説明

パチンコ機

【課題】
球通路に塵埃が溜まりにくいパチンコ機を提供すること。
【解決手段】
遊技面での遊技が完了して裏面側から下方に落下したセーフ球やアウト球を受け止めるとともにそれら遊技が完了したパチンコ球を排出孔51方向に流下するように傾斜が設けられた球通路49,50を有するパチンコ機において、同球通路49,50を流下方向に対して直行する方向に傾斜させるようにした

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関し、特にセーフ球又はアウト球等の遊技が完了したパチンコ球を遊技台裏面側で受け止めて所定の部位に導くような球通路を備えたパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては遊技者が発射操作機構の一部としてのハンドルを操作してパチンコ球(このパチンコ球を遊技球という)を遊技面に打ち出し、その遊技球が遊技面に植設された釘等の障害物に干渉されながら下降し、途中に設けられた入賞孔に入賞することでパチンコ球(このパチンコ球を賞球という)を得られるようになっている。
ところで、遊技面上に打ち出された遊技球はあるものは下降しながら入賞孔に入っていわゆるセーフ球となり、あるものは入賞孔に入らずにいわゆるアウト球となる。これらセーフ球及びアウト球はある機種では機内においては遊技盤裏面の機構盤等に配置された球通路上に落下して排出孔から排出通路に導かれ更に機外に排出される。また、ある機種ではセーフ球のみセーフ球処理装置に導かれ賞球排出に寄与した後に排出通路に導かれ更に機外に排出される。また、ある機種ではこれらセーフ球又はアウト球はいずれも機外に排出されることなく機内のみで循環する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このようにセーフ球又はアウト球の処理についていくつもの機種があるものの共通するのはいずれも遊技球は上皿や下皿等の外部に露出した収納部に一旦収納され、遊技者の手に触れられる環境に晒されることである。このような環境下では遊技者の手あぶらや外部の塵埃がパチンコ球を汚してしまう。そしてこのような汚れたパチンコ球が遊技球として遊技を完了した後に球通路に集合するため、経年使用によって塵埃が球通路に溜まってセーフ球又はアウト球が転がりにくくなってしまっていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、球通路に塵埃が溜まりにくいパチンコ機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、少なくとも支持枠体と、同支持枠体に組み込まれ遊技者が対面して遊技を行うほぼ垂直な遊技面が形成された遊技台と、遊技者が操作することでパチンコ球を同遊技面上部に向かって発射させる発射操作機構とを備え、同遊技台裏面側には同遊技面上での遊技が完了したパチンコ球を受け止めるために球通路を設け、同球通路を同球通路上に至った前記遊技完了後のパチンコ球を所定の部位に流下させるために傾斜させるようにしたパチンコ機において、同球通路を流下方向に対して直行する方向に傾斜させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成では、球通路が傾斜しているために塵埃は傾斜面の下方側に移動することとなって遊技完了後のパチンコ球(セーフ球やアウト球)が汚れたり転がりにくくなるといった不具合が生じにくくなる。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載された発明では、球通路が傾斜しているために塵埃は傾斜面の下方側に移動することとなって遊技完了後のパチンコ球(セーフ球やアウト球)が汚れたり転がりにくくなるといった不具合が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施の形態のパチンコ機の扉枠及びパチンコ機本体を開放した状態の斜視図。
【図2】同じパチンコ機の背面図。
【図3】実施の形態1の機構盤下部の正面図。
【図4】実施の形態1の機構盤下部の斜視図。
【図5】実施の形態2の機構盤下部の正面図。
【図6】実施の形態2の機構盤下部の斜視図。
【図7】(a)は図2のA−A線における断面図、(b)は図2のB−B線における断面位置での側面図。
【図8】(a)は図2のD−D線における断面図、(b)は図2のE−E線における断面位置での側面図。
【図9】実施の形態2の第1の球受け板の斜視図。
【図10】実施の形態1のC−C線における断面位置での平面図。
【図11】実施の形態2のF−F線における断面位置での平面図。
【図12】実施の形態2の第2の球通路の斜視図。
【図13】実施の形態2の第3の球通路の斜視図。
【図14】実施の形態3の機構盤下部の正面図。
