パチンコ遊技機
【課題】開閉部材を強制的に開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を抑制すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、入賞装置(始動入賞装置5)を備え、入賞装置は、入賞口(第2始動口51b)と、開閉部材76,83と、駆動源(ソレノイド112)と、入賞球を検知する遊技球検知器(第2始動口SW54b)と、入賞球を遊技球検知器に至らせる球通路部(第2球通路部69及び第3球通路部99)とを備える。また、入賞装置は、駆動源によって駆動され、入賞球を遊技球検知器に至るまでの間でせき止め可能な規制部材(シャッター片142)を備える。この規制部材は、駆動源の非作動時、遊技球が球通路部を通過するのを規制した状態にあり、駆動源が作動されると、遊技球が球通路部を通過するのを許容した状態となる。よって、駆動源が作動していなければ入賞球は規制部材にせき止められて検知されないので、賞球などの利益は与えられない。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、入賞装置(始動入賞装置5)を備え、入賞装置は、入賞口(第2始動口51b)と、開閉部材76,83と、駆動源(ソレノイド112)と、入賞球を検知する遊技球検知器(第2始動口SW54b)と、入賞球を遊技球検知器に至らせる球通路部(第2球通路部69及び第3球通路部99)とを備える。また、入賞装置は、駆動源によって駆動され、入賞球を遊技球検知器に至るまでの間でせき止め可能な規制部材(シャッター片142)を備える。この規制部材は、駆動源の非作動時、遊技球が球通路部を通過するのを規制した状態にあり、駆動源が作動されると、遊技球が球通路部を通過するのを許容した状態となる。よって、駆動源が作動していなければ入賞球は規制部材にせき止められて検知されないので、賞球などの利益は与えられない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関し、特に、入賞装置の開閉部材を強制的に開放させる行為に対して対策を施したパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機には、ソレノイドなどの駆動源により駆動される開閉部材を備え、開閉部材が入賞口を開閉することで、入賞口への遊技球の入賞を制御する入賞装置が設けられている。開閉部材は、初期状態では入賞口を閉塞した閉塞状態に有り、遊技中に所定条件を満たした場合に入賞口を開放した開放状態となる。開放された入賞口に入賞した遊技球は、入賞装置の内部に配設された遊技球検知器に検知される。パチンコ遊技機では、これに基づいて、大当たり抽選に用いる乱数の取得や所定個数の賞球を行っている。
【0003】
しかし、このような入賞装置に対して、パチンコ遊技機の隙間からワイヤー等を挿入して開閉部材に引っ掛け、開閉部材を強制的に開放状態にして入賞口に遊技球を入賞させる不正行為がなされている。そして、従来から、このような不正行為に対処した入賞装置として下記特許文献1に記載の入賞装置が知られている。
【0004】
特許文献1に記載の入賞装置は、開閉部材と、開閉部材を駆動するソレノイドと、ソレノイドと開閉部材を繋ぐ連繋部材(揺動クランク)とを備えて構成され、ソレノイドの非作動時、ソレノイドのプランジャーの先端部(プランジャーヘッド)が、揺動クランクと当接して揺動クランクの動きを規制することで、開閉部材の強制解放を防止する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】特開2008−48900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように構成された入賞装置では、ソレノイドが作動しておらず開閉部材が閉塞状態にあるときには、開閉部材をワイヤー等で引っ張っても強制的に開放状態にすることはできないが、ソレノイドが作動して開閉部材が開放状態となったときを狙って開閉部材をワイヤー等で引っ掛けてしまえば、開閉部材は閉塞状態に戻ることができなくなるため、強制的に開放状態にすることが可能であった。
【0007】
そこで本発明は、上記事情に鑑み、開閉部材を強制的に開放状態にしても駆動源の作動中でなければ入賞口に入賞した遊技球が検知されないようにし、もって開閉部材を強制的に開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパチンコ遊技機は、入賞口と、前記入賞口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を駆動する駆動源とを有する入賞装置であって、所定条件を満たすことにより前記駆動源が所定時間作動され、前記開閉部材が開いて遊技球の前記入賞口への入賞し易さが変化する入賞装置を備え、前記入賞装置は、前記入賞口に入賞した遊技球(以下「入賞球」という)を検知する遊技球検知器と、前記入賞球を前記遊技球検知器に至らせる球通路部と、を備えて構成され、前記入賞球が前記遊技球検知器によって検知されたことに基づいて大当たり抽選及び/又は所定個数の賞球がなされるパチンコ遊技機において、前記入賞装置は、前記駆動源によって駆動され、前記入賞球を前記遊技球検知器に至るまでの間でせき止め可能な規制部材を備え、前記規制部材は、前記駆動源の非作動時、遊技球が前記球通路部を通過するのを規制した状態にあり、前記駆動源が作動されると、遊技球が前記球通路部を通過するのを許容した状態となることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記駆動源は、前進後退可能な直動部材を備え、該直動部材には、当該直動部材に沿って摺動可能な摺動部材が嵌着され、前記開閉部材は、前記摺動部材が前方位置にあるとき前記入賞口を閉塞し、前記摺動部材が後方位置にあるとき前記入賞口を開放するよう、前記摺動部材に連結され、前記規制部材は、前記直動部材が前進位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを規制し、前記直動部材が後退位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを許容するよう、前記直動部材に連結され、前記駆動源の非作動時、前記摺動部材の位置に関わらず、前記直動部材は前進位置にあり、前記駆動源の作動時、前記直動部材が後退するとともに、前記摺動部材が後方位置に移動する構成とすることが望ましい。
【0010】
また本発明のパチンコ遊技機では、前記駆動源は、前記直動部材としてのプランジャーと、該プランジャーを励磁する本体部とを備えたソレノイドとされ、該プランジャーは、前記摺動部材と前記本体部との間に、前記摺動部材を前方位置に付勢するとともに前記摺動部材を介して当該プランジャーを前進位置に付勢する第1弾性部材を有し、前記摺動部材と当該プランジャーの先端部との間に、当該プランジャーを前進位置へ付勢する第2弾性部材を有し、前記第2弾性部材は、前記第1弾性部材より復元力の小さい弾性部材とされている構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパチンコ遊技機によれば、所定条件を満たして駆動源が作動し、これに基づいて開閉部材が開いた場合には、規制部材は球通路部の通過規制を解除した状態となる。そのため、入賞口に入賞した遊技球は球通路部を通過して遊技球検知器に検知される。これに対して、所定条件を満たしていないのにワイヤー等を用いて開閉部材を強制的に開放状態した場合には、駆動源が作動していないため、規制部材は球通路部の通過規制をしている状態にある。そのため、入賞口に遊技球を入賞させても、入賞球は、遊技球検知器に至る前に球通路部上でせき止められて遊技球検知器に検出されないため、その遊技球が入賞球としてカウントされず、大当たり抽選や賞球は行われない。したがって、開閉部材の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がないため、開閉部材を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】同パチンコ遊技機の備える始動入賞装置の斜視図である。
【図3】同パチンコ遊技機の備える始動入賞装置の正面側から見た分解斜視図である。
【図4】同パチンコ遊技機の備える始動入賞装置の背面側から見た分解斜視図である。
【図5】始動入賞装置が備えるソレノイドに、各部材を組み付けた状態を示す要部斜視図である。
【図6】(a)ソレノイドの非作動時であって、開閉部材が第2始動口を閉塞している状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)であり、(b)ソレノイドの作動時であって、開閉部材が第2始動口を開放している状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)である。
【図7】(a)ソレノイドの作動時であって、開閉部材が第2始動口を開放している状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)であり、(b)ソレノイドの非作動時であって、開閉部材が強制的に開かれたことにより第2始動口が開放されている状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)である。
【図8】同パチンコ遊技機の電気系統のブロック図である。
【図9】(a)は通常遊技状態又は時短遊技状態における大当たり乱数の判定テーブルを、(b)は確変遊技状態又は潜確遊技状態における大当たり乱数の判定テーブルを、(c)は第1始動口入賞により取得した図柄乱数の判定テーブルを、(d)は第2始動口入賞により取得した図柄乱数の判定テーブルを、それぞれ示す。
【図10】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【図11】始動口SW処理のフローチャートである。
【図12】ゲートSW処理のフローチャートである。
【図13】特別図柄処理のフローチャートである。
【図14】大当たり判定処理のフローチャートである。
【図15】普通図柄処理のフローチャートである。
【図16】大入賞口処理のフローチャートである。
【図17】電チュー処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態
(1)パチンコ遊技機の構造
本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、前面枠10の内側に取着された遊技盤2を備えている。遊技盤2には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。また、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。
【0014】
遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
【0015】
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31は、上枠部32、下枠部33、左枠部34、および右枠部35により構成されている。左枠部34には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部41へ遊技球を流出するワープ部40が配設されている。下枠部33には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部41が形成されている。
【0016】
また、遊技領域3の左右方向における中央下部には、始動入賞装置5が設けられている。始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、開閉部材76,83により開閉される第2始動口51bとを備えている。開閉部材76,83は、ソレノイド112(駆動源に相当する。図3参照)により駆動される。第2始動口51bは、開閉部材76,83が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。
【0017】
また、遊技領域3には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、始動入賞装置5の下方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図8参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
【0018】
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、始動入賞装置5の左方及び右方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
【0019】
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
【0020】
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技が行われる。
【0021】
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図8参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図8参照)に記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も、大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
【0022】
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される大当たり乱数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する大当たり乱数の取得は行われない。
【0023】
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、開閉部材76,83を開く補助遊技が行われる。なお、実施形態では、普通図柄抽選の結果が当たりであることが、特許請求の範囲にいう「所定条件」に該当する。
【0024】
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
【0025】
次に、図2から5に基づいて、始動入賞装置5について詳述する。図2に示すように、始動入賞装置5は、前方側に配置される装飾部材46に、後方側に配置されるホルダ部材102を組み付けて構成されている。
【0026】
図3,4に示すように、装飾部材46は、始動入賞装置5を遊技盤2に配設した際、前面48aが遊技盤面と略面一に配置される取着基板部48と、取着基板部48の上部に形成された上部球受部56と、上部球受部56の下方に配置される下部球受部64と、取着基板部48の裏面48bから後方へ延設された後方延設部93と、を備えて構成されている。
【0027】
取着基板部48は、左端及び右端にねじ止め用の孔部49,49を有している。始動入賞装置5は、このねじ止め用孔部49,49を利用して遊技盤2にねじ止めされて取り付けられる。また、取着基板部48は、左右方向の略中央であって下部球受部64の後方に、遊技球が通過可能な入賞球通し孔50を有している。入賞球通し孔50は、第2始動口51bに入賞した遊技球を、遊技盤2の裏面側へ案内する。
【0028】
上部球受部56は、上方が開口した正面視略U字形状で後方へ向かって延設された半円筒形状の桶部57と、桶部57の前端を閉じるように桶部57から延設された平板状の意匠板部62と、を備えて構成されている。桶部57は、取着基板部48の前面48aを基準として前方へ略遊技球一個分突出した前方桶部58と、前方桶部58から取着基板部48を貫いて後方へ延設された後方桶部59とから構成されている。前方桶部58の上方開口58aは、遊技領域3を流下した遊技球が入賞可能な第1始動口51aとして機能する。第1始動口51aへ入賞した遊技球は、前方桶部58の床面58bに受け止められて、連通する後方桶部59の床面59bへと転動していく。このように、桶部57は、第1始動口に入賞した遊技球の通路(以下「第1球通路部60」という)を形成している。なお、図示しないが、意匠板部62の前面62aには、ここが第1始動口51aとなっていることが遊技者に分かるよう、「IN」の装飾文字が刻まれている。
【0029】
下部球受部64は、前面65aを装飾面とした平板部65と、平板部65の下部から後方へ延設された下部延設部68とから構成されている。下部延設部68は、前後方向の長さ寸法を略遊技球の直径程度として構成されており、後端68aを取着基板部48の前面48aに当接させて、取着基板部48に固着されている。また、下部延設部68の上面68bの左右方向中央部には、第2始動口51bに入賞した遊技球を遊技盤2の裏面側へと転動させる通路(以下「第2球通路部69」という)が形成されている。また、平板部65の裏面65bにおける下部延設部68の上方には、後述する開閉部材76,83を揺動可能に軸支するための揺動軸66が、左右方向に所定距離離れて、後方へ向かって突設されている。
【0030】
下部球受部64の平板部65と取着基板部48の前面48aには、前後方向に略遊技球の直径程度の厚みを有した開閉部材(いわゆる羽根)76,83が配設される。開閉部材76,83は、下部延設部68に形成された第2球通路部69を挟んで左右両側に配置される左右一対の部材であり、正面視左右対称な形状、詳しくは、上方に向かって薄肉となる略ドロップ形状の所謂チューリップ型となっている。なお、このような開閉部材76,83を有する装置は、一般的に電動チューリップ(電チュー)と称呼される。各開閉部材76,83は、それぞれ、元部76a,83a側に挿通孔77,84を有し、この挿通孔77,84を下部球受部64に形成された揺動軸66に挿通させて、下部球受部64と取着基板部48との間に軸支される。これにより、各開閉部材76,83は、揺動軸66を中心として、図2に示す矢印aの方向(相互に離れる方向)及び矢印bの方向(相互に近づく方向)に揺動可能となっている。
