説明

パチンコ遊技機

【課題】糸を取り付けた遊技球によるパチンコ遊技機への不正行為を、糸が切断困難な場合であっても防止可能なパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】球受け皿から遊技領域に至る途中の遊技球の通路を形成する通路部材に、押圧部93と、押圧部93に連動して変位する阻止部92とが配設され、押圧部93は、原位置において、遊技球に連結された糸状部材は接触可能な位置であって遊技球は接触しない位置に配置され、糸状部材が緊張状態で押圧部93を押圧して原位置から変位させることにより、阻止部92が遊技球の通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位するように構成されたパチンコ遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸状部材を取り付けられた遊技球により行われる不正行為を防止可能なパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機に対する不正行為として、糸を取り付けた遊技球を遊技領域に向けて発射し、糸を操作することでその遊技球を始動入賞口まで誘導して、不正に大当たりを発生させるなどの行為がなされている。
【0003】
下記特許文献1には、糸を取り付けた遊技球を球計数器に流して、糸を操作することにより遊技球を球検知器付近で往復させて、不正に球を計数させる行為に対する対策として、玉センサ部分での反転するような遊技球の異常な移動を、レバースイッチで検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−85441号公報(第5〜7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糸を取り付けた遊技球によるパチンコ遊技機への不正行為に対する対策として、入賞口に上記特許文献1に記載のレバースイッチを設けるとすると、入賞口の設置スペースの増加を招き、液晶画面の拡大に伴って遊技領域が限られてきている昨今のパチンコ遊技機にとっては好ましくない。そこで、遊技球に取り付けられている糸を遊技機内で切断して不正行為を防止することが考えられるが、糸が太いときなどには切断困難であるため、不正行為を防止できない虞があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、糸を取り付けた遊技球によるパチンコ遊技機への不正行為を、糸が切断困難な場合であっても防止可能なパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパチンコ遊技機は、球受け皿からの遊技球が、遊技領域に発射され、前記遊技領域に配設された入賞口に入球可能に構成されるパチンコ遊技機であって、前記球受け皿から前記遊技領域に至る途中の遊技球の通路を形成する通路部材に、押圧部と、前記押圧部に連動して変位する阻止部とが配設され、前記押圧部は、原位置において、遊技球に連結された糸状部材は接触可能な位置であって遊技球は接触しない位置に配置され、前記糸状部材が緊張状態で前記押圧部を押圧して前記原位置から変位させることにより、前記阻止部が遊技球の通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、前記押圧部の前記糸状部材が接触する部位に、刃部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
遊技球に取り付けられた糸状部材が切断困難な場合には、押圧部が糸状部材に押圧されて阻止部が変位し、遊技球の通過が阻止されて、後続の遊技球が通過不可能となるので、糸状部材を取り付けた遊技球を入賞口に入球させることにより、大当たりを発生させても、不正行為者は大当たりの出玉を得られない。したがって、糸状部材が切断困難な場合であっても、糸状部材を取り付けた遊技球による不正行為を防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る第1実施形態のパチンコ遊技機の概略正面図である。
【図2】第1実施形態のパチンコ遊技機における本体枠に対して、前面枠を開けた状態を示す概略部分斜視図であり、遊技盤を省略している。
【図3】図2に示す状態から、球送り装置を外した状態を示す概略部分斜視図である。
【図4】図3に示す状態の本体枠側の発射装置に対し、球送り装置を配置させた状態と、球送り装置を外した状態とを示す概略斜視図である。
【図5】第1実施形態のパチンコ遊技機の本体枠側を示す概略正面図である。
【図6】第1実施形態の球送り装置を示す概略背面図である。
【図7】第1実施形態の球送り装置の概略分解斜視図である。
【図8】第1実施形態の球送り装置を示す概略正面図であり、阻止部が遊技球の通過を阻止しない状態(原位置)にあるときの図である。
【図9】第1実施形態の球送り装置を示す概略正面図であり、糸状部材を連結された遊技球が球送り部材に受け入れられた状態にあるときの図である。
【図10】第1実施形態の球送り装置を示す概略正面図であり、阻止部が遊技球の通過を阻止する状態(作動位置)にあるときの図である。
【図11】第1実施形態の球送り装置の要部斜視図である。
【図12】第1実施形態の球送り装置の要部分解斜視図である。