【図15】実施の形態3の機構盤下部の斜視図。
【図16】実施の形態3のG−G線における断面位置での平面図。
【図17】実施の形態4の機構盤下部の正面図。
【図18】実施の形態4の機構盤下部の斜視図。
【図19】実施の形態4のH−H線における断面位置での平面図。
【図20】パチンコ球の転動状態を説明する説明図。
【図21】他の実施の形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をパチンコ機に応用した各実施の形態について図面に基づいて説明する。まず、図1に基づいてパチンコ機の概略を説明し、その後各実施の形態それぞれの固有構成について説明する。尚、以下の説明で前面側或いは表面側
とは遊技者が正対する側をいう。左右とは遊技者側から見た左右方向をいう。
図1に示すように、パチンコ遊技機の支持枠体としての外枠1は上下左右の各枠板1a〜1dによって四角形に枠組みされた木製の枠体とされている。下部枠板1b上面には幕板2が配設されている。外枠1にはパチンコ機本体4が装着されている。パチンコ機本体4はヒンジ金具6の回動軸6aを中心に回動し外枠1に対して開閉可能とされている。パチンコ機本体4の上半身には遊技盤5が装着されている。遊技盤5の前面にはほぼ垂直に配置された遊技面9が形成されている。遊技面9上には内レール10、外レール11、入賞口12及び可変表示装置13等が所定位置に配置された遊技領域14が形成されている。内レール10の最下部位置にはアウト球回収口17が形成されている。尚、釘については図示が省略されている。遊技盤5の周囲は額縁状の扉枠支持フレーム7にて包囲されている。扉枠支持フレーム7はパチンコ機本体4と一体的に形成されている。扉枠支持フレーム7の上部前面には水平方向に3つのランプ8が配設されている。
【0008】
図1に示すように、遊技盤5の前面には前面枠としての扉枠15が配設されている。扉枠15はヒンジ金具6の回動軸6aを中心に回動しパチンコ機本体4に対して開閉可能とされている。扉枠15は閉じられた状態で前記扉枠支持フレーム7に当接する。扉枠15はほぼ正方形の外形を有し、中央にほぼ正方形の大型の窓穴16が形成されている。窓穴16にはガラスGがはめ込まれている。扉枠15上方の上梁19には水平方向に3つの透孔24が形成されている。透孔24は前記扉枠支持フレーム7のランプ8に対応しており、扉枠15を閉じた時に各ランプ8が対応する透孔24内に配置される。上梁19前面には半透明の装飾パネル25が配設され、同透孔24を覆っている。ランプ8の光は同透孔24を通して光透過性の装飾パネル25を明るく照らし出す。左縦枠21には扉枠支持フレーム7に設けられた鍵穴27を(図1参照)露出させるための台形の大きな切り欠き28が形成されている。扉枠15の背面側には同窓穴16の全周囲に渡って同窓穴16を包囲する金属製の補強フレーム29が配設されている。
【0009】
図2に示すように、遊技盤5の背面側には開閉可能に開閉盤としての機構盤22がパチンコ機本体4に対して開閉可能に装着されている。機構盤22は上下に配設されたヒンジ部23によってパチンコ機本体4に支持されており、盤面に散点的に配置された開閉ピン26の引き出し及び押し込みによってパチンコ機本体4に着脱される。機構盤22の上部には賞球タンクTが配設されている。賞球タンクTの図2における右方には入出力基盤30が配設されている。入出力基盤30の下方には上下方向に球払い出し機構Pが配設されている。球払い出し機構Pの下方には同球払い出し機構Pと連動したセーフ球処理機構Qが配設されている。セーフ球処理機構Qの図2における左方には発射操作機構制御装置ユニット31と払い出し制御装置ユニット32が配設されている。発射操作機構制御装置ユニット31は後述する遊技球発射機構Rの制御を行う制御機構とされ、払い出し制御装置ユニット32は賞球の払い出しの制御機構とされている。
図1、図3〜図6等に示すように本各実施の形態では機構盤22の下部前面側にパチンコ球配送部43が形成されている。パチンコ球配送部43については後述する。
機構盤22の中央付近には大型開口部22aが形成されている。図2に示すように、パチンコ機本体4に対して機構盤22が閉塞された状態で同大型開口部22aから遊技盤5の背面に配設された図柄表示装置ユニット33及び制御装置ユニット34が露出される。図柄表示装置ユニット33は可変表示装置13の制御を行う制御機構とされ、制御装置ユニット34は賞球の排出等のパチンコ機の制御を行う制御機構とされている。
【0010】