【0031】
そして、このように開閉部材76,83が配設された装飾部材46において、左開閉部材76の先端部76bと右開閉部材83の先端部83bの間に形成される開口87部分(図2参照)が、遊技領域3を流下した遊技球が入賞可能な第2始動口51bとなる。ここで、図2に実線で示す状態は、開閉部材76,83が閉じて第2始動口51bが閉塞されている状態であり、図2に二点鎖線で示す状態は、開閉部材76,83が開いて第2始動口51bが開放されている状態である。図2に実線で示す状態では、両開閉部材76,83は内側面76c,83cを鉛直方向に略沿わせた姿勢となっており、両開閉部材76,83間の開口87のすぐ上方には上部球受部56が位置して各開閉部材76,83と上部球受部56との間を遊技球が通過できないため、遊技領域3を流下してきた遊技球は第2始動口51bに入賞することはできない。これに対して、図2に二点鎖線で示す状態では、両開閉部材76,83は内側面76c,83cを水平方向に対して約45度の角度で起した姿勢となっているため、遊技領域3を流下してきた遊技球は、開閉部材76,83の内側面76c,83cに受け止められて、第2始動口51bに入賞可能である。なお、第2始動口51bの開放状態では、開閉部材76,83の内側面76c,83cに受け止められた遊技球は、第2球通路部69へと転動していく。
【0032】
また、各開閉部材76,83は、図3,4に示すように、挿通孔77,84より内側となる位置に、後面76d,83dから後方へ延設された連繋軸78,85を備えている。連繋軸78,85は、取着基板部48に形成された入賞球通し孔50の左端又は右端から後方へ突出して、後述する連繋部材122と係合する。
【0033】
後方延設部93は、左側壁部94、右側壁部95、下壁部98、及び上壁部100を備えている。左側壁部94、右側壁部95、下壁部98、及び上壁部100は、取着基板部48の入賞球通し孔50を囲むように取着基板部48の裏面48bから後方へ延設されている。左側壁部94及び右側壁部95は、ホルダ部材102を後方から取り付けてねじ固定するためのねじ孔部96を有している。また、左側壁部94及び右側壁部95は、ねじ孔部96の下方に、後述する連繋部材122を揺動可能に軸支する軸支部97を有している。下壁部98は、上面98aが、取着基板部48の入賞球通し孔50を通って下部球受部64の第2球通路部69と連通する遊技球通路(以下「第3球通路部99」という)を形成している。なお、上壁部100に、上述した上部球受部56の後方桶部59が形成されている。
【0034】
ホルダ部材102は、装飾部材46に対して後方から取り着けられるもので、左右に形成されたフランジ部103を利用して、後方延設部93のねじ孔部96にねじ固定される。ホルダ部材102の上段部102aには、第1球通路部60と連通する第4球通路部104が形成されている。ホルダ部材102の中段部102bには、後述するソレノイド112を嵌めて固着させるソレノイドホルダ105が形成されている。ホルダ部材102の下段部102cには、第2始動口SW(遊技球検知器に相当する)54bを嵌合させるスイッチホルダ106が形成されている。
【0035】
第2始動口SW54bは、入賞球通し孔50を通過してきた遊技球を検出し、検出信号をメイン制御基板20(図8参照)に出力するもので、遊技球が通過可能な検知孔部55を有し、遊技球が検知孔部55を通過したとき遊技球を検知する。この第2始動口SW54bは、検知孔部55側をスイッチホルダ106に嵌合させ、検知孔部55と反対側を下壁部98の下方に配置させて組み付けられる(図6(a)参照)。
【0036】
図3から5に示すように、ソレノイド112は、略直方体のソレノイド本体(本体部に相当する)113と、ソレノイド本体113に対して、前後に移動可能なプランジャー(直動部材に相当する)114とを備えている。なお、図5は、ソレノイド112に、後述するプランジャーカバー135、摺動部材116、第1圧縮コイルばね118、第2圧縮コイルばね119、連繋部材122、およびシャッター片142を組み付けた状態を示す要部斜視図である。ソレノイド本体113は、メイン制御基板20(図8参照)による通電制御により磁力を発生させて、プランジャー114を移動させる。プランジャー114は、小径の軸形状とされた軸部114aと、軸部114aより大径の円盤形状とされた先端部114bから構成されている。
【0037】
プランジャー114の先端部114bには、合成樹脂製のプランジャーカバー135が係着される。プランジャーカバー135は、正面視略半円形状とされ、プランジャー114の先端部114bの略上半分を内部に収納可能な嵌合部136を有している。プランジャーカバー135は、この嵌合部136にプランジャー114の先端部114bを嵌合させて、プランジャー114の先端部114bに係着される。また、プランジャーカバー135は、左下端及び右下端に、左右方向に沿って穿設された軸孔137を有している。軸孔137には、後述するシャッター片142が揺動自在に軸支される。
【0038】
プランジャー114の軸部114aには、この軸部114aに嵌めるための嵌着部116aを備えた摺動部材116が、摺動自在に嵌められる。摺動部材116は、前後方向を薄肉とする略直方体形状の部材で、仮想鉛直面に沿う外周部分に係合溝116bが形成されている。この係合溝116bには、後述する連繋部材122の係合軸125,130が左右両側から摺動部材116を挟むように係合する。
【0039】
また、プランジャー114の軸部114aには、摺動部材116とソレノイド本体113との間に第1圧縮コイルばね(第1弾性部材に相当する)118が装着され、摺動部材116とプランジャー114の先端部114bとの間に、第1圧縮コイルばね118よりも復元力が弱い第2圧縮コイルばね(第2弾性部材に相当する)119が装着される。第1圧縮コイルばね118は、常時、摺動部材116及びプランジャー114を前方へ向けて押し出すよう付勢する。第2圧縮コイルばね119は、常時、プランジャー114を前方へ向けて押し出すよう付勢するが、第1圧縮コイルばね118と比べて復元力が小さく、また、ソレノイド本体113から突出するプランジャー114の突出長さは、両圧縮コイルばね118,119が復元できるほど長くないため、第2圧縮コイルばね119は、第1圧縮コイルばね118により前方へ付勢される摺動部材116によって、摺動部材116とプランジャー114の先端部114bとの間で圧縮される(図6(a)参照)。なお、ソレノイド112が作動される(励磁される)と、プランジャー114は、第1圧縮コイルばね118の付勢力に抗して後方へ移動する。
【0040】
連繋部材122は、ソレノイド112と開閉部材76,83とを繋ぐもので、前端部124が上下の二股状(右側面視略コ字形状)に形成された左アーム部123と、左アーム部123と同様に前端部129が上下の二股状(右側面視略コ字形状)に形成された右アーム部128と、両アーム部123,128を互いの内側面123a,128a側で連結する連結軸部133とを備えている。連結軸部133は、両アーム部123,128の内側面123a,128aの後部から水平方向に沿って延設されている。なお、各部材が組み付けられた状態(図2に示す状態)の始動入賞装置5においては、対向している両アーム部123,128の間には、上述した後方延設部93に形成された第3球通路部99が位置することになる。
【0041】
そして、左アーム部123の前端部124には、左開閉部材76の連繋軸78が突入し係合され、右アーム部128の前端部129には、右開閉部材83の連繋軸85が突入し係合される。また、両アーム部123,128の内側面123a,128aにおける連結軸部133の上方には、内側に向かって水平方向に沿って突出した係合軸125,130が形成されている。左アーム部123の係合軸125は、摺動部材116の係合溝116bに左側から係合し、右アーム部128の係合軸130は、摺動部材116の係合溝116bに右側から係合する。また、両アーム部123,128の外側面123b,128bの後部には、装飾部材46の左側壁部94及び右側壁部95に形成された軸支部97に軸支される揺動軸126,131が、左右方向に沿って突設されている。揺動軸126,131は、装飾部材46にホルダ部材102を組み付ける際、装飾部材46とホルダ部材102の間に回動可能に挟持される。なお、各部材が組み付けられた状態の始動入賞装置5において、連繋部材122は、ソレノイド112の動作に応じて、左右方向に沿う揺動軸126,131を中心として前後に揺動する(図6(a)(b)参照)。これにより、開閉部材76,83の連繋軸78,85が上下されるため、開閉部材76,83は、前後方向に沿う揺動軸66,66を中心として左右に揺動して、第2始動口51bを開閉することとなる。
【0042】
シャッター片(規制部材に相当)142は、略平板形状とされ、左側面及び右側面の上部に、左右方向に沿って突設された回動軸部144を有し、この回動軸部144を、プランジャーカバー135の軸孔137に内側から挿通させて、プランジャーカバー135に回動可能に軸支される。シャッター片142の上部143は、プランジャー114の先端部114bの下端形状に合わせて、下方に向けて円弧形状に切り欠かれている。また、シャッター片142は、図6(a)に示すように、ソレノイド112の非作動時は、後述する水平突出部108の前端部109によって、回動軸部144の形成されている上部143からその反対側となる下部145に向かって徐々に前方へ突出する姿勢(仮想鉛直面に対するシャッター片142の後面142aの傾斜角が約45度の姿勢)に支持されている。この状態では、シャッター片142の下部145の前面145aは、鉛直方向に略沿った状態にあり、取着基板部48の入賞球通し孔50に後方から臨んで、遊技球の通過を規制している。これにより、開閉部材76,83の強制開放によって第2始動口51bに入賞した遊技球は、第2球通路部69から第3球通路部99へ転動していくのをせき止められることとなる。
【0043】
ここで、図6(a)に示すように、ホルダ部材102は、ソレノイドホルダ105を形成する右側面視略L字形状の中板部107を有している。中板部107は、水平突出部108及び鉛直部110から構成され、水平突出部108の後方側の下面108aおよび鉛直部110の前面110aは、第3球通路部99を転動してきた遊技球を、第2始動口SW54bの検知孔部55に向けて案内するガイド面となっている。水平突出部108は、前後方向の長さ寸法をソレノイド112の前後方向の長さ寸法と同程度としている。水平突出部108の上面108bの後方側には、ソレノイド本体113が載置され固定される。水平突出部108の上面108bの前方側は、ソレノイド112が作動してプランジャー114が後方へ移動したときに、プランジャーカバー135に軸支されているシャッター片142が乗り上げる係合面となっている。さらに、水平突出部108の前端面108cは、ソレノイド112が作動したときにシャッター片142が乗り上げ易いよう、上方から下方にかけて前方へ傾斜した傾斜面となっている。これにより、ソレノイド112が作動すると、シャッター片142は、後面142aを水平突出部108の前端面108cに沿って滑らせ、水平突出部108の上面108bの前方側に乗るようにして、左右方向に沿った回動軸部144を中心に上方へ回動し、入賞球通し孔50の通過規制を解除して、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へと転動できるようにする(図6(b)参照)。
【0044】
(2)パチンコ遊技機の電気系統
図8は、実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統を示すブロック図である。図8に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、メイン制御基板(遊技制御基板)20、払出制御基板21、サブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM63内に、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
【0045】
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、開閉部材76,83を駆動するソレノイド112、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、開閉部材73を駆動する大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図8の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
【0046】
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
【0047】
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ17及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
【0048】
(3)遊技状態等の説明
次に、実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態等について説明する。実施形態のパチンコ遊技機1は、通常遊技状態、時短遊技状態、確変遊技状態、潜確遊技状態の4つの遊技状態と、大当たり遊技、小当たり遊技とを有している。
【0049】
時短遊技状態とは、通常遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、開閉部材76,83の開放時間が0.15秒、開閉部材76,83の開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、開閉部材76,83の開放時間が1.80秒、開閉部材76,83の開放回数が3回となっている。
【0050】
確変遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすく、かつ第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、大当たり当選確率が約1/300であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、確変遊技状態では、時短遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、開閉部材76,83の開放時間が1.80秒、開閉部材76,83の開放回数が3回となっている。
【0051】
潜確遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすい状態をいい、潜確遊技状態では、確変遊技状態と同様、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、潜確遊技状態では、通常遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、開閉部材76,83の開放時間が0.15秒、開閉部材76,83の開放回数が1回となっている。
【0052】
そして、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態であり、大当たりが発生すれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技を経て、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。大当たりの種類には、ほとんど賞球の獲得が望めない短当たりとして、2R(ラウンド)潜確大当たりがあり、多くの賞球を獲得可能な長当たりとして、15R(ラウンド)確変大当たり、15R(ラウンド)通常大当たりがある。また、これら大当たりの他に小当たりがある。なお、ラウンドとは大入賞口71の開放期間を言う。2R潜確大当たりでは、大入賞口71を極短時間2回開放する大当たり遊技を行った後、潜確遊技状態に遷移し、15R確変大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、確変遊技状態に遷移し、15R通常大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、時短遊技状態に遷移する。また、小当たりは、見かけ上2R潜確大当たりと変わらない動作をするもので、大入賞口71を極短時間2回開放する小当たり遊技を行うが、遊技状態は遷移しない。なお、時短遊技状態において途中で大当たりが発生することなく100回の特別図柄変動が行われたときも、通常遊技状態に遷移する。
【0053】
