パチンコ遊技機
【課題】ゲート板の誤動作をなくすためのカバー壁を設ける必要がなく、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅を十分に確保する。
【解決手段】内ガイドレール1の終端位置に球戻り防止機構を設けて遊技領域から案内路へ遊技球Pが逆戻りするのを防止する。球戻り防止機構は、内ガイドレール1の終端位置の盤面上に固定され板厚方向に貫通する軸支孔32が形成された取付基板3と、取付基板3の軸支孔32に回動自由に支持される軸部5を有し取付基板3上に突出した軸部5の一端部側の外周面にゲート板6が一体形成されたゲート部材4とを備える。軸部5の他端部側は遊技盤16内に形成された空間部分18に突出し、その突出部分にゲート板6が案内路11を閉じた状態となるよう軸部5をその軸芯の周りに付勢する付勢機構7が設けられる。
【解決手段】内ガイドレール1の終端位置に球戻り防止機構を設けて遊技領域から案内路へ遊技球Pが逆戻りするのを防止する。球戻り防止機構は、内ガイドレール1の終端位置の盤面上に固定され板厚方向に貫通する軸支孔32が形成された取付基板3と、取付基板3の軸支孔32に回動自由に支持される軸部5を有し取付基板3上に突出した軸部5の一端部側の外周面にゲート板6が一体形成されたゲート部材4とを備える。軸部5の他端部側は遊技盤16内に形成された空間部分18に突出し、その突出部分にゲート板6が案内路11を閉じた状態となるよう軸部5をその軸芯の周りに付勢する付勢機構7が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発射装置から発射された遊技球が案内路より盤面上の遊技領域へ導かれて遊技が展開されるパチンコ遊技機に関し、この発明は特に、遊技領域から案内路へ遊技球が逆戻りするのを防止する球戻り防止機構が備えられたパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なパチンコ遊技機では、図14に示すように、発射装置(図示せず)から発射された遊技球が内外のガイドレール1,10間に形成された案内路11を通って盤面上の遊技領域12へ導かれるようになっている。遊技領域12へ導かれた遊技球は盤面上の障害釘などに衝突しながら盤面を落下するが、遊技領域12から案内路11へ跳ね返った遊技球が逆戻りしないように、内側のガイドレール1の終端位置に球戻り防止機構8が設けられている。なお、図中、13は球発射用のハンドル、14は液晶ディスプレイを内蔵したセンター役物であり、盤面上の障害釘、入賞口、アウト口などの図示は省略してある。
【0003】
前記の球戻り防止機構8として、例えば、図15に示す構成のものがあり、ケース体80の内部に、ゲート板81が案内路11を開閉するようにその基端部が回動自由に軸支されるとともに、軸支部82を挟んでゲート板81と反対側に、ゲート板81が案内路11を閉じるよう付勢する錘部83が設けられている(例えば、特許文献1参照)。図中、1,10は内外のガイドレールである。
【0004】
この種の球戻り防止機構8では、ケース体80が遊技領域へ大きく張り出すため、特に、盤面中央に大型の液晶ディスプレイを内蔵したセンター役物が配置されている場合、球戻り防止機構8とセンター役物との間の球通路が狭くなるため、障害釘を配置することの自由度が低下する。また、球戻り防止機構8とセンター役物との間の球通路が狭いと、球筋が限定されることになり、パチンコ遊技が単純となって興趣に欠けるものとなる。
【0005】
上記の球戻り防止機構8は、軸支部82を挟んでゲート板81と反対側に錘部83が長く突き出た構造であるため、ケース体80の遊技領域への張り出し量が大きなものとなり、この種の構造の不都合を解消するため、図16に示す構造の球戻り防止機構9が提案されている。図示の球戻り防止機構9は、軸支部92を挟んでゲート板91と反対側に基板部93を短く突出させ、その基板部93の先端から軸方向へ延設したロッド部(図示せず)を介して錘部94を設け、錘部94を遊技盤に形成した錘収容孔部95に移動可能に収容したものである(例えば、特許文献2参照)。図中、1,10は内外のガイドレールである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3167683号公報
【特許文献2】特開2011−50560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この球戻り防止機構9では、基板部93の突出長さは短いが、遊技領域を通過する遊技球が基板部93に衝突すると、ゲート板91が不測のタイミングで開くおそれがあるため、遊技領域の側を覆うカバー壁96を設けることが不可欠であり、その分、球戻り防止機構9とセンター役物との間の通路幅が狭められ、障害釘を配置することの自由度が低下する。しかも、遊技盤の盤面には、錘部94を移動可能に収容する錘収容孔部95が開口するので、この開口部より遊技球に付着したゴミや埃が侵入し、錘部94の動きを阻害するおそれがあり、メンテナンスを頻繁に行うことが必要となるなどの問題もある。
【0008】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、ゲート板の誤動作をなくすためのカバー壁を設ける必要がなく、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅を十分に確保できて障害釘を配置することの自由度を低下させず、頻繁なメンテナンスを必要としないパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるパチンコ遊技機は、発射された遊技球を遊技盤の盤面上の遊技領域へ導くための外ガイドレールと、その内側に設けられた内ガイドレールとの間に案内路を有し、前記内ガイドレールの終端位置には、前記案内路を開閉するゲート板を有する球戻り防止機構を設けて、遊技領域から案内路へ遊技球が逆戻りするのを防止するようにしたものである。前記球戻り防止機構は、内ガイドレールの終端位置の盤面上に固定され遊技盤の板厚方向に貫通する軸支孔が形成された取付基板と、取付基板の前記軸支孔に回動自由に支持される軸部を有し取付基板上に突出した軸部の一端部側に前記ゲート板が一体形成されたゲート部材とを備えている。前記軸部の他端部側は、遊技盤内に形成された空間部分または遊技盤の背後に突出し、その突出部分に前記ゲート板が案内路を閉じるよう軸部をその軸芯の周りに付勢する付勢機構が設けられている。