扉枠15の下方には上部カバープレート35が装着されている。上部カバープレート35はパチンコ機本体4に対して図示しないヒンジ金具によって片持ち支持され同パチンコ機本体4に対して開閉可能とされている。上部カバープレート35は前方に突出形成され、上面に上受け皿36が載置されている。上部カバープレート35の下方には下部カバープレート37が配設されている。下部カバープレート37はパチンコ機本体4に対して固着されている。下部カバープレート37は前方に突出形成され、上面に下受け皿38が載置されている。下受け皿38は主として上受け皿36に貯留しきれなかった遊技球を貯留するものである。下部カバープレート37には灰皿40が装着されている。下受け皿38の右側方には発射操作機構としての操作ハンドル39が取付けられている。
パチンコ機本体4下部であって操作ハンドル39の背面側には遊技球発射機構Rが配設されている。図2に示すように、遊技球発射機構Rはパチンコ機本体4に対して機構盤22が閉塞された状態で機構盤22下部寄りに形成された切り欠部22bから背面に向かって露出されている。
【0011】
次にパチンコ球配送部43の周辺の構成について各実施の形態毎に詳述する。
(実施の形態1)
図1、図3及び図10に示すように、機構盤22下部であって遊技盤5の背面側にはパチンコ球配送部43が配設されている。図3及び図4に示すように、パチンコ球配送部43の左方側には前記上部カバープレート35の上受け皿36方向に賞球を導くための上受け皿送出通路45が配設されている。上受け皿送出通路45の下方には上受け皿送出通路45が賞球でいっぱいになった際に前記下部カバープレート37の下受け皿38に賞球を導くバイパス通路46が配設されている。
パチンコ球配送部43の上方には左右方向に渉ってセーフ球及びアウト球を受け止める第1〜第3の球通路48〜50が配設されている。
第1の球通路48は上受け皿送出通路45の上方に配置されている。図3に示すように第1の球通路48は右下がりの傾斜とされ、図7(b)に示すように前後方向には傾斜のない水平な板面とされている。上受け皿送出通路45の右方には同第1の球通路48に対して一段段違いに低くなった第2の球通路49が配置されている。図3に示すように第2の球通路49は右下がりの傾斜とされ、同時に図7(a)に示すように前下がりに傾斜した板面とされている。第2の球通路49の右端は排出孔51に接続されている。排出孔51を挟んで右方には第3の球通路50が配置されている。図3に示すように第3の球通路50は左下がりの傾斜とされ、同時に図7(b)に示すように前下がりに傾斜した板面とされている。排出孔51から下方には蛇行する排出通路52が配設されている。本実施の形態1では第2及び第3の球通路49,50によって球通路の全長の4分の3以上を占める。
【0012】
図7(a),(b)及び図10に示すように、第1の球通路48は後方の第1の背面壁60と一体成形されている。第2及び第3の球通路49,50は後方の第2の背面壁61と一体成形されている。本実施の形態1では第2及び第3の球通路49,50の前端はパチンコ球配送部43の前面の基準となる前方基準位置Pよりも若干後退した位置とされている。つまり、図10に示すように、パチンコ球配送部43では前方基準位置Pにおいて遊技盤5の背面板63と密着するとともに、第2及び第3の球通路49,50前端部においては隙間Qが形成されることとなる。
【0013】
第2の球通路49の下方には第1の球受け板53が配設されている。第1の球受け板53は図3に示すように第2の球通路49と平行に、つまり右下がりの傾斜とされ、図7(a)に示すように前後方向は傾斜のない水平な板面とされている。第1の球受け板53は第2の背面壁61と一体成形されている。第1の球受け板53の前端位置は上記前方基準位置Pに配置される。第1の球受け板53には前方に長手方向に沿って補強リブ54が形成されている。第1の球受け板53の下端(右端)は前記排出通路52の中程に形成された第1の開口部55に接続されている。第3の球通路50の下方には第2の球受け板57が配設されている。第2の球受け板57は図3に示すように左下がりの傾斜とされ、図7(b)に示すように前後方向は傾斜のない水平な板面とされている。第2の球受け板57は第2の背面壁61と一体成形されている。第1の球受け板53の前端位置は上記前方基準位置Pに配置される。第2の球受け板57には前端には長手方向に沿って補強リブ58が形成されている。第2の球受け板57の下端(右端)は前記排出通路52の中程に形成された第2の開口部59に接続されている。両開口部55,59は上下方向に若干ずれた位置に開口している。
【0014】
次にこのように構成された実施の形態1の作用について説明する。
遊技者が操作ハンドル39を操作して遊技球を遊技面9上に打ち出す。遊技面9に打ち出された遊技球途中図示しない釘等の障害物に干渉されながら下降し、あるものは入賞口12に入り、あるものは入賞口12に入らずにアウト球回収口17に入る。