なお、大当たり及び小当たりの抽選は大当たり乱数を用いて行われ、大当たりに当選した場合に当選した大当たりがいずれの種類の大当たりとなるかの抽選は、大当たり図柄乱数を用いて行われる。大当たり乱数は、図9(a)(b)に示すように、0〜299までの範囲で値をとることとされ、通常遊技状態時又は時短遊技状態時では、大当たりに当選する割合が1/300となるよう大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。また、大当たり乱数は、確変遊技状態時又は潜確遊技状態時では、大当たりに当選する割合が10/300となるよう、大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。大当たり図柄乱数は、図9(c)(d)に示すように、0〜249までの範囲で値をとることとされ、第1始動口51aへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が75/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が75/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められ、第2始動口51bへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が125/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が25/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められており、第1始動口51aへ入賞したときよりも長当たりに当選する割合が高くなっている。
【0054】
(4)パチンコ遊技機の動作
次に、図10〜17に基づいてメイン制御基板20の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
【0055】
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図10に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たり図柄の種類を決めるための図柄乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる当たり乱数等を更新する乱数更新処理を行う(ステップS101)。
【0056】
次に、メイン制御基板20は、後述する始動口SW処理(S102)、ゲートSW処理(S103)の他、大入賞口SW処理(S104)及び普通入賞口SW処理(S105)を行う。大入賞口SW処理は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技中又は小当たり遊技中(後述する当たり遊技フラグがON)か否かを判定して、大当たり遊技中又は小当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値Cに1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理は、普通入賞口SW91がONしていれば普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
【0057】
続いて、メイン制御基板20は、後述する特別図柄処理(S106)、普通図柄処理(S107)、大入賞口処理(S108)、及び、電チュー処理(S109)を行う。そして、メイン制御基板20は、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S110)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S111)を行う。
【0058】
[始動口SW処理]図11に示すように、始動口SW処理では、メイン制御基板20は第1始動口SW54aがONしたか否かを判定し(S201)、ONしていなければステップS206に進み、ONしていれば、第1保留記憶部27aに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S202)。そして、4未満でない場合はステップS206に進み、4未満の場合は、U1に1を加算して(S203)、大当たり乱数を取得して第1保留記憶部27aに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S204)、第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。
【0059】
ステップS206では、メイン制御基板20は第2始動口SW54bがONしたか否かを判定し、ONしていなければ始動口SW処理を終え、ONしていれば、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第2始動口保留カウンタの値U2が、上限値の4未満か否かを判定する(S207)。そして、4未満でない場合は始動口SW処理を終え、4未満の場合は、U2に1を加算して(S208)、大当たり乱数を取得して第2保留記憶部27bに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S209)、第2保留数増加コマンドをセットして(S210)、始動口SW処理を終える。
【0060】
[ゲートSW処理]図12に示すように、ゲートSW処理では、メイン制御基板20はゲートSW81がONしたか否かを判定し(S301)、ONしていなければゲートSW処理を終え、ONしていれば、ゲート保留カウンタの値Gが上限値の4未満か否かを判定する(S302)。そして、4未満でない場合はゲートSW処理を終え、4未満であればGに1を加算して(S303)、普通図柄抽選に用いる当たり乱数を取得して所定記憶域に格納し(S304)、ゲートSW処理を終える。
【0061】
[特別図柄処理]図13に示すように、特別図柄処理では、メイン制御基板20は、当たり遊技中か否かを示す当たり遊技フラグ(即ち、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、又は、短当たり遊技フラグ)がONか否かを判定し(S401)、ONであれば特別図柄処理を終え、ONでなければ特別図柄の変動中か否かを判定する(S402)。そして、変動中であればステップS411に進み、変動中でなければ、第2始動口保留カウンタの値U2又は第1始動口保留カウンタの値U1が1以上か否かを判定する(S403,S405)。そして、U2又はU1が1以上でなければ特別図柄処理を終え、U2又はU1が1以上であればU2又はU1から1を減算して(S404,S406)、ステップS204又はS209で格納しておいた大当たり乱数を用いて大当たり判定処理を行う(S407)。
【0062】
大当たり判定処理(S407)では、図14に示すように、メイン制御基板20は、大当たり判定用テーブルを用いてステップS204又はS209で格納した大当たり乱数が大当たりか否かの判定を行い(S501)、大当たりであれば大当たり図柄乱数がどの大当たり図柄を示すものかを判定して、その大当たり図柄をセットし(S502でYES,S503,S504)、小当たりであれば小当たり図柄をセットし(S502でNO,S505でYES,S506)、大当たりでも小当たりでもなければハズレ図柄をセットする(S505でNO,S507)。なお、大当たり図柄によって、大当たりの種類が決まる(図9(c)(d)参照)。
【0063】
続いて、メイン制御基板20は、図13に示すように、変動パターン選択処理を行う(S408)。変動パターン選択処理では、直前の大当たり判定処理において大当たりと判定していれば、乱数値と変動パターンとの対応を示す変動パターンテーブルとして大当たり用テーブルを参照し、小当たりと判定していれば小当たり用テーブルを参照し、大当たりでも小当たりでもないと判定していればハズレ用テーブルを参照して、ステップS204又はS209で格納しておいた変動パターン乱数がいずれの変動パターンを示すかの判定を行い、変動パターンをセットする。なお、変動パターンには変動時間を示す情報が含まれている。
【0064】
その後、メイン制御基板20は、第1特別図柄表示器14aまたは第2特別図柄表示器14bにおいて特別図柄の変動を開始し(S409)、変動開始コマンドをセットして(S410)、ステップS411に進む。ステップS411では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ特別図柄処理を終えるが、経過していれば特別図柄の変動を停止して、大当たり判定処理でセットされた図柄で特別図柄を確定表示し(S412)、変動停止コマンドをセットする(S413)。そして、停止中処理(S414)として、各種遊技フラグ(時短遊技フラグ、確変遊技フラグ、潜確遊技フラグ、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグ)のON/OFFに関する処理をし、大当たり又は小当たりであれば、オープニングを開始するとともに、オープニングコマンドをセットして、特別図柄処理を終える。
【0065】
[普通図柄処理]図15に示すように、普通図柄処理では、メイン制御基板20は、補助遊技中か否かを示す補助遊技フラグがONか否かを判定し(S601)、ONであれば普通図柄処理を終え、ONでなければ普通図柄の変動中か否かを判定する(S602)。そして、変動中の場合にはステップS609に進み、変動中でない場合には、ゲート保留カウンタの値Gが1以上か否かを判定し(S603)、Gが1以上でなければ普通図柄処理を終え、Gが1以上であればGから1を減算して(S604)、ステップS304で格納しておいた当たり乱数が当たりか否かを判定して(S605)、停止図柄を選択する(S606)。そして、遊技状態に応じた変動時間(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば4秒、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.5秒)を選択し(S607)、普通図柄の変動を開始して(S608)、ステップS609に進む。
【0066】
ステップS609では、メイン制御基板20は、変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ普通図柄処理を終えるが、経過していれば、普通図柄の変動を停止して停止図柄を表示する(S610)。そして、停止図柄が当たりを示す図柄であれば(S611でYES)、補助遊技フラグをONし(S612)、ハズレを示す図柄であれば(S611でNO)、普通図柄処理を終える。
【0067】
[大入賞口処理]図16に示すように、大入賞口処理では、メイン制御基板20は、まず、当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S701)、ONでなければ大入賞口処理を終えるが、ONであれば、オープニング中であるか否かを判定する(S702)。オープニングとは、大当たり遊技の開始から第1ラウンドの開始までの期間をいう。メイン制御基板20は、オープニング中と判定した場合には、オープニング時間が経過したか否かを判定し(S703)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば、大当たりの種類に応じた最大R数(ラウンド数)と作動パターンとを設定する(S704)。そして、入賞個数カウンタの値Cをゼロクリアし(S705)、ラウンドカウンタの値Rに1を加算し(S706)、大入賞口71の作動(開放)を開始する(S707)。
【0068】
次に、メイン制御基板20は、大入賞口71の作動時間(開放時間。例えば、長当たりであれば29.5秒、短当たりまたは小当たりであれば0.1秒等)が経過したか否かを判定し(S708)、経過していれば大入賞口71を閉口し(S710)、経過していなければ、入賞個数カウンタの値Cが規定個数であるか否かを判定して(S709)、規定個数でなければ大入賞口処理を終え、規定個数であれば大入賞口71を閉口する(S710)。
【0069】
そして、メイン制御基板20は、ラウンドカウンタの値Rが最大R数であるか否かを判定し(S711)、最大R数でなければ大入賞口処理を終え、最大R数であれば、エンディングを開始して(S712)、エンディングコマンドをセットし(S713)、ラウンドカウンタの値Rをゼロクリアする(S714)。なお、エンディングとは、最終ラウンドの終了から大当たり遊技の終了までの期間をいう。次に、メイン制御基板20は、エンディング時間が経過したか否かを判定し(S717)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば遊技状態設定処理を行って(S718)、当たり遊技フラグをOFFする(S719)。遊技状態設定処理では、メイン制御基板20は、今終了した当たり遊技が、小当たりであれば、遊技状態を遷移させないので遊技状態設定処理を終え、15R通常大当たりであれば、時短遊技状態に遷移させるため時短遊技フラグをONし、15R確変大当たりであれば、確変遊技状態に遷移させるため確変遊技フラグをONし、2R潜確大当たりであれば、潜確遊技状態に遷移させるため潜確遊技フラグをONする。
【0070】
一方、メイン制御基板20は、ステップS702においてオープニング中でないと判定したときは、大入賞口71がエンディング中であるか否かを判定し(S715)、エンディング中であればステップS717に移行し、エンディング中でなければ大入賞口71の作動中か否かを判定する(S716)。そして、作動中でなければステップS705に移行し、作動中であればステップS708に移行する。
【0071】
[電チュー処理]図17に示すように、電チュー処理では、メイン制御基板20は、補助遊技フラグがONか否かを判定し(S801)、ONでないと判定すれば電チュー処理を終える。一方、ONと判定すれば、開閉部材76,83、すなわちソレノイド112が作動中か否かを判定し(S802)、作動中でなければ、現在の遊技状態に応じた開閉部材76,83の作動パターン(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば0.15秒の開放を1回、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.80秒の開放を3回)を選択して(S803)、その作動パターンに則った作動を開始する(S804)。次に、メイン制御基板20は、作動時間(複数の開放を含む作動パターンでは、開放間のインターバル時間を含む。)が経過したか否かを判定し(S805)、経過していなければ電チュー処理を終え、経過していれば補助遊技フラグをOFFして(S806)、電チュー処理を終える。
【0072】
(5)始動入賞装置5の動作
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機1の始動入賞装置5の動作について説明する。まず、正常に遊技されている場合の動作について説明し、続いて、開閉部材76,83を強制開放された場合の動作について説明する。
【0073】
(A)正常に遊技されている場合の動作
遊技者は、ハンドル11を操作して、発射した遊技球が遊技領域3の左側部分3a(図1参照)を転動落下するよう遊技する。遊技領域3の左側部分3aを転動落下していく遊技球は、ゲート8を通過し得る。遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20は、ゲート8を通過した遊技球の保留個数が4個未満であることを条件として当たり乱数を取得し(S301〜S304参照)、当たり乱数判定処理を行う(S605参照)。当たり乱数判定処理において、当たり乱数が所定の当たり乱数値に該当すると判定された場合、普通図柄表示器13において普通図柄を変動表示した後、普通図柄を当たり図柄で停止させて、補助遊技を実行する(S608〜S612、及び電チュー処理参照)。
【0074】
通常遊技状態中又は潜確遊技状態中の補助遊技(電チュー処理参照)であれば、メイン制御基板20は、ソレノイド112に対し、1回が0.15秒の通電を1回行う(S804参照)。ソレノイド112が通電されると、開閉部材76,83は、図2に二点鎖線で示すように開いた状態となるが、開閉部材76,83の開放時間はわずか0.15秒と短いので、遊技球の第2始動口51bへの入賞は殆ど見込めない。
【0075】
これに対して、時短遊技状態中又は確変遊技状態中の補助遊技(電チュー処理参照)であれば、メイン制御基板20は、ソレノイド112に対し、1回が1.80秒の通電を3回行う(S804参照)。この場合は、開閉部材76,83の開放時間が1.80秒と長く、また開放回数も3回あるので、遊技球の第2始動口51bへの入賞が十分に見込める。
【0076】
遊技球が第2始動口51bへ入賞すると、図示しない払出装置により所定数の賞球(例えば、4個の賞球)が払出されるとともに、メイン制御基板20は、第2始動口51bへ入賞した遊技球の保留個数が4個未満であることを条件として大当たり乱数を含む各種乱数を取得し(S206〜S209参照)、大当たり判定処理を行う(S407参照)。なお、遊技球が第1始動口51aに入賞した場合も、同様に、メイン制御基板20は大当たり乱数等を取得して(S201〜S204参照)、大当たり判定処理を行う(S407参照)。大当たり判定処理において上記取得した大当たり乱数が所定の大当たり乱数値に該当すると判定された場合、第2特別図柄表示器14b(第1始動口51aへの入賞の基づくときは第1特別図柄表示器14a)において特別図柄を変動表示するとともに表示部4aにおいて装飾図柄の変動表示及びリーチ演出等の演出を行った後、特別図柄をセットされた大当たり図柄で変動停止させて表示部4aに大当たりが発生した旨の表示をし、大当たり遊技(大入賞口処理参照)を実行する。
【0077】
大当たり遊技が実行されると、大入賞口71が所定ラウンド数だけ間欠的に開放され、開放された大入賞口71へ遊技球が入賞すると、所定数(例えば13個)の賞球が払い出される。例えば、15R通常大当たりに当選した場合には、大入賞口71が15ラウンド間欠的に開放される(S704〜S711参照)。その後は、時短遊技状態に移行する(S718参照)。
【0078】