【図13】第1実施形態の球送り装置を通過した遊技球に連結された糸状部材が緊張状態とされたときの球送り装置の要部概略横断面図である。
【図14】本発明に係る第2実施形態の球送り装置を示す概略正面図であり、阻止部が遊技球の通過を阻止しない状態(原位置)にあるときの図である。
【図15】第2実施形態の球送り装置を示す概略正面図であり、阻止部が遊技球の通過を阻止する状態(作動位置)にあるときの図である。
【図16】本発明に係る第3実施形態の内側レール部の要部概略縦断面図であり、(a)は阻止部が遊技球の通過を阻止しない状態(原位置)、(b)は阻止部の係止が外れて阻止部が下方に揺動している途中の状態、(c)は阻止部が遊技球の通過を阻止する状態(作動位置)にあるときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈第1実施形態〉本発明の第1実施形態のパチンコ遊技機1は、図1,2に示すように、本体枠2と、本体枠2にヒンジ結合されて開閉可能な前面枠3と、を備えて構成されている。本体枠2は、外枠(機枠)2aと、外枠2aにヒンジ結合されて開閉可能とされ遊技盤5が設けられた中枠(内枠)2bと、を備えて構成されている。前面枠3は、遊技盤5の前方側に配置される透明なガラス部41と、ガラス部41の下方に配置されて、球受け皿44を設けた皿ユニット部43と、を備えて構成されている。皿ユニット部43には、遊技球を遊技盤5の遊技領域12に打ち出すために操作するハンドル48や、皿球抜きボタン49、通路球抜きボタン50、演出ボタン51が配設されている。
【0012】
遊技盤5の外縁側には、外側レール部9と内側レール部10とを有してなるレール部8が配設され、レール部8で囲まれた遊技領域12には、中央に配置され画像表示装置15が設けられたセンター役物14や、その周囲に配置される図示しない釘、風車17、各種の入賞口、アウト口23等の公知の部材が配設されている。各種の入賞口としては、普通入賞口18、賞球の無い入賞口(ゲート)19、第1始動入賞口20、第2始動入賞口(電動チューリップ)21、及び、大入賞口(アタッカー)22が設けらている。
【0013】
このパチンコ遊技機1では、ハンドル48を操作すれば、皿ユニット部43の内部に設けられた球送り装置60の後述する球送り部材70(図7参照)と、遊技盤5の下方に配置された発射装置30の発射杆32(図5,6参照)とが連動し、球受け皿44上の遊技球が、球送り装置60の球送り部材70によって、1球ずつ、発射装置30の後述する発射レール35上に送られ、ついで、発射装置30の発射杆32が、発射レール35上の遊技球Bを、叩いて発射させることから、遊技球が、発射装置30からレール部8を経て遊技領域12に打ち出されることとなる。
【0014】
そして、遊技領域12に打ち出された遊技球Bは、普通入賞口18、ゲート19、第1始動入賞口20、第2始動入賞口21、大入賞口22、アウト口23のいずれかに入球する。この時、遊技球が、普通入賞口18、第1始動入賞口20、開放時の第2始動入賞口21や大入賞口22に入賞すれば、所定数の遊技球が球受け皿44上に払い出され、ゲート19を通過すれば、抽選により第2始動入賞口21を所定時間若しくは所定回数開放させることとなる。また、遊技球が、第1始動入賞口20や開放時の第2始動入賞口21に入賞すれば、抽選により、大当たり、中当たり、小当たり等の当たりや外れが決定され、当たりとなれば、大入賞口22を、その当たりに応じて開放時間、開放回数、入賞個数等を制限して、開放することとなる。これらの作動や遊技フローは、公知のものであるので説明を省略するが、遊技盤5の背面側(後面側)に配置された図示しないメイン制御基板が、入賞時のセンシングに基づき、各種の作動信号を出力して、第2始動入賞口21を開放したり、大入賞口22を開放したりする。そして、メイン制御基板から受信した信号に基づいて、遊技盤5の背面側に配置された図示しない払出制御基板が、所定数の遊技球を払い出したり、遊技盤5の背面側に配置された図示しないサブ制御基板が、ランプ27やスピーカ28等を作動させつつ、所定の演出を画像表示装置15に表示したりする。
【0015】
発射装置30について説明すると、発射装置30は、図4〜6に示すように、前方側をカバー33に覆われた発射杆32と、発射通路34と、を備えて構成されている。発射杆32は、揺動中心部32aから放射状に延びる打球部32bとアーム部32cとを備え、揺動中心部32aが図示しないロータリソレノイドの通電によって回動されれば、発射杆32が、正面視で、打撃位置BPまで時計回り方向に回転し、発射通路34の発射レール35上にある遊技球Bを打球部32bによって叩き、ついで、ロータリソレノイドの通電停止により、発射杆32が、図示しない磁石の吸着力と自重とにより、反時計回り方向に回転して、復帰位置FPに復帰することとなる。なお、アーム部32cは、発射杆32の打撃位置BPと復帰位置FPとへの配置を的確に行えるように、図示しない所定のストッパに当接して、発射杆32を一定位置に配置できるように構成されるとともに、発射杆32の復帰時に、所定位置に配置された磁石に吸着されるように構成されている。
【0016】
発射通路34は、板金製で上面側をV字状に凹ませた発射レール35と、その周囲の下ガイドレール36及び上ガイドレール37と、を備えて構成され、さらに、後面側を、発射装置30のベース板31に囲われ、前面側を、前面枠3側の球送り装置60等の部材に囲われて、構成されている。発射レール35上で打球部32bに叩かれた遊技球Bは、発射通路34を上昇し、中枠2bに設けられた転動路2c等を経て、レール部8側に発射され、レール部8を経て、遊技領域12に打ち出される。