【0010】
上記した構成のパチンコ遊技機では、内ガイドレールの終端位置に球戻り防止機構が設けられているので、案内路より遊技領域へ至った遊技球は球戻り防止機構のゲート板によって遊技領域から案内路へ逆戻りするのが防止される。また、球戻り防止機構は、取付基板上にゲート板を一体に備えた軸部のみが露出する構成のものであるから、遊技領域の側を壁で覆う必要がなく、その分、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅が広くなり、障害釘を配置することの自由度を低下させない。また、軸部に遊技球が衝突しても、それによってゲート板が誤動作するおそれはなく、遊技球が遊技領域から案内路へ逆戻りするのが確実に防止される。
【0011】
上記の付勢機構として種々の態様のものが考えられるが、そのひとつの態様は、軸部の外周のゲート板と所定の角度をなす位置に配設された錘により構成されるものである。
【0012】
また、付勢機構の他の態様は、軸部の外周に配設されたコイルバネにより構成されるものであり、さらに他の態様は、中空体に形成された軸部の中空内部に配設された板バネにより構成されるものである。
【0013】
いずれの態様の付勢機構も、取付基板上に露出せず、遊技領域の側に壁を設ける必要がないので、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅が狭められたり、遊技球の衝突による誤動作が発生したりするおそれがない。また、遊技球との接触により付勢機構に汚れが付着して性能の低下を招くことがなく、盤面の清掃時に作業員が付勢機構に接触することで性能に悪影響を及ぼしたりするおそれもない。
【0014】
内ガイドレールは、必要に応じて、その終端に軸部の遊技領域の側の外周面に沿うカバー部を一体形成することが可能である。この実施態様によると、遊技領域を落下する遊技球が球戻り防止機構の軸部に勢いよく衝突するのが防止され、また、遊技球との接触により汚れが付着することもない。
【0015】
この発明の上記した構成において、好ましくは、取付基板は外周縁が裾広がりのテーパ面に形成されるものである。この実施態様によると、遊技球はテーパ面により容易に取付基板上に乗り上がるので、たとえ取付基板に厚みを設けても、遊技球は取付基板によって円滑な動きが阻害されることはない。
【0016】
他の好ましい実施態様においては、前記取付基板は盤面に形成された取付基板の厚みと一致する深さの凹部内に固定されている。
この実施態様によると、取付基板と盤面との間に段差が生じないので、取付基板によって遊技球の動きが影響されることはない。
【0017】
この発明の好ましい実施態様においては、前記取付基板には、内ガイドレールの終端部分が係入されて保持される溝が形成されている。
この実施態様によれば、内ガイドレールの終端部分が溝に係入されて保持されるので、遊技球が衝突することによって内ガイドレールががたつくなどのおそれがなく、固定された状態が安定する。また、内ガードレールの終端部分を固定するための別の手段を設ける必要がなく、盤面の構造が複雑にならない。
【0018】
ゲート部材の軸部は取付基板に形成された軸支孔に回動自由に支持されるものであるが、取付基板の上面にゲート板の側の軸部の端部を回動自由に支持する軸支部を有する立壁部を一体形成すれば、軸部は2点支持となり、軸部の回動が円滑となり、ゲート板の開閉動作が安定する。
【0019】
この発明による好ましいパチンコ遊技機は、ゲート板が開閉動作する角度範囲を規制するストッパー機構がさらに設けられたものである。前記ストッパー機構は、取付基板の上面に形成された円弧状の溝と、ゲート板の下面に突設され前記溝に摺動自由に係合する突起体とで構成されている。
このパチンコ遊技機によると、ゲート板は付勢機構により付勢されて案内路を閉じた状態で定位し、遊技球の通過によりゲート板が押されたとき、一定の角度範囲だけ開動作して案内路が開かれるが、ゲート板が開閉動作するとき、突起体は溝中を摺動し、一方の溝端に達したとき、ゲート板が案内路を閉じた状態となり、他方の溝端に達したとき、ゲート板が案内路を開いた状態となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、盤面の遊技領域の側にゲート板の誤動作を防ぐための壁を設ける必要がなく、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅を十分に確保でき、障害釘を配置することの自由度を低下させることがない。また、盤面の球戻り防止機構の設置位置に遊技球に付着したゴミや埃が侵入する開口部が設けられていないので、付勢機構の動きが阻害されるおそれはなく、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例であるパチンコ遊技機の遊技盤の一部分を拡大して示す正面図である。
【図2】球戻り防止機構の構成を示す斜視図である。
【図3】球戻り防止機構の構成を示す正面図である。
【図4】球戻り防止機構の構成を示す側面図である。
【図5】球戻り防止機構の構成を示す背面図である。
【図6】球戻り防止機構の構成を示す断面図である。
【図7】球戻り防止機構の盤面への他の取付構造を示す断面図である。
【図8】球戻り防止機構の他の実施例の構成を示す断面図である。
【図9】付勢機構の他の実施例を示す断面図である。
【図10】付勢機構のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図11】ガイドレールの他の実施例を示す正面図である。
【図12】付勢機構の他の取付態様を示す断面図である。
【図13】第2のゲート板が設けられた球戻り防止機構の構成を示す正面図である。
【図14】典型的なパチンコ遊技機の構成を示す正面図である。
【図15】従来の球戻り防止機構の構成を示す平面図である。