ここで、時短遊技状態中に頻繁に開放される開閉部材76,83の開放動作について図6及び7に基づいて詳述する。なお、図6及び7には左開閉部材76のみを示すが、右開閉部材83は、左開閉部材76と左右対称に動作する。これは、始動入賞装置5に設けられている他の部材(例えば、連繋部材122等)の説明においても同様である。図6(a)に示すように、ソレノイド112が非励磁状態にあるとき、開閉部材76,83は、第2始動口51bを閉じた状態になっている。すなわち、プランジャー114は、前方へ突出した状態にあり、連繋部材122は、前端部124,129を下方へ傾けた状態にある。このため、開閉部材76,83は、連繋部材122における左アーム部123の前端部124と右アーム部128の前端部129とによって、左開閉部材76の連繋軸78と右開閉部材83の連繋軸85とが共に押し下げられて、内側面76c,83cを鉛直面に沿わせた閉成状態となっている。
【0079】
また、このときは、プランジャー114が前方へ突出しているため、プランジャーカバー135に軸支されているシャッター片142は、下部145がその前面145aを取着基板部48の入賞球通し孔50に後方から臨ませて、遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へ転動するのをせき止め可能な状態にある。なお、第2圧縮コイルばね119は、プランジャーカバー135と摺動部材116との間で圧縮されている。
【0080】
ソレノイド112が励磁されると、図6(b)に示すように、開閉部材76,83は、第2始動口51bを開放した状態に変位する。すなわち、ソレノイド112が励磁されると、プランジャー114は、ソレノイド本体113に吸着されて後方へ移動し、これに伴って、第2圧縮コイルばね119と摺動部材116とが、プランジャーカバー135に前端側をひっかけられて後方へ移動するので、連繋部材122は、左右方向に沿った揺動軸126,131を中心として前端部124,129を上方へ上げるように揺動する。これにより、連繋部材122の左アーム部123の前端部124と右アーム部128の前端部129とによって、左開閉部材76の連繋軸78と右開閉部材83の連繋軸85とが持ち上げられるため、開閉部材76,83は、互いの先端部76b,83bを離間させる方向に揺動して、第2始動口51bを開放する。
【0081】
また、このとき、プランジャー114が後方へ移動するのに伴って、プランジャーカバー135に軸支されているシャッター片142は、後面142aを水平突出部108の前端部109に摺接させて、水平方向に沿う回動軸部144を中心として上方へ向かって回動する。これにより、シャッター片142は、水平突出部108の上面108bに載り上げ、取着基板部48における入賞球通し孔50の通過規制を解除した状態となり、第2始動口51bに入賞した遊技球は第2球通路部69から第3球通路部99へ転動できるようになる。なお、第2球通路部69から第3球通路部99へ転動した遊技球は、図7(a)に示すように、検知孔部55を通過して第2始動口SW54bに検知され、下方へ排出される。
【0082】
ソレノイド112が非励磁状態に戻ると、第1圧縮コイルばね118による前方への付勢力により、摺動部材116及び摺動部材116に第2圧縮コイルばね119を介して先端部114bを押されるプランジャー114は、ともに初期位置に復帰し、これに伴って、シャッター片142は、入賞球通し孔50を後方からせき止めた状態に戻る(図6(a)参照)。
【0083】
(B)開閉部材76,83が強制開放された場合の動作
次に不正により強制的に開閉部材76,83を開放される場合について説明する。まず、ソレノイド112の非作動時(開閉部材76,83の閉塞時)に開閉部材が強制的に開放される場合について説明する。図6(a)に示す閉塞状態の開閉部材76,83が、ソレノイド112が作動されていないのに、ワイヤー等を用いて強制的に開放された場合、図7(b)に示すように、開閉部材76,83の連繋軸78,85と係合している連繋部材122は、左右方向に沿う揺動軸126,131を揺動中心として上方へ向かって揺動し、これにより、連繋部材122と係合している摺動部材116は、第1圧縮コイルばね118の付勢力に抗して、プランジャー114の軸部114aに沿って後方へ摺動する。
【0084】
しかし、このように開閉部材76,83を強制的に開放されても、あくまでソレノイド112は非作動状態であるため、プランジャー114は前方へ突出した状態のまま変位しない。したがって、シャッター片142は、図7(b)に示すように、入賞球通し孔50を後方から塞いでいる状態にある。このため、強制的に第2始動口51bを開放させて遊技球を入賞させても、第2始動口51bへの入賞球は、シャッター片142によりせき止められることとなって入賞球通し孔50を通過することができず、第2始動口SW54bに検出されない。よって、大当たり乱数の取得や賞球は行われることがないため、このような第2始動口51bの強制開放を行っても不正行為者に利益はない。よって、実施形態のパチンコ遊技機1によれば、このような不正行為が行われるのを抑制することができる。
【0085】
次に、ソレノイド112の作動時(開閉部材76,83の開放時)に開閉部材76,83が強制的に開放状態に保持される場合について説明する。図6(b)に示す開放状態の開閉部材76,83がワイヤー等を用いて強制的に開放状態のまま保持されてしまうと、ソレノイド112が非作動状態となってプランジャー114に対する吸着力がなくなっても、第1圧縮コイルばね118は圧縮されたまま復帰しない。すなわち、開閉部材76,83が強制的に開放状態に保持されることによって、開閉部材76,83と連繋している連繋部材122は上方へ揺動した姿勢で保持され、連繋部材122と係合している摺動部材116は後方位置に保持されるので、第1圧縮コイルばね118は圧縮されたまま復帰できない。
【0086】
しかし、プランジャー114と摺動部材116とは互いに摺動自在であり、プランジャーカバー135と摺動部材116との間には圧縮された状態の第2圧縮コイルばね119が装着されているため、第2圧縮コイルばね119の復元力により、プランジャー114だけは前方(初期位置)へ復帰する。したがって、開放状態の時を狙って開閉部材76,83が強制的に開放状態に保持されても、ソレノイド112の通電が終われば、図7(b)に示すように、プランジャー114が初期位置に復帰して、入賞球通し孔50がシャッター片142によって閉塞されるので、強制的に第2始動口51bの開放を保持して遊技球を入賞させても、遊技球はシャッター片142によりせき止められて入賞球通し孔50を通過することができず、第2始動口SW54bに検出されない。よって、大当たり乱数の取得や賞球は行われることがないため、このような第2始動口51bの強制開放を行っても不正行為者に利益はない。よって、実施形態のパチンコ遊技機1によれば、このような不正行為が行われるのを抑制することができる。
【0087】
(6)実施形態の効果
以上説明したように、実施形態のパチンコ遊技機1では、始動入賞装置5は、第2始動口51bに入賞した遊技球を第2始動口SW54bに至るまでの間でせき止め可能なシャッター片142を備え、シャッター片142は、ソレノイド112によって駆動され、ソレノイド112の非作動時、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へと転動するのを規制し、ソレノイド112が作動されると、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へと転動するのを許容する。
【0088】
したがって、開閉部材76,83を強制的に開放状態にして第2始動口51bに遊技球を入賞させても、ソレノイド112が作動していなければ、入賞球は、第2始動口SW54bに検出される前に第2球通路部69上にせき止められて第2始動口SW54bに検出されないため、その遊技球が入賞球としてカウントされず大当たり乱数の取得や賞球は行われない。したがって、開閉部材76,83の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がないため、開閉部材76,83を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を防止することができる。
【0089】
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、摺動部材116が前進後退するプランジャー114に嵌着されて、開閉部材76,83は、摺動部材116が前方位置(図6(a)参照)にあるとき第2始動口51bを閉塞し、摺動部材116が後方位置(図6(b)参照)にあるとき第2始動口51bを開放するよう、連繋部材122を介して摺動部材116に連結されている。また、シャッター片142は、プランジャー114が前進位置(図6(a)参照)にあるとき遊技球が第2球通路部69を通過するのを規制し、プランジャー114が後退位置(図6(b)参照)にあるとき遊技球が第2球通路部69を通過するのを許容するよう、プランジャーカバー135を介してプランジャー114に連結されている。そして、ソレノイド112の非作動時、摺動部材116の位置に関わらずプランジャー114が前進位置にあり(図6(a)及び図7(b)参照)、ソレノイド112の作動時、プランジャー114が後退するとともに摺動部材116が後方位置に移動する(図6(b)参照)。
【0090】
したがって、ソレノイド112が作動していなければ、摺動部材116の位置に関わらず、言い換えれば、開閉部材76,83が開いているか閉じているかに関わらず、プランジャー114は前進位置にあり、シャッター片142は、入賞球を第2球通路部69上にせき止め可能な状態にある(図6(a)及び図7(b)参照)。よって、ソレノイド112の作動時でなければ、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2始動口SW54bに検知されることはないため、開閉部材76,83の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がない。よって、開閉部材76,83を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を防止することができる。
【0091】
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、プランジャー114は、摺動部材116とソレノイド本体113との間に、摺動部材116を前方位置に付勢するとともに摺動部材116を介してプランジャー114を前進位置に付勢する第1圧縮コイルばね118を有し、摺動部材116とプランジャー114の先端部114bとの間に、プランジャー114を前進位置へ付勢する第2圧縮コイルばね119を有している。そして、第2圧縮コイルばね119には、第1圧縮コイルばね118より復元力の小さいばねが用いられている。
【0092】
したがって、ソレノイド112が非作動であるときは、プランジャー114は、第1圧縮コイルばね118及び第2圧縮コイルばね119に付勢されて前進位置にあり、摺動部材116も、第2圧縮コイルばね119の復元力が第1圧縮コイルばね118の復元力よりも小さいことから、第1圧縮コイルばね118に付勢されて前方位置にある(図6(a)参照)。そして、この状態から、開閉部材76,83が強制的に開放されると、摺動部材116は第1圧縮コイルばね118の付勢力に抗して後退するが、プランジャー114は第2圧縮コイルばね119に付勢されているので前進位置のまま変位しない(図7(b)参照)。また、ソレノイド112が作動すれば、プランジャー114及び摺動部材116は、第1圧縮コイルばね118及び第2圧縮コイルばね119の付勢力に抗して後方に移動し、開閉部材76,83は第2始動口51bを開いた状態となる(図6(b)参照)。ここで、開閉部材76,83が第2始動口51bを開いた状態のまま強制的に保持されると、摺動部材116も後方位置に保持され、第1圧縮コイルばね118は復元不能となる。しかし、第2圧縮コイルばね118は復元可能であるため、ソレノイド112が非作動になれば、プランジャー114は第2弾性部材119により付勢されて前進位置に復帰する(図7(b)参照)。このように、実施形態のパチンコ遊技機1によれば、ソレノイド112が作動していなければ、プランジャー114は必ず前進位置にあり、シャッター片142によって入賞球が第2球通路部69上にせき止められるから、開閉部材76,83を強制的に開放して遊技球を入賞させても、入賞球は第2始動口SW54bに検知されない。したがって、開閉部材76,83の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がないため、開閉部材76,83を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を防止することができる。
【0093】
また、実施形態のパチンコ遊技機1における始動入賞装置5は、従来から利用されている始動入賞装置5に、プランジャーカバー135、シャッター片142、第2圧縮コイルばね119、および摺動部材116を組み付けて、連繋部材122の係合軸125,131を摺動部材116の係合溝116bに係合させた簡易な構成となっている。すなわち、従来の始動入賞装置5に対して複雑な加工を施すことなく、従来の始動入賞装置5を利用して製造することができるので、製造コストを低廉に抑えながら、開閉部材76,83の強制開放に対して対策の施された始動入賞装置5を構成することができる。
【0094】
また、実施形態のパチンコ遊技機1は、連繋部材122を固定することによって開閉部材76,83を開放不能に保持するのではなく、連繋部材122とは別の部材(シャッター片142)を用いて第2始動口51b内における遊技球の転動を規制して、強制開放された第2始動口51bに入賞した遊技球が検出されるのを規制している。よって、第2始動口51bを強制開放する不正行為に対処した始動入賞装置5を設計するに際して、連繋部材122の大きさや形状の影響を受けたり、ソレノイド112の配置位置(プランジャー114と開閉部材76,83との離隔距離)の影響を受けたりすることなく、シャッター片142を適宜設計するだけで、既存の始動入賞装置5を用いて設計することができる。
【0095】
2.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
【0096】
実施形態では、始動入賞装置5は、上下に2つの始動口51a、51bを有する装置として構成したが、上側の第1始動口51aを有さない構成、すなわち、上部球受部56を有さない構成としてもよい。
【0097】
また、実施形態では、本願発明に係る入賞装置を、第2始動口51bを有する始動入賞装置5として説明したが、大入賞口を有する大入賞装置として利用しても良い。この場合、大入賞装置は、上部球受部56を塞いで、又は上部球受部56を設けずに構成して、チューリップ型の大入賞装置として構成する。なお、この場合、開閉部材を開く所定条件は、大当たり抽選の結果大当たり又は小当たりに当選することとなる。
【0098】
また、実施形態では、駆動源としてソレノイド112を用いて構成したが、電動モータとラックアンドピニオンの組み合わせ等、他の駆動源に変更して構成してもよい。なお、駆動源として、電動モータとラックアンドピニオンの組み合わせを用いる場合には、実施形態におけるプランジャー(直動部材)の役割をラックが行うので、ラックに摺動部材や圧縮コイルばねを装着して入賞装置を構成する。
【符号の説明】
【0099】
1…パチンコ遊技機
5…始動入賞装置
51b…第2始動口(入賞口)
54b…第2始動口SW(遊技球検知器)
69…第2球通路部
76…左開閉部材
83…右開閉部材
99…第3球通路部
112…ソレノイド(駆動源)
113…ソレノイド本体(本体部)
114…プランジャー(直動部材)
114b…プランジャーの先端部
116…摺動部材
118…第1圧縮コイルばね(第1弾性部材)
119…第2圧縮コイルばね(第2弾性部材)
142…シャッター片(規制部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関し、特に、入賞装置の開閉部材を強制的に開放させる行為に対して対策を施したパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機には、ソレノイドなどの駆動源により駆動される開閉部材を備え、開閉部材が入賞口を開閉することで、入賞口への遊技球の入賞を制御する入賞装置が設けられている。開閉部材は、初期状態では入賞口を閉塞した閉塞状態に有り、遊技中に所定条件を満たした場合に入賞口を開放した開放状態となる。開放された入賞口に入賞した遊技球は、入賞装置の内部に配設された遊技球検知器に検知される。パチンコ遊技機では、これに基づいて、大当たり抽選に用いる乱数の取得や所定個数の賞球を行っている。
【0003】
しかし、このような入賞装置に対して、パチンコ遊技機の隙間からワイヤー等を挿入して開閉部材に引っ掛け、開閉部材を強制的に開放状態にして入賞口に遊技球を入賞させる不正行為がなされている。そして、従来から、このような不正行為に対処した入賞装置として下記特許文献1に記載の入賞装置が知られている。
【0004】
特許文献1に記載の入賞装置は、開閉部材と、開閉部材を駆動するソレノイドと、ソレノイドと開閉部材を繋ぐ連繋部材(揺動クランク)とを備えて構成され、ソレノイドの非作動時、ソレノイドのプランジャーの先端部(プランジャーヘッド)が、揺動クランクと当接して揺動クランクの動きを規制することで、開閉部材の強制解放を防止する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】特開2008−48900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように構成された入賞装置では、ソレノイドが作動しておらず開閉部材が閉塞状態にあるときには、開閉部材をワイヤー等で引っ張っても強制的に開放状態にすることはできないが、ソレノイドが作動して開閉部材が開放状態となったときを狙って開閉部材をワイヤー等で引っ掛けてしまえば、開閉部材は閉塞状態に戻ることができなくなるため、強制的に開放状態にすることが可能であった。