【0017】
レール部8の下方には、図2に示すように、前面枠3側に設けられた球案内樋部53が配設されている。この球案内樋部53は、発射装置30によって発射された遊技球Bが遊技領域12に打ち出されずにレール部8内を戻ってくる遊技球Bを、球受け皿44側に戻す戻し通路54を備えて構成され、外側レール部9の下端9aの下方に、戻し通路54の流入口54aを開口させている。さらに、球案内樋部53には、戻し通路54の後方側に配置されて、賞球や貸し出しで払い出される遊技球を、球受け皿44側に転動させる払出側通路55も、配設されている。なお、図2に示す符号55aは、払出側通路55の流入口であり、符号56は、発射通路34を上昇する遊技球を転動させる転動路である。
【0018】
球送り装置60は、図2,3に示すように、球受け皿44の遊技球Bの転動路45(図1参照)における終端(下端)の排出口46に連なるように、配設されている。なお、排出口46は、図3に示すように、前面枠3の後面に開口されており、その下縁側には、通路球抜きボタン50の操作によりスライドして、球受け皿44から下方に遊技球を排出するように開口するシャッタ47が、配設されている。
【0019】
球送り装置60は、図7に示すように、ケース61、ソレノイド64、揺動プレート65、球送り部材70、ガイドレール部材77、及び、規制部材90を備えて構成され、ケース61は、相互に締結される前カバー62と後カバー63とを備えて構成されている。ガイドレール部材77は、球受け皿44から遊技領域12に至る途中の遊技球Bの通路を形成する通路部材に相当する。
【0020】
ソレノイド64は、コ字形の支持プレート66に保持され、支持プレート66の前後端をそれぞれ前カバー62、後カバー63に形成された突起部に支持させることにより、位置決めして、前カバー62と後カバー63とを締結することにより、ケース61に組み付けられる。ソレノイド64は、通電時、揺動プレート65を吸着する。揺動プレート65は、上端を、支持プレート66に締結される引張りコイルばね67と連結させ、上下方向の中間の支持部65aを支持プレート66の係止片66a,66aに支持させている。そのため、揺動プレート65は、支持部65aを揺動中心として、ソレノイド64の通電により、先端部65bをソレノイド64側に接近させ、ソレノイド64の通電停止により、引張りコイルばね67の付勢力により、先端部65bをソレノイド64から離すように、揺動する。
【0021】
球送り部材70は、図7,13に示すように、平面視において略U字状をなし、「U」の字の底部71に軸支部71aが形成されている。そして、軸支部71aに支持ピン68を挿通させ、支持ピン68の上下両端を後カバー63に支持させることにより、球送り部材70は、支持ピン68を中心に、左右方向に揺動可能に配設されている。また、底部71の上面には、湾曲した半割り円筒状の突起74,75が突設され、突起74,75間に、揺動プレート65の先端部65bが嵌め込まれている。そのため、ソレノイド64の通電と通電停止とにより、揺動プレート65が支持部65aを中心として左右に揺動すれば、球送り部材70は、支持ピン68を中心として、左右に揺動することとなる。球送り部材70は、底部71から左右両側の前方に延びる二つの規制杆部72,73を備え、規制杆部72,73の間に、1個分の遊技球Bを収納できる凹部70aを形成している。規制杆部73は、上面は規制杆部72の上面と同じ高さであるが、規制杆部72よりも上下方向の厚みが薄く形成されている。
【0022】
ガイドレール部材77は、図6,7,13に示すように、転動路45の排出口46に連通するように、排出口46の後方に、排出口46に対向して流入口78を配置させ、流入口78から受け入れた遊技球Bを転動させるように転動路79を配設させている。転動路79は、底壁80と、転動路79の曲がる外周側に配置される側壁81と、を備えて構成されている。転動路79の終端は、遊技球Bを落下させる流下口82とされており、流下口82は、発射装置30の発射レール35の上面に遊技球を落下可能な位置に配置されている。転動路79の底壁80は、流入口78から左方に傾斜して下がり、さらに、後方に曲がりながら下がって、流下口82に向かうように形成されている。
【0023】
図8に示すように、ソレノイド64の非通電時には、揺動プレート65の先端部65bがソレノイド64から離れた位置に配置されて、球送り部材70が左方に揺動した状態とされ、ガイドレール部材77の流入口78に、規制杆部72の前面の受止面72aが臨むこととなる。流入口78は、上述したように、転動路45の排出口46に対向して配置されているので、ソレノイド64の非通電時には、規制杆部72の受止面72aが、排出口46に配置されている遊技球Bの球送り装置60側への流入を阻止することとなる。
【0024】
