ式電動役物、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置、風車等が設置されている。
【0013】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、遊技球を発射装置10へ供給するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が機枠3に対して夫々片開き可能に取り付けられている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させるためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。
【0014】
一方、機枠3の後面側には、供給皿5へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払い出し装置、図柄表示部6に「図柄」を表示させるための液晶表示装置(図示せず)、払い出し装置12や液晶表示装置等の動作を統合的に制御するサブ統合基板を内蔵したサブ制御装置(図示せず)が設置されているとともに、遊技に係る制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御基板21を内蔵してなる主制御装置20が設置されている。
【0015】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者によってハンドル9が回動操作されると、発射装置10が作動して遊技球が遊技領域2a内へ打ち込まれる。そして、遊技領域2a内を流下する遊技球がチューリップ式電動役物へ入賞すると、メイン制御基板21にて「大当たり抽選」を行い、所謂「大当たり」である場合には、図柄表示部6に「図柄」を所定態様(たとえば、「7、7、7」等)で表示させた後、大入賞装置の扉部材を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」を生起させる。
【0016】
<ハンドルの構成>
次に、本発明の要部となるハンドル9について、図3〜図7にもとづき説明する。
図3は、ハンドル9の外観を示した斜視説明図であり、図4は、ハンドル9を下方側から示した説明図である。また、図5は、ハンドル9の軸線方向での部分断面説明図である。さらに、図6は、ハンドル9のレバー部材32部分における軸に直交する方向での断面を示した斜視説明図であり、図7は、図6で示す断面を正面側から示した説明図である。
【0017】
ハンドル9は、前後方向へ長い筒状に形成された本体31、本体31の前方に取り付けられ、本体31に対して回動操作可能とされたレバー部材32、レバー部材32の前方に取り付けられる外カバー部材33、及びレバー部材32を所定の回動位置で維持するための固定部材34を備えてなり、本体31の後端をパチンコ機1の取付孔13(図2に示す)へ差し込み、パチンコ機1から前方へ突出するような姿勢で設置される。
【0018】
本体31は、一対のケース部材を組み付けてなる筒状体であって、その内部空間の略中心位置には、レバー部材32の回動量を検知するためのボリューム部材35が設置されている。該ボリューム部材35は、図示しないケーブル等により発射装置10と接続されており、ボリューム部材35が検知したレバー部材32の回動量に応じて、発射装置10では遊技球の打ち出し強度を調整するようになっている。尚、16は、遊技球の打ち出しを停止するためのストップボタンである。
【0019】
また、本体31の前端の開口は、凹凸を有する円板状の内カバー部材(尚、内カバー部材も本願請求項における本体を構成する一構成要素である)38にて被覆されている。当該内カバー部材38の略中央には、軸孔39が開設されており、後述するレバー部材32の軸部45等が挿通可能となっている。また、軸孔39の周囲には、レバー部材32を初期回動位置へ付勢するための戻りバネ17を収容可能な収容凹部40が形成されている。さらに、内カバー部材38の外周部には、後方へ延設された周壁部42が設けられており、内カバー部材38は、周壁部42の後面が本体31の外周面よりも若干外方へ突出するような状態で本体31に取り付けられている。尚、内カバー部材38の前面には、外カバー部材33を固着するためのボルトを挿通可能な固着孔(図示せず)が穿設されている。
【0020】
また、本体31の先端部には、固定部材34が外装されている。固定部材34は、弾性を有する合成樹脂製のリング状体であって、本体31の外周面に形成された支持段部41と上記内カバー部材38の周壁部42の後端部とに前後を挟持された状態で、本体31に対して回動可能に取り付けられている。また、固定部材34の外周面は、遊技者が回動操作しやすいように波状に形成されている。さらに、固定部材34の前面には、複数の固定突起60、60・・が前方へ突設されいる。各固定突起60は、外周面が外方へ突出する位置(以下、山位置と称す)毎に設けられており、固定部材34の取付状態において内カバー部材38の外周面上に位置している。また、各固定突起60の周方向での両端は、面取りが施されて丸みを帯びた形状とされている。尚、固定部材34における外周面が内方へ凹んだ位置は、谷位置と称す。
【0021】