【図16】従来の球戻り防止機構の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施例であるパチンコ遊技機において、遊技球Pが案内路11より遊技領域12へ導かれる状態を拡大して示している。図中、14は液晶ディスプレイを内蔵したセンター役物、15は遊技盤16の盤面に打ち付けられた障害釘である。内外のガイドレール1,10の間に形成された案内路11は、全体が発射装置から上方に向かった先細形状をなし、その先端部付近がほぼ一定幅に形成されており、内ガイドレール1の終端位置に、案内路11を開閉するゲート板6を備えた球戻り防止機構2が設けられている。ゲート板6は案内路11から遊技領域12への遊技球Pの通過は許容するが、遊技領域12から案内路11への遊技球Pの逆戻りを防止するものである。
【0023】
この実施例の球戻り防止機構2は、図1〜図6に示すように、適当な厚みを有する合成樹脂製の取付基板3と前記ゲート板6を備えたゲート部材4とを有するものである。取付基板3は、内ガイドレール1の終端位置に2本のネジ31,31によって遊技盤16の盤面上に取付け固定されている。取付基板3の外周縁は裾広がりのテーパ面33に形成されている。このテーパ面33は、取付基板3と盤面との間の段差を解消するために形成されているが、図7に示すように、盤面に取付基板3の厚みと一致する深さの凹部17を設けて、その凹部17内に取付基板3を嵌めて取付け固定すれば、取付基板3にテーパ面33を形成する必要はない。
取付基板3には内ガイドレール1の終端部分が係入されるスリット状の溝35が開設され、また、取付基板3の中央部分には板厚方向に貫通する円形の軸支孔32が形成されている。この軸支孔32は遊技盤16の盤面に対して直交する。なお、図示していないが、前記溝35の溝壁に突起、内ガイドレール1の終端部分に前記突起が係合する抜止め用の孔を形成するのが望ましい。
【0024】
ゲート部材4は取付基板3の軸支孔32に回動自由に支持される軸部5を有している。図示例の軸部5は、図6に示すように、金属製の軸芯部50と、軸芯部50の一端部側の外周面に被せられて公知の手段により一体に固着された筒状のボス部51と、軸芯部50の他端部側の外周面に被せられて公知の手段により回り止めされた上下各端が開口した筒状の鞘状部52とで構成されている。鞘状部52の上端部は小径部53となっており、この小径部53の端面はボス部51の下端面に突き当てられている。軸芯部50の下端部は鞘状部52の下端の開口より突出し、その突出部分に抜止め用の止め輪54が装着されている。前記小径部53は取付基板3の軸支孔32に回動自由に支持されるが、軸方向には移動不能である。
【0025】
軸部5のボス部51の外周面には、ボス部51の全長にわたって矩形状のゲート板6が一体形成されている。なお、ボス部51およびゲート板6はジュラコンなどの耐衝撃性や耐摩耗性に優れた合成樹脂材料により形成されている。ゲート板6は遊技盤16の盤面に対して直角をなし、外周方向へ突出し、所定の角度範囲を正逆回動して開閉動作する。ゲート板6が開閉動作する角度範囲は、取付基板3とゲート部材4との間に設けられたストッパー機構20(図3参照)により規制される。
【0026】
図示例のストッパー機構20は、取付基板3の上面に形成された円弧状の溝34と、ゲート板6の下面に突設され溝34に摺動自由に係合する突起体(図示せず)とで構成されている。ゲート板6は後述する付勢機構7により付勢された状態で案内路11を閉じた状態で定位し、遊技球Pの通過時にゲート板6が押されたとき、前記の角度範囲だけ開動作して案内路11が開かれるもので、ゲート板6が開閉動作するとき、前記の突起体が溝34内を摺動し、一方の溝端に達したとき、ゲート板6が案内路11を閉じた状態となり、他方の溝端に達したとき、ゲート板6が案内路11を開いた状態となる。
【0027】
軸部5の鞘状部52は遊技盤16内に形成された空間部分18に突出しており、その突出した鞘状部52にゲート板6が案内路11を閉じるよう軸部5をその軸芯の周りに付勢する付勢機構7が設けられている。この実施例の付勢機構7は錘70により構成されているが、これに限らず、後述する実施例のように、コイルバネや板バネを用いて構成することができる。
【0028】
図示例の錘70は、軸部5の鞘状部52に対し、前記ボス部51のゲート板6と所定の鈍角(130〜140度)をなす位置に、下面が開口した中空の筒体71を一体形成するとともに、この筒体71内に金属製のネジ72をねじ込むことにより構成されている。錘70の重量(筒体71の重量とネジ72の重量との和)をゲート板6の重量より大きく設定することで軸部5をその軸芯の周りに付勢し、ゲート板6が案内路11に突き出るような回転モーメントを付与している。この実施例によれば、ネジ72のねじ込みによって錘70を簡単に構成でき、また、ネジ72の選定により錘70の重量を容易に調整できるという利点があるが、錘70はこの実施例の構成に限られるものではない。
【0029】
遊技盤16に形成される空間部分18は、軸部5の鞘状部52および錘70を収容しかつ回動を許容することが可能な広さを有しており、遊技盤16にドリルによる穿孔加工を施すことにより形成されている。空間部分18は遊技盤16を貫通しており、表側の開口は取付基板3により塞がれ、裏面側の開口は蓋板19により塞がれている。
【0030】
上記の実施例では、軸部5は取付基板3の軸支孔32に一点支持されているが、軸部5の回動を一層円滑にするために、図8に示す実施例のように、取付基板3の上面に立壁部36を一体形成し、その立壁部36の先端に軸部5の端部を回動自由に支持する軸支部37を設けて、軸部5を2点支持するようにしてもよい。なお、図8において、38は内ガイドレール1の終端部分が係入される溝であり、この溝38は立壁部36の端面に形成されている。また、図8に示す実施例では、軸支部37および軸支孔32は軸部5を構成する軸芯部50を支持するように構成しているが、軸芯部50に被せられる鞘状部52やボス部51を支持するように構成してもよい。
【0031】
図9は、付勢機構7としてコイルバネ73を用いた実施例を示している。コイルバネ73は、軸部5の鞘状部52の外周を周回するように設けられている。コイルバネ73の一端73aは軸芯部50に、他端73bは取付基板3の下面に形成された穴に、それぞれ固定され、これにより軸部5をその軸芯の周りに一定方向に付勢している。図示していないが、取付基板3の下面の軸支孔32の周囲に、コイルバネ73の他端73bを固定するための固定部分が複数設けてあり、いずれかの固定部分を選択することによりコイルバネ73の荷重を変え、軸部5をその軸芯の周りに付勢する力を調整可能としている。
【0032】