そして、図9に示すように、ソレノイド64の通電に伴って、揺動プレート65がソレノイド64に接近する方向に揺動すれば、規制杆部72が右方に揺動し、受止面72aが流入口78から右方にずれるため、排出口46に配置されていた遊技球Bが凹部70a内に進入する。また、この図9に示す状態、すなわち、規制杆部73が右方に揺動した状態では、転動路79の底壁80から規制杆部73の下面までの幅(高さ)は、遊技球Bの直径より小さくなっているので、凹部70aに進入した遊技球Bは、規制杆部73の下方を潜り抜けられない。ついで、ソレノイド64への通電停止により、コイルばね67の付勢力が作用して、揺動プレート65がソレノイド64から離れれば、規制杆部72,73は左方に揺動し、規制杆部72の受止面72aが、流入口78に臨む位置に復帰する。すると、底壁80は左方が下がっているため、底壁80から規制杆部73の下面までの幅は、遊技球Bの直径より大きくなり、凹部70a内に収納されていた遊技球Bは、規制杆部73の下方を潜り抜けるように、左下がりの転動路79の底壁80(図7参照)上を、左方に転動し、さらに後方に転動して、流下口82から、発射レール35の上面に落下することとなる。すなわち、ソレノイド64の1サイクル分の通電・通電停止により、球送り部材70が1回分左右に揺動し、排出口46からガイドレール部材77の流入口78に流入しようと待機していた遊技球Bが、1個ずつ、転動路79を経て、転動路79の終端の流下口82から、発射装置30に送られることとなる。
【0025】
図8,11,12に示すように、ガイドレール部材77には、流入口78を入ってすぐ右側の規制部材収納部83に、規制部材90が配設されている。規制部材90は、板金製で、図8に示す原位置(初期位置。非作動位置。)において左側が開放された略半割り円筒状の基部91と、基部91の軸方向に沿った一端部(上側の端部)から原位置において左斜め上方に延設された板状の阻止部92と、を備えて構成されている。基部91の阻止部92が延設された側とは反対側の他端部(下側の端部)は、押圧部93とされ、押圧部93の前端角部は、図12の円内に示す拡大図のように、前方に突出する薄い切り刃状の刃部93aとされている。基部91には、合成樹脂製の円筒状の軸挿通部94が嵌め込まれて固着されている。軸挿通部94には軸95が挿通され、軸95は、一端が、規制部材収納部83の前壁部83aに形成された軸受部84に支持され、他端が、補助壁部85に形成された軸受部86に支持されている。したがって、規制部材90は、軸95を中心に回動可能であり、阻止部92は押圧部93に連動して変位する。
【0026】
また、流入口78の上方の壁部の後面、及び、補助壁部85の左側上端部の前面には、互いに対向する位置に、それぞれ、突起部96,97が形成され、規制部材90が図8,11に示す原位置にあるとき、阻止部92の先端部の両側が突起部96,97に点接触し、阻止部92は自重で下方に揺動しないように突起部96,97で係止されている。また、規制部材90が原位置にあるとき、阻止部92は、図9に示すように、遊技球Bの流入口78の通過を阻止せず、球送り部材70の凹部70aへの遊技球Bの流入を妨げない。なお、遊技球Bの球送りや発射による振動では突起部96,97による阻止部92の係止が解除されず、かつ、押圧部93が糸状部材Sで押圧されたときには突起部96,97による阻止部92の係止が解除されるように、突起部96,97と阻止部92との接触面積や接触部位の形状等が定められる。
【0027】
補助壁部85は、規制部材収納部83の後壁をなし、前壁部83aとの間に規制部材90を挟むように、ガイドレール部材77に後方から嵌め込まれ、螺子87で前壁部83aに固定されている。補助壁部85には、前方に延びる保護壁部88が形成され、保護壁部88は、遊技球Bが規制部材90の軸挿通部94に接触しないようにするために、軸挿通部94の左方(転動路79側)に配置され、保護壁部88の上方には、補助壁部85、前壁部83a、及び、ガイドレール部材77の上壁部で囲まれることにより、阻止部92が挿通される開口部98が形成される。保護壁部88の下端面と、転動路79の底壁80の上面との間は、後述するスリット89aに連通するスリット89bとされている。
【0028】
前壁部83aには、流入口78の右下角部から右方に凹むスリット89aが、形成されている。そして、前壁部83aには、スリット89aに向かって後方に傾斜する傾斜面83bが形成されている。規制部材90が図8,11に示す原位置にあるとき、押圧部93は、正面視においてスリット89a内に突出するように(すなわち、正面視においてスリット89aの右端から左方に突出するが、流入口78には突出しないように)配置される。スリット89aはスリット89bに連通し、スリット89aとスリット89bとでスリット89が構成されている。スリット89内には遊技球Bは侵入できないが、遊技球Bに連結された糸状部材Sは侵入できるので、押圧部93は、原位置において、糸状部材Sは接触可能な位置であって遊技球Bは接触しない位置に配置されることとなる。
【0029】
以上のように構成されたパチンコ遊技機1に対し、不正行為者は、可撓性を有した釣り糸やたこ糸のような糸状部材Sを連結した遊技球Bを、通常の遊技球Bと同様に、ハンドル48を操作して、球受け皿44から球送り装置60を経て発射装置30に送り、発射装置30から遊技領域12へ打ち出す。その際、糸状部材Sの遊技球B側とは反対側である元部側は、球受け皿44側に残しておく。そして、不正行為者は、その糸状部材Sの元部側を引っ張ったり繰り出したりして、遊技球Bを操作し、遊技球Bを、第1始動入賞口20,第2始動入賞口21に入球させ、それらの入賞スイッチ(球検知スイッチ)25の部位で、糸状部材Sを操作して、遊技球Bを往復移動させることにより、入賞スイッチ25を何回もオンさせて、大当たりを発生させるようにする。