ここに、前記入賞口12に入った遊技球はセーフ球とされる。セーフ球は図示しないセンサによってその入賞口12を通過したことが検出され同センサから入出力基盤に出力される。この出力に基づいて賞球排出処理や可変表示装置13の可変表示処理等が行われる。このセーフ球は以後このパチンコ機では不要となるので遊技面9の裏面から第1〜第3の球通路48〜50のいずれかに落下する。一方アウト球回収口17に入った遊技球はアウト球とされる。アウト球は入賞口12に入らずに遊技が終わってしまった遊技球である。これも以後このパチンコ機では不要となるのでアウト球回収口17から後方に導かれ第2の球通路49上に落下する。
第1〜第3の球通路48〜50のいずれかに落下したセーフ球又はアウト球(以後単にパチンコ球とする)は傾斜に従って左右方向に排出孔51に向かって転動していく。第1の球通路48に落下したパチンコ球は右方向に転動していき第2の球通路49上に一旦落下する。第2の球通路49上に落下したパチンコ球は右方向に転動していき排出孔51内に落下する。第3の球通路50上に落下したパチンコ球は左方向に転動していき排出孔51内に落下する。落下したパチンコ球は排出通路52を下降し機外に排出(回収)される。尚、本実施の形態1の第2及び第3の球通路49,50では前下がりに傾斜されているため、パチンコ球は排出孔51方向に流下しながら遊技盤5の背面板63側に寄ってくることとなる。
【0015】
ここに、第1〜第3の球通路48〜50は汚れたパチンコ球が集中的に通過するため塵埃が溜まりやすい構造となっている。しかし、第2及び第3の球通路49,50では前方に傾斜されており、主としてパチンコ球の球通路48〜50上への落下による振動で塵埃はこの傾斜された前方側に移動していく。そして、第2及び第3の球通路49,50の前方は図7(a)及び図10に示すように隙間Qが形成されており、塵埃はこの隙間Qから第1の球受け板53に落下していくこととなる。
ところで、経年使用によりパチンコ機の構成部材に歪みや弛みが生じ、その影響で上部カバープレート35の背面板63が前方基準位置Pに配置されず一部あるいは全部の隙間Qがパチンコ球よりも大きくなってしまった場合にはパチンコ球はその大きくなった隙間Qから下方に落下してしまう可能性がある。このとき落下したパチンコ球は第1及び第2の球受け板53,57によって受け止められそのまま球受け板53,57の傾斜に沿って転動しそれぞれ開口部55,59から排出通路52に戻されることとなる。
【0016】
このように構成することにより本実施の形態1は次のような効果を奏する。
(1)パチンコ球が落下する振動や遊技中に生ずる振動などで第2及び第3の球通路49,50に溜った塵埃は傾斜にしたがって前方に移動し、最終的に隙間Qから下方に落下して第1及び第2の球受け板53,57上に堆積することとなる。そのため、経年使用しても第2及び第3の球通路49,50に溜ってパチンコ球が転動しにくくなったりパチンコ球が汚れたりすることがなくなる。
(2)上記のように隙間Qがパチンコ球よりも大きくなってしまいパチンコ球はその大きくなった隙間Qから下方に落下してしまった場合でも、落下したパチンコ球は第1及び第2の球受け板53,57によって受け止められそのまま球受け板53,57の傾斜に沿って転動しそれぞれ開口部55,59から排出通路52に戻されることとなるため、回収すべきパチンコ球が取り出せずに機内に残ってしまうというような不具合が生ずることがなくなる。
【0017】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2においては実施の形態1と同じ部材については図面上で同じ番号を付し、詳しい説明は省略する。
実施の形態2におけるパチンコ球配送部43の上方には左右方向に渉ってセーフ球及びアウト球を受け止める第1〜第3の球通路65〜67が配設されている。
第1の球通路65は上受け皿送出通路45の上方に配置されている。図5及び図6に示すように第1の球通路65は右下がりの傾斜とされ、図8(b)に示すように前後方向には傾斜のない水平な板面とされている。上受け皿送出通路45の右方には同第1の球通路65に対して一段段違いに低くなった第2の球通路66が配置されている。
第2の球通路66は図11及び図12に示すように着脱可能な板体であって、その本体66a前部には長手方向に沿って補強リブ68が形成されている。本体66a後部には長手方向に沿って所定間隔で5つのスリット69が形成されている。本体66a後部長手方向に沿って取り付けリブ70が下方に向かって延出形成されている。取り付けリブ70には固定ねじ71用のねじ孔70aが穿設されている。図8(a)及び図11に示すように、第2の球通路66は第2の背面壁61に形成された取り付けスリット72に後方から挿入され、取り付けリブ70のねじ孔70aと第2の背面壁61のねじ孔61aとを照合させ固定ねじ71にて共締めすることで固定されている。取り付けスリット72の上下幅は第2の球通路66の厚みより若干大きく形成されている。
図5及び図6に示すように第2の球通路66は第2の背面壁61に装着された状態で右下がりの傾斜とされ、同時に図8(a)に示すように後下がりに傾斜した板面とされる。