図10は、付勢機構7として両端部にピン孔が設けられた短冊状の板バネ74を用いた実施例を示している。板バネ74は、中空体に形成された軸部5の中空内部に捻られた状態で配設されており、板バネ74の一端74aが取付基板3の下面に一体形成された支持アーム39の先端に、他端74bがゲート板6の側の軸部5の端部に、それぞれピンなどで固定され、捩れ復元力により軸部5をその軸芯の周りに一定方向に付勢している。
【0033】
上記の各実施例において、軸部5には遊技領域12にて障害釘15や図示しない返しゴムで跳ね返された遊技球Pが衝突するので、軸部5は衝突時の衝撃に耐え得る強度に設計されている。なお、軸部5を外力から保護するためのカバー壁を設ける必要はないが、球戻り防止機構2とセンター役物との間の球通路が狭くないような場合、図11に示すように、内ガイドレール1の終端に軸部5の遊技領域12の側の外周面に沿うカバー部1aを一体形成して、軸部5に遊技球Pが衝突するのを避けるようにしてもよい。
【0034】
また、上記の実施例では、軸部5を遊技盤16内に形成された空間部分18に突出させ、その突出部分に付勢機構7を設けているが、図12に示すように、軸部5を遊技盤16の背後に突出させ、その突出部分に付勢機構7を設けるようにしてもよい。この場合、遊技盤16の背面にカバー体100を取り付けて付勢機構7を覆うことが望ましい。図中、101は遊技球Pの通過個数を計数するための計数機構であり、カバー体100の内面に取り付けられた光電センサ102と、錘70を構成する筒体71に一体形成され軸部5の回動に応じて光電センサ102の光路を横切る遮蔽板103とで構成される。
【0035】
さらに、図13に示した実施例のように、軸部5の周面のゲート板6と所定の角度をなす位置に、不正な遊技球の連射を防止するための第2のゲート板60を一体形成することもできる。内ガイドレール1は軸部5の近傍位置まで延びており、前記の第2のゲート板60は内ガイドレール1の先端部分と外ガイドレール10との間の案内路11内に位置している。この実施例によれば、不正な遊技球の連射防止の効果に加えて、第2のゲート板60の存在により付勢機構7の錘70の重量を軽減して小型化できるという利点がある。
【0036】
上記した構成のパチンコ遊技機において、内ガイドレール1の終端位置に球戻り防止機構2が設けられているので、遊技球Pは内ガイドレール1の終端位置を通過するとき、案内路11に突出するゲート板6を押し開き、案内路11より遊技領域12へ発射される。球戻り防止機構2の付勢機構7は、ゲート板6が閉じるよう軸部5をその軸芯の周りに付勢しているので、遊技球Pが球戻り防止機構2の位置を通過すると同時に、押し開かれたゲート6は閉動作して案内路11を塞ぐ。このゲート板6の閉動作によって遊技球Pが遊技領域12から案内路11へ逆戻りするのが防止される。
【0037】
球戻り防止機構2は、取付基板3上にゲート板6を一体に備えた軸部5のみが露出する構成のものであるから、遊技領域12を落下する遊技球Pが球戻り防止機構2の軸部5などに衝突しても、それによって閉じたゲート板6が開くような誤動作は生じず、遊技球Pが遊技領域12から案内路11へ逆戻りするおそれはない。
【0038】
盤面上には球戻り防止機構2の遊技領域12の側を覆う壁が存在しておらず、その分、球戻り防止機構2とセンター役物14との間の通路幅が広くなっているので、球筋が限定されることがないように盤面に障害釘15が配置されており、パチンコ遊技が興趣に富んだものとなる。
【符号の説明】
【0039】
1 内ガイドレール
2 球戻り防止機構
3 取付基板
4 ゲート部材
5 軸部
6 ゲート板
7 付勢機構
10 外ガイドレール
11 案内路
12 遊技領域
17 凹部
20 ストッパー機構
32 軸支孔
33 テーパ面
34 円弧状の溝
35 溝
36 突壁部
70 錘
73 コイルバネ
74 板バネ
【技術分野】
【0001】
この発明は、発射装置から発射された遊技球が案内路より盤面上の遊技領域へ導かれて遊技が展開されるパチンコ遊技機に関し、この発明は特に、遊技領域から案内路へ遊技球が逆戻りするのを防止する球戻り防止機構が備えられたパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なパチンコ遊技機では、図14に示すように、発射装置(図示せず)から発射された遊技球が内外のガイドレール1,10間に形成された案内路11を通って盤面上の遊技領域12へ導かれるようになっている。遊技領域12へ導かれた遊技球は盤面上の障害釘などに衝突しながら盤面を落下するが、遊技領域12から案内路11へ跳ね返った遊技球が逆戻りしないように、内側のガイドレール1の終端位置に球戻り防止機構8が設けられている。なお、図中、13は球発射用のハンドル、14は液晶ディスプレイを内蔵したセンター役物であり、盤面上の障害釘、入賞口、アウト口などの図示は省略してある。
【0003】
前記の球戻り防止機構8として、例えば、図15に示す構成のものがあり、ケース体80の内部に、ゲート板81が案内路11を開閉するようにその基端部が回動自由に軸支されるとともに、軸支部82を挟んでゲート板81と反対側に、ゲート板81が案内路11を閉じるよう付勢する錘部83が設けられている(例えば、特許文献1参照)。図中、1,10は内外のガイドレールである。
【0004】
この種の球戻り防止機構8では、ケース体80が遊技領域へ大きく張り出すため、特に、盤面中央に大型の液晶ディスプレイを内蔵したセンター役物が配置されている場合、球戻り防止機構8とセンター役物との間の球通路が狭くなるため、障害釘を配置することの自由度が低下する。また、球戻り防止機構8とセンター役物との間の球通路が狭いと、球筋が限定されることになり、パチンコ遊技が単純となって興趣に欠けるものとなる。
【0005】
上記の球戻り防止機構8は、軸支部82を挟んでゲート板81と反対側に錘部83が長く突き出た構造であるため、ケース体80の遊技領域への張り出し量が大きなものとなり、この種の構造の不都合を解消するため、図16に示す構造の球戻り防止機構9が提案されている。図示の球戻り防止機構9は、軸支部92を挟んでゲート板91と反対側に基板部93を短く突出させ、その基板部93の先端から軸方向へ延設したロッド部(図示せず)を介して錘部94を設け、錘部94を遊技盤に形成した錘収容孔部95に移動可能に収容したものである(例えば、特許文献2参照)。図中、1,10は内外のガイドレールである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3167683号公報