【0030】
ところで、不正行為者が、上述したように、ハンドル48を操作して、糸状部材Sを付けた遊技球Bを、遊技領域12に発射すると、図5に示すように、糸状部材Sが内側レール部10の先端の戻り防止片100や、遊技領域12に突設されている図示しない釘等に引掛かる。この状態で、不正行為者が糸状部材Sを引っ張ると、流入口78に対して球受け皿44の転動路45は右方から接続されているため、糸状部材Sは、図10,13の二点鎖線に示すように、流入口78の右方からガイドレール部材77に入って、球送り部材70の下方を通り、あるいは、球送り部材70に引っ掛かり、さらに、遊技球Bが図5に示すように左方の上方に打ち出されることにより、転動路79の流下口82側の端部が挿通される後カバー63の開口部63a(図7参照)の左上角部に引っ掛かった状態で、緊張状態(張った状態)となる。なお、糸状部材Sが緊張状態となる場合は、例えば、球受け皿44側に糸状部材Sの元部側を残した状態で、遊技球Bが落下する重量を糸状部材Sにかけた際や、遊技球Bが発射装置30により発射されて糸状部材Sを牽引した際、あるいは、遊技球Bが遊技領域12に打ち出された状態で、糸状部材Sの元部側を引っ張った際等に、生じる。
【0031】
ここで、遊技球Bは、流入口78の右方からガイドレール部材77に入って、左方の下方に流下するので、糸状部材Sは、右方からガイドレール部材77に入って左方の下方に引っ張られることとなり、流入口78の右下角部から延設されているスリット89に侵入し易い。さらに、糸状部材Sは、前壁部83aのスリット89の上方に引っ掛かったときも、緊張状態とされて引っ張られたり繰り出されたりすると、前壁部83aの傾斜面83bを滑ってスリット89に侵入することとなる。したがって、糸状部材Sは、緊張状態とされて引っ張られたり繰り出されたりしたとき、スリット89の奥に配置されている押圧部93に接触し、この状態で糸状部材Sが往復動して押圧部93を押圧することとなるので、規制部材90に対して正面視において反時計回りに回動させる力が加わり、押圧部93が原位置から正面視において反時計回りに変位する。阻止部92は、かかる押圧部93の変位に連動して、先端部が突起部96,97による係止から外れ、自重で下方に揺動し、保護壁部88に当接して、図10に示すように、流入口78の中央付近であって球送り部材70の前方に突出し、その状態を維持することとなる。すなわち、阻止部92が遊技球Bの通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位する。このため、糸状部材Sが連結された遊技球Bに後続する遊技球Bは、流入口78を通過できなくなり、発射装置30に送られなくなる。したがって、不正行為者は、糸状部材Sが連結された遊技球Bにより大当たりを発生させたとしても、大入賞口22に後続の遊技球Bを入球させることができず、大当たりの出玉を得ることができない。なお、阻止部92を、遊技球Bの通過を阻止する状態から原位置に復帰させるには、前面枠3を開放し、球送り装置60を取り外して、手動で復帰させる。
【0032】
このように、第1実施形態によれば、遊技球Bに取り付けられた糸状部材Sが太いときなど切断困難なときであっても、押圧部93が糸状部材Sに押圧されて阻止部92が変位し、後続の遊技球Bが通過しないようになるので、糸状部材Sを取り付けた遊技球Bにより大当たりを発生させても、不正行為者は出玉を得られず、不正行為を中止することとなる。したがって、糸状部材Sが切断困難な場合であっても、糸状部材Sを取り付けた遊技球Bによる不正行為を防止可能である。
【0033】
また、糸状部材Sは、緊張状態で押圧部93に接触して引っ張られたり繰り出されたりしたとき、押圧部93に設けられている刃部93aに接触して刃部93a上を緊張状態で往復動することとなるので、糸状部材Sが細いときなどには刃部93aにより切断されることとなる。したがって、糸状部材Sが連結された遊技球Bを用いた不正行為を、より防止可能となる。
【0034】
また、刃部93aはスリット89の奥に配置されているので、球送り装置60の組付け時に作業者に接触したり、遊技時に遊技球Bと接触したりすることを防止できて、作業者や正常遊技時の遊技球Bを傷付けることを防止できる。
【0035】
〈第2実施形態〉次に、本発明の第2実施形態のパチンコ遊技機について説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と異なるのは、球送り装置と、球受け皿側の転動路の排出口の位置のみであるので、第2実施形態の球送り装置60Aについて主に説明することとし、球送り装置60Aの構成要素で第1実施形態の球送り装置60の構成要素に対応するものについては、第1実施形態の符号にAを付して、球送り装置60A以外の構成要素については第1実施形態と同じ符号を用いて、説明を適宜省略する。
【0036】
図14に示すように、球送り装置60Aは、球受け皿44から遊技領域12に至る途中の遊技球Bの通路を形成する通路部材に相当し、ケース61A、ソレノイド64A、揺動プレート65A、球送り部材70A、及び、規制部材90A、を備えて構成され、ケース61Aは、相互に締結される前カバー62Aと後カバー63Aとを備えて構成されている。
【0037】