【0018】
第2の球通路66の右端は排出孔51に接続されている。排出孔51を挟んで右方には第3の球通路67が配置されている。図11及び図13に示すように第3の球通路67も第2の球通路66と同様に板体であって、その本体67a前部には長手方向に沿って補強リブ68が形成されている。本体67a後部には長手方向に沿って所定間隔で3つのスリット69が形成されている。本体66a後部長手方向に沿って取り付けリブ70が下方に向かって延出形成されている。取り付けリブ70には固定ねじ71用のねじ孔70aが穿設されている。図8(a)及び図11に示すように、第3の球通路67は第2の背面壁61に形成された取り付けスリット72に後方から挿入され、取り付けリブ70のねじ孔70aと第2の背面壁61のねじ孔60aとを照合させ固定ねじ71にて共締めすることで固定されている。取り付けスリット72の上下幅は第2の球通路66の厚みより若干大きく形成されている。
図5に示すように第3の球通路67は第2の背面壁61に装着された状態で左下がりの傾斜とされ、同時に図8(b)に示すように後下がりに傾斜した板面とされている。
排出孔51から下方には蛇行する排出通路52が配設されている。本実施の形態1では第2及び第3の球通路66,67によって球通路の全長の4分の3以上を占める。
【0019】
図8(a),(b)及び図11に示すように、第1の球通路65は後方の第1の背面壁60と一体成形されている。第2及び第3の球通路66,67は後方の第2の背面壁61と一体成形されている。本実施の形態2では実施の形態1と異なり第2及び第3の球通路49,50の前端はパチンコ球配送部43の前面の基準となる前方基準位置Pと同じ位置とされている。つまり、図11に示すように、パチンコ球配送部43では前方基準位置Pにおいて遊技盤5の背面板63と密着するが実施の形態1のような隙間Qが形成されることはない。
【0020】
第2の球通路66の下方には第1の球受け板77が配設されている。第1の球受け板77は第2の球通路66と平行に、つまり右下がりの傾斜とされ、図8(a)に示すように前後方向は傾斜のない水平な板面とされている。第1の球受け板77は図9に示すように着脱可能な板体であって、その本体77a前部には長手方向に沿って補強リブ79が形成されている。本体77a後部には長手方向に沿って取り付けリブ80が形成されている。取り付けリブ80には固定ねじ81用のねじ孔82が穿設されている。図8(a)に示すように、第1の球受け板77は第2の背面壁61に形成された取り付けスリット83に後方から挿入され、取り付けリブ80のねじ孔80aと第2の背面壁61のねじ孔61aとを照合させ固定ねじ71にて共締めすることで固定されている。取り付けスリット83の上下幅は第1の球受け板77の厚みより若干大きく形成されており、第1の球受け板77を装着した状態で第1の球受け板77の下方には若干の隙間が形成される。
第3の球通路67の下方には第2の球受け板87が配設されている。第2の球受け板87は図5に示すように左下がりの傾斜とされ、図8(b)に示すように前後方向は傾斜のない水平な板面とされている。第2の球受け板87は第1の球受け板77と同様着脱可能な板体であって第1の球受け板77と同様取り付けリブ80のねじ孔80aと第2の背面壁61のねじ孔61aとを照合させ固定ねじ71にて共締めすることで固定されている。第2の球受け板87は第1の球受け板77よりも長さが短いものの同様の断面を有する部材であるため同様の構成については同じ番号を付して詳しい図示説明は省略する。
【0021】
次にこのように構成された実施の形態2の作用について説明する。実施の形態1と重複する作用については省略する。
第1〜第3の球通路65,66,67では実施の形態1と同様汚れたパチンコ球が集中的に通過するため塵埃が溜まりやすい構造となっている。しかし、第2及び第3の球通路66,67では後下がりに傾斜されており、主としてパチンコ球の球通路65〜67上への落下による振動で塵埃はこの傾斜された後方側に移動していく。そして、第2及び第3の球通路66,67の後方にはそれぞれスリット69が形成されており、塵埃はこのスリット69から第1及び第2の球受け板69,77に落下していくこととなる。
【0022】
このように構成することにより本実施の形態2は次のような効果を奏する。
(1)パチンコ球が落下する振動や遊技中に生ずる振動などで第2及び第3の球通路66,67に溜った塵埃は傾斜にしたがって後方に移動し、最終的にスリット69から下方に落下して第1及び第2の球受け板77,87上に堆積することとなる。そのため、経年使用しても第2及び第3の球通路66,67に溜ってパチンコ球が転動しにくくなったりパチンコ球が汚れたりするようなことがなくなる。