【特許文献2】特開2011−50560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この球戻り防止機構9では、基板部93の突出長さは短いが、遊技領域を通過する遊技球が基板部93に衝突すると、ゲート板91が不測のタイミングで開くおそれがあるため、遊技領域の側を覆うカバー壁96を設けることが不可欠であり、その分、球戻り防止機構9とセンター役物との間の通路幅が狭められ、障害釘を配置することの自由度が低下する。しかも、遊技盤の盤面には、錘部94を移動可能に収容する錘収容孔部95が開口するので、この開口部より遊技球に付着したゴミや埃が侵入し、錘部94の動きを阻害するおそれがあり、メンテナンスを頻繁に行うことが必要となるなどの問題もある。
【0008】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、ゲート板の誤動作をなくすためのカバー壁を設ける必要がなく、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅を十分に確保できて障害釘を配置することの自由度を低下させず、頻繁なメンテナンスを必要としないパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるパチンコ遊技機は、発射された遊技球を遊技盤の盤面上の遊技領域へ導くための外ガイドレールと、その内側に設けられた内ガイドレールとの間に案内路を有し、前記内ガイドレールの終端位置には、前記案内路を開閉するゲート板を有する球戻り防止機構を設けて、遊技領域から案内路へ遊技球が逆戻りするのを防止するようにしたものである。前記球戻り防止機構は、内ガイドレールの終端位置の盤面上に固定され遊技盤の板厚方向に貫通する軸支孔が形成された取付基板と、取付基板の前記軸支孔に回動自由に支持される軸部を有し取付基板上に突出した軸部の一端部側に前記ゲート板が一体形成されたゲート部材とを備えている。前記軸部の他端部側は、遊技盤内に形成された空間部分または遊技盤の背後に突出し、その突出部分に前記ゲート板が案内路を閉じるよう軸部をその軸芯の周りに付勢する付勢機構が設けられている。
【0010】
上記した構成のパチンコ遊技機では、内ガイドレールの終端位置に球戻り防止機構が設けられているので、案内路より遊技領域へ至った遊技球は球戻り防止機構のゲート板によって遊技領域から案内路へ逆戻りするのが防止される。また、球戻り防止機構は、取付基板上にゲート板を一体に備えた軸部のみが露出する構成のものであるから、遊技領域の側を壁で覆う必要がなく、その分、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅が広くなり、障害釘を配置することの自由度を低下させない。また、軸部に遊技球が衝突しても、それによってゲート板が誤動作するおそれはなく、遊技球が遊技領域から案内路へ逆戻りするのが確実に防止される。
【0011】
上記の付勢機構として種々の態様のものが考えられるが、そのひとつの態様は、軸部の外周のゲート板と所定の角度をなす位置に配設された錘により構成されるものである。
【0012】
また、付勢機構の他の態様は、軸部の外周に配設されたコイルバネにより構成されるものであり、さらに他の態様は、中空体に形成された軸部の中空内部に配設された板バネにより構成されるものである。
【0013】
いずれの態様の付勢機構も、取付基板上に露出せず、遊技領域の側に壁を設ける必要がないので、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅が狭められたり、遊技球の衝突による誤動作が発生したりするおそれがない。また、遊技球との接触により付勢機構に汚れが付着して性能の低下を招くことがなく、盤面の清掃時に作業員が付勢機構に接触することで性能に悪影響を及ぼしたりするおそれもない。
【0014】
内ガイドレールは、必要に応じて、その終端に軸部の遊技領域の側の外周面に沿うカバー部を一体形成することが可能である。この実施態様によると、遊技領域を落下する遊技球が球戻り防止機構の軸部に勢いよく衝突するのが防止され、また、遊技球との接触により汚れが付着することもない。
【0015】
この発明の上記した構成において、好ましくは、取付基板は外周縁が裾広がりのテーパ面に形成されるものである。この実施態様によると、遊技球はテーパ面により容易に取付基板上に乗り上がるので、たとえ取付基板に厚みを設けても、遊技球は取付基板によって円滑な動きが阻害されることはない。
【0016】
他の好ましい実施態様においては、前記取付基板は盤面に形成された取付基板の厚みと一致する深さの凹部内に固定されている。
この実施態様によると、取付基板と盤面との間に段差が生じないので、取付基板によって遊技球の動きが影響されることはない。
【0017】
この発明の好ましい実施態様においては、前記取付基板には、内ガイドレールの終端部分が係入されて保持される溝が形成されている。
この実施態様によれば、内ガイドレールの終端部分が溝に係入されて保持されるので、遊技球が衝突することによって内ガイドレールががたつくなどのおそれがなく、固定された状態が安定する。また、内ガードレールの終端部分を固定するための別の手段を設ける必要がなく、盤面の構造が複雑にならない。
【0018】
ゲート部材の軸部は取付基板に形成された軸支孔に回動自由に支持されるものであるが、取付基板の上面にゲート板の側の軸部の端部を回動自由に支持する軸支部を有する立壁部を一体形成すれば、軸部は2点支持となり、軸部の回動が円滑となり、ゲート板の開閉動作が安定する。
【0019】
この発明による好ましいパチンコ遊技機は、ゲート板が開閉動作する角度範囲を規制するストッパー機構がさらに設けられたものである。前記ストッパー機構は、取付基板の上面に形成された円弧状の溝と、ゲート板の下面に突設され前記溝に摺動自由に係合する突起体とで構成されている。