ソレノイド64Aは、第1実施形態のソレノイド64と同様に、前カバー62Aと後カバー63Aとを締結することにより、ケース61Aに組み付けられる。ソレノイド64Aは、通電時、揺動プレート65Aを吸着する。揺動プレート65Aは、支持部65aAを揺動中心として、ソレノイド64Aの通電により、先端部65bAをソレノイド64A側に接近させ、ソレノイド64Aの通電停止により、引張りコイルばね67Aの付勢力により、先端部65bAをソレノイド64Aから離すように、揺動する。
【0038】
球送り部材70Aは、正面視において略U字状をなし、「U」の字の底部71Aに支持ピン68Aを挿通させ、支持ピン68Aの前後両端をケース61Aに支持させることにより、球送り部材70Aは、支持ピン68Aを中心に、上下方向に揺動可能に配設されている。また、底部71Aの右側部には、揺動プレート65Aの先端部65bAが嵌め込まれている。そのため、ソレノイド64Aの通電と通電停止とにより、揺動プレート65Aが支持部65aAを中心として上下に揺動すれば、球送り部材70Aは、支持ピン68Aを中心として、上下に揺動することとなる。球送り部材70Aは、底部71Aから左方及び下方に延びる二つの規制杆部72A,73Aを備え、規制杆部72A,73Aの間に、1個分の遊技球Bを収納できる凹部70aAを形成している。
【0039】
ケース61Aは、前カバー62Aに形成された流入口78Aを備え、流入口78Aは、球受け皿44の転動路45(図1参照)における終端(下端)の排出口46に連通するように、排出口46に対向して、排出口46の後方に配置されている。なお、流入口78Aに対して、転動路45は右方から接続されている。また、排出口46は、第1実施形態よりも左方の位置とされている。ケース61A内には、流入口78から受け入れた遊技球Bを下方に転動させる転動路79Aが、形成されている。転動路79Aの終端は、後カバー63Aに形成されて遊技球Bを落下させる流下口82Aとされている。流下口82Aは、流入口78Aより下方に設けられるとともに、発射装置30の発射レール35の上面に遊技球を落下可能な位置に配置されている。
【0040】
図14に示すように、ソレノイド64Aの非通電時には、揺動プレート65Aの先端部65bAがソレノイド64Aから離れた位置に配置されて、球送り部材70Aが下方に揺動した状態とされ、流入口78Aの中央部に、規制杆部72Aの前面の受止面72aAが配置され、受止面72aAが、排出口46に配置されている遊技球Bの球送り装置60A側への流入を阻止することとなる。そして、図14の二点鎖線に示すように、ソレノイド64Aの通電に伴って、揺動プレート65Aがソレノイド64Aに接近する方向に揺動すれば、規制杆部72Aが上方に揺動し、受止面72aAが上方にずれるため、排出口46に配置されていた遊技球Bが凹部70aA内に進入し、後カバー63A及び規制杆部73Aに支持される。ついで、ソレノイド64Aへの通電停止により、揺動プレート65Aがソレノイド64Aから離れれば、球送り部材70Aが下方に揺動して、凹部70aA内に収納されていた遊技球Bは、規制杆部73Aによる支持を失って、転動路79Aを下方に転動し、流下口82Aから発射レール35の上面に落下することとなる。すなわち、ソレノイド64Aの1サイクル分の通電・通電停止により、球送り部材70Aが1回分上下に揺動し、排出口46から流入口78Aに流入しようと待機していた遊技球Bが、1個ずつ、転動路79Aを経て、流下口82Aから発射装置30に送られることとなる。
【0041】
ケース61Aには、流入口78Aを入ってすぐ右側であって球送り部材70より前方(図14紙面手前)に、規制部材90Aが配設されている。規制部材90Aは、板金製で、第1実施形態の規制部材90と同様に、図14に示す原位置において左側が開放された略半割り円筒状の基部91Aと、基部91Aの軸方向に沿った一端部(上側の端部)から原位置において左斜め上方に延設された板状の阻止部92Aと、を備えて構成されている。基部91Aの他端部(下側の端部)は、押圧部93Aとされ、押圧部93Aの前端角部は、第1実施形態と同様に、刃部とされている。基部91Aには、合成樹脂製の円筒状の軸挿通部94Aが嵌め込まれて固着されている。軸挿通部94Aには支持ピン68Aが挿通され、規制部材90Aは、支持ピン68Aを中心に揺動可能であり、阻止部92Aは押圧部93Aに連動して変位する。阻止部92Aの先端部の上面側には突出部99が形成され、突出部99は、ケース61A内に設けられているストッパ部69に当接して、阻止部92Aが、図14に示す原位置よりも右方へ揺動しないようにしている。また、阻止部92Aが図14に示す原位置にあるとき、阻止部92Aの先端部とケース61A内に形成された図示しない突起部とが接触して、突起部は阻止部92Aが自重で下方に揺動しないように阻止部92Aを係止している。なお、遊技球Bの球送りや発射による振動では突起部による阻止部92Aの係止が解除されず、かつ、押圧部93Aが糸状部材Sで押圧されたときには突起部による阻止部92Aの係止が解除されるように、突起部と阻止部92Aとの接触面積や接触部位の形状等が定められる。
【0042】
前カバー62Aには、流入口78Aの右下角部から右方に凹むスリット89aAが、形成されている。規制部材90Aが図14に示す原位置にあるとき、押圧部93Aは、正面視においてスリット89aA内に突出するように(すなわち、正面視においてスリット89aAの右端から左方に突出するが、流入口78Aには突出しないように)配置される。スリット89aA内には遊技球Bは侵入できないが、遊技球Bに連結された糸状部材Sは侵入できるので、押圧部93Aは、原位置において、糸状部材Sは接触可能な位置であって遊技球Bは接触しない位置に配置されることとなる。