(2)第2及び第3の球通路66,67はかなり上方から落下してくるセーフ球を受け止めたりアウト球回収口17からまとまって流下してくる多くのアウト球などを受け止めるという比較的劣悪な条件で使用される構成部材であるところ、これらはいずれも着脱できるため経年使用して強度劣化した場合に交換することが可能となる。
(3)第1及び第2の球受け板77,87は着脱できるため経年使用してそれらの上に塵埃が堆積した場合には取り外して掃除することが容易となる。
【0023】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3においては実施の形態1における第2及び第3の球通路49,50の構成のみ異なっているため実施の形態1と同じ部材については図面上で同じ番号を付し、詳しい説明は省略するとともに異なる部分を中心に説明する。
上受け皿送出通路45の右方には同第1の球通路48に対して一段段違いに低くなった第2の球通路91が配置されている。図14及び図15に示すように第2の球通路91は全体として右下がりの傾斜とされると同時に前下がり部91a及び後下がり部91bとを交互に組み合わせて構成した板面とされている。図15及び図16に示すように、後下がり部91bの第2の背面壁61寄り基部にはスリット92が形成されている。第2の球通路91の右端は排出孔51に接続されている。排出孔51を挟んで右方には第3の球通路95が配置されている。図14及び図15に示すように第3の球通路95は全体として左下がりの傾斜とされると同時に前下がり部95a及び後下がり部95bとを交互に組み合わせて構成した板面とされている。図16に示すように、後下がり部95bの第2の背面
壁61寄り基部にはスリット92が形成されている。排出孔51から下方には蛇行する排出通路52が配設されている。本実施の形態1では第2及び第3の球通路49,50によって球通路の全長の4分の3以上を占める。
本実施の形態3では第2及び第3の球通路91,95の前端はパチンコ球配送部43の前面の基準となる前方基準位置Pよりも若干後退した位置とされている。つまり、図16に示すように、パチンコ球配送部43では前方基準位置Pにおいて遊技盤5の背面板63と密着するとともに、第2及び第3の球通路91,95前端部においては隙間Qが形成されることとなる。
【0024】
次にこのように構成された実施の形態3の作用について説明する。実施の形態1と重複する作用については省略する。
第1〜第3の球通路65,91,95では実施の形態1と同様汚れたパチンコ球が集中的に通過するため塵埃が溜まりやすい構造となっている。しかし、第2及び第3の球通路91,95では前下がり部91a,95aでは前下がりに、後下がり部91b,95bでは後下がりに傾斜されており、主としてパチンコ球の球通路65,91,95上への落下による振動で塵埃はこれら傾斜に従って前方あるいは後方側に移動していく。そして、前下がり部91a,95aを移動する塵埃は隙間Qから、また後下がり部91b,95bを移動する塵埃はスリット92から第1及び第2の球受け板53,57上に落下することとなる。
また、例えば図20に示すように、一方向のみに傾斜が設定されているとした場合には経年使用で特にX位置及びY位置がパチンコ球と接することになってその部分の摩耗や、応力の集中が生じてひび割れる可能性もある。ところが、本実施の形態3では、左右方向の傾斜に従って最終的に排出孔51に導かれるパチンコ球は前下がり部91a,95a及び後下がり部91b,95bによって前後方向に攪乱されながら流下するため一箇所のみに集中的にパチンコ球が接するということがなくなる。
【0025】
このように構成することにより本実施の形態3は次のような効果を奏する。
(1)パチンコ球が落下する振動や遊技中に生ずる振動などで第2及び第3の球通路91,95に溜った塵埃は傾斜にしたがって前方あるいは後方に移動し、最終的にスリット69から下方に落下して第1及び第2の球受け板53,57上に堆積することとなる。そのため、経年使用しても第2及び第3の球通路91,95に溜ってパチンコ球が転動しにくくなったりパチンコ球が汚れたりするようなことがなくなる。
(2)パチンコ球は前下がり部91a,95a及び後下がり部91b,95bによって前後方向に攪乱されながら流下するため一箇所のみに集中的にパチンコ球が接するということがなくなる。従って、第2及び第3の球通路91,95、第2の背面壁61又は遊技盤5の背面板63等の摩耗やひび割れなどが生じにくくなる。
【0026】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4は実施の形態3の変形である。実施の形態3と同様実施の形態1と同じ部材については図面上で同じ番号を付し、詳しい説明は省略するとともに異なる部分を中心に説明する。