このパチンコ遊技機によると、ゲート板は付勢機構により付勢されて案内路を閉じた状態で定位し、遊技球の通過によりゲート板が押されたとき、一定の角度範囲だけ開動作して案内路が開かれるが、ゲート板が開閉動作するとき、突起体は溝中を摺動し、一方の溝端に達したとき、ゲート板が案内路を閉じた状態となり、他方の溝端に達したとき、ゲート板が案内路を開いた状態となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、盤面の遊技領域の側にゲート板の誤動作を防ぐための壁を設ける必要がなく、球戻り防止機構とセンター役物との間の通路幅を十分に確保でき、障害釘を配置することの自由度を低下させることがない。また、盤面の球戻り防止機構の設置位置に遊技球に付着したゴミや埃が侵入する開口部が設けられていないので、付勢機構の動きが阻害されるおそれはなく、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例であるパチンコ遊技機の遊技盤の一部分を拡大して示す正面図である。
【図2】球戻り防止機構の構成を示す斜視図である。
【図3】球戻り防止機構の構成を示す正面図である。
【図4】球戻り防止機構の構成を示す側面図である。
【図5】球戻り防止機構の構成を示す背面図である。
【図6】球戻り防止機構の構成を示す断面図である。
【図7】球戻り防止機構の盤面への他の取付構造を示す断面図である。
【図8】球戻り防止機構の他の実施例の構成を示す断面図である。
【図9】付勢機構の他の実施例を示す断面図である。
【図10】付勢機構のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図11】ガイドレールの他の実施例を示す正面図である。
【図12】付勢機構の他の取付態様を示す断面図である。
【図13】第2のゲート板が設けられた球戻り防止機構の構成を示す正面図である。
【図14】典型的なパチンコ遊技機の構成を示す正面図である。
【図15】従来の球戻り防止機構の構成を示す平面図である。
【図16】従来の球戻り防止機構の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施例であるパチンコ遊技機において、遊技球Pが案内路11より遊技領域12へ導かれる状態を拡大して示している。図中、14は液晶ディスプレイを内蔵したセンター役物、15は遊技盤16の盤面に打ち付けられた障害釘である。内外のガイドレール1,10の間に形成された案内路11は、全体が発射装置から上方に向かった先細形状をなし、その先端部付近がほぼ一定幅に形成されており、内ガイドレール1の終端位置に、案内路11を開閉するゲート板6を備えた球戻り防止機構2が設けられている。ゲート板6は案内路11から遊技領域12への遊技球Pの通過は許容するが、遊技領域12から案内路11への遊技球Pの逆戻りを防止するものである。
【0023】
この実施例の球戻り防止機構2は、図1〜図6に示すように、適当な厚みを有する合成樹脂製の取付基板3と前記ゲート板6を備えたゲート部材4とを有するものである。取付基板3は、内ガイドレール1の終端位置に2本のネジ31,31によって遊技盤16の盤面上に取付け固定されている。取付基板3の外周縁は裾広がりのテーパ面33に形成されている。このテーパ面33は、取付基板3と盤面との間の段差を解消するために形成されているが、図7に示すように、盤面に取付基板3の厚みと一致する深さの凹部17を設けて、その凹部17内に取付基板3を嵌めて取付け固定すれば、取付基板3にテーパ面33を形成する必要はない。
取付基板3には内ガイドレール1の終端部分が係入されるスリット状の溝35が開設され、また、取付基板3の中央部分には板厚方向に貫通する円形の軸支孔32が形成されている。この軸支孔32は遊技盤16の盤面に対して直交する。なお、図示していないが、前記溝35の溝壁に突起、内ガイドレール1の終端部分に前記突起が係合する抜止め用の孔を形成するのが望ましい。
【0024】
ゲート部材4は取付基板3の軸支孔32に回動自由に支持される軸部5を有している。図示例の軸部5は、図6に示すように、金属製の軸芯部50と、軸芯部50の一端部側の外周面に被せられて公知の手段により一体に固着された筒状のボス部51と、軸芯部50の他端部側の外周面に被せられて公知の手段により回り止めされた上下各端が開口した筒状の鞘状部52とで構成されている。鞘状部52の上端部は小径部53となっており、この小径部53の端面はボス部51の下端面に突き当てられている。軸芯部50の下端部は鞘状部52の下端の開口より突出し、その突出部分に抜止め用の止め輪54が装着されている。前記小径部53は取付基板3の軸支孔32に回動自由に支持されるが、軸方向には移動不能である。
【0025】
軸部5のボス部51の外周面には、ボス部51の全長にわたって矩形状のゲート板6が一体形成されている。なお、ボス部51およびゲート板6はジュラコンなどの耐衝撃性や耐摩耗性に優れた合成樹脂材料により形成されている。ゲート板6は遊技盤16の盤面に対して直角をなし、外周方向へ突出し、所定の角度範囲を正逆回動して開閉動作する。ゲート板6が開閉動作する角度範囲は、取付基板3とゲート部材4との間に設けられたストッパー機構20(図3参照)により規制される。
【0026】
図示例のストッパー機構20は、取付基板3の上面に形成された円弧状の溝34と、ゲート板6の下面に突設され溝34に摺動自由に係合する突起体(図示せず)とで構成されている。ゲート板6は後述する付勢機構7により付勢された状態で案内路11を閉じた状態で定位し、遊技球Pの通過時にゲート板6が押されたとき、前記の角度範囲だけ開動作して案内路11が開かれるもので、ゲート板6が開閉動作するとき、前記の突起体が溝34内を摺動し、一方の溝端に達したとき、ゲート板6が案内路11を閉じた状態となり、他方の溝端に達したとき、ゲート板6が案内路11を開いた状態となる。
【0027】
軸部5の鞘状部52は遊技盤16内に形成された空間部分18に突出しており、その突出した鞘状部52にゲート板6が案内路11を閉じるよう軸部5をその軸芯の周りに付勢する付勢機構7が設けられている。この実施例の付勢機構7は錘70により構成されているが、これに限らず、後述する実施例のように、コイルバネや板バネを用いて構成することができる。
【0028】