【0007】
そこで本発明は、上記事情に鑑み、開閉部材を強制的に開放状態にしても駆動源の作動中でなければ入賞口に入賞した遊技球が検知されないようにし、もって開閉部材を強制的に開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパチンコ遊技機は、入賞口と、前記入賞口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を駆動する駆動源とを有する入賞装置であって、所定条件を満たすことにより前記駆動源が所定時間作動され、前記開閉部材が開いて遊技球の前記入賞口への入賞し易さが変化する入賞装置を備え、前記入賞装置は、前記入賞口に入賞した遊技球(以下「入賞球」という)を検知する遊技球検知器と、前記入賞球を前記遊技球検知器に至らせる球通路部と、を備えて構成され、前記入賞球が前記遊技球検知器によって検知されたことに基づいて大当たり抽選及び/又は所定個数の賞球がなされるパチンコ遊技機において、前記入賞装置は、前記駆動源によって駆動され、前記入賞球を前記遊技球検知器に至るまでの間でせき止め可能な規制部材を備え、前記規制部材は、前記駆動源の非作動時、遊技球が前記球通路部を通過するのを規制した状態にあり、前記駆動源が作動されると、遊技球が前記球通路部を通過するのを許容した状態となることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記駆動源は、前進後退可能な直動部材を備え、該直動部材には、当該直動部材に沿って摺動可能な摺動部材が嵌着され、前記開閉部材は、前記摺動部材が前方位置にあるとき前記入賞口を閉塞し、前記摺動部材が後方位置にあるとき前記入賞口を開放するよう、前記摺動部材に連結され、前記規制部材は、前記直動部材が前進位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを規制し、前記直動部材が後退位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを許容するよう、前記直動部材に連結され、前記駆動源の非作動時、前記摺動部材の位置に関わらず、前記直動部材は前進位置にあり、前記駆動源の作動時、前記直動部材が後退するとともに、前記摺動部材が後方位置に移動する構成とすることが望ましい。
【0010】
また本発明のパチンコ遊技機では、前記駆動源は、前記直動部材としてのプランジャーと、該プランジャーを励磁する本体部とを備えたソレノイドとされ、該プランジャーは、前記摺動部材と前記本体部との間に、前記摺動部材を前方位置に付勢するとともに前記摺動部材を介して当該プランジャーを前進位置に付勢する第1弾性部材を有し、前記摺動部材と当該プランジャーの先端部との間に、当該プランジャーを前進位置へ付勢する第2弾性部材を有し、前記第2弾性部材は、前記第1弾性部材より復元力の小さい弾性部材とされている構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパチンコ遊技機によれば、所定条件を満たして駆動源が作動し、これに基づいて開閉部材が開いた場合には、規制部材は球通路部の通過規制を解除した状態となる。そのため、入賞口に入賞した遊技球は球通路部を通過して遊技球検知器に検知される。これに対して、所定条件を満たしていないのにワイヤー等を用いて開閉部材を強制的に開放状態した場合には、駆動源が作動していないため、規制部材は球通路部の通過規制をしている状態にある。そのため、入賞口に遊技球を入賞させても、入賞球は、遊技球検知器に至る前に球通路部上でせき止められて遊技球検知器に検出されないため、その遊技球が入賞球としてカウントされず、大当たり抽選や賞球は行われない。したがって、開閉部材の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がないため、開閉部材を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】同パチンコ遊技機の備える始動入賞装置の斜視図である。
【図3】同パチンコ遊技機の備える始動入賞装置の正面側から見た分解斜視図である。
【図4】同パチンコ遊技機の備える始動入賞装置の背面側から見た分解斜視図である。
【図5】始動入賞装置が備えるソレノイドに、各部材を組み付けた状態を示す要部斜視図である。
【図6】(a)ソレノイドの非作動時であって、開閉部材が第2始動口を閉塞している状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)であり、(b)ソレノイドの作動時であって、開閉部材が第2始動口を開放している状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)である。
【図7】(a)ソレノイドの作動時であって、開閉部材が第2始動口を開放している状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)であり、(b)ソレノイドの非作動時であって、開閉部材が強制的に開かれたことにより第2始動口が開放されている状態の始動入賞装置を示す断面図(図2のI−I断面図)である。
【図8】同パチンコ遊技機の電気系統のブロック図である。
【図9】(a)は通常遊技状態又は時短遊技状態における大当たり乱数の判定テーブルを、(b)は確変遊技状態又は潜確遊技状態における大当たり乱数の判定テーブルを、(c)は第1始動口入賞により取得した図柄乱数の判定テーブルを、(d)は第2始動口入賞により取得した図柄乱数の判定テーブルを、それぞれ示す。
【図10】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【図11】始動口SW処理のフローチャートである。
【図12】ゲートSW処理のフローチャートである。
【図13】特別図柄処理のフローチャートである。
【図14】大当たり判定処理のフローチャートである。
【図15】普通図柄処理のフローチャートである。
【図16】大入賞口処理のフローチャートである。
【図17】電チュー処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態
(1)パチンコ遊技機の構造
本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、前面枠10の内側に取着された遊技盤2を備えている。遊技盤2には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。また、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。
【0014】
遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
【0015】
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31は、上枠部32、下枠部33、左枠部34、および右枠部35により構成されている。左枠部34には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部41へ遊技球を流出するワープ部40が配設されている。下枠部33には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部41が形成されている。
【0016】
また、遊技領域3の左右方向における中央下部には、始動入賞装置5が設けられている。始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、開閉部材76,83により開閉される第2始動口51bとを備えている。開閉部材76,83は、ソレノイド112(駆動源に相当する。図3参照)により駆動される。第2始動口51bは、開閉部材76,83が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。
【0017】
また、遊技領域3には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、始動入賞装置5の下方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図8参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
【0018】
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、始動入賞装置5の左方及び右方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
【0019】
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
【0020】
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技が行われる。
【0021】
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図8参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図8参照)に記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も、大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
【0022】
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される大当たり乱数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する大当たり乱数の取得は行われない。
【0023】
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、開閉部材76,83を開く補助遊技が行われる。なお、実施形態では、普通図柄抽選の結果が当たりであることが、特許請求の範囲にいう「所定条件」に該当する。
【0024】
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
【0025】
次に、図2から5に基づいて、始動入賞装置5について詳述する。図2に示すように、始動入賞装置5は、前方側に配置される装飾部材46に、後方側に配置されるホルダ部材102を組み付けて構成されている。
【0026】
図3,4に示すように、装飾部材46は、始動入賞装置5を遊技盤2に配設した際、前面48aが遊技盤面と略面一に配置される取着基板部48と、取着基板部48の上部に形成された上部球受部56と、上部球受部56の下方に配置される下部球受部64と、取着基板部48の裏面48bから後方へ延設された後方延設部93と、を備えて構成されている。
【0027】
取着基板部48は、左端及び右端にねじ止め用の孔部49,49を有している。始動入賞装置5は、このねじ止め用孔部49,49を利用して遊技盤2にねじ止めされて取り付けられる。また、取着基板部48は、左右方向の略中央であって下部球受部64の後方に、遊技球が通過可能な入賞球通し孔50を有している。入賞球通し孔50は、第2始動口51bに入賞した遊技球を、遊技盤2の裏面側へ案内する。
【0028】
上部球受部56は、上方が開口した正面視略U字形状で後方へ向かって延設された半円筒形状の桶部57と、桶部57の前端を閉じるように桶部57から延設された平板状の意匠板部62と、を備えて構成されている。桶部57は、取着基板部48の前面48aを基準として前方へ略遊技球一個分突出した前方桶部58と、前方桶部58から取着基板部48を貫いて後方へ延設された後方桶部59とから構成されている。前方桶部58の上方開口58aは、遊技領域3を流下した遊技球が入賞可能な第1始動口51aとして機能する。第1始動口51aへ入賞した遊技球は、前方桶部58の床面58bに受け止められて、連通する後方桶部59の床面59bへと転動していく。このように、桶部57は、第1始動口に入賞した遊技球の通路(以下「第1球通路部60」という)を形成している。なお、図示しないが、意匠板部62の前面62aには、ここが第1始動口51aとなっていることが遊技者に分かるよう、「IN」の装飾文字が刻まれている。
【0029】
下部球受部64は、前面65aを装飾面とした平板部65と、平板部65の下部から後方へ延設された下部延設部68とから構成されている。下部延設部68は、前後方向の長さ寸法を略遊技球の直径程度として構成されており、後端68aを取着基板部48の前面48aに当接させて、取着基板部48に固着されている。また、下部延設部68の上面68bの左右方向中央部には、第2始動口51bに入賞した遊技球を遊技盤2の裏面側へと転動させる通路(以下「第2球通路部69」という)が形成されている。また、平板部65の裏面65bにおける下部延設部68の上方には、後述する開閉部材76,83を揺動可能に軸支するための揺動軸66が、左右方向に所定距離離れて、後方へ向かって突設されている。
【0030】
下部球受部64の平板部65と取着基板部48の前面48aには、前後方向に略遊技球の直径程度の厚みを有した開閉部材(いわゆる羽根)76,83が配設される。開閉部材76,83は、下部延設部68に形成された第2球通路部69を挟んで左右両側に配置される左右一対の部材であり、正面視左右対称な形状、詳しくは、上方に向かって薄肉となる略ドロップ形状の所謂チューリップ型となっている。なお、このような開閉部材76,83を有する装置は、一般的に電動チューリップ(電チュー)と称呼される。各開閉部材76,83は、それぞれ、元部76a,83a側に挿通孔77,84を有し、この挿通孔77,84を下部球受部64に形成された揺動軸66に挿通させて、下部球受部64と取着基板部48との間に軸支される。これにより、各開閉部材76,83は、揺動軸66を中心として、図2に示す矢印aの方向(相互に離れる方向)及び矢印bの方向(相互に近づく方向)に揺動可能となっている。
【0031】
そして、このように開閉部材76,83が配設された装飾部材46において、左開閉部材76の先端部76bと右開閉部材83の先端部83bの間に形成される開口87部分(図2参照)が、遊技領域3を流下した遊技球が入賞可能な第2始動口51bとなる。ここで、図2に実線で示す状態は、開閉部材76,83が閉じて第2始動口51bが閉塞されている状態であり、図2に二点鎖線で示す状態は、開閉部材76,83が開いて第2始動口51bが開放されている状態である。図2に実線で示す状態では、両開閉部材76,83は内側面76c,83cを鉛直方向に略沿わせた姿勢となっており、両開閉部材76,83間の開口87のすぐ上方には上部球受部56が位置して各開閉部材76,83と上部球受部56との間を遊技球が通過できないため、遊技領域3を流下してきた遊技球は第2始動口51bに入賞することはできない。これに対して、図2に二点鎖線で示す状態では、両開閉部材76,83は内側面76c,83cを水平方向に対して約45度の角度で起した姿勢となっているため、遊技領域3を流下してきた遊技球は、開閉部材76,83の内側面76c,83cに受け止められて、第2始動口51bに入賞可能である。なお、第2始動口51bの開放状態では、開閉部材76,83の内側面76c,83cに受け止められた遊技球は、第2球通路部69へと転動していく。
【0032】
また、各開閉部材76,83は、図3,4に示すように、挿通孔77,84より内側となる位置に、後面76d,83dから後方へ延設された連繋軸78,85を備えている。連繋軸78,85は、取着基板部48に形成された入賞球通し孔50の左端又は右端から後方へ突出して、後述する連繋部材122と係合する。
【0033】
後方延設部93は、左側壁部94、右側壁部95、下壁部98、及び上壁部100を備えている。左側壁部94、右側壁部95、下壁部98、及び上壁部100は、取着基板部48の入賞球通し孔50を囲むように取着基板部48の裏面48bから後方へ延設されている。左側壁部94及び右側壁部95は、ホルダ部材102を後方から取り付けてねじ固定するためのねじ孔部96を有している。また、左側壁部94及び右側壁部95は、ねじ孔部96の下方に、後述する連繋部材122を揺動可能に軸支する軸支部97を有している。下壁部98は、上面98aが、取着基板部48の入賞球通し孔50を通って下部球受部64の第2球通路部69と連通する遊技球通路(以下「第3球通路部99」という)を形成している。なお、上壁部100に、上述した上部球受部56の後方桶部59が形成されている。
【0034】
ホルダ部材102は、装飾部材46に対して後方から取り着けられるもので、左右に形成されたフランジ部103を利用して、後方延設部93のねじ孔部96にねじ固定される。ホルダ部材102の上段部102aには、第1球通路部60と連通する第4球通路部104が形成されている。ホルダ部材102の中段部102bには、後述するソレノイド112を嵌めて固着させるソレノイドホルダ105が形成されている。ホルダ部材102の下段部102cには、第2始動口SW(遊技球検知器に相当する)54bを嵌合させるスイッチホルダ106が形成されている。
【0035】
第2始動口SW54bは、入賞球通し孔50を通過してきた遊技球を検出し、検出信号をメイン制御基板20(図8参照)に出力するもので、遊技球が通過可能な検知孔部55を有し、遊技球が検知孔部55を通過したとき遊技球を検知する。この第2始動口SW54bは、検知孔部55側をスイッチホルダ106に嵌合させ、検知孔部55と反対側を下壁部98の下方に配置させて組み付けられる(図6(a)参照)。