上受け皿送出通路45の右方には同第1の球通路48に対して一段段違いに低くなった第2の球通路97が配置されている。図17及び図18に示すように第2の球通路97は全体として右下がりの傾斜とされると同時に前下がり部97aから徐々に後下がり部97bに角度を変えていくようにねじれて構成した板面とされている。本実施の形態4では複数の前下がり部97aと後下がり部97bとが交互に形成されている。後下がり部97bの第2の背面壁61寄り基部にはスリット98が形成されている。第2の球通路97の右端は排出孔51に接続されている。排出孔51を挟んで右方には第3の球通路99が配置されている。図3に示すように第3の球通路99は全体として左下がりの傾斜とされると同時に前下がり部99aから徐々に後下がり部99bに角度を変えていくようにねじれて
構成した板面とされている。後下がり部99bの第2の背面壁61寄り基部にはスリット98が形成されている。排出孔51から下方には蛇行する排出通路52が配設されている。本実施の形態1では第2及び第3の球通路49,50によって球通路の全長の4分の3以上を占める。
本実施の形態3では第2及び第3の球通路97,99の前端はパチンコ球配送部43の前面の基準となる前方基準位置Pよりも若干後退した位置とされている。つまり、図19に示すように、パチンコ球配送部43では前方基準位置Pにおいて遊技盤5の背面板63と密着するとともに、第2及び第3の球通路97,99前端部においては隙間Qが形成されることとなる。
【0027】
次にこのように構成された実施の形態4の作用について説明する。実施の形態1と重複する作用については省略する。
第1〜第3の球通路65,97,99では実施の形態1と同様汚れたパチンコ球が集中的に通過するため塵埃が溜まりやすい構造となっている。しかし、第2及び第3の球通路97,99では前下がり部97a,99aでは前下がりに、後下がり部95b,99bでは後下がりに傾斜されており、主としてパチンコ球の球通路65,91,95上への落下による振動で塵埃はこれら傾斜に従って前方あるいは後方側に移動していく。そして、前下がり部97a,99aを移動する塵埃は隙間Qから、また後下がり部95b,99bを移動する塵埃はスリット98から第1及び第2の球受け板53,57上に落下することとなる。
また、例えば図20に示すように、一方向のみに傾斜が設定されているとした場合には経年使用で特にX位置及びY位置がパチンコ球と接することになってその部分の摩耗や、応力の集中が生じてひび割れる可能性もある。ところが、本実施の形態4では、左右方向の傾斜に従って最終的に排出孔51に導かれるパチンコ球は前下がり部97a,99a及び後下がり部95b,99bによって前後方向に攪乱されながら流下するため一箇所のみに集中的にパチンコ球が接するということがなくなる。
【0028】
このように構成することにより本実施の形態4は次のような効果を奏する。
(1)パチンコ球が落下する振動や遊技中に生ずる振動などで第2及び第3の球通路97,99に溜った塵埃は傾斜にしたがって前方あるいは後方に移動し、最終的にスリット69から下方に落下して第1及び第2の球受け板53,57上に堆積することとなる。そのため、経年使用しても第2及び第3の球通路66,67に溜ってパチンコ球が転動しにくくなったりパチンコ球が汚れたりするようなことがなくなる。
(2)パチンコ球は前下がり部97a,99a及び後下がり部95b,99bによって前後方向に攪乱されながら流下するため一箇所のみに集中的にパチンコ球が接するということがなくなる。従って、第2及び第3の球通路97,99、第2の背面壁61又は遊技盤5の背面板63等の摩耗やひび割れなどが生じにくくなる。
【0029】
本発明は以下のような態様に変更して実施することが可能である。
・上記実施の形態2の着脱可能な第1及び第2の球受け板69,77を実施の形態1に応用すること。逆に実施の形態2の第1及び第2の球受け板69,77を着脱不能なものとしても構わない。
・例えば実施の形態2では第3の球通路66と第2の背面壁61及び第1の球受け板77はそれぞれ別体で、第3の球通路66と第1の球受け板77とをそれぞれ別個に交換できるようになっていた。これを図21のように通路101、背面壁102及び球受け板103を一体的なユニット構造104としてそれを交換可能としてもよい。
・上記各第2及び第3の球通路49,50,66,67,91,95,97,99に設定された角度を調整可能とすること。
・第1の球通路48,66も前後方向に傾斜させるようにすること。
・実施の形態2の第1及び第2の球受け板69,77を排出通路52に連通させるようにしても構わない。
・実施の形態2における第2及び第3の球通路66,67はスリット69を形成して塵埃が落下するようにしていたが、第2及び第3の球通路66,67を吊り下げ部材で吊り下げて第2の背面壁61との間に長手方向に連続したスリットを形成するようにしてもよい。