図示例の錘70は、軸部5の鞘状部52に対し、前記ボス部51のゲート板6と所定の鈍角(130〜140度)をなす位置に、下面が開口した中空の筒体71を一体形成するとともに、この筒体71内に金属製のネジ72をねじ込むことにより構成されている。錘70の重量(筒体71の重量とネジ72の重量との和)をゲート板6の重量より大きく設定することで軸部5をその軸芯の周りに付勢し、ゲート板6が案内路11に突き出るような回転モーメントを付与している。この実施例によれば、ネジ72のねじ込みによって錘70を簡単に構成でき、また、ネジ72の選定により錘70の重量を容易に調整できるという利点があるが、錘70はこの実施例の構成に限られるものではない。
【0029】
遊技盤16に形成される空間部分18は、軸部5の鞘状部52および錘70を収容しかつ回動を許容することが可能な広さを有しており、遊技盤16にドリルによる穿孔加工を施すことにより形成されている。空間部分18は遊技盤16を貫通しており、表側の開口は取付基板3により塞がれ、裏面側の開口は蓋板19により塞がれている。
【0030】
上記の実施例では、軸部5は取付基板3の軸支孔32に一点支持されているが、軸部5の回動を一層円滑にするために、図8に示す実施例のように、取付基板3の上面に立壁部36を一体形成し、その立壁部36の先端に軸部5の端部を回動自由に支持する軸支部37を設けて、軸部5を2点支持するようにしてもよい。なお、図8において、38は内ガイドレール1の終端部分が係入される溝であり、この溝38は立壁部36の端面に形成されている。また、図8に示す実施例では、軸支部37および軸支孔32は軸部5を構成する軸芯部50を支持するように構成しているが、軸芯部50に被せられる鞘状部52やボス部51を支持するように構成してもよい。
【0031】
図9は、付勢機構7としてコイルバネ73を用いた実施例を示している。コイルバネ73は、軸部5の鞘状部52の外周を周回するように設けられている。コイルバネ73の一端73aは軸芯部50に、他端73bは取付基板3の下面に形成された穴に、それぞれ固定され、これにより軸部5をその軸芯の周りに一定方向に付勢している。図示していないが、取付基板3の下面の軸支孔32の周囲に、コイルバネ73の他端73bを固定するための固定部分が複数設けてあり、いずれかの固定部分を選択することによりコイルバネ73の荷重を変え、軸部5をその軸芯の周りに付勢する力を調整可能としている。
【0032】
図10は、付勢機構7として両端部にピン孔が設けられた短冊状の板バネ74を用いた実施例を示している。板バネ74は、中空体に形成された軸部5の中空内部に捻られた状態で配設されており、板バネ74の一端74aが取付基板3の下面に一体形成された支持アーム39の先端に、他端74bがゲート板6の側の軸部5の端部に、それぞれピンなどで固定され、捩れ復元力により軸部5をその軸芯の周りに一定方向に付勢している。
【0033】
上記の各実施例において、軸部5には遊技領域12にて障害釘15や図示しない返しゴムで跳ね返された遊技球Pが衝突するので、軸部5は衝突時の衝撃に耐え得る強度に設計されている。なお、軸部5を外力から保護するためのカバー壁を設ける必要はないが、球戻り防止機構2とセンター役物との間の球通路が狭くないような場合、図11に示すように、内ガイドレール1の終端に軸部5の遊技領域12の側の外周面に沿うカバー部1aを一体形成して、軸部5に遊技球Pが衝突するのを避けるようにしてもよい。
【0034】
また、上記の実施例では、軸部5を遊技盤16内に形成された空間部分18に突出させ、その突出部分に付勢機構7を設けているが、図12に示すように、軸部5を遊技盤16の背後に突出させ、その突出部分に付勢機構7を設けるようにしてもよい。この場合、遊技盤16の背面にカバー体100を取り付けて付勢機構7を覆うことが望ましい。図中、101は遊技球Pの通過個数を計数するための計数機構であり、カバー体100の内面に取り付けられた光電センサ102と、錘70を構成する筒体71に一体形成され軸部5の回動に応じて光電センサ102の光路を横切る遮蔽板103とで構成される。
【0035】
さらに、図13に示した実施例のように、軸部5の周面のゲート板6と所定の角度をなす位置に、不正な遊技球の連射を防止するための第2のゲート板60を一体形成することもできる。内ガイドレール1は軸部5の近傍位置まで延びており、前記の第2のゲート板60は内ガイドレール1の先端部分と外ガイドレール10との間の案内路11内に位置している。この実施例によれば、不正な遊技球の連射防止の効果に加えて、第2のゲート板60の存在により付勢機構7の錘70の重量を軽減して小型化できるという利点がある。
【0036】
上記した構成のパチンコ遊技機において、内ガイドレール1の終端位置に球戻り防止機構2が設けられているので、遊技球Pは内ガイドレール1の終端位置を通過するとき、案内路11に突出するゲート板6を押し開き、案内路11より遊技領域12へ発射される。球戻り防止機構2の付勢機構7は、ゲート板6が閉じるよう軸部5をその軸芯の周りに付勢しているので、遊技球Pが球戻り防止機構2の位置を通過すると同時に、押し開かれたゲート6は閉動作して案内路11を塞ぐ。このゲート板6の閉動作によって遊技球Pが遊技領域12から案内路11へ逆戻りするのが防止される。
【0037】
球戻り防止機構2は、取付基板3上にゲート板6を一体に備えた軸部5のみが露出する構成のものであるから、遊技領域12を落下する遊技球Pが球戻り防止機構2の軸部5などに衝突しても、それによって閉じたゲート板6が開くような誤動作は生じず、遊技球Pが遊技領域12から案内路11へ逆戻りするおそれはない。
【0038】
盤面上には球戻り防止機構2の遊技領域12の側を覆う壁が存在しておらず、その分、球戻り防止機構2とセンター役物14との間の通路幅が広くなっているので、球筋が限定されることがないように盤面に障害釘15が配置されており、パチンコ遊技が興趣に富んだものとなる。
【符号の説明】
【0039】
1 内ガイドレール
2 球戻り防止機構
3 取付基板
4 ゲート部材
5 軸部
6 ゲート板
7 付勢機構
10 外ガイドレール
11 案内路
12 遊技領域
17 凹部
20 ストッパー機構
32 軸支孔
33 テーパ面
34 円弧状の溝
35 溝
36 突壁部
70 錘
73 コイルバネ
74 板バネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射された遊技球を遊技盤の盤面上の遊技領域へ導くための外ガイドレールと、その内側に設けられた内ガードレールとの間に案内路を有し、前記内ガイドレールの終端位置には、前記案内路を開閉するゲート板を有する球戻り防止機構を設けて、遊技領域から案内路へ遊技球が逆戻りするのを防止するようにしたパチンコ遊技機において、