【0036】
図3から5に示すように、ソレノイド112は、略直方体のソレノイド本体(本体部に相当する)113と、ソレノイド本体113に対して、前後に移動可能なプランジャー(直動部材に相当する)114とを備えている。なお、図5は、ソレノイド112に、後述するプランジャーカバー135、摺動部材116、第1圧縮コイルばね118、第2圧縮コイルばね119、連繋部材122、およびシャッター片142を組み付けた状態を示す要部斜視図である。ソレノイド本体113は、メイン制御基板20(図8参照)による通電制御により磁力を発生させて、プランジャー114を移動させる。プランジャー114は、小径の軸形状とされた軸部114aと、軸部114aより大径の円盤形状とされた先端部114bから構成されている。
【0037】
プランジャー114の先端部114bには、合成樹脂製のプランジャーカバー135が係着される。プランジャーカバー135は、正面視略半円形状とされ、プランジャー114の先端部114bの略上半分を内部に収納可能な嵌合部136を有している。プランジャーカバー135は、この嵌合部136にプランジャー114の先端部114bを嵌合させて、プランジャー114の先端部114bに係着される。また、プランジャーカバー135は、左下端及び右下端に、左右方向に沿って穿設された軸孔137を有している。軸孔137には、後述するシャッター片142が揺動自在に軸支される。
【0038】
プランジャー114の軸部114aには、この軸部114aに嵌めるための嵌着部116aを備えた摺動部材116が、摺動自在に嵌められる。摺動部材116は、前後方向を薄肉とする略直方体形状の部材で、仮想鉛直面に沿う外周部分に係合溝116bが形成されている。この係合溝116bには、後述する連繋部材122の係合軸125,130が左右両側から摺動部材116を挟むように係合する。
【0039】
また、プランジャー114の軸部114aには、摺動部材116とソレノイド本体113との間に第1圧縮コイルばね(第1弾性部材に相当する)118が装着され、摺動部材116とプランジャー114の先端部114bとの間に、第1圧縮コイルばね118よりも復元力が弱い第2圧縮コイルばね(第2弾性部材に相当する)119が装着される。第1圧縮コイルばね118は、常時、摺動部材116及びプランジャー114を前方へ向けて押し出すよう付勢する。第2圧縮コイルばね119は、常時、プランジャー114を前方へ向けて押し出すよう付勢するが、第1圧縮コイルばね118と比べて復元力が小さく、また、ソレノイド本体113から突出するプランジャー114の突出長さは、両圧縮コイルばね118,119が復元できるほど長くないため、第2圧縮コイルばね119は、第1圧縮コイルばね118により前方へ付勢される摺動部材116によって、摺動部材116とプランジャー114の先端部114bとの間で圧縮される(図6(a)参照)。なお、ソレノイド112が作動される(励磁される)と、プランジャー114は、第1圧縮コイルばね118の付勢力に抗して後方へ移動する。
【0040】
連繋部材122は、ソレノイド112と開閉部材76,83とを繋ぐもので、前端部124が上下の二股状(右側面視略コ字形状)に形成された左アーム部123と、左アーム部123と同様に前端部129が上下の二股状(右側面視略コ字形状)に形成された右アーム部128と、両アーム部123,128を互いの内側面123a,128a側で連結する連結軸部133とを備えている。連結軸部133は、両アーム部123,128の内側面123a,128aの後部から水平方向に沿って延設されている。なお、各部材が組み付けられた状態(図2に示す状態)の始動入賞装置5においては、対向している両アーム部123,128の間には、上述した後方延設部93に形成された第3球通路部99が位置することになる。
【0041】
そして、左アーム部123の前端部124には、左開閉部材76の連繋軸78が突入し係合され、右アーム部128の前端部129には、右開閉部材83の連繋軸85が突入し係合される。また、両アーム部123,128の内側面123a,128aにおける連結軸部133の上方には、内側に向かって水平方向に沿って突出した係合軸125,130が形成されている。左アーム部123の係合軸125は、摺動部材116の係合溝116bに左側から係合し、右アーム部128の係合軸130は、摺動部材116の係合溝116bに右側から係合する。また、両アーム部123,128の外側面123b,128bの後部には、装飾部材46の左側壁部94及び右側壁部95に形成された軸支部97に軸支される揺動軸126,131が、左右方向に沿って突設されている。揺動軸126,131は、装飾部材46にホルダ部材102を組み付ける際、装飾部材46とホルダ部材102の間に回動可能に挟持される。なお、各部材が組み付けられた状態の始動入賞装置5において、連繋部材122は、ソレノイド112の動作に応じて、左右方向に沿う揺動軸126,131を中心として前後に揺動する(図6(a)(b)参照)。これにより、開閉部材76,83の連繋軸78,85が上下されるため、開閉部材76,83は、前後方向に沿う揺動軸66,66を中心として左右に揺動して、第2始動口51bを開閉することとなる。
【0042】
シャッター片(規制部材に相当)142は、略平板形状とされ、左側面及び右側面の上部に、左右方向に沿って突設された回動軸部144を有し、この回動軸部144を、プランジャーカバー135の軸孔137に内側から挿通させて、プランジャーカバー135に回動可能に軸支される。シャッター片142の上部143は、プランジャー114の先端部114bの下端形状に合わせて、下方に向けて円弧形状に切り欠かれている。また、シャッター片142は、図6(a)に示すように、ソレノイド112の非作動時は、後述する水平突出部108の前端部109によって、回動軸部144の形成されている上部143からその反対側となる下部145に向かって徐々に前方へ突出する姿勢(仮想鉛直面に対するシャッター片142の後面142aの傾斜角が約45度の姿勢)に支持されている。この状態では、シャッター片142の下部145の前面145aは、鉛直方向に略沿った状態にあり、取着基板部48の入賞球通し孔50に後方から臨んで、遊技球の通過を規制している。これにより、開閉部材76,83の強制開放によって第2始動口51bに入賞した遊技球は、第2球通路部69から第3球通路部99へ転動していくのをせき止められることとなる。
【0043】
ここで、図6(a)に示すように、ホルダ部材102は、ソレノイドホルダ105を形成する右側面視略L字形状の中板部107を有している。中板部107は、水平突出部108及び鉛直部110から構成され、水平突出部108の後方側の下面108aおよび鉛直部110の前面110aは、第3球通路部99を転動してきた遊技球を、第2始動口SW54bの検知孔部55に向けて案内するガイド面となっている。水平突出部108は、前後方向の長さ寸法をソレノイド112の前後方向の長さ寸法と同程度としている。水平突出部108の上面108bの後方側には、ソレノイド本体113が載置され固定される。水平突出部108の上面108bの前方側は、ソレノイド112が作動してプランジャー114が後方へ移動したときに、プランジャーカバー135に軸支されているシャッター片142が乗り上げる係合面となっている。さらに、水平突出部108の前端面108cは、ソレノイド112が作動したときにシャッター片142が乗り上げ易いよう、上方から下方にかけて前方へ傾斜した傾斜面となっている。これにより、ソレノイド112が作動すると、シャッター片142は、後面142aを水平突出部108の前端面108cに沿って滑らせ、水平突出部108の上面108bの前方側に乗るようにして、左右方向に沿った回動軸部144を中心に上方へ回動し、入賞球通し孔50の通過規制を解除して、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へと転動できるようにする(図6(b)参照)。
【0044】
(2)パチンコ遊技機の電気系統
図8は、実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統を示すブロック図である。図8に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、メイン制御基板(遊技制御基板)20、払出制御基板21、サブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM63内に、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
【0045】
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、開閉部材76,83を駆動するソレノイド112、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、開閉部材73を駆動する大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図8の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
【0046】
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
【0047】
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ17及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
【0048】
(3)遊技状態等の説明
次に、実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態等について説明する。実施形態のパチンコ遊技機1は、通常遊技状態、時短遊技状態、確変遊技状態、潜確遊技状態の4つの遊技状態と、大当たり遊技、小当たり遊技とを有している。
【0049】
時短遊技状態とは、通常遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、開閉部材76,83の開放時間が0.15秒、開閉部材76,83の開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、開閉部材76,83の開放時間が1.80秒、開閉部材76,83の開放回数が3回となっている。
【0050】
確変遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすく、かつ第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、大当たり当選確率が約1/300であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、確変遊技状態では、時短遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、開閉部材76,83の開放時間が1.80秒、開閉部材76,83の開放回数が3回となっている。
【0051】
潜確遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすい状態をいい、潜確遊技状態では、確変遊技状態と同様、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、潜確遊技状態では、通常遊技状態と同様、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、開閉部材76,83の開放時間が0.15秒、開閉部材76,83の開放回数が1回となっている。
【0052】
そして、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態であり、大当たりが発生すれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技を経て、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。大当たりの種類には、ほとんど賞球の獲得が望めない短当たりとして、2R(ラウンド)潜確大当たりがあり、多くの賞球を獲得可能な長当たりとして、15R(ラウンド)確変大当たり、15R(ラウンド)通常大当たりがある。また、これら大当たりの他に小当たりがある。なお、ラウンドとは大入賞口71の開放期間を言う。2R潜確大当たりでは、大入賞口71を極短時間2回開放する大当たり遊技を行った後、潜確遊技状態に遷移し、15R確変大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、確変遊技状態に遷移し、15R通常大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、時短遊技状態に遷移する。また、小当たりは、見かけ上2R潜確大当たりと変わらない動作をするもので、大入賞口71を極短時間2回開放する小当たり遊技を行うが、遊技状態は遷移しない。なお、時短遊技状態において途中で大当たりが発生することなく100回の特別図柄変動が行われたときも、通常遊技状態に遷移する。
【0053】
なお、大当たり及び小当たりの抽選は大当たり乱数を用いて行われ、大当たりに当選した場合に当選した大当たりがいずれの種類の大当たりとなるかの抽選は、大当たり図柄乱数を用いて行われる。大当たり乱数は、図9(a)(b)に示すように、0〜299までの範囲で値をとることとされ、通常遊技状態時又は時短遊技状態時では、大当たりに当選する割合が1/300となるよう大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。また、大当たり乱数は、確変遊技状態時又は潜確遊技状態時では、大当たりに当選する割合が10/300となるよう、大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。大当たり図柄乱数は、図9(c)(d)に示すように、0〜249までの範囲で値をとることとされ、第1始動口51aへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が75/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が75/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められ、第2始動口51bへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が125/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が25/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められており、第1始動口51aへ入賞したときよりも長当たりに当選する割合が高くなっている。
【0054】
(4)パチンコ遊技機の動作
次に、図10〜17に基づいてメイン制御基板20の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
【0055】
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図10に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たり図柄の種類を決めるための図柄乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる当たり乱数等を更新する乱数更新処理を行う(ステップS101)。
【0056】
次に、メイン制御基板20は、後述する始動口SW処理(S102)、ゲートSW処理(S103)の他、大入賞口SW処理(S104)及び普通入賞口SW処理(S105)を行う。大入賞口SW処理は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技中又は小当たり遊技中(後述する当たり遊技フラグがON)か否かを判定して、大当たり遊技中又は小当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値Cに1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理は、普通入賞口SW91がONしていれば普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
【0057】
続いて、メイン制御基板20は、後述する特別図柄処理(S106)、普通図柄処理(S107)、大入賞口処理(S108)、及び、電チュー処理(S109)を行う。そして、メイン制御基板20は、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S110)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S111)を行う。
【0058】
[始動口SW処理]図11に示すように、始動口SW処理では、メイン制御基板20は第1始動口SW54aがONしたか否かを判定し(S201)、ONしていなければステップS206に進み、ONしていれば、第1保留記憶部27aに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S202)。そして、4未満でない場合はステップS206に進み、4未満の場合は、U1に1を加算して(S203)、大当たり乱数を取得して第1保留記憶部27aに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S204)、第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。