さらに、内カバー部材38の前方には、遊技球の打ち出し強度を調整するためのレバー部材32が取り付けられている。レバー部材32は、略中心に設けられた軸部45と、軸部45の周囲に外方へ拡がるように延設されたフランジ部46と、フランジ部46の外周縁から後方へ垂設された把持部47とを一体的に形成してなる。軸部45は、中心軸に沿って前後へ夫々突出して設けられており、後方へ突出する側は、軸孔39に挿通され、連結部材44を介してボリューム部材35に連結されている。一方、軸部45の前方へ突出する側は、後述する外カバー部材33の軸受部52内へ嵌入されることになり、レバー部材32を滑らかに回動させるための樹脂製リング部材48が外装される。また、フランジ部46には、スリット49が円弧状に形成されている。該スリット49には、外カバー部材33を内カバー部材38に固着するための固着突起が挿通されており、レバー部材32を回動操作した際に、固着突起がスリット49内を相対的に移動してレバー部材32の回動を阻害しないようになっている。
【0022】
加えて、把持部47は、遊技者が把持する部分であって、レバー部材32の取付状態において内カバー部材38の外方を覆っている。当該把持部47は固定部材34と同じピッチで径方向に凹凸する波状に成形されており、山位置と内カバー部材38との隙間(第1隙間)S1は固定突起60よりも幅広に、谷位置と内カバー部材38との隙間(第2隙間)S2は固定突起60よりも幅狭とされている。そして、レバー部材32は、隙間S1に固定突起60が位置するように本体31へ取り付けられる。したがって、図7に示す如く、レバー部材32の山位置と固定部材34の山位置とが、レバー部材32の谷位置と固定部材34の谷位置とが夫々一致(すなわち、両部材の波形の位相が同期)しており、遊技者がハンドル9を把持した際、把持部47と固定部材34とを容易に片手で一緒に把持することができるようになっている。
【0023】
また、レバー部材32の前方には、板状の基部50と、基部50に固着されたドーム状の装飾部51とからなる外カバー部材33が取り付けられている。基部50の略中央には、樹脂製リング部材48が外装された軸部45を嵌装可能な軸受部52が設けられている。また、軸受部52よりも稍外方には、内カバー部材38に固着するための固着突起が後方へ突設されており、スリット49を介して内カバー部材38に当接され、ボルト等により固着されている。
【0024】
ここで、以上のように構成されるハンドル9の操作について説明する。
遊技者は、パチンコ機1で遊技するにあたり、レバー部材32と固定部材34とを一緒に把持し、両者を同時に回動操作して遊技球の打ち出しを開始する。また、打ち出し開始後は、遊技球の遊技領域2a内への打ち出し位置が所望の位置となるように、レバー部材32の回動量を調整して、遊技球の打ち出し強度を調整する(このとき、固定部材34もレバー部材32と同期して回動される)。そして、遊技球が所望の位置へ打ち出されるようになると、図8に示す如く、固定部材34のみを回動操作して、固定突起60、60・・を幅狭な隙間S2、S2・・へ強引に入りこませる。すると、固定突起60がレバー部材32をその回動軸を中心とした径方向へ押圧し、固定突起60の外周面とレバー部材32の内周面との間に生じる摩擦により、戻りバネ17の付勢力に抗してレバー部材32が当該回動位置にて固定される。そのため、たとえレバー部材32から手を離したとしても初期回動位置へ自動復帰したりせず、再びレバー部材32を把持するだけで、遊技球の打ち出し強度を維持したまま、遊技を再開することができる。
【0025】
また、再びレバー部材32の回動位置を微調整したい場合や、遊技の終了に伴いレバー部材32を初期回動位置へ復帰させたい場合には、固定状態にあるレバー部材32に対して固定部材34の固定に係る回動操作方向と同方向へ負荷をかければよい。すると、自身の弾性により固定突起60、60・・が隙間S2、S2・・から隙間S1、S1・・へと押し出され、固定部材34による固定が解除となる。そのため、レバー部材32を自由に回動させることが可能となり、レバー部材32の回動位置の再調整が可能となるし、レバー部材32から手を離せば戻りバネ17の付勢力によって初期回動位置へ自動復帰させることができる。
【0026】
以上のようなハンドル9を有するパチンコ機1によれば、ハンドル9に、レバー部材32をその回動軸を中心とした径方向へ押圧して固定する固定部材34が設けられているため、遊技球が所望の位置へ打ち出されるようにレバー部材32の回動量を調整した後、固定部材34を操作すれば、当該回動位置にてレバー部材32を維持することができる。そのため、手が疲れたり、席を外したりしたとしても、レバー部材32が初期回動位置へ自動復帰することがなく、遊技を再開する際に同じ打ち出し強度で遊技球を打ち出すことができる。したがって、遊技の再開時に無駄球を減らすことができ、遊技者に不快感を抱かせることがない。
【0027】
また、上記ハンドル9を有するパチンコ機1によれば、固定部材34を回動操作するだけで、レバー部材32を固定することができる一方、レバー部材32に対して固定部材34を固定に係る回動操作方向と同方向へ負荷をかけるだけで、自身の弾性により固定突起60、60・・が自動的に隙間S1、S1・・へ押し出され、レバー部材32をフリーとすることができる。したがって、レバー部材32の固定/解除に係る操作が簡易であるし、ハンドル9内部に複雑な機構等を設ける必要がなく、レバー部材32の固定/解除に係る構造も簡易な構造とすることができる。
さらに、各固定突起60の周方向での両端に面取りを施しているため、レバー部材32を固定すべく固定部材34を回動操作した際、固定突起60が隙間S2へ入り込みやすく、固定部材34の回動操作にかなりの力を要するといった事態も起こらないし、固定突起60やレバー部材32の摩耗、損傷の防止にもなる。
【0028】