前記球戻り防止機構は、内ガイドレールの終端位置の盤面上に固定され遊技盤の板厚方向に貫通する軸支孔が形成された取付基板と、取付基板の前記軸支孔に回動自由に支持される軸部を有し取付基板上に突出した軸部の一端部側に前記ゲート板が一体形成されたゲート部材とを備えており、前記軸部の他端部側は、遊技盤内に形成された空間部分または遊技盤の背後に突出し、その突出部分に前記ゲート板が案内路を閉じるよう軸部をその軸芯の周りに付勢する付勢機構が設けられて成るパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記付勢機構は、軸部の外周のゲート板と所定の角度をなす位置に配設された錘により構成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記付勢機構は、軸部の外周に配設されたコイルバネにより構成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記付勢機構は、中空体に形成された軸部の中空内部に配設された板バネにより構成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記内ガイドレールの終端には、軸部の遊技領域の側の外周面に沿うカバー部が一体形成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記取付基板は、外周縁が裾広がりのテーパ面に形成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記取付基板は、盤面に形成された取付基板の厚みと一致する深さの凹部内に固定されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項8】
前記取付基板には、内ガイドレールの終端部分が係入されて保持される溝が形成されている請求項1、6、7のいずれかに記載されたパチンコ遊技機。
【請求項9】
前記取付基板の上面には、ゲート板の側の軸部の端部を回動自由に支持する軸支部を有する立壁部が一体形成されている請求項1、6、7のいずれかに記載されたパチンコ遊技機。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載されたパチンコ遊技機であって、ゲート板が開閉動作する角度範囲を規制するストッパー機構がさらに設けられており、前記ストッパー機構は、取付基板の上面に形成された円弧状の溝と、ゲート板の下面に突設され前記溝に摺動自由に係合する突起体とで構成されているパチンコ遊技機。
【請求項1】
発射された遊技球を遊技盤の盤面上の遊技領域へ導くための外ガイドレールと、その内側に設けられた内ガードレールとの間に案内路を有し、前記内ガイドレールの終端位置には、前記案内路を開閉するゲート板を有する球戻り防止機構を設けて、遊技領域から案内路へ遊技球が逆戻りするのを防止するようにしたパチンコ遊技機において、
前記球戻り防止機構は、内ガイドレールの終端位置の盤面上に固定され遊技盤の板厚方向に貫通する軸支孔が形成された取付基板と、取付基板の前記軸支孔に回動自由に支持される軸部を有し取付基板上に突出した軸部の一端部側に前記ゲート板が一体形成されたゲート部材とを備えており、前記軸部の他端部側は、遊技盤内に形成された空間部分または遊技盤の背後に突出し、その突出部分に前記ゲート板が案内路を閉じるよう軸部をその軸芯の周りに付勢する付勢機構が設けられて成るパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記付勢機構は、軸部の外周のゲート板と所定の角度をなす位置に配設された錘により構成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記付勢機構は、軸部の外周に配設されたコイルバネにより構成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記付勢機構は、中空体に形成された軸部の中空内部に配設された板バネにより構成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記内ガイドレールの終端には、軸部の遊技領域の側の外周面に沿うカバー部が一体形成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記取付基板は、外周縁が裾広がりのテーパ面に形成されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記取付基板は、盤面に形成された取付基板の厚みと一致する深さの凹部内に固定されている請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項8】
前記取付基板には、内ガイドレールの終端部分が係入されて保持される溝が形成されている請求項1、6、7のいずれかに記載されたパチンコ遊技機。
【請求項9】
前記取付基板の上面には、ゲート板の側の軸部の端部を回動自由に支持する軸支部を有する立壁部が一体形成されている請求項1、6、7のいずれかに記載されたパチンコ遊技機。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載されたパチンコ遊技機であって、ゲート板が開閉動作する角度範囲を規制するストッパー機構がさらに設けられており、前記ストッパー機構は、取付基板の上面に形成された円弧状の溝と、ゲート板の下面に突設され前記溝に摺動自由に係合する突起体とで構成されているパチンコ遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−52081(P2013−52081A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191676(P2011−191676)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
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