【0059】
ステップS206では、メイン制御基板20は第2始動口SW54bがONしたか否かを判定し、ONしていなければ始動口SW処理を終え、ONしていれば、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第2始動口保留カウンタの値U2が、上限値の4未満か否かを判定する(S207)。そして、4未満でない場合は始動口SW処理を終え、4未満の場合は、U2に1を加算して(S208)、大当たり乱数を取得して第2保留記憶部27bに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S209)、第2保留数増加コマンドをセットして(S210)、始動口SW処理を終える。
【0060】
[ゲートSW処理]図12に示すように、ゲートSW処理では、メイン制御基板20はゲートSW81がONしたか否かを判定し(S301)、ONしていなければゲートSW処理を終え、ONしていれば、ゲート保留カウンタの値Gが上限値の4未満か否かを判定する(S302)。そして、4未満でない場合はゲートSW処理を終え、4未満であればGに1を加算して(S303)、普通図柄抽選に用いる当たり乱数を取得して所定記憶域に格納し(S304)、ゲートSW処理を終える。
【0061】
[特別図柄処理]図13に示すように、特別図柄処理では、メイン制御基板20は、当たり遊技中か否かを示す当たり遊技フラグ(即ち、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、又は、短当たり遊技フラグ)がONか否かを判定し(S401)、ONであれば特別図柄処理を終え、ONでなければ特別図柄の変動中か否かを判定する(S402)。そして、変動中であればステップS411に進み、変動中でなければ、第2始動口保留カウンタの値U2又は第1始動口保留カウンタの値U1が1以上か否かを判定する(S403,S405)。そして、U2又はU1が1以上でなければ特別図柄処理を終え、U2又はU1が1以上であればU2又はU1から1を減算して(S404,S406)、ステップS204又はS209で格納しておいた大当たり乱数を用いて大当たり判定処理を行う(S407)。
【0062】
大当たり判定処理(S407)では、図14に示すように、メイン制御基板20は、大当たり判定用テーブルを用いてステップS204又はS209で格納した大当たり乱数が大当たりか否かの判定を行い(S501)、大当たりであれば大当たり図柄乱数がどの大当たり図柄を示すものかを判定して、その大当たり図柄をセットし(S502でYES,S503,S504)、小当たりであれば小当たり図柄をセットし(S502でNO,S505でYES,S506)、大当たりでも小当たりでもなければハズレ図柄をセットする(S505でNO,S507)。なお、大当たり図柄によって、大当たりの種類が決まる(図9(c)(d)参照)。
【0063】
続いて、メイン制御基板20は、図13に示すように、変動パターン選択処理を行う(S408)。変動パターン選択処理では、直前の大当たり判定処理において大当たりと判定していれば、乱数値と変動パターンとの対応を示す変動パターンテーブルとして大当たり用テーブルを参照し、小当たりと判定していれば小当たり用テーブルを参照し、大当たりでも小当たりでもないと判定していればハズレ用テーブルを参照して、ステップS204又はS209で格納しておいた変動パターン乱数がいずれの変動パターンを示すかの判定を行い、変動パターンをセットする。なお、変動パターンには変動時間を示す情報が含まれている。
【0064】
その後、メイン制御基板20は、第1特別図柄表示器14aまたは第2特別図柄表示器14bにおいて特別図柄の変動を開始し(S409)、変動開始コマンドをセットして(S410)、ステップS411に進む。ステップS411では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ特別図柄処理を終えるが、経過していれば特別図柄の変動を停止して、大当たり判定処理でセットされた図柄で特別図柄を確定表示し(S412)、変動停止コマンドをセットする(S413)。そして、停止中処理(S414)として、各種遊技フラグ(時短遊技フラグ、確変遊技フラグ、潜確遊技フラグ、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグ)のON/OFFに関する処理をし、大当たり又は小当たりであれば、オープニングを開始するとともに、オープニングコマンドをセットして、特別図柄処理を終える。
【0065】
[普通図柄処理]図15に示すように、普通図柄処理では、メイン制御基板20は、補助遊技中か否かを示す補助遊技フラグがONか否かを判定し(S601)、ONであれば普通図柄処理を終え、ONでなければ普通図柄の変動中か否かを判定する(S602)。そして、変動中の場合にはステップS609に進み、変動中でない場合には、ゲート保留カウンタの値Gが1以上か否かを判定し(S603)、Gが1以上でなければ普通図柄処理を終え、Gが1以上であればGから1を減算して(S604)、ステップS304で格納しておいた当たり乱数が当たりか否かを判定して(S605)、停止図柄を選択する(S606)。そして、遊技状態に応じた変動時間(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば4秒、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.5秒)を選択し(S607)、普通図柄の変動を開始して(S608)、ステップS609に進む。
【0066】
ステップS609では、メイン制御基板20は、変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ普通図柄処理を終えるが、経過していれば、普通図柄の変動を停止して停止図柄を表示する(S610)。そして、停止図柄が当たりを示す図柄であれば(S611でYES)、補助遊技フラグをONし(S612)、ハズレを示す図柄であれば(S611でNO)、普通図柄処理を終える。
【0067】
[大入賞口処理]図16に示すように、大入賞口処理では、メイン制御基板20は、まず、当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S701)、ONでなければ大入賞口処理を終えるが、ONであれば、オープニング中であるか否かを判定する(S702)。オープニングとは、大当たり遊技の開始から第1ラウンドの開始までの期間をいう。メイン制御基板20は、オープニング中と判定した場合には、オープニング時間が経過したか否かを判定し(S703)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば、大当たりの種類に応じた最大R数(ラウンド数)と作動パターンとを設定する(S704)。そして、入賞個数カウンタの値Cをゼロクリアし(S705)、ラウンドカウンタの値Rに1を加算し(S706)、大入賞口71の作動(開放)を開始する(S707)。
【0068】
次に、メイン制御基板20は、大入賞口71の作動時間(開放時間。例えば、長当たりであれば29.5秒、短当たりまたは小当たりであれば0.1秒等)が経過したか否かを判定し(S708)、経過していれば大入賞口71を閉口し(S710)、経過していなければ、入賞個数カウンタの値Cが規定個数であるか否かを判定して(S709)、規定個数でなければ大入賞口処理を終え、規定個数であれば大入賞口71を閉口する(S710)。
【0069】
そして、メイン制御基板20は、ラウンドカウンタの値Rが最大R数であるか否かを判定し(S711)、最大R数でなければ大入賞口処理を終え、最大R数であれば、エンディングを開始して(S712)、エンディングコマンドをセットし(S713)、ラウンドカウンタの値Rをゼロクリアする(S714)。なお、エンディングとは、最終ラウンドの終了から大当たり遊技の終了までの期間をいう。次に、メイン制御基板20は、エンディング時間が経過したか否かを判定し(S717)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば遊技状態設定処理を行って(S718)、当たり遊技フラグをOFFする(S719)。遊技状態設定処理では、メイン制御基板20は、今終了した当たり遊技が、小当たりであれば、遊技状態を遷移させないので遊技状態設定処理を終え、15R通常大当たりであれば、時短遊技状態に遷移させるため時短遊技フラグをONし、15R確変大当たりであれば、確変遊技状態に遷移させるため確変遊技フラグをONし、2R潜確大当たりであれば、潜確遊技状態に遷移させるため潜確遊技フラグをONする。
【0070】
一方、メイン制御基板20は、ステップS702においてオープニング中でないと判定したときは、大入賞口71がエンディング中であるか否かを判定し(S715)、エンディング中であればステップS717に移行し、エンディング中でなければ大入賞口71の作動中か否かを判定する(S716)。そして、作動中でなければステップS705に移行し、作動中であればステップS708に移行する。
【0071】
[電チュー処理]図17に示すように、電チュー処理では、メイン制御基板20は、補助遊技フラグがONか否かを判定し(S801)、ONでないと判定すれば電チュー処理を終える。一方、ONと判定すれば、開閉部材76,83、すなわちソレノイド112が作動中か否かを判定し(S802)、作動中でなければ、現在の遊技状態に応じた開閉部材76,83の作動パターン(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば0.15秒の開放を1回、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.80秒の開放を3回)を選択して(S803)、その作動パターンに則った作動を開始する(S804)。次に、メイン制御基板20は、作動時間(複数の開放を含む作動パターンでは、開放間のインターバル時間を含む。)が経過したか否かを判定し(S805)、経過していなければ電チュー処理を終え、経過していれば補助遊技フラグをOFFして(S806)、電チュー処理を終える。
【0072】
(5)始動入賞装置5の動作
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機1の始動入賞装置5の動作について説明する。まず、正常に遊技されている場合の動作について説明し、続いて、開閉部材76,83を強制開放された場合の動作について説明する。
【0073】
(A)正常に遊技されている場合の動作
遊技者は、ハンドル11を操作して、発射した遊技球が遊技領域3の左側部分3a(図1参照)を転動落下するよう遊技する。遊技領域3の左側部分3aを転動落下していく遊技球は、ゲート8を通過し得る。遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20は、ゲート8を通過した遊技球の保留個数が4個未満であることを条件として当たり乱数を取得し(S301〜S304参照)、当たり乱数判定処理を行う(S605参照)。当たり乱数判定処理において、当たり乱数が所定の当たり乱数値に該当すると判定された場合、普通図柄表示器13において普通図柄を変動表示した後、普通図柄を当たり図柄で停止させて、補助遊技を実行する(S608〜S612、及び電チュー処理参照)。
【0074】
通常遊技状態中又は潜確遊技状態中の補助遊技(電チュー処理参照)であれば、メイン制御基板20は、ソレノイド112に対し、1回が0.15秒の通電を1回行う(S804参照)。ソレノイド112が通電されると、開閉部材76,83は、図2に二点鎖線で示すように開いた状態となるが、開閉部材76,83の開放時間はわずか0.15秒と短いので、遊技球の第2始動口51bへの入賞は殆ど見込めない。
【0075】
これに対して、時短遊技状態中又は確変遊技状態中の補助遊技(電チュー処理参照)であれば、メイン制御基板20は、ソレノイド112に対し、1回が1.80秒の通電を3回行う(S804参照)。この場合は、開閉部材76,83の開放時間が1.80秒と長く、また開放回数も3回あるので、遊技球の第2始動口51bへの入賞が十分に見込める。
【0076】
遊技球が第2始動口51bへ入賞すると、図示しない払出装置により所定数の賞球(例えば、4個の賞球)が払出されるとともに、メイン制御基板20は、第2始動口51bへ入賞した遊技球の保留個数が4個未満であることを条件として大当たり乱数を含む各種乱数を取得し(S206〜S209参照)、大当たり判定処理を行う(S407参照)。なお、遊技球が第1始動口51aに入賞した場合も、同様に、メイン制御基板20は大当たり乱数等を取得して(S201〜S204参照)、大当たり判定処理を行う(S407参照)。大当たり判定処理において上記取得した大当たり乱数が所定の大当たり乱数値に該当すると判定された場合、第2特別図柄表示器14b(第1始動口51aへの入賞の基づくときは第1特別図柄表示器14a)において特別図柄を変動表示するとともに表示部4aにおいて装飾図柄の変動表示及びリーチ演出等の演出を行った後、特別図柄をセットされた大当たり図柄で変動停止させて表示部4aに大当たりが発生した旨の表示をし、大当たり遊技(大入賞口処理参照)を実行する。
【0077】
大当たり遊技が実行されると、大入賞口71が所定ラウンド数だけ間欠的に開放され、開放された大入賞口71へ遊技球が入賞すると、所定数(例えば13個)の賞球が払い出される。例えば、15R通常大当たりに当選した場合には、大入賞口71が15ラウンド間欠的に開放される(S704〜S711参照)。その後は、時短遊技状態に移行する(S718参照)。
【0078】
ここで、時短遊技状態中に頻繁に開放される開閉部材76,83の開放動作について図6及び7に基づいて詳述する。なお、図6及び7には左開閉部材76のみを示すが、右開閉部材83は、左開閉部材76と左右対称に動作する。これは、始動入賞装置5に設けられている他の部材(例えば、連繋部材122等)の説明においても同様である。図6(a)に示すように、ソレノイド112が非励磁状態にあるとき、開閉部材76,83は、第2始動口51bを閉じた状態になっている。すなわち、プランジャー114は、前方へ突出した状態にあり、連繋部材122は、前端部124,129を下方へ傾けた状態にある。このため、開閉部材76,83は、連繋部材122における左アーム部123の前端部124と右アーム部128の前端部129とによって、左開閉部材76の連繋軸78と右開閉部材83の連繋軸85とが共に押し下げられて、内側面76c,83cを鉛直面に沿わせた閉成状態となっている。
【0079】
また、このときは、プランジャー114が前方へ突出しているため、プランジャーカバー135に軸支されているシャッター片142は、下部145がその前面145aを取着基板部48の入賞球通し孔50に後方から臨ませて、遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へ転動するのをせき止め可能な状態にある。なお、第2圧縮コイルばね119は、プランジャーカバー135と摺動部材116との間で圧縮されている。
【0080】
ソレノイド112が励磁されると、図6(b)に示すように、開閉部材76,83は、第2始動口51bを開放した状態に変位する。すなわち、ソレノイド112が励磁されると、プランジャー114は、ソレノイド本体113に吸着されて後方へ移動し、これに伴って、第2圧縮コイルばね119と摺動部材116とが、プランジャーカバー135に前端側をひっかけられて後方へ移動するので、連繋部材122は、左右方向に沿った揺動軸126,131を中心として前端部124,129を上方へ上げるように揺動する。これにより、連繋部材122の左アーム部123の前端部124と右アーム部128の前端部129とによって、左開閉部材76の連繋軸78と右開閉部材83の連繋軸85とが持ち上げられるため、開閉部材76,83は、互いの先端部76b,83bを離間させる方向に揺動して、第2始動口51bを開放する。
【0081】
また、このとき、プランジャー114が後方へ移動するのに伴って、プランジャーカバー135に軸支されているシャッター片142は、後面142aを水平突出部108の前端部109に摺接させて、水平方向に沿う回動軸部144を中心として上方へ向かって回動する。これにより、シャッター片142は、水平突出部108の上面108bに載り上げ、取着基板部48における入賞球通し孔50の通過規制を解除した状態となり、第2始動口51bに入賞した遊技球は第2球通路部69から第3球通路部99へ転動できるようになる。なお、第2球通路部69から第3球通路部99へ転動した遊技球は、図7(a)に示すように、検知孔部55を通過して第2始動口SW54bに検知され、下方へ排出される。
【0082】
ソレノイド112が非励磁状態に戻ると、第1圧縮コイルばね118による前方への付勢力により、摺動部材116及び摺動部材116に第2圧縮コイルばね119を介して先端部114bを押されるプランジャー114は、ともに初期位置に復帰し、これに伴って、シャッター片142は、入賞球通し孔50を後方からせき止めた状態に戻る(図6(a)参照)。
【0083】
(B)開閉部材76,83が強制開放された場合の動作
次に不正により強制的に開閉部材76,83を開放される場合について説明する。まず、ソレノイド112の非作動時(開閉部材76,83の閉塞時)に開閉部材が強制的に開放される場合について説明する。図6(a)に示す閉塞状態の開閉部材76,83が、ソレノイド112が作動されていないのに、ワイヤー等を用いて強制的に開放された場合、図7(b)に示すように、開閉部材76,83の連繋軸78,85と係合している連繋部材122は、左右方向に沿う揺動軸126,131を揺動中心として上方へ向かって揺動し、これにより、連繋部材122と係合している摺動部材116は、第1圧縮コイルばね118の付勢力に抗して、プランジャー114の軸部114aに沿って後方へ摺動する。