【0043】
以上のように構成された第2実施形態のパチンコ遊技機に対し、不正行為者は、糸状部材Sを連結した遊技球Bを、通常の遊技球と同様に、ハンドル48を操作して、球受け皿44から球送り装置60を経て発射装置30に送り、発射装置30から遊技領域12へ打ち出す。その際、糸状部材Sの遊技球B側とは反対側である元部側は、球受け皿44側に残しておく。そして、不正行為者は、その糸状部材Sの元部側を引っ張ったり繰り出したりして、遊技球Bを操作する。
【0044】
遊技球Bは、遊技領域12に発射されると、第1実施形態と同様に、糸状部材Sが内側レール部10の先端の戻り防止片100や、遊技領域12に突設されている図示しない釘等に引っ掛かる。また、遊技球Bは、流入口78Aの右方からケース61A内に入って、左方の下方に流下することから、遊技球Bに連結された糸状部材Sは、下方に引っ張られて、流入口78Aの下端縁に引っ掛かり、この状態で、不正行為者が糸状部材Sを引っ張ると、流入口78Aに対して球受け皿44の転動路45は右方から接続されており、糸状部材Sは右方に引っ張られることとなるので、図15の二点鎖線に示すように、糸状部材Sは、流入口78Aの右下角部に右方に凹むように設けられているスリット89aAに侵入することとなる。そして、糸状部材Sは、スリット89aAに侵入した状態で引っ張られて緊張状態にされたとき、あるいは、そのような緊張状態で往復動されたときに、スリット89aAの奥に配置されている押圧部93Aに接触し、押圧部93Aを押圧することとなるので、規制部材90Aに対して正面視において反時計回りに回動させる力が加わり、阻止部92Aは、先端部が図示しない突起部による係止から外れて、自重で下方に揺動し、軸挿通部94Aの左方に設けられた図示しない保護壁部に当接して、図15に示すように、流入口78Aの中央付近であって球送り部材70の前方に突出し、その状態を維持することとなる。すなわち、阻止部92Aが、遊技球Bの通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位する。したがって、球送り部材70Aが上方へ(図14の二点鎖線で示す位置に)揺動したとしても、糸状部材Sが連結された遊技球Bに後続する遊技球Bは、流入口78Aを通過できなくなり、発射装置30に送られなくなる。
【0045】
このように、第2実施形態によっても、押圧部93Aが糸状部材Sに押圧されて、阻止部92Aが遊技球Bの通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位することにより、糸状部材Sが連結された遊技球Bに後続する遊技球Bは、流入口78Aを通過できなくなり、発射装置30に送られなくなるため、不正行為者は、糸状部材Sが連結された遊技球Bにより大当たりを発生させたとしても、大当たりの出玉を得ることができない。したがって、糸状部材Sが切断困難な場合であっても、糸状部材Sを取り付けた遊技球Bによる不正行為を防止可能である。
【0046】
また、第1実施形態と同様に、押圧部93Aの前端角部は刃部とされ、糸状部材Sは緊張状態でその刃部上を往復動することとなるので、糸状部材Sが細いときなどには刃部により切断される。したがって、糸状部材Sが連結された遊技球Bを用いた不正行為が、防止されることとなる。
【0047】
また、第1実施形態と同様に、刃部はスリット89aAの奥に配置されているので、作業者や正常遊技時の遊技球Bを傷付けることを防止できる。
【0048】
〈第3実施形態〉次に、阻止部と押圧部とを、球送り装置ではなく、内側レール部10に配設した第3実施形態について、図16に基づいて説明する。内側レール部10も、球受け皿44から遊技領域12に至る途中の遊技球Bの通路を形成する通路部材に相当する。なお、第1実施形態の構成要素に対応する構成要素については、第1実施形態と同じ符号を用い、あるいは、第1実施形態の符号にBを付して、説明を適宜省略する。
【0049】
第3実施形態では、図16(a)に示すように、内側レール部10において糸状部材Sが接触する部位(図5の符号10aの部位)に、糸状部材Sは侵入するが遊技球Bは侵入しない幅のスリット101が、内側レール部10に沿って形成されている。また、スリット101に連接して、矩形状の孔102が、内側レール部10に形成されている。なお、孔102は、スリット101に対して後方(図16紙面奥)に連接されている。そして、内側レール部10の右側(遊技領域12側)に規制部材90Bが配設されている。規制部材90Bは、遊技領域12内の遊技球Bが接触しないように、遊技領域12側がカバー103で覆われている。
【0050】
規制部材90Bは、合成樹脂製で、軸95Bが挿通された円筒状の基部91Bと、基部91Bから前方(図16紙面手前)に突出する押圧部93Bと、基部91Bから図16(a)に示す原位置において上方に突出する阻止部92Bとを備え、軸95Bを中心に上下方向に回動可能に配設されている。阻止部92Bは、原位置にあるとき、カバー103に形成された突起部104に点接触することにより、係止されている。また、押圧部93Bは、スリット101に臨むように、スリット101の右方に配置されている。したがって、押圧部93Bは、原位置において、遊技球Bに連結された糸状部材Sは接触可能な位置であって遊技球Bは接触しない位置に、配置されている。阻止部92Bは、孔102に臨むように、孔102の右方に配置されている。