さらにまた、レバー部材32の把持部47の外周面と固定部材34の外周面とを同じピッチの波形に成形しており、レバー部材32及び固定部材34を両方の波形の位相が同期するように取り付けているため、遊技者はレバー部材32を把持した際、自然と固定部材34をも把持することができる。そのため、遊技球の打ち出し強度を調整すべくレバー部材32の回動操作する際、固定部材34も容易に回動操作することができる。したがって、レバー部材32のみを回動操作してしまい、意図してないにも拘わらず固定突起60が隙間S2へ入り込み、レバー部材32が不用意に固定されてしまうといった事態が生じにくく、操作性が良い。
加えて、本実施例のハンドル9では、固定部材34が常態ではレバー部材32を固定しない解除位置にあり、摩擦力がかかった状態のままレバー部材32を回動させるわけではないため、レバー部材32や固定部材34の摩耗や損傷を防止することができる。
【0029】
なお、本発明のハンドル及びパチンコ機に係る構成は、上記実施形態に記載の態様に何ら限定されるものではなく、ハンドル本体やレバー部材、外カバー部材、固定部材の形状や構成、パチンコ機の構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0030】
たとえば、固定部材に設ける固定突起の位置や数等は適宜変更可能であって、固定突起を全周にわたって設けずとも、少なくとも1箇所設けていれば、レバー部材を固定することは可能である。
また、固定突起の形状についても上記実施形態に何ら限定されることはなく、周方向での一端から他端にかけて徐々に肉厚となるような正面視くさび状に成形し、肉薄側が隙間S2へ入り込んでレバー部材の固定を行うように構成することで、レバー部材の固定時に係る固定部材の回動操作を更に容易とすることができる。
さらに、固定部材の外周面を波状に成形せずとも、固定部材の外周面に更に外方へ突出する突起部を設ける構成を採用することも可能である。当該構成を採用することで、遊技者は、突起部に指等を押し当てながら固定部材をレバー部材とともに回動させ、所望の位置になると指を動かせて固定部材のみを回動させれば、レバー部材を固定することができる。したがって、レバー部材を把持する手のみでレバー部材の固定が可能となり、レバー部材の固定に係る操作性の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】パチンコ機を前面側から示した説明図である。
【図2】パチンコ機を後面側から示した説明図である。
【図3】ハンドルの外観を示した斜視説明図である。
【図4】ハンドルを下方側から示した説明図である。
【図5】ハンドルの軸線方向での部分断面説明図である。
【図6】ハンドルのレバー部材部分における軸に直交する方向での断面を示した斜視説明図である。
【図7】図6で示す断面を正面側から示した説明図である。
【図8】レバー部材を固定した状態におけるレバー部材部分の軸に直交する方向での断面を前面側から示した説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・パチンコ機、9・・ハンドル、17・・戻りバネ、31・・本体、32・・レバー部材、33・・外カバー部材、34・・固定部材、38・・内カバー部材、60・・固定突起、S1、S2・・隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー部材を回動可能に備えたハンドルが設置されており、前記レバー部材の回動位置に応じた打ち出し強度で遊技球を打ち出すとともに、前記ハンドルに、前記レバー部材を任意の回動位置で固定するための固定部材が設けられたパチンコ機であって、
前記固定部材は、常態では前記レバー部材を固定しない解除位置にあり、所定の操作に応じて、前記レバー部材をその回動軸を中心とした径方向へ押圧し、自身と前記レバー部材との間で生じる摩擦力により前記レバー部材を固定することを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記ハンドルが、筒状の本体と、前記本体の前端部の外周面を非接触で覆うように取り付けられる前記レバー部材とからなり、
前記レバー部材の前記本体の外周面を非接触で覆う部分を、径方向で凹凸する波状に成形して、前記レバー部材の内周面と前記本体の外周面との間に、幅広な第1隙間と幅狭な第2隙間とを設ける一方、
前記固定部材が、弾性を有する合成樹脂製のリング状体で、その前面に前記第1隙間よりは肉薄で前記第2隙間よりは肉厚な固定突起が設けられてなり、当該固定部材を前記本体の前端部における前記レバー部材よりも後方位置で、且つ、前記固定突起を前記第1隙間に位置させた状態で、前記本体に対して回動可能に外装しており、
遊技球の打ち出し強度を調整するために前記レバー部材を回動操作する際には、前記固定部材も同期させて回動操作し、前記レバー部材が所望の回動位置となると、前記固定部材のみを回動操作して、前記固定突起を前記第2隙間へ入り込ませることにより、前記レバー部材を固定可能としたことを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記固定部材の外周面が、前記レバー部材と同じピッチの波状に成形されており、前記固定部材が解除位置にある場合、前記固定部材の波形の位相と前記レバー部材の波形の位相とが同期していることを特徴とする請求項2に記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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