【0084】
しかし、このように開閉部材76,83を強制的に開放されても、あくまでソレノイド112は非作動状態であるため、プランジャー114は前方へ突出した状態のまま変位しない。したがって、シャッター片142は、図7(b)に示すように、入賞球通し孔50を後方から塞いでいる状態にある。このため、強制的に第2始動口51bを開放させて遊技球を入賞させても、第2始動口51bへの入賞球は、シャッター片142によりせき止められることとなって入賞球通し孔50を通過することができず、第2始動口SW54bに検出されない。よって、大当たり乱数の取得や賞球は行われることがないため、このような第2始動口51bの強制開放を行っても不正行為者に利益はない。よって、実施形態のパチンコ遊技機1によれば、このような不正行為が行われるのを抑制することができる。
【0085】
次に、ソレノイド112の作動時(開閉部材76,83の開放時)に開閉部材76,83が強制的に開放状態に保持される場合について説明する。図6(b)に示す開放状態の開閉部材76,83がワイヤー等を用いて強制的に開放状態のまま保持されてしまうと、ソレノイド112が非作動状態となってプランジャー114に対する吸着力がなくなっても、第1圧縮コイルばね118は圧縮されたまま復帰しない。すなわち、開閉部材76,83が強制的に開放状態に保持されることによって、開閉部材76,83と連繋している連繋部材122は上方へ揺動した姿勢で保持され、連繋部材122と係合している摺動部材116は後方位置に保持されるので、第1圧縮コイルばね118は圧縮されたまま復帰できない。
【0086】
しかし、プランジャー114と摺動部材116とは互いに摺動自在であり、プランジャーカバー135と摺動部材116との間には圧縮された状態の第2圧縮コイルばね119が装着されているため、第2圧縮コイルばね119の復元力により、プランジャー114だけは前方(初期位置)へ復帰する。したがって、開放状態の時を狙って開閉部材76,83が強制的に開放状態に保持されても、ソレノイド112の通電が終われば、図7(b)に示すように、プランジャー114が初期位置に復帰して、入賞球通し孔50がシャッター片142によって閉塞されるので、強制的に第2始動口51bの開放を保持して遊技球を入賞させても、遊技球はシャッター片142によりせき止められて入賞球通し孔50を通過することができず、第2始動口SW54bに検出されない。よって、大当たり乱数の取得や賞球は行われることがないため、このような第2始動口51bの強制開放を行っても不正行為者に利益はない。よって、実施形態のパチンコ遊技機1によれば、このような不正行為が行われるのを抑制することができる。
【0087】
(6)実施形態の効果
以上説明したように、実施形態のパチンコ遊技機1では、始動入賞装置5は、第2始動口51bに入賞した遊技球を第2始動口SW54bに至るまでの間でせき止め可能なシャッター片142を備え、シャッター片142は、ソレノイド112によって駆動され、ソレノイド112の非作動時、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へと転動するのを規制し、ソレノイド112が作動されると、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2球通路部69から第3球通路部99へと転動するのを許容する。
【0088】
したがって、開閉部材76,83を強制的に開放状態にして第2始動口51bに遊技球を入賞させても、ソレノイド112が作動していなければ、入賞球は、第2始動口SW54bに検出される前に第2球通路部69上にせき止められて第2始動口SW54bに検出されないため、その遊技球が入賞球としてカウントされず大当たり乱数の取得や賞球は行われない。したがって、開閉部材76,83の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がないため、開閉部材76,83を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を防止することができる。
【0089】
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、摺動部材116が前進後退するプランジャー114に嵌着されて、開閉部材76,83は、摺動部材116が前方位置(図6(a)参照)にあるとき第2始動口51bを閉塞し、摺動部材116が後方位置(図6(b)参照)にあるとき第2始動口51bを開放するよう、連繋部材122を介して摺動部材116に連結されている。また、シャッター片142は、プランジャー114が前進位置(図6(a)参照)にあるとき遊技球が第2球通路部69を通過するのを規制し、プランジャー114が後退位置(図6(b)参照)にあるとき遊技球が第2球通路部69を通過するのを許容するよう、プランジャーカバー135を介してプランジャー114に連結されている。そして、ソレノイド112の非作動時、摺動部材116の位置に関わらずプランジャー114が前進位置にあり(図6(a)及び図7(b)参照)、ソレノイド112の作動時、プランジャー114が後退するとともに摺動部材116が後方位置に移動する(図6(b)参照)。
【0090】
したがって、ソレノイド112が作動していなければ、摺動部材116の位置に関わらず、言い換えれば、開閉部材76,83が開いているか閉じているかに関わらず、プランジャー114は前進位置にあり、シャッター片142は、入賞球を第2球通路部69上にせき止め可能な状態にある(図6(a)及び図7(b)参照)。よって、ソレノイド112の作動時でなければ、第2始動口51bに入賞した遊技球が第2始動口SW54bに検知されることはないため、開閉部材76,83の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がない。よって、開閉部材76,83を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を防止することができる。
【0091】
また、実施形態のパチンコ遊技機1では、プランジャー114は、摺動部材116とソレノイド本体113との間に、摺動部材116を前方位置に付勢するとともに摺動部材116を介してプランジャー114を前進位置に付勢する第1圧縮コイルばね118を有し、摺動部材116とプランジャー114の先端部114bとの間に、プランジャー114を前進位置へ付勢する第2圧縮コイルばね119を有している。そして、第2圧縮コイルばね119には、第1圧縮コイルばね118より復元力の小さいばねが用いられている。
【0092】
したがって、ソレノイド112が非作動であるときは、プランジャー114は、第1圧縮コイルばね118及び第2圧縮コイルばね119に付勢されて前進位置にあり、摺動部材116も、第2圧縮コイルばね119の復元力が第1圧縮コイルばね118の復元力よりも小さいことから、第1圧縮コイルばね118に付勢されて前方位置にある(図6(a)参照)。そして、この状態から、開閉部材76,83が強制的に開放されると、摺動部材116は第1圧縮コイルばね118の付勢力に抗して後退するが、プランジャー114は第2圧縮コイルばね119に付勢されているので前進位置のまま変位しない(図7(b)参照)。また、ソレノイド112が作動すれば、プランジャー114及び摺動部材116は、第1圧縮コイルばね118及び第2圧縮コイルばね119の付勢力に抗して後方に移動し、開閉部材76,83は第2始動口51bを開いた状態となる(図6(b)参照)。ここで、開閉部材76,83が第2始動口51bを開いた状態のまま強制的に保持されると、摺動部材116も後方位置に保持され、第1圧縮コイルばね118は復元不能となる。しかし、第2圧縮コイルばね118は復元可能であるため、ソレノイド112が非作動になれば、プランジャー114は第2弾性部材119により付勢されて前進位置に復帰する(図7(b)参照)。このように、実施形態のパチンコ遊技機1によれば、ソレノイド112が作動していなければ、プランジャー114は必ず前進位置にあり、シャッター片142によって入賞球が第2球通路部69上にせき止められるから、開閉部材76,83を強制的に開放して遊技球を入賞させても、入賞球は第2始動口SW54bに検知されない。したがって、開閉部材76,83の強制開放による遊技球の不正入賞を行っても不正行為者にとって利益がないため、開閉部材76,83を強制開放させて遊技球を不正に入賞させる行為を防止することができる。
【0093】
また、実施形態のパチンコ遊技機1における始動入賞装置5は、従来から利用されている始動入賞装置5に、プランジャーカバー135、シャッター片142、第2圧縮コイルばね119、および摺動部材116を組み付けて、連繋部材122の係合軸125,131を摺動部材116の係合溝116bに係合させた簡易な構成となっている。すなわち、従来の始動入賞装置5に対して複雑な加工を施すことなく、従来の始動入賞装置5を利用して製造することができるので、製造コストを低廉に抑えながら、開閉部材76,83の強制開放に対して対策の施された始動入賞装置5を構成することができる。
【0094】
また、実施形態のパチンコ遊技機1は、連繋部材122を固定することによって開閉部材76,83を開放不能に保持するのではなく、連繋部材122とは別の部材(シャッター片142)を用いて第2始動口51b内における遊技球の転動を規制して、強制開放された第2始動口51bに入賞した遊技球が検出されるのを規制している。よって、第2始動口51bを強制開放する不正行為に対処した始動入賞装置5を設計するに際して、連繋部材122の大きさや形状の影響を受けたり、ソレノイド112の配置位置(プランジャー114と開閉部材76,83との離隔距離)の影響を受けたりすることなく、シャッター片142を適宜設計するだけで、既存の始動入賞装置5を用いて設計することができる。
【0095】
2.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
【0096】
実施形態では、始動入賞装置5は、上下に2つの始動口51a、51bを有する装置として構成したが、上側の第1始動口51aを有さない構成、すなわち、上部球受部56を有さない構成としてもよい。
【0097】
また、実施形態では、本願発明に係る入賞装置を、第2始動口51bを有する始動入賞装置5として説明したが、大入賞口を有する大入賞装置として利用しても良い。この場合、大入賞装置は、上部球受部56を塞いで、又は上部球受部56を設けずに構成して、チューリップ型の大入賞装置として構成する。なお、この場合、開閉部材を開く所定条件は、大当たり抽選の結果大当たり又は小当たりに当選することとなる。
【0098】
また、実施形態では、駆動源としてソレノイド112を用いて構成したが、電動モータとラックアンドピニオンの組み合わせ等、他の駆動源に変更して構成してもよい。なお、駆動源として、電動モータとラックアンドピニオンの組み合わせを用いる場合には、実施形態におけるプランジャー(直動部材)の役割をラックが行うので、ラックに摺動部材や圧縮コイルばねを装着して入賞装置を構成する。
【符号の説明】
【0099】
1…パチンコ遊技機
5…始動入賞装置
51b…第2始動口(入賞口)
54b…第2始動口SW(遊技球検知器)
69…第2球通路部
76…左開閉部材
83…右開閉部材
99…第3球通路部
112…ソレノイド(駆動源)
113…ソレノイド本体(本体部)
114…プランジャー(直動部材)
114b…プランジャーの先端部
116…摺動部材
118…第1圧縮コイルばね(第1弾性部材)
119…第2圧縮コイルばね(第2弾性部材)
142…シャッター片(規制部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞口と、前記入賞口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を駆動する駆動源とを有する入賞装置であって、所定条件を満たすことにより前記駆動源が所定時間作動され、前記開閉部材が開いて遊技球の前記入賞口への入賞し易さが変化する入賞装置を備え、
前記入賞装置は、
前記入賞口に入賞した遊技球(以下「入賞球」という)を検知する遊技球検知器と、
前記入賞球を前記遊技球検知器に至らせる球通路部と、を備えて構成され、
前記入賞球が前記遊技球検知器によって検知されたことに基づいて大当たり抽選及び/又は所定個数の賞球がなされるパチンコ遊技機において、
前記入賞装置は、
前記駆動源によって駆動され、前記入賞球を前記遊技球検知器に至るまでの間でせき止め可能な規制部材を備え、
前記規制部材は、
前記駆動源の非作動時、遊技球が前記球通路部を通過するのを規制した状態にあり、前記駆動源が作動されると、遊技球が前記球通路部を通過するのを許容した状態となることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記駆動源は、前進後退可能な直動部材を備え、
該直動部材には、当該直動部材に沿って摺動可能な摺動部材が嵌着され、
前記開閉部材は、前記摺動部材が前方位置にあるとき前記入賞口を閉塞し、前記摺動部材が後方位置にあるとき前記入賞口を開放するよう、前記摺動部材に連結され、
前記規制部材は、前記直動部材が前進位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを規制し、前記直動部材が後退位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを許容するよう、前記直動部材に連結され、
前記駆動源の非作動時、前記摺動部材の位置に関わらず、前記直動部材は前進位置にあり、
前記駆動源の作動時、前記直動部材が後退するとともに、前記摺動部材が後方位置に移動することを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記駆動源は、前記直動部材としてのプランジャーと、該プランジャーを励磁する本体部とを備えたソレノイドとされ、
該プランジャーは、前記摺動部材と前記本体部との間に、前記摺動部材を前方位置に付勢するとともに前記摺動部材を介して当該プランジャーを前進位置に付勢する第1弾性部材を有し、前記摺動部材と当該プランジャーの先端部との間に、当該プランジャーを前進位置へ付勢する第2弾性部材を有し、
前記第2弾性部材は、前記第1弾性部材より復元力の小さい弾性部材とされていることを特徴とする請求項2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項1】
入賞口と、前記入賞口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を駆動する駆動源とを有する入賞装置であって、所定条件を満たすことにより前記駆動源が所定時間作動され、前記開閉部材が開いて遊技球の前記入賞口への入賞し易さが変化する入賞装置を備え、
前記入賞装置は、
前記入賞口に入賞した遊技球(以下「入賞球」という)を検知する遊技球検知器と、
前記入賞球を前記遊技球検知器に至らせる球通路部と、を備えて構成され、
前記入賞球が前記遊技球検知器によって検知されたことに基づいて大当たり抽選及び/又は所定個数の賞球がなされるパチンコ遊技機において、
前記入賞装置は、
前記駆動源によって駆動され、前記入賞球を前記遊技球検知器に至るまでの間でせき止め可能な規制部材を備え、
前記規制部材は、
前記駆動源の非作動時、遊技球が前記球通路部を通過するのを規制した状態にあり、前記駆動源が作動されると、遊技球が前記球通路部を通過するのを許容した状態となることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記駆動源は、前進後退可能な直動部材を備え、
該直動部材には、当該直動部材に沿って摺動可能な摺動部材が嵌着され、
前記開閉部材は、前記摺動部材が前方位置にあるとき前記入賞口を閉塞し、前記摺動部材が後方位置にあるとき前記入賞口を開放するよう、前記摺動部材に連結され、
前記規制部材は、前記直動部材が前進位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを規制し、前記直動部材が後退位置にあるとき遊技球が前記球通路部を通過するのを許容するよう、前記直動部材に連結され、
前記駆動源の非作動時、前記摺動部材の位置に関わらず、前記直動部材は前進位置にあり、
前記駆動源の作動時、前記直動部材が後退するとともに、前記摺動部材が後方位置に移動することを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記駆動源は、前記直動部材としてのプランジャーと、該プランジャーを励磁する本体部とを備えたソレノイドとされ、
該プランジャーは、前記摺動部材と前記本体部との間に、前記摺動部材を前方位置に付勢するとともに前記摺動部材を介して当該プランジャーを前進位置に付勢する第1弾性部材を有し、前記摺動部材と当該プランジャーの先端部との間に、当該プランジャーを前進位置へ付勢する第2弾性部材を有し、
前記第2弾性部材は、前記第1弾性部材より復元力の小さい弾性部材とされていることを特徴とする請求項2に記載のパチンコ遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−172833(P2011−172833A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40836(P2010−40836)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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