【0051】
以上のように構成された第3実施形態では、糸状部材Sが連結された遊技球Bが遊技領域12に発射されて、戻り防止片100や釘等に引っ掛かった状態で、糸状部材Sの元部側が引っ張られて緊張状態にされると、図16(b)に示すように、糸状部材Sがスリット101内に入り込んで押圧部93Bを押圧することとなる。すると、規制部材90Bを正面視において反時計回りに回動させようとする力が加わって、突起部104による阻止部92Bの係止が外れ、規制部材90Bが自重で回動して、図16(c)に示すように、阻止部92Bが、孔102から、内側レール部10と外側レール部9との間の遊技球通路11に突出し、後続する遊技球Bの通過を阻止することとなる。したがって、不正行為者は、糸状部材Sが連結された遊技球Bにより大当たりを発生させたとしても、大当たりの出玉を得ることができず、糸状部材Sが切断困難な場合であっても、糸状部材Sを取り付けた遊技球Bによる不正行為を防止可能である。なお、阻止部92Bが、遊技球通路11に突出したときに外側レール部9に係止され、その係止が遊技球Bが衝突しても解除されないように構成することが好ましい。また、押圧部93Bを金属製として、その糸状部材Sが接触する部位を、刃部としてもよい。
【0052】
<変形例>以下、変形例について、第2,3実施形態における符号は省略しながら、説明する。
【0053】
上記各実施形態では、阻止部92と押圧部93とを1つの規制部材90に設けたが、阻止部92と押圧部93とはそれぞれ別の部材に設けてもよい。要するに、阻止部92と押圧部93とが連動して、押圧部93を押圧することにより、阻止部92が遊技球の通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位するように構成されていればよい。
【0054】
また、第1、2実施形態では、押圧部93を、流入口78の右下角部から延設したスリット89の奥に配置したが、流入口78に対して転動路45が左方から連結される場合には、流入口78の左下角部からスリット89を延設して、その奥に配置してもよい。また、糸状部材Sが引っ掛かると予想される後カバー63の開口部63aの左上角部に、同様にスリットを設けて、その奥に押圧部93を配置し、阻止部92を開口部63a付近に配置して、流下口82への遊技球Bの流下を阻止するように構成してもよい。すなわち、押圧部93の配置位置は、糸状部材Sの予想される架設状態によって、適宜変更可能であり、要するに、押圧部93は、糸状部材Sが接触する可能性の高い位置であって、遊技球Bが接触しない位置に配置すればよい。糸状部材Sが接触する可能性の高い位置には、流入口78のように通路部材に遊技球Bが流入するときの流入口の角部や縁部、内側レール部10の部位10aのように、通路が曲がっているときの内側の通路面等がある。なお、押圧部93は、少なくとも原位置において(少なくとも原位置にあるとき)、糸状部材Sが接触可能な位置であって遊技球Bは接触しない位置に配置されていればよい。
【0055】
また、阻止部92と押圧部93とを、例えば、球受け皿44側の転動路45を形成する通路部材等、他の通路部材に設けてもよい。
【0056】
また、刃部93aを、切り刃状とせず、切断砥石・やすり・サンドペーパ等の細かい凹凸を設けた研削具から形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…パチンコ遊技機、
10…内側レール部、
12…遊技領域、
20…第1始動入賞口、
21…第2始動入賞口、
44…球受け皿、
60,60A…球送り装置、
77…ガイドレール部材、
92,92A,92B…阻止部、
93,93A,93B…押圧部、
93a…刃部、
S…糸状部材、
B…遊技球。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球受け皿からの遊技球が、遊技領域に発射され、前記遊技領域に配設された入賞口に入球可能に構成されるパチンコ遊技機であって、
前記球受け皿から前記遊技領域に至る途中の遊技球の通路を形成する通路部材に、押圧部と、前記押圧部に連動して変位する阻止部とが配設され、
前記押圧部は、原位置において、遊技球に連結された糸状部材は接触可能な位置であって遊技球は接触しない位置に配置され、
前記糸状部材が緊張状態で前記押圧部を押圧して前記原位置から変位させることにより、前記阻止部が遊技球の通過を阻止しない状態から阻止する状態に変位するように構成されたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記押圧部の前記糸状部材が接触する部位に、刃部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のパチンコ遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−196387(P2012−196387A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63749(P2011−63749)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】