・上記各実施の形態では左右方向に落下したセーフ球等が流下するパチンコ機であったが、これに限定されず例えば前後方向に流下する機種に応用することも可能である。
・本実施の形態のパチンコ機は遊技が完了したパチンコ球を機外に一旦排出・回収するタイプであったが、外部に排出せず機内で循環させるようなタイプに応用することも可能である。
・実施の形態3及び4の前後下がり部91a,91b,95a,95b,97a,97b,99a,99bの形状や数や配置の仕方は適宜変更可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【0030】
上記実施の形態から把握できる本発明のその他の技術的思想について下記に付記として説明する。
(1)前記球通路の下方には同球通路に沿って延出された球受け板を配設したことを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
このように構成すれば上記効果に加え、こぼれたパチンコ球を受け止めることが可能となる。
(2)前記球通路が前方に傾斜している場合には前記前壁面との間に空隙が形成されることを特徴とする請求項1又は付記1に記載のパチンコ機。
(3)前記球通路が後方に傾斜している場合には前記後壁面との間に空隙が形成されることを特徴とする請求項1又は付記1に記載のパチンコ機。
付記2又は3のように構成すれば上記効果に加え、空隙から下方に塵埃が落下して球通路に汚れが溜まりにくくなる。
(4)前記球通路の流下方向に対して直行する方向に設定した傾斜角度は流下方向に沿って変化するようにしたことを特徴とする請求項1若しくは付記1〜3のいずれかに記載のパチンコ機。
(5)同変化は連続的あるいは断続的であることを特徴とする付記4に記載のパチンコ機。
付記(4)又は(5)のように構成すれば上記効果に加え、パチンコ球が流下するに際して同じ箇所ばかりと接することを防止することができる。
(6)前記球通路は前後方向の傾斜角度の調整が可能であることを特徴とする請求項1若しくは付記1〜5のいずれかに記載のパチンコ機。
パチンコ球は角度が緩やかなほど流路の幅が広くなって多くのパチンコ球を流下させることができる(流下率向上)。一方、塵埃は角度が急なほど落下し易い。
このように構成すれば上記効果に加え、角度を調整しながらより好適な角度に設定することができる。また、角度を変更することでパチンコ球が同じ箇所ばかりと接することを防止することができる。
(7)前記球通路又は球受け板は着脱可能であることを特徴とする請求項1若しくは付記1〜6のいずれかに記載のパチンコ機。
このように構成すれば上記効果に加え、球通路又は球受け板に不具合が生じた場合に取り替えることが可能となる。
(8)前記球通路又は球受け板には補強リブを形成したことを特徴とする請求項1若しくは付記1〜7のいずれかに記載のパチンコ機。
このように構成すれば上記効果に加え、球通路又は球受け板の強度の向上に寄与することができる。
(9)前記球受け板は前記所定の部位方向に合流することを特徴とする請求項1若しくは付記1〜8のいずれかに記載のパチンコ機。
このように構成すれば上記効果に加え、球通路からこぼれたパチンコ球を回収することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…支持枠体としての外枠、4…遊技台としてのパチンコ機本体、5…遊技盤、9…遊技面、22…機構盤、39…発射操作機構としてのハンドル、48〜50,65〜67,91,95,97,99…球通路、51…排出孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持枠体と、同支持枠体に組み込まれ遊技者が対面して遊技を行うほぼ垂直な遊技面が形成された遊技台と、遊技者が操作することでパチンコ球を同遊技面上部に向かって発射させる発射操作機構とを備え、同遊技台裏面側には同遊技面上での遊技が完了したパチンコ球を受け止めるために球通路を設け、同球通路を同球通路上に至った前記遊技完了後のパチンコ球を所定の部位に流下させるために傾斜させるようにしたパチンコ機において、同球通路を流下方向に対して直行する方向に傾斜させるようにしたことを特徴とするパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−19935(P2011−19935A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218151(P2010−218151)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【分割の表示】特願2001−37788(P2001−37788)の分割
【原出願日】平成13年2月15日(2001.2.